2025年12月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) - - -697 - -

3【事業の内容】

当社は、医薬品の研究・開発・製造・販売を事業目的とする「医薬品開発事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の情報は記載を省略しております。

 

(1)SMTP化合物の特徴

 当社は、アカデミア等の研究機関等の研究開発成果を基盤とした医薬品候補物質の研究開発を行い、グローバルの医薬品市場に展開することを主要な事業内容とした、創薬型バイオベンチャー企業です。

 当社はこれまで、ヒトが体内に有する酵素の一つである可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)を標的とした医薬品候補物質であるSMTP化合物の研究開発を進めてきました。sEHを阻害することで「抗炎症作用」が得られることが分かっており、当社では様々な炎症性疾患を対象としてsEH阻害剤の開発を進めています。

 当社のリードパイプラインであるTMS-007(JX10)は、sEH阻害による「抗炎症作用」に加えて、プラスミノーゲンに作用することによる「血栓溶解作用」も有しており、急性期脳梗塞を対象とした臨床開発が進められています。また、後続パイプラインのTMS-008は、様々な炎症性疾患を適応として開発が進められており、2025年6月に第Ⅰ相臨床試験を完了しました。

 

 

① 可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)について

sEHは二つの作用を有すると考えられています。一つは、可溶性エポキシドヒドロラーゼという名称の由来となった、エポキシド構造*の化合物を加水分解*する作用です(EH活性)。具体的には、sEHは、生理活性脂質*エポキシエイコサトリエン酸(EETs:Epoxyeicosatrienoic Acid)*を、加水分解作用によりジヒドロキシエイコサトリエン酸(DHETs:Dihydroxyeicosatrienoic Acid)*に変換する役割を担っています。EETsは炎症を抑制する効果があることが知られています。このため、sEHを阻害することで、EETsからDHETsへの変換を防ぎ、EETsが減少せずに体内に留まります。これがsEH阻害剤の抗炎症作用のメカニズムの一つであると考えられています。

sEHのもう一つの作用は、脱リン酸化作用*です(Phos活性)。sEHの脱リン酸化作用の詳細についてはまだほとんど解明されていませんが、当社は東京農工大学等との共同研究を通じて解明に取り組んでおり、sEH阻害による抗炎症作用の中核を担う作用であることが分かってきています。

 

 

(可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)の作用機序*

 

 

② SMTP化合物群について

当社のパイプラインTMS-007(JX10)、TMS-008及びTMS-009は、SMTPと名付けられた化合物のファミリーに属しています。SMTPは、黒カビの一種であるスタキボトリス・ミクロスポラ(Stachybotrys Microspora)が産生する化合物(Staplabin)と、約60種類のその誘導体からなる化合物群です。SMTPの主な作用機序は、sEHの阻害作用に基づく抗炎症作用ですが、一部の化合物はプラスミノーゲンに作用することで血栓を溶解する効果も有しています。

 

 

(a) SMTPによるsEH阻害作用

SMTP化合物の多くは、sEHのEH活性とPhos活性の両方を阻害する作用を持っており、この作用により、強い抗炎症作用を生み出していると考えられています。

これまでに、TMS-007(JX10)やTMS-008をはじめとしたSMTP化合物を様々な炎症性疾患のモデル動物*に投与する実験を行っていますが、多くの実験において抗炎症効果が確認されています。

例えば、ob/obモデルマウスと呼ばれる、肥満/メタボリック症候群を模したモデルでは、TMS-007とTMS-008の投与はコレステロールや中性脂肪といったマーカーを下げるだけではなく、肝臓の炎症を下げる効果が確認されました。また、潰瘍性大腸炎のモデルマウスでは、TMS-008の投与は症状を改善したのみならず、5-ASA(5-アミノサリチル酸、潰瘍性大腸炎の第一選択薬として広く使用されている)との比較においても優れた結果を示しました。

 

(ob/obモデルマウスにおけるSMTP化合物の肝炎抑制)

AST/ALT:どちらも肝臓に多く含まれる酵素。肝臓が障害を受けると血液中の値が上がることから、肝炎等の肝障害の程度を示す指標として用いられる。

Control:ob/obモデルマウス。ob/obモデルマウスは肥満モデルマウスの一種で、遺伝子変異により著しい肥満状態となる。メタボリック症候群のモデルとして多く用いられる。

TMS-007:Controlと同じ状態のマウスにTMS-007を投与したマウス。

TMS-008:Controlと同じ状態のマウスにTMS-008を投与したマウス。

 

(潰瘍性大腸炎モデルマウスにおけるTMS-008の薬理効果)

DAIスコア:潰瘍性大腸炎の重症度の指標。数値が大きいほど重症。

組織スコア:組織学的所見の指標。本試験では5段階の指標を用いており、数値が大きいほど重症。

Normal:通常状態のマウス

Control:人為的に潰瘍性大腸炎症状を起こしたマウス

TMS-008:Controlと同じ状態のマウスにTMS-008を投与したマウス

5-ASA:Controlと同じ状態のマウスに5-ASAを投与したマウス

 

(b) SMTPによる血栓溶解作用

生体における血栓溶解のメカニズムは精密に制御されていますが、主要なメカニズムは、血中に多く含まれているタンパク質プラスミノーゲンが、血栓の主要構成タンパク質であるフィブリン*と結合することにより組織型プラスミノーゲン・アクティベータ(t-PA)*を誘導し、t-PAがプラスミノーゲンの一部を切断することでプラスミン*に変化させ、このプラスミンがフィブリンを分解するというものです。

t-PAは、急性期脳梗塞の治療薬として米国FDA*に唯一承認されている化合物でもあります。遺伝子組換えにより作られたt-PAを体外から投与することにより、プラスミンを多く生成し、その結果血栓溶解を促進する効果をもたらします。一方で、t-PAを大量投与することにより、生体内の凝固線溶系のバランスが崩れ、血栓が存在しない場所でも出血を助長する副作用のリスクが指摘されています(Pendlebury et al. Ann. Neurol. 1991)。

これに対して、SMTP化合物が血栓溶解を促進する作用は、SMTPがプラスミノーゲンに結合してその立体構造を変化させ、プラスミノーゲンとフィブリンが結合しやすくすることで血栓溶解プロセスを迅速に発生させるという仕組みです。SMTP化合物を投与しても、血栓溶解に関わる種々のタンパク質等のバランスを崩すことがないことから、出血助長の副作用を惹き起こすリスクが低いと考えられています。

 

(SMTP化合物による血栓溶解作用機序)

 

 

(2)開発パイプライン

 当社における臨床段階のパイプラインは、臨床後期段階(前期第Ⅱ相臨床試験終了)にあるTMS-007(JX10)と、臨床早期段階にあるJX09及びTMS-008の3化合物からなっています。また、TMS-008のバックアップ化合物としてTMS-009があります。TMS-007、TMS-008及びTMS-009は全てSMTP化合物ファミリーに属しますが、今後はsEHをターゲットとしうるSMTP以外の化合物の研究開発も進めていきます。

1. TMS-008は、CORXELからの無償使用許諾にもとづき当社で開発中。TMS-009はTMS-008のバックアップ化合物。

2. CORXELより日本における開発販売権の無償ライセンスを取得(2024年1月)。

3. TMS-010は2024年7月に、R-001は2025年11月に北海道大学より日本を含む全世界における独占的ライセンスを取得。

4. ASI(Aldosterone synthase inhibitor):アルドステロン合成酵素阻害剤

5. BBSCB(Blood-brain spinal cord barrier)保護:血液脳脊髄関門の破綻を防ぐ。

 

① TMS-007(JX10)(急性期脳梗塞)

 脳梗塞は、世界で年間約763万人が発症し約329万人の死亡原因となっている、非常に重大な疾患です(World Stroke Organization:Global Stroke Fact Sheet 2022)。急性期脳梗塞は、血栓により脳血管が閉塞して脳への血液供給が滞ることで生じます。片麻痺、記憶障害、言語障害、読解力・理解力の低下、その他の合併症を引き起こし、脳の永久的な損傷に繋がる可能性があります。また、介護が必要になる原因としても上位であり、医療経済に対し極めて大きな影響をもたらしています。それにも関わらず、先進国で共通に承認されている医薬品は一品目のみであり、しかも脳梗塞患者全体の10%未満にしか投与されておらず、非常に大きなアンメット・メディカル・ニーズが存在しています(Intern Med 54:171-177, Prehospital Delay and Stroke-related Symptoms)。TMS-007(JX10)は、血栓溶解作用と抗炎症作用を併せ持つ新しい作用機序により急性期脳梗塞治療に大きな変化をもたらすことが期待されると当社は考えています。

 

 

(a) 急性期脳梗塞(AIS)市場について

脳梗塞を含む脳卒中は、世界の死亡原因第2位であり、成人の障害を惹き起こす主要な原因の一つとされています(Katan et al. Semin Neurol 2018;38:208–211)。全世界の脳卒中発症数は年間約1,222万人とされていますが、うち約763万人(約63%)が脳梗塞患者です。また、脳卒中による世界の死亡数は年間約655万人とされており、うち約329万人(約50%)が脳梗塞によるものです(World Stroke Organization:Global Stroke Fact Sheet 2022)。

米国では、脳卒中発症患者のうち約87%が脳梗塞患者とされており、2018年に約55.3万人が脳梗塞を発症したとの推計があります(Tsao et al. Heart Disease and Stroke Statistics 2022 e391、Datamonitor Healthcare “Stroke Epidemiology”, Published on 07 January 2019)。脳卒中は、米国の死亡原因として第5位であり、成人に障害をもたらす最大の要因であると考えられています(Centers for Disease Control and Prevention, “National Vital Statistics Reports volume 70”)。日本では、2018年に約23万人が脳梗塞を発症したとの推計があります(Datamonitor Healthcare ”Stroke Epidemiology”, Published on 07 January 2019)。

 

1.Datamonitor Healthcare.”Stroke Epidemiology”,Ref Code:DMKC0201444.Published on 07 January2019

2.欧州5ヵ国はドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国を指します

 

世界の急性期脳梗塞の患者数は増加することが予想されています。また、2021年における急性期脳梗塞の治療薬の売上高は21億ドル程度であり、市場は年々拡大することが予想されています(出典:Informa;Activase®とActilyse®の推計売上高を合計。統計資料や出版物の正確性には限界があるため、実際の市場規模は、推定値と異なる可能性があります。)。t-PAは脳梗塞患者全体の10%未満にしか使用されていないとされていること(Intern Med 54: 171-177, Prehospital Delay and Stroke-related Symptoms)から、t-PAの対象患者よりも多くの患者にTMS-007(JX10)の投与が可能となった場合、市場規模はさらに拡大することが予想されます。

米国における脳卒中による生涯コストは一人当たり約14万ドルとする報告があり(Katan et al. Semin Neurol 2018;38:208–211)、年間約55.3万人が脳梗塞を発症することを考えると、毎年膨大な将来負担が発生していることとなります。

 

 

(b) TMS-007(JX10)の優位性について

急性期脳梗塞の治療戦略としては、1)発症後できるだけ早く血流を再開すること、2)浮腫*や炎症を抑えること、の2つがあります。血流再開の目的では、医薬品としては既に各国で承認されているt-PAが代表的なものとなります。浮腫・炎症を抑える目的では、現在のところ先進各国で共通して承認された医薬品は存在しておらず、作用機序が異なる複数の医薬品が開発中ですが、後期臨床試験に入っている品目はごく少数となっています。

当社のTMS-007(JX10)は、プラスミノーゲンを介した血栓溶解による血流再開と、sEH阻害を機序とした抗炎症の両方のメカニズムを併せ持っており、単剤で「血流再開」と「抗炎症」の両方の治療戦略に対応することが可能となっています。このように「血流再開」と「抗炎症」の効果を併せ持った化合物はほとんど知られておらず、他の薬剤及び薬剤候補物質に対する優位性があると考えられます。

 

(論文 M. Zaleska et al. (2009) Neuropharmacologyより改変)

 

また、t-PAは血栓溶解作用による血流再開を作用機序としていますが、頭蓋内出血を助長する副作用のリスクがあることが知られており、主にこの副作用のリスクを軽減するために、原則として発症後4.5時間以内に投与することが義務付けられています(豊田一則 臨床神経 49: 801―803, 2009)。

これに対して、TMS-007は臨床試験において副作用として米国国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)*4以上の悪化を伴う症候性頭蓋内出血*は発現しておらず、また動物実験では逆に頭蓋内出血を抑えるとの結果が得られています(Ito et al. Brain Res 2014)。このため、TMS-007の投与可能時間は発症後4.5時間の枠を超えることが期待されています。実際、当社のTMS-007前期第Ⅱ相臨床試験では発症後12時間以内の被験者に対して投与を行っております。

TMS-007は、その有効性と安全性により、t-PAよりも多くの患者に使用される可能性があります。t-PAを使用可能な時間帯に病院に到着した患者のうち、実際にt-PAを投与された患者は26%という報告があります(出典:Messe(2016), “Why are acute ischemic stroke patients not receiving IV t-PA”)。TMS-007は、その高い安全性により、発症後投与可能時間の中で最大75%の患者に使用される可能性があり、潜在的な市場規模はt-PA対比で大きくなる可能性があります(単純計算で約2.9倍)。また、t-PAは原則として発症後4.5時間以内に投与される必要がありますが、TMS-007の発症後投与可能時間が12時間又は24時間まで延長された場合、投与可能患者はt-PAの約1.6倍又は約1.9倍となる可能性があります。以上を総合すると、発症後12時間又は24時間経過した患者に対するTMS-007の使用可能性が発症後2時間以内の患者に対する使用可能性と変わらないと仮定すれば、TMS-007はt-PAと比較して潜在的な市場規模は4.6倍~5.5倍となる可能性があります。また、上記のような有効性と安全性が認められれば、t-PAよりも高い薬価が設定される可能性もあります。

 

上記情報には、現在入手可能な情報に基づく当社の判断による、将来に関する記述が含まれております。そのため、上記の情報は様々なリスクや不確実性に左右され、実際の開発状況はこれらの見通しと大きく異なる可能性があることをご承知おきください。

 

 

(c) TMS-007の前期第Ⅱ相臨床試験の結果について

当社は、2017年11月から2021年8月にかけて、TMS-007の前期第Ⅱ相臨床試験を実施しました。当該試験は、単回投与・無作為化*・プラセボ*対照*・用量漸増*・二重盲検試験*として日本国内で実施されたもので、TMS-007投与群52例、プラセボ群38例の被験者が組み入れられました。また、TMS-007投与群のうち、1mg/kg投与群が6例、3mg/kg投与群が18例、6mg/kg投与群が28例でした。

主要な組入基準は、既存の血栓溶解薬又は血管内治療*の対象とならない、発症後12時間以内の急性期脳梗塞患者であり、TMS-007群では発症から投与までの平均経過時間(中央値)は9.5時間、プラセボ群では9.3時間でした。当試験の主要評価項目は安全性で、「米国国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)4以上の悪化を伴う症候性頭蓋内出血の発症率」で評価されました。TMS-007群では該当する症例は報告されず(0例/52例)、プラセボ群では該当症例の発症率は2.6%でした(1例/38例)。また、軽症を含む全ての頭蓋内出血(Total ICH)の発生率はTMS-007群:11.5%(6/52例)、プラセボ群:13.2%(5/38例)でした。

さらに、TMS-007群は、副次評価項目の一つである発症後90日での生活自立度において大きな改善を示しました。生活自立度を評価する指標であるモディファイド・ランキン・スケール(mRS)*において、TMS-007群は40.4%の被験者が0又は1のスコアとなり、日常生活に支障のない範囲となったのに対し、プラセボ群では18.4%でした。この結果は、被験者総数90例という比較的小規模な治験であったにもかかわらず、統計的な有意差をもたらすこととなりました(P値*<0.05、単純オッズ比*3.00、調整オッズ比3.34)。なお、90日後mRS0-1への転帰率はExcellent Outcomeとも呼ばれ、急性期脳梗塞の有効性主要評価項目(ゴールド・スタンダード・エンドポイント)とされています。

 

(TMS-007前期第Ⅱ相臨床試験の主要な結果)

 

また、視認可能な血管閉塞を有する一部の被験者において、CT血管造影法(CTA)*又は磁気共鳴血管撮影(MRA)*により評価された血管の再開通率は、TMS-007投与群で58.3%(14/24例)、プラセボ群で26.7%(4/15例)となり、統計的有意差までは至らなかったものの、TMS-007による生活自立度の改善を支持する結果となりました(95%信頼区間*0.99-18.07、オッズ比4.23)。

 

(TMS-007前期第Ⅱ相臨床試験の概要)

 

TMS-007群

プラセボ群

デザイン

無作為化・プラセボ対照・用量漸増・二重盲検

主要組入基準

18歳以上、88歳以下の急性期脳梗塞患者

血栓溶解療法及び血管内療法を適用できない

発症後12時間以内に投与開始可能

用法用量

単回投与

被験者数

52名

38名

発症後平均経過時間

9.5時間

9.3時間

症候性頭蓋内出血

0%

2.6%

有効性(mRS0-1転帰率)1

40.4%

18.4%

血管再開通率

58.3%

26.7%

1 統計的な有意差が示されました。(P値<0.05、単純オッズ比3.00、調整オッズ比3.34)

 

(d) TMS-007の導出に関する契約について

 当社は、2018年6月にバイオジェン社とオプション契約を締結しました。バイオジェン社は、TMS-007前期第Ⅱ相臨床試験の結果を受けて、2021年5月にオプション権を行使し、これにより、以降の開発はバイオジェン社の責任と費用により行われることになりましたが、バイオジェン社は、その戦略変更により、オプション契約における同社の地位を旧Ji Xing Pharmaceuticals Hong Kong Limited(香港、現CORXEL Pharmaceuticals Hong Kong Limited。以下、同社の親会社であるCORXEL Pharmaceuticals Limitedを含む同社グループ会社を総称して「CORXEL」という。)に譲渡することとなりました。バイオジェン社からCORXELへの契約上の地位の移転は、2024年1月11日に行われ、地位の移転後はTMS-007の開発及び各国での承認取得(日本を除く)もCORXELが行うこととなりました。また、TMS-007の日本における開発販売権は、同日付にて行われたオプション契約の変更に基づき、当社に無償でライセンスされました。なお、TMS-007のグローバル試験の中で当社が日本で行う臨床試験の費用については、CORXELとの契約にもとづき75%が同社により補填されることとなっております(上限1,000万ドル)。

 当社とバイオジェン社のオプション契約により、当社は、2018年6月の契約締結時に400万ドル、2021年5月のオプション権行使時に1,800万ドルを既に受領しています。

 オプション契約に基づくバイオジェン社の契約上の地位がCORXELに譲渡されるのと同時に、オプション契約の内容が変更され、当社は、①アップフロントとしてCORXELの株式500万ドル相当、TMS-007の日本における開発販売権、JX09の日本における開発販売権、②最大3億6,750万ドルのマイルストーン一時金(開発マイルストーン最大1,250万ドル、販売マイルストーン最大3億5,500万ドル)、③日本を除く地域の製品売上高に応じて一桁%台後半~10%台前半の段階的料率によるロイヤリティ(料率の変更なし)を受領する権利を有することとなりました。

 

(オプション契約の概要)

種類

時期

金額等

契約金(受領済)

2018年6月

400万ドル

オプション行使料(受領済)

2021年5月

1,800万ドル

契約変更アップフロント(受領済)

2024年1月

CORXEL株式500万ドル相当

TMS-007の日本での開発販売権

JX09の日本での開発販売権

マイルストーン

(開発・販売状況に応じて)

最大3億6,750万ドル

開発マイルストーン:最大1,250万ドル

販売マイルストーン:最大3億5,500万ドル

ロイヤリティ

(関連特許権の消滅する時と販売開始後8年のいずれか遅い方まで)

一桁%台後半~10%台前半

Ji Xing Pharmaceuticals Limited(現 CORXEL Pharmaceuticals Limited)(ケイマン諸島)

 

(e) TMS-007(JX10)の今後の開発について

 2025年2月より開始された第Ⅱ相/第Ⅲ相臨床試験「ORION」は、発症後4.5時間から24時間までの脳梗塞患者を対象としてCORXELが主体となって実施するグローバル臨床試験であり、2025年5月に最初の被験者への投与が実施されました。当社はTMS-007(JX10)の日本における独占的な事業化の権利を有し、日本のパートナーとしてこの臨床試験に参加しております。2025年4月に当社がPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)へ治験計画届出書を提出し、当事業年度終了後の2026年2月には、日本における最初の被験者への投与が行われました。

 

(TMS-007(JX10)第Ⅱ相/第Ⅲ相臨床試験「ORION」の概要)

デザイン

無作為化・プラセボ対照・二重盲検・並行群間比較

主要組入基準

18歳以上、90歳以下の急性期脳梗塞患者

画像解析にて救済可能な組織が認められる患者

投与前のNIHSSスコア5以上

最終健常確認時から4.5~24時間以内

用法用量

単回投与

予定被験者数

740名(パート1:240名・パート2:500名)

主要評価項目

90日後のmRSスコア 0~1の被検者の割合

ランダム化後36時間以内の症候性頭蓋内出血の発現率

 

 

② TMS-008

 TMS-008は、血栓溶解作用がほとんどなく、sEH阻害による抗炎症作用を有するSMTP化合物です。2025年6月に第Ⅰ相臨床試験を完了しました。

 TMS-008は、その抗炎症作用により、大きなアンメット・メディカル・ニーズを有する急性期の炎症性疾患を標的として開発が進められており、当社では、急性腎障害及びがん悪液質を適応として開発を行う予定です。また、他の疾患への適応についても研究を進めており、得られた結果によっては、TMS-008の適応疾患としてパイプラインに掲げる適応を追加する可能性があります。

 バイオジェン社がオプション権を行使したことにより、TMS-008を含む全てのSMTP化合物に関する製造開発権はバイオジェン社に移転され、その後、バイオジェン社からCORXELにそれらの権利が移転されました。当社は、引き続きTMS-008を含む複数の化合物を一定の疾患を適応として開発する権利について、CORXELから無償での使用許諾を受けています。また、当社がTMS-008の適応疾患としてパイプラインに掲げている適応は、全てこの無償使用許諾の範囲内となっております。

 

(a) 急性腎障害適応について

急性腎障害(AKI)は、数時間~数日の間に腎機能が急激に低下する疾患であり、多種多様な病因がありますが、他疾患との合併症によるものが多いと言われています。国内の調査では、AKIの原因は敗血症(35%)、心原性ショック(21%)、大手術後(13%)との報告があります(日本内科学会雑誌 第103巻 第5号 平成26年)。また、COVID-19の感染によってもAKIが発症することが報告されています(Nature Reviews Nephrology volume 16, pages747–764 (2020))。

AKIの疫学*は十分に分かっていませんが、海外での報告では、透析が必要ない症例と透析が必要な症例で、人口10万人あたり、それぞれ約200~500件/年及び約20~30件/年との報告があります。国内では、急性血液浄化治療*が必要であったAKI患者は、人口10万人あたり13.3人/年との報告があります(日本内科学会雑誌 第103巻 第5号 平成26年5月10日)。また、市場調査報告では、主要7ヶ国(日米+欧州5ヶ国)での年間患者数は2030年に約1,100万人に到達するとの推計があります(Delveinsight, “Acute Kidney Injury - Market Insights, Epidemiology, and Market Forecast—2030”。欧州5ヶ国はドイツ、フランス、イタリア、スペイン及び英国を指す。)。AKIは入院患者の発症率が非常に高く、8%~16%にも上るとの報告があります(Adv Chronic Kidney Dis. 2017;24(4):194-204)。

入院中のAKI患者の死亡率は20%~25%にも上るとの報告があり(Nephron. 2017 ; 137(4): 297301)、また、回復しても慢性腎疾患(CKD)に移行する患者も多いとされています。医療経済に与える影響も大きく、米国においてはAKIによる医療コストは年間54億~240億ドルに上るとの報告があります(Silver et al. Nephron. 2017)。このように重大な疾患であるにもかかわらず、AKIを対象として承認された治療薬は存在せず、大きなアンメット・メディカル・ニーズとなっています。当社では、TMS-008をAKI適応として開発することを計画しています。

 

(b)がん悪液質について

がん悪液質は、「通常の栄養サポートでは完全に回復することができず、進行性の機能障害に至る、骨格筋量の持続的な減少(脂肪量減少の有無を問わない)を特徴とする多因子性の症候群」と定義されています(Fearon K, et al. Lancet Oncol. 2011; 12(5): 489-495)。進行がん患者の80%が悪液質の症状を呈し、がん患者の死因の20%が悪液質によるものとの報告もあります(静脈経腸栄養 Vol.23 No.4 2008)。がん悪液質の患者数は、欧州で約100万人及び米国で約43万人(Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle 2019; 10: 22–34)、日本では約17万人(Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle 2016; 7: 507–509)と推計されており、これらの各国合計で約160万人の患者数となります。

がん悪液質の治療薬としては、2021年1月に、世界に先駆けて日本において、グレリン様作用薬*のエドルミズ錠(一般名:アナモレリン)が承認され、2021年4月に販売開始となりました。がん悪液質の市場規模は、2020年において全世界で22億5,600万ドルとする推計があります(Mordor Intelligence:Global Cancer Cachexia Market 2021-2026)。

がん悪液質の病因ははっきり分かっていませんが、全身性炎症が病因の一つであると考えられています。このため、がん悪液質患者の炎症を緩和するような医薬品が強く求められています。

 

(がん悪液質とは)

 

(c) TMS-008の前臨床試験の結果について

当社は、昭和大学及び自治医科大学それぞれとの共同研究に基づき、急性腎不全モデルマウスを用いた前臨床試験を行いました。このうち、昭和大学との共同研究においては、腎機能の指標であるScr(血清クレアチニン)及びBUN(血中尿素窒素)の改善が確認され、自治医科大学との共同研究でも改善傾向が示されました。また、当社によるがん悪液質モデルマウスを用いた前臨床試験の結果によれば、TMS-008はヒラメ筋と脛骨筋の筋肉量の減少に対して有効性が確認されました(それぞれP値<0.05、<0.01)。

 

(d) TMS-008の臨床試験について

 当社は、TMS-008の第Ⅰ相臨床試験の治験計画届出書を、2024年2月にPMDAに提出しました。当該臨床試験は、TMS-008を初めてヒトに投与するFirst-In-Human試験であり、健康成人男性を対象として、主としてTMS-008の薬物動態と忍容性・安全性を確認するものとなります。実際の臨床試験は、東京大学医学部附属病院において実施され、2024年6月に第1例目投与を実施、同年12月に全ての被験者への投与・観察を完了いたしました。データ・リードアウトを2025年4月に行い、同年6月に治験総括報告書(CSR: Clinical Study Report)が完成し、第Ⅰ相臨床試験が無事終了いたしました。続いて、次相臨床試験のデザイン検討を進めております。

 

 

③ JX09

 JX09は、アルドステロン*合成酵素の阻害活性を持つ低分子化合物です。2024年2月より、CORXELにより、オーストラリアにて第Ⅰ相臨床試験が実施されています。

 JX09は、そのアルドステロン合成酵素の阻害活性により、治療抵抗性及びコントロール不良の高血圧治療薬としての可能性が期待されています。治療抵抗性及びコントロール不良の高血圧治療薬は、高血圧の治療を受けている患者の10~20%程度存在すると考えられており、日本国内だけでも130~260万人の患者が存在すると想定されています。

 アルドステロン合成酵素阻害剤においては、アルドステロン合成酵素であるCYP11B2*のみを選択的に阻害し、非常によく似た構造を持つCYP11B1*を阻害しないことが重要と考えられていますが、JX09はCYP11B2に対する高い選択性を示しており、ベスト・イン・クラス*の可能性があると考えられます。

 

(日本における想定患者数)

 

④ TMS-009

当社は、TMS-008のバックアップ化合物として、TMS-009の開発を準備しています。TMS-009は、TMS-008と類似した性質を持っていますが、動物試験によってはTMS-008よりも高い薬理効果を示しており、純粋にバックアップ化合物としてだけではなく、適応疾患によってはTMS-009をメインに開発を行うことも視野に入れています。

バイオジェン社がオプション権を行使したことにより、TMS-009を含む全てのSMTP化合物に関する製造開発権はバイオジェン社に移転され、その後、バイオジェン社からCORXELにそれらの権利が移転されました。当社は、TMS-009を含む複数の化合物を一定の疾患を適応として開発する権利について、CORXELから無償での使用許諾を受けています。

 

⑤ TMS-010

 脊髄損傷を適応症とし、2022年7月に北海道大学とオプション契約を締結して評価を行ってきたシーズについて、2024年7月に同大学との間でライセンス契約を締結し、当社のパイプラインにTMS-010として追加いたしました。当社は当該ライセンス契約により全世界における独占的な開発製造販売権を取得しております。

 脊髄損傷は、運動麻痺・感覚麻痺・排尿排便障害などに至ることがある重篤な疾患ですが、未だ効果的な薬剤がない状況にあります。北海道大学で見出された当該治療薬候補化合物は、血液脳脊髄関門(BBSCB:Blood-brain spinal cord barrier)の破綻を防ぐことで、脊髄の二次損傷を抑制する神経保護作用が期待できます。

 

⑥ 新規パイプライン

当社は、東京農工大学で発見・評価が進められたSMTP化合物の開発を手掛け、非臨床・CMC開発、さらには臨床開発を実施してきました。これらの実践を通じて得られた知見を活用し、東京農工大学をはじめ、昭和医科大学、徳島大学等との共同研究を通じて、sEHを標的とする新たな医薬品候補物質の研究開発を推進しています。いくつかの病態モデル動物で薬効を確認しており、早期の本格的開発の開始を目指しています。

アカデミアにより発見された化合物を、アカデミアと緊密に連携しつつ臨床開発実施まで持ち上げ、ヒトPOC*を取得してグローバル製薬企業への導出を達成した当社は、これらの実績と経験の上にユニークな創薬シーズを育成してグローバル医薬品市場につなぐことを使命としています。その一環として、2024年7月に北海道大学のシーズである脊髄損傷治療薬候補TMS-010、2025年11月には同じく北海道大学で発見された生理活性脂質レゾルビン類縁体を導入し、研究開発を開始しています。

 

(3)事業モデル

当社の基本的な事業モデルは、医薬品開発における研究段階から早期臨床段階までを当社が行い、後期臨床段階からは国内外の製薬会社と提携して開発製造販売権を付与し、提携先製薬会社から開発一時金(マイルストーン)及びロイヤリティ収入等を得るものです。また、疾患分野によっては、当社が後期臨床段階及び承認取得、さらには販売まで手掛けることも視野に入れています。

 

 

 

(4)成長戦略

当社は、日本の大学で創出されたシーズについて、研究段階・前臨床段階・臨床試験段階と開発を進め、ヒトPOC取得まで至ることができました。またその過程でグローバルに展開する海外製薬会社との提携を実現した実績を有しています。当社の経営陣は、これらの実績・経験を有するメンバーがコアとなっています。

当社では、このような実績・経験を活かして、①SMTP化合物、特に急性期脳梗塞患者を対象とした臨床試験で良好な成績を収め、後期臨床開発段階にあるTMS-007を中心に、急性腎障害等を対象疾患として開発を進めるTMS-008、CORXELとの提携により新たに日本国内における事業化の権利を獲得したJX09を加えた、臨床開発段階にある各パイプラインを基盤として上場企業としての基礎固めを行い、②日本を中心としたアカデミアの創薬シーズを積極的に導入してパイプラインを拡充し、グローバルの医薬品市場への展開を図り、日本のアカデミアにおける科学的ブレイクスルーとグローバル医薬品産業の橋渡しを行うことで、今後の成長を実現していくこと、を成長戦略として描いています。

 

 

<用語解説>

用語

意味・内容

シーズ

医薬品の候補物質。

凝固線溶系

凝固系とは、出血を止めるために生体が血液を凝固させる一連の分子の作用系であり、線溶系は血栓を溶かして分解する作用系のこという。凝固系と線溶系を併せて凝固線溶系と呼ぶ。

パイプライン

医薬品として開発を計画する物質。

臨床試験

医薬品や医療機器等についてヒトに対する有効性及び安全性を評価するための科学的試験であり、新たな医薬品の製造販売承認を得るために必要とされる。

少数の健常人である被験者を対象に安全性や薬物動態(体内に投与されてから体外に排出されるまでのプロセス)などを調べる第Ⅰ相試験、少数の患者(被験者)を対象に安全性・有効性を確認する第Ⅱ相試験、多数の被験者を対象に第Ⅱ相試験までで得られた安全性・有効性に関する仮説を検証する第Ⅲ相試験、の3段階で行われる。

前期第Ⅱ相臨床試験

第Ⅱ相臨床試験を二つに分ける場合があり、この場合、前半部分を前期第Ⅱ相臨床試験と呼ぶ。前期第Ⅱ相臨床試験では、安全性・有効性・薬物動態などを瀬踏み的に検討することが一般的である。

GLP

Good Laboratory Practiceの略で、日本語では「優良試験所規範(基準)」と訳される。試験施設(場所)の設備・機器、組織・職員、検査・手順・結果等が、安全かつ適切であることを確保するための基準。日本では厚生労働省の省令により詳細が定められている。

非臨床試験

医薬品の研究開発において、臨床試験に先立ち、動物を用いて薬効薬理作用、生体内での動態、有害な作用などを調べる試験。前臨床試験ということもある。

可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)

ヒトが生来持っている酵素の一つ。特定のエポキシド脂質を加水分解(hydrolyze)する作用を持つ。

プラスミノーゲン

プラスミンの前駆体タンパク質。不活性の状態で血中を循環しているが、t-PAにより切断されると活性体のプラスミンとなる。

適応

医薬品が効果をもたらすとされている疾患のこと。適応症ともいう。

エポキシド構造

2つの炭素と1つの酸素による三角形の環状構造。

加水分解

化合物が水と反応することによって起こる分解反応。

生理活性脂質

生理活性(生理作用)を持つ脂質のこと。生理活性を持つ分子としては蛋白質や核酸が広く知られているが、脂質にも生理活性を持つものがあり、このように呼ばれている。

エポキシエイコサトリエン酸(EETs:Epoxyeicosatrienoic Acid)

生理活性を持つ脂質分子の一種であり、アラキドン酸の分解を端緒とする分解経路であるアラキドン酸経路に連なる。抗炎症作用等の様々な作用を持つことが報告されている。

ジヒドロキシエイコサトリエン酸(DHETs:Dihydroxyeicosatrienoic Acid)

生理活性を持つ脂質分子の一種であり、可溶性エポキシドヒドロラーゼがEETsを加水分解することにより生成される。一般的には生理活性をほとんど持たないと考えられている。

脱リン酸化作用

加水分解によって有機化合物からリン酸基の脱離を行う作用。

作用機序

薬剤がその薬理学的効果を発揮するため、標的となる分子などに何らかの効果を及ぼす仕組みやメカニズム。

アラキドン酸

不飽和脂肪酸の一種。代謝により様々な生理活性脂質に変換されるが、この一連の過程をアラキドン酸経路と呼ぶ。

 

 

用語

意味・内容

CYP 2C, 2J

CYPはシトクロムP450の略であり、医薬品等の生体異物の代謝に重要な役割を持つ酵素のファミリーである。CYP2C、CYP2Jは、CYPファミリーに属する酵素のサブファミリーである。

ドメイン

蛋白質の一部分で、独立した機能を持った領域のこと。

類縁体

ある化合物と性質や構造が類似している化合物のこと。

同定

化学物質が何であるかを決定すること。

内因性血栓溶解

元々生体内に備わっている機序に基づく血栓溶解のこと。

モデル動物

特定の疾患を人為的に発症させた動物。

フィブリン

繊維状のタンパク質で、血小板と共に傷口をふさぐ血栓を形成する主要な材料となる。

組織型プラスミノーゲン・アクティベータ(t-PA)

生体内に存在する酵素の一種。プラスミノーゲンを切断することで活性化しプラスミンにする。

プラスミン

フィブリンを分解する酵素。

FDA

アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration)。

食品や医薬品の許可や取締り等の行政を行う、アメリカ合衆国の政府機関。

アンメット・メディカル・ニーズ

いまだ有効な治療方法が見つかっていない病気に対する新しい治療薬や治療法へのニーズ。

浮腫

細胞と細胞の間の水が増加し、排出されずに溜まった状態。

米国国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)

米国国立衛生研究所(NIH)が開発した、脳卒中の神経学的重症度の評価法。

症候性頭蓋内出血

頭蓋骨の内部に起きる出血のうち、神経症状の悪化を伴うもの。

無作為化(無作為化試験)

試験の対象を2つ以上のグループにランダムに分け、効果等を検証する試験実施方法。ランダム化試験とも呼ばれる。

プラセボ

色や重さ、味などは開発対象である医薬品候補の実薬に似せてあるが、有効成分の入っていない偽薬のこと。プラセボ群は、臨床試験等においてプラセボを投与された群。

プラセボ対照

(プラセボ対照試験)

被験者を対照群と治療群に分け、対照群にプラセボを割り付ける試験実施方法。

用量漸増(用量漸増試験)

投与量を段階的に増やす試験実施方法。最も適した投与量を調べるために行われる。

二重盲検(二重盲検試験)

被験薬を投与する被験者群と、プラセボなどの対照薬を投与する群に分け、どちらを投与しているのかを医師も被検者も知りえない状態で行われる試験実施方法。

血管内治療

細い管を血管に挿入し、疾患部位まで延ばして血管内で治療する手術方法。

モディファイド・ランキン・スケール(mRS)

脳卒中患者の生活自立度の尺度として一般的に用いられる指標。0~6までの7段階で表される。(0:全く症候がない、1:症候はあっても明らかな障害はない、2:軽度の障害、3:中等度の障害、4:中等度から重度の障害、5:重度の障害、6:死亡)

 

 

用語

意味・内容

P値

仮説が誤りである確率を表す数値。小さいほど、仮説が正しいことを示す。例えば、P値<0.05の場合、仮説が誤りである確率は5%未満であることを示している。

オッズ比

ある事象の起こりやすさを2つの群で比較して示す統計学的な尺度。一般に、1より大きい数値であれば、第一群の方が第二群よりも当該事象が起こりやすいことを表しており、1との差が大きければ大きいほど起こりやすさの差が大きい。

CT血管造影法(CTA)

CTAはCT angiographyの略で、CTを利用した非侵襲的に血管イメージを得る画像検査法。

磁気共鳴血管撮影(MRA)

磁気共鳴画像撮影(MRI)装置を使って、血管だけを鮮明に画像化する撮影方法。

95%信頼区間

母集団の平均値が95%以上の確率で区間内に含まれると推定される範囲。

マイルストーン

医薬品を開発する際に段階的に設定される、開発状況の進捗の節目で得られる収益。

疫学

特定の集団における健康に関連する状況あるいは事象の、分布あるいは規定因子に関する研究。一般的には、ある疾患の患者数やその分布を指して用いられることがある。

急性血液浄化治療

血液の体外循環を行い、血液浄化器によって血液中に存在する病因物質を除去、もしくは不足している物質を補うことで、血液のバランスを整える治療のこと。

グレリン様作用薬

グレリンは胃から産生されるペプチドホルモン。下垂体に働き成長ホルモンの分泌を促進し、また視床下部に働いて食欲を増進させる働きを持つ。グレリン様作用薬とは、グレリンと類似の作用機序を持つ医薬品のことをいう。

炎症性サイトカイン

サイトカインとは、主に免疫系細胞から分泌されるタンパク質で、細胞間の情報伝達の役割を担っている。炎症性サイトカインは、その中でも炎症性反応を促進する働きを持つものをいう。

First-In-Human試験

被験薬を動物ではなくヒトに対して世界で初めて投与する試験。

忍容性

医薬品による明らかな副作用(有害作用)が、患者にとってどれだけ許容できるかの程度を示すもの。ある医薬品の服用によって副作用が発生したとしても、患者が十分に耐えられる程度であれば、「忍容性が高い医薬品」となる。

アルドステロン

副腎が産生するホルモンのひとつで、細胞膜を介する電解質輸送、特にカリウムと交換でナトリウムを保持する腎臓の働きを調節する。アルドステロンの過剰分泌は、発作性の筋力低下、血圧上昇、低カリウム血症をもたらす。

CYP11B1、CYP11B2

CYPはシトクロムP450の略であり、医薬品等の生体異物の代謝に重要な役割を持つ酵素のファミリーである。CYP11B1はコルチゾール合成酵素、CYP11B2はアルドステロン合成酵素であり、両者はよく似た構造を持つ。

ベスト・イン・クラス

同じカテゴリーの医薬品が複数ある中で、臨床的な重要性の観点で最も優れる医薬品。

POC

Proof Of Conceptの略で、研究開発中である新薬候補物質の有用性・効果が、動物もしくはヒトに投与することによって認められることをいう。

 

業績状況

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。当事業年度は決算期変更の経過期間に伴い、2025年3月1日から2025年12月31日までの10カ月決算となっております。このため、対前期増減率につきましては記載しておりません。

 

① 経営成績の状況

当事業年度(2025年3月1日~2025年12月31日)においては、パイプラインの着実な開発の進展と、社内・社外両方のソースによるパイプラインの拡大に取り組んでまいりました。当社のパイプラインの中で最も進展した臨床開発段階にあるTMS-007(JX10)については、CORXELにより、2025年5月にグローバル第Ⅱ相/第Ⅲ相臨床試験「ORION」(Optimizing Reperfusion to Improve Outcomes and Neurologic function)における最初の患者さんへの投与(FPI:First Patient In)が行われ、その後順調に被験者登録が進んでおります。日本国内においては、当社が同臨床試験の日本パートの依頼者として治験計画届出書を提出し、臨床研究データベースjRCT(Japan Registry of Clinical Trials)への登録を行いました。また同じく臨床開発段階にあるTMS-008については、第Ⅰ相臨床試験を完了し、次相臨床試験(前期第Ⅱ相臨床試験)のデザイン検討を進めました。

 

A.パイプラインの概況

 

ⅰ)TMS-007(JX10)関連の活動

急性期脳梗塞を適応症とするTMS-007(JX10)は、当社が前期第Ⅱ相臨床試験までの開発を行い、他のSMTP化合物ファミリーとともに導出した低分子化合物であり、現在はCORXELを主体として、グローバルで行う第Ⅱ相/第Ⅲ相臨床試験「ORION」が進められています。当社はTMS-007の日本における独占的な開発販売権と、日本を除く全世界における開発・販売に対するマイルストーン一時金及びロイヤリティを受領する権利を、CORXELから得ています。

TMS-007(JX10)は、プラスミノーゲンの立体構造変化を介した血栓溶解による血流再建と、可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)阻害を機序とする抗炎症作用に基づく虚血再灌流障害の抑制というメカニズムを持っており、単剤で「血流再建」と「虚血再灌流障害抑制」の双方の治療戦略に対応する薬剤候補です。そのため、t-PA等の薬剤及び薬剤候補物質に対する優位性を示す可能性があると考えています。

当社が日本国内で実施した前期第Ⅱ相臨床試験において、TMS-007(JX10)は良好な結果を収めております。現在、急性期脳梗塞治療薬として認可されている唯一の血栓溶解剤t-PAには、頭蓋内出血を助長する副作用のリスクがあることが知られております。かかるリスクを踏まえ、t-PAの使用は原則として発症後4.5時間以内に制限されています。これに対して、TMS-007の前期第Ⅱ相臨床試験においては、発症後12時間まで(TMS-007群の平均9.5時間)被験者を組み入れました。その結果、プラセボ群では米国国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)4以上の悪化を伴う症候性頭蓋内出血の発生頻度が2.6%(1/38)であったのに対して、TMS-007群では0%(0/52)であり、TMS-007の安全性が示唆されました。また有効性においても、生活自立度を評価するモディファイド・ランキン・スケール(mRS)のスコアのゼロ(全く症候がない)又は1(症候はあっても明らかな障害はない)への転帰率において、TMS-007はプラセボ群に対して統計的な有意差を伴う有効性を示しました。

当事業年度においては、CORXEL主導にて進めているグローバル第Ⅱ相/第Ⅲ相臨床試験「ORION」に参加してまいりました。ORION試験は、2025年5月に中国で最初の患者さんへの投与が実施されるとともに、米国の臨床試験データベースClinicalTrials.govへ試験の詳細が登録・公開されました。各国においても、当局への申請、及び投与に向け医療機関の準備が進められ、被験者登録は順調に進んでおります。日本パートにおいては、2025年4月に当社がPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)へ治験計画届出書を提出、同年8月に臨床研究データベースjRCT(Japan Registry of Clinical Trials)への登録を行い、投与に向けた準備を進めました。

また、TMS-007(JX10)の第Ⅰ相臨床試験の論文が、国際的な臨床薬理学ジャーナル「British Journal of Clinical Pharmacology」の2023年度の閲覧上位論文として、2025年4月にWiley社の「Top Viewed Article」に選定された他、2024年11月に米国心臓協会(AHA: American Heart Association)/米国脳卒中協会(ASA: American Stroke Association)の発行する学術雑誌「Stroke」に掲載された前期第Ⅱ相臨床試験結果の論文が、2025年5月に同学術雑誌の情報発信サイト「Blogging Stroke」に取り上げられました。

 

ⅱ)TMS-008関連の活動

急性腎障害及びがん悪液質を適応症と想定し開発を進めているTMS-008については、血栓溶解作用をほとんど持たず、sEH阻害による抗炎症作用を有するSMTP化合物です。炎症性疾患を標的として広範な適応症が期待できると考えられます。

当社は、CORXELよりTMS-008における特定の適応に関して、全世界における独占的な開発製造販売権の許諾を得ています。

当事業年度においては、健常人における第Ⅰ相臨床試験のデータ・リードアウトを2025年4月に行い、同年6月に治験総括報告書(CSR: Clinical Study Report)が完成し、第Ⅰ相臨床試験が無事終了しました。続いて、次相臨床試験(前期第Ⅱ相臨床試験)のデザイン検討を進めました。

 

ⅲ)JX09関連の活動

JX09は、治療抵抗性又はコントロール不良の高血圧患者さんの治療を適応とした、経口の低分子アルドステロン合成酵素阻害剤です。アルドステロン合成酵素阻害剤においては、アルドステロン合成酵素であるCYP11B2のみを選択的に阻害し、類似した構造を持つCYP11B1(コルチゾール合成酵素)を阻害しないことが重要と考えられていますが、JX09はCYP11B2に対する高い選択性を示しており、ベスト・イン・クラスの可能性があると考えられます。

JX09について、当社は、CORXELより日本における独占的な開発販売権を許諾されています。現在、CORXELによりオーストラリアにおいて第Ⅰ相臨床試験が実施されており、当社は、今後日本での臨床試験を実施することにより、グローバル治験の一翼を担う計画を検討しています。

 

ⅳ)TMS-010関連の活動

脊髄損傷を適応症とし、2022年7月に北海道大学とオプション契約を締結して評価を行ってきたシーズについて、2024年7月3日に同大学との間でライセンス契約を締結し、当社のパイプラインにTMS-010として追加いたしました。当社は当該ライセンス契約により全世界における独占的な開発製造販売権を取得しております。

脊髄損傷は、運動麻痺・感覚麻痺・排尿排便障害などに至ることがある重篤な疾患ですが、未だ効果的な薬剤がない状況にあります。北海道大学で見出された当該治療薬候補化合物は、血液脳脊髄関門(BBSCB:Blood-brain spinal cord barrier)の破綻を防ぐことで、脊髄の二次損傷を抑制する神経保護作用が期待できます。

当事業年度においては、当社は、臨床試験開始に必要な非臨床試験及びGMP製造レベルの製剤の検討と並行して、原薬供給元の選定を進めました。また、引き続き臨床試験計画の策定を進めております。

 

ⅴ)パイプラインの拡充に関連する活動

当社は、当事業年度において、社内プログラム及び社外プログラムの2つの軸において、パイプラインの拡充を図るための研究開発活動を積極的に推進いたしました。

社内プログラムにおいては、当社がこれまでSMTP化合物の研究開発によって培ったsEH阻害に関する知識と経験を活かし、AIを活用した化合物生成による阻害剤のデザインや天然物ライブラリーのスクリーニングを含む複数のアプローチを活用し、新たなsEH阻害剤の候補となる化合物の探索を行いました。その中から有望な候補化合物を取得し、当該化合物の薬理・薬効評価及び毒性試験を進めました。また、TMS-008の開発対象となる適応の追加についても検討を進めました。社外プログラムにおいては、アカデミア等の研究機関や創薬企業等の早期研究開発段階にあるプログラムの探索及び評価を継続いたしました。前述ⅳ)に記載のTMS-010の他に、同じく北海道大学と独占評価を進めていた生理活性脂質レゾルビンの新規安定類縁体を、2025年11月に導入いたしました。

 

B.体制強化

 

開発担当の取締役として、臨床開発担当シニア・ディレクターの横田尚久が就任いたしました。外資系製薬企業で研究開発の責任者としてグローバル臨床開発の豊富な経験を持つ横田の指揮により、臨床開発の迅速な進捗を図ってまいります。また、前事業年度に設立した事業開発部においては、当社アセットのビジネス化に向けた取り組みを推進いたしました。

 

 

以上の活動の結果、当事業年度における営業費用は、TMS-007及びTMS-008をはじめとする研究開発費として456,945千円、その他の販売費及び一般管理費として240,028千円となったことから、合計で696,973千円となりました。

これらの結果、当事業年度における営業損失は696,973千円、経常損失は、営業外費用として新株予約権発行費10,557千円を計上したため711,557千円、当期純損失は、特別損失として固定資産の減損損失3,709千円を計上したため716,058千円となりました。

なお、当社は医薬品開発事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の経営成績については記載を省略しております。

 

② 財政状態の概況

 (資産)

当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ166,991千円減少し、2,865,277千円となりました。

これは主に、新株予約権の権利行使があった一方で、研究開発費等の営業費用の支出があったことにより、現金及び預金が141,917千円減少したことによるものであります。

 (負債)

当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ122,634千円減少し、94,146千円となりました。

これは主に、未払計上した前事業年度経費の支出により未払金が74,584千円、未払費用が31,336千円それぞれ減少したことによるものであります。

 (純資産)

当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べ44,356千円減少し、2,771,131千円となりました。

これは主に、新株予約権の権利行使があったことにより資本金及び資本準備金がそれぞれ329,735千円増加した一方で、当期純損失716,058千円を計上したことによるものであります。

なお、2025年7月に資本金702,327千円、資本準備金702,327千円をそれぞれ減少し、同額をその他資本剰余金に振り替えるとともに、当該その他資本剰余金1,404,655千円を繰越利益剰余金に振り替えて欠損填補に充当しております。

この結果、当事業年度末において資本金1,137,611千円、資本剰余金2,313,754千円、利益剰余金△716,058千円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度におきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、主に、TMS-007及びTMS-008の開発をはじめとする研究開発投資をおこなったことで、税引前当期純損失を715,267千円計上したこと等により779,890千円の支出(前事業年度は493,756千円の支出)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、重要な設備投資は行っておりませんが、有形固定資産の取得による支出により2,544千円の支出(前事業年度は30,843千円の支出)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、新株予約権の行使により640,516千円の収入(前期は919千円の収入)となりました。

これらの結果、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末に比べ141,917千円減少し、2,781,032千円となりました。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社は生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 該当事項はありません。

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態に関する認識及び分析

当事業年度末における資産合計は2,865,277千円(前事業年度末比5.5%減)となりました。前事業年度末からの主な変動要因は、新株予約権の権利行使があった一方で、研究開発費等の営業費用の支出があったことにより、現金及び預金が141,917千円減少したことによるものであります。また、負債合計は94,146千円(同56.6%減)、純資産合計は2,771,131千円(同1.6%減)となりました。前事業年度末からの主な変動要因は、未払計上した前事業年度経費の支出により未払金が74,584千円、未払費用が31,336千円それぞれ減少したこと、及び新株予約権の権利行使があったことにより資本金及び資本準備金がそれぞれ329,735千円増加した一方で、当期純損失716,058千円を計上したことに伴い利益剰余金が減少したことによるものであります。

 

b.経営成績に関する認識及び分析

・営業収益、営業費用、営業損益

当事業年度の営業費用は、TMS-008の開発費用をはじめとする研究開発費として456,945千円、その他販売費及び一般管理費として240,028千円となったことから、合計で696,973千円となりました。その結果、営業損失は696,973千円となりました。

・営業外収益、営業外費用、経常損益

営業外損益は、主に、新株予約権発行費計上により、営業外費用は14,610千円となりました。その結果、経常損失は711,557千円となりました。

・特別損益、法人税等、当期純損益

特別損益は、固定資産の減損損失の計上により特別損失は3,709千円となりました。その結果当期純損失は716,058千円となりました。

 

c.財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因

当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社は、創薬等のコンセプトやシーズの研究費及びパイプラインの製品化に向けた開発費及び会社運営のための管理費用について資金需要を有しております。当社は、それらの運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は増資により資金調達しております。当事業年度末における現金及び現金同等物は2,781,032千円と当面の事業運営に問題のない資金水準となっており、流動性に支障はないものと考えております。

 

③ 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績や現状等を勘案し合理的に見積り、計上しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社の財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

④ 経営者の問題意識と今後の方針について

経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載しております。