人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数619名(単体) 2,672名(連結)
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平均年齢42.8歳(単体)
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平均勤続年数17.1年(単体)
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平均年収7,136,116円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
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2024年3月31日現在 |
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セグメントの名称 |
従業員数(人) |
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日本 |
644 |
(165) |
インドネシア |
1,465 |
(2,091) |
海外その他 |
563 |
(80) |
合計 |
2,672 |
(2,336) |
(注)従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は( )内に年間の平均雇用人員を外数で記載しております。
(2)提出会社の状況
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2024年3月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
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619 |
(159) |
42.8 |
17.1 |
7,136,116 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
日本 |
619 |
(159) |
合計 |
619 |
(159) |
(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は( )内に年間の平均雇用人員を外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。
(3)労働組合の状況
該当事項はありません。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
提出会社
当事業年度 |
補足説明 |
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管理職に占める 女性労働者の割合(%) (注)1. |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注)2. |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)3. |
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全労働者 |
正規雇用労働者 |
パート・ 有期労働者 |
|||
12.8 |
100.0 |
61.2 |
73.7 |
75.1 |
(注)4. |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、執行役員および専門職は除いております。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、執行役員は除いております。
4.・全労働者における男女の賃金の差異は、男性労働者における正規雇用労働者の割合が高い一方、女性労働者における正規雇用労働者の割合が低いことによるものであります。
・正規雇用労働者における男女の賃金の差異は、正規雇用者に占める管理職比率が女性より男性の方が高いことによるものであります。
・パート・有期労働者における男女の賃金の差異は、通常の賃金テーブルに基づかない個別労働契約を結んでいる男性労働者の割合が高いことによるものであります。
なお、提出会社では2023年度より役割等級制度およびそれに基づく新報酬制度を導入しており、年齢や勤続年数等に関係なく担う役割に応じて公平・公正に処遇される仕組みを通じて、今後の男女の賃金の差異は経年的に是正されていく見通しであります。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
サステナビリティの考え方
当社グループの事業活動は、「E:環境」や「S:社会」が健全で持続可能であることが大前提です。しかし、気候変動や生物多様性の減少、海洋プラスチック問題、サプライチェーンにおける人権問題など、さまざまな問題が顕在化しており、適切な対応とそれを支える健全な「G:ガバナンス」体制の構築が必要であると考えています。
企業理念に掲げる「社会との共存・共生・共創」=当社グループのサステナビリティそのものと捉え、社会環境課題の解決に向けてサステナブル経営(ESG経営+SDGs経営)を根幹に据え、サステナビリティ方針の策定ならびに、サステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)を特定し、本業を通じた取り組みによるお役立ちの進化と企業価値の創造を目指していきます。
サステナビリティ方針 |
健・清・美・楽を通じた、日常生活の豊かさと社会課題の解決を両立する 独自のサステナブル経営を推進します |
■独自のサステナブル経営の構成要素
「上記3テーマを中長期にわたって実現していくための基盤」 ゴーイングコンサーンに向けた取り組み |
(1)ガバナンス
当社グループは、社長執行役員を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、多様化・複雑化する社会課題と生活者課題の解決を両立させる、サステナビリティ推進活動に取り組んでおります。サステナビリティ委員会の傘下には、環境・社会・ガバナンスの観点から想定されるリスクおよび機会の抽出、実務部門による実行を推進するための各種委員会が設置されており、サステナビリティ委員会がそれら傘下各委員会で識別されるリスク及び機会の監視から、関係部門を通じて行われるリスク及び機会に対処するための取組みに至るまでを統括管理する体制をとっております。
(2)戦略
当社グループの経営方針・経営戦略に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスク及び機会を抽出し、特に対処すべき重要課題として、「サステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)」を特定しております。特定したマテリアリティに対するコミットメントに基づく具体的な取組みについては、中期経営計画の中で戦略を立案して対応を行っており、関連部門の事業計画に落し込んで対応します。
■サステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)
マテリアリティ |
コミットメント |
関連するSDGs |
||||||||
強みを活かした価値創造による未来へのチャレンジ |
||||||||||
|
気軽に楽しめる おしゃれ文化の創造 |
「健康」「清潔」「美」の根底に、気軽に楽しむという「楽」軸を配した独自の「健清美楽」の概念を持ち、唯一無二のユニークな商品やサービスを提案することでときめきや晴れやかな気持ちを与え、多様な価値観を持つ生活者のなりたい自分を実現します。 |
|
|||||||
|
多様な生活者への お役立ち拡大 |
変化する生活者の多様な消費行動に対し常に臨機応変に対応し、生活者満足につながる商品・サービスが目に触れやすい、選択しやすい環境を整え、グローバル10億人にお役立ちします。 |
||||||||
|
社員と会社の 相互成長の実現 |
社員全員が会社や社会を支える「人財」となるために、「単位あたりの生産性」「個の成長と働き甲斐」「創造性」が向上する働き方改革を推進します。 |
|
|||||||
社会と企業の持続可能性の実現にむけた課題解決 |
||||||||||
|
持続可能な 地球環境への取り組み |
循環型社会への移行を目指し、脱プラスチックを含めた製品のライフサイクルにおける環境負荷低減への取り組みを進めます。特に温室効果ガスの削減については、2050年までに温室効果ガスの排出実質ゼロの実現を目指します。 |
|
|||||||
|
持続可能な原材料調達 |
パーム油や紙などの倫理的な調達を行い、森林や生物多様性の保全に努める他、環境、労働環境、人権への対応など、サプライチェーン全体を通じて企業の社会的責任を果たします。 |
||||||||
|
企業基盤の継続強化 |
わたしたちの使命はお役立ちを広く深く続けることであり、その前提としてゴーイングコンサーンがあります。安心・安全の確保はもちろん、理念経営を根幹とした更なる企業基盤の強化を進めます。 |
|
(3)リスク管理
当社グループでは、サステナビリティ委員会傘下の関連委員会にてサステナビリティ関連のリスクと機会を識別、評価を行った上で、サステナビリティ委員会での審議・承認、経営会議、取締役会への報告により、各重要課題(マテリアリティ)及び目標に対する進捗管理を行っております。
(4)指標及び目標
サステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)に関する中長期目標は以下のとおりであります。
マテリアリティ |
取り組みテーマ |
評価指標 |
中長期目標 |
2023年度実績 |
|
目標値 |
達成年度 |
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強みを活かした価値創造による未来へのチャレンジ |
|
||||
気軽に楽しめる おしゃれ文化の 創造 |
自分らしさを 表現することへのお役立ちの深さの拡大 |
「自分らしさを自由に表現できる」新しい化粧品分野や生活者属性への提案件数 |
毎年3件以上 |
毎年 |
6件 |
生活者課題解決につながる新たな技術提案件数 |
2021年~2027年の 累計35件以上 |
2027年 |
累計16件 |
||
おしゃれ文化の 創造に関する 人財育成 |
考働原則 (MANDOM PRINCIPLES)の 実践率 |
80%以上 |
2027年 |
68% |
|
多様な生活者へのお役立ち拡大 |
お役立ちの広さの拡大 |
流通網拡張に向けた チャレンジ数 |
毎年13件以上 |
毎年 |
102件 |
社員と会社の 相互成長の実現 |
チャレンジする 風土の醸成 |
理念サーベイによる 『活躍社員』比率 |
38%以上 |
2027年 |
15% |
従業員エンゲージメント |
毎年81%以上 |
毎年 |
70% |
||
多様な人財の活躍 |
女性管理職比率 |
女性管理職比率20%以上(当社) |
2027年 |
12.8% |
|
社会と企業の持続可能性の実現にむけた課題解決 |
|
||||
持続可能な 地球環境への 取り組み |
脱炭素社会への 取り組み |
スコープ1+2における CO2排出削減量 (2013年度比) |
日本国内+海外のスコープ1+2におけるCO2排出量について、2013年度比で43%以上の削減 |
2027年 |
22.0% 削減 |
CO2排出量ネットゼロの実現 |
2050年ネットゼロに向けたシナリオが完成している |
2027年 |
海外各社におけるスコープ3算定に取り組み中 |
||
化石資源由来のバージンプラスチック排出抑制率 (2016年度比) |
25%以上 |
2027年 |
4.0% |
||
製品の環境配慮 |
自社基準による 環境配慮製品比率 |
日本国内で販売する当社製品の90%を環境配慮製品(自社基準クリア)とする |
2027年 |
61.3% |
|
廃棄物削減 |
製品・販促物廃棄物の削減率 (2022年度比) |
65%以上 |
2027年 |
20.4% |
|
持続可能な 原材料調達 |
パーム油 |
原料の起源となるパーム油におけるRSPO(※1)認証パーム油比率 |
福崎工場で使用するパーム由来原料について、RSPO(※1)認証パーム油(ブックアンドクレーム対応を含む)を100%とする |
2026年 |
50.2% |
紙製容器包装 |
紙製容器包装の FSC(R)(※2)認証紙、古紙再生紙比率 |
紙製容器包装の全量をFSC(R)(※2)認証紙、古紙再生紙とする |
2027年 |
93.8% |
マテリアリティ |
取り組みテーマ |
評価指標 |
中長期目標 |
2023年度実績 |
|
目標値 |
達成年度 |
||||
企業基盤の 継続強化 |
安心・安全・ 高品質の提供 |
品質に関するご指摘件数 |
重大ご指摘数0 |
毎年 |
0 |
社員の安心・安全 |
長期休業者数 |
10名未満(日本国内) |
毎年 |
9名 |
|
データセキュリティ強化 |
サイバーセキュリティ経営ガイドラインへの対応 |
重要10項目すべてに対応できていること |
2027年 |
達成度62% |
|
理念経営の実践 |
理念をベースにした全社員による個々の業務判断の実施率 |
80%以上 |
2027年 |
64% |
※1 RSPO:Roundtable on Sustainable Palm Oil(持続可能なパーム油のための円卓会議)
※2 FSC(R):Forest Stewardship Council(R)(森林管理協議会)
(5)重要なサステナビリティの項目
上記の重要課題(マテリアリティ)で識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
・気候変動
・人的資本
それぞれの項目に係る当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
①気候変動
当社グループは気候変動をサステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)の一つとして捉え、「脱炭素社会に向けた取り組み」と「環境に配慮した製品づくり」を取り組みテーマとして掲げております。時代を生き抜くダイナミズムと共に社会生活を送る善良なる企業市民として、また、本業を通じたお役立ちの進化と企業価値の創造に向けてより効果的な活動につなげるため、2022年6月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」への賛同を表明しました。TCFD提言の枠組みを活用することで気候変動に関するガバナンスをより強化するとともに、各種イニシアティブから開示されているシナリオを参考にシナリオ分析、気候変動に伴って生じるリスクと機会の抽出、その財務的な影響に対しての評価を行っております。また取り組みテーマに基づく各種対応を進めるとともに、積極的な情報開示を実施しております。
・ガバナンス
気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティにおけるガバナンスに組み込まれています。詳細につきましては、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)ガバナンス」をご参照ください。
・戦略
気候変動課題については、温暖化防止策の状況により、さまざまなシナリオが考えられます。当社グループでは、各種資料を参考に、代表的とされる平均気温「1.5℃シナリオ」と「4℃シナリオ」を参照し、事業経営における移行リスクと物理的リスクの検討を行っております。当社事業のドメインである製品を通じたお役立ちへの影響に関して、リスクと機会、およびそのインパクトを分析し、積極的に取り組んでまいります。
<気候変動におけるリスクと機会>
シナリオ |
分類 |
リスク・機会 |
事業インパクト |
影響度 /顕在化時期 |
対処 |
1.5℃ シナリオ |
移行 リスク |
炭素税の導入・上昇 |
炭素税の導入による運用コストの増加 |
++/中期 |
・再エネ証書付き電力の導入 ・太陽光パネルの導入 |
再エネ電力のエネルギーコストの上昇 |
再エネ電力の需要拡大により、エネルギーコストの上昇 |
++/短期 |
|||
包装材やプラスチック製品の「持続可能な製品」への移行によるコスト |
包装材やプラスチック製品に関する「持続可能な製品」への移行が進まなければ、市場から締め出されるリスク |
++/長期 |
・環境配慮型製品の推進 ・製品包材におけるプラスチック使用量の削減(継続的な仕様変更、外装削除、詰め替えの発売等) |
||
市場の変化による収益の減少、事業コストの増加 |
市場の変化(消費者嗜好の変化)や特定の市場における競争が激化することで収益が減少、事業コストが増加するリスク |
++/中期 |
|||
機会 |
新しい製品・技術の開発によるコスト削減や収益増加、資産価値の向上等 |
新しい製品・技術の開発によるコスト削減や収益増加、資産価値の向上等 |
++/長期 |
||
消費者の嗜好を反映することによる収益の増加、市場競争力の強化 |
消費者の嗜好を反映することによる収益の増加、市場競争力の強化 |
++/中期 |
4℃ シナリオ |
物理 リスク |
サプライヤーの被害によるサプライチェーンの分断 |
異常気象等により、事業拠点やサプライヤーの被害、サプライチェーン分断により、収益が減少するリスク |
++/長期 |
・サードパーティロジスティクスの活用 ・OEMメーカーとの協働体制の構築 ・グループ生産拠点間での生産移管、原料調達の戦略的実施 ・原材料の複数購買の実施 |
熱波や干ばつでの水不足による事業活動が停滞するリスク |
熱波や干ばつの頻度増加が予測されているため、水不足による事業活動が停滞するリスク |
++/長期 |
・上質な水源を確保できる地域から水を調達 ・取水量低減に向けた目標設定(予定) |
||
移行 リスク |
再エネ電力のエネルギーコストの上昇 |
再エネ電力の需要拡大により、エネルギーコストの上昇 |
++/短期 |
・再エネ証書付き電力の導入 ・太陽光パネルの導入 |
|
機会 |
物理的リスク関連の製品開発・市場拡大およびコスト削減、それに伴う投資家からの評判向上 |
物理的リスク関連の製品開発・市場拡大およびコスト削減、それに伴う投資家からの評判向上 |
++/長期 |
・独自技術* を活用した製品開発 |
影響度 ++:大きな影響がある、+:一定程度の影響がある、-:影響が小さいもしくは、ほぼ無い
顕在化時期 短期:0~1年、中期:3~5年、長期:10年~
・リスク管理
気候変動に関するリスク管理は、サステナビリティにおけるリスク管理に組み込まれています。詳細につきましては、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)リスク管理」をご参照ください。
・指標及び目標
気候変動に関する指標及び目標は、サステナビリティにおける指標及び目標に組み込まれています。詳細につきましては、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (4)指標及び目標」をご参照ください。
②人的資本:人的資本・多様性に関する取組み
・ガバナンス
人的資本に関するガバナンスは、サステナビリティにおけるガバナンスに組み込まれています。詳細につきましては、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)ガバナンス」をご参照ください。
・リスク管理
人的資本に関するリスク管理は、サステナビリティにおけるリスク管理に組み込まれています。詳細につきましては、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)リスク管理」をご参照ください。
・戦略、指標及び目標
A.「人的資本(人財)」および「人的資本経営」の考え方
(1) 当社グループの企業理念と人財理念
当社グループは、企業理念における考働原則「MANDOM PRINCIPLES」の一つに「人財主義」を掲げています。これは、当社グループのすべての社員をグループにおける貴重な「財産」と捉える考え方であり、当社の創業から現在において変わらず受け継がれている考働原則です。
この人財主義の考え方に基づき、当社グループの人財理念「個と会社のHAPPY」が策定されています。これは、社員と会社が対等なパートナーであり、会社は社員の成長に対して積極的に投資を行い、すべての社員が最大限に活躍することを通じて会社も同時に成長し、当社グループのミッションである社会へのお役立ちを実現できるという「社員と会社の相互成長の実現」を目指すものです。そのため当社グループでは、この「社員と会社の相互成長の実現」をサステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)の1つとして掲げ、「相互成長」の考え方に基づいた人財に対する取組みを推進しています。
(2) 当社グループの人的資本経営の考え方
特に近年では、社会環境における不確実性の高まりや、DXを通じたビジネスモデルの変革が顕著となっており、当社グループのミッションである社会へのお役立ちを通じて継続的に企業価値を高めていくためには、これらの社会環境に的確に対応し、今まで以上のイノベーションを生み出し、新価値を創造し続けることが重要です。当社グループでは、「多彩な個性と強みを持つ人財」こそが、多様なイノベーションを生み出すための「最大の源泉」であると捉え、人財への投資は不可欠であると考えています。
そして当社グループが多様な新価値を創造し続けるためには、社員一人ひとりが持つ多彩な個性や強みを最大化し、それらを活かした知の融合・コラボレーションを起こし続けることが必要であると考えています。そのため当社グループでは、この実践に向けた経営としての一連の取組みを「人的資本経営」と位置づけ、この具体的な取組観点として「①企業理念と人財理念の共有と実践」をベースに、「②ダイバーシティ&インクルージョン」「③健康経営」「④自律協働型ワークスタイル」そして「⑤タレントマネジメント」の5つに重点を置き、②~⑤の取組みをサイクルとして有機的に循環させていくことで、当社グループ全社員の個性と強みの最大化を目指します。なお本書では、取組観点のうち①、②及び⑤が人材育成方針、③及び④が社内環境整備方針にそれぞれ該当します。
■図A-1. 当社グループの人的資本経営全体像
■図A-2. 人財に対する取組5観点の概要
B. 各取組観点の概要と取組事例
01.企業理念と人財理念の共有と実績 |
(1) 考え方
当社グループでは企業理念の考働原則の一つに「人財主義」を掲げ、それに基づき人財理念「個と会社のHAPPY」を策定しており、創業以来社員一人ひとりをグループの財産とみなし、永らく社員に対する様々な投資を行ってきました。そのため、当社グループの長年にわたる人財に対する取組みは、当社グループの根幹であるグループ企業理念に紐づいた「理念考働」の一環といえるものです。
また当社グループの考働原則には、「人財主義」のほか、「チャレンジ・チェンジ・イノベーション」や「全員参画」といった項目も含まれており、社会へのお役立ちの実現に向けて「社員が自ら考え、自律的に行動する」ことを重視しています。そのため当社グループでは、グループ企業理念の深い理解とそれに基づく理念考働の実践が、当社グループの目指す「社会へのお役立ち」の実践だけでなく、自律的な考働を通じた社員一人ひとりの「仕事のやりがいや社員のエンゲージメントの向上」にも寄与できるものであると考えています。この考え方に基づき、当社グループでは人財に対する取組みの基盤となる「社員の企業理念に対する理解と実践の度合い」、およびそれに基づく「社員のエンゲージメント」を測るため、2017年よりマンダムサーベイを導入しました。そしてこのサーベイ結果から見えた諸課題に対応していくことで、社員の企業理念に対するより深い理解・共感の促進とエンゲージメント向上を目指しています。
(2) 2023年度および今後の取組み
2023年度は、2022年度に日本で実施した当社グループのコーポレートスローガン「BE ANYTHING, BE EVERYTHING.」(意味:なりたい自分に、全部なろう。)の理解・共感の促進を目的とした「理念共創ワークショップ」を海外各拠点に水平展開し、現地各国スタッフ主導のもとで実施しました。このワークショップを通じて、当社グループ全体におけるコーポレートスローガンの更なる理解・共感を図るとともに、これに基づくグループ社員一人ひとりの考働実践に向けた基盤づくりに寄与することができました。
また日本においては、上述の2022年度に実施したワークショップに引き続き、特に「企業理念とコーポレートスローガンのつながり」に関する更なる理解促進に向けて、2023年度に新たな理念共創ワークショップを実施しました。2023年度のワークショップでは、職種や部門を超えて、役職・年齢の近しい社員同士でコーポレートスローガンに関する意見交換やディスカッションに取り組みました。このワークショップを通じて、社員が当社グループの企業理念とコーポレートスローガンの意味やつながりを深く理解するとともに、生活者の「BE ANYTHING, BE EVERYTHING.」を実現するために各社員が実践したい具体的なアクションを社員同士で検討し議論することで、社員一人ひとりに対する企業理念やコーポレートスローガンの更なる理解・共感の促進と、これらに基づく理念考働の実践に向けた布石とすることができました。
そして2024年度以降では、当社グループの企業理念の共有と実践を主導する「エバンジェリスト」を中心に、カスケード方式を通じて、組織の上位から下位に向けた企業理念に関する理解・共感を図る機会を設けることで、当社グループ全体での更なる企業理念の理解・共感の促進と実践に取り組んでいきます。
02.ダイバーシティ&インクルージョン |
(1) ダイバーシティ&インクルージョンに関する考え方
当社グループでは、人財に対する取組みにおいて、この「ダイバーシティ&インクルージョン」を特に重要な取組観点として位置付けています。これは、当社グループの目指す「社会へのお役立ち」の実現に向けて、「多彩な個性と強み(専門性)を持つ人財」の活躍が必要不可欠であると考えているためです。
当社グループでは、このダイバーシティ&インクルージョンの取組みを、「DEIB(Diversity, Equity, Inclusion and Belonging)」の観点から推進しています。これらの観点に基づいて、当社グループの多彩な個性と強みを持つ人財(Diversity)が、公平・公正であり(Equity)、かつ各人の個性やちがいを尊重し相互信頼のある環境を通じて(Inclusion)、社員一人ひとりがやりがいをもってイキイキと楽しく働くことができる状態(Belonging)を目指します。
(2) 人財の多様性(Diversity)に関する考え方
ダイバーシティが必要とされる背景は、各社の置かれている状況や社会動向等によって異なると考えています。その中で当社グループでは、このダイバーシティ&インクルージョンを人的資本経営における取組観点として位置づけるにあたり、「当社グループがダイバーシティ推進を必要とする」目的を再整理しました。上述の通り、当社グループが社会へのお役立ちを継続的に実現するためにはイノベーションが重要であり、この多様なイノベーションを生み出すには「多彩な個性と強みを持つ人財」が必要不可欠であると考えています。そのため当社グループでは、ダイバーシティ推進の目的として、この「イノベーションの創出」が特に重要であると考えており、この観点に基づいて多彩な個性と強みを持つ人財の獲得と育成を目指します。
特に人財の多様性(Diversity)に関して、当社グループでは「組織内ダイバーシティ」と「個人内ダイバーシティ」の2つの観点から取組みを推進していきます。前者については、当社グループの目指す多様なイノベーションの創出に寄与しやすい「認知的ダイバーシティ」の観点を主軸として、多彩な経験や価値観を持つ人財の獲得・育成を目指します。また後者については、組織内における人財の多様性だけではなく、社員一人ひとりが様々な経験や知識を増やしていくことで、多彩な価値観やものの見方を通じて更なるイノベーション創出に寄与できる状態を目指します。
■表02-1. 多様性の2観点
観点 |
考え方 |
組織内 ダイバーシティ |
イノベーションの創出に寄与しやすい価値観・経験といった「認知的ダイバーシティ」の観点を主軸に、人財の獲得・育成を推進する |
個人内 ダイバーシティ |
社員一人ひとりが様々な経験や知識を増やしていくことで、自身の多彩な価値観やものの見方・捉え方を養う |
これらの考え方に基づき、当社グループでは今後のグループのイノベーション創出に向けて、特に次の4つのいずれかの要素を持つ人財の獲得・育成を目指し、取組みを推進していきます。
■表02-2. 当社グループが今後獲得・育成したい人財の4要素
要素 |
考え方 |
文化的背景 |
今後のグループ経営の推進に向けて、多彩な異なる文化的背景を持ち、異なる発想や考え方ができる人財を育成・獲得する |
職歴 (他業界・他社経験、職種) |
従来の発想や手法にとらわれない、他業界や他社等からの新たな視点で発想ができる人財を育成・獲得する |
性 |
性に基づく多彩な価値観を持つすべての生活者へのお役立ち実現に向け、性の観点における人財の多様性を目指す |
年代 |
各年代への的確なお役立ちを実現するため、ブランドターゲットに近い行動文化や価値観を持つ同年代の人財を育成・獲得する |
※「性の多様性」及び「年代の多様性」に関しては「統計学的多様性」の一要素ですが、当社グループでは事業特性上の理由から、当社グループのイノベーションの創出に寄与できる人財の要素であると考えています。
(3) ダイバーシティに関する取組事例と今後の取組み
① 女性活躍推進
1) 考え方
当社グループの主力事業である化粧品事業においては、生活者の価値観の多様化やライフスタイルの変化に伴って、従来のような「男性化粧品」「女性化粧品」といったカテゴリだけではなく、このような既存の性の枠組みにとらわれない新たな化粧品を生み出す必要性があると考えています。そのため、当社グループがこの変化し続ける生活者の価値観やウォンツを的確に把握し、継続的な社会へのお役立ちを実現するためには、女性をはじめとした社内の人財における性の多様化を推進し、これらの人財が最大限に活躍することが重要であると考えています。
そのため当社では、人財における性の多様化の一つとして、社内における女性の活躍推進とそれを成しえる社会の実現に向けて、次のような取組みを実践しています。
2) 取組事例と今後の取組み
当社では、女性社員がよりイキイキと活躍できる環境を整備するため、2023年度では主に「仕事と育児の両立支援」、そしてキャリア開発視点での「異業種女性キャリアデザインフォーラムへの参画」や「女性営業社員へのヒアリング」に取り組んできました。仕事と育児の両立支援では、従来に引き続き取得対象者の休業取得に向けた人事総務部からの積極的なアナウンスや、対象者全員とその上長・人事総務部担当者の3者における面談をもれなく実施しています。また、「異業種女性キャリアデザインフォーラムへの参画」では、若手社員と管理職候補層の2グループに分かれ、女性社員が活躍するロールモデルを学び、他業種の女性社員との交流を通じて自身のキャリアについて考える場を提供しています。
今後も引き続き、男女ともに育児休業の取得を推進するとともに、キャリア面に関しても女性社員が活躍できる環境づくりを目指します。特に後者については、上述の「女性営業社員へのヒアリング」を踏まえ、営業領域における女性社員のキャリア上の課題を抽出し、その対策案を検討・実践することで、職種に関係なく女性社員が活躍できる環境を創っていきたいと考えています。
また、引き続き管理職層への女性社員の積極登用も合わせて推進していきます。この推進に向けて、当社では今後も継続的な「単年度毎の女性社員の経営基幹職登用計画の策定」や「女性社員向けの各種研修の実施」、そして「経営層や管理職層に対する女性活躍に向けた各種教育の拡充」に取り組んでいきます。
■図02-3. 育児休業取得率の推移 (注1) ■図02-4. 女性管理職比率の推移 (注2)
(注1)
・当社の年度別実績。
・「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出。
・2021年度における男性社員の実績、および2023年度における女性社員の実績については、前事業年度における一部取得対象者が対象事業年度中に育児休業を取得したことから、対象事業年度における合計取得者数が取得対象者数を上回ったことにより、100%を超える実績となっている。
(注2)
・当社の各年度3月31日時点の実績。
・「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出。
・管理職には部長・次長および課長を含み、執行役員および専門職は含まない。
②多彩な職歴(他業界・他社経験、職種)を持つ人財の拡大
1) 考え方
「多彩な職歴(他業界・他社経験、職種)」を有する人財については、それらを有する「新たな人財の獲得と活躍推進」、そして「在籍社員の育成・強化」の2つの観点から取組みを進めていきます。
「新たな人財の獲得と活躍推進」に関しては、当社の幅広い職種におけるキャリア人財の新規採用を強化するとともに、特に当社の意思決定層である管理職ポジションへの任用を強化し、従来の当社には無い多彩な経験や観点・知見を取り入れることで、更なるイノベーションの創出を目指していきます。また、既存の在籍社員に関しても、当社以外の経験や価値観に積極的に触れる機会を提供することで、社内全体における「多彩な経験を持つ人財」を増やしていけるよう、次のような取組み等を通じてこれを推進していきます。
2) 取組事例と今後の取組み
特に「在籍社員の育成・強化」に対する取組みとして、社外副業が挙げられます。当社の社外副業制度は2020年から開始していますが、従来の認可条件が厳しく実施者が少ない傾向にありました。そのため2024年度より認定要件を緩和し、厚生労働省の定める管理モデルに基づく雇用契約型の社外副業も全面的に解禁しました。これにより、新規キャリア採用人財だけでなく、既存の在籍社員に関しても他業界の新たな経験や知見をより吸収しやすくすることで、更なるイノベーションの創出に寄与できる環境づくりを推進していきます。
今後は継続的な「新規キャリア人財の採用の強化と活躍推進」をはじめ、社内人財に対しては社外副業の拡充や社外との交換就業、外部との交流機会への積極的な参加等を通じた「社内人財に対する多彩な経験や知見の吸収の促進」を通じて、より幅広い経験や価値観を持つ人財の獲得・育成を目指します。
■図02-5. 管理職 キャリア採用者比率の推移 (注3)
(注3)
・当社の各年度3月31日時点の実績。
・管理職には部長・次長および課長を含み、執行役員および専門職は含まない。
03.健康経営 |
(1) 考え方
当社グループが新価値創造を実現するためには、多彩な個性と強みを持つ人財の獲得・育成だけでなく、社員と家族の安全・安心のもと、人財が最大限に活躍できる環境整備も必要不可欠です。その中で当社グループでは、特に社員の精神的・身体的・社会的な健康(ウェルビーイング)が新価値創造において重要であり、グループ全社員のウェルビーイングが当社グループの人的資本経営の推進における基盤であると考えています。そのため、社員の健康に関わる不安を取り除き、豊かで充実した仕事と生活が送れる職場環境を作り出す一連の取組みを当社グループの「健康経営」と定義し、この健康経営の視点に基づく5つのステップ(ウェルネスSTEP、図03-1)を通じて、図03-2の推進体制のもとでグループ社員のウェルビーイングを実現し、業績向上へとつなげていきます。
■図03-1. 当社グループの健康経営推進のウェルネスSTEP
参考: 「未来を築く、健康経営」 NPO法人 健康経営研究会 2021年7月19日
■図03-2. 当社グループの健康経営推進体制
(2) 健康経営の推進状況と取組事例
当社は2024年3月に「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」の認定を受けており、2022年より3年連続でこの認定を取得しています。一方で当社では、更なる健康経営の推進に向けた体制基盤の構築が必要であると考え、2023年度の取組テーマを「健康経営の推進に向けた基盤整備」とし、様々な取組みを進めてきました。
例えば当社では、2023年6月に「健康経営の型づくりと成果創出のためのソリューションの共創および産業界への実装」を目的として設立された「健康経営アライアンス」に加盟し、参画企業の取組共有を通じて健康経営の型と成果の共創を目指す活動をスタートさせました。これにより、健康経営に関する参画企業の先行事例や最新情報をいち早くキャッチし、他企業ともスピーディに連携できる環境を構築しています。また、当社内部においては、健康経営の推進体制を整備し、グループ全体の健康経営を推進する統括責任者として社長執行役員を据え、日本と海外各社が連携しながらグループ視点での健康経営に向けた取組みを推進できる体制基盤を構築しています。
また、これら基盤整備に関する取組みに加えて、2023年度では、前期報告書にも記載しています当社の健康経営に関する課題の一つである「長時間労働」の改善に対する取組みも継続して行っています。例として、全社員の長時間労働の状況を的確に把握することを目的に、新たに毎月の上位会議体において時間外労働時間に関連する実績データを共有することで、経営層を巻き込んだ時間外労働削減に向けた取組みが推進できる環境を整備しています。また、時間外労働時間は業務の繁閑期等により部門ごとに異なる特性があると考えていることから、部門長を中心に部門ごとに時間外労働削減に対する課題を検討し、その解決に向けた実行策を実践する取組みを行いました。
(3) 健康経営に関する現状課題と今後の取組方向性
当社では2023年度に「健康経営の推進に向けた基盤整備」をテーマに取組みを進めてきましたが、現在も依然として、この基盤部分の整備におけるいくつかの課題が存在しています。そのため2024年度以降も引き続き、この基盤整備に向けた取組み、特に当社のウェルネスSTEPにおける基盤部分となる「①労働安全衛生(健康管理)」そして「②心と身体の健康づくり」の段階を中心に、「社員のプレゼンティーズムの改善」を主軸とした取組みを進めていきます。
例えば「①労働安全衛生(健康管理)」の段階においては、健康診断やストレスチェック等で得られた社員の健康データに対する明確なアクションが取れていないことを当社における課題の一つと捉えています。そのため今後は、時間外労働関連のデータを含めた社員の健康に関する各種データを再整備することを通じて、その中での重点管理指標と改善目標値を設定し、その達成に向けた取組みを進めていきます。
また、「②心と身体の健康づくり」の段階においては、社員の健康経営への参画意識向上に欠かすことのできない「社員個々の健康に対する意識レベル(ヘルスリテラシー)の向上」を目指し、この実現に向けてヘルスリテラシー向上につながる包括的な教育施策の定期開催や、産業医・保健師との連携強化等を行っていきます。
そしてこれらの基盤整備を確実に行ったうえで、その先のウェルネスSTEP「③働きやすさ」~「⑤生きがい」に関する取組みを将来的に実践することで、グループ社員全員の精神的・身体的・社会的な健康(ウェルビーイング)の実現を目指していきます。
04.自立協働型ワークスタイル |
(1) 考え方
当社グループの人財が持つ多彩な個性や強みを最大限に発揮するためには、社員の健康(ウェルビーイング)に対する取組みに加えて、それを実現できる「働く環境づくり」も同時に必要であると考えています。
当社グループでは、「WORK LIFE BALANCE(ワーク・ライフ・バランス)」をさらに発展させた「WORK IN LIFE(ワーク・イン・ライフ)」の考え方に基づき、働きやすさと働きがいの両方を向上させることで、「社員一人ひとりの人生を豊かにするための働き方」の実現を目指します。またこの実現に向けて、当社グループでは「社内外の『知的にぎわい』を最大化する自律協働型ワークスタイルの実践」をこの推進のキーコンセプトとして掲げています。そして表04-1の各観点に基づき、社員が「自身の人生を自律的に豊かにしていくための労働」を自ら実践することで高いパフォーマンスを発揮し(自律)、これらの多彩な個性や強みを持つ社員がコラボレーション(協働)することで、社員一人ひとりのやりがいの向上、そして多彩な知の融合(知的にぎわい)を通じたイノベーションの創出による新価値創造
(Co-Creation)を実現することができると考えています。
■表04-1. 自律協働型ワークスタイルの推進に向けた4観点
観点 |
考え方 |
働く時間 |
社員同士のコラボレーション(協働)を前提に、社員が自身の健康やプライベートの充実・キャリアアップ等に費やす時間を確保するため、自律的にメリハリのある勤務ができるような「働く時間」の実現を目指す |
働く場所 |
・会社(オフィス)は、「社員同士の知の集う場」「コラボレーション(協働)のための中心の場」としての「象徴」となることを目指す ・心理的安全性が担保された環境下で、個人事由による勤務場所の制約がなく、能力を発揮しやすい環境で働ける状態を目指す |
社員の関係性 |
相互尊重を前提に、キャリア形成・人脈形成や自己研鑽等、社員一人ひとりのありたい姿の実現に向けて、多彩な知の集合(有機的なつながり)として相互にとって有益な関係性となることを目指す |
風土醸成 |
社員が自ら、マンダムグループで働く内発的な動機や意義を見出し、モチベーション高くやりがいを持って働くことができている状態を目指す |
(2) 取組事例と今後の取組み (表04-2)
観点 |
これまでの取組事例 |
今後の取組事項 |
働く時間 |
・コアタイムを完全撤廃したフルフレックス勤務の導入 ・個人事情に柔軟に対応可能な勤務時間中の「中抜け」の認可 ・各部門の時間外労働削減に向けた計画づくりと実践 |
・社員の個人事由に基づく制約がなく、多彩な社員が活躍できる働く時間・場所の継続的な整備 ・社員同士のコラボレーションを促進するオフィスづくりの推進 ・社員の“知的にぎわい”を促進するコミュニケーション活性化の推進 ・社内クラブ活動の拡充 |
働く場所 |
・個人の家庭事情等に合わせ、所属部署の拠点事業所以外の事業所でも勤務可能とする「遠隔地勤務」のトライアル実施 |
|
働く人の関係性 |
・年1回の研修旅行の実施 ・社内のコミュニケーションの活性化を目的とした自由談話会の実施 |
05.タレントマネジメント |
(1) 考え方
多彩な個性や強みを活かす環境づくりとともに、それらを最大化するためのジョブ起点の人財マネジメントも推進していきます。当社グループでは、タレントマネジメントを「社員一人ひとりが持つ能力や資質・才能を把握し、戦略的に企業経営に活かすことを目的とする取組み」と捉え、「ジョブ×キャリア自律」の考え方に基づき、後述の「MHRX」の取組みをはじめとした様々な取組みを引き続き実践していきます。
■表05-1. 「ジョブ×キャリア自律」に関する考え方
観点 |
考え方 |
ジョブ |
変化の激しい時代の中で常に新たなお役立ちを実現するため、社員一人ひとりの個性と強みに基づく“ジョブ(役割)”を基軸に、専門性の向上と適所適財の実現を目指す |
キャリア自律 |
社員一人ひとりが自律的な学びや成長を通じて、高度化・複雑化する環境に対応できる強み(専門性)を持ったプロフェッショナル人財への成長を目指す |
(2) 取組事例:ジョブ×自律を起点とした人事の仕組み改革(MHRX)
当社グループのタレントマネジメントに関する取組事例として、日本におけるMHRX(Mandom HR Transformation、マークス)が挙げられます。これは当社における新たな価値創出によるお役立ちの実現に向けた、変革・挑戦できる組織と人財創造を実現するための「ジョブ×キャリア自律」を起点とした人事の仕組み改革であり、当社では2019年からこの取組みに着手しました。このMHRXを通じて、当社では2023年度から新しいジョブ型人事制度の運用を開始しています。
このMHRXでは、「人事制度改革」「キャリア開発」そして「タレントマネジメント」の3つの柱から構成されており、それぞれ次のような取組みを行っています。
■図05-2. MHRXの全体像
(3) MHRXに関する取組事例の詳細と今後の取組み
①キャリア開発
当社におけるこのMHRXの改革を実現するためには、これを実行する当社社員一人ひとりの成長が必要不可欠だと考えています。そのため当社では、社員のキャリア自律を目指すための「キャリア開発」を、このMHRXの3つの柱における中心として位置付けており、社員一人ひとりの強みや個性を最大限引き出し、専門性を強化するためのキャリア開発を推進しています。このキャリア開発では、主に「キャリア形成後押し」「活躍の場づくり」、そしてそれを支える「基盤整備」の3つの観点から取組みを行っています。
具体的な施策事例は下表の通りとなり、今後も引き続きこれらの施策の継続実施を通じて、社員の自律的なキャリア形成と、プロフェッショナル人財化に向けた支援を行っていきます。
■図05-3. キャリア開発 体系図
■表05-4. キャリア開発支援に関する制度・取組企画事例(2023年度)
取組観点 |
制度・企画名 |
概要 |
キャリア形成 後押し (キャリア自律軸) |
役職・年代別 キャリア研修 |
30~40代を中心に自身のキャリアを内省する機会を提供 管理職向け研修では、自身のキャリア形成に加えて部下のキャリア支援に関するコンテンツも合わせて提供 |
自己申告制度 |
社員が自身のキャリアプランを内省する機会を提供 記載内容は、部下へのキャリア支援や人事異動に活用 |
|
アセスメント& フィードバック |
社員自身の特性やスキル・強みを把握するツールとして提供 アセスメント結果は、管理職任用時の参考資料にも活用 |
|
教えて課長さん |
社員の他部署業務の理解促進の観点から、各課長へ直接職務内容やキャリアパス等を質問・相談できる機会を提供 |
|
キャリア形成 後押し (能力開発軸) |
部門長研修 |
事業運営の要となる部門長に対するマインドセットや部門長同士・経営層との連携強化を目的に実施 |
挙手制研修 |
社員の自律的な能力開発・キャリア形成の後押しに向けた研修機会を提供 |
|
自己投資支援制度 |
社員の職務に関わるスキルの向上や資格の取得、語学学習に対する一部費用を会社が負担 |
|
語学学習支援制度 |
||
活躍の場づくり |
社内公募制度 |
「社員と会社のマッチング」の一環として、社員自ら希望するポジションに応募し、異動を可能とする機会を提供 |
副業制度 |
社員の専門性の強化と社外における経験・知見の拡大を目的に、副業を推進 |
|
基盤整備 |
職務記述書(JD) 社内公開 |
管理職以上の全ポジションにおける役割・達成責任等を記載した職務記述書を作成し、社内全体に開示 |
②人事制度改革
当社の従来の人事制度は「経験年数」を重視する制度であり、これまでの当社の事業運営を支える仕組みとして機能してきました。しかし昨今のVUCA時代における大きな社会変化に伴って、一部社員において職務上の役割と等級のアンマッチが顕在化してきました。このような中、今後の変化の激しい時代に適応し、社員が高度化・複雑化する問題に的確に対応できるようになるためには、社員一人ひとりが各人の役割を認識し、職責を果たすために自律的・継続的にスキルを向上させていくことが必要不可欠であると考えています。そのため当社では、このような外部環境の変化に適応し生活者にお役立ちし続けるため、「役割に求められる職責やスキルの明確化」を通じて社員一人ひとりの自己研鑽による専門性の向上と成長を促進するとともに、「役割の大きさに応じた公平公正な評価と処遇」を行うことで社員がやりがいを感じ、成果に繋げることができるジョブ型の新人事制度を2023年度より導入しました。今後はこの新人事制度の社内定着と社員への理解浸透に向けて、引き続き取り組んでいきます。
■表05-5. 各人事制度の特徴
制度 |
概要 |
等級制度 |
経験年数を重視し、職務遂行能力の獲得・保有に応じて等級を付与する「職能等級制度」から、役割を基準としたジョブ型の「役割等級制度」に変更 |
報酬制度 |
役割の大きさやチャレンジによる成果を適切に処遇に結び付け、処遇面でもやりがいを感じられる仕組みを整備 |
評価制度 |
役割等級制度に変更することに合わせ、各等級に求められる役割定義に基づいて創出した成果をはかる公平公正な評価制度へ変更 |
③タレントマネジメント
当社ではタレントマネジメントを「社員一人ひとりが持つ能力や資質・才能を把握し、戦略的に企業経営に活かすことを目的とする取組み」と捉えており、この実践に向けて表05-6の5つの観点に基づき取組みを進めています。
■表05-6. タレントマネジメント5観点の考え方
観点 |
考え方 |
採用 |
「適所適財」の観点から、事業戦略を踏まえて社内外問わず最適な人財を採用 |
配置 |
社員のキャリア意向と会社意向の「マッチング」を前提として、社員の専門性を踏まえた適所適財な異動配置を実施 |
育成 |
それぞれの個性と強み(専門性)を持った、社外でも通用するプロフェッショナル人財を育成 |
評価 |
社員一人ひとりの役割(ジョブ)の大きさやチャレンジによる成果に基づき、公平公正に評価 |
処遇 |
年齢や経験年数に関係なく、個人の役割(ジョブ)の大きさや創出した成果に応じて公平公正に処遇 |
C. MP-14 マンダムグループ人財戦略
(1) 考え方
当社グループでは、2024年度より第14次中期経営計画(MP-14)がスタートしました。このMP-14経営基本方針(経営戦略)では、取組事項の一つとして「グループ経営実践に向けた経営基盤の継続強化」に向けた「人的資本の最大化による組織能力の向上」を掲げており、当社グループへの人財に対する取組みをMP-14経営基本方針における重要取組事項の一つとして位置付けています。
また当社グループでは第12次中期経営計画(MP-12)より、グループ経営執行体制として事業軸と機能軸によるマトリックス体制を導入していますが、2024年度よりこのマトリックス体制の更なる強化を目的として、新たにCxO体制を導入しています。このCxO体制のもと、当社グループでは、特に機能軸の観点から各事業(日本事業・インドネシア事業・海外その他事業)を横断した経営執行を通じて、グループ経営執行体制を強化し、経営資源の配分の最適化と意思決定の迅速化を図ることで、イノベーションの加速と成長性の向上を目指していきます。これに伴って、人事機能に関しても、従来のような日本を主軸とした取組推進から視点を変え、グループ視点に基づいた人的資本への取組みを通じて、当社グループ全体での人的資本の最大化による組織能力の向上を目指していきます。
そのため、今回のMP-14における人財戦略の策定にあたっては、各事業戦略と同様に、各事業(日本事業・インドネシア事業・海外その他事業)の現状とありたい姿に即した人財と組織に関する戦略を検討し、策定することが重要であると考えました。そこでMP-14より新たに当社グループ戦略の体系を刷新し、当社グループを束ねるGHQ(Global Headquarters)の人財戦略を最上位に据え、このGHQの方針に基づいて各セグメントの人財戦略を策定し、この各戦略に沿って取組みを推進していきます。
■表C-1. 各事業別人財戦略に基づくMP-14の主要取組
セグメント |
主要取組 |
GHQ (Global Headquarters) |
・グループ経営の中枢となる、グローバル人事を推進するGHQの体制やポリシー、グローバル人事制度の整備 ・グループの経営を担う次世代人財候補の育成 |
日本事業 |
・更なる新価値創造に向けて、社員の持つ多様性を最大限に活かした、適所適財に基づくタレントマネジメントの推進 ・社員のプロ人財化に向けた、キャリア・能力開発体制の構築と実践 ・「ジョブ×キャリア自律」の考え方に基づき、社員がより一層自律的にやりがいを持って働くことができる環境づくりと風土醸成 |
インドネシア事業 |
・組織設計や人事制度改定を通じた、公平・公正な処遇の実現と生産性向上 ・イノベーションを創出し続けられる、強固で柔軟な組織づくりと人財育成 ・組織全体におけるチャレンジングな風土の醸成 |
海外その他事業 |
・現地各社の安定的・永続的な組織運営を可能とする仕組みの構築 ・グループ各国における適所適財に基づく経営人財の任用 |
D. MP-14 人的資本・多様性に関する設定指標
当社グループの人的資本経営の各取組観点、およびMP-14における当社グループの事業セグメントごとの戦略と取組事項を踏まえ、事業セグメントごとに主要項目に関する目標値を設定しています。また、各種取組みを通じて達成すべき最終指標として、当社グループ連結における人的資本RoIの目標値を設定し、この達成を目指します。
設定指標の詳細は、下の表をご参照ください。
■MP-14 人的資本・多様性に関する設定指標一覧 (表D-1)
セグメント |
設定指標 |
2023年度 実績 (注2) |
2027年度 目標 |
人的資本RoI |
|||
GHQ (グループ全体) |
グループ連結 人的資本RoI (注1) |
13.0% |
41%以上 |
理念の共有と実践 |
|||
GHQ (グループ全体) |
考働原則(MANDOM PRINCIPLES)実践率 |
64.0% |
80%以上 |
ダイバーシティ&インクルージョン |
|||
日本事業 (当社) |
女性管理職比率 |
12.8% |
20%以上 |
管理職 キャリア採用者比率 |
21.1% |
30%以上 |
|
健康経営・自律協働型ワークスタイル |
|||
日本事業 (当社) |
正社員1人あたり月間平均時間外労働時間 |
16.6時間 |
10時間以下 |
経済産業省 健康経営度調査偏差値 |
51.0 |
55.0以上 |
|
タレントマネジメント |
|||
GHQ (グループ全体) |
マンダムサーベイ「持続可能なエンゲージメント」カテゴリ 肯定的スコア |
70pt |
81pt以上 |
グループ共通 ジョブグレーディング実施率 |
- |
100% |
|
グループ経営人財育成研修における女性参加比率 |
- |
30%以上 |
|
グループ経営人財育成研修における外国籍社員 参加比率 |
- |
30%以上 |
|
日本事業 (当社) |
新卒正社員 入社後3年間定着率 |
93.8% |
毎年度90%以上 |
マンダムサーベイ「当社には、私の能力を伸ばし成長する機会があると思う」肯定的スコア |
63pt |
80pt以上 |
|
マンダムサーベイ「私の担当業務に要するスキル向上のための研修機会は十分である」肯定的スコア |
56pt |
80pt以上 |
|
正社員 自己投資支援制度活用率 |
3.9% |
15%以上 |
|
正社員 語学学習支援制度活用率 |
7.2% |
15%以上 |
|
インドネシア 事業 (PT MANDOM INDONESIA Tbk) |
マンダムサーベイ「イノベーション」カテゴリ 肯定的スコア |
78pt |
82%以上 |
新卒正社員 入社3年以内離職率 |
- |
0% |
|
自己都合退職率 |
- |
1.8%以下 |
|
海外その他事業 |
グループ人事ポリシーに基づく グループ各社人事制度の策定および実施率 |
- |
100% |
(注1)・人的資本RoI=営業利益額÷人件費にて算出。
・人件費は、賃金に加えて福利厚生および教育・研修に関する費用も含む。
(注2)・実績の集計を2024年度より開始する設定指標については記載していない。
また、当社グループにおける人的資本に関する考え方や取組事例の詳細については、当社ホームページにて随時開示しております。