事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
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セグメント別売上構成
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セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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セグメント別利益率
最新年度
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
検証事業 | 2,689 | 66.0 | 480 | 59.0 | 17.8 |
開発事業 | 1,388 | 34.0 | 333 | 41.0 | 24.0 |
事業内容
3【事業の内容】
当社は、主にソフトウエアシステムの検証サービス注1を提供する「検証事業」とシステム受託開発、業務系パッケージソフトウエアの開発・販売等を行う「開発事業」を主たる事業として展開しております。
設立当初は、業務系のパッケージ開発を主業務とし、「徹底した顧客志向の開発」というコンセプトのもと開発事業を進めてきましたが、2001年度より業務系の開発事業で培った経験とノウハウを活かし、ソフトウエアテストに関する専門的な知見と技術を提供する検証事業を立ち上げ、注力しております。
当社事業を取り巻く環境について、従来ソフトウエアの品質担保に関する業務は、メーカーやソフトウエア開発会社の社内で実施されておりましたが、国内でのIT人材不足を背景に、より競争力の高いサービス・製品を創造するための開発工程に経営リソースを集中させる傾向が高まっております。また、ソフトウエアはますます複雑化しており、仕様書通りに機能するかの確認のみならず、連携するシステム全体における結合テストや、テストの自動化、セキュリティテスト等、テスト工程に求められる専門性が高度広範囲になってきております。このため、メーカーやソフトウエア開発会社におけるテスト工程のアウトソーシング(第三者検証)が加速している状況です。
市場の品質ニーズのさらなる高まりに対応して、当社はソフトウエア開発プロセス支援、品質改善コンサルティング、保守・運用支援など、テスト工程だけではなく開発プロセスやシステムのライフサイクル全体に対してのソリューションサービスも開始し、顧客企業における高品質なソフトウエア開発を総合的に支援しております。
検証事業、開発事業のいずれにおきましても常に顧客本位を第一に考え、国際標準規格注2に準拠したプロセスや品質基準で事業展開を行っております。なお以下の2事業は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
(1)検証事業
当事業では、ソフトウエアの不具合により顕在化するリスクを回避・軽減するため、ソフトウエアの開発工程(要件定義・設計・開発・テスト)のなかのテスト工程において、品質計画の立案、テストの分析設計、テストの実行といった一連のプロセスやコンサルティングをサービスとして提供しております。当サービスの提供により、ソフトウエアの不具合を抽出します。またその不具合の修正をソフトウエア開発に促すことで、品質向上に寄与するとともに、重要な不具合が発生していないことを確認するための品質の測定と報告によって、顧客がソフトウエアのリスクの判断を行うことが可能となります。
当事業の対象となるソフトウエアは、スマートフォンやカーナビゲーションのハードウエアに組込まれて動作する「組込みソフトウエア注3」、法人向けの販売管理や会計等の業務系システムやパッケージソフトウエア製品などの「エンタープライズ系注4システム」、WEB上で動作するシステム全般をあらわす「WEBシステム」となっております。
特に、エンタープライズ系注4システムは開発事業にて培った販売・購買・在庫管理等の業務知識やシステム構造等のノウハウが活かされることから、当社の得意とする領域であり、さらには開発技術を背景とした「テスト実施の自動化」技術によるコスト効率化や品質の担保ができることも強みにしております。
また、当事業における主な顧客は、主に大手SIer注5系の情報システム部門やパッケージソフトベンダーなどの事業会社系となり、これらの顧客に対して、ソフトウエア機能テスト技術を提供することで、顧客のシステム開発における品質プロセスに対する重要な役割を担っております。
事業系統図
[検証事業]
当事業は、開発事業との技術シナジーやテスト自動化における効率性と品質担保の提供を特徴としております。
「エンタープライズ系注4システム」については、開発事業者としての長年にわたり蓄積したノウハウの経験と技術者人員および業務知識を活用できることから、得意な領域としております。またエンタープライズ系注4システムは、業務知識が不可欠であり参入障壁が高い一方、時間をかけて業務知識やシステム構造を習得した後は、業務システムを熟知した技術者の関与が可能となるため、参入後は案件の継続率が高く、生産性も高くなり高収益が見込まれます。
WEBシステムをはじめとする事業会社系の検証業務プロジェクトでは、すでに運用しているシステムの派生開発(機能追加など)が主なテスト対象となることから、事業やサービスの継続に比例してシステム開発プロジェクトひいては検証業務が長期化することで、安定収益の確保が見込めます。また、派生開発はリリースの都度行われるために、システム全体の繰り返しテストが発生いたします。これらの「繰り返しテスト」はシステム全体の品質を確認するために非常に重要である一方で反復作業であり、多くのプロジェクトでこの反復作業をエンジニアが手動で行っているのが現状です。当社はこれらの繰り返しテストを、当社の強みである「テスト自動化サービス」にてテスト実施を自動化させていきます。それにより、エンジニアをセキュリティ面や利用者にとって使いやすいかどうかという利便性の確認、さらには利用者の誤りやすい運用を想定し、動作させた場合のシステム信頼性の確認といった、人的判断を要する領域に注力させることを可能にさせ、顧客に対して付加価値を提供しております。
当社は自動化サービスを活かして以下のように拡大戦略をとっていきます。
・手動テスト案件(A)から、まずは自動化可能な部分(手動で行ってきた単純テスト)を切り出して、自動化スクリプト注6開発案件(B)を増やす。
・次に単純テスト以外についても、自動化が適用可能な領域を検討し提案していく、自動化適用可能領域を広げるための案件(C)を増やす。
・前段記載の通り、適切な自動化によって、エンジニアが人間にしかできない領域のテストに注力することのできる、テスト自動化部分と手動テスト部分を組み合わせて全体品質の向上をはかれるハイブリッド案件(D)を増やして事業拡大を図る。
[自動化サービスごとの売上比率] (単位:%)
|
2020年 3月期 |
2021年 3月期 |
2022年 3月期 |
2023年 3月期 |
2024年 3月期 |
(A)手動テスト案件 |
44.0 |
29.9 |
22.3 |
20.3 |
20.4 |
(B)自動化スクリプト注6開発案件 |
1.5 |
4.7 |
5.7 |
6.6 |
5.1 |
(C)自動化適用可能領域を広げるための案件 |
25.8 |
35.3 |
37.7 |
39.2 |
36.3 |
(D)自動化と手動テストのハイブリッド案件 |
28.8 |
30.1 |
34.2 |
33.9 |
38.2 |
当社の「テスト自動化サービス」の大きな強み(他社との違い)を以下のように考えています。
① 開発技術者を有しており、自社内でテストの自動化プログラムの開発が可能であること。また、その自動化プログラムを最大限生かせるテスト設計が可能であること。
② 市販のテスト自動化専門ツール注7やオープンソース注8ツール(ソースが公開されている無償ツール)のみでは対応できない対象(領域)についても、自社内で補完アプリを開発することにより、自動化が可能となること。
①については、当社は長年開発事業を行い、開発エンジニアを多数有していることから、一般のテスト専門会社に比べ、高品質で保守性の高い自動化プログラムの開発が可能です。
また、効果の低いテストケースを自動化しても効果が限られるため、反復効果が高いテスト自動化ケースを作成するための「テスト自動化設計力」も極めて重要となります。
当社は長年のテスト経験・ノウハウにより、「テスト自動化設計力」を高めてまいりました。これら「プログラム開発力」と「テスト自動化設計力」が、当社の最大の強みとなっております。
②ですが、市販のテスト自動化ツール注7や、オープンソース注8ツールのみでは自動化が困難なテスト対象(領域)もあり、そのような場合、手動テストで対応することが一般的です。
しかしながら当社は、そのような場合においても、上記ツールを補完する「ヘルパーアプリ」を自社開発することにより、上記ツールのみでは対応が困難な対象(領域)も自動化することが可能です。
このようなテストの自動化を行うことで、顧客へテストの実行時間の短縮による「コストメリット」や、繰返し全体のテストを行うことによる「品質の担保」という付加価値を提供しております。この付加価値をもたらしうるには、上記のような深い開発に係る知識と、ソフトウエアの品質検証に係る経験が必要であると考えております。
従いまして、このテストの自動化領域につきましては競合が少ないと考えており、顧客の継続率も高く安定収益の確保につながっているものと考えております。
また、近年のインターネットを経由したWEB系のサービスは、顧客のニーズに合わせ頻繁に機能やサービスの変更が行われます。その際、すべてのサービスの変更の都度手作業でテストを行いますと、膨大な費用と時間が必要となります。
下図の様に、設計、開発、テストが頻繁に繰り返されるシステム開発においては、テストの自動化が必須となると考えております。
一般のソフトウエアテストにおきましては、各工程単位ごとにテストを行います。
「要求分析」の段階では、顧客の要求を確認し、「受け入れ(検収)テスト」を設計・実施いたします。「要件定義」の段階では、顧客の要求がシステムに反映されているかの「システムテスト」を行います。また、「基本設計」の段階では「結合テスト」、「詳細設計」の段階では「単体テスト」を行い、設計書通りにソフトウエアが正しく動く事を確認し、「コーディング」の段階にてコードの誤記、論理の誤り、脆弱な箇所が無いか等を検証する「コードレビュー」を行い、報告書を作成いたします。
当社は、各工程単位でのテストの実施のみならず、テストに関連するすべての工程に対して、トータルでの支援やコンサルティングを行うことにより、コスト的にも品質的にも最適なサービスを顧客に提供しております。
(2)開発事業
開発事業では、大手ベンダー製のパッケージソフトウエア導入に伴うカスタマイズの受託開発や、セキュリティ製品の開発・販売、パッケージソフトウエアの開発・販売・保守を中心に行っております。
事業系統図
[開発事業]
①ERP注9パッケージソフトウエア導入に伴うカスタマイズの受託開発
当サービスは、ERP注9パッケージソフトウエアを導入された顧客企業に対し、個別にカスタマイズ開発を受託しております。取り扱うERP注9パッケージソフトウエアは大手ベンダー製となっております。
当社の扱う同ERP注9パッケージソフトウエアは、販売・購買・在庫管理及び財務管理といった業務知識と、個々の業務管理システム等のつながりを理解しないと、システムの構造が理解できず、結果としてカスタマイズの設計ができないと考えられます。
従って、その開発技術には単一的なシステム設計の理解では足りず、その開発技術の習得に時間がかかる事と、開発ライセンス契約の社数も絞られていることから、参入障壁が高いと想定しております。国内のERP注9パッケージソフトウエア製品市場は未だ成熟してはおらず、本分野はそのマーケット規模から推察して大きく拡大する事が期待できます。
当社は複数の大手ベンダーのERP注9パッケージ製品を取り扱っており、これらの製品群は、対象とする企業規模が各々異なりますため、幅広い顧客層に対応することが可能です。
製品の販売は、主に販売代理店により顧客企業に販売されておりますが、顧客企業よりカスタマイズ開発の要求があった場合に、そのシステム開発を受託いたします。販売代理店側と同行し顧客企業の要望を聞取り、要件定義から設計・製造及び運用指導まで一貫して受託するケースや、要件定義以後の詳細設計から製造まで行うケース等、開発内容は多岐に渡っております。また、大規模なカスタマイズ開発を行う場合、その後の問合せやバージョンアップ対応が必要となるため、当社が顧客企業に対して直接的に保守サービスの提供も行っております。
②業種テンプレートの開発・販売
当サービスは、上記ERP注9パッケージソフトウエア「SMILE」をベースとして鋼材業向けとして「PowerSteel」、建材・木材卸業向けとして「PowerCubic」を開発し、販売することに加え、保守サービスを提供しています。
これらの業界は、業界特有の商習慣及び法令改正等により、パッケージソフトウエアにカスタマイズを行う必要があります。
例えば鋼材パイプの場合は、「寸法別」、「本数別」で在庫管理を行う必要があります。一方、売上の計上におきましては、出荷製品の「総重量」をもとに計算を行います。このように、管理する単位が混在するため、通常の仕組みでは対応できません。また、売上高計算の為の重量計算を業界特有の計算式で行うなど、カスタマイズが必要となります。
パッケージソフトウエアをベースとした当社製品(業種テンプレート)を導入することにより、上記のようなカスタマイズが不要となり、他社でスクラッチ開発注10を行う場合と比べ、顧客企業の費用負担は大幅に抑えることができます。
また、当社は鋼材業界、建材・木材卸業界の特徴も熟知しており、導入もスムーズに行えることから、当社製品は好評を博し、2024年3月末現在では752社を超える導入実績となりました。
これらの分野も、定期的なバージョンアップによる持続的な需要により、今後も安定的なシェアが見込まれます。また、頻繁に行われる税制の改正などへの対応需要もあり、今後ともパッケージ製品の売上は堅調に推移すると予測されます。
さらに当社は、これらの業種対応のみならず、携帯端末を利用した在庫管理システムや、WEBを活用した受注システム等の周辺システムもあわせて提供しております。鋼材業、木材卸業共通の特徴ですが、入庫した製品を様々な長さで切断するため、在庫管理が複雑なものとなっています。このため、携帯端末を利用し、常に正確な在庫管理をおこなうことを可能としております。また、加工する際の加工賃をWEBから自動計算で行えるようにしたことにより、営業の見積書作成作業の軽減につながり、顧客企業から好評を得ております。このような業界特有の商習慣を踏まえて、柔軟にカスタマイズ対応することにより、顧客企業の業務効率向上をサポートし、今後の拡販を目指してまいります。
③セキュリティ製品の開発・販売
当サービスは、独自にてセキュリティ製品を開発し、ライセンス利用型で販売することに加え、保守サービスを提供しております。
主製品の「DEFESA」は、操作のログ管理を主な機能としており、詳細な操作ログ情報の取得を可能とした高い技術を特長としております。特にシンクライアント端末注11を用いた環境に特化した当社独自のログ取得技術としては、APIフックと呼ばれる手法を用いて、OSから出される操作の信号を受信し、記録後すぐにOSに返します。そのため、OSの負荷が小さく、すべての操作ログを収集することが可能です。一般的な技術ですと、OSが記録を行うエージェントと言われる機能上のログを収集する方式となり、この方式ではログ情報が蓄積し、OSの負荷が高くなると言われております。
また、オプション機能としてPC操作の画面の動きをすべて録画する機能を準備し、顧客企業の導入シーンに応じて柔軟に機能選択もできるセキュリティ製品となっております。
また、もう一つの主力製品である「monoPack」といたしましては、既存のPCにUSBキーを挿入するだけでシンクライアント端末注11として使用のできることが特徴となっており、外部環境においても、政府が推進する働き方改革による在宅勤務をはじめとするテレワークの普及により、企業における仮想化環境注12の導入が進んでおります。
このような状況下で、従業員がテレワーク環境で使用するPCを安全に活用するためのセキュリティ強化を目的に、従来は仮想化専用端末を新規に導入する必要がありましたが、当社製品では、既存のPCを活用し大幅にコストが削減できることから、引き合いのピークは落ち着きつつありますが、その優位性は依然として健在であります。
(脚注)
番号 |
用語 |
用語の定義 |
注1 |
検証サービス |
情報システムやカーナビゲーションシステム・スマートフォン等の家電製品のシステム開発工程におけるテスト、検証を実施するサービスの総称。 |
注2 |
国際標準規格 |
ソフトウエアテストのための国際標準規格(ISO/IEC/IEEE29119)を指す。 |
注3 |
組込みソフトウエア |
家電製品、携帯電話などの電子機器や産業用ロボット等に搭載され、それらの機器を制御するソフトウエアのこと。エンベデット系とも言う。 |
注4 |
エンタープライズ系 |
基幹業務システムのうち、想定顧客や市場区分として「大企業・中堅企業(向け)」「大企業・官公庁(向け)」のもの。 |
注5 |
SIer |
システムインテグレーターの略語。ITシステムのコンサルティングから設計、開発、運用・保守・管理までを一括請負する情報通信企業。 |
注6 |
スクリプト |
コンピューターに対する一連の命令などを記述したもの。コンパイルを必要とするプログラミング言語によるものに対し、より簡易な言語で記述されたものをいう。 |
注7 |
テスト自動化ツール |
ソフトウエア開発における各種テスト活動を自動化するためのツールの総称。たとえば「テスト管理」「テスト設計」「テスト実行」「テスト報告書作成」などの業務を自動化する。 |
注8 |
オープンソース |
ソースコードを商用、非商用の目的を問わず利用、修正、頒布することを許し、それを利用する個人や団体の努力や利益を遮ることがないソフトウエア開発の手法。 |
注9 |
ERP |
「Enterprise Resource Planning」の略で、日本語では「統合基幹業務システム」を指す。 |
注10 |
スクラッチ開発 |
既存の製品や雛形などを流用せずに、まったく新規にシステムの開発を行うこと。 |
注11 |
シンクライアント端末 |
ユーザーが使うクライアント端末に必要最小限の処理をさせ、ほとんどの処理をサーバー側に集中させたシステムアーキテクチャ、もしくはそのシステムのための専用端末のこと。 |
注12 |
仮想化環境 |
コンピューターなどの物理的な機器(ハードウエア)を、仮想化技術により複数の仮想的な機器に分割し、それぞれを独立に運用する環境のこと。 |
業績
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度(2023年4月1日〜2024年3月31日、以下当期)におけるわが国経済は、経済活動の正常化が進み、景気は緩やかに回復致しました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の悪化に伴う資源価格の上昇、世界的な金融引き締めに伴う為替市場への影響等、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
当社が属するIT関連業界においては、引き続き企業のIT投資が拡大傾向にあると共に、IoTやAIなどのDXに関連する投資が増加しており、今後も堅調に推移すると認識しております。
こうした事業環境の中、当社は独自性のあるサービス提供へ向けた積極的な取り組みや、新たな市場の開拓等に注力し、企業価値向上に努めてまいりました。
この結果、当期の売上高は4,076,709千円(前期比14.8%増加)となり、創立以来の最高額であった前期を上回る結果となりました。また利益率の高い当社製品(業種テンプレート)の売上増加と、生産性の向上により、営業利益250,867千円(前期比23.4%増加)、経常利益266,750千円(前期比39.4%増加)、当期純利益は202,149千円(前期比47.3%増加)といずれも大幅増益となりました。
各セグメントの経営成績につきましては、次のとおりです。
ⅰ)検証事業
当社の検証事業では、ソフトウエア開発の各工程において、テストの計画立案からテスト設計・実行、そしてプロセス改善提案に至るまで、顧客企業のソフトウエア品質向上のためのサービスを提供しております。
当期においては、同業他社と差別化を図るために継続してテストの自動化を推進してまいりました。複数の顧客の自動化を受託し、実績をあげることができました。
その結果、セグメント売上高は2,752,114千円(前期比36.1%増加)、セグメント利益は479,951千円(前期比31.3%増加)と増収増益の結果となりました。
ⅱ)開発事業
当社の開発事業では、自社開発パッケージ製品の販売及びカスタマイズ、受託システム開発、セキュリティ関連製品の販売が主な事業内容となっております。
当社の開発事業においては、従前より株式会社大塚商会のERP「SMILEシリーズ」の開発及びカスタマイズを中心に行っております。特に鋼材業・木材業向けといたしまして、「SMILEシリーズ」で機能する業種テンプレートを自社開発し、これらの販売・サポートについても、パートナー企業との連携強化に注力し展開してまいりました。
また、諏訪センターにおいて複数の大手ベンダー製パッケージソフトウエアの受託開発を手掛けており、開発の対象の幅を広げることにより受注の安定につなげております。
セキュリティ製品の「monoPackシリーズ」は、新型コロナウイルス感染拡大によるテレワークの増加に伴う需要が、感染の鎮静化により一段落し、受注が減少致しました。
これらの結果として、セグメント売上高は1,324,595千円(前期比13.3%減少)、セグメント利益は333,236千円(前期比3.0%増加)と減収増益の結果となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ318,301千円増加し、2,121,973千円となりました。流動資産は、前事業年度末に比べ30,587千円増加し、1,517,525千円となりました。主な要因は、現金及び預金の減少があったものの、売掛金及び契約資産が116,292千円増加したことによるものであります。固定資産は、前事業年度末に比べ287,713千円増加し、604,448千円となりました。主な要因は、新諏訪センター建設に伴う土地の取得34,087千円や建設仮勘定の計上241,376千円によるものであります。
(負債)
当事業年度末の流動負債は、前事業年度末に比べ223,576千円増加し、973,239千円となりました。主な要因は、短期借入金の増加200,000千円によるものであります。固定負債は、前事業年度末に比べ90,300千円減少し、64,986千円となりました。主な要因は、社債の減少20,000千円、長期借入金の減少69,053千円によるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べ185,025千円増加し、1,083,748千円となりました。これは主に、当期純利益202,149千円の計上などによって繰越利益剰余金が179,445千円増加したためであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、資金という)は、前事業年度末に比べ75,695千円減少し、782,675千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と各増減要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は127,937千円となりました。これは主に、売上債権及び契約資産の増加116,292千円があったものの、税引前当期純利益266,750千円の計上や仕入債務の増加50,557千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は285,530千円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出294,135千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は81,896千円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出72,049千円、社債の償還による支出20,000千円、配当金の支払による支出20,581千円の一方で、短期借入金の増加200,000千円があったことによるものであります。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当社の提供するサービスの性格上、当該記載が馴染まないことから記載を省略しております。
② 受注実績
当社では、受注から販売までの期間が短いため、当該記載を省略しております。
③ 販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
検証事業(千円) |
2,752,114 |
136.1 |
開発事業(千円) |
1,324,595 |
86.7 |
合計(千円) |
4,076,709 |
114.8 |
(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりでありま
す。
相手先 |
前事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
(株)大塚商会 |
852,658 |
24.0 |
1,144,098 |
28.1 |
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積による不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社の財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
財務諸表作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
当事業年度の売上高は、4,076,709千円となり、前事業年度に比べ526,475千円増加(対前年度比14.8%増)となりました。これは検証事業・開発事業の両事業において堅調に拡大したことに加え、特に開発事業においては、製品の受注が増加したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は、3,263,521千円となり、前事業年度に比べ402,334千円増加(対前年度比14.1%増)となりました。また、売上総利益は813,188千円となり、前事業年度に比べ124,141千円増加(対前年度比18.0%増)となりました。売上総利益率については、当事業年度で19.9%となり、前事業年度に比べて0.5ポイント向上いたしました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は562,320千円となり、前事業年度に比べ76,646千円の増加(対前年度比15.8%増)となりました。これは主に、給料及び手当が25,327千円、支払手数料が19,826千円増加したことによるものであります。
この結果、営業利益は250,867千円となり、前事業年度に比べ47,494千円の増加(対前年度比23.4%増)となりました。営業利益率については、当事業年度で6.2%となり、前事業年度の5.7%に比べて0.5ポイント向上いたしました。
(経常利益)
当事業年度において、助成金収入8,516千円及び保険解約返戻金5,224千円を含め営業外収益を18,295千円計上いたしました。一方で支払利息など営業外費用を2,412千円計上いたしました。この結果、経常利益は266,750千円となり、前事業年度に比べ75,392千円の増加(対前年度比39.4%増)となりました。
(当期純利益)
当事業年度において、税引前当期純利益は266,750千円(対前年度比39.4%増)となり、法人税等が64,600千円計上された結果、当期純利益は202,149千円(対前年度比47.3%増)となりました。
b.財政状態の分析
前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、中長期的に持続的な成長を図るため、従業員等の採用に係る費用や、人件費等の製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用への資金需要があります。
当事業年度における資金の主な増減要因については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しておりますが、経常的な運転資金や事業規模拡大による設備投資等につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入により調達された資金を財源としております。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等
当社は、「常にお客様の目線で考え、IT技術を通じて顧客の成長に貢献します。」「社員一人一人の能力と価値を尊重し、公平に評価します。」「地域社会、業界、有益な社会事業に貢献し環境・資源の保護に努めます。」「健全な利益を確保し、成長事業に投資し、株主に適切な利益貢献をします。」を企業理念のもと、優秀な人材を集め、市場で必要とされる製品・サービスを創造し、それらを利用頂くことにより社会貢献してまいりたいと考えております。そのために、当社は高い収益性をもって成長し続けることを目標としており、成長性と収益性、効率性のバランスを取りながら経営を行ってまいります。
具体的な目標と致しまして、売上高成長率、売上高営業利益率を掲げております。売上高成長率は、企業及び事業規模の拡大と継続的な成長を示す指標として、また、営業利益率は本業によって適切な利益が生み出されているかを判断する指標として重視しております。これらの指標を高水準で維持していくことを目標とし、企業価値の最大化を図ってまいります。なお、直近2事業年度の代表的な指標の予想値、実績値及び達成率の推移は以下の通りであり、引き続き堅調に増加拡大するものとみております。
|
前事業年度 |
当事業年度 |
||||
|
予想 |
実績 |
達成率 |
予想 |
実績 |
達成率 |
売上高成長率(%) |
108.3 |
109.9 |
101.5 |
112.7 |
114.8 |
101.9 |
売上高営業利益率(%) |
5.1 |
5.7 |
111.8 |
6.0 |
6.2 |
103.3 |