2026年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 18,073 100.0 576 100.0 3.2

3【事業の内容】

 当社は、電子部品のプリント基板(注)1(パッケージ基板(注)2を含む)、コネクター及びリードフレーム(注)3等の接点・接続部位に使用される貴金属めっき薬品の開発、製造及び販売を主な事業内容としております。特にプロセスアドバイス及びアフターフォロー等までも含めた総合的な提案・提供を行っており、ユーザーのニーズに密着した製品の開発、製造及び販売に努めております。

 当社は、1971年7月の会社設立以来、常にエレクトロニクス分野を最大のターゲットとしており、エレクトロニクス業界の伸長に伴い、プリント基板、コネクター及びリードフレーム用の金めっき薬品、銀めっき薬品、パラジウムめっき薬品を市場に送り出してまいりました。特に、製品開発においては海外からの技術導入に頼らない自社独自の開発技術体制で臨んでおり、長年にわたって技術の集積を行っております。

 

 貴金属めっき技術は、表面処理技術の1つであり、貴金属を電気化学的に析出させる「電解めっき」と化学反応を利用して析出させる「無電解めっき」とに大別されます。当社の貴金属めっき薬品を方法別・貴金属別に分類しますと、次のようになります。

めっき方法

貴金属

種類

用途品目別区分

(主な最終製品)

電 解

軟質純金

プリント基板・パッケージ基板(注)2

(スマートフォン、パソコン、電子機器等)

硬質金

コネクター・マイクロスイッチ

(スマートフォン、パソコン、電子機器等)

パラジウム

パラジウム合金

純パラジウム

リードフレーム

(スマートフォン、パソコン、電子機器等)

純銀

無電解

置換金

プリント基板・パッケージ基板

(携帯電話、スマートフォン等)

還元金

プリント基板・パッケージ基板

(サーバー、パソコン等)

パラジウム

還元パラジウム

プリント基板・パッケージ基板

(携帯電話、スマートフォン等)

 

貴金属めっきの必要性について

 エレクトロニクス機器は、多くの部品を組み合わせて作られますが、個々の部品を接続していく工程(実装工程)で、不可欠なものが貴金属めっきです。高密度実装になるほど部品間の接続面積は小さくなり、接点のわずかな腐食、酸化が接続不良につながります。貴金属(金、銀、パラジウム)は、金属の中でも最も腐食、酸化されにくい金属で、実装工程での接点部に貴金属めっきを施すことにより実装部品の信頼性を高めることができます。

(注)1 プリント基板

 絶縁物の板に薄い銅箔を貼付けた基板を、回路図にしたがって不必要な銅箔を取り去り、電子回路を構成したものをいいます。絶縁物にはベークライト、紙にフェノール樹脂をしみ込ませたもの、グラスファイバーに樹脂をしみこませたものなどが使われます。最近では、より小型化するために板を何枚も重ねた多層基板が主流になっています。パソコンのマザーボードなどがプリント基板に該当します。

2 パッケージ基板

 BGA(注)4、CSP(注)5、FC-BGA(注)6、などの半導体パッケージに用いられ、半導体チップ
(IC、LSIチップ)を実装し、外部回路と電気的に接続する高機能プリント基板であります。

3 リードフレーム

 半導体パッケージの内部配線として使われる薄板の金属のことで、外部の配線との橋渡しの役目を果たしており、半導体パッケージの大部分に使われております。

4 BGA(Ball Grid Array ボール・グリッド・アレイ)

 IC(集積回路)パッケージのひとつで、パッケージの裏面に、入出力用のパッドを並べたタイプです。ICチップとの接続はワイヤーボンディング方法が主体です。多ピンのICを表面実装するためのパッケージとして広く使われています。プリント基板との接続は、2次元格子状に配置された半田ボール用電極にて行っています。ワイヤーボンディング及び半田ボール用電極は、いずれも金めっきが施されています。金めっきはワイヤーボンディング部分と半田ボール接合部分に使われております。

5 CSP(Chip Size Package チップ サイズ パッケージ)

 ICのチップとほぼ同じ大きさの超小型ICパッケージのことであります。CSPを使用することで、セットの基板実装面積を大幅に削減できます。BGAと基本構造は同じになっております。高精細な設計になっており、パッケージの大きさはICチップと同等まで小型化されております。電極の大きさは数十ミクロン。金めっきはワイヤーボンディング部分と半田ボール接合部分に使われております。

6 FC-BGA(Flip Chip Ball Grid Array フリップチップ・ボール・グリッド・アレイ)

 BGAパッケージの一種で、半導体チップ表面に形成したバンプを用いて、半導体チップを反転して基板上に直接接続するフリップチップ実装方式を採用した高性能半導体パッケージであります。高速伝送性や高集積化に優れ、主に高性能CPU、GPU、AIサーバー向け半導体等に用いられております。パッケージ基板には、高密度配線形成や接合信頼性確保のため、金めっきが使用されております。

 

 

 

<価値創出の循環モデル>

 当社は『化学の好奇心でエレクトロニクスに役立てる』の企業理念のもとに集まった技術者集団です。経営上の重要課題(マテリアリティ)として、(1)環境にやさしい製品づくり、(2)人的資本経営の推進、(3)知的無形資産の質的向上、(4)経営基盤の強化、の4点を認識し、従業員のほか、お客様やお取引先様、株主や投資家の皆様、化学の将来を担う学生の皆様ほか、すべてのステークホルダーと社会全体に価値を提供しています。さらには、事業活動によって生み出した価値を経営資源に再投入しながら、財務的・非財務的な価値を持続的・循環的に拡大していきます。

 

 

 

1.当社のビジネスモデル、バリューチェーンに与えるサステナビリティ関連のリスク・機会の影響

当社のビジネスモデル及びバリューチェーンは、中長期ビジョン「RDD2030」に掲げる戦略的目標を達成し、短期、

中期及び長期にわたって持続的なキャッシュ・フローを生み出すための、独自の価値創造システムとして機能してい

ます。このシステムは、製品の構想から調達、製造、販売、顧客による使用、そして終了に至るまで、当社が利用し

依存する資源や外部環境との相互作用のすべてを包含しています。

 

(1)価値創造を支える経営資源

当社は知識集約型企業として、以下の経営資源を事業活動に投入し、独自の付加価値へと変換しています。

・人的資本・知的資本: 全社員の約8割を占める物理・化学分野に精通した技術者集団(能動型自律人材)が最大の経営資源です。彼らが開発する長年培われた独自の有機化合物技術「Protecting Agent」を含む「レシピ(知的財産)」、顧客課題に即応する「スピード」、そして製造工程をレシピに基づくフォーミュレーション(秤量・調合)に集約した「ファブライトな製造プロセス」が付加価値の源泉となっています。

・自然資本: めっき薬品の原料となる化学薬品、および、金、パラジウム、銀などの貴金属や希少鉱物に深く依存しています。

・財務資本・製造資本: 大規模な製造設備を持たない「ファブライト経営」により強固な財務基盤を維持しています。固定資産への投資を抑え、経営資源を「人」に集中させることで、高い資本効率を実現しています。

 

(2)バリューチェーンの構造とリスク・機会の集中

当社のバリューチェーンは、研究開発とフォーミュレーションに機能を絞った以下のプロセスで構成されています。

・上流(原材料調達・外注): 化学薬品や貴金属の仕入れ、および外部パートナーへの加工・合成委託。

・内部(研究開発・製造): 技術者による独自のレシピ創出と、それに基づくフォーミュレーション工程。

・下流(販売・顧客による使用): 電子部品メーカー等への製品販売と、実装工程の信頼性を高めるソリューションの提供。

 

当社のシステムにおいて、サステナビリティ関連のリスク及び機会が最も集中しているのは、独自のレシピを創出しフォーミュレーション工程を担う能動型自律人材(技術者集団)の活動です。これらの工程においては、人材の専門性や創造性が、ビジネスモデルの持続可能性や将来のキャッシュ・フローに直結する構造となっています。

 

(3)サステナビリティに関するリスク及び機会がビジネスモデル及びバリューチェーンに与えている影響

①現在のビジネスモデル及びバリューチェーンに与えている影響

識別されたリスク及び機会は、現時点において各段階に以下の影響を及ぼしています。

・上流段階: 化学薬品や貴金属への高い依存により、サプライヤーの環境・安全対応状況や地政学的要因による供給停滞・コスト変動のリスクが、調達の安定性に影響を与えています。

・内部段階:能動型自律人材が創出する付加価値の源泉である「独自のレシピ」、顧客課題に即応するスピード、およびレシピに基づいたフォーミュレーション工程の継続的な最適化といった機会が、他社との差別化や既存技術の優位性の維持に繋がっています。

・下流段階: 化学薬品の危険性や有害性が顧客の作業環境や環境負荷に直結するため、法規制や顧客のグリーン調達基準の変化が製品の市場競争力に直接影響しています。

 

②将来のビジネスモデル及びバリューチェーンに与えると予想される影響

当社は、将来的な資源入手可能性の不確実性や人的資本の質的変化といったサステナビリティ関連のリスクを、最大の経営資源である能動型自律人材の役割を強化し、価値創造プロセスをより強靭なものへと変容させる機会と捉えています。

ビジネスモデルに与える影響: 当社の内部的な価値変換システム(ファブライト経営)において、能動型自律人材の流出や、専門性・創造性の低下といった人的資本の変質は、付加価値の源泉である独自の「レシピ」を生み出す力を弱める重大なリスクとなる可能性がある一方で、彼らが長年培ってきた膨大なレシピや技術情報を、DX基盤の整備を通じて高度にシステム化し、個人の知見を組織の力へと変換することは、外部環境の変化に左右されず持続的に付加価値を生み出し続ける、より強固な知識集約型ビジネスモデルへと進化させる可能性があります。

バリューチェーンに与える影響: 原材料調達から製品使用に至るバリューチェーンの各段階において、顧客課題を的確に把握し解決する技術者集団の質的劣化は、チェーン全体の競争力やレジリエンス(強靭性)を損なうリスクとなる可能性がある一方で、物理・化学に精通した能動型自律人材が主導となり、独自の技術と「スピード」を活かして有害物質を排除した高付加価値製品の開発を戦略的に推進することは、将来の成長市場において他社との圧倒的な差別化を明確にし、供給網全体のレジリエンスを盤石にする可能性があります。

当社は、これらの影響を深く認識し、適切かつ長期的な人財戦略を構築することで、将来の市場環境の変化に柔軟に対応できる能動型自律人材の育成と確保を経営の最優先事項として推進してまいります。

 

 

2.価値創出の循環モデル

 

(1)企業理念:化学の好奇心でエレクトロニクスに役立てる

 

(2)経営上の重要課題(マテリアリティ)

①環境にやさしい製品づくり

(ア)環境負荷低減につながる製品開発及び事業活動の推進

(イ)めっき工程におけるエネルギー使用量削減

(ウ)めっきで培ったコア技術の応用によるエネルギー分野への貢献

②人的資本経営の推進

(ア)企業理念に共感し、ビジョンの実現に主体的に参画する組織風土の醸成

(イ)能動型自律人材の採用と育成

(ウ)働きやすく、やりがいを感じる職場環境の整備

 

③知的無形資産の質的向上

(ア)知財・無形資産の適切な管理・共有

(イ)知財・無形資産の効果的な活用

④経営基盤の強化

(ア)社外役員による監督・指導と内部監査等によるコーポレート・ガバナンスの強化

(イ)コンプライアンス体制の強化

(ウ)ステークホルダーへの適切な情報発信

 

(3)ビジネスモデル

<価値創造を支える経営資源(インプット)>

①人的資本:技術系を中心とした能動型自律人材

当社は知識集約型・研究開発型の企業であり、人的資本が事業活動の大切な源泉と考えています。「能動型自律人材」を育成し、製品開発や営業活動をはじめとする事業活動を活性化するとともに、従業員が安心して働くことのできる健康的で安全な職場環境の整備によって会社と従業員のエンゲージメントが高まることが事業成長と企業価値向上につながる機会と考え、(ア)企業理念に共感し、ビジョンの実現に主体的に参画する組織風土の醸成、(イ)能動型自律人材の採用と育成、(ウ)働きやすく、やりがいを感じる職場環境の整備という3つのテーマ・方針に沿って「人的資本経営」を推進しています。

②知的資本:蓄積された研究開発ノウハウと製品レシピ

社員の約8割を占める技術系出身者が営業・技術一体となって、当社固有技術であるProtecting Agent*等を用いた技術開発・提案を行い、お客様の課題解決に取り組むなかで、実験データを始めとする化学の知見やノウハウを蓄積し続けています。また、当社にとって重要な製品レシピ等の知的財産を安全かつ効果的に活用するため、営業・技術情報の電子化・システム化などのDX基盤整備を進めています。

* 特定の金属に選択的に吸着し、電子を供与又は吸引することによってめっき反応や皮膜物性をコントロールする一連の有機化合物。

③自然資本:原料となる貴金属、化合物の有効活用

めっき薬品の製造に欠かせない貴金属や希少鉱物、化学物質の安定的な調達先を確保し、事業活動に活用します。一方でサステナビリティの観点から、貴金属の使用量を節約する省貴金属や、環境に悪影響を及ぼす物質の使用を回避する環境配慮型の製品開発を推進しています。

④財務資本:強固な財務基盤

知識集約型企業としての効率的な経営と競争力の高い製品により強固な財務基盤を築いています。純資産は高い水準を維持しており、一定水準の株主還元を行いながらも引き続き安定的に推移する見通しです。中期経営計画では、政策保有株式の縮減により得られる資金を含めた手元資金を、事業拡大に向けた戦略投資に充てる計画です。

⑤製造資本:フォーミュレーション特化の製造設備と生産体制

当社はめっき薬品の製造において大型な設備は保有せず、工程をフォーミュレーションに絞ることによりファブライト型経営を実現しています。長年培ったオペレーションのノウハウがお客様ニーズに柔軟に対応する多品種少量生産を支えています。

⑥社会・関係資本:ステークホルダーとのエンゲージメント

 多品種少量・短納期生産への対応や、意思決定の速さや手厚いサポートによって、お客様との信頼関係を培ってきました。めっき薬品のもととなる原材料の仕入先様とも長年にわたり良好な関係を維持しています。加えて、プライム上場企業として情報開示の充実やIR活動、SR活動を通じて、多くの株主・投資家の皆さまとのエンゲージメントを築いております。

 

 

<事業活動>

 企業理念『化学の好奇心でエレクトロニクスに役立てる』のもと、エレクトロニクス業界を牽引するファインケミカル企業となるための中長期ビジョン「RDD2030」とともに、めっきで磨いてきた酸化還元の技術で新たな事業価値を創造することを目指しています。

 

1.強みとこだわり ~JPCs Identity

(1)金の卓越したノウハウ

 当社は貴金属や希少鉱物を取り扱っています。事業領域をエレクトロニクス分野の貴金属めっきに集中し、限りある資源を有効活用し使用量を節減する社会的使命を50年以上にわたって大切に引き継ぎながら、優れた省貴金属性能や環境配慮特性をもった製品を輩出しています。

 当社のめっき薬品は半導体や電子回路基板などの接点に利用され、最終的にはスマートフォンやパソコン、自動車、家電などの身の回り品や、人工衛星や高速通信の基地局などの先進社会インフラに組み込まれることによって、安心・安全で豊かな社会と持続可能な地球の両立を支えています。

(2)スピード

 当社は60名ほどの社員の大部分が物理・化学分野に精通した技術者で、営業部門は技術部門とのローテーション制です。それは「化学の好奇心」を持つ技術者が直接お客様のもとに赴き、適時に課題や要望を吸収して即応する体制を築いていることを意味しています。また技術部門が有する高度な分析設備を、商品の開発や改良だけでなくお客様の製造ラインの課題解決にも直接役立てています。素早い意思決定にもとづく早期・柔軟・高品質な技術サポートに加え、長年にわたり蓄積した知見にもとづくめっきプロセス全般のアドバイスを行うトータルソリューションによって、お客様との信頼関係を築いています。

(3)フォーミュレーション

 当社はめっき薬品を製造していますが、大型の製造設備(固定資産)は持っていません。原材料を外部から調達し、製造工程をフォーミュレーションに絞ることで、“持たざる経営”を実現しています。早くから投資の大部分を“人”に集中し、事業活動の中心を研究開発とすることによって生み出した無形の資産たる“レシピ”こそが、当社の付加価値の源泉なのです。

 こうした強みを発揮することによって盤石の経営基盤を確立してきた当社ですが、技術者の「化学の好奇心」はとどまるところを知りません。現在の強みはそのままに、新たな技術領域を取り入れたり、めっきにより育んできた酸化還元反応の技術と知見を他分野へと応用したりすることによってイノベーションを起こし、さらなる飛躍を目指してまいります。

 

2.事業活動

(1)事業活動の系統図

※レシピ:めっき薬品を調合するための、原材料の成分と手順を記したもの

 

①仕入

 当社は貴金属化成品メーカーより貴金属地金及び貴金属(金、銀、パラジウム)を含んだ薬品(以下「貴金属薬品」という)を仕入れております。また、化学薬品メーカーより化学薬品を仕入れております。

②生産

 当社は国内外のユーザー及び国内外の販売代理店から受注して生産を行っております。顧客のニーズに合わせ、仕入れた原材料を調合することで、貴金属めっき薬品が完成します。

③外注

 当社は仕入れた貴金属(金、銀、パラジウムの地金)を貴金属化成品メーカーに支給し、貴金属薬品への加工を依頼するケースがあります。化学薬品も市販品がない場合には、特注品を化学薬品メーカーに合成を委託し、新製品に応用するケースがあります。特注品の委託の際にはNDA(秘密保持契約)を交わして行います。

④販売

 当社は貴金属めっき薬品を国内外のめっき専業メーカー、電子部品メーカー及び総合電機メーカーに販売しております。直接上記メーカーに販売するケースと国内外の販売代理店を通して販売するケースの2通りがあります。国外は韓国、台湾、中国、シンガポールに販売代理店を置いております。

 

<価値創出(アウトプット)>

①めっき薬品

・省貴金属性能

・環境に配慮した製品

・短納期生産

・顧客に最適化した製品

②サポートサービス

・早期の課題解決

・高品質なサポート

・めっきプロセス全般のトータルアドバイス

 

<価値提供(アウトカム)>

① 従業員

仕事を通じて能動型自律人材へと成長し、ウェルビーイングを実現します。

② 学生

「JPC奨学財団」により理工学を学ぶ学生の成長を支援します。また新卒の学生を継続的に採用します。

③ 顧客

省貴金属性能や歩留まり率の向上により、生産工程におけるQCDの向上を実現するとともに、環境配慮型商品の開発・製造や、健康で安全な職場環境づくりに貢献します。

④ 取引先

公正な取引を続け、安定的な関係を構築します。

⑤ 環境

サプライチェーンにおける貴金属使用量を節減するとともに、有害物質の排出をなくします。

⑥ 株主・投資家

企業価値を向上させ、安定した株主還元を続けます。

 

□財務目標

-2030年度目標

 ・売上高   :300億円

 ・営業利益  :30億円

-経営効率目標 :ROE 10%

-配当指標   :DOE 5%下限(2023年度期末配当より)

□非財務目標

-GHG排出量の削減

-エネルギー使用量の削減

-健康経営優良法人認定の継続的取得

 

 

業績状況

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)業績等の概要

 当期の世界経済は、緩やかな回復基調をみせましたが、各国の金融政策の動向や地政学的リスクの高まり、通商政策の不確実性などにより、先行き不透明な状況が継続しました。ウクライナ情勢の長期化や中東地域を巡る緊張の高まりなどを背景に、資源・エネルギー価格は高止まりし、インフレ圧力が依然として残る中、各国の金融政策や為替・株式市場は不安定な動きとなりました。米国では、堅調な雇用環境と個人消費に支えられ、景気は底堅く推移しましたが、高金利環境の長期化や通商政策の影響によるインフレ再燃への懸念が残り、引き続き注意を要する状況です。欧州では、個人消費は底堅さを維持したものの、エネルギー価格や金利水準の影響を受け、製造業を中心に成長の鈍化が見られました。中国では、政府による景気刺激策の効果が一部で見られるものの、不動産市場の低迷や個人消費の回復の遅れなどにより、景気は低調に推移しました。日本経済においては、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の回復を背景に、緩やかな回復基調が続きましたが、物価上昇や為替変動の影響に加え、製造業においては外需の弱さがみられました。

 

 電子部品業界におきましては、ハイパースケーラーによるAIインフラ投資の拡大を背景に、AIサーバーおよびデータセンター向け需要が大きく伸長しました。パソコン向けは着実に回復した一方、スマートフォンなどの民生機器およびFA機器等の産業機器向けは緩やかな回復にとどまりました。車載用電子部品については、ADAS(Advanced Driver Assistance Systems)やSDV(Software Defined Vehicle)の普及が下支えしたものの、米国の関税措置や欧米の電気自動車政策見直し、中国の内需減速の影響を受け、需要の伸びは限定的となりました。

 

 当社におきましては、プリント基板・半導体パッケージ基板用めっき薬品の販売について、生成AI向けの需要拡大を背景に、半導体パッケージ、モジュールおよびメモリー向けが好調に推移しました。パソコン向けはおおむね堅調に推移した一方、スマートフォン向けは回復基調が続いたものの力強さを欠く状況となりました。コネクター用めっき薬品については、スマートフォン向けおよび産業機器向けで緩やかに回復したものの、車載向けでは足踏み感がみられました。リードフレーム用めっき薬品については、民生向けが堅調に推移し、車載向けでは下期に在庫調整が解消に向かいました。

 

 その結果、売上高は18,073百万円(前期比43.3%増)、営業利益は576百万円(前期比14.7%増)、経常利益は776百万円(前期比18.0%増)、当期純利益は1,803百万円(前期比14.2%増)となりました。
最終用途品目別の状況は次のとおりであります。

 

(プリント基板・半導体パッケージ基板用)

 プリント基板や半導体パッケージ基板に適用される貴金属めっき薬品において、スマートフォンやパソコンなどの民生向けは緩やかに回復し、生成AI関連の半導体パッケージやモジュール向けは好調に推移した結果、売上高は8,680百万円と前期比52.1%の増収となりました。
(コネクター・マイクロスイッチ用)
 コネクター用めっき薬品の販売において、当社製品の優位性(省金効果)からスマートフォン向けで堅調に推移しました。車載向けは在庫調整の影響を受けて低迷しており、産業機器向けでは回復の兆しが見えてきました。その結果、売上高は2,599百万円と前期比40.6%の増収となりました。
(リードフレーム用)
 リードフレーム用めっき薬品の販売においては、車載向けは回復傾向が見られ、民生向けは堅調に推移したうえ、貴金属価格の上昇も加わり売上高は6,424百万円と前期比35.5%の増収となりました。

 

 

〔当期の経営成績〕

(単位:百万円)

 

前年度

当年度

 

 

増減額

増減率

補足

売上高

12,611

18,073

5,461

43.3%

 

売上原価

10,982

16,134

5,152

46.9%

売上原価率89.3%(前年度 87.1%)

売上総利益

1,628

1,938

309

19.0%

売上総利益率10.7%(前年度 12.9%)

販売費及び一般管理費

1,125

1,361

236

21.0%

 

営業利益

502

576

73

14.7%

 

経常利益

657

776

118

18.0%

 

当期純利益

1,579

1,803

224

14.2%

 

自己資本利益率

11.3%

11.5%

 

0.2%

 

 

①売上高

 当期の海外での売上高は総売上高の51.9%を占めます。海外での売上高は70.6%が円建てで、29.4%が外貨建てです。外貨建てにつきましては、基本的には為替ヘッジをし、為替レートの変動による影響を抑えております。

 

②売上原価

 売上原価は主として原材料費、工場の人件費から構成されています。また原材料費は貴金属と一般薬品に分けられます。このうち一般薬品につきましては、価格は比較的安定しておりますが、貴金属につきましては、その価格変動及び数量の増減は売上原価に大きな影響を与えます。貴金属についての顧客との契約は基本的に仕入、販売とも当日の建値を基準に決定しており、受注と同時に貴金属の発注を行っております。

 

③販売費及び一般管理費

 販売費及び一般管理費は、主に人件費、研究開発費、減価償却費などであります。当期は人的資本への先行投資を継続したことに加え、前期に比べ積極的な研究開発投資を実施したことにより、主に人件費及び研究開発費が増加しました。

 

④自己資本利益率

当期は純利益の増加に伴い、自己資本利益率は11.5%と前期比で0.2ポイント改善しております。

 

 

(2)財政状態の状況

(単位:百万円)

 

2025年3月末

2026年3月末

 

 

増減額

主な増減理由

 流動資産

9,544

10,637

1,093

売掛金+783、現金及び預金+168

 固定資産

6,312

11,100

4,787

投資有価証券+4,768

資産合計

15,856

21,738

5,881

 流動負債

784

678

△105

未払法人税等△196、買掛金+49

 固定負債

1,477

2,994

1,517

繰延税金負債+1,509

負債合計

2,261

3,673

1,411

純資産合計

13,594

18,064

4,470

その他有価証券評価差額金+3,313

繰越利益剰余金+1,075

負債純資産合計

15,856

21,738

5,881

 

①資産

 当期末の総資産は21,738百万円となり、前期比5,881百万円の増加となりました。

 流動資産は、主に前期比で売掛金及び現金及び預金が増加し、1,093百万円増の10,637百万円となりました。固定資産は市場の動向を踏まえて、追加的な株式売却を実施したものの、保有銘柄の株価の一段の上昇により投資有価証券が増加し、4,787百万円増の11,100百万円となりました。

 

②負債

 当期末の負債総額は3,673百万円となり、前期末比1,411百万円の増加となりました。
 流動負債は、主に前期比で法人税の中間納付額が増加、未払法人税等が196百万円減少し678百万円となりました。固定負債は主に繰延税金負債の増加により1,517百万円増の2,994百万円となりました。

 

③純資産

 当期末の純資産は18,064百万円となり、前期末比4,470百万円の増加となりました。

 これは利益剰余金が当期純利益による増加、剰余金の配当による減少を主に1,075百万円増加、有価証券評価差額金が3,313百万円増加したことによるものです。

 

 

(3)資本の財源及び資金の流動性

①キャッシュ・フローの状況の分析

(単位:百万円)

 

前年度

当年度

 

 

増減額

主な増減理由

 営業活動による

キャッシュ・フロー

579

△772

△1,352

売上債権の増加△813

法人税等の支払額の増加△643

税引前当期純利益+264

 投資活動による

キャッシュ・フロー

1,522

1,113

△408

定期預金の増加△500

無形固定資産の取得による支出+102

 財務活動による

キャッシュ・フロー

△676

△673

3

自己株式の処分による収入+16

配当金の支払額△13

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

1,425

△331

△1,757

現金及び現金同等物の期首残高

5,858

7,284

1,425

現金及び現金同等物の期末残高

7,284

6,952

△331

 

 当期末の現金及び現金同等物の残高は、6,952百万円となり、前期比331百万円の減少となりました。これは売上債権の増加、法人税等の支払額の増加が主な要因です。なお、当期におけるキャッシュ・フローの状況の分析は以下のとおりであります。

 

(営業活動におけるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは772百万円の支出となり、前期比1,352百万円の支出増となりました。これは主に税引前当期純利益が増加したものの、売上債権、法人税等の支払額が増加したことによるものです。

 

(投資活動におけるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは1,113百万円の収入となり、前期比408百万円の支出増となりました。これは主に市場金利の上昇に伴い、営業活動に影響がない範囲で定期預金を増額したことによるものです。なお、投資有価証券の売却による収入は前期から微増の1,742百万円でした。


(財務活動におけるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは673百万円の支出となり、前期比3百万円の支出減となりました。これは主に配当金の支払額が増加したものの、自己株式の処分による収入が増加したことによるものです。

 

②財務政策

 当社の事業は前述の「第2[事業の状況] 3[事業等のリスク]」 に記載のとおり様々なリスクを伴っており、運転資金としては将来予測可能な資金需要に対して十分な流動性ある資産を確保していく方針です。現在、運転資金及び経常的な設備投資資金については手許資金で賄っておりますが、中期経営計画で掲げる事業拡大のための戦略投資に向けては、政策保有株式の売却に伴う資金を積極的に活用する予定です。

 当社の株主還元の基本方針は下記の3点であります。

(1) 長期的な成長を目指して資本効率と財務健全性のバランスを取る

(2) プライム市場上場会社として、当面の業績に大きく左右されない一定レベルの株主還元に積極的に取り組む

(3) 配当性向に加えDOE(自己資本配当率)5%を下限とした配当方針を採用する

 配当については、後述の「第4[提出会社の状況] [配当政策]」をご参照ください。

 また、自己株式の取得についても状況に応じて機動的に実施を検討いたします。

 

 

(4)生産、受注及び販売の実績

 当社は単一セグメントのためセグメント毎の記載はしておりません。

①生産実績

用途品目別

第55期

(自 2025年4月1日

至 2026年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

プリント基板・半導体パッケージ基板用

8,678,824

152.2

コネクター・マイクロスイッチ用

2,586,850

139.9

リードフレーム用

6,417,858

135.3

その他

364,512

117.1

合計

18,048,045

143.2

(注) 上記の金額は、販売価格によっております。

 

②受注実績

用途品目別

第55期

(自 2025年4月1日

至 2026年3月31日)

受注高

受注残高

金額(千円)

前年同期比(%)

金額(千円)

前年同期比(%)

プリント基板・半導体パッケージ基板用

9,384,328

164.1

1,243,004

230.7

コネクター・マイクロスイッチ用

2,680,643

144.9

117,665

325.5

リードフレーム用

6,813,366

145.9

519,127

398.4

その他

388,059

112.7

52,847

155.3

合計

19,266,398

153.1

1,932,645

261.4

 

③販売実績

用途品目別

第55期

(自 2025年4月1日

至 2026年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

プリント基板・半導体パッケージ基板用

8,680,222

152.1

コネクター・マイクロスイッチ用

2,599,131

140.6

リードフレーム用

6,424,546

135.5

その他

369,240

117.9

合計

18,073,141

143.3

 

(注)1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

当事業年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

イビデン株式会社

3,412,023

27.1

5,408,019

29.9

兼松株式会社

1,943,725

15.4

2,953,496

16.3

株式会社コタベ

1,775,504

14.1

2,576,449

14.3

CHANG WAH TECHNOLOGY Co.Ltd

1,667,275

13.2

1,760,715

9.7

 

 

 

(注)2 最近2事業年度の主要な輸出先及び輸出販売高及び割合は、次のとおりであります。

 なお、( )内は、総販売実績に対する輸出高の割合であります。

輸出先

第54期

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

第55期

(自 2025年4月1日

至 2026年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

台湾

2,726,949

44.3

3,601,066

38.4

韓国

517,307

8.4

628,728

6.7

シンガポール・マレーシア

1,353,487

22.0

2,348,141

25.0

中国

577,029

9.4

684,437

7.3

その他の地域

976,627

15.9

2,124,865

22.6

合計

6,151,401

(48.8%)

100.0

9,387,239

(51.9%)

100.0

 

(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この

財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

 詳細につきましては「第一部〔企業情報〕第5〔経理の状況〕1〔財務諸表等〕〔注記事項〕重要な会計方針」をご参照ください。