2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    877名(単体) 1,276名(連結)
  • 平均年齢
    41.4歳(単体)
  • 平均勤続年数
    13.3年(単体)
  • 平均年収
    6,470,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

化粧品関連事業

613

(1,101)

栄養補助食品関連事業

313

( 574)

その他関連事業

72

(  80)

全社(共通)

278

(  32)

合計

1,276

(1,787)

 

(注) 1 従業員数は、ファンケルグループからファンケルグループ外への出向者を除き、ファンケルグループ外からファンケルグループへの出向者を含む就業人員であります。

2 従業員数欄の(外書)は、エリア正社員および臨時従業員の年間平均雇用人員であります。

3 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門等に所属しているものであります。

 

(2) 提出会社の状況

2024年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

877

(1,276)

41.4

13.3

6,470

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

化粧品関連事業

334

( 686)

栄養補助食品関連事業

243

( 492)

その他関連事業

55

(  67)

全社(共通)

245

(  31)

合計

877

(1,276)

 

(注) 1 従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員であります。

2 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。

3 従業員数欄の(外書)は、エリア正社員および臨時従業員の年間平均雇用人員であります。

4 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門等に所属しているものであります。

 

(3) 労働組合の状況

労働組合は結成されておりませんが、労使関係については良好であります。

 

 

 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 ①提出会社

当事業年度

補足説明

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業

取得率(%)

(注2)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

48.5

100.0

51.5

79.3

83.4

男性労働者の育児休業取得率には会社独自の育児休暇制度の取得を含んでおります。

 

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

 ②連結子会社

当事業年度

補足説明

名称

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業取得率(%)

(注2)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

㈱アテニア

61.9

-

48.5

74.4

-

当事業年度の男性労働者の育児休業取得対象者がいないため、算出しておりません。

パート・有期労働者においては、男性従業員が在籍していないため、算出しておりません。

㈱ファンケル美健

10.7

100.0

43.0

74.7

87.5

男性労働者の育児休業取得率には会社独自の育児休暇制度の取得を含んでおります。

 

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 ファンケルグループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてファンケルグループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティに関する基本方針

 サステナビリティ方針

ファンケルグループは1980年の創業以来、一貫して社会課題解決型企業として成長してまいりました。創業理念として「正義感を持って世の中の『不』を解消しよう」を掲げ、その想いは、現在に至るまで徹底して引き継がれております。2018年6月には「ファンケルグループ サステナブル宣言~未来を希望に~」を策定し、持続可能な開発目標(SDGs)と足並みをそろえて、持続可能な社会の実現に貢献していく意志を表明いたしました。さらに、第4期中期経営計画「再興2026」に基づき、ファンケルグループにおける重要課題(マテリアリティ)を再設定し、主要なマテリアリティには定量目標を定め、着実に推進してまいります。

 

(2) ファンケルグループ重要課題(マテリアリティ)

① 認識している外部環境

世界的な気候変動により、政策や規制の強化、自然災害の激甚化や農産物への影響、感染症リスクの増大が想定されます。地政学リスクの高まりは、原材料の価格高騰や供給不安を引き起こします。世界の人口増加に伴う食料不安のおそれや、日本の人口減少と高齢化も深刻になっています。このような地球環境や社会の変化により、人々の「美」と「健康」の意識やニーズも多様化していくことが見込まれます。これらの社会背景を踏まえ、社会と共に持続的な発展・成長をしていくために、ファンケルグループ重要課題(マテリアリティ)を改めて抽出し、再設定しました。

 

② ファンケルグループ重要課題(マテリアリティ)見直しのステップ

<STEP1>社会課題の抽出(2023年3月~7月)

「SDGs」、「国連グローバル・コンパクト」、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」および「パリ協定」などの国際規範や国際動向がファンケルグループに与える影響を分析し、さらに、お客様、投資家・株主様、お取引先様、地域社会および従業員との対話を通じ、ステークホルダーからの期待や要請なども確認し、様々な視点で社会課題を抽出しました。

 

<STEP2>経営層によるアンケート(2023年7月)

サステナビリティ推進部門がステークホルダーとファンケルグループそれぞれに対するインパクトを鑑みて、重要課題(マテリアリティ)の候補を選定しました。取締役執行役員、執行役員および組織長を中心にアンケートを実施し、結果をもとに優先順位づけを行い、マテリアリティ・マトリクスの草案を作成しました。

 

<STEP3>ステークホルダーエンゲージメントと経営層による議論(2023年8月~2024年1月)

マテリアリティ・マトリクスの草案をもとに、ステークホルダーの期待や要請を再確認しました。重点テーマ、重要課題(マテリアリティ)および定量目標の草案を作成し、取締役執行役員および執行役員で構成されるサステナビリティ委員会に上申しました。

 

<STEP4>取締役会で決議、公表(2024年5月)

サステナビリティ委員会での議論を経て、取締役会で議論を深めた後に最終決議しました。具体的な戦略・行動計画を立案し、2024年5月に第4期中期経営計画「再興2026」の、サステナビリティ戦略として公表しました。

 

③ マテリアリティ・マトリクス

抽出した重要課題(マテリアリティ)を、ファンケルグループへのインパクトとステークホルダーへのインパクトの2つの観点から評価し、マテリアリティ・マトリクスとして整理しました。環境・社会の重要課題(マテリアリティ)に加え、それを支える経営基盤の重要課題(マテリアリティ)も設定しました。重要課題(マテリアリティ)は社会の変化とともに変わるものと捉え、原則として3年ごとに改訂していきます。

 


 

2030年の未来に向けて、ファンケルグループがめざす姿を3つの重点テーマ「豊かな地球環境」、「健やかな暮らし」および「誰もが輝く社会」として設定しました。それぞれのテーマのもとに、重要課題(マテリアリティ)を分類し、定量目標を掲げ、具体的なアクションにつなげていきます。

 

豊かな地球環境

<重要課題>

・気候変動への対応・CO2排出量の削減

・資源循環の促進と廃棄物の削減

・持続可能な生物資源の利用

・持続可能な水資源の利用

 

 

 

 

<目標>

・2050年度までにCO2排出量実質ゼロ

・2030年度までにプラスチックを使用した容器包材における4R(注1)対応100%

・2030年度までにファンケル化粧品のプラスチックを使用した容器のうち植物由来・再生由来プラスチックの使用率50%

・2026年度までに容器回収リサイクルのお客様参加数(2023年1月からの累計参加者数)10万人

・2026年度までに持続可能なパーム油の調達RSPOマスバランス比率80%

・2025年度までに紙を使用した容器包装における環境配慮紙(注2)の採用100%

 

(注) 1 Reduce(容器プラスチック使用量の削減)、Reuse(容器の再利用)、Recycle(容器回収リサイクル)およびRenewable(再生素材または植物素材への切り替え)であります。

2 認証紙、非木材紙および再生紙などであります。

※「プラスチックを使用した容器包材における4R対応」、「持続可能なパーム油の調達RSPOマスバランス比率」および「紙を使用した容器包装における環境配慮紙の採用」は、㈱ファンケルおよび㈱アテニアの化粧品、栄養補助食品を対象としております。

 

健やかな暮らし

<重要課題>

・年齢とともに生じる健康と美の課題への対処

・女性特有の健康課題への対処

・肌不調の増加への対処

・基本栄養の適切な摂取

<目標>

・2026年度までにファンケルの化粧品・健康食品を利用する50歳以上の方の拡大110%(2023年度比)

・2026年度までに年齢とともに生じる健康と美の課題に対してファンケルの製品を利用するプレシニア・シニアの方の拡大125%(2023年度比)

・2026年度までに女性特有の健康課題に対してファンケルの製品を利用する方の拡大120%(2023年度比)

・2026年度までに肌不調に対してファンケルの無添加スキンケアを利用する方の拡大120%(2023年度比)

・2026年度までに基本栄養の適切な摂取にファンケルの製品を利用する方の拡大115%(2023年度比)

 

 

誰もが輝く社会

<重要課題>

・多様性・人権の尊重

・地域・社会への貢献

<目標>

・2030年度までに女性管理職比率50%

・2030年度までに女性上級職志向率70%

・2030年度まで女性のいきいき職場総合評価12.5点を維持

・2030年度まで男性育休取得率100%を維持

・2030年度までに男性育休取得日数(30日以上)50%

・2030年度までに障がい者雇用率5%

・2026年度までに未来の健やかな暮らしにつながる活動の参加者数(2024年度からの累計)(ファンケル 神奈川SDGs講座、食育および健康セミナーなど)19,000人

・2026年度までに障がいのある方に明るく前向きな日々を過ごしていただくための活動の参加者数(2024年度からの累計)(特別支援学校の身だしなみセミナー、視覚障がいセミナーおよび訪問の家との交流など)1,400人

 

 

 ガバナンス体制 サステナビリティ委員会

サステナビリティを経営の中核におき、目標を必達し中長期的に企業価値を向上させるため、2021年10月に「サステナビリティ委員会」を新設いたしました。

「サステナビリティ委員会」は代表取締役社長執行役員CEOを委員長として、取締役執行役員および執行役員によって構成され四半期毎に年4回開催、年2回取締役会へ報告しております。取締役会が監督およびモニタリング機能を十分に果たすために、取締役会で決議する方針、戦略に関する事前審議のほか、目標に対する進捗管理や評価、個別施策の審議などを行っております。

 


2023年度は、サステナビリティ戦略におけるマテリアリティの再設定、TCFD提言に基づく情報開示の充実、CO2排出量の削減(スコープ3の算定精度向上)、プラスチック使用量の削減に向けた容器回収リサイクル、持続可能な調達などの進捗管理・評価を行い、取締役会に報告いたしました。

 

 

ファンケルグループのサステナビリティへの取組に関する詳細な情報については、当社ウェブサイト(https://www.fancl.jp/sustainable/index.html)をご参照ください。

 

(3) 気候変動への取組

持続可能な社会の実現には、気候変動関連の課題解決が最優先と考えます。

ファンケルグループは、2050年を見据えた長期的な視点で予測される機会とリスクを考慮し、緩和と適応の両面から気候変動に取り組みます。

そして自然の恵みに感謝し、企業活動のあらゆる面において自然環境の保全に貢献します。これらの方針を具体的なアクションにつなげるため、2020年10月にTCFDの提言への賛同を表明いたしました。

 

ファンケルグループの気候変動への取組に関する詳細な情報については、当社ウェブサイト(https://www.fancl.jp/sustainable/environment/tcfd/index.html)をご参照ください。 

 

① ガバナンス サステナビリティ委員会

サステナビリティを経営の中核におき、中長期的に企業価値を向上させるため、代表取締役社長執行役員CEOを委員長として、取締役執行役員および執行役員によって構成された「サステナビリティ委員会」を設置しております。「サステナビリティ委員会」では、気候変動への取組をはじめとしたサステナビリティの取組について、目標に対する進捗管理や評価を行い、取締役会が監督およびモニタリング機能を果たしております。

「サステナビリティ委員会」に関する詳細な内容については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)ファンケルグループ重要課題(マテリアリティ) ④ガバナンス体制 サステナビリティ委員会」に記載のとおりであります。

 

② 戦略 

第4期中期経営計画「再興2026」におけるサステナビリティ戦略において、社内外の環境変化を踏まえてファンケルグループにおける重要課題(マテリアリティ)を再設定し、環境への配慮に関しては、「気候変動への対応・CO2排出量の削減」、「資源循環の促進と廃棄物の削減」、「持続可能な生物資源の利用」および「持続可能な水資源の利用」について、定量目標を定めてファンケルグループ全体で推進していきます。

 

(気候変動におけるリスクと機会)

<前提条件>

対象期間

~2030年度

対象範囲

国内の販売3チャネル(通信販売、直営店舗販売、卸販売)における、主に化粧品事業・栄養補助食品事業

算定条件

IEA(国際エネルギー機関)World Energy OutlookやIPCC(注)第6次評価報告書(1.5℃シナリオ)などに基づき分析

 

項目別に対象期間内の想定される売上高、利益影響額を算定

 

公共事業などのインフラ強化やテクノロジーの進化などは考慮しない

 

(注) IPCCとは、 Intergovernmental Panel on Climate Changeの略語で、世界気象機関(WMO)および国連環境計画(UNEP)により1988年に設立された政府間組織のことであります。

 

 

世の中の変化

ファンケルグループのリスクと機会

財務的影響額

移行リスク

気候変動対応の政策、規制強化

炭素税導入によるコスト増加

炭素税コスト増加額

約2.7億円

※2030年度のコストを想定

資源循環対応の政策、規制強化

資源循環に対する政策や規制強化による、化粧品容器の植物由来プラスチック、再生由来プラスチック使用によるコスト増加

化粧品容器の原価増加額

約1億円

※2030年度のコストを想定

感染症の発生による外出制限、インバウンド需要減少

渡航規制によるインバウンドの売上高減少や、外出自粛が発生することによる、直営店舗販売・卸販売の売上高減少

※COVID‐19を参考に算定

売上高減少額

約33億円

物理的リスク

気象災害の激甚化、海面上昇

浸水による工場建物被害が発生し、生産能力が低下することに起因したコスト増加

建物修繕、解体撤去、

設備費用 約3.5億円

農産物由来の原材料の生産量減少や品質低下

農産物由来の原料調達コストの高騰、代替品への切り替え等の追加コスト

青汁、発芽米、パーム由来原料等の原価増加額

約1.5億円~2.6億円

機会

気候変動や感染症の発生による消費者ニーズの変化

消費者の健康や衛生への関心の高まりに伴う、免疫系、衛生商品などの売上高増加

※COVID‐19を参考に算定

売上高増加額

約32億円

消費者の肌不調の増加や、基本栄養の関心の高まりに伴う、無添加スキンケア、基本栄養関連商品の売上増加

 

売上高増加額

約16億円

※2030年度の売上高を想定

感染症が発生した場合、外出自粛や店舗休業等の影響による、通信販売の売上高増加

※COVID‐19を参考に算定

売上高増加額

約23億円

ESG評価による企業価値の向上

気候変動対応に取り組むことによる、ESG評価額の向上

※株価1%上昇と想定

株価評価額

約26億円

 

 

③ リスク管理

「パリ協定」では世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つ(2℃目標)とともに、1.5℃に抑える努力を追求すること(1.5℃目標)が示されています。

ファンケルグループでは、1.5℃目標への対応力を強化することが重要という考えのもと、IEA(国際エネルギー機関)World Energy OutlookやIPCC第6次評価報告書(1.5℃シナリオ)などに基づき、想定されるリスクと機会の定性分析および財務的影響額の算定を進め、ファンケルグループとして管理すべき内容を「サステナビリティ委員会」に上程しています。特に重要な事項は取締役会へ適宜報告を行い、速やかな対応を行っています。

 

④ 指標及び目標 

ファンケルグループは、気候変動に関する世界的な潮流や国の方針に呼応して「2050年度までにCO2排出量実質ゼロ(対象範囲はスコープ1+2)」を目標に掲げています。

 

(CO2排出量実績)

ファンケルグループにおけるスコープ1+2のCO2排出量の実績は、下表のとおりであります。

 

 

 

 

 

       (単位:t-CO2)

 

 

2018年度

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

実績

スコープ1+2

11,751

10,665

10,522

10,740

4,012

 

スコープ1

3,304

3,099

3,066

3,476

3,426

 

スコープ2

8,447

7,566

7,456

7,265

587

 

※ 2021年度、2022年度実績は、第三者保証を取得しております。

詳細な情報については、当社ウェブサイト ファンケルESGデータ集

(https://www.fancl.jp/sustainable/data/esgdata/index.html)をご参照ください。

※ 上記排出量の対象範囲は、国内連結対象会社としております。

※ 上記排出量は、マーケット基準で算定しております。

 

CO2排出量削減の具体策として、太陽光パネルを国内の3工場(滋賀工場、群馬工場、三島工場)と関西物流センターに設置しております。さらに、2021年12月から各電力会社の提供している再生可能エネルギー由来電力の導入に順次着手し、2022年4月から一部の賃貸拠点を除く国内12拠点において、再生可能エネルギー由来電力を100%採用したことにより、スコープ2におけるCO2排出量を大幅に削減いたしました。

引き続き、ファンケルグループ全体で、気候変動への対応とCO2排出量の削減に積極的に取り組み、「2050年度までにCO2排出量実質ゼロ」の目標を達成すべく推進してまいります。

 

(4) 人的資本への取組

■経営戦略

ファンケルグループは「VISION2030」を掲げており、その実現に向け第4期中期経営計画「再興2026」において7つのチャレンジテーマを実行しております。その1つであるサステナビリティ戦略の中で、経営基盤のマテリアリティとして「多様な人材とともに未来をつくる」を設定し、経営戦略と人材戦略の連動を加速させます。

・「VISION2030」~世界中を、もっと美しく、ずっと健やかに、そして世界中で愛される会社に~

・「VISION2030」を実現するための7つのチャレンジテーマ

①ブランド戦略/②化粧品事業・健康食品事業戦略/③国内チャネル戦略/④海外チャネル戦略/

⑤新規事業戦略/⑥サステナビリティ戦略/⑦理念の実践

 

■経営戦略を達成するための人材戦略

経営戦略を達成するための人材戦略として、ファンケルグループでは「人材育成」、「人材活躍」および「組織風土の醸成」という3つの視点で取り組みを進めております。VUCA(注)の時代において、変化に即応できる強い企業体質を創り上げるため、人材育成方針に「複数の得意分野の習得」や「ジョブローテーション制度」を取り入れ、従業員が新しい価値を生み出せる体制にしています。また、従業員の新しいチャレンジや価値創造を支える環境づくりとして、ダイバーシティ&インクルージョン(以下、「D&I」という)や健康経営の推進にも積極的に取り組んでいます。これらの取り組みにより、従業員エンゲージメントを向上させ、人的生産性を上げることで一人当たりの利益を増やし、それを給与に還元することで、さらに従業員エンゲージメントが高まるという好循環を作り出し、企業価値の向上へつなげていきます。また、従業員エンゲージメント調査や組織風土調査、役職者・職位者評価により、人材戦略の実行度を定期的にチェックしております。

(注) VUCAとは、「Volatility(不安定性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(不透明性)」の頭文字をつなげた、予測不能な時代を表す言葉であります。

 

①経営理念である『不』の解消の実行力アップ(人材育成)

ありたい姿:様々な得意分野をもったメンバーが様々な部門にいることで各所に新しい価値が生み出される状態

a) 人材育成方針の策定:複数の得意分野の習得+ジョブローテーション制度、次世代経営層の育成

b) 特に強化すべき機能の選定:経営、マーケティング、R&D、新規事業、デジタル・DX、グローバル

 

②全従業員が活躍できる環境づくり(人材活躍)

ありたい姿:個々の従業員が主体性を持ち、多様な個性・能力を発揮できる環境づくり

a) D&I:若手の登用、女性・ベテラン・シニア層・グローバル人材の活躍推進、障がい者雇用の促進

b) 健康経営:アブセンティーズム・プレゼンティーズムの低減、ワークエンゲージメントの向上

 

③経営理念の実行力を高める組織風土の醸成(組織風土の醸成)

ありたい姿:ベンチャー精神を忘れずに、『不』の解消に向けてチャレンジし続ける組織風土への変革

a) 意識改革:マルチステークホルダー(お客様、投資家・株主様、お取引先様、地域・社会および従業員)に対しての「行動指針」の改定

b) 実行力の向上:未来を語る会(代表取締役社長執行役員CEOと従業員の対話)および、アイディアコンテスト(新規事業創出)の実施


 

■取締役会における監督

人材戦略における戦略立案からその進捗確認について、サステナビリティ委員会と取締役会にて年に1回以上報告することで、定期的に監督を行っております。

 

■人材育成方針

『複数の得意分野の習得+ジョブローテーション制度』

先が見通せないVUCAの時代において、1つの専門性に特化した人材の構成比率が高まると、当該業務が将来的に消失した際、雇用を継続できなくなります。

また、新たな領域にチャレンジする際においても、外部から人材を確保しなくてはならず、スピード感を持った業務推進ができないリスクにつながる可能性があります。そのため、ファンケルグループでは「複数の得意分野の習得」という人材育成方針を定め、「ジョブローテーション制度」と合わせて実行することで、様々な得意分野をもったメンバーが、様々な部門で新しい価値を生み出すことができる状態を目指しております。社員は「この分野なら自分の力が発揮できる」という複数の得意分野を習得することを前提とし、個々が主体性・得意分野を持ち、多様な個性・能力を発揮することで、世の中の新たな『不』の解消に挑戦し続け、持続的な企業の成長につなげていきます。

また、ファンケルグループの強みである「複数の事業×マルチチャネル」を保有していること、製販一貫体制により様々な業務機能を自社で保有していることは、ファンケルグループで様々な経験を得られることにつながるため、複数の得意分野を習得するという人材育成方針を叶える環境として、親和性が高いと考えております。

 

<キャリア方針>

・「この分野なら自分の力が発揮できる」という得意分野は、社員全員が持つべきものと位置付けます。

・多角的な視点の獲得を目指し、3分野以上の得意分野の獲得を目指します。(例 事業/営業/経営・管理)

・得意分野を社員全員が習得し、マネジメントを経験するか、得意分野を追求するか適性を見極めていきます。

 

<具体的な取り組み ~人材育成~>

・強化機能を底上げするリスキリング体系の構築

a) 経営:サクセッションプランの構築と(次世代)経営層の育成

経営・経営候補者層に向けた教育強化

役員層研修:累計23回/127名受講(2024年3月末時点)

経営スクール:75名受講(2024年3月末時点)

b) デジタル・DX:資格取得促進や社内研修の構築

ITパスポート合格&ベーシックスキル教育修了者:441名(2024年3月末時点)

データ分析・活用教育修了者:19名(2024年3月末時点)

c) マーケティング:マーケティングスキルの底上げと社内研修の構築

ベーシックスキル教育修了者:397名(2024年3月末時点)

デジタルマーケティング教育修了者:112名(2024年3月末時点)

d) グローバル:異文化理解・マネジメントスキルの底上げと海外赴任者の選定

異文化理解・マネジメント教育修了者:46名(2024年3月末時点)

海外赴任:10名(2024年3月末時点)

・ジョブローテーション:役員、管理職、若手メンバーなどを含めてジョブローテーションを実施

102名(2021年度)/246名(2022年度)/365名(2023年度)

・社内兼務体制の整備:新規事業立ち上げのタスクチームにおける兼務体制を構築

11名がタスクチームを兼務(2024年3月末時点)

 

■人材活用方針および組織風土の醸成

『個々が主体性を持ち、多様な個性・能力を発揮できる環境づくり』

「人間大好き企業」のファンケルグループは、「みんな違ってあたりまえ」というスローガンのもと、様々な価値観や考え方を持つ多様な人材が個性や能力を発揮し、新しい価値を生み出し続けることを目指しております。年齢や性別、障がいの有無、性的指向・性自認、国籍、人種、宗教、価値観や考え方、働き方などの多様性をお互いに尊重し認め合い、一人ひとりがいきいきと輝ける環境のもとでチームワークを発揮できるように努め、変革と価値創造を推進していきます。また、サプリメントのパイオニアとして「従業員の健康」がすべての基盤であるという認識のもと、健康第一の風土づくりを推進します。

 

<具体的な取り組み ~D&I~>

・女性活躍推進

当社は、お客様に「美」と「健康」を提供するため、創業以来、女性従業員が中心となり活躍する風土が根付いています。女性従業員比率は62.2%(2023年度)、女性管理職比率は48.5%(2023年度)となっており、男性の育児休業取得率も100.0%(2023年度)と高い水準になっております。女性が出産や子育てのために退社することはなく、女性と男性が互いに支え合い、ともに能力を発揮できる働きやすい職場づくりを推進しております。一方で、人事制度に性別の差はありませんが、男女間の賃金を比較すると、女性は男性の79.3%の金額となっており、特に女性上級管理職比率30.5%(2023年度)の影響が大きいため、女性の積極的な管理職への登用を見据え、2022年8月より全4回に渡って、女性管理職を対象とした、リーダーシッププログラムを実施(91名受講)しております。

 

・LGBTQ理解促進

性的指向や性自認にかかわらず、誰もが自分らしく、いきいきと働ける社会の実現を目指し、LGBTQなど性的マイノリティに対する理解を促すため、毎年定期的に研修を実施しております。2021年度からは、従業員による「LGBTQアライ」活動も開始しており、2022年11月に任意団体「work with Pride」が策定した、性的マイノリティに関する取り組みの評価指標「PRIDE指標」において、2年連続で「ゴールド」を受賞いたしました。

 

・障がいのある社員の活躍推進

障がいのある方の自立支援を目的に1999年2月、㈱ファンケルスマイル(特例子会社)を設立いたしました。2021年度には従来の業務に加え、関西物流センターでの物流補助業務や清掃業務、化粧品の容器回収リサイクルにおける洗浄業務、クッキーなどの製造を開始したことで新たな活躍の場が拡大しております。㈱ファンケルスマイルのみならずファンケルグループ全体での障がい者雇用も進め、2024年3月末時点の障がい者雇用率は4.53%(㈱ファンケルスマイル:96名/それ以外:15名)となっています。2030年度までにファンケルグループ全体で障がい者雇用率5.0%を目指しております。

 

・シニアの活躍

ファンケルグループでは、2017年に65歳以上でも勤務できる「アクティブシニア社員」という雇用区分を新たに設けました。2020年には、正社員の定年年齢を60歳から65歳に延長いたしました。また、50代以降は、職場でも家庭でも大きな変化を経験する方が多いこと、ナレッジマネジメントのスキルを学び自身の経験と知識を組織に伝えることの大切さから、50代向けキャリア研修も定期的に実施しております。

 

<具体的な取り組み ~健康経営~>

・心と身体の健康への取り組み

現在、従業員の健康を支援する専門組織「健康支援室」に正規雇用の保健師6名が所属し、産業医とともに、職場や医療とも連携できる体制を整え、従業員からの生活習慣病・メンタルヘルスなどに関する相談に応じております。2018年度からは、健康管理の専用システムを活用して、双方向のやり取りが可能になり、心身の疾病の発症を未然に防ぐことに繋がっております。健康経営度調査「ホワイト500」を、8年連続で取得しております。

また、当社のがん対策に積極的に取り組む姿勢が高く評価され、2024年3月には2023年度がん対策推進企業表彰で、最高位(厚生労働大臣表彰 最優秀賞)を受賞しました。

 

・柔軟な働き方への対応

柔軟な働き方に対応するため、様々な家庭の事情を抱える従業員でも活躍の場を広げられるよう、在宅勤務とフレックス勤務を併用できる制度を導入しております。2019年度からは、私傷病や介護などでフルタイム勤務が難しい社員向けに「アソシエイト正社員制度」を導入し、週の所定労働時間を下回らない範囲で勤務時間や日数を柔軟に変更することができる環境を整えております。また、「リフレッシュ休暇」、「ライフイベント休暇」および「ディスカバリー休暇(注)」の特別有給休暇制度も充実させており、年次有給休暇の平均取得率は80.6%(2023年度)となっております。

 

(注) ディスカバリー休暇とは、勤続5年、15年、25年、35年の節目の年に特別有給休暇5日を付与し、キャリアの振り返りや今後を考える機会を提供している休暇のことであります。

 

<具体的な取り組み ~組織風土の醸成~>

・未来を語る会(代表取締役社長執行役員CEOと従業員の対話)を実施し、累計82回/約740名参加(2024年3月末時点)

・アイディアコンテスト(新規事業創出)を実施し、119名参加(2022年度)/78名参加(2023年度)

 

■定量目標

マテリアリティ

目標項目

目標年

成果指標

2023年度

実績

従業員エンゲージメントの向上

1.ストレスチェック結果
    (いきいき職場総合評価)

直近3年

平均

12.0点以上

12.4点

イノベーションを実現する人材育成と活用

2.グローバル人材

 

 

 

a)異文化理解・マネジメント

2026年度

a)1,000名

a)46名

b)日本語以外のコミュニケーション力

b)250名

b)170名

3.デジタル・DX人材

 

 

 

a)ITパスポート、ベーシックスキル教育

2026年度

a)600名

a)441名

b)データ分析・活用教育

b)100名

b)19名

4.マーケティング人材

 

 

 

a)ベーシックスキル教育

2026年度

a)1,000名

a)397名

b)デジタルマーケティング教育

b)150名

b)112名

健康経営の実現

5.健康診断受診率

2030年度

100.0%を維持

100.0%

6.ストレスチェック総合健康リスク120以上部門比率

3.0%以下

6.3%

労働安全衛生の確保

7.労働災害発生率(休業)

2030年度

1.0%以下を維持

0.87%

8.労働災害発生率(死亡)

0.0%を維持

0.0%

ダイバーシティ&

インクルージョンの推進

9.女性管理職比率

2030年度

50.0%

48.5%

10.女性の上級職志向率

70.0%

67.8%

11.女性のいきいき職場総合評価

12.5点を維持

12.5点

12.男性の育児休業取得率(注)

100.0%を維持

100.0%

13.男性の育児休業取得日数(30日以上)

50.0%

9.1%

14.障がい者雇用率

5.0%

4.53%

 

(注) 男性の育児休業取得率には、当社独自の「育児を目的とした休暇」を含みます。

 

※ 目標項目1、6、11の数値は国内連結対象会社、2~5および7~10、12、13の数値は当社、14の数値はファンケルグループ(国内会社)の数値であります。

※ 労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載のとおりであります。