2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    493名(単体) 2,198名(連結)
  • 平均年齢
    44.5歳(単体)
  • 平均勤続年数
    15.5年(単体)
  • 平均年収
    7,643,000円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    1.8%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1)【人材戦略に関する基本方針等】

<経営方針・経営戦略における人財戦略の位置付け>

 当社では、経営理念の一部である「全てのステークホルダーの幸福を追求する」をもとに制定したサステナビリティ基本方針において、従業員について「健康・安全の確保はもちろんのこと、一人ひとりが能力を最大限発揮し活躍できるよう、働きがいある環境づくりや成長機会の提供に努めます。」と謳っており、従業員を重要なステークホルダーとして位置付けております。

 また、「サステナブルで高収益なグローバル・ニッチ・トップ企業」をキーメッセージとする長期ビジョン実現のための経営戦略をまとめた中期経営計画(中計)においては、2021年策定の前中計、2026年策定の現中計ともに基本戦略の一部として人的資本経営の推進について掲げており、当社グループが持続的な成長や企業価値向上を実現するにあたって、人財戦略はその基盤を支える不可欠で重要な要素であると捉えております。

 

<人財戦略の考え方>

 当社グループが長期ビジョンとして掲げております「サステナブルで高収益なグローバル・ニッチ・トップ企業」を実現するためには、人財・組織のパフォーマンスを最大化することが必要不可欠と考えております。多様な人財がグローバルに活躍し、ウェルビーイング(社員の幸せ)の実現を通じて組織全体の競争力を高めるとともに、新たな価値創出につなげることを目指しております。

 このような企業戦略の実現は、自律的に行動し価値創出を担う人財への依存度が高く、自律型人財の確保および育成が事業成長の鍵になるものと考えております。一方で、自律型人財の採用・育成・定着が十分に進まない場合には、組織力の低下や競争優位性の確立の遅れにつながる可能性があることから、重要な経営課題として認識しております。

 これらの課題に対応するため、当社グループは従業員の能力開発・自己実現の支援や待遇の向上、働きやすさやワークライフバランスの実現に向けて、人事制度の見直しや人材育成システムの再構築、女性や外国人の活躍支援、働く場所の多様化といった取り組みを推進しております。これにより、意欲的で能力の高い自律型人財の採用・育成・定着につなげております。

 これらの施策は「採用」「配置」「教育」「能力発揮」「処遇」の人財サイクルに基づき一体的に推進し、人財育成の高度化および従業員エンゲージメントの向上を重要なテーマとしております。また、多様性の推進の観点から、採用における女性比率の向上や育児に関する休暇・休業の取得促進等に取り組んでおります。

 なお、人的資本に関する重要指標として、人財育成、従業員エンゲージメント、多様性の推進等に関する指標を設定し、モニタリングを行っております。その詳細は、第2〔事業の状況〕2〔サステナビリティに関する考え方及び取組〕(1)サステナビリティ全般-④指標と目標、ならびに(3)人的資本関連-②戦略に記載のとおりです。

 

<従業員給与等の決定方針>

 当社における従業員の給与等は、従業員の職責、成果および期待役割の発揮状況に応じて、外部水準とのバランスを踏まえて、公正かつ適切に決定することを基本方針としております。

 給与等の決定にあたっては、まずは期待役割に対する行動発揮度を評価する「コンピテンシー評価」および業績目標の達成度を評価する「業績評価」の2軸による人事評価を実施しております。当該人事評価を通じて、従業員一人ひとりの成果および行動発揮を適切に把握し、その評価結果を処遇へ反映することで、従業員の主体的な能力発揮および組織全体のパフォーマンス向上を図っております。

 基本給については、各等級に求められる役割および職責に応じて定める等級制度に基づき決定しており、等級ごとに一定の給与レンジを設けることで、職責に応じた処遇水準を確保しております。また、人事評価結果は昇給額および上位等級への昇格可否の判断に反映しております。

 賞与については、評価に基づく目標達成度ならびに会社業績等を総合的に勘案したうえで決定しております。

 このほか、転勤を伴う業務に従事する従業員へのインセンティブ付与や単身赴任者向け手当等、キャリアコースや働き方の違いに応じた各種手当制度を整備し、多様な人財が継続的に能力を発揮できる処遇体系としております。

 当社は、これらの給与等の決定方針を通じて、人財戦略との連動を図るとともに、企業戦略の実現に必要な人財の確保・育成および従業員のモチベーション向上を推進しております。

 

(2)【従業員の状況】

① 連結会社の状況

 

2026年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

日本

668

(88)

中国

506

(15)

韓国

198

(54)

東南アジア

646

(27)

欧州・米国

180

(51)

合計

2,198

(236)

 (注) 従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、季節工を含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

 

② 提出会社の状況

 

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

493

(53)

44.5

15.5

7,643

1.8

 

 

 

 

セグメントの名称

従業員数(人)

日本

493

(53)

合計

493

(53)

 (注) 1 従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、季節工を含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

 2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

③ 労働組合の状況

 当社の労働組合は、中国塗料労働組合と称し、2026年3月31日現在における組合員数は286人で、JEC連合塗料部会を通じて日本化学エネルギー産業労働組合連合会に加盟しております。

 また、一部の連結子会社においても労働組合が結成されております。

 なお、何れにつきましても労使関係は安定しており、特記すべき事項はありません。

 

 

④ 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の額の差異

ア 提出会社

当事業年度

管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合(%)

   (注)1.

男性労働者の育児休業取得率(%)

   (注)2.

労働者の男女の賃金の額の差異(%)

(注)1.

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

6.0

69.2

76.3

79.6

74.6

 (注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

 2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

イ 連結子会社

 連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月23日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1) サステナビリティ全般

① ガバナンス

 当社グループの中長期的な企業価値向上の観点から、サステナビリティへの取り組みを強化するため、2022年6月よりサステナビリティ委員会を設置しております。同委員会は、代表取締役社長を委員長とし、執行役員や各本部長を中心に構成されており、当社のサステナビリティに関する方針・目標・実行計画の策定、サステナビリティ課題に対する取り組み推進やモニタリング、マテリアリティ(重要課題)の特定を担っています。サステナビリティ委員会の傘下には、テーマ別に専門部会を設置し、各専門部会が各種サステナビリティ課題への具体的な取り組みを推進しています。

 また、その内容を四半期に一回取締役会に報告しており、取締役会はサステナビリティ活動やKPIのモニタリングを行う仕組みとしています。

 

■サステナビリティに関するガバナンス体制図

 

■取締役会へのサステナビリティ委員会活動報告内容

報告時期

報告内容

2025年7月

2024年度のマテリアリティ実績、マテリアリティ目標の変更、2024年度の寄付および義援金、新人事制度の等級区分、有事の際の対応体制(CSIRT※1)整備、カーボンフットプリント開示への対応

2025年10月

省エネルギー対策の実施状況、CFP※2算定の進捗状況、2025年度従業員エンゲージメントサーベイの結果、新人事制度の概要、サプライヤー査察の実施、サステナビリティレポート2025の発行

2026年2月

CO2排出量(Scope1,2)の2025年度予想、環境ホルモン・TX※3等の使用量削減における進捗状況、CDP※4が実施する2025年度質問書への回答に関する評価結果、ASM※5ツールの導入、CFP算定

2026年5月

マテリアリティの2025年度実績と2026年度以降の目標、マテリアリティ目標の新設と変更、コーポレートサイトのリニューアルに伴うサステナビリティ開示情報の拡充、CSIRT実運用の開始、義援金および寄付金ガイドライン、サステナビリティ関連のリスク及び機会の管理

※1 Computer Security Incident Response Team(セキュリティインシデントが発生した際に対応を行う専門チーム)

※2 Carbon Footprint of Products(製品・サービスのライフサイクル全体の温室効果ガス排出量をCO2換算で算定したもの)

※3 トルエン、キシレン、ベンゾフェノン他(計10物質)

※4 企業や自治体の環境情報開示を推進する国際的な非営利団体

※5 Attack Surface Management(組織のIT資産や外部公開システム等の攻撃対象領域を把握・管理する取組)

② 戦略

 前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、当社グループでは、サステナブル経営を推進し、地球環境や社会の諸課題の解決に貢献することにより創出される社会的価値と事業活動の結果生み出される利益等の経済的価値双方の極大化を実現することを目指しており、経営理念をはじめとする各種コーポレートステートメントはそのような考え方に基づいて策定されております。

 

■経営理念

全5項目のうち1項目を「事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献し、全てのステークホルダーの幸福を追求する」とし、株主や従業員を含めた全てのステークホルダーに配慮した経営を推進することを明確にしております。また、本項目をもとに、各ステークホルダーに対するスタンスを表明した「サステナビリティ基本方針」も制定しております。

 

■サステナビリティ基本方針

中国塗料グループ「サステナビリティ基本方針」

私たちは、事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献し、全てのステークホルダーの幸福を追求します。

◆お客様

機能性と環境性能に優れた製品を開発・提供し続け、お客様のビジネスの持続的発展と環境負荷低減に貢献します。

◆従業員

健康・安全の確保はもちろんのこと、一人ひとりが能力を最大限発揮し活躍できるよう、働きがいある環境づくりや成長機会の提供に努めます。

◆お取引先

ビジネスパートナーとして共存共栄の関係を築き、環境や人権等に配慮した取引を通じて、共に持続可能な社会の実現を目指します。

◆地域社会

環境や安全に配慮した事業活動を行うとともに、地域社会の一員として良好な関係を構築し、地域の活性化や発展に協力します。

◆地球環境

環境性能の高い製品を提供することによりお客様の環境負荷を低減するほか、当社の事業活動においても温暖化ガスや廃棄物の排出削減といった取り組みを積極的に推進し、地球環境の保全に貢献します。

◆株主・投資家

適正なコーポレート・ガバナンス体制のもと、上記のステークホルダーの幸福と持続的な企業価値向上の両立を実現させ、株主利益の拡大を図ります。

 

■長期ビジョン(2030年以降)

キーメッセージを「サステナブルで高収益なグローバル・ニッチ・トップ企業」とし、船舶用塗料の販売シェア及びその中核となる船底防汚塗料の供給による海運業界の温室効果ガス削減貢献という両面で世界トップとなることを主眼としております。

 

■中期経営計画(2026年度から2030年度まで)

5つの基本戦略(重点テーマ)の1つ目に「環境・社会貢献による提供価値拡大」を掲げております。海運業界の温室効果ガス排出削減に寄与する船底防汚塗料に代表される環境・社会貢献につながる高付加価値製品の供給を通じて社会的価値の創出を推進、その結果として、経済的価値の源泉となる売上高の拡大と収益性の向上を図ってまいります。また、人的資本に関しては、5つ目の基本戦略「企業規模の拡大に見合った経営・組織基盤の強化」において、人的資本経営を推進し人財・組織のパフォーマンスを最大化することを最重要テーマとしております。

 

③ リスク管理

 当社は、サステナビリティに関するリスク及び機会について、サステナビリティ委員会が定めるプロセスに基づき識別・評価を行い、経営に与える影響を踏まえた上で、適切に管理しております。

 サステナビリティに関するリスクについては、年1回以上、各部門または各専門部会において、マテリアリティに関連するリスクの抽出を行い、サステナビリティ委員会にて識別·評価を実施しております。評価にあたっては、リスクの影響度及び発生可能性に基づき、固有リスクスコアを算出し、その重要性を判断しております。重要度の高いリスクについてはリスク管理委員会に付議し、全社的なリスクとして対応方針の検討を行う一方、中~低レベルのリスクについてはサステナビリティ委員会にて対応方針の検討を行います。これらの検討結果については、年1回以上、取締役会へ報告する体制としております。リスク対応策の実行にあたっては、担当本部、または専門部会が主体となって対応策を推進し、リスク管理委員会及びサステナビリティ委員会は常にその進捗状況及び有効性をモニタリングしております。このように、サステナビリティに関するリスクは、全社的なリスク管理と同様のプロセスで管理され、統合的なリスク管理体制を構築しております。

 一方、サステナビリティに関する機会についても、リスクと同様のプロセスにより、年1回以上、各部門または各専門部会において、マテリアリティを中心とする機会の抽出を行い、サステナビリティ委員会にて識別・評価を実施しております。必要に応じて、事業戦略・中長期的な企業価値向上の観点から対応方針を検討し、取締役会へ報告する体制としております。

 これら一連のプロセスを通じて、当社はサステナビリティに関するリスクの低減と機会の最大化を図り、中長期的な企業価値向上および持続的な成長の実現に努めております。

 

④ 指標と目標

 前記「②戦略」に基づき、マテリアリティを以下の5分野に特定するとともに、関連する目標とKPIを設定し、適宜アップデートしております。

◆気候変動対応

◆環境保全(水資源・生物多様性を含む)

◆イノベーション・研究開発

◆人財開発・ 多様な人財の活躍

◆サプライチェーンマネジメント

 

■マテリアリティに関する主な目標・KPI(一部抜粋)

カテゴリー

課題・取り組み

目標・KPI

目標等の

対象範囲

気候変動対応

①温室効果ガス排出削減

■温室効果ガス排出量の削減(Scope1+2/2021年度基準)

・2026年度:25%減

・2030年度:45%減

・2050年度:カーボンニュートラル

グループ

全体

 

■温室効果ガス排出量売上高原単位の削減(Scope1+2/2021年度基準)

・2030年度:74%減

②エネルギーの適切な使用

■エネルギー売上高原単位の削減(2025年度基準)

・2026年度:0.5%減

③製品による顧客の温暖化

  ガス排出量削減貢献

■高性能船底防汚塗料の供給拡大による温室効果ガス削減貢献量(2008年基準)

・2030年度:180万t-CO2

※集計対象:3,000DWT以上の外航船

 

 

カテゴリー

課題・取り組み

目標・KPI

目標等の

対象範囲

環境保全

(水資源・生物多様性を含む)

①大気・水質汚染の防止

■環境事故ゼロ(毎年)

当社及び

国内子会社

②廃棄物の管理と再資源化

■廃棄物の再資源化率

・2030年度:90%以上

③環境負担低減製品の開発推進

■環境ホルモン・TX等(※)の使用量削減率(2020年度比)

・2030年度:8%

(※)トルエン、キシレン、ベンゾフェノン他(計10物質)

グループ

全体

④製品によるVOC排出量削減

■低VOC塗料の拡販によるVOC排出削減量(2025年度比)

・2030年度:5,000t

※集計対象:主要マーケット向け防食塗料製品群

⑤生物多様性保全の推進

■海洋生物越境移動対策にも資する環境対応高性能船底防汚塗料の販売比率(※)引き上げ

・2030年度:60%以上

(※)船底防汚塗料全体に占める割合(隻数ベース)

イノベーション・研究開発

①地球環境保護に貢献する

 革新的製品の開発

■サステナブル素材の探索と製品設計への適用を推進するなどの環境関連研究テーマ数の比率

・2030年度:75%以上

グループ

全体

②知財戦略の構築と事業への活用

■新規開発技術関連特許の権利化のための出願件数(2025年度比)

・2030年度:15%増

・2035年度:30%増

■IPランドスケープの活用による事業分析の導入と製品開発戦略への活用推進

③オープンイノベーションによる新技術の創出

■前年実績件数以上の他企業・大学等の研究機関とのコラボレーションや自社外リソースの有効活用による開発促進を継続

人財開発・

多様な人財の活躍

①従業員の能力開発

■2024年度から2026年度にかけて人財育成システムを再構築

当社

②従業員の働きがい向上

■従業員エンゲージメントの持続的向上

・2024年度以降:前年度比でスコアアップ

③女性活躍推進

■採用者に占める女性比率

・2026年度:30%以上

■育児に係る休暇・休業の取得率

・2026年度:85%以上

サプライチェーンマネジメント

①調達先管理体制の構築

■ESGアンケート調査(クラウドサービスによる一括管理体制)によるサプライヤー評価の実施率

・2030年度:100%

グループ

全体

②グリーン調達推進

■調達先のISO14001認証取得率

・2030年度:85%

 なお、関連する目標に対する2025年度の実績については、2026年9月を目途に発行予定のサステナビリティレポート(2026年版)等にて公表する予定です。

https://www.cmp.co.jp/sustainability.html

 

(2) 気候変動関連

① ガバナンス

 気候変動に係るガバナンス体制については、「(1)サステナビリティ全般-①ガバナンス」に記載のとおりです。

 

■気候変動関連議題

サステナビリティ委員会においては、気候変動に関して主に以下を議題としております。

・エネルギー関連目標の設定、結果の報告

・GHG排出量の削減目標の設定、結果の報告

・省エネ設備、再生可能エネルギーの導入の検討

・廃棄物の再資源化率目標の設定、結果の報告

・TCFD対応、気候変動リスク・機会に関する事項

 

② 戦略

 当社グループは気候変動に伴って引き起こされる様々なリスク・機会を事業運営における重要な観点の一つとして捉えており、TCFD提言で示された各リスク・機会の項目を参考に、気候変動問題が当社グループに及ぼすリスク・機会に関して検討いたしました。また、気候変動シナリオを参考にしながら、パリ協定の目標である「1.5℃~2℃シナリオ」と、現在のペースで温室効果ガスが排出されることを想定した「4℃シナリオ」の2つの温度帯のシナリオを用いて、特定したリスク・機会に関してシナリオ分析を実施しました。

 

■シナリオ分析

 下記の4つのステップを通してシナリオ分析を実施いたしました。また、気候変動のシナリオについては脱炭素社会に向かう1.5℃~2℃シナリオと、温暖化が進行する4℃シナリオを選択し、各リスク、機会について分析、評価した後に対応策の検討を実施いたしました。

 

<分析のプロセス>

 

<シナリオ>

温度シナリオ

参照シナリオ

概要

1.5℃~2℃シナリオ

・IEA Net Zero Emissions by 2050 Scenario

・IPCC SSP1-2.6

気候変動の影響を抑制するためにカーボンニュートラル実現を目指した取り組みが活発化し、世界の平均気温上昇を産業革命期以前と比較して1.5℃~2℃未満に抑えることを目指したシナリオ。1.5℃シナリオでは、移行リスクの中でも政策・法規制リスクの影響が2℃シナリオに比べて大きくなると想定されている。

4℃シナリオ

・IPCC SSP5-8.5

気候変動対策が現状から進展せず、世界の平均気温が産業革命期以前と比較して今世紀末頃に約4℃上昇するとされるシナリオ。物理リスクにおける異常気象の激甚化や海面上昇リスクによる影響が大きくなると想定されている。

 

■気候関連リスク・機会の概要

 気候変動シナリオをもとに当社グループの事業に与えるリスク・機会に関して、重要リスク・機会として以下のとおり抽出しました。リスク・機会の検討期間としては、短期を中期経営計画の実行期間である2025年度まで、中期を2030年度まで、長期を2050年度までと位置付けました。

 1.5℃~2℃シナリオにおける世界観としては、脱炭素政策が強化され、炭素税の導入による費用負担の増加や原材料価格の高騰、化石燃料の運搬船の台数減少による船舶用塗料の需要減少等のリスクが考えられますが、低燃費型防汚塗料などの環境配慮製品の需要増加や、浮体式洋上風力発電施設向けの塗料開発などの新たなビジネスチャンスも得られると認識しております。

 4℃シナリオにおける世界観としては、気温上昇に伴う自然災害の頻発や激甚化、海水面上昇による物理的リスクが考えられますが、海水温度の上昇による船底防汚塗料の需要増加も生じると見込んでおります。

 

 

<リスクと機会一覧>

リスク

/機会

分類

要因

事業への影響

財務

影響

発生

時期

当社の対応策

移行

リスク

政策・

規制

炭素税導入・

炭素税率の

上昇

炭素税の負担コストの

増加

中期

●再生可能エネルギーへの

 切り替え

●高効率機器の導入による

 省エネルギー化

電気料金コストの増加

短期~

中期

技術

低炭素原料

への

切り替え

低炭素原料が求められるようになることによる調達リスク、コストの増加

短期~

長期

●石油由来原料からバイオマス由来の化学物質への切り替え

市場

原材料価格の

高騰

従来から使用している

植物油類原材料の需要

増に伴うコストの増加

短期~

長期

●工場稼働率の向上

●高付加価値製品の拡販

海運業界の

需要変化

化石燃料の運搬船の

減少

中~大

長期

●次世代燃料運搬船用の

 塗料需要の開拓

●プレジャーボート向けや重防食塗料等の他分野での拡販

物理

リスク

慢性

海面上昇

自社拠点移転に伴う

コスト増加

長期

●リスクマッピングの実施による移転時期や移転場所の検討

●BCP関連投資の促進

急性

自然災害の

激甚化

急激な災害による

事業拠点の操業度低下

短期~

長期

●地域防災マップによる

 危険箇所の事前把握

●水害を防ぐための土嚢・オイルフェンス・油吸着マットの配置

●代替生産体制・計画の立案(グループ生産拠点、外部製造委託)

機会

資源の

効率性

未利用資源の

価値化

塗料容器や溶剤蒸留に

よる再利用に伴う廃棄物処理コストの削減

短期~

中期

●製造工程の見直し

●IBCタンクの活用

製品と

サービス

低排出量商品・サービス市場

拡大

環境配慮製品の需要

増加(低燃費型高性能船底防汚塗料、

バイオマス塗料 等)

中期

●当該製品に関する研究開発

 強化と顧客への積極提案

市場

海運業界の

需要変化

次世代燃料運搬船向け

塗料の需要増加

中~大

中期~

長期

●製品競争力の向上と

 営業活動の強化

低炭素電源の

拡大

洋上風力発電向け塗料

の需要増加

小~中

中期

●各種規格に適合する

 製品の開発と市場展開

その他

海水温度の上昇

汚損リスクを低減する

高性能船底防汚塗料の

需要増加

中期~

長期

●当該製品に関する研究開発

 強化と顧客への積極提案

なお、上記のリスクと機会については、2027年度3月期に時間軸と内容の見直しを実施予定です。

 

■リスク軽減/機会実現に向けた取り組み状況

◆再生可能エネルギー電力と省エネルギー設備の導入

 当社グループでは、GHG排出量の削減を目指し、再生可能エネルギーや省エネルギー設備の導入をすすめております。再生可能エネルギーの導入としては、国内の研究開発拠点である広島本社や、オランダの子会社であるCHUGOKU PAINTS B.V.にて太陽光パネルを導入し、消費電力の再エネ化の向上をすすめております。また、今後は電力会社から購入する電力について徐々に再生可能エネルギー由来のものに切り替えていく方針です。省エネルギー設備の導入としては、九州工場において倉庫照明のLED化を実現いたしました。今後もエネルギーロス削減や再生可能エネルギーの利用拡大を推進していきます。

◆船底防汚塗料による温室効果ガス排出削減

 当社が製造販売する船舶用塗料の中核製品である船底防汚塗料は、船舶の運航中にフジツボ等の海洋生物が船底部に付着することによる表面抵抗の増大を防ぎ平滑性を保つことで船舶の燃費を改善させ、温室効果ガス(CO2)の排出削減に寄与しています。

海運業界では、気候変動対策として船舶の燃費やCO2排出に関する規制・ルールが制定され今後は強化されることが見込まれているほか、気候変動に伴う海水温の上昇や豪雨・台風等の気象変化により一部の海域では海洋生物が活性化し船底の汚損リスクが増大しております。このような環境変化に対応するため、より防汚性能が高く燃費改善効果に優れた高性能船底防汚塗料の需要が高まっており、今後も長期間にわたって需要拡大が継続するものと想定しております。

当社では、以前より高性能船底防汚塗料の開発に注力しており、ラインアップの充実と品質の向上を図ってまいりました。これらのことから、船舶の気候変動対応は、今後の当社の船舶用塗料ビジネスにとって、高付加価値製品の売上増加を通じて業績拡大の大きな機会になるものと認識しております。

 

③ リスク管理

気候変動に係るリスク管理については、「(1)サステナビリティ全般-③リスク管理」に記載のとおりです。

 

 ④ 指標と目標

気候変動に係る指標と目標については、「(1)サステナビリティ全般-④指標と目標」に記載のとおりです。

 

 

(3) 人的資本関連

① ガバナンス

人的資本に係るガバナンスについては、「(1)サステナビリティ全般-①ガバナンス」に記載のとおりです。

 

② 戦略

■人財戦略

中期経営計画の基本方針に基づき、当社の人財に対するスタンスを明確にし、本格的な人的資本経営にシフトするため、2024年4月に当社としての人財戦略を策定いたしました。その概要は以下の通りです。

◆目指す姿

 メインテーマとして、「多様な人財がグローバルに活躍」と「ウェルビーイング(社員の幸せ)の実現」を掲げております。すなわち、様々なバックグラウンドを持った多様な人財が集い国内外で各自の能力を最大限発揮するとともに、一人ひとりが心身ともに健康で活き活きと働き充実した人生を送ることができる会社を目指すものです。そのような状態を実現することにより、従業員エンゲージメントと採用競争力を向上させ、人財・組織のパフォーマンスの最大化につなげていくことを企図しております。

◆求める人財像

目指す姿を実現するとともに、環境変化に対応し組織成果の最大化を永続的に発揮するためには、一人ひとりが主役となり主体的に行動していく「自律型人財」を増やすことが重要であると認識しております。採用、配置、教育、処遇といった人財サイクル全体を通じて育成を図ってまいります。

◆目指す姿を実現するための中核となる取り組み

 自律型人財を育成することを目的とした「人事制度改革」、従業員のキャリア形成を主眼においた「人財育成システムの再構築」、「女性や外国人の活躍支援」、「働く場所の多様化」の4項目を定めました。今後はこれらの取り組みそれぞれについて具体的施策を順次決定し実行してまいります。

 なお、上記の「人事制度改革」については、2026年4月から新制度を導入しております。

 

◆人財戦略のアウトライン

◆人事制度改革

2026年4月より導入した新人事制度では、人財と組織のパフォーマンス最大化を目指すべく、前述の「求める人財像」を充足する人財をより多く育成・支援することを目的に、等級制度、評価制度、報酬制度の3つの制度を軸に制度設計の見直しを行いました。

   等級制度については、旧制度では保有能力の高さに基づく職能資格制度を採用していましたが、新制度では役割に応じた役割等級制度へ移行しました。これにより、等級と役割の対応関係をより明確化しております。また、複線型人事制度を導入し、管理職については、ラインマネジメントを主とする「マネジメントコース」と、高度な専門性をもって会社に貢献する「エキスパートコース」に区分しました。さらに、非管理職についても「ゼネラル職」と「プロフェッショナル職」に区分することで、社員が個々の特性や志向に応じたキャリアパスを選択できる仕組みを整備しております。

   評価制度については、旧制度では成果、発揮行動、保有能力及び情意を総合的に評価し、それぞれにウェイトを設定して処遇へ反映していたことから、評価と処遇の関係が分かりにくいという課題がありました。新制度では、期待役割の行動発揮度を評価する「コンピテンシー評価」および業績目標の達成度を評価する「業績評価」の二軸による評価体系へ移行し、評価を明確化することで、社員の貢献度と処遇との連動性を高めております。

   報酬制度については、旧制度では年齢と等級に応じた処遇としていましたが、新制度では、等級に応じた処遇に一本化し、等級と報酬水準の連動性をより強めております。あわせて、管理職層の報酬については、職務内容及び責任範囲を適切に反映した報酬水準となるよう見直しを行いました。

 

■人財育成方針

◆主な教育・研修

 当社は「人財開発・多様な人財の活躍」をマテリアリティの一つとして掲げ、従業員の能力開発及び成長支援を重要な経営課題と位置付けています。この考えのもと、従来の研修内容を見直し、人財育成システムの再構築に向けた取り組みを進めております。

 2025年度の主な教育・研修施策としては、海外事業の推進を担う人財の育成を目的に、海外赴任前研修や語学学習支援(費用補助)を実施したほか、若手層を対象とした階層別研修や管理職向けのリーダー研修など、社員の役割やキャリア段階に応じた多様なプログラムを提供し、教育・研修内容の一層の充実を図りました。

 さらに、当社は2024年度よりe-learningシステムを導入し、社員一人ひとりが自身の関心や課題に応じて、多様なコンテンツを主体的に選択・受講できる環境を整備しております。これにより、各部門で求められる専門性やスキルを自主的に習得することが可能となり、組織全体の能力向上につながることを期待しております。情報セキュリティに関する研修については受講を必須とし、情報セキュリティ管理及び情報資産に関するリスクマネジメントへの理解を深めることで、全社的な情報セキュリティ意識の向上を図っております。

 2026年度の主な教育・研修計画としては、新人事制度導入により評価制度の浸透を目的とした人事考課者研修、等級ごとの役割認識を目的とした階層別研修を予定しております。

◆資格取得援助制度・自己啓発援助制度

 社員の主体的なキャリア形成及び専門性向上を支援するため、当社では資格取得援助制度を整備しております。国家資格、公的資格、民間資格のうち、当社が認めた資格について、受講料や受験料の補助に加え、必要に応じて交通費や宿泊料の援助を行っております。 また、自己啓発援助制度の一環として、外部の英語学習ツールとTOEIC IPテストについて法人契約を締結し、社員が比較的少ない個人負担で自主的に語学学習に取り組むことができる環境を整備しております。

 

■社内環境整備方針

 当社では労使協議会を通じた労働環境の改善や安全対策の徹底、福利厚生制度の充実を図ることで、従業員がより働きやすく、働きがいを実感できる職場環境の構築に努めております。

 柔軟な働き方を実現する制度として、一日単位及び半日単位の年次有給休暇に加え、時間単位での年次有給休暇の取得を可能としております。また、一部の従業員を対象に、時差出勤制度や在宅勤務制度を導入するなど、育児や介護等、従業員の家庭と仕事の両立を支援するための各種制度を整備しております。

 育児休業制度・介護休業制度については、法令で定められた制度に加え、積立有給休暇制度を設けており、同制度では未就学児の育児を目的とした利用も可能としております。さらに、男性従業員の育児参加を促進するため、育児休業制度の利用に加え、積立有給休暇の積極的な取得についても周知・推進しております。

 また、育児短時間勤務制度については、対象期間を3歳から中学校入学時までとするなど、子育て支援の観点から制度の拡充を進めております。当社は今後も、ワークライフバランスの実現に向け、従業員の多様なライフステージに対応した制度の充実に継続的に取り組んでまいります。

 

③ リスク管理

 人的資本に係るリスク管理については、「(1)サステナビリティ全般-③リスク管理」に記載のとおりです。

 

④ 指標と目標

 人的資本に係る重要指標及び目標については、従業員エンゲージメントや人財育成、多様性に関する指標等を設定しており、その詳細は「(1)サステナビリティ全般-④指標と目標」に記載のとおりです。