2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    613名(単体) 2,587名(連結)
  • 平均年齢
    43.6歳(単体)
  • 平均勤続年数
    18.0年(単体)
  • 平均年収
    7,363,978円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

日本

636

(154)

インドネシア

1,408

(2,085)

海外その他

543

(96)

合計

2,587

(2,335)

(注)従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は( )内に年間の平均雇用人員を外数で記載しております。

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

613

(149)

43.6

18.0

7,363,978

 

セグメントの名称

従業員数(人)

日本

613

(149)

合計

613

(149)

(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は( )内に年間の平均雇用人員を外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。

(3)労働組合の状況

該当事項はありません。

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

提出会社

当事業年度

補足説明

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

(注)1.

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)3.

全労働者

正規雇用労働者

パート・

有期労働者

14.8

80.0

65.1

77.6

79.8

(注)4.

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、執行役員および専門職は除いております。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、執行役員は除いております。

4.・全労働者における男女の賃金の差異は、男性労働者における正規雇用労働者の割合が高い一方、女性労働者における正規雇用労働者の割合が低いことによるものであります。

・正規雇用労働者における男女の賃金の差異は、正規雇用者に占める管理職比率が女性より男性の方が高いことによるものであります。

・パート・有期労働者における男女の賃金の差異は、通常の賃金テーブルに基づかない労働契約を結んでいる男性労働者の割合が高いことによるものであります。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

サステナビリティの考え方

当社グループの事業活動は、「E:環境」や「S:社会」が健全で持続可能であることが大前提です。しかし、気候変動や生物多様性の減少、海洋プラスチック問題、サプライチェーンにおける人権問題など、さまざまな問題が顕在化しており、適切な対応とそれを支える健全な「G:ガバナンス」体制の構築が必要であると考えています。

企業理念に掲げる「社会との共存・共生・共創」=当社グループのサステナビリティそのものと捉え、社会環境課題の解決に向けてサステナブル経営を根幹に据え、サステナビリティ方針の策定ならびに、サステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)を特定し、本業を通じた取り組みによるお役立ちの進化と企業価値の創造を目指していきます。

 

サステナビリティ方針

健・清・美・楽を通じた、日常生活の豊かさと社会課題の解決を両立する

独自のサステナブル経営を推進します

 

■独自のサステナブル経営の構成要素

 

「上記3テーマを中長期にわたって実現していくための基盤」

ゴーイングコンサーンに向けた取り組み

 

 

(1)ガバナンス

当社グループは、社長執行役員を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、多様化・複雑化する社会課題と生活者課題の解決を両立させる、サステナビリティ推進活動に取り組んでおります。サステナビリティ委員会の傘下には、環境・社会・ガバナンスの観点から想定されるリスクおよび機会の抽出、実務部門による実行を推進するための各種委員会が設置されており、サステナビリティ委員会がそれら傘下各委員会で識別されるリスク及び機会の監視から、関係部門を通じて行われるリスク及び機会に対処するための取組みに至るまでを統括管理する体制をとっております。

 

 

(2)戦略

当社グループの経営方針・経営戦略に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスク及び機会を抽出し、特に対処すべき重要課題として、「サステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)」を特定しております。特定したマテリアリティに対するコミットメントに基づく具体的な取組みについては、中期経営計画の中で戦略を立案して対応を行っており、関連部門の事業計画に落し込んで対応します。

 

■サステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)

マテリアリティ

コミットメント

関連するSDGs

強みを活かした価値創造による未来へのチャレンジ

 

気軽に楽しめる

おしゃれ文化の創造

「健康」「清潔」「美」の根底に、気軽に楽しむという「楽」軸を配した独自の「健清美楽」の概念を持ち、唯一無二のユニークな商品やサービスを提案することでときめきや晴れやかな気持ちを与え、多様な価値観を持つ生活者のなりたい自分を実現します。

 

 

 

 

 

多様な生活者への

お役立ち拡大

変化する生活者の多様な消費行動に対し常に臨機応変に対応し、生活者満足につながる商品・サービスが目に触れやすい、選択しやすい環境を整え、グローバル10億人にお役立ちします。

 

社員と会社の

相互成長の実現

社員の成長への投資を通じて、多彩な個性と強みを持つ「人財」のパフォーマンスを最大化させることで、すべてのステークホルダーへのお役立ちを拡大します。

 

 

社会と企業の持続可能性の実現にむけた課題解決

 

持続可能な

地球環境への取り組み

循環型社会への移行を目指し、脱プラスチックを含めた製品のライフサイクルにおける環境負荷低減への取り組みを進めます。特に温室効果ガスの削減については、2050年までに温室効果ガスの排出実質ゼロの実現を目指します。

 

 

 

 

 

持続可能な原材料調達

パーム油や紙などの倫理的な調達を行い、森林や生物多様性の保全に努める他、環境、労働環境、人権への対応など、サプライチェーン全体を通じて企業の社会的責任を果たします。

 

企業基盤の継続強化

わたしたちの使命はお役立ちを広く深く続けることであり、その前提としてゴーイングコンサーンがあります。安心・安全の確保はもちろん、理念経営を根幹とした更なる企業基盤の強化を進めます。

 

 

 

 

(3)リスク管理

当社グループでは、サステナビリティ委員会傘下の関連委員会にてサステナビリティ関連のリスクと機会を識別、評価を行った上で、サステナビリティ委員会での審議・承認、グループ経営会議、取締役会への報告により、各重要課題(マテリアリティ)及び目標に対する進捗管理を行っております。

 

 

(4)指標及び目標

サステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)に関する中長期目標は以下のとおりであります。

マテリアリティ

取り組みテーマ

評価指標

中長期目標

2024年度実績

目標値

達成年度

強みを活かした価値創造による未来へのチャレンジ

 

気軽に楽しめる

おしゃれ文化の

創造

自分らしさを

表現することへのお役立ちの深さの拡大

「自分らしさを自由に表現できる」新しい化粧品分野や生活者属性への提案件数

毎年3件以上

毎年

8件

生活者課題解決につながる新たな技術提案件数

2021年~2027年の

累計35件以上

2027年

累計23件

おしゃれ文化の

創造に関する

人財育成

考働原則

(MANDOM PRINCIPLES)の

実践率

80%以上

2027年

68%

多様な生活者へのお役立ち拡大

お役立ちの広さの拡大

流通網拡張に向けた

チャレンジ数

毎年13件以上

毎年

102件

社員と会社の

相互成長の実現

チャレンジする

風土の醸成

理念サーベイによる

『活躍社員』比率

38%以上

2027年

20%

従業員エンゲージメント

毎年81%以上

毎年

72%

多様な人財の活躍

女性管理職比率

女性管理職比率20%以上(当社)

2027年

14.8%

社会と企業の持続可能性の実現にむけた課題解決

 

持続可能な

地球環境への

取り組み

脱炭素社会への

取り組み

スコープ1+2における

CO2排出削減量

(2013年度比)

日本国内+海外のスコープ1+2におけるCO2排出量について、2013年度比で43%以上の削減

2027年

17.6%

削減

CO2排出量ネットゼロの実現

2050年ネットゼロに向けたシナリオが完成している

2027年

海外各社におけるスコープ3算定に取り組み中

化石資源由来のバージンプラスチック排出抑制率

(2016年度比)

25%以上

※当社から開始

2027年

6.3%

製品の環境配慮

自社基準による

環境配慮製品比率

日本国内で販売する当社製品の90%を環境配慮製品(自社基準クリア)とする

2027年

60.5%

廃棄物削減

製品・販促物廃棄物の削減率

(2022年度比)

65%以上

※当社から開始

2027年

23.3%

持続可能な

原材料調達

パーム油

原料の起源となるパーム油におけるRSPO(※1)認証パーム油比率

福崎工場で使用するパーム由来原料について、RSPO(※1)認証パーム油(ブックアンドクレーム対応を含む)を100%とする

2026年

61.5%

紙製容器包装

紙製容器包装の

FSC(R)(※2)認証紙、古紙再生紙比率

紙製容器包装の全量をFSC(R)(※2)認証紙、古紙再生紙とする

※当社から開始

2027年

94.0%

 

 

マテリアリティ

取り組みテーマ

評価指標

中長期目標

2024年度実績

目標値

達成年度

企業基盤の

継続強化

安心・安全・

高品質の提供

品質に関するご指摘件数

重大ご指摘数0

※当社から開始

毎年

1

社員の安心・安全

長期休業者数

10名未満(当社)

毎年

14名

データセキュリティ強化

サイバーセキュリティ経営ガイドラインへの対応

重要10項目すべてに対応できていること

2027年

達成度73%

理念経営の実践

理念をベースにした全社員による個々の業務判断の実施率

80%以上

2027年

65%

※1 RSPO:Roundtable on Sustainable Palm Oil(持続可能なパーム油のための円卓会議)

※2 FSC(R):Forest Stewardship Council(R)(森林管理協議会)

 

(5)重要なサステナビリティの項目

上記の重要課題(マテリアリティ)で識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。

・気候変動

・人的資本

それぞれの項目に係る当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 

①気候変動

当社グループは気候変動をサステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)の一つとして捉え、「脱炭素社会に向けた取り組み」と「環境に配慮した製品づくり」を取り組みテーマとして掲げております。時代を生き抜くダイナミズムと共に社会生活を送る善良なる企業市民として、また、本業を通じたお役立ちの進化と企業価値の創造に向けてより効果的な活動につなげるため、2022年6月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」への賛同を表明しました。TCFD提言の枠組みを活用することで気候変動に関するガバナンスをより強化するとともに、各種イニシアティブから開示されているシナリオを参考にシナリオ分析、気候変動に伴って生じるリスクと機会の抽出、その財務的な影響に対しての評価を行っております。また取り組みテーマに基づく各種対応を進めるとともに、積極的な情報開示を実施しております。

 

・ガバナンス

気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティにおけるガバナンスに組み込まれています。詳細につきましては、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)ガバナンス」をご参照ください。

 

・戦略

気候変動課題については、温暖化防止策の状況により、さまざまなシナリオが考えられます。当社グループでは、各種資料を参考に、代表的とされる平均気温「1.5℃シナリオ」と「4℃シナリオ」を参照し、事業経営における移行リスクと物理的リスクの検討を行っております。当社事業のドメインである製品を通じたお役立ちへの影響に関して、リスクと機会、およびそのインパクトを分析し、積極的に取り組んでまいります。

 

 

<気候変動におけるリスクと機会>

シナリオ

分類

リスク・機会

事業インパクト

影響度

/顕在化時期

対処

1.5℃

シナリオ

移行

リスク

炭素税の導入・上昇

炭素税の導入による運用コストの増加

++/中期

・再エネ証書付き電力の導入

・太陽光パネルの導入

再エネ電力のエネルギーコストの上昇

再エネ電力の需要拡大により、エネルギーコストの上昇

++/短期

包装材やプラスチック製品の「持続可能な製品」への移行によるコスト

包装材やプラスチック製品に関する「持続可能な製品」への移行が進まなければ、市場から締め出されるリスク

++/長期

・環境配慮型製品の推進

・製品包材におけるプラスチック使用量の削減(継続的な仕様変更、外装削除、詰め替えの発売等)

市場の変化による収益の減少、事業コストの増加

市場の変化(消費者嗜好の変化)や特定の市場における競争が激化することで収益が減少、事業コストが増加するリスク

++/中期

機会

新しい製品・技術の開発によるコスト削減や収益増加、資産価値の向上等

自社独自技術を応用し、新たな価値を付加した製品の提案による新市場の開拓、および、化粧品以外の分野での協業による新たな収益源の創出

++/長期

消費者の嗜好を反映することによる収益の増加、市場競争力の強化

サステナブル消費を啓発する取り組みを含め、新たな価値の創造・提案による競争力向上、新規市場の開拓

++/中期

 

4℃

シナリオ

物理

リスク

サプライヤーの被害によるサプライチェーンの分断

異常気象等により、事業拠点やサプライヤーの被害、サプライチェーン分断により、収益が減少するリスク

++/長期

・サードパーティロジスティクスの活用

・OEMメーカーとの協働体制の構築

・グループ生産拠点間での生産移管、原料調達の戦略的実施

・原材料の複数購買の実施

熱波や干ばつでの水不足による事業活動が停滞するリスク

熱波や干ばつの頻度増加が予測されているため、水不足による事業活動が停滞するリスク

++/長期

・上質な水源を確保できる地域からの水調達

・取水量低減に向けた目標設定

移行

リスク

再エネ電力のエネルギーコストの上昇

再エネ電力の需要拡大により、エネルギーコストの上昇

++/短期

・再エネ証書付き電力の導入

・太陽光パネルの導入

機会

物理的リスク関連の製品開発・市場拡大およびコスト削減、それに伴う投資家からの評判向上

気温上昇による冷感商品や制汗商品等の市場拡大、ならびに関連した製品開発・コスト削減に伴う投資家からの評判向上

++/長期

・独自技術* を活用した製品開発
*TRPチャネルの研究「Kai-tech技術」、先端汗腺研究の応用

影響度   ++:大きな影響がある、+:一定程度の影響がある、-:影響が小さいもしくは、ほぼ無い

顕在化時期 短期:0~1年、中期:3~5年、長期:10年~

 

・リスク管理

気候変動に関するリスク管理は、サステナビリティにおけるリスク管理に組み込まれています。詳細につきましては、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)リスク管理」をご参照ください。

・指標及び目標

気候変動に関する指標及び目標は、サステナビリティにおける指標及び目標に組み込まれています。詳細につきましては、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (4)指標及び目標」をご参照ください。

 

②人的資本:人的資本・多様性に関する取組み

・ガバナンス

人的資本に関するガバナンスは、サステナビリティにおけるガバナンスに組み込まれています。詳細につきましては、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)ガバナンス」をご参照ください。

 

・リスク管理

人的資本に関するリスク管理は、サステナビリティにおけるリスク管理に組み込まれています。詳細につきましては、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)リスク管理」をご参照ください。

 

・戦略、指標及び目標

A.「人的資本(人財)」および「人的資本経営」の考え方

(1) 当社グループの企業理念と人財理念

当社グループは、企業理念における考働原則「MANDOM PRINCIPLES」の一つに「人財主義」を掲げ、この人財主義の考え方に基づき、当社グループの人財理念「個と会社のHAPPY」が策定されています。これは、社員と会社が対等なパートナーであり、会社は社員の成長に対して積極的に投資を行い、すべての社員が最大限に活躍することを通じて会社も同時に成長し、当社グループのミッションである社会へのお役立ちを実現できるという「社員と会社の相互成長の実現」を目指すものです。そのため当社グループでは、この「社員と会社の相互成長の実現」をサステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)の1つとして掲げ、「相互成長」の考え方に基づいた人財に対する取組みを推進しています。

 

(2) 当社グループの人的資本経営の考え方

当社グループが多様な新価値を創造し続けるためには、社員一人ひとりが持つ多彩な個性や強みを最大化し、それらを活かした知の融合・コラボレーションを起こし続けることが必要であると考えています。そのため当社グループでは、この実践に向けた経営としての一連の取組みを「人的資本経営」と位置づけ、下図の5つの観点に重点を置き、これらをサイクルとして有機的に循環させていくことで、当社グループ全社員の個性と強みの最大化を目指します。なお本書では、取組観点のうち①、②及び⑤が人材育成方針、③及び④が社内環境整備方針にそれぞれ該当します。

■図A-1. 当社グループの人的資本経営全体像

 

B. 各取組観点の概要と取組事例

01.企業理念と人財理念の共有と実践

(1) 考え方

当社グループでは、企業理念の考働原則の一つに「人財主義」を掲げており、長年にわたる人財に対する取組みは、当社グループの根幹であるグループ企業理念に紐づいた「理念考働」の一環といえるものです。

また当社グループの考働原則には、「人財主義」のほか、「チャレンジ・チェンジ・イノベーション」や「全員参画」といった項目も含まれており、グループ企業理念の深い理解とそれに基づく理念考働の実践が、当社グループの目指す「社会へのお役立ち」の実践だけでなく、自律的な考働を通じた社員一人ひとりの「仕事のやりがいや社員のエンゲージメントの向上」にも寄与できるものであると考えています。この考え方に基づき、当社グループでは人財に対する取組みの基盤となる「社員の企業理念に対する理解と実践の度合い」、およびそれに基づく「社員のエンゲージメント」を測るため、2017年よりマンダムサーベイを導入しました。そしてこのサーベイ結果から見えた諸課題に対応していくことで、社員の企業理念に対するより深い理解・浸透と社員のエンゲージメント向上を目指しています。

 

(2) 2024年度および今後の取組み

2024年度は、当社グループのコーポレートスローガン「BE ANYTHING, BE EVERYTHING.」(意味:なりたい自分に、全部なろう。)の理解・共感の促進に向けた取組みが2023年度に完了したことに伴い、再度当社グループの「企業理念の共有と実践」に向けた取組みを再開しました。

具体的な取組内容として、当社では企業理念の共有が現場部門で「自走化」されている状態を目指し、企業理念の伝承者である「エバンジェリスト」の役割を担う部門長に対する「エバンジェリスト教育」を実施しました。このエバンジェリスト教育では、エバンジェリストとしての役割期待を伝達し、企業理念に対する講義やグループワークを通じて、当社グループの企業理念に対する理解をさらに深めることを目指しました。そしてエバンジェリスト教育後には、各エバンジェリストが自身の部門において理念教育を実施し、現場部門での「自走化」を実現するための基盤づくりを行っています。2025年度以降は、日本で実施したこの取組みを海外グループに水平展開し、グループ全体の視点でこの「自走化」をできる環境を整備していきます。

 

 

02.ダイバーシティ&インクルージョン

(1) ダイバーシティ&インクルージョンに関する考え方

当社グループでは、人財に対する取組みにおいて、「ダイバーシティ&インクルージョン」を特に重要な取組観点として位置付けています。これは、当社グループの目指す「社会へのお役立ち」の実現に向けて、「多彩な個性と強み(専門性)を持つ人財」の活躍が必要不可欠であると考えているためです。

そのため当社グループでは、このダイバーシティ&インクルージョンの取組みを、「DEIB(Diversity, Equity, Inclusion and Belonging)」の観点から推進しています。これらの観点に基づいて、当社グループの多彩な個性と強みを持つ人財(Diversity)が、公平・公正であり(Equity)、かつ各人の個性やちがいを尊重し相互信頼のある環境を通じて(Inclusion)、社員一人ひとりがやりがいをもってイキイキと楽しく働くことができる状態(Belonging)を目指します。

 

(2) 人財の多様性(Diversity)に関する考え方

当社グループでは、ダイバーシティ推進の目的として、「イノベーションの創出」が特に重要であると考えており、この観点に基づいて多彩な個性と強みを持つ人財の獲得と育成を目指します。

特に人財の多様性(Diversity)に関して、当社グループでは「組織内ダイバーシティ」と「個人内ダイバーシティ」の2つの観点から取組みを推進しています。前者については、当社グループの目指す多様なイノベーションの創出に寄与しやすい「認知的ダイバーシティ」の観点を主軸として、多彩な経験や価値観を持つ人財の獲得・育成を目指します。また後者については、組織内における人財の多様性だけではなく、社員一人ひとりが様々な経験や知識を増やしていくことで、多彩な価値観やものの見方を通じて更なるイノベーション創出に寄与できる状態を目指します。

 

(3) ダイバーシティに関する取組事例と今後の取組み

① 女性活躍推進

1) 考え方

当社グループが変化し続ける生活者の価値観やウォンツを的確に把握し、継続的な社会へのお役立ちを実現するためには、女性をはじめとした社内の人財における性の多様化を推進し、これらの人財が最大限に活躍することが重要であると考えています。そのため当社では、人財における「性の多様化」の一つとして、社内における女性の活躍推進とそれを成しえる社会の実現に向けて、次のような取組みを実践しています。

 

2) 取組事例と今後の取組み

当社では、女性社員がよりイキイキと活躍できる環境を整備するため、2024年度は引き続き「仕事と育児の両立支援」、そしてキャリア開発視点での「異業種女性キャリアデザインフォーラムへの参画」等に取組みました。仕事と育児の両立支援では、従来に引き続き取得対象者の休業取得に向けた人事総務部からの積極的なアナウンスや、対象者全員とその上長・人事総務部担当者の3者における面談をもれなく実施しています。また、「異業種女性キャリアデザインフォーラムへの参画」では、女性社員が活躍するロールモデルを学び、他業種の女性社員との交流を通じて自身のキャリアについて考える場を提供しています。今後も、男女ともに育児休業の取得を推進するとともに、キャリア面に関しても女性社員が活躍できる環境づくりを目指します。

また、引き続き管理職層への女性社員の積極登用も合わせて推進していきます。当社では、2027年度までの女性管理職比率20%以上の達成に向けて取組みを進めておりましたが、2024年度末で14.8%、そして2025年4月1日時点では20.2%となり、設定目標を前倒しで達成することができました。今後も継続的に女性管理職の活躍を推進していくとともに、「女性社員の働きがい向上につながる施策の検討と実践」、そして「経営層や管理職層に対する女性活躍に向けた各種教育の拡充」に取り組んでいきます。

 

■図02-1. 育児休業取得率の推移 (注1)     ■図02-2. 女性管理職比率の推移 (注2)

 

(注1)

・当社の年度別実績。

・「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出。

・2021年度における男性社員の実績、および2023年度における女性社員の実績については、前事業年度における一部取得対象者が対象事業年度中に育児休業を取得したことから、対象事業年度における合計取得者数が取得対象者数を上回ったことにより、100%を超える実績となっている。

(注2)

・当社の各年度末時点の実績。

・「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出。

・管理職には部長・次長および課長を含み、執行役員および専門職は除く。

 

②多彩な職歴(他業界・他社経験、職種)を持つ人財の拡大

1) 考え方

当社グループでは、性の多様化とともに「職歴(他業界・他社経験、職種)」の多様化に対する取組みも推進しています。この観点については、これらを有する「新たな人財の獲得」と、「在籍社員の育成・強化」の2つの観点から取組みを進めています。

「新たな人財の獲得」に関して、当社ではキャリア人財の採用を強化しています。積極的なキャリア人財の新規採用を通じて、従来の当社には無い経験や観点・知見を取り入れることによるイノベーションの創出を目指します。また、既存の在籍社員に関しても、当社以外の経験や価値観に積極的に触れる機会を提供することで、社内全体における「多彩な経験を持つ人財」を増やしていきます。

 

2) 取組事例と今後の取組み

2024年度は、新規キャリア採用者の社内定着に向けたオンボーディング施策を新たに開始しました。入社後の配属部署におけるOJTだけでなく、他部門との交流を重視したさまざまな施策を展開しています。

例えば、入社1か月以内に企業理念の説明会を実施し、キャリア採用者が企業文化や価値観を理解する機会を提供しています。また当社では「バディ制度」を導入しています。このバディが入社初期の職場や業務に関する相談役となり、キャリア採用者が気軽に質問できる環境を提供することで、キャリア採用者の職場での不安や疑問をスピーディに解消できる体制を整えています。さらに、各キャリア採用者の他部門との関係構築を促進することを目的に、「交流1on1リレー」制度を導入しています。これは、入社後3か月間にわたって定期的に他部門の業務関係者と1対1形式の交流機会を設け、社内のネットワークづくりや相互理解を深めることを目的としています。そして、入社1年以内のキャリア採用者を対象に理念教育を再度実施し、企業理念の浸透を図ることで、組織全体の一体感を高める取組みも合わせて推進しています。

当社は、上述のような取組みを継続することで、今後もより幅広い経験や価値観を持つ人財の獲得・育成を目指します。

 

■図02-3. ライン(マネジメント)職 キャリア採用者比率の推移(日本) (注3)
 

(注3)

・当社の各年度末時点の実績。

・ライン(マネジメント)職には部長・次長および課長を含み、執行役員は除く。

・2024年度における実績の減少は、2024年度の組織編制に基づく一時的なものです。当社では上述の通り、ダイバーシティ観点におけるキャリア採用者の重要性を認識しており、当社の指標として掲げている「2027年度までにライン(マネジメント)職 キャリア採用比率30%以上」の実現に向けて、引き続き積極的な任用およびそれに向けた人財育成を実践していきます。

 

③当社グループ全体でのダイバーシティ&インクルージョンの推進

 従来の当社グループにおけるダイバーシティ&インクルージョンの取組みは、当社(日本)を主としたものとなっていました。しかし、今後のグループシナジーの最大化に向けては、D&Iを当社グループ全体で取り組んでいく必要があります。そのため2025年度以降は、ダイバーシティ&インクルージョンの取組みを当社グループに展開していきます。2025年度はその第一ステップとして、各グループ会社に対するグループD&Iの考え方に関する理解浸透と、各社におけるダイバーシティ&インクルージョンに関する現状把握と課題抽出に注力し、当社グループ全体のダイバーシティ&インクルージョンの推進に向けた基盤構築を行っていきます。

 

03.健康経営

(1) 考え方

当社グループが新価値創造を実現するためには、社員と家族の安全・安心のもと、人財が最大限に活躍できる環境整備が必要不可欠であり、グループ全社員のウェルビーイングが当社グループの人的資本経営の推進における基盤であると考えています。そのため、社員の健康に関わる不安を取り除き、豊かで充実した仕事と生活が実現できる職場環境を作り出す一連の取組みを当社グループの「健康経営」と定義し、この健康経営の視点に基づく5つのステップ(ウェルネスSTEP、図03-1)を通じて、図03-2の推進体制のもとで、身体的、精神的、社会的に豊かで良好な状態(ウェルビーイング)を目指して生活者へのお役立ちを実現し、業績向上へとつなげていきます。

 

■図03-1. 当社グループの健康経営推進のウェルネスSTEP

    参照元:未来を築く健康経営(経済産業省、NPO法人健康経営研究会)

 

■図03-2. 当社グループの健康経営推進体制

 

(2) 健康経営の取組事例と今後の取組み

当社は2025年3月に「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」認定され、4年連続の認定となりました。一方で当社では、更なる健康経営の推進に向けた体制基盤の構築が必要であると考え、2024年度についても「健康経営の推進に向けた基盤整備」に向けた取組みを進めてきました。

2024年度は、特に長時間労働低減に向けた取組みを強化しました。全社員の長時間労働状況を的確に把握するため、2023年度より上位会議体における時間外労働関連の月次での情報共有を開始し、経営層を巻き込んだ時間外労働低減に向けた環境整備を進めています。また、更なる取組みとして2024年11月より各部門において週2日相当の「ノー残業デー」設定(管理職者も含む)を開始し、睡眠時間確保などをはじめとする健康維持管理を推進しています。

同時に2024年度は、アブセンティーイズムへの対応強化(休業者に対するケアの充実化)を目的として、人事総務部と産業医療職(産業医、保健師)・休業者の所属先上司との3者間の連携を強化し、身体的・精神的な面で不調を抱える休業者に対するケアと復帰支援に取組みました。またこれに合わせて、新たに管理職者を対象とした「ラインケア研修」を実施しました。これは管理職者を対象に、安全配慮義務の必要性や役割期待を説明し、部下の変化に対する具体的な対応方法などを教育する機会を設けました。

2025年度以降は、時間外時間低減活動(ノー残業デーの実施)の取組みを継続していきます。また、ウェルネスSTEP1~2で定める健康経営推進体制を盤石化した上で、アブセンティーイズムからプレゼンティーイズム(健康上の問題による社員の業務生産性の低下)への対応に重点をシフトさせながら、当社の健康経営をより多角的に推進できる基盤づくりを推進していきます。

 

 

04.自律協働型ワークスタイル

(1) 考え方

当社グループでは、「WORK LIFE BALANCE(ワーク・ライフ・バランス)」をさらに発展させた「WORK IN LIFE(ワーク・イン・ライフ)」の考え方に基づき、働きやすさと働きがいの両方を向上させることで、「社員一人ひとりの人生を豊かにするための働き方」の実現を目指します。またこの実現に向けて、当社グループでは「社内外の『知的にぎわい』を最大化する自律協働型ワークスタイルの実践」をこの推進のキーコンセプトとして掲げています。そして、社員が「自身の人生を自律的に豊かにしていくための労働」を自ら実践することで高いパフォーマンスを発揮し(自律)、これらの多彩な個性や強みを持つ社員がコラボレーション(協働)することで、社員一人ひとりのやりがいの向上、そして多彩な知の融合(知的にぎわい)を通じたイノベーションの創出による新価値創造(Co-Creation)を実現することができると考えています。

 

(2) 取組事例と今後の取組み (表04-1)

観点

これまでの取組事例

今後の取組事項

働く時間

・コアタイムを完全撤廃したフルフレックス勤務の導入

・個人事情に柔軟に対応可能な勤務時間中の中抜けの認可

・各部門の時間外労働削減に向けた計画づくりと実践

・社員の個人事由に基づく制約がなく、多彩な社員が活躍できる働く時間・場所の継続的な整備

・社員同士のコラボレーションを促進するオフィスづくりの推進

・社員の“知的にぎわい”を促進するコミュニケーション活性化の推進

・社内クラブ活動の拡充

働く場所

・個人の家庭事情等に合わせ、所属部署の拠点事業所以外の事業所でも勤務可能とする「遠隔地勤務」のトライアル実施

働く人の関係性

・年1回の研修旅行の実施

・社内のコミュニケーションの活性化を目的とした自由談話会の実施

 

05.タレントマネジメント

(1) 考え方

多彩な個性や強みを活かす環境づくりとともに、それらを最大化するためのジョブ起点の人財マネジメントも推進していきます。当社グループでは、タレントマネジメントを「社員一人ひとりが持つ能力や資質・才能を把握し、戦略的に企業経営に活かすことを目的とする取組み」と捉え、ジョブを起点としたタレントマネジメントに関する様々な取組みを引き続き実践していきます。

 

(2) 取組事例①:ジョブ×自律を起点とした人事の仕組み改革(MHRX)

 当社グループのタレントマネジメントに関する取組事例として、日本におけるMHRX(Mandom HR Transformation、マークス)が挙げられます。これは当社における新たな価値創出によるお役立ちの実現に向けた、変革・挑戦できる組織と人財創造を実現するための「ジョブ×キャリア自律」を起点とした人事の仕組み改革であり、当社では2019年からこの取組みに着手しました。このMHRXを通じて、当社では2023年度から新しいジョブ型人事制度の運用を開始しています。このMHRXでは、「人事制度改革」「キャリア開発」そして「タレントマネジメント」の3つの柱から構成されており、この観点に基づいた取組みを継続して行っています。

 2024年度は、当社におけるジョブ型人事制度の導入から1年が経過したことに伴い、新人事制度に対する更なる理解浸透、そして現場部門との対話を通じた現状課題の把握に取組みました。具体的には、当社の組織運営におけるキーポジションである課長(全79名)を対象に、一人あたり60分程度の「個別対話会」を実施し、新人事制度に関する疑問点を解消するとともに、現場視点における人事制度の仕組みや運用上の課題を直接ヒアリングしました。2025年度は、これら対話を通じて得られた現場視点での課題に基づき、ジョブに基づく適所適財の人財配置と人財パフォーマンスに向けた取組みをより一層推進していきます。

 

■表05-1. 「ジョブ×キャリア自律」に関する考え方

観点

考え方

ジョブ

変化の激しい時代の中で常に新たなお役立ちを実現するため、社員一人ひとりの個性と強みに基づく“ジョブ(役割)”を基軸に、専門性の向上と適所適財の実現を目指す

キャリア自律

社員一人ひとりが自律的な学びや成長を通じて、高度化・複雑化する環境に対応できる強み(専門性)を持ったプロフェッショナル人財への成長を目指す

 

■図05-2. MHRXの全体像

 

(3) 取組事例②:当社グループ全体のタレントマネジメント基盤の構築

 当社グループのMP-14経営基本方針(経営戦略)に基づき、人事領域ではMP-14の取組テーマを「グループ人事HQ機能の確立を通じた、グループ人事体制基盤の構築」とし、2024年度より日本のGHQ(Group Headquarters)を中心としたグループ人事の基盤整備に向けた本格的な取組みを開始しています。2024年度はこの初年度として以下の2点の取組みを実施し、グループ全体視点でのタレントマネジメントや人財育成に向けた基盤の一部を構築することができました。2025年度以降も引き続き、人事観点からのグループ経営推進に向けた取組みを推進していきます。

①グループ共通の各種ポリシーの策定

2024年度は、当社グループ共通となる「報酬ポリシー」および「国際間出向ポリシー」の2点を策定し、2025年1月より当社グループ各社にてこれらポリシーの適用を開始しています。

前者に関しては、グループ各社における外部競争力のある報酬決定やそれによる優秀人財の獲得・リテンションを支援することを目的として、報酬ポリシーを策定しました。この報酬ポリシーでは、当社グループにおける報酬の定義や考え方、報酬決定における観点を定めるとともに、グループ共通で目指すべき報酬水準(ベンチマーク値)を定めることで、より外部競争力のある報酬決定を行える環境を整備しています。

また後者に関しては、従来のグループ各社間の出向に関する負担や取扱いが一部明確でなかった状況を踏まえ、当社グループ間の出向に関する全般的な原則や取扱いを定めた国際間出向ポリシーを定めました。これにより、グループを超えたよりスムーズな人財異動を実現することで、グループ全体での適所適財なタレントマネジメントを推進していきます。2025年度以降はGHQを中心に、これらのポリシーに基づいたグループ各社での適切な報酬および人財の国際間異動に関する運用に向けた支援を行っていきます。

 

②グループ共通のポジション管理の実施

当社ではジョブ型人事制度を2023年度より導入しており、そのうち管理職以上の全ポジションに関してはジョブ・ディスクリプション(職務記述書)を作成し、各ポジションの職務内容や達成責任に基づいたグレーディング(職務評価)を通じて、等級の格付けを行っています。

2024年度は、GHQ機能を中心とした当社グループ全体のポジション管理に向けて、グループ各社における管理職以上の全ポジションを対象に、グループ共通のフォームに基づくジョブ・ディスクリプションを作成し、GG(グローバル・グレード)に基づく当社グループ全体の職務評価を実施しました。これにより、グループ全体の主要ポジションに関するポジションおよび人財要件の明確化を実現し、より適所適財な人財配置や育成が可能となる基盤を整備できたと考えています。2025年度以降は、ポジション管理に関する運用をグループ各社自らが適切にかつ円滑に運用できるよう、GHQとしての支援を強化していきます。

 

(4) 取組事例③:グループ全体での人財育成トレーニングの実施

 当社グループにおける新価値創造のための最大の源泉は「人財」であり、当社グループが絶えず変革や挑戦を実現し成長し続けるためには、社員の継続的な能力開発が必要不可欠であると考えています。そのため当社グループでは、全社員を対象とした業務遂行上のビジネススキルの向上や、収益性の改善に向けてバリューチェーンの中心にある部署を対象とした専門的なスキル獲得のためのトレーニングを通じてスキルやノウハウを組織知化し、当社グループの継続的な変革と挑戦を実現できる人財創造と環境づくりに取り組んでいます。これらの一連のトレーニングは、日本では2024年4月、インドネシアでは2025年1月からそれぞれ開始し、その他の海外拠点に関しても2026年から開始予定であり、引き続き当社グループ全体でこの取組みを推進していきます。

 

■表05-3. トレーニングプログラムの概要

観点

考え方

基礎スキル

トレーニング

社員一人ひとりの業務に対する行動変容に必要となる基礎的なスキルを習得

応用スキル

トレーニング

組織を牽引し、結果を出すリーダーに求められる応用的なスキルを習得

専門スキル

トレーニング

バリューチェーンの中心にある部署を対象とした収益性改善に必要な専門的なスキルを習得

 

C. MP-14 人的資本・多様性に関する設定指標

当社グループのMP-14経営基本方針(経営戦略)では、取組事項の一つとして「グループ経営実践に向けた経営基盤の継続強化」に向けた「人的資本の最大化による組織能力の向上」を掲げており、当社グループへの人財に対する取組みを、MP-14経営基本方針における重要取組事項の一つとして位置付けています。

上述の人的資本経営の各取組観点、およびMP-14における当社グループの事業セグメントごとの戦略と取組事項を踏まえ、事業セグメントごとに主要項目に関する目標値を設定しています。また、各取組みを通じて達成すべき最終指標として、当社グループ連結における人的資本RoIの目標値を設定し、この達成を目指します。

設定指標の詳細は、次頁の表をご参照ください。

 

 

■MP-14 人的資本・多様性に関する主要設定指標一覧 (表C-1)

セグメント

設定指標

2024年度

実績

2027年度

目標

人的資本RoI

GHQ

(グループ全体)

グループ連結 人的資本RoI (注1)

6.5%

41%以上

理念の共有と実践

GHQ

(グループ全体)

考働原則(MANDOM PRINCIPLES)実践率

65.4%

80%以上

ダイバーシティ&インクルージョン

日本事業

(当社)

女性管理職比率

14.8%

20%以上

ライン(マネジメント)職 キャリア採用人財比率

17.6%

30%以上

健康経営・自律協働型ワークスタイル

日本事業

(当社)

正社員1人あたり月間平均時間外労働時間 (注2)

15.9時間

10時間以下

経済産業省 健康経営度調査偏差値

53.1

55.0以上

タレントマネジメント

GHQ

(グループ全体)

マンダムサーベイ「持続可能なエンゲージメント」カテゴリ 肯定的スコア

72pt

81pt以上

グループ共通 ジョブグレーディング実施率

100%

100%

日本事業

(当社)

新卒正社員 入社後3年間定着率

92.5%

毎年度90%以上

マンダムサーベイ「当社には、私の能力を伸ばし成長する機会があると思う」肯定的スコア

64pt

80pt以上

マンダムサーベイ「私の担当業務に要するスキル向上のための研修機会は十分である」肯定的スコア

58pt

80pt以上

インドネシア

事業

(PT MANDOM INDONESIA Tbk)

マンダムサーベイ「持続可能なエンゲージメント」カテゴリ 肯定的スコア

83pt

84pt

自己都合退職率

2.55%

2.6%以下

海外事業

グループ人事ポリシーに基づく

グループ各社人事制度の策定および実施率

0% (注3)

100%

(注1)・人的資本RoI=営業利益額÷人件費にて算出。

・人件費は、賃金に加えて製造人件費(労務費)、福利厚生および教育・研修に関する費用を含む。

(注2)・執行役員は除く。

(注3)・2024年度は、グループ共通の各種ポリシーの策定と浸透を中心に取組みを進めたため、グループ各社における人事制度の策定及び実施率については0%としています。2025年度以降は、策定した各種ポリシーに基づき、グループ各社の人事制度の策定及び実施に取組んでいきます。

 

また、当社グループにおける人的資本に関する考え方や取組事例の詳細については、当社ホームページにて随時開示しております。