リスク
3【事業等のリスク】
当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクを、以下の表にて発生の可能性や時期、影響の大きさの観点から重要性が高いと判断している項目順に記載しております。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できない、または重要とは見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
なお、文中における将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
項目 |
リスクの内容 |
主要な取り組み |
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(1) 事業環境の動向 |
発生可能性:高 |
影響度:大 |
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・国内外の景気悪化、公共投資・民間設備投資の抑制、個人消費の低迷、特に当社グループの主要需要業界である自動車メーカーの減産、電動化の進展加速、当社グループの価格交渉力低下による経営成績および財政状態への影響 ・需要環境の構造的変化による事業用資産の減損および戦略的投資を行った事業の計画未達に伴う固定資産の減損 ・戦争、紛争を含む政情不安、金融政策の転換等に伴う金融不安、為替の急速な変動、貿易相手国の過度な通商政策、感染症の蔓延、自然災害等による上記リスクの顕在化、および当社グループに与える影響の拡大 |
・経営企画部門による経済環境のモニタリング、事業計画の審査 ・競合に対する差別化、技術の向上 ・経営会議・技術投資検討会を通じた経営戦略、投資の妥当性の審議および収益獲得に向けたフォローアップ ・外部環境変化を見据えた新規製品事業の強化 |
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(2) 自然災害 |
発生可能性:中 |
影響度:大 |
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・南海トラフ巨大地震や気候変動に伴う大規模洪水等の自然災害による知多工場、星崎工場の操業への甚大な影響 |
・人命保護を最優先とし建物の耐震補強や津波避難場所の確保等防災対策 ・大規模停電等による爆発等、二次被害の防止 ・被災時の生産復旧を円滑にするための設備投資の検討実施 |
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(3) 設備事故・労働災害 |
発生可能性:中 |
影響度:大 |
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・特殊鋼関連を主とする大規模主要設備の、過酷な環境下での操業による重大な設備事故や労働災害の発生 |
・製造現場を中心とした自主的なリスク抽出と設備本質改善の継続 ・作業中の変化点管理指針の明確化による「止める・呼ぶ・待つ」感性のスキル化 ・転倒災害対策の推進(体力維持活動、環境改善、安全用品) ・安全研修会等により他社改善事例を社内へ展開 |
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(4) 環境規制・カーボンニュートラル |
発生可能性:中 |
影響度:大 |
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・環境保全に対する法規制の強化・厳格化に伴う対応のための事業活動の制約、費用の発生 ・当社渋川工場の鉄鋼スラグ製品および直下の土壌からの環境基準を超えるふっ素等の検出によって、追加的な対策が必要となった場合の、応分の費用負担発生 ・CO2削減対策費用の増大、再生可能エネルギー調達コストの上昇 |
・社会貢献も含めた環境配慮の経営への取り組み ・当社グループの事業活動に関連する各種法規制の洗い出し、および遵守状況のモニタリング ・国や群馬県をはじめとした各自治体および民間との協議の上、調査および措置を継続 ・継続的な省エネ、コスト改善の実行 |
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(5) 人材 |
発生可能性:高 |
影響度:中 |
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・少子高齢化等による必要な人材の確保、育成の未達 ・各種ハラスメント防止やダイバーシティへの対応が不十分だった場合の人権侵害および人材定着率の低下 |
・通年採用、キャリア採用の拡充 ・階層別・専門教育の拡充 ・働きがいのある職場づくり ・人権デューデリジェンス体制の整備および実施 |
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(6) 原料、エネルギーの価格変動および安定調達 |
発生可能性:中 |
影響度:中 |
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・価格の変動(鉄スクラップ、合金鉄、レアアース、電極や耐火物、電力、LNG等) ・需給バランスの崩れによる調達の不安定化、電力使用制限の発生に伴う生産活動への支障 ・ロシア・ウクライナ情勢長期化による一部品目の価格高騰、供給懸念 |
・製品価格転嫁の推進 ・製品価格の原材料サーチャージ制の実施 ・調達ソースの複数化、数量に柔軟性を持たせた契約の締結 ・調達先との密な情報交換 ・電力に関する契約の交渉・更改 |
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(7) 法令・規範の変更 |
発生可能性:中 |
影響度:中 |
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・労働、安全衛生、カルテル、輸出管理、個人情報保護、その他事業活動に関連する法令・規範の変更や社会の諸要求の厳格化による課徴金や行政処分の発生 |
・法令その他の社会的規範の遵守、変更や厳格化への速やかな対応、公正で健全な企業活動の展開 ・法的要求事項等で違反認定された事例の水平展開 ・e-ラーニングシステムのさらなる有効活用 |
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(8) IT環境・情報セキュリティ |
発生可能性:中 |
影響度:中 |
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・不正アクセスによる情報漏洩 ・デジタル技術革新への対応遅延による競争力の低下 ・基幹システムの肥大化およびブラックボックス化によるシステムトラブルの発生 |
・サイバーセキュリティ体制の強化 ・IT技術とデータの利活用推進 ・レガシーシステム整備に向けた課題抽出と中長期方針策定 ・情報管理強化に向けた組織横断的ワーキンググループ ・CSIRT運用の開始 |
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(9) 海外事業展開 |
発生可能性:中 |
影響度:中 |
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・海外における政治経済状況の混乱、法令、規制等の予期せぬ変更 ・その他の社会的混乱等に起因する事業活動への弊害 |
・現地情報のタイムリーな収集、関連グループを含めた迅速な情報共有 ・駐在員管理強化 ・海外法規の調査 ・e-ラーニングシステムの海外展開 |
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(10)関係会社のガバナンス |
発生可能性:中 |
影響度:中 |
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・関係会社における各種の不正行為や不適切な会計処理等の発生 |
・内部統制、重要法規の教育および本社監査部門による監査の実施 ・関係会社各社監査役の会合、教育を通じた監査役監査の充実 ・内部統制、リスクマネジメント等のグループ内啓蒙活動 ・e-ラーニングシステムのさらなる有効活用 |
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(11)製品品質保証・製造物責任のリスク |
発生可能性:中 |
影響度:中 |
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・大規模な製造物責任賠償やリコールによる多額の費用発生や社会的な信用低下 ・検査データの不正による顧客への補償および売上減少による業績、財政状態への悪影響 |
・品質安定化の追求、厳格な検査・保証管理体制構築、損害保険加入等 ・当社グループの品質保証に特化した部の設立 |
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(12)金融商品の価値変動 |
発生可能性:低 |
影響度:中 |
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・投資先の業績不振、証券市場における市況の悪化による投資有価証券の価格下落 |
・資産圧縮によるリスク低減 |
配当政策
3【配当政策】
配当の方針につきましては、安定した利益還元の継続を基本としておりますが、連結業績と配当性向および当社の資金需要、財務状況も総合的に勘案し、株主の皆様の期待にお応えしていきたいと考えております。利益水準の進捗、有利子負債の水準、設備投資の状況などを踏まえながら、業績に応じた利益配分を考慮する上で基準となる配当性向につきましては、連結ベースで30%以上を目安としていきます。内部留保資金の使途につきましては、有利子負債の水準を管理するとともに、財務体質の安定を図りながら、カーボンニュートラル対応やポートフォリオ改革に向けた戦略製品拡大など企業価値の継続的な向上のための設備投資や研究開発、人的資本投資、新規事業の拡大などに活用することを基本としております。
当社は、株主への機動的な利益還元を可能とするため、会社法第454条第5項に規定する中間配当をすることができる旨および会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当を行うことができる旨をそれぞれ定款に定めております。また、配当の回数については中間期と期末の2回を基本とし、取締役会の決議で中間配当を、株主総会の決議で期末配当を行っております。
当期の配当につきましては、上記の方針に基づき、中間配当を1株につき21円実施しました。期末配当は1株につき26円とする議案を2025年6月25日開催予定の定時株主総会に付議する予定です。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(百万円) |
1株当たり配当額(円) |
2024年10月30日 |
4,487 |
21.00 |
取締役会 |
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2025年6月25日(予定) |
5,363 |
26.00 |
定時株主総会 |