人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数7,675名(単体) 37,671名(連結)
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平均年齢40.2歳(単体)
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平均勤続年数14.4年(単体)
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平均年収6,678,000円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
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(2025年12月31日現在) |
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セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
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タイヤ事業 |
30,999 |
[937] |
|
スポーツ事業 |
3,625 |
[577] |
|
産業品他事業 |
2,309 |
[190] |
|
全社(共通) |
738 |
[128] |
|
合計 |
37,671 |
[1,832] |
(注)1.従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は[ ]内に当期の平均人員を外数で記載しております。
2.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。
(2)提出会社の状況
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(2025年12月31日現在) |
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従業員数 |
平均年齢 |
平均勤続年数 |
平均年間給与 |
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人 |
歳 |
年 |
千円 |
|
7,675 |
〔511〕 |
40.2 |
14.4 |
6,678 |
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セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
|
タイヤ事業 |
6,011 |
[267] |
|
スポーツ事業 |
420 |
[31] |
|
産業品他事業 |
627 |
[107] |
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全社(共通) |
617 |
[106] |
|
合計 |
7,675 |
[511] |
(注)1.従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は[ ]内に当期の平均人員を外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。
(3)労働組合の状況
当社の労働組合は、住友ゴム労働組合と称しており、日本ゴム産業労働組合連合等に所属しております。
2025年12月31日現在の当社組合員数は6,180名であります。組合とは円満に労使関係を保っており、特記すべき事項はありません。
なお、組合組織をもつ連結子会社が一部ありますが、労使関係は良好であります。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
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当事業年度 |
||||
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管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)1 |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注)2 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1 |
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全労働者 |
正規雇用労働者 (注)3 |
パート・有期労働者 (注)4 |
||
|
5.9 |
115.3 |
74.1 |
76.5 |
66.3 |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。賞与や家族手当など、基準給与以外の賃金も含めた総賃金を元に算出しております。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
算出方法は「当事業年度に育児休業を開始した従業員の数÷当事業年度に配偶者が出産した従業員の数×100」としております。前事業年度に配偶者が出産した従業員が、当事業年度に育児休業等を取得することがあるため、取得率が100%を超えることがあります。
3.人事制度において性別による処遇差は設けていないものの、女性の管理職比率が低い点、短時間勤務制度や育児休業の利用者に女性比率が高いため基準賃金控除額や時間外手当に差が生まれる点、製造現場に勤務する女性が少なく休日勤務手当や交替勤務手当等の支給に差が出る点、また、家族扶養者に支払われる家族手当の支給対象者に男性が多い点、等が男女間での賃金差が生まれている主な要因です。これらの現状を踏まえ、女性のキャリア形成支援や積極的な採用・登用、仕事と家庭の両立支援に関する施策の推進、属人的な処遇のあり方について見直し等を行っており、男女間の賃金ギャップ縮小に努めております。
4.パート・有期労働者には産業医等が含まれ、契約時間や職種に起因する賃金差異が主に反映されています。
② 連結子会社
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当事業年度 |
|||||
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名称 |
管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)2 |
男性労働者の育児休業取得率 (%) (注)3 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)2 |
||
|
全労働者 |
正規雇用労働者 |
パート・有期労働者 |
|||
|
㈱ダンロップタイヤ |
0.6 |
65.9 |
66.0 |
73.5 |
33.8 |
|
㈱ダンロップスポーツマーケティング |
8.3 |
75.0 |
58.4 |
77.0 |
43.1 |
|
㈱ダンロップゴルフクラブ |
0.0 |
100.0 |
57.4 |
75.9 |
82.9 |
|
SRIエンジニアリング㈱ |
0.0 |
0.0 |
72.6 |
72.6 |
85.6 |
|
中田エンヂニアリング㈱ |
11.1 |
100.0 |
80.9 |
80.8 |
68.1 |
|
SRIロジスティクス㈱ |
11.1 |
50.0 |
64.5 |
76.2 |
71.1 |
|
㈱SRIシステムズ |
7.1 |
200.0 |
67.8 |
67.8 |
- |
|
㈱住ゴム産業 |
3.0 |
80.0 |
74.7 |
75.6 |
75.8 |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではない連結子会社は記載を省略しております。
2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。なお、本項に記載するサステナビリティに関する情報には、将来の見通し、目標、計画等が含まれており、これらは、作成時点で入手可能な情報および合理的と考えられる前提に基づいています。実際の結果は、事業環境の変化、規制動向、技術革新その他の要因により、これらの見通し等と異なる可能性があります。
当社グループのサステナビリティ関連財務開示は、サステナビリティ開示基準(サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が開発した基準をいう。)の構成や考え方を踏まえ、当社グループの実態に即して作成しています。本サステナビリティ関連財務開示の報告期間は、当連結会計年度(2025年1月1日から2025年12月31日まで)としています。
当社グループはサステナビリティ関連財務開示に向けて、体制整備及び情報収集を進めています。
(1)サステナビリティ全般
①ガバナンス
基本理念
当社グループは、「未来をひらくイノベーションで最高の安心とヨロコビをつくる。」というPurposeに基づき、サステナビリティ経営を推進し、事業を通じた社会課題の解決に向けて価値創造につながる活動を展開しています。
ガバナンス機関
当社グループ全体のサステナビリティ関連のリスク及び機会については、取締役会が監督責任を負っています。
取締役会は、サステナビリティ推進委員会による定期的な報告及び必要に応じた随時の報告を受け、必要な監督及び指示を行っています。
当社グループは、企業理念「Our Philosophy」の実現とサステナビリティ経営の推進及び事業計画の遂行のために、取締役及び監査役が備えるべき専門性をスキルマトリックスとして整理・明示しています。このうち、「企業経営・ 経営戦略」の項目は、サステナブルな成長戦略を描くことができ、企業におけるマネジメント経験・経営実績を有することを重視しています。これにより、事業変革や成長戦略の策定に資する知見を持つ人材を取締役会に迎え、経済的・社会的価値の最大化に向けた意思決定を支えています。
サステナビリティ推進委員会
サステナビリティ経営を推進するにあたり、当社はサステナビリティ推進委員会を設置しています。サステナビリティ統括役員を委員長、各部門担当役員を委員として年2回開催し、全社方針の徹底、重要施策の進捗確認等を実施しています。サステナビリティ推進委員会で議論された内容は、取締役会へ報告されています。
サステナビリティ推進ワーキンググループ
部門を横断した活動が有効なテーマについては、サステナビリティ推進委員会のもとに部会を設置しており、これらの部会をサステナビリティ推進ワーキンググループと総称しています。各部会は統括部門と参画部門で構成され、活動の企画・推進およびサステナビリティ推進委員会や経営層への報告等を行います。
現在設置されているワーキンググループは以下のとおりです。
・カーボンニュートラル部会
・サーキュラーエコノミー部会(TOWANOWA部会)
・生物多様性部会
・TRWP(6PPD-Q)関連部会
・環境マネジメントシステム部会
・人権部会
・はたらきたい未来の工場PJ
・DE&I部会
サステナビリティ・アドバイザリーボード
サステナビリティ経営の推進を目的として、2025年1月に社外ステークホルダーと経営層との対話の機会である「サステナビリティ・アドバイザリーボード」を設立しました。不確実性が高まる外部環境のもとで当社が持続的に成長していくため、社外の有識者を招き、当社グループのサステナビリティ戦略について意見交換を行っています。当社からは社外取締役、サステナビリティ統括役員及び各事業担当役員が参加しています。
サステナビリティ推進担当者
サステナビリティに関する業務の推進及び情報の共有のために、関連各部に「サステナビリティ推進担当者」を配置しています。
②戦略
当社グループでは、バリュー・チェーン全体のリスクと機会を踏まえ、マテリアリティ(重要課題)を特定しています。マテリアリティの特定にあたっては、「当社事業が社会に与える影響(インパクト)」と「社会が当社事業に与える影響(リスクと機会)」の2つの観点から評価・分析を行う、ダブルマテリアリティの考え方を採用しています。事業を通じて社会課題の解決に貢献することを目的に、以下の7つの項目をマテリアリティとして定めて、当社の「ありたい姿」を明確化するとともに、取り組みの方向性や事業が及ぼす影響について「当社の意志」としてまとめています。
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マテリアリティ項目 |
ありたい姿 |
当社グループの意志 |
|
社会課題解決に向けたイノベーション |
ゴム素材の可能性を信じて、新たな価値提供に挑戦する企業 |
当社グループは最先端のゴム技術とそこから広がる新たな技術やサービスを提供しています。ヨロコビあふれる健やかで豊かな社会の実現を目指し、常に新しい価値の提供に挑戦します。 |
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気候変動 |
CO₂排出量の削減を推進する企業 |
当社グループの事業活動は多くの温室効果ガスを排出しています。脱炭素化社会の実現に向けてサプライチェーン全体の排出量の削減を進め、2050年のカーボンニュートラル達成を目指します。 |
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循環型経済 |
資源循環に貢献する製品・サービスを提供する企業 |
当社グループは多くの資源を活用するものづくり企業です。限りある資源を持続的に活用するため、調達から廃棄までのすべての過程において資源循環を推進します。 |
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生物多様性 |
天然ゴムなど自然資源への依存と影響を自覚し、周辺の生態系と共存する企業 |
当社グループの事業は自然資源や化学物質の利用および製品使用の過程で生態系に影響を与えるリスクがあります。生態系と自然資源の恩恵を将来世代につなげるため、事業による負の影響を小さくし、生物多様性の保全と回復に努めます。 |
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人権 |
当社グループにかかわるすべての人の人権を尊重する企業 |
当社グループの事業は、顧客やサプライヤーおよび拠点周辺の地域社会など多くの人々の生活につながっています。人々に安心とヨロコビを提供し続けるため、当社グループは人権に関する理解を深め人権尊重の取り組みを推進します。 |
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多様な人材 |
多様な個性をもつ仲間とともに成長する企業 |
当社グループは多様な従業員が集まるグローバル企業です。互いに認め高め合える職場環境を実現し、チームの総合力を企業価値の向上につなげます。 |
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ガバナンス・企業倫理 |
ステークホルダーと誠実に向き合い、信頼に応える企業 |
当社グループは顧客やサプライヤーおよび投資家など多くの皆様に支えられています。社会の激しい変化に対応できる強く柔軟な経営基盤を築き、多様なステークホルダーからの信頼に応えてまいります。 |
以下の図は、製品のバリュー・チェーン上で当社グループが各マテリアリティ項目に特に深く関わるプロセスを示したものです。当社グループは部門間の連携を強化し全社体制でマテリアリティに関連する課題の解決に取り組みます。
レジリエンス
• シナリオ分析(気候変動・自然)
気候変動および生物多様性は、当社グループのマテリアリティであり、より詳細なリスクを把握するために、シナリオ分析を実施しています。自然関連のシナリオ分析においては、当社グループにとって特に重要度の高いコモディティである天然ゴムを対象に自然共生シナリオと成り行きシナリオの2つのシナリオを設定し、事業影響を評価しました。
気候シナリオ及び自然シナリオは成熟度や構成要素が異なる点もありますが、物理的リスクがより大きい「4℃シナリオ」と「成り行きシナリオ」、移行リスクがより大きい「1.5/2℃シナリオ」と「自然共生シナリオ」で基本的な前提条件を共有しています。
なお、シナリオ分析には将来に関する見通し、期待及び判断などが含まれています。この将来予測に基づく記載は、気候変動及び自然への影響度合いによる自然環境の変化、国際社会及び事業を展開する各国の政策方針の変化、市場環境の変化、並びにその他のリスクや不確定要素を含みます。当社グループの報告に含まれる全ての将来的予測に基づく記載は、報告日時点で入手可能な情報に基づいており、実際の結果が当社グループの想定とは異なる可能性があります。
分析に使用した気候シナリオ
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シナリオ |
概要 |
主な参照シナリオ |
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4℃シナリオ(物理シナリオ) |
• 今世紀末までに平均気温が産業革命時から3.2~5.4℃上昇し、極端な気象現象(洪水、干ばつ、熱波、暴風雨など)が頻発する世界を想定 • 気温上昇と極端な気象条件に対応できる製品が求められる • 脱炭素化への動きは限定的で政策・規制は緩やか |
• IEA:Stated Policies Scenario(STEPS)Current Policies Scenario • IPCC:RCP 8.5 |
|
1.5℃/2℃シナリオ(移行シナリオ) |
• 今世紀末の平均気温の上昇を2.3~1.5℃未満に抑えるために、脱炭素化の取り組みが進展する世界を想定 • 環境への配慮が進む中で、環境に配慮した製品への需要が増加し、関連する技術のビジネスチャンスも拡大する • 炭素価格の導入、強化が進むとともに、CO₂排出規制の強化によりエネルギー転換も進む |
• IEA:Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE) • IPCC:RCP 2.6 |
分析に使用した自然シナリオ
|
シナリオ |
概要 |
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成り行きシナリオ |
• 移行リスク小(自然を軽視する社会) • 物理的リスク大(生態系が劣化) • 自然共生社会は実現せず、生態系にインパクトがあるが、規制も進まない • 企業はリスクマネジメントとして生態系の変化を踏まえた戦略が求められる |
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自然共生シナリオ |
• 移行リスク大(自然を重視する社会) • 物理的リスク中(生態系はある程度保全) • 自然共生社会が実現するとともに、社会的な意識にも浸透し、生物多様性の保全を踏まえた事業活動が求められる |
• 4℃・成り行きシナリオ
4℃・成り行きシナリオでは、社会全体が自然を軽視し限定的な脱炭素・ネイチャーポジティブ政策が選択されることで、物理的リスクが顕在化することが予想されます。平均気温の大幅な上昇や生態系サービスの大幅な劣化により、豪雨や洪水などの極端な自然災害が増加すると共に、気温上昇による労働環境の悪化が予測されます。また、水ストレスの増加により、生産活動に影響を及ぼす水資源の不足が懸念されます。
当社グループへの財務的な影響として、グリーンインフラの劣化や異常気象の激甚化により、事業停止に伴う売上の減少や、対策・復旧コストの増加、サプライチェーン断絶による生産停止等のリスクが予測されます。また、生態系サービスの大幅な劣化や平均気温の大幅な上昇が天然ゴム収量や小農家・加工場の労働生産性に影響を与える可能性があり、天然ゴム価格の上昇が懸念されます。また慢性的なかつ大幅な気温上昇は、天然ゴム収量や生産地の変化に伴う調達コストの増加や労働環境の悪化による生産性の低下、冬用タイヤや屋外スポーツ商品の需要減少を引き起こす可能性があります。
一方、顧客や金融機関、地域社会等といったステークホルダーの脱炭素、ネイチャーポジティブへの関心の高まりは緩やかになると予想されるため、ステークホルダー要求に関するリスクは軽微なものになると考えられます。しかしながら、環境NGOから周辺生態系や先住民族等の地域住民への悪影響に対して批判されるリスクは依然として残っているため、レピュテーション低下や訴訟による賠償金の発生が考えられます。
政策については、既に導入が検討されている森林破壊防止に関する法規制等といったネイチャーポジティブに関連する法規制は拡大しないと予測され、成り行きシナリオにおいて法規制リスクは限定的になると予測されます。
• 1.5/2℃・自然共生シナリオ
自然共生の考え方が社会的な意識に浸透し、脱炭素化やネイチャーポジティブの取り組みが進展する世界を想定する1.5/2℃・自然共生シナリオでは、GHG排出に対する課税やEUDR等の規制の強化が進むことで、設備投資の必要性やサプライチェーンの再構築、代替原料の研究開発コストの増加、エネルギーコストの増加といった移行リスクが顕在化することが予想されます。 一方で、環境への配慮が進む中で、環境負荷の低い製品やサービスへの需要が高まり、関連する技術やソリューションに新たなビジネスチャンスが拡大すると見込まれます。
政策では、既存製品・サービスに対する規制強化や、GHG排出削減要請の拡大、森林破壊防止やプランテーション開発の制限等といった脱炭素・ネイチャーポジティブ実現に向けた法規制導入が拡大し、法規制対応コストの発生や法規制に対応した製品の開発・製造やトレーサビリティが確保された天然ゴム需要の増加に伴う原材料価格上昇等のリスクが予測されます。
また、顧客や地域社会における脱炭素・ネイチャーポジティブへの関心の高まりにより、環境配慮製品の需要増加等といった消費者行動の大幅な変化への対応が求められると考えられます。加えて、周辺生態系や先住民族等への悪影響に対する環境NGOや市民団体からの批判は苛烈になると想定され、レピュテーション低下や訴訟による賠償金の発生リスクが高まると考えられます。さらに、金融機関の投融資判断基準に脱炭素・ネイチャーポジティブの要素が組み込まれることも想定され、資金調達力の低下が懸念されます。
一方、生態系サービスや気象パターンの変化は限定的であると予測されることから、自然環境の変化に伴う天然ゴムをはじめとする原材料の供給量及び価格や自然災害による直接操業への影響は軽微なものになると考えられます。
これらの移行リスク・物理的リスクを低減し、機会を最大化するために、当社グループでは気候変動の緩和及び適応、並びに資源保全等を目的とした取り組みを実施しています。主な取り組みとしては、省エネルギーの推進、太陽光発電の導入、水素に関する実証実験と製造プロセスへの活用、コージェネレーション設備の追加などによる事業活動におけるCO₂排出量の削減に加えて、バイオマス原材料およびリサイク原材料の活用、転がり抵抗の低減、ロングライフ化、リトレッドタイヤの生産能力拡大といった製品ライフサイクル全体での資源の最小化、環境負荷低減を実施しています。またこうした施策の実効性の確保に向けて、サプライヤーとの連携強化にも取り組んでいます。
③リスク管理
当社グループの事業活動に重大な影響を及ぼす恐れのあるサステナビリティに関するリスクを含めた全ての経営リスクについては、当社グループ全体のリスク管理について定めるリスク管理規定に基づき、それぞれの担当部署及び各子会社において事前にリスク分析、対応策を検討し、当社の経営会議等で審議しています。当社グループ横断的なリスクについては、当社管理部門の各部が、それぞれの所管業務に応じ関連部署及び各子会社と連携しながら、グループ全体としての対応を行っています。リスク管理委員会は、当社グループ全体のリスク管理活動を統括し、リスク管理体制が有効に機能しているか適宜調査及び確認をしています。また当社グループ及びグローバルサプライチェーンにおいて、社会や環境に与える負荷の低減に向けて特に重要と考えるテーマについては、サステナビリティ推進委員会において経営層によるモニタリング及びレビューを行っています。サステナビリティ推進委員会での議論は、取締役会に報告されています。
④指標及び目標
• 指標
気候関連
温室効果ガス(GHG)の算定は、GHG算定及び報告において国際的に広く用いられている「GHGプロトコル(2004年)」に基づいて実施しています。集計範囲については、実務上の影響力を適切に反映するために、経営支配力アプローチを採用しています。算定においては、実測データに加えて、国及び業界の統計値や標準排出係数を用いており、その性質上、一定の不確実性を含んでいます。2025年度のCO₂排出量は、現在、算定および第三者保証の手続きを進めているため、本報告には2024年度の実績を記載しています。2025年度実績については、算定及び第三者保証が完了次第、当社ウェブサイトにて公表する予定です。
• 2024年度の温室効果ガス排出量(スコープ1およびスコープ2、単位:tCO₂e)
|
項目 |
数値 |
|
スコープ1排出量 |
360,188 |
|
スコープ2排出量(ロケーション基準) |
655,968 |
|
スコープ2排出量(マーケット基準) |
321,081 |
当社グループにおけるスコープ1排出の主な発生要因は、タイヤ製造における加硫工程で使用する燃料(蒸気ボイラー向け燃料等)です。加硫工程では、高温・高圧の蒸気を大量に必要とするため、燃料消費量が多くなっています。スコープ1排出量の測定は活動量(燃料使用量)に排出係数を乗算することによる見積もりによって行われています。
スコープ2排出の主な発生要因はタイヤ製造における混合工程で使用する電力です。混合工程では、天然ゴム・合成ゴムやその他原材料を混合する際に、電力を大量に消費しています。スコープ2排出量についても、算定はスコープ1と同様に見積もりによって行われており、使用した電力量に排出係数を乗算することにより算定しています。ロケーション基準においては拠点の所在国等に基づいて設定した排出係数を用い、マーケット基準においては購入先電力会社の提供する排出係数を用いて算定しています。
• 2024年度の温室効果ガス排出量(スコープ3、単位:tCO₂e)
|
項目 |
数値 |
|
カテゴリ1 購入した製品・サービス |
4,454,962 |
|
カテゴリ2 資本財 |
198,463 |
|
カテゴリ3 スコープ1、2に含まれない燃料及びエネルギー活動 |
123,003 |
|
カテゴリ4 輸送、配送(上流) |
364,144 |
|
カテゴリ5 事業から出る廃棄物 |
19,111 |
|
カテゴリ6 出張 |
4,939 |
|
カテゴリ7 雇用者の通勤 |
15,930 |
|
カテゴリ8 リース資産(上流) |
該当なし |
|
カテゴリ9 輸送、配送(下流) |
36,103 |
|
カテゴリ10 販売した製品の加工 |
該当なし |
|
カテゴリ11 販売した製品の使用 |
28,379,864 |
|
カテゴリ12 販売した製品の廃棄 |
778,880 |
|
カテゴリ13 リース資産(下流) |
1,033 |
|
カテゴリ14 フランチャイズ |
該当なし |
|
カテゴリ15 投資 |
該当なし |
当社のスコープ3排出量の詳細については、全15カテゴリのうち、排出量が特に多い以下のカテゴリを中心に記載します。スコープ3排出量の測定は活動量に排出係数を乗算することによる見積もりによって行われています。
• カテゴリ1 購入した製品・サービス
主な排出要因は原材料の購入です。当社グループにおける原材料使用量または購入金額を活動量として、これに排出係数を乗算して算定しています。
• カテゴリ4 輸送、配送(上流)
原材料の輸送および当社グループが荷主となる完成品の輸送を主な算定対象としています。海上・陸上・鉄道・航空など輸送形態別に、輸送量および輸送距離を活動量として、これに排出係数を乗算して算定しています。
• カテゴリ11 販売した製品の使用
当社グループの製造したタイヤを装着した車両の走行時に発生する排出量のうち、転がり抵抗などが燃費または電費に与える影響を反映して排出量を算定しています。排出量は当社グループのタイヤ販売本数に、排出係数を乗算して算定しています。
• カテゴリ12 販売した製品の廃棄
主な排出要因は使用済みタイヤの廃棄です。排出量の算定は、タイヤ重量を活動量として、排出係数は日本自動車用タイヤ協会(JATMA)の「タイヤのLCCO₂算定ガイドライン Ver.3.0」およびTire Industry Projectの「Tire Industry Project releases 2019 Global End-of-Life-Tire Management report」に基づいたELT(廃タイヤ)の地域別処理状況をもとに設定し、活動量に乗算して算定しています。
内部炭素価格
適用方法(投資判断、移転価格及びシナリオ分析など)
1.5℃目標達成に向けたシナリオ分析を踏まえ、内部炭素価格(ICP)を事業意思決定に組み込んでいます。CO₂排出量に影響する全投資案件を対象として、CO₂排出量を金額換算し、投資採算性評価に反映することで、脱炭素投資を促進しています。内部炭素価格設定は、欧州の外部炭素価格や同業他社のICP水準を参考に、2022年に8,000円/t-CO₂で導入し、現在はEUR 75.00/t-CO₂に設定しています。価格は年1回、外部規制や市場動向を考慮して見直しを実施し、事業計画や投資判断に反映されます。
温室効果ガスの排出に係るコストの評価に用いている内部炭素価格
EUR 75.00/t-CO₂
サステナビリティ全般・気候変動に関する役員報酬
詳細は、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (4)役員の報酬等 ①役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針に関わる事項 ハ.短期業績連動報酬に係る指標、当該指標を選択した理由及び当該連動報酬の額の決定方法」に記載のとおりです。
• 目標
サステナビリティ長期目標「はずむ未来チャレンジ」
当社グループでは、サステナビリティに関する長期目標「はずむ未来チャレンジ」を設定しています。「はずむ未来チャレンジ」はマテリアリティに基づいて策定しており、当社グループのありたい姿を実現させるための挑戦を加速させる長期的な取り組みを体系的に整理したものであり、経営会議において承認され、経営レベルで推進しています。また、各目標の進捗についてはサステナビリティ推進委員会が定期的にモニタリングと評価を行っています。
具体的な取り組みの企画及び推進は、事業部並びにサステナビリティ推進ワーキンググループが中心となって実行しており、全社横断の組織体制で活動を進めています。さらに、目標達成に向けた実効性を高めるため、重要なKPI等を主管役員の目標および報酬と連動させています。目標達成に向けた取り組みの進捗は、当社ウェブサイト等を通じてステークホルダーの皆様に開示しています。
気候変動
中期目標(2030年、SBT):
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目標の概要 |
中期目標1 |
中期目標2 |
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対象となっているスコープ |
スコープ1,スコープ2 |
スコープ3 カテゴリ1 |
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目標値 |
55%減 |
25%減 |
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基準年 |
2017年 |
2021年 |
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目標年 |
2030年 |
2030年 |
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目標の種類 |
絶対目標・総量削減 |
絶対目標・総量削減 |
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目標を設定するために用いる指標 |
GHG排出量 |
GHG排出量 |
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目標の適用範囲 |
連結 |
連結 |
目標の目的
当社グループのGHG削減目標は、排出削減によって気候変動に対して与える当社の負のインパクトを抑えることによる、気候変動の緩和を主な目的としています。また、バリュー・チェーン全体の脱炭素化を進めることで適応の負担軽減にも寄与します。
対象となるGHG
削減の対象には、二酸化炭素(CO₂)のほか、メタン(CH₄)、一酸化二窒素(N₂O)、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)、パーフルオロカーボン(PFCs)、六フッ化硫黄(SF₆)および三フッ化窒素(NF₃)を含みます。
国際協定の反映
当社グループのGHG排出削減目標は、世界的な気温上昇を産業革命以前比で2℃より低く、1.5℃に抑える努力を追求するという国際的な枠組みであるパリ協定の長期目標および日本のNDCに整合しています。また、当社の中期GHG削減目標および設定の方法論は、Science Based Targets(SBT)認定を取得しており、科学的根拠に基づいた2030年までの削減目標を設定することで、国際的な気候変動緩和に貢献しています。
セクター別脱炭素アプローチ
当社グループの主要な事業内容は、各種タイヤ・チューブ、工業用・医療用ゴム製品およびスポーツ用品の製造と販売であり、セクター別脱炭素アプローチの特定セクターには該当しません。そのため、科学的根拠に基づく業種横断的な削減率を用いて目標の設定を行っています。
進捗のレビュー
基準年度比のGHG排出削減率および、毎年度設定している排出量目標との差異を用いて、年次で進捗を把握・モニタリングしています。主要な排出源である生産拠点からは月次で排出データを収集し、四半期ごとにレビュー結果を工場へフィードバックすることで継続的な改善を促します。年次の進捗確認の際に、必要に応じて目標の妥当性についても検討しています。
長期目標:
当社グループは2050年までにスコープ1・2のカーボンニュートラル達成を目指しています。またスコープ3についても、主要カテゴリでの削減を通じて全体の排出量低減に取り組みます。
社会課題解決に向けたイノベーション
→ アクティブトレッド技術をはじめとする最先端技術を活用した高機能商品の拡充による安全なモビリティ
社会の実現
→ 従来のセンシングコア技術に加え、AI技術を活用した体験価値の提供による安全なモビリティ社会の実現
→ 先進技術と人の感性が融合したスポーツギアを通して競技の魅力を高めることによるプレーヤーの健康増
進と成長
→ あらゆる年齢層への体験機会の提供を通した生涯スポーツの浸透と健康寿命の延伸
→ 多様な社会ニーズに寄り添い応えられる、品質・競争力に優れる商品提供を通じた、安全・安心・快適な
暮らしや街づくりの実現
→ 社会課題や潜在顧客のニーズを出発点に、ゴムの分析・解析・設計・可視化の技術を軸とした事業の創出
による新たな価値の提供
→ 挑戦する人材の拡充と挑戦を支える体制の強化、そして多様なパートナーとの共創を通したイノベーショ
ンを生み出す基盤づくり
循環型経済
→ サステナブル原材料比率について2030年までに40%、2050年までに100%を達成
→ サステナブル商品認定制度を運用し2030年までにスタンダード認定率100%、うちゴールド認定率30%を達
成
→ リトレッドタイヤの販売本数について2030年までに2019年比190%を達成
生物多様性
→ 持続可能な天然ゴムの調達率について2050年までに100%を達成
→ 水リスク拠点の水使用のリサイクル率について2050年までに100%を達成
→ タイヤ・路面摩耗粉じん(TRWP)の環境影響に関する研究調査と緩和に向けた取り組み
→ 人工芝由来マイクロプラスチックの環境影響に関する研究調査と流出抑制に向けた取り組み
人権
→ 重篤災害ゼロの継続
→ 国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づくグリーバンスメカニズムの設置・運用と定期的な見
直し
→ 人権デュー・ディリジェンスにおけるリスクの特定、対応、評価及び開示の継続的な実施
多様な人材
→ 「Our Philosophy」に関する従業員の共感率を2030年までに80%(KPI)(連結)
→ 従業員エンゲージメントスコアを2030年までに58%、2035年までに65%(KPI)(単体)
→ 女性管理職比率を2030年までに12%(KPI)(単体)
ガバナンス・企業倫理
→ 多様なスキルや属性を有する役員で取締役会を構成
→ 外部機関による取締役会実効性評価の実施および機関投資家との意見交換の実施
→ 国際課税ルールを踏まえた税務コンプライアンス業務の推進と税務リスクに応じた事前確認制度(APA)の
活用
(2)人的資本
①基本的な考え方
当社は、「Our Philosophy」の「Purpose」である「未来をひらくイノベーションで最高の安心とヨロコビをつくる。」の体現のため、「Vision」として組織としてのありたい姿「多様な力をひとつに、共に成長し、変化をのりこえる会社になる。」を実現すべく人的資本経営を進めています。
多様な人材が総力を結集し、社員一人ひとりが持つ強みを活かして価値を生み出すことで、これからの新しい時代にもイノベーションを通じて最高の安心とヨロコビをステークホルダーの皆様に提供することができると確信しています。
②ガバナンス
当社は、人的資本を企業価値の重要な要素と位置付け、持続的な成長を実現するためのガバナンス体制を構築しています。
(意思決定のプロセス)
人事総務部門担当取締役が委員長となり、社内取締役により組織される人事委員会を設置し、後継者候補の継続的把握や、主要ポストへの任用可否の審議を行い、取締役会での報告・決議を社内規定に即して実施しています。また、社外取締役・社外監査役も参加する指名報酬委員会では、取締役の任免および報酬の決定を行っています。
(データ活用)
2025年より外部ベンダーによるエンゲージメントサーベイを導入し、グループ横断で標準化された指標・分析手法に基づく客観的な把握・評価を実施しています。結果は地域・部門ごとの重点課題の特定と改善計画に反映し、継続的にモニタリングします。製造現場においては「はたらきたい未来の工場プロジェクト」を通じ、職場単位での対話・改善活動を強化し、エンゲージメントの底上げに取り組んでいます。
(透明性の確保)
年次レポートやサステナビリティサイトで人的資本の指標を開示し、透明性を確保しています。また、えるぼし認定やPRIDE指標ゴールドなどの社外認定を取得し、活動の評価を受けています。
③人的資本の戦略
当社は、長期経営戦略「R.I.S.E. 2035」のもと、「ゴムから生み出す新たな体験価値をすべての人に提供し続ける」ことを掲げ、事業ポートフォリオ変革と持続的な価値創出に向けた取り組みを進めています。これらの戦略を実現するうえで、当社の強みである「ゴム・解析技術力」と「ブランド創造力」を発揮し、①ゴム起点のイノベーション創出、②ブランド経営の強化、③変化に強い経営基盤の構築を担う人材の確保・育成は、重要な経営課題と位置づけています。
2025年には、プレミアムタイヤの拡販や次世代オールシーズンタイヤ「SYNCHRO WEATHER」のラインアップ拡充など、技術とブランド力を生かした取り組みが事業成果に寄与しました。また、外部環境の変化に対しては、価格対応やコスト効率化など組織横断の取り組みを進めることで、変化に左右されない事業運営に取り組んでいます。これらを支えるのは、専門性を持ち、変化に応じて最適な判断を行う人材一人ひとりの力です。
さらに、欧州・北米・オセアニア地域における四輪タイヤのDUNLOP商標権等の取得により、グローバルで統一されたブランド運営体制を整えました。今後は、地域横断で価値提供を最適化し、新領域の成長を加速させるためにも、多様な市場でリーダーシップを発揮できるグローバル経営人材の育成が一層重要となります。
こうした経営戦略を人的資本の観点で捉え直すと、持続的な価値創出には、①グローバルで一貫した意思決定と収益責任を担うリーダー、②ゴム・材料・センシング等の技術を基点に新たな価値を創出するイノベーション人材、③データドリブンで業務・収益を最適化するデジタル革新人材の確保・育成が不可欠です。また、多様な価値観を尊重し、挑戦を後押しする制度・風土に加え、ウェルビーイングと安全を基盤とした働く環境の整備を、組織能力強化の前提と考えています。
そのため当社は、人的資本戦略を経営戦略と不可分のものとして位置づけ、①成長を導くリーダーの確保・育成(グローバル経営・イノベーション・デジタル革新を担う層の強化)、②個の成長の支援(リーダーシップ向上サイクル、エンゲージメント・ウェルビーイングの向上)、③基盤整備(挑戦を評価する人事制度、DE&I推進、企業理念浸透)を三位一体で推進しています。
これらの取り組みにより、技術・ブランド・人材を結びつけた一貫性のある価値創造プロセスを強化し、外部環境の変化に対応しながら、2035年に向けた持続的成長の基盤確立を目指してまいります。
具体的には次の3つの戦略を掲げています。
(戦略1:成長を導くリーダーの確保・育成)
事業環境の不確実性が高まる中、当社は、グローバルで一貫した意思決定を推進し、持続的な成長を牽引できるリーダー層の強化を最重要課題のひとつと位置づけています。
主要ポストに対する後継者プールの整備、計画的人材育成、全社横断でのタレントマネジメントを通じ、経営・事業リーダーの早期育成を図っています。
イ. グローバル経営人材の育成
当社グループは、急速に変化するVUCA環境において、柔軟で迅速な意思決定と、地域横断で組織を導くリーダーシップを備えたグローバル経営人材の育成を重視しています。役員層には外部専門家によるエグゼクティブコーチングを継続的に実施し、意思決定の質とリーダーとしての行動力を高めています。また、次世代経営人材に対する育成プログラムを提供するとともに、幹部役職に対するグローバル統一基準の職務評価を進めており、役割基準に基づく公正な登用につなげています。
さらに、世界各地域の幹部が戦略を共有する「タイヤグローバルサミット」や、後継者プールやハイポテンシャル人材を審議するタレント会議を通じ、グローバル全体で一貫した後継計画と人材配置を可能とする体制を整備しています。
ロ. イノベーション人材の育成
当社は創業以来、ゴム技術を基盤に新たな価値を創出してきました。現在も「Smart Tyre Concept」「水素エネルギーを活用したタイヤ製造」「高減衰ゴムを用いた制振技術」など、多様な革新技術を生み出しています。こうした価値創造を継続するため、当社はイノベーション人材の育成強化に取り組んでいます。
具体的には、「イノベーション人材育成プログラム」および「イノベーションアカデミー2025」を通じて技術・発想・事業化スキルを体系的に学ぶ機会を提供し、スペシャリストコースやフェロー制度により高度専門人材を明確に評価・活用しています。特に研究開発においては、産学連携と社内育成を両輪としたイノベーション人材育成を進めています。世界的研究者との共同研究・議論を継続し、若手を含む研究担当者が直接海外研究者と交流する仕組みを整備したことで、国際的な技術動向へのアクセスと研究者の成長を促しています。さらに技術革新や社会価値創出に寄与した取り組みの表彰制度など、挑戦する文化の醸成にも取り組んでいます。
ハ. デジタル革新人材の育成
ビジネスモデルや業務プロセスの変革を実現し、データに基づく高度な意思決定を全社で行うためには、デジタル技術の知識に加えて、ビジネスへの応用力や価値創出力、変化に対応するリーダーシップが不可欠です。当社は、こうしたデジタル革新人材の育成に向け、基礎から実践まで体系的な育成体制を整備しています。
全社的なDXリテラシー教育を強化し、DXに必要な3領域(ビジネスコア・プロフェッショナル・データエンジニア)に対応した育成体系を構築しました。2024年末までにスタッフ系全従業員約3,500名が研修を受講し、全社の基礎デジタル能力を底上げしました。2024年5月からは知識・スキル・経験を証明する「オープンバッジ」を導入し、e-learningに加えて実践機会を広げることで、社員同士の学び合いや社内講師の育成を促進し、学習と挑戦が循環する仕組みづくりを進めています。
取り組み事例の詳細はウェブサイト「継続的成長を支える人材の育成」をご参照ください。
「継続的成長を支える人材の育成」のページ
https://www.srigroup.co.jp/sustainability/social/dei.html
(戦略2:個の成長支援)
社員一人ひとりの「個の成長」を、持続的な価値創出の重要な要素と捉えています。当社の人的資本経営では、「成長支援施策」と「エンゲージメント向上施策」を両輪とし、個々の成長を押し上げる仕組みを整備しています。
成長支援施策としては、階層・職種に応じた体系的な学習機会や、実務に直結する課題解決型の学習、デジタルスキル向上の取り組み、社内コミュニティーによる学び合いなどを通じて、能力向上と挑戦行動を後押ししています。一方、エンゲージメント向上施策としては、外部ベンダーのサーベイによる客観的な職場課題の把握と対話の促進により、働きがいを高める職場環境を整備しています。 さらにウェルビーイング向上施策として、健康経営の推進に加え、安全な設備づくり・人づくりを軸とした労働安全衛生の取り組みにより、社員が安心して能力を発揮できる土台を整えています。
これらの施策が相互に作用し、個人の成長実感と貢献意欲を高めることで、挑戦が生まれる組織風土の醸成と、将来のリーダー層の育成につながることを目指しています。
イ. リーダーシップ向上サイクル
組織のマネジメント品質向上、管理職をはじめとする管理監督職のリーダーシップ行動の内省、成長支援、そして、健全な組織風土醸成による従業員エンゲージメント向上のため、360度フィードバックを毎年実施しています。360度フィードバック結果は、重要ポストへの任用時の参考情報としても活用しています。現在、住友ゴム本体と一部の国内/海外関係会社で実施していますが、多面的に人材を見て、将来の幹部人材を任用していく仕組みの構築を目指し、海外拠点でのさらなる拡大を進めていきます。
また、2025年より 後述のエンゲージメントサーベイ結果とのクロス分析も実施し、各管理職の発揮するリーダーシップと社員エンゲージメントの関係性を紐解き、組織全体の活性化に繋げていきます。
ロ. 組織健康度と従業員エンゲージメントの向上
2020年より組織体質アンケートを定期的に実施し、その結果を従業員に開示するとともに、改善に向けた取り組みを継続してまいりました。一方で、事業環境の変化や人材の多様化が進む中、組織風土の状態把握に加え、従業員一人ひとりの意欲・貢献意識・成長実感といった「個人のエンゲージメント」を起点に、職場単位の課題をより明確に特定し、施策の優先順位付けと効果検証につなげる必要性が高まっております。2025年度からは従来の社内調査を見直し、外部ベンダーのエンゲージメントサーベイへ移行しました。これにより、設問設計や分析手法の標準化を通じて、統計的な観点からの因果分析・ドライバー分析等を含む、より客観的かつ多面的な把握が可能となります。また、国内外で共通の枠組みで測定することで、グループ横断の比較・課題抽出を行うとともに、社外ベンチマークにより当社の位置付けを把握し、エンゲージメント向上に向けた施策の実効性を一層高めてまいります。製造拠点を中心とした「はたらきたい未来の工場プロジェクト」や各部門の取り組みを通じ、働きがいを実感できる組織風土の醸成を進めるとともに、2026年以降は国内外のグループ会社へ展開し、グローバルでのエンゲージメント向上を図ります。
取り組み事例の詳細はウェブサイト「人材パフォーマンスを高める施策の実行」をご参照ください。
「人材パフォーマンスを高める施策の実行」のページ
https://www.srigroup.co.jp/sustainability/social/engagement.html
ハ.健康経営の推進
当社では、社員およびその家族の心身の健康が一人ひとりの幸せ、そして会社の持続的な成長や発展に不可欠であると考え、健康経営を推進しています。2017年に健康管理室を設置、2022年7月には会社、従業員、労働組合、健康保険組合が協力し、全社をあげて健康経営を実現するため、2018年に制定した全社の「健康経営宣言」を企業理念体系「Our Philosophy」に基づいた宣言に改訂しました。
健康管理室と健康保険組合は、健康施策について協議するコラボヘルス会議を定期的に実施するなどコラボヘルス体制を強化するとともに、健康管理部門(本社および各拠点)、健康保険組合、労働組合が参加する健康会議も実施しています。
取り組み事例の詳細、社外からの認定・評価はウェブサイト「健康経営の推進」をご参照ください。
「健康経営の推進」のページ
https://www.srigroup.co.jp/sustainability/social/health.html
ニ.労働安全衛生
当社グループは、全社員が幸せで安全に働ける職場の実現を目指し「安全衛生は全てに優先する」というスローガンのもと、「安全な設備づくり」と「安全な人づくり」を軸に活動を進め、これを支える健康的で快適な衛生環境の整備を推進しています。また、全員が参加できる安全文化を育てることで、事業の発展と社会的責任の両立を図り、変化する環境にも柔軟に対応しながら、継続的な改善を続けています。
取り組み事例の詳細はウェブサイト「労働安全衛生」をご参照ください。
「労働安全衛生」のページ
https://www.srigroup.co.jp/sustainability/social/safety.html
(戦略3:基盤整備)
挑戦が日常的に生まれ、多様な人材が力を発揮できる組織を実現するためには、制度・環境・価値観を一体で整える基盤づくりが重要と考えています。制度面では、役割・成果に根差した公平な運用へと見直しを進め、自律的なキャリア選択や社内公募・越境機会などの仕組みにより、挑戦の機会を広げています。環境面では、ダイバーシティ(D:多様性)、エクイティ(E:公平性)&インクルージョン(I:包摂)を浸透させ、多様な人材が個々に能力を最大限発揮し、互いに尊重しながら力を結集できるよう、環境整備や柔軟な働き方の拡充などの基盤を構築しています。さらに価値観の面では Our Philosophy のグローバル浸透により、共通の判断基準を共有し、挑戦を後押しする文化を育みます。
これら制度・環境・価値観の3つの基盤が相互に機能することで、「挑戦を評価する文化」と「能力を発揮できる環境」を両立させ、個人と組織の持続的成長を下支えします。
イ. 人事制度改定によるイノベーション基盤の構築
多様な人材が公平だと感じ、挑戦を促す人事制度改革を段階的に進めています。2021年には管理職の人事制度を刷新し、従来の職能資格制度から役割等級制度へ移行し、仕事基準の処遇を導入しました。キャリアパスを「マネジメント職」と「スペシャリスト職」に分け、専門性を活かしたキャリア形成を可能にしました。
さらに、2025年にスペシャリストコースの上位に「フェロー」を設置、2名を任用しました。高度専門人材を戦略的に評価・活用し、イノベーションの創出に繋げます。
加えて、2025年10月には一般層の人事制度も大きく見直しました。広く経験をすることで仕事の基礎を形成していくことと、専門性を高め職責・成果に応じた公平な処遇を実現することを両立するため、オフィス業務従事者(企画系・技術系・実務系)の一部に管理職同様に役割等級の仕組みを導入しました。これまでの年功的な運用から転換し、早期抜擢を可能とし、挑戦と成果に応じて処遇を適切に行うことで社員の一層の挑戦を促しています。
ロ. ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)
当社グループが掲げる7つのマテリアリティのうちの1つに「多様な人材」があります。「多様な個性をもつ仲間とともに成長する企業」を実現するためにDE&Iの取り組みを力強く進めています。多様性を尊重することはもちろん、多様性を力に変えるインクルージョンの実践も重視しています。社長の確固たるトップコミットメントのもと、多様な力を人的資本経営に取り込み、全員が大切な戦力として組織の持続的な成長につなげる施策を打ち出しています。2025年4月には、長期経営戦略を支える人的資本経営の実行に向け、全取締役がDE&Iの重要性を認識し、担当範囲のありたい姿を実現するためDE&Iトップコミットメントを策定し、公開しました。個人が能力や強みを存分に発揮し、互いを尊重し合える組織風土を育み、果敢に挑戦し続ける取り組みをますます活性化させています。組織と個人がともに成長し続けることで、組織の企業価値と社会的価値を相乗的に引き上げてまいります。
取り組み事例の詳細、社外からの認定・評価はウェブサイト「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」をご参照ください。
「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」のページ
https://www.srigroup.co.jp/sustainability/social/dei.html
ハ. Our Philosophyのグローバル浸透活動
2020年に策定した「Our Philosophy」を、認知・理解・共感・実践の4フェーズで浸透させています。2030年までにフェーズ3「共感」達成率80%、全従業員が理念を体現する状態を目指し、オンラインセミナーやワークショップを継続的に実施し、着実に浸透を進めています。
グローバルでの浸透は、世界各拠点が同じ価値観を共有し、一体感を持って迅速に意思決定できる体制を築くために不可欠です。2025年には海外拠点の浸透度調査と浸透担当者へのインタビューを実施し、課題を把握したうえでワークショップを開催しました。今後は、国内外の人事担当者が情報共有や議論を行うコミュニケーション基盤「Global HR Hub」を活用し、企業理念を基盤とした意思決定の質向上や現場での行動変革を促す取り組みを拡充していきます。
④リスク管理
当社は、人材流出による知識・技術の損失、労働市場の変化による採用競争激化、労働問題発生、レピュテーションリスクを人的資本経営におけるリスクと捉え、リスク低減に努めています。具体的には以下のようなリスク管理を行っています。
まず、人材確保の観点からは個の成長に向けた各種研修体系の整備や、魅力ある職場の実現のため職場環境・組織体質の改善を通じて、離職防止に努めています。また、キャリアを自律的に考え、挑戦する人材を育てるためのキャリア支援制度を提供しています。これらの活動により、従業員のエンゲージメント向上を図り、職場環境の改善を通じて働きやすい環境を整備しています。
さらに、採用プロセスの見直しを行い、多様な人材を確保するためにコース別採用、インターンシッププログラム、従業員紹介制度(リファラル採用)などを導入しています。これにより、優秀な人材の確保と育成を図り、2025年は定期昇給に加えて賃金改善(ベースアップ)も実施することで、報酬の競争力の確保に努めています。
サステナブルな組織運営のためには主要ポストでの後継者の持続性が重要だと捉えており、一部の部長級ポストでタレントプールを可視化し、社内取締役で組織している人事委員会で人材の充足状況を把握しています。今後は対象範囲を拡大しHR Techと組み合わせることでより中長期的な人材配置と育成計画を可視化し組織知としていく計画です。
労働問題発生によるレピュテーションリスクの抑制については、四半期に一度開催される企業倫理委員会を設置し、労働時間管理・コンプライアンス案件の共有を徹底することで、労働問題の発生を未然に防ぐ取り組みを行っています。これにより、企業の信頼性を維持し、レピュテーションリスクの抑制に努めています。
⑤指標及び目標
当社グループの人的資本の価値を拡大する人的資本戦略は、サステナビリティ長期方針「はずむ未来チャレンジ2050」で設定した多様な人材の目標達成を目指して活動、目標達成に向けたアクションプランの計画と実践、その実効性の検証を行っています。
項目により取り組みの範囲が異なるため、海外を含むグループ全体の計測が困難な項目については住友ゴム工業単体またはグループ国内のみの数値を記載しています。
またそのほかの重要な指標についても当社ウェブサイトに公開しています。
https://www.srigroup.co.jp/sustainability/search_index.html
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項 目 |
2030年目標 |
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多様な人材
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従業員エンゲージメントスコア(*1) |
58%(住友ゴム工業単体) |
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Our Philosophyについての従業員共感率 |
80%(連結) |
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女性管理職比率 |
12%(住友ゴム工業単体) |
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※1 エンゲージメントスコア
エンゲージメントスコアは、エンゲージメント・継続勤務意向・総合体験・インクルージョン・ウェルビーイングの5つの結果指標を用いたで従業員アンケートを実施し、外部ベンダーによる分析からパーセンテージでスコア化をしています。今後、海外を含む当社グループ全体に対象を拡大予定です。