2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    821名(単体) 72,254名(連結)
  • 平均年齢
    45.7歳(単体)
  • 平均勤続年数
    19.3年(単体)
  • 平均年収
    10,742,168円(単体)

従業員の状況

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

ヘルスケア

20,743

〔2,234〕

マテリアルズ

13,778

〔1,398〕

ビジネスイノベーション

27,668

〔4,321〕

イメージング

6,208

〔916〕

全社(共通)

3,857

〔567〕

合計

72,254

〔9,436〕

 (注) 従業員は就業人員であり、臨時従業員は〔 〕内に当連結会計年度の平均人員を外数で記載しております。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

821

〔75〕

45.7

19.3

10,742,168

 

セグメントの名称

従業員数(名)

全社(共通)

821

〔75〕

合計

821

〔75〕

 (注) 1 従業員は就業人員であり、臨時従業員は〔 〕内に当事業年度の平均人員を外数で記載しております。

2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3 当社の従業員は、富士フイルム㈱及び富士フイルムビジネスイノベーション㈱等からの出向者であり、平均勤続年数には各当該会社での勤続年数を通算しております。

 

 

(3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 提出会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

 連結子会社のうち、主要な連結子会社に係る管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異は、次のとおりであります。

 

 

 

 

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

うち

正規雇用

労働者

うち

パート・

有期労働者

富士フイルム㈱

6.2

66.7

71.3

72.6

59.7

富士フイルムビジネスイノベーション㈱

9.0

83.5

78.2

78.2

77.5

 

 なお、労働者の男女の賃金の差異における、正規雇用労働者の内訳は次のとおりであります。

名称

正規雇用労働者の

男女の賃金の差異(%)

管理職

一般

富士フイルム㈱

98.3

79.6

富士フイルムビジネスイノベーション㈱

98.1

85.3

 

 (注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。

3 連結子会社のうち主要な連結子会社以外のものについては、「第7 提出会社の参考情報 2 その他の参考情報(2)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異に記載しております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みの状況は、次のとおりであります。

 

(1) 気候変動への対応

 当社グループは、脱炭素社会の実現に向け、2021年12月に新たなCO2排出削減目標を設定しました。エネルギー利用効率の最大化と再生可能エネルギーの導入を両輪で進めることで、2040年度までに自社が使用するエネルギー起因※1のCO2排出を実質的にゼロとすることを目指すとともに、原材料調達から製造、輸送、使用、廃棄に至るまでの自社製品のライフサイクル全体において、2030年度までにCO2排出量を50%削減(2019年度比)します。当社グループの目標は「Science Based Targets (以下、「SBT」と記載します。)イニシアチブ」より、パリ協定の「1.5℃目標」を達成するための科学的根拠に基づいた目標として認定※2を受けています。

 本削減目標の達成に向け、当社グループ環境戦略「Green Value Climate Strategy※3」を策定しました。電力のみならず合成メタンや水素等のCO2排出を実質伴わない燃料の導入と実装による環境負荷の少ない生産活動や、優れた環境性能を持つ製品・サービスの創出・普及を推進していきます。また、インターナルカーボンプライシング(社内炭素価格)制度の運用を2022年度に導入し、低炭素化に向けた施策の遂行を加速させています。

※1 自社からの直接排出(Scope1)と他社から供給された電気・蒸気の使用に伴う間接排出(Scope2)。

※2 当社グループの2030年度温室効果ガス排出削減目標が「SBTイニシアチブ」の「1.5℃目標」に認定(https://holdings.fujifilm.com/ja/news/list/1642

※3 Green Value Climate Strategyについては下記をご覧ください。

「2022年4月13日 環境戦略説明会」

https://ir.fujifilm.com/ja/investors/ir-materials/presentations/session/main/0118/teaserItems1/0/tableContents/019/multiFileUpload2_1/link/ff_presentation_20220413_002j.pdf

① ガバナンス

 当社グループの気候変動に対する活動は、社長を委員長として定期的に開催されるESG委員会で審議・決定され、取締役会に報告されます。取締役会はESG委員会からの報告に対し指示・助言を行い、そのプロセスの有効性を担保します。気候変動対応に関する目標や施策は、重点課題としてESG委員会で審議されます。これまで、CO2排出削減目標や再生可能エネルギー導入目標設定のほか、TCFD提言への賛同、RE100加盟やSBT認定取得等の気候変動に関するイニシアチブへの参加の意思決定、インターナルカーボンプライシング制度の導入、脱炭素目標達成率の中期業績連動役員報酬への反映、北米エリアにおけるグループ全拠点のバーチャルPPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約)による再生可能エネルギーの導入の審議がなされてきました。

 2023年度には、全社の方針、戦略及びESG委員会での決議事項を各事業部門及び事業場の活動に実効性をもって反映させるため、新たに同委員会の下にGX委員会を設置しました。GX委員会は全事業部長及び生産・調達・研究開発の統括責任者で構成されますが、議題に応じて必要な出席者が追加招集されることがあります。

<GX委員会のタスク>

・各事業部門、事業場における環境パフォーマンス改善の進捗管理、対策方針の検討

・全社施策のESG委員会への提案と報告

・ESG委員会での決議事項の各事業部門、事業場の具体的な活動への落とし込み

② リスク管理

 当社グループでは、気候変動に関連するパフォーマンスをグローバルで監視するシステムを導入しています。本システムにより、CO2排出量・フロン類等の温室効果ガスの排出量や、使用エネルギー量等を各国・地域の拠点毎に監視し、リスクの抽出に活用しています。これらリスクはエネルギー戦略推進委員会で要因分析を行い、重要なリスクについてはESG委員会に報告がなされ適切な対応が決定されます。気候変動に対するリスク評価のために、インターナルカーボンプライシングを活用し、想定される影響と今後の対応を検討しています。また、TCFD提言に準拠したシナリオ分析を行うことで、自社の環境パフォーマンスに起因するリスクに加え、サプライチェーンや事業場の所在地域で発生するリスクも特定し、必要事項について対策がなされます。

 TCFDシナリオ分析では、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書の中で示された代表濃度経路(Representative Concentration Pathways:RCP)2.6~8.5をもとに、脱炭素社会に向けた厳しい対策がなされ2100年までの気温上昇が産業革命時期比で1.5℃に抑えられる「1.5℃シナリオ」と、現状を上回る対策が講じられず産業革命時期比で3.2~5℃上昇する「4℃シナリオ」を設定し、評価しました。

③ 戦略

<シナリオ分析結果>

「4℃シナリオ」

 現状を上回る対策が講じられず、2100年までに平均気温が産業革命時期比で3.2~5℃上昇する

・事業リスク(物理リスク)

 4℃シナリオでは異常気象による生産設備への影響や原材料の供給停止、停電による工場停止等のリスクがあることが分かりました。これらリスクに対しBCP※4の策定による生産拠点や原材料調達先の分散化、安定電源の確保等の対策を進めています。特に近年、異常気象に起因する台風や豪雨により、重要なライフラインである送電網の寸断による被害が各地で発生しています。当社グループは安定的な電源確保のために、1960年代から主要生産拠点に自家発電設備を順次導入することで、停電による操業停止リスクを回避しています。

 その他気温や降水パターンの変化により動植物の生息地域の変化、個体数の減少や死滅が発生するリスクがあります。これらの影響により、植物由来原料の不安定化・価格高騰が発生するほか、化石燃料の枯渇により石油由来原料の供給不安定化や価格高騰も想定されます。当社グループでは使用後溶剤の再資源化(蒸留精製リサイクル等)、複合機の部品や使用後カートリッジ(トナー・ドラム・トナー回収ボトル)の回収とリサイクル、梱包材の削減と薄手化等により、原材料供給不足リスクの低減を図っています。

※4 Business Continuity Planning(事業継続計画)。自然災害やテロ、大規模なシステム障害等の危機的状況が生じた場合に、重要な業務を継続し早期復旧できるように計画しておくこと。

・事業機会

 気温の上昇に伴い極端な高温、海洋熱波、大雨、干ばつ、熱帯性低気圧の発生頻度や強度が増します。このような異常気象や、異常気象に伴う生態系や健康への影響に対して、社会が適応するための製品・サービスの需要が高まると予測しています。

『社会インフラの強靭化』

 異常気象が頻発する状況において、社会インフラの強靭化は重要な課題の一つです。当社グループは、レンズの高精度加工製造技術を活用し、夜間や荒天時でも河川や海面を監視できる高感度カメラの提供や、高精度画像解析・AI技術を用いた橋梁、堤防等の劣化診断技術により、気候変動への適応に貢献できると考えています。また、災害発生時における自治体の罹災対応プロセスのデジタル化により、自治体業務と住民の早期生活再建支援に貢献するソリューションはその必要性が高まると予測しています。

『医療従事者の負担軽減及び医療アクセスの向上』

 気温上昇は人々の健康にも大きな影響を与えます。感染症等想定外の疾病拡大による医療従事者の負担増加や、台風や集中豪雨、熱波の発生頻度の増加により患者や医療従事者の往来が困難になり、医療従事者が少ない国地域において医療崩壊につながる可能性があります。当社グループは、医療IT技術や医用画像診断・AI技術をグローバルで展開することで、医療従事者の負担軽減や遠隔診断等の医療アクセス向上に貢献していきます。

「1.5℃シナリオ」

 脱炭素社会に向けた厳しい対策が講じられ、2100年までの気温上昇が産業革命時期比で1.5℃に抑えられる

・事業リスク(移行リスク)

 1.5℃シナリオでは、脱炭素社会へ移行する過程で、化石燃料の使用を制限し技術革新を促す政策としての炭素税や、各国・地域の炭素税額格差による産業移転を抑制するための炭素国境調整措置の導入による財務リスクがあります。2022年度に当社グループが直接及び間接排出したCO2は980千トンでした。炭素税価格を2023年度下期に設定した社内炭素価格13,000円/トン-CO2とした場合、2022年度製造段階で排出したCO2は980千トン-CO2であり、約127億円(≒980千トン-CO2×13,000円/トン-CO2)の財務リスクとなります。

 当社グループは2021年12月に、CSR計画「SVP2030」の気候変動対応目標を引き上げ、2040年度に自社で使用するエネルギーによるCO2排出量ゼロを目標とし、省エネルギーの推進と再生可能エネルギーの導入を両輪で推進しています。2022年度に自社で直接排出するCO2排出量については、省エネや再生可能エネルギーの導入により、本目標の基準年である2019年度に対し、10%削減しました。

・事業機会

 人為的に排出されるCO2は主にエネルギー起因であるため、エネルギー利用効率を究極的に高め、CO2排出を伴わない自然エネルギー(風力・太陽光・水力等)を主に利用する社会に移行することが予想されます。

『省エネルギー』

 社会全体のエネルギー利用効率を高めるためには、まず製品やサービスにおいてエネルギー効率の高い方式が優先して採用されます。当社グループは、データ保存時のCO2排出を削減する大容量磁気テープによるデータアーカイブストレージシステムや、省電力性能を高めた複合機を提供することで、お客様使用先でのCO2削減に貢献しています。

『創エネルギー』

 自然エネルギーを利用するために様々なインフラ整備が進みます。そのうち海上も含め世界的に設置拡大が予想される風力発電設備は、高所や遠隔地等点検が困難な環境に設置されるため、設備の劣化診断や点検に対する技術向上が必要となります。当社グループは、撮像技術や精密成型技術を活用した高性能防振・超望遠カメラと、高精度画像解析・AI技術の組み合わせにより、風の強い海岸や洋上等の過酷な環境下でも、風力タービンのブレード欠陥を稼働中に点検診断可能な技術開発を風力エネルギー供給会社と協働で進めており、風力発電設備の普及・安定稼働に貢献していきます。

『蓄エネルギー』

 自然エネルギーを利用する場合、電力の供給量が天候・時間・季節により変動するため、電力の安定供給のために蓄エネルギー技術が必須となります。当社グループの分散・塗布技術や素材技術を活かし、従来の液体リチウムイオンバッテリーに対して低コスト・高容量化が期待できる準固体電池の開発を他社と連携して進めることで、電気自動車や定置用蓄電池での実用化に貢献できるものと考えています。

『CO2の回収・固定化』

 脱炭素社会に移行する過程では、CO2を排出する化石燃料の使用が避けられない産業においてCO2捕捉や大気中のCO2固定化が必要になります。この領域ではバイオエンジニアリング技術によるCO2を原料とした有用物質のバイオ生産が貢献できると考えています。

『分散型社会に適応したソリューション・サービス』

 自然エネルギーとの親和性を高めるためには、大都市への集中型社会から地方への分散型社会へ移行することが求められ、分散型社会での生活や事業活動を支えるソリューションが普及すると考えています。

 当社グループが提供している業務プロセスのデジタル化・自動化、ペーパーレス化を促進するソリューション・サービスは、リモートワークやハイブリッドワークといったビジネス面での分散型社会への対応と、省移動・省時間・省スペースによるCO2排出削減の両面で必要となり、今後さらに需要は高まるものと思われます。

 また、生活を支える医療の側面では、4℃シナリオと同様、「医療IT、医療画像診断・AI技術活用による医療従事者支援や医療アクセス向上に貢献するソリューション」が地域毎に必要不可欠であり、大きな事業機会になると考えています。メディカルシステム事業(2026年度売上目標7,100億円)を通じて、分散型社会に対応した地域医療への貢献を行っていきます。

 当社グループは、今後もコア技術を磨き、レジリエントなエネルギー社会の実現に必要となる様々な製品・サービスの開発を進めていきます。

④ 指標と目標

 当社グループは、SVP2030にて気候変動に対する下記目標を設定し、省エネルギーと再生可能エネルギーの導入を推進するほか、環境負荷低減に優れた製品・サービスを社内認定する「Green Value Products」制度を運用し、社会でのCO2排出削減貢献を今後も進めていきます。

ⅰ)製品ライフサイクル全体でのCO2排出削減目標と進捗

目標:2030年度末までにCO2排出量50%削減(2019年度比)

進捗:2022年度末時点で9%削減(2019年度比)

ⅱ)自社が使用するエネルギー起因CO2排出削減目標と進捗

目標:2030年度末までにCO2排出量50%削減(2019年度比)

進捗:2022年度末時点で10%削減(2019年度比)

単位:千トン-CO2

2019年度

(実績)

2020年度

(実績)

2021年度

(実績)

2022年度

(実績)

2023年度

(見込値)

Scope1

633

603

633

580

533

Scope2

(マーケットベース)

451

409

420

400

390

合計

1,084

1,012

1,053

980

923

削減率

-

7%

3%

10%

15%

目標達成率

-

13%

6%

19%

30%

 (注) 当社のScope1及びScope2(マーケットベース)排出量は、SGSジャパン株式会社より第三者保証を受けています。(https://holdings.fujifilm.com/ja/sustainability/evaluation#link01
最新の確定値については、当社サステナビリティレポート(https://holdings.fujifilm.com/ja/sustainability/report)をご参照ください。

ⅲ)再生可能エネルギーの導入目標

目標:2030年度までに購入電力の50%を再生可能エネルギー由来の電力に転換

進捗:2022年度末時点で、購入電力の12%を再生可能エネルギー由来の電力に転換

ⅳ)製品・サービスを通じた社会でのCO2排出削減貢献の目標

目標:2030年度までに社会でのCO2排出削減累積量90百万トンに貢献

進捗:2022年度末時点で、累積11.3百万トンの排出削減に貢献

 

(2) 人的資本

 当社グループでは、イノベーションの源泉は従業員の力と位置づけ、経営戦略と連動した人材戦略を進めています。長期CSR計画(SVP2030※1)、中期経営計画の実現に向け、人材戦略の3つの柱と企業文化の継承・進化の4つの考え方を描いております。

人材戦略の3つの柱としては、

・事業戦略の実現に向け、4つのセグメントにおける人材のポートフォリオの最適化

・一人ひとりの従業員がしっかりと成長する、意欲高く働く、挑戦する環境の構築

・多様な人材の採用

の実現を目指しております。

その柱を支えるのが企業文化であり、ⅰ 人材開発、ⅱ 健康経営®※2、ⅲ 多様性、ⅳ 組織開発の4つの領域で、企業文化の継承・進化に取り組んでおります。

 

「人材開発」

仕事の基盤となる課題形成力を強化するための「See-Think-Plan-Do(STPD)※3」の浸透と、従業員の自己成長の基盤となる「+STORY(プラストーリー)※4」の展開、さらに、多種多様な教育プログラムによる人材育成を行っており、特にDX人材を強化しています。

「健康経営®」

従業員が心身ともにいきいきと働ける健康増進は経営の重要な課題です。健康推進施策の展開を通じて、5つの重点領域のKPIの実現に向け7つの健康行動を実践し、ワークエンゲージメントの向上に繋げます。

「多様性」

多様な従業員一人ひとりが個性や能力を最大限発揮することが変化を作り出す企業のイノベーションの源泉です。管理職に占める女性比率の向上や外国籍従業員の基幹ポストへの登用等、目標値を設定し推進しています。

「組織開発」

各グループ会社をエンゲージメントの高い状態にするため、エンゲージメントサーベイを活用し、継続的に組織開発を進めます。

※1 2017年8月発表の長期CSR計画「Sustainable Value Plan 2030」

※2 健康経営®は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

※3 富士フイルム独自のマネジメントサイクル「S(See:情報収集)-T(Think:分析)-P(Plan:計画)-D(Do:実行)」

※4 自己成長の基盤を身に付けるための支援プログラム

 

(ⅰ)人材開発

~変化を成長のチャンスと捉えて、挑戦し、主体的に成長する意欲の高い従業員の育成~

 「オープン、フェア、クリア」な企業風土のもと、従業員の成長と組織の成長がスパイラルアップし、従業員エンゲージメントが向上することを目指しています。そのために仕事の基盤と自己成長の基盤をしっかり身に付けていることを重視しています。

「実践」と「学び」をスパイラルで身に付けながら、変化に適応できるコアコンピタンシー(軸・拠り所)を持った従業員を育成します。

 

①仕事の基盤となる課題形成力を強化する「See-Think-Plan-Do(STPD)」の浸透

 当社グループでは、すべての事業、機能において仕事をしていくうえで大事にする共通の基盤をFFメソッドと定め、展開しています。具体的には事実情報を大切にして(SEE)、深く考えて本質を見抜き(THINK)、課題を設定し(PLAN)、実行する(DO)というSTPDという業務サイクルです。新入社員から海外現法の社員までFFメソッドを身に付ける教育を行い浸透させています。

 

②従業員の自己成長の基盤となる+STORY(プラストーリー)展開

 当社グループでは、従業員一人ひとりが「変化を成長のチャンス」と捉えて挑戦し、主体的に成長する意欲を高めることを目的に、挑戦サイクルを浸透させる自己成長支援プログラム「+STORY」を展開しています。本プログラムのひとつである「+STORY対話」では、すべての経験を自分の糧としながら自分のストーリーを積み重ねることを大切にするために、一年に一度、上長との対話を通じて経験を振り返ります。上長はこの対話を通じて価値観や考えを理解した上で、部下の+STORYをサポートし挑戦意欲を引き出します。また、従業員が自身の+STORYを紹介する社内WEBセミナー「+STORY LIVE」や「+STORYアカデミー」によって、従業員が主体的に学ぶ環境をつくっています。100人いれば100通りの+STORYが紡がれ、従業員の多様な+STORYが当社グループの成長の原動力になると考えています。

 

③DX人材育成強化

 当社グループでは、基幹人材育成プログラムやグローバル人材育成プログラム等、多種多様な教育プログラムによる人材育成に力を入れています。

 DX人材の育成は重要視しており、2023年度も引き続き注力して取り組んでおります。

 当社がDXに取り組む必要性を理解し、知識武装やスキル習得を通して、成果を創出するという段階を踏むことで、一人ひとりが自らの仕事にDXを取り込むことを目指しています。基盤領域の施策としては、セルフBI初級講座を約40,000人の従業員が受講し、さらに実務適用を目的とした上級コースを250名が終了しました。また全従業員を対象にITパスポートの資格取得を奨励し、約5,000人が合格しています。

 専門人材育成としては、新規ビジネスを立案する「ビジネスプランナー」や「アーキテクト」の育成のため、3か月間実課題に集中的に取り組み、学びと実践のサイクルを回すブートキャンプを実施しています。DXの実践を担うコア人材として活躍を促し、変革のスピードアップにつなげていきます。また部門全体の課題を解決するために、意欲が高い人材がIT部門に兼務することで、事業とITを行き来して活躍するハイブリッド人材の育成を進めています。

 

 

(ⅱ)富士フイルムグループならではの健康経営を推進

 従業員が心身ともにいきいきと働ける健康づくりを目指し、当社グループでは、2019年に健康経営宣言を制定し、社長を「健康経営最高責任者」、人事部長を「健康経営責任者」とする推進体制を構築して、健康経営を推進しています。健康増進の取組みは、多岐にわたっています。例えば、グループ全社の従業員を対象とした健康づくりのために、生活習慣病、喫煙、がん、メンタルヘルス、長時間労働の5つの重点領域を設け、KPIを設定しています。その実現のため、健康増進の具体的な活動を推進しています。また、健康な生活習慣を身につけるために日々取り組むべき行動として富士フイルムグループ「7つの健康行動」を設定し、従業員一人ひとりに実践を促しています。

 2022年4月には富士フイルムグループ健康保険組合が、従業員向けの健康診断を実施するための施設として、神奈川県横浜市のみなとみらい地区に「富士フイルムメディテラスよこはま」を開設しました。2023年6月から人間ドックサービスを、2024年1月からCT検査を開始しています。当社グループの最新の内視鏡やマンモグラフィ、CT等の医療機器、AI技術を活用した医療ITシステムを導入して従業員に高品質な健康診断サービスを提供しています。これらの健康増進の取組みが評価されて、「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人」に認定される等、当社の健康経営は社外からも高く評価いただいています。

富士フイルムグループ 健康課題におけるKPI、中期目標と実績

重点領域

KPI

中期目標

2025年度

実績

2022年度

2023年度

生活習慣病対策

BMI値25以上(比率)

21%

26.8%

26.2%

HbA1c6.0以上(比率)

6%

7.9%

8.6%

喫煙対策

喫煙率

12%

18.3%

17.4%

がん対策

がん検診受診率(肺)

100%

99.3%

99.3%

がん検診受診率(胃)

100%

80.0%

83.1%

がん検診受診率(うち胃内視鏡)

90%+

64.1%

77.5%

がん検診受診率(大腸)

100%

89.6%

90.7%

がん検診受診率(乳)

90%+

80.1%

84.0%

がん検診受診率(子宮)

90%+

67.2%

71.7%

※対象:富士フイルムグループ国内従業員(胃・大腸がん検診受診率は40歳以上)

 

(ⅲ)多様性

~多様な従業員が活躍できるための仕組み・職場づくり~

 当社グループは、2023年10月に、DE&I推進委員会を立ち上げ、「多様なストーリーを認め合う」をDE&Iのビジョンとして掲げました。一人ひとりの個性、価値観、経験を大切にし、お互いの多様性を認め合い、高め合う事で、安心して働く環境で挑戦する風土を作り、グループパーパスを実現することを目指していきます。女性社員の活躍推進、仕事と育児・介護の両立支援・男性の育児参画推進を目的として、育休明けの従業員とその上長を対象にした「仕事と育児の両立セミナー」や、従業員同士の交流の場「+STORY子育てサロン」等の施策を展開し、従業員のDE&Iへの理解を深め、多様性推進の風土醸成を目指します。

 2023年度のグループ全体の基幹ポストにおける外国籍従業員比率は28.6%です。また、グループ全体で管理職に占める女性比率は17.1%です。国籍や性別を問わない登用の機会を設けることを推進し、2030年度までに基幹ポストにおける外国人比率を35%、管理職に占める女性比率をグローバルで25%まで増やす目標を設定しています。

 

(ⅳ)組織開発

 当社グループは、従業員が会社の理念やビジョンに共感し、主体的に行動しているエンゲージメントの高い組織を維持していくことが、企業の成長に繋がると考えています。2022年より、グループ全体でのエンゲージメント状況を測るため、富士フイルムグループ全体の従業員を対象に「従業員エンゲージメント調査」を開始しました。

 2023年は11月に第2回エンゲージメントサーベイを実施しました。調査の回答率は91%と高い水準であり、エンゲージメントスコア※5も80%で、「全体として良好である」という結果が得られました。

 今後も調査を毎年実施し、グループ全体の課題を継続的に把握するとともに、調査結果をもとに、自組織の強みや改善課題について職場でディスカッションすることで、グループ全体の従業員エンゲージメントの向上と、従業員と組織の双方の成長の実現に繋げていきます。

※5 各設問の選択肢のうち「肯定的回答(5段階の上位2つ)」を選んだ割合。この数値が高いほど、従業員の
   主体性や貢献意欲が高いことを示す。

 

年度

回答率

回答数

エンゲージメントスコア

 富士フイルムグループ全体

(日本含むグローバルの結果)

2023年度

91%

70,862

80%

2022年度

90%

68,485

80%