2025年12月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 8,191 100.0 1,311 100.0 16.0

3【事業の内容】

当社は、「2100年、空き家ゼロ」というミッションのもと、日本の空き家(注1)問題の解決を目指し、主に自社WEBメディアを通して集客した、空き家を手放したい持ち主(以下、「売主」。)から空き家を買取り、空き家を活用したい買い手(以下、「買主」。)へ販売する、空き家マッチング事業を日本全国で運営しています。

なお、当事業年度末より、投資家の皆様に事業の実態をより正確に把握していただくことを目的に、セグメント名称を不動産事業から空き家マッチング事業へ変更しています。

 

日本の空き家は、過去数十年にわたって増加し続けています。

空家特別措置法(2015年制定、2024年改正)や空き家バンク制度の創設等を通じて、国や地方自治体による対策は行われていますが、本書提出日現在においても減少傾向は見られません。

 

空き家は、何らかの瑕疵がある、いわゆる訳あり物件(注2)であることが多く、新築戸建てやマンションと比べて実需(注3)は低いと言えます。

また、中古不動産の取引において一般的な取引形態である仲介取引では、事業者が得られる手数料は、取引金額を基準とした上限が宅地建物取引業法によって定められています。そのため、取引金額が低額となることが多い空き家の取引では、仲介手数料も低額となります。

 

当社は、これらが空き家の流動性が低いことの主な要因であると考えている一方で、これまでの事業運営等を通じて、機会に恵まれていないだけで潜在的な売主及び買主が多数いることを理解しており、空き家が活用されない状況をもったいないと考えると同時に、事業成長の機会と捉えています。

 

売主、買主ともに動機は様々なものがありますが、当社実績では、売主においては相続により所有することになった物件を持て余していること、具体的には空き家を利活用する方法がなく、所有しているだけで税金や管理費等の経済的負担、管理不全による物件自体の汚損や、火災や倒壊等により物件周辺に悪影響を与えるリスクに懸念を感じていること、買主においては取得した物件を賃貸物件として利用することによる収益獲得が主な動機となっています。

 

その中で、当社は、次のような取り組みで売主、買主両者の動機に応えることで、「2100年、空き家ゼロ」を目指しています。

 

なお、当社は空き家マッチング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しています。

 

(1)日本全国の支店網

当社は、売主にとっても、買主にとっても重要な意思決定をして頂くためには対面でのコンタクトが必要であり、また、適時適切な物件査定を行うためには、速やかに現地を訪問できる体制が必要と考えていることから、全国の都道府県に継続的に支店を出店し、営業人員を配置することで、その環境整備に努めています。

 

(2)内製化されたマーケティング機能

当社は、仕入のリード(注4)獲得を役割とするマーケティング部門を社内に配置し、売主の声を営業担当者から社内のマーケティング部門に直接伝えることで、速やかにマーケティング施策に反映することができる体制としています。

当社のマーケティング活動の主な種類は次の通りであり、それぞれ最適と考える施策を検討、実施しています。

種類

内容

広告出稿

各種SNS、インターネット検索媒体、不動産専門WEB媒体への広告掲載

自社媒体、オウンドメディア

訳あり不動産買取プロ(https://wakearipro.com/)、訳あり物件買取りナビ(https://albalink.co.jp/realestate/)、不動産投資の森(https://2do-3.com/)等、自社で運営するWEBメディアによる集客

オフライン広告

新聞、チラシ等への広告掲載

自治体提携

自治体との協定締結した上で、空き家バンク内の困難物件の対応、空き家相談会の開催、空き家の利活用・再生支援活動等の取り組み

 

 

(3)仮需(注5)による査定

当社は、これまで実需ではなく、仮需のある買主に対して多数の空き家を販売してきていることから、買主が購入後にどのように物件の手直し等を行い、賃料をいくらに設定し、どのくらいの収益を得ているかのアンケートを実施し、蓄積しています。そのため、買主が期待する物件価格を推定することができ、ひいては当社が売主からいくらで買取るべきかの査定を速やかに行うことができます。

 

(4)買取り再販

当社は、原則仲介取引は行わず、当社が売主から空き家を買取り、買主へ販売する取引形態を採用しています。これにより、宅建業法が定める仲介手数料の上限額の制約を受けず、当社の実績に基づいて、当社が適正と判断する収益を確保した取引を行うことができるメリットがあります。一方で、当社の在庫として保有することにより、資金の固定化、登記関連費用の負担、在庫管理の必要が生じる等のデメリットがあります。そこで、当社は、第三者のためにする契約(注6)(以下、「三為取引」)を活用することで、買取り再販モデルによって生じるデメリットの低減を図っています。

 

(5)投資家ネットワーク

当社は、訳あり物件・空き家専門の投資サイトである、不動産投資の森(https://2do-3.com/)というWEBサイトを運営しており、不動産投資に関する情報提供を行っています。また、会員登録者には当社が販売する未公開の物件情報を配信しています。これらの取り組みにより不動産投資の森の会員数は継続的に増加しており、また、販売物件の3割超は当社から複数回の購入実績を有する買主が購入しています。

 

(6)育成から採用、データベース化までが連動した組織構築

当社の仕入活動における最大の特徴は仮需による査定であり、営業人員の育成における最重要項目も同ノウハウの習得です。

当社は、創業以来行ってきた数万件の査定データを蓄積し、研修内容に反映することで、ノウハウの精度向上、習得の早期化を図っています。これは、営業人員の採用時における業界経験の有無等に関するハードルを下げることになるため、採用競争力を高め、新規支店の出店スピードを高めることにつながります。さらに、支店が増えると売主とのコンタクトが増加し、査定データも増加することから、さらなるノウハウの精度向上、習得の早期化に活かせる好循環をもたらします。

 

(7)有料引取(注7)

当社は、(1)~(3)の特徴から一般的な事業者と比較して買取り可能な物件の範囲は広いと考えていますが、一部には地価や建物の状態等から判断して、当社でも買取りが困難な物件もあります。その上で、買主からのニーズがある場合には物件の処分に関するコンサルティングを有償で請け負い、最終的に当社が該当物件を買取ることがあります。この場合、実質的には有料引取となりますが、当社は、不動産の有料引取業界の健全化を目的とする不動産有料引取協議会に加盟し、同協議会が定める自主規制ルールに基づいて取引を行うことで、取引の健全性確保に努めています。

 

(注)1.賃貸・売却用及び二次的住宅(別荘やリモートワーク、残業時の寝泊り用)を除く空き家

2.以下、当社が定義する訳あり物件の種類

種類

内容

法律的瑕疵

占有者がいる、物件の共有持分のみ、再建築不可等

物理的瑕疵

物理的に破損しており、雨漏り、シロアリ被害、傾き等

環境的瑕疵

近隣で騒音がある、異臭がする、風営法の規制対象となる店舗がある等

心理的瑕疵

自殺や他殺があった等

3.自ら居住するために購入する需要

4.売主からの所有物件の売却に関する問い合わせ

5.賃貸利用、転売を目的に購入する需要

6.買主に販売することを明示したうえで事業者と売主とが売買契約を締結し、その後事業者と買主とが売買契約を締結することで、事業者における所有権登記が不要となり、事業者が在庫として保有することもなくなる取引形態

7.所有者から金銭を得て不動産を引き取る取引形態

 

 

[事業系統図]

上記に述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 

 

業績状況

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

(資産)

当事業年度末における流動資産は4,589,842千円となり、前事業年度末に比べ2,371,709千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が2,092,066千円、販売用不動産が242,225千円増加したことによるものであります。

固定資産は670,514千円となり、前事業年度末に比べ242,012千円増加いたしました。これは主に繰延税金資産が146,461千円、有形固定資産が51,638千円増加したことによるものであります。

この結果、総資産は、5,260,357千円となり、前事業年度末に比べ2,613,722千円増加いたしました。

 

(負債)

当事業年度末における流動負債は1,587,005千円となり、前事業年度末に比べ616,933千円増加いたしました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が362,900千円、未払法人税等が249,936千円増加、短期借入金が194,546千円減少したことによるものであります。

固定負債は1,657,211千円となり、前事業年度末に比べ891,063千円増加いたしました。これは主に長期借入金が916,786千円増加したことによるものであります。

この結果、負債合計は3,244,217千円となり、前事業年度末に比べ1,507,996千円増加いたしました。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は2,016,140千円となり、前事業年度末に比べ1,105,725千円増加いたしました。これは当期純利益981,647千円、新株の発行による資本金の増加61,890千円及び資本剰余金の増加61,890千円によるものであります。

この結果、自己資本比率は、38.3%(前事業年度末は34.4%)となりました。

 

② 経営成績の状況

当社は、「2100年、空き家ゼロ」というミッションのもと、日本の空き家問題の解決を目指し、主に自社WEBメディアを通じて集客した、空き家を手放したい持ち主から空き家を買取り、空き家を活用したい買い手へ販売する、空き家マッチング事業を日本全国で運営しています。

なお、当事業年度末より、投資家の皆様に事業の実態をより正確に把握していただくことを目的に、セグメント名称を不動産事業から空き家マッチング事業へ変更しています。

 

当事業年度においては、売主及び買主との対面でのコンタクト増加と速やかに物件現地を訪問できる体制の整備を目的に2025年1月に熊本支店、京都支店、神戸三宮支店を、3月に立川支店、7月に岡山支店、広島支店、仙台支店を開設することで、全国19の支店網となりました。

 

また、各自治体の課題解決に協力するとともに当社における仕入チャネルを拡大することを目的に2025年1月に千葉県市原市(6月に空き家管理活用支援法人に指定)、2月に新潟県小千谷市、茨城県土浦市、千葉県睦沢町、3月に長野県信濃町、北海道松前町、岩手県宮古市、4月に新潟県弥彦村、6月に千葉県君津市、熊本県和水町、7月に鹿児島県指宿市、埼玉県狭山市、福岡県大川市、8月に山梨県大月市、10月に埼玉県嵐山町、奈良県葛城市、12月に愛知県美浜町、山口県萩市とそれぞれ空き家対策の推進等に関する連携協定を締結しました。さらに、5月に長野県上田市、10月に鳥取県江府町より空き家管理活用支援法人に指定されたことで、全国25自治体と連携するに至りました。

 

その結果、当事業年度の経営成績は、売上高8,191,248千円(前年同期比50.6%増)、営業利益1,311,446千円(前年同期比137.2%増)、経常利益1,263,449千円(前年同期比142.1%増)、当期純利益981,647千円(前年同期比159.6%増)となりました。

 

なお、当社は空き家マッチング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しています。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により増加した資金は1,105,544千円(前事業年度は859,599千円増加)となりました。これは主に税引前当期純利益1,263,449千円などにより増加したものの、棚卸資産の増加額183,632千円などにより減少したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により減少した資金は145,280千円(前事業年度は221,707千円減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出92,856千円などにより減少したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により増加した資金は1,131,800千円(前事業年度は43,710千円減少)となりました。これは主に長期借入れによる収入1,695,281千円などにより増加したものの、長期借入金の返済による支出440,313千円などにより減少したことによるものであります。

この結果、現金及び現金同等物の期末残高は2,092,064千円増加して3,497,606千円となりました。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c.販売実績

当事業年度の販売実績を示すと、次のとおりであります。なお、当社の事業セグメントは空き家マッチング事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載を省略し、事業区分別に記載しております。

なお、その他不動産関連の内容は、有料引取取引および不動産賃貸、民泊運営等であります。

区分

当事業年度

(自 2025年1月1日

至 2025年12月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

不動産売買取引

6,613,141

135.6

その他不動産関連取引

1,578,106

281.0

合計

8,191,248

150.6

(注)主な相手先別の販売実績については、売上高の10%以上に該当する販売先がないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。

当社の財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績

(売上高)

当事業年度において売上高は8,191,248千円(前年同期比50.6%増)となりました。これは営業人員の拡大に伴い取扱い物件が増加したことにより、物件販売件数が増加したことによるものであります。

 

(売上原価、売上総利益)

売上原価は3,712,044千円(前年同期比23.1%増)となりました。これは販売件数の増加に伴い販売用不動産の取得費が増加したこと等によるものであります。この結果、売上総利益は4,479,203千円(前年同期比84.7%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は3,167,756千円(前年同期比69.2%増)となりました。これは人員の拡大に伴う人件費等の増加及び広告宣伝費の増加によるものであります。この結果、営業利益は1,311,446千円(前年同期比137.2%増)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

営業外収益は15,594千円(前年同期比270.2%増)、営業外費用は63,591千円(前年同期比79.5%増)となりました。この結果、経常利益は1,263,449千円(前年同期比142.1%増)となりました。

 

(特別利益、特別損失、当期純利益)

特別利益、特別損失の計上はなく、法人税等281,801千円(前年同期比96.3%増)を計上した結果、当期純利益は981,647千円(前年同期比159.6%増)となりました。

 

b.財政状態の分析

前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」をご参照ください。

 

c.キャッシュ・フローの分析

前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の資本の財源および資金の流動性につきましては、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金需要のうち主なものは、販売用不動産の仕入に係る費用であります。当該販売用不動産等を担保とした金融機関からの借入金等および営業活動で獲得した資金によって充当しております。

資金調達に係る流動性リスクについては、各部署からの報告に基づき経理部が適時に資金繰計画を作成・更新するとともに、手元流動性の維持などにより流動性リスクを管理しております。また、取引金融機関との関係強化に努め、資金調達手段の多様化を図っております。

 

(4)経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。また、今後の経営成績に影響を与える課題につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

(5)経営者の問題意識と今後の方針に関して

経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

(6)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について

当社は、持続的な成長と企業価値の最大化を目指し、以下の主要な指標をもとに経営目標の達成状況を評価しております。過年度におけるこれら指標の推移については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。

 

①仕入決済数

不動産買取再販事業拡大のためには仕入活動が最重要と考えております。

将来の販売件数の先行指標および仕入活動の成果を評価する指標として、仕入決済数を重視しております。

リードの増加および対応する営業人員の増加を背景に順調に増加しております。

②販売件数

販売件数が売上高および売上総利益の計上件数に直結するため、重要と考えております。

空き家投資に関するニーズの高まりを背景に仕入決済数の増加に応じて順調に増加しております。

③支店数

WEBマーケティグにより獲得した全国のリードに対して効率的な仕入営業を行っていくために重要と考えております。

支店開設計画に沿って予定通り進捗しております。

④半期末ごとの在庫残高

基本的に、仕入決済が完了しており、販売が完了していない物件が在庫残高に計上されるため、資金効率を図るための指標として重要と考えております。

三為取引の積極的な活用により、売上高の増加に対して半期末ごとの在庫残高は抑制できております。