事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
| セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
|---|---|---|---|---|---|
| (単一セグメント) | 15,596 | 100.0 | 1,848 | 100.0 | 11.9 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社の企業集団は、当社、親会社および関連会社1社により構成されており、情報サービス業を中心に事業を展開しています。事業は、主に「金融業界向け事業」と「情報セキュリティ事業」の二つの分野に分かれています。
(1) 金融業界向け事業
クレジットカード会社、銀行、証券会社などの金融機関を主要顧客とし、各種業務システムの開発および保守を行っています。特に主力の決済領域においては、決済ネットワーク接続・認証システム、カード不正利用検知システム、加盟店管理業務システムなど、自社開発のパッケージソフトウェアを基盤としたシステムを提供しています。これらはオンプレミス型およびクラウド型の両形態に対応しており、顧客の多様なニーズに応えています。また、これまでに蓄積した技術力を活かし、近年では放送分野をはじめとする新規領域への事業展開も推進しています。
(2) 情報セキュリティ対策事業
企業の内部情報漏えい対策を目的とした自社製品の開発・販売に加え、サイバーセキュリティ関連製品の販売および保守サービスも提供しています。特定業界に限らず、幅広い企業・組織を対象としています。
(事業系統図)
以上に述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
2025年6月期における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。また、文中の将来に関する事項は、2025年6月期末現在において当社が判断したものです。
① 経営成績の状況
当社は2025年6月期から始まる3カ年中期経営計画を策定しています。今中期経営計画では、"Transformation for the Future"を掲げ、2030年代を見据え、事業の多角化と持続的な成長の基盤づくりに取組んでいます。これらの実現に向けて、この3年間は、「事業」「技術」「人財」の3つの“変革”に注力しています。
中期経営計画では、事業領域を提供する機能別に、「決済」「セキュリティ」「データ通信・分析基盤(新領域)」の3つに再編し、それぞれの領域において、成長に向けた施策を推進しています。
主力の決済領域では、キャッシュレス決済の拡大に伴い、主要取引先である決済事業者において、基幹システムのモダナイズやオープン化が進展しています。当社は強みである決済ソリューションの価値を高め、FEP(注)・不正検知分野に加え、アクワイアリング分野を中心に領域拡大を図っています。また、国内カード業界全体でカード不正利用が多様化する中、業界横断型の新たな不正対策ソリューションの立ち上げなどを通じて、業界における提供価値の向上にも取組んでいます。
セキュリティ領域では、収益性の高い自社プロダクトの価値向上と販売強化を進めるとともに、東南アジアを中心に海外市場への展開にも注力しています。また、DNPグループが提供する、コンサルティングから運用、教育まで、オールインワンのセキュリティサービスに参加し、顧客基盤やビジネス領域の拡大に取組んでいます。
データ通信・分析基盤領域では、コア技術である高速・大量のデータ通信及び分析・処理技術の他業界における活用の検討を進め、新たな市場の獲得にチャレンジしています。
当事業年度の業績については、売上高15,596百万円(前期比7.4%増)、営業利益1,848百万円(同9.0%減)、経常利益1,890百万円(同8.8%減)、当期純利益1,349百万円(同5.0%減)となりました。
(注)FEP(Front End Processing)システム:クレジットカード決済処理に必要なネットワーク接続や
カード使用認証等の機能をもつハードウェア、及びソフトウェア
■事業領域別売上高
(単位:百万円)
売上高については、決済領域では、カード会社を中心とした堅調な投資需要を取り込み、増加しました。カード不正利用被害の増加に伴い、不正検知に対する需要も引き続き高水準で推移しています。セキュリティ領域では、大手顧客への製品導入により増加、データ通信・分析基盤領域では、コア技術を活用した証券会社向けシステム開発が寄与しました。
利益については、システム開発・保守における粗利率は改善したものの、一部案件における品質強化対応や、セキュリティ領域の製品構成、一部自社プロダクトの一括償却等の影響により、全体の粗利率は低下し、営業利益は減益となりました。販売管理費は人件費の増加があったものの、販管費率は低下しています。
受注については、受注高19,322百万円(同4.0%減)、受注残高20,311百万円(同22.5%増)となりました。受注高は、大型案件の開発フェーズ移行により、システム開発を中心に減少しましたが、来期に向けては、大手カード会社のシステム更改需要が複数見込まれており、提案活動を進めています。受注残高は、決済領域のクラウドサービス、セキュリティ製品、金融機関向けインフラ運用サービス、などのストック型案件の増加により、前年を大きく上回りました。
② 財政状態の状況
当事業年度末における資産の残高は、前事業年度末に比べ1,843百万円増加し、18,690百万円となりました。うち流動資産は、前事業年度末に比べ1,181百万円増加し、10,460百万円となりました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産768百万円の減少があったものの、現金及び預金1,610百万円、前渡金563百万円の増加があったためです。固定資産は、前事業年度末に比べ661百万円増加し、8,229百万円となりました。これは主に、無形固定資産158百万円、繰延税金資産が559百万円増加したためです。
当事業年度末における負債の残高は、前事業年度末に比べ1,590百万円増加し、9,215百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金215百万円の減少があったものの、未払法人税等220百万円、前受金1,216百万円、未払消費税等332百万円の増加があったためです。
当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ252百万円増加し、9,475百万円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金45百万円の減少があったものの、利益剰余金298百万円の増加があったためです。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、6,422百万円となり、前事業年度末に比べて、1,609百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、4,263百万円の収入(前事業年度比11.7%増)となりました。主な内訳としては、税引前当期純利益1,890百万円、減価償却費1,444百万円の計上、売上債権の減少額1,985百万円、棚卸資産の減少額222百万円、仕入債務の減少額760百万円、法人税等の支払額878百万円があったためです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、1,599百万円の支出(前事業年度は2,681百万円の支出)となりました。これは主に、販売目的及び自社利用のソフトウェアの構築を主とする無形固定資産の取得による支出1,351百万円があったためです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、1,052百万円の支出(前事業年度は1,018百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額1,050百万円があったためです。
キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりです。
(注)1 自己資本比率:自己資本/総資産
2 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
3 債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち利子を払っている全ての負債を対象としています。
4 インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社の主要な資金需要は、システム開発に係る人件費や商品の仕入、販売管理費などの営業費用、新製品開発を行う研究開発、設備の新設や改修等に係る投資等です。これらの資金需要は、手許の資金と営業活動によるキャッシュ・フローを財源とすることを基本方針としています。なお、必要と判断した場合には金融機関等外部からの資金調達も検討します。また、取引金融機関4行及び生命保険会社1社と当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結しており、機動的かつ安定的な資金調達体制を構築し、資金の流動性を確保しています。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
(注) 生産実績は、販売価格により表示しています。
b.仕入実績
(注) 当社の仕入はソフトウェア及びサービスであり、数量表示は困難ですので、金額のみで表示しています。
c.受注実績
d.販売実績
(注)1 当社の製品は多岐にわたっており、数量表示は困難ですので、金額のみで表示しています。
2 主な相手先別の販売実績が当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、次のとおりです。また、文中の将来に関する事項は、2025年6月期末現在において当社が判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
上記については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載しています。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
上記については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
③経営指標について
当社は、継続的な収益力の向上と事業運営の効率性を示す指標として、営業利益率とROE(株主資本利益率)を主要な経営指標としています。新たに策定した3カ年中期経営計画の最終年度である2027年6月期において、営業利益率15.0%、ROE17.0%以上の達成を計画しています。
また、当社の資本コストは、7~10%と見積もっており、資本コストを上回るROEを追求することで、当社の株主価値の向上を目指します。
1)経営指標の推移
(単位:百万円)
(単位:百万円)
2)ROEについて
売上高の増加に合わせて資産も増加していますが、直近3年間の総資産回転率は、0.88から1.01の範囲で推移しました。総資産のうち無形固定資産は、当社製のソフトウェア(販売用のソフトウェアやクラウドサービスに提供されるソフトウェア)が大部分を占めています。この知的資産を有効に活用し、売上高の増加を促進することで、総資産回転率は改善の余地があるものとみています。
営業利益率の向上は、システム開発業務の効率化や成果物の品質を上げることによって実現されるほか、自社プロダクトの販売等システム開発業務の収益性を超える売上高比率を増やすことによっても実現されます。当社事業の場合、営業利益率の向上は純利益率の向上に直結します。
従業員一人あたり売上高の増加は、売上高の成長の効率性を示す指標と考えられます。より長期的には、一人あたり売上高の増加に伴う効率的な売上高の増加によって、規模的な成長とともに収益性も高めることができ、営業利益率を向上させることと期待します。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しています。財務諸表の作成に際し、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は見積りと異なる場合があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
(a) 市場販売目的のソフトウェアの減価償却の方法
市場販売目的のソフトウェアの減価償却費については、製品ごとに未償却残高を、見込販売収益を基礎として当事業年度の実績販売収益に対して計算した金額と残存有効期間(3年)に基づく定額償却額のいずれか大きい金額で償却を行うものとしています。今後、見込販売収益が減少した場合、減価償却費が増加する可能性があります。
(b) 固定資産の減損判定
固定資産については、当事業年度末に、有形固定資産及び無形固定資産が減損している可能性を示す兆候の有無を判断しています。減損の兆候がある資産又は資産グループについて、サービスの提供に用いるソフトウェアや資産計上したサーバ等の当該資産から得られる割引前キャッシュフローの総額が、事業環境の悪化や開発コストの増加等により帳簿価額を下回る場合には、固定資産の減損処理を実施する可能性があります。
(c) 繰延税金資産の回収可能性の判断
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上していますが、繰延税金資産は将来の課税所得の見積りに依存するため、将来の不確実な経済条件の変動等や税制改正による法定実効税率等の変化があった場合には、繰延税金資産の回収可能性が変動する場合があります。