2026年6月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 3,119 100.0 459 100.0 14.7

3 【事業の内容】

当社は、AI技術や数理最適化技術を用いたAIエンジン開発、システム開発及び運用・サポートを提供する「AI事業」、並びに系統用蓄電所の設計、開発及び譲渡等を行う「インフラアセット事業」の2つを報告セグメントとしております。以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。

なお、当社は従来「AI事業」の単一セグメントとしておりましたが、蓄電所の開発を開始したことにより、当事業年度より、報告セグメントの区分を「AI事業」及び「インフラアセット事業」に変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。

当社は、「INFRASTRUCTURE+LIFE+INNOVATION」(インフラ ライフ イノベーション)を企業理念と定め、社会インフラにイノベーションを起こし、インフラ全体の最適化を目指し、社会に貢献することをミッションに活動しております。

現在の社会経済は、エネルギー価格の変動、サプライチェーンの寸断、カーボンニュートラル(注1)に向けたエネルギー消費の効率化、DX化に伴う業務の効率化等、様々なリスクや課題を抱えております。その中で迅速に最適解を選択し、施策や事業を管理運営していくことが、企業ひいては社会の持続的な成長に必要不可欠となっております。

電力、物流、サプライチェーンといった社会インフラも同様に、ビジネス上の様々な要素を考慮した上で計画的に管理運営されておりますが、その計画業務は熟練の人材による多大な労力と時間により成立しており、現在の複雑かつ不確実性の高い環境下で迅速に最適解を選択することは困難な状況となっております。

そこで当社は、属人性を排し、インフラのオペレーションに関わる様々な制約を変数として、複雑かつ不確実性の高い多数の要素も考慮した上で、AI技術を用いて短時間で最適な計画を提供するため、計画最適化事業を展開しております。具体的には、当社の社会インフラに関する業務知識の豊富なエンジニアが各顧客の計画対象業務を数式化することにより、複雑な業務を再現するシミュレータを開発し、デジタル空間上に機器、設備、人、車両等の動きを再現します。シミュレータ上では、仮想的に設備、車両等を動かし、業務のシミュレーションを行うことができるため、ビッグデータを使用せずにシミュレーション結果を生み出すことが可能となります。そしてその結果から得られるデジタルデータを基にKPI(注2)の最大化や計画の最適化を可能とするアルゴリズムを開発し、業務システムに組み込みます。

計画の最適化は、組合せ最適化の一種となります。組合せ最適化とは、一般に、複数の制約を満たす有限個の解から最良の解(最適解)を探し出すことを意味し、その解法として数理最適化(注3)やメタヒューリスティクス(注4)等の手法が用いられてきました。複雑な業務の計画は様々な要素を考慮して策定されるため、最適解を探し出すには膨大な数の組合せを考慮する必要があり、実務に耐えうる時間で最適解を導くことは高い技術を必要とします。

そこで当社では数理最適化やメタヒューリスティクスの手法に加えて、機械学習(注5)や強化学習(注6)等のAI技術を応用し、各種の計画に適した数理最適化の手法とAI技術を組み合わせたアルゴリズムをAIエンジンとして開発することで、最適解を探索する範囲を限定し、実務に耐えうる時間で最適解を導く手法を採用しました。また、AIエンジン開発を中心に、その前段となるコンサルティングフェーズから、AIエンジンを組み込んだシステム実装・運用フェーズまでを手掛けることで顧客生涯価値(CLTV)(注7)を最大化し、かつ運用・サポートサービスを担うことで、安定的な収益に繋げることをビジネスモデルとしております。

[開発プロセス]


 

 

AI技術による計画の最適化を事業展開するにあたり、当社が注力している分野は、電力、製造・運輸、都市・交通の3分野となります。

機械学習・強化学習をはじめとしたAIアルゴリズム開発手法に加え、数理最適化等の手法を用い、ビジネス課題の解決に必要な技術手法を用いることで、実効性の高い効率的な各種計画の策定を支援するAI開発事業を展開しております。

以下では(1)事業分野、(2)AI事業の特徴、(3)テクノロジー、についてそれぞれ説明いたします。

 

(1) 事業分野

自動運転、翻訳、スマートフォン、画像認識等コンシューマー向け分野ではAIの実用化が進んでおりますが、インダストリアル分野、特に社会インフラ領域ではAIの実用化は必ずしも進んでおりません。当社は「インフラと社会を、その先へ」をミッションとし、AI技術の実用化に主眼を置き、社会インフラ領域における計画最適化のエンジニアリング及びサービス事業を展開しております。

計画最適化は生産計画、輸送計画、材料開発、拠点配置計画、スケジューリング計画、適正価格設定等様々な用途で活用が期待されておりますが、組み合わせるシナリオの数の多さに起因して計算量が増大し、現実的な時間内での計算が困難になることや問題の定式化に伴う実装の難しさから導入されている分野は限定的でした。当社は、画像認識、需要予測といった領域で広く利用が進んでいるAI技術を計画最適化に応用し、問題の難易度や要求事項に対して柔軟にAIアルゴリズムを組み合わせることで、エネルギー消費量の削減、輸送効率や生産効率の向上といった顧客の課題を解決しております。また、当社は社会インフラ領域にフォーカスし、特に①電力分野、②製造・運輸分野、③都市・交通分野の3つの分野に注力しており、各分野における計画最適化は化石燃料の削減に直結するため、重要な社会問題であるカーボンニュートラルの実現にも貢献することができると考えております。

 

[注力する社会インフラ3分野]

 


 

① 電力分野

国内電力事業者向けに発電所の需給計画の最適化プログラムを開発納入しております。電力自由化に伴い、電力需要に即した需給計画の立案が今後ますます重要になると思われ、脱炭素社会実現の観点からも効率的な需給計画を立案し、発電所を稼働させることが求められます。当社は電力需要を予測し同予測に基づく発電が可能となるよう、各発電所の需給計画についてAIアルゴリズムで最適化する技術サービスを提供しております。これにより各発電所の発電機を電力需要に即して起電、停電させることで過剰な発電を抑え、発電に要する燃料の使用量を低減させることが可能になります。

② 製造・運輸分野

原油、セメント、鉄鋼、製紙、化学品、消費財等様々な分野で生産者は原材料や商品を船舶やトラック等で運搬しており実際の輸送計画は人の経験と知識に基づいて立案されているケースが殆どであります。輸送計画は気象条件、積荷集配箇所、納期等多くの制約条件に基づいて作成されるにもかかわらず、計画最適化に適したソフトウエアが開発されていないため、これまで特定の人材の知識と経験に基づいて計画作成が行われておりました。そのため、輸送計画業務が属人化することや、立案した輸送計画が最適な計画かどうかを検証することが難しいという問題が顕在化しております。

当社は、輸送計画にAIアルゴリズムを取り入れることで輸送計画を最適化する技術サービスを提供しております。様々なビジネス上の制約を加味しながら計算時間を短縮したAIエンジンの開発を行い、最適な輸送計画によって輸送に要する燃料コストの削減を実現しております。

また、輸送計画最適化の応用分野としてサプライチェーン分野での計画最適化の技術サービスも提供しております。調達、在庫、生産、配送、販売に至るサプライチェーンの全工程をデジタル空間に再現し、全体最適や部分最適に関し顧客のKPIに応じて対応可能な技術を有しております。

③ 都市・交通分野

鉄道事業者においては、運行の定時性を維持しながら、ダイヤや乗務員に関する多くの制約条件を満たした上で、車両運用及び乗務員運用を効率的に行うことが求められておりますが、多くの場合、これらの計画業務は熟練担当者の経験や勘に依存しており、専門性の高いノウハウの継承が課題となっております。当社は、AIアルゴリズムを用いて車両及び乗務員の最適な運用計画を自動生成する技術サービスを提供しており、遅延の最小化や人員・車両の効率的な利用の実現に取り組んでおります。具体的には、鉄道会社と共同で、標準構内作業ダイヤや車両検査等の情報を基に構内作業計画を自動生成するシステムを開発するなど、計画策定時間の大幅な短縮と業務の属人化解消を進めております。

また、計画最適化の他にも機械学習を応用した高速道路の渋滞予測システムを提供しており、都市・交通分野における当社のAI活用の幅を広げております。

 

(2) AI事業の特徴

当社は、新しいテクノロジーにチャレンジするアーリーアダプター顧客(注8)に向けて顧客要望に応じたAIエンジニアリングプロジェクトを成功させ、これまでに確立したノウハウをReNom APPS(注9)として集約し、クラウドサービス化して展開しております。AI技術を用いた社会インフラ領域における計画最適化にフォーカスし、PoC(Proof of Concept:概念実証)ではなく本番導入を前提としたAIエンジンの開発から入り、実装に至る実績を積み上げてまいりましたが、当社は、①明確な経済的導入効果、②CO2削減効果、③大手企業中心の顧客構成、④CLTV最大化、⑤ソリューション提供手法の共通化、⑥クラウドサービス提供、⑦人材戦略といった特徴を有しております。以下では、特徴に関し、それぞれ説明いたします。

① 明確な経済的導入効果

典型的なAI適用領域である画像認識や需要予測は、経済的な導入効果が曖昧といわれておりますが、AIによる計画最適化は、化石燃料削減やオペレーションコスト削減といった直接的なコスト削減効果をもたらすことが可能となります。顧客は利害関係者にAIに対する投資対効果を明確に説明することができ、新しいテクノロジーの価値に見合った規模の投資が可能になります。このようにAI導入効果をROI(注10)として明確に数値化できることは、受注確度を高める効果があり、当社の収益性の基盤となっております。

② CO2削減効果

当社が注力分野としている電力分野、製造・運輸分野、都市・交通分野の社会インフラ3分野はいずれも計画最適化により化石燃料の消費を削減することができ、結果としてCO2削減効果を期待することができます。顧客は利害関係者にカーボンニュートラルの実現に向けた取組みとしてAIに対する投資効果を説明することができ、脱炭素経営の一環としての投資が可能になります。

③ 大手企業中心の顧客構成

電力・石油元売り・プラント・物流・都市交通等、当社がターゲットとする各種社会インフラ分野では、日本経済を支え続けている大手企業が活躍しております。当社の顧客は大半が大手企業となっております。当社は、社会インフラ領域におけるAI技術を用いた計画最適化に特化しているほか、明確な経済的導入効果の提示が可能であること、またCO2削減効果も期待できるといった特徴から大手企業に受け入れられているものと思われます。このような大手企業に最新のAIテクノロジーを提供することで、社会にイノベーションをもたらしていると考えております。

④ CLTV (Customer Life-Time Value)最大化:顧客との長期ライフサイクルビジネス

当社はAI技術の概念実証ではなく実用化をゴールにしていることから、AIエンジンの開発にとどまらずAIエンジンを搭載した業務システムの実装、その後のAIエンジンの性能維持や障害監視・対応を行う運用・サポートまでを総合的に提供することを前提としております。このため、単発のAIエンジン開発のみでは終わらず、顧客との中長期的な関係を構築しております。

⑤ ソリューション提供手法の共通化

当社事業の進め方は、異なる事業分野の計画問題を、共通のアプリケーションや開発メソッドに落とし込み、同一のアーキテクチャーで開発を行うことを特徴としております。既に、電力需給計画最適化、輸送計画最適化、生産計画最適化については、共通の設計思想に基づいてAIエンジンの開発を行っております。これにより、システム全体のアーキテクチャーが統一され、水平展開を行う際には、過去のモジュール等を再利用してソリューションを提供することが可能となります。その結果、計画最適化システムを効率的に開発することができると考えております。

⑥ クラウドサービス提供

ReNom APPSはAI技術を活用した計画最適化のためのアプリケーションとなります。従来、個別プロジェクト用に開発したシミュレータや最適化モデルで利用したアルゴリズムをモジュール化(注11)・体系化の上、顧客ごとに組み合わせてアプリケーションとして提供するとともに、業種ごとの業務ベストプラクティスを前提としたシステム画面を用意しております。サービス提供の事業分野を、社会インフラ3分野に絞り込むことで、各分野内でのノウハウの再利用性を高めることが可能であり、高度な技術を多数の顧客にクラウドサービスとして提供することが可能となります。現在では、日々変動する需要に基づき最適な需給計画を自動立案するReNom POWER、配船の日々の運航計画を自動立案するReNom VESSEL、サプライチェーンにおける生産や物流計画の最適化を行うReNom SCM、鉄道会社における運行や修繕計画等の最適化を行うReNom RailwayをReNom APPSとして展開しております。また、電力制度に関する問い合わせに自然言語で回答する生成AIサービスGeNom for Energyの提供を開始し、クラウドサービスの提供領域を拡大しております。

⑦ 人材戦略

当社は、データサイエンティストやITエンジニアだけではなく、重電や社会インフラ業界出身で現場オペレーションに造詣が深い技術者を積極的に採用し、入社後にデータサイエンス教育(注12)を施すことにより社会インフラの業務知識を兼ね備えたAI技術者を多数育成しております。現場の業務をよく理解している技術者が、自らの業務知識とAI技術を掛け合わせ、実用的かつ効果的な計画最適化アルゴリズムの提供を実現しております。

また、社外取締役を含めAIや産業分野を専門とする大学の研究者と連携することで、最新の研究技術を取り込む体制を構築しております。

 

(3) テクノロジー

当社は、社会インフラ分野でのAIの実用化を強く意識した独自のAI技術体系を確立しております。

① ReNom APPS

組合せの数の多さに起因して計算量が増大し、現実的な時間内で計算が困難になることや、問題の定式化に伴う実装の難しさといった技術課題に対応するため、シミュレータ開発技術と機械学習・深層学習・深層強化学習を組み合わせた当社独自のデジタルツインテクノロジー(注13)を搭載したReNom APPSを開発しました。シミュレータに実際の制約条件を組み込んでシミュレーションすることで現実に発生しうる状況のみを再現することができ、現実に発生し得ない状況を前提とした組合せを計算するといった無駄を排除しております。また、シミュレーションに基づき機械学習・深層学習・深層強化学習を用いて最適な計画を探索し、その結果策定された計画を評価し、学習することで、より最適な計画を策定することが可能となります。これまでの当社開発実績から共通化できる部分を取り纏め開発用にモジュール化したものの総称がReNom APPSとなります。

ReNom APPSにより、各産業分野における計画最適化のAIエンジン開発の効率化を図るとともに、それを顧客に提供する業務システムやクラウドベースのインフラ基盤を併せてアプリケーション化し、顧客のシステムの導入までのリードタイムを大幅に短縮しております。

② ReNom SIMBASE:シミュレータ開発フレームワーク

シミュレータを開発する際に共通する処理や、拠点、ネットワーク、輸送手段、消費、生産、備蓄といった社会インフラ分野の計画業務全般で用いられる汎用的な機能をフレームワークとして開発し、実際のAIエンジニアリングプロジェクトで活用しております。これにより、複雑な業務を再現するシミュレータを短期間で開発することが可能となっております。

シミュレータを利用することで、デジタル空間上に機器、設備、物、人の流れを再現し、仮想的に設備や車両を動かし、その結果から得られるデジタルデータを基に、KPIの最大化や計画の最適化を行うことが可能になります。例えば、生産設備のシミュレータを利用することで、ボトルネックの発見と改善、在庫の削減、設備・人の稼働率向上、燃料費や材料費の削減を実現します。

③ Algorithm MIX = 最新技術と旧来技術の融合

組合せ最適化とは様々な制約の下で、無数にある選択肢の中から、ある指標(価値)を最も良くする変数の値(組合せ)を求める手法となります。例えばA地点からB地点へ向かうトラックの最短かつ最少燃料になる経路を求めるような問題が挙げられます。これは、無数の組合せの中から解を導く必要がありますが、当社は、最新のAI関連技術である機械学習や強化学習、旧来手法である数理最適化の手法を顧客課題ごとに柔軟に組み合わせることで、実ビジネスの課題を解決する手法を確立しました。例えば、無数の組合せの中から、過去に発生した組合せを機械学習で学習させることで、検討する組合せの範囲を絞り込み、その上で絞り込まれた範囲で、数理最適化の手法を用いることで計算時間を短縮し、実ビジネスで運用可能な計算時間で最適化システムを提供しております。

④ 量子アルゴリズムの研究開発

量子コンピュータ(注14)は次世代のコンピュータとして期待されておりますが、当社は量子アルゴリズム(注15)について2017年より研究開発を行っており、2018年より様々な論文発表、2021年より関連技術の特許出願を行っております。また、2024年にはNEDO(注16)の研究開発事業に採択され、2025年以降はVPP(注17)の需給調整における量子実機やHPC(注18)との比較検証を進めております。現在当社が行っている計画最適化分野においても量子コンピュータは広く活用が期待されている分野であり、計算の高速化や、コンピュータ上に再現できる状態の規模や精度においても現在のコンピュータを上回る可能性が示唆されております。当社は、最新のAI関連技術に加えて量子インスパイアコンピューティング(注19)等も適宜活用し、既存のコンピュータと組み合わせることで、実ビジネスの課題解決を加速していきます。今後さらに本格的な量子コンピュータが実用化された際には、研究開発で得た知見を活かし、量子テクノロジーを駆使したサービスを提供することが可能であると考えております。

 

以上がAI事業の内容となります。以下では、2026年6月期より新たな報告セグメントとして区分した「インフラアセット事業」について説明いたします。

 

(4) インフラアセット事業

当社は、AI事業に次ぐ新たな事業として、2024年8月より系統用蓄電池に関連する事業に着手し、2025年6月期第4四半期より系統用蓄電所の開発を本格的に開始いたしました。蓄電所開発に係る売上の重要性が高まったことから、2026年6月期より「AI事業」と並ぶ報告セグメントとして「インフラアセット事業」を新設し、系統用蓄電所の設計、開発及び譲渡、並びに電力系統接続に関する調査及び申込みの名義変更等の接続支援業務その他の蓄電所関連業務を提供しております。

再生可能エネルギーの導入拡大や、生成AIの普及に伴うデータセンター等における電力需要の増加を背景に、電力系統の安定運用に必要な調整力及び供給力の確保を目的として、系統用蓄電池の整備が全国的に進められております。当社は、AI事業において培った電力需給計画の最適化に関する技術及び知見を活かし、系統用蓄電池の需給管理システムの開発から、蓄電所そのものの開発及び運用に至るまでを一気通貫で提供することで、社会全体の電力の安定供給及び再生可能エネルギーの有効活用に貢献してまいります。

① 事業モデル

インフラアセット事業では、独自のネットワークを活用した土地の選定、電力系統への接続申込み及び空き容量の確認、蓄電所の設計、EPC(注20)の各プロセスを経て蓄電所を開発し、開発した蓄電所を事業主へ譲渡するデベロップ&セル型の事業モデルを展開しております。加えて、充放電計画を自動制御する当社独自のAIエンジンを活用し、卸電力市場(JEPX)(注21)、需給調整市場(注22)、容量市場(注23)及び長期脱炭素電源オークション(注24)等の複数の電力市場を横断した収益機会の獲得に資する運用支援サービスを事業主に提供しております。系統用蓄電池の運用においては、電力市場価格や需給状況等の変動要因を踏まえた高頻度かつ即応的な充放電制御が求められることから、AI技術による自動化が有効であると考えております。

② 案件規模の拡大

当社は、出力数数MW級の設備を配電用変電所へ接続する高圧プロジェクトに加え、開発リードタイムは長いものの案件当たりの収益規模が大きい、出力数数十MW級の設備を一次変電所等へ接続する特別高圧プロジェクトへと、開発案件規模の拡大を進めております。

③ 今後の事業展開

当社は、系統用蓄電所の開発を通じて蓄積したノウハウ及び独自のAI技術を活用し、再生可能エネルギーにおける出力変動の吸収、データセンターにおける電力需要増への対応やBCP(事業継続計画)への貢献、各種産業分野における電力コストの最適化等、蓄電池を活用した事業領域の拡大を目指しております。

 

(注) 1.カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを指します。

2.KPIとは、Key Performance Indicatorの略で、組織の目標達成の度合いを定義する補助となる計量基準群を指します。

3.数理最適化とは、利用可能な値の集合体から、ある条件に対して最も良い値を選択する手法で、複数の変数及び制約条件が与えられた関数(目的関数)を最大又は最小にする変数の値、並びに最大値、最小値を求める数学的方法を指します。

4.メタヒューリスティクスとは、現実空間において膨大な組合せが発生する最適化問題を解くための経験的手法(ヒューリスティクス)を有機的に結合させたアルゴリズムを指します。ある組合せをスタートに、少しずつ変化させていき、その組合せが良ければ採用、良くなければ別の変化を試す、といったことを繰り返して探索することを基本的な考え方とする手法となります。

5.機械学習とは、経験からの学習により自動で改善するコンピュータアルゴリズム又はその研究領域で、人工知能の一種であるとみなされている手法であり、訓練データ又は学習データと呼ばれるデータを使って学習し、その学習結果を用いて何らかのタスクをこなす手法を指します。

6.強化学習とは、人工知能の一種であり、訓練データ又は学習データを使わずに、選択した行動に対する報酬を最大化するようにシステム自身が試行錯誤しながら、行動を最適化する手法を指します。

7.CLTVとは、Customer Life-Time Value(顧客生涯価値)の略で、マーケティングでは、企業にとってある一人の顧客が将来の関係全体に寄与する価値の予測を指します。

8.アーリーアダプター顧客とは、米・スタンフォード大学の社会学者、エベレット・M・ロジャース教授(Everett M. Rogers)が提唱したイノベーション普及に関する理論で、流行に敏感で、情報収集を自ら行い、判断する人であり、他の消費層への影響力が大きく、オピニオンリーダーとも呼ばれる顧客のことを指します。

9.ReNom APPSとは、シミュレータや最適化モデルを部品化・体系化し、計画最適化サービスをプラットフォームとして提供するためのアプリケーションを指します。

10.ROIとは、return on investmentの略で、投じた費用に対してどれだけの利益を上げられるかを示す指標を指します。

11.モジュール化とは、計画最適化システムのプログラムソースコードを、当該システムを構成する機能単位で分解することを指します。これにより顧客の要望に応じた機能ごとにモジュールを組み合わせて提供することが可能となります。

12.データサイエンス教育とは、データを扱う手法である情報科学、統計学、アルゴリズム等を横断的に扱うための教育で、統計学、パターン認識、機械学習、データマイニング、可視化等、データサイエンティストを育成するための教育を指します。

13.デジタルツインテクノロジーとは、物理空間(現実空間)にある情報を基にデジタル空間上に当該物理空間を再現する技術をいい、当社では顧客のビジネス環境や業務環境全体をデジタル空間上に再現する技術を指します。

14.量子コンピュータとは、重ね合わせや量子もつれといった量子力学的な現象を用いて従来のコンピュータでは現実的な時間や規模で解けなかった問題を解くことが期待されるコンピュータを指します。

15.量子アルゴリズムとは、量子コンピュータ上で動作するアルゴリズムを指します。

16.NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)とは、エネルギー及び産業技術に関する研究開発の推進等を行う国立研究開発法人を指します。

17.VPP(仮想発電所)とは、Virtual Power Plantの略で、分散する太陽光発電設備や蓄電池等のエネルギーリソースをIoT等の技術を用いて統合的に制御し、あたかも一つの発電所のように機能させる仕組みを指します。

18.HPC(高性能計算)とは、High Performance Computingの略で、大規模かつ高速な演算処理を可能にするコンピュータシステムを指します。

19.量子インスパイアコンピューティングとは、量子コンピュータで表現される量子の特性を従来のコンピュータ上で擬似的に表現する技術を指します。

20.EPCとは、Engineering(設計)、Procurement(調達)及びConstruction(建設)の略で、設備の設計から資機材の調達、建設工事までを一括して請け負う契約方式を指します。

21.卸電力市場(JEPX)とは、日本卸電力取引所(Japan Electric Power eXchange)が運営する、電気事業者間で電力を売買するための市場を指します。

22.需給調整市場とは、一般送配電事業者が電力の需給バランスを維持するために必要な調整力を調達するための市場を指します。

23.容量市場とは、将来にわたる電力の安定供給に必要な供給力(kW価値)を取引する市場を指します。

24.長期脱炭素電源オークションとは、脱炭素電源への新規投資を促進するため、電源等の固定費を長期間にわたり回収できる収入を確保する入札の仕組みを指します。

 

[AI事業 事業系統図]

 


 

 

[インフラアセット事業 事業系統図]

 


業績状況

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

① 財政状態の状況
(資産)

当事業年度末における総資産は5,135百万円となり、前事業年度末と比較して717百万円増加いたしました。流動資産は4,607百万円となり、444百万円増加いたしました。これは主に契約資産が664百万円、その他に含まれる前払金が212百万円増加した一方で、現金及び預金が348百万円、売掛金が116百万円減少したことによるものであります。固定資産は527百万円となり、272百万円増加いたしました。これは主に本社移転に伴い建物附属設備が142百万円、その他に含まれる敷金及び保証金が112百万円、工具、器具及び備品が68百万円増加した一方で、ソフトウエアが40百万円減少したことによるものであります。

(負債)

当事業年度末における負債は843百万円となり、前事業年度末と比較して365百万円増加いたしました。流動負債は843百万円となり、365百万円増加いたしました。これは主に、契約負債が173百万円、未払法人税等が87百万円、買掛金が48百万円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産は4,291百万円となり、前事業年度末と比較して351百万円増加いたしました。これは主に当期純利益の計上により利益剰余金が345百万円増加したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善を背景とした個人消費の持ち直しや、旺盛な設備投資需要により、緩やかな回復基調で推移いたしました。地政学リスクの高まりが見られた中東情勢については、米国・イラン間の暫定合意により情勢の緩和が進みエネルギー供給の安定化が期待されるものの、依然として先行きを注視していく必要があります。

エネルギー価格の変動の影響を大きく受ける電力に関しては、EVの普及やIT機器の利活用等により今後も旺盛な需要が続くと見込まれ、一層の安定的かつ経済的な供給体制が求められております。昨今は生成AIの需要の高まりに伴い、大規模な電力消費を伴うデータセンターの設置や増強が加速しております。また、大量のデータを必要とする社会全体のデジタル化に伴い、製造に膨大な電力を必要とする半導体の需要も急速に増加しております。電力広域的運営推進機関によると、データセンターや半導体工場の新増設に伴う需要電力量は2035年度までに568億kWh増加し、電力需要全体でも増加の見通しとなっております(出典:全国及び供給区域ごとの需要想定(2026年度)、2026年1月21日公表)。

このような状況下、当社は電力会社に対して、AI技術や数理最適化技術を用いた電力需給計画の最適化を提供しており、AIエンジン開発、システム開発、運用・サポートまで一貫したサービスを展開し、電力会社のエネルギー消費量の削減を実現してまいりました。今後も電力会社におけるサービス拡大を進めつつ、大口需要家に対しても蓄電池の充放電最適化のシステムを搭載した蓄電所を開発・提供し、社会全体のエネルギー消費量の削減に貢献してまいります。

また、製造・運輸、都市・交通分野にも注力し、配船計画、生産計画、鉄道運行計画等の最適化も提供してまいりました。

これまでの計画業務は、オペレーションを熟知した熟練人材による多大な労力により成立しておりましたが、AI技術や数理最適化技術を用いた当社の計画最適化サービスは、複雑かつ不確実性の高いビジネス環境下でも短時間で最適な計画を提供し、属人性を排することを可能としております。このことから、今後の労働人口減少から想定される社会インフラの人材不足とサービスの安定供給という課題に対して、当社のサービスは有力な解決方法と考えられ、当社の事業に対する期待は一層高まっております。

また、当社は開発体制の強化に向けて優秀なエンジニアの積極採用を行うことで今後の事業拡大に向けた取組みを進めており、当事業年度末におけるエンジニアは93名(前期比27.4%増)となりました。加えて、管理体制の強化も進めており、営業・管理部門は46名(前期比27.8%増)となりました。このことから、製造費用におけるエンジニアの人件費は910百万円(前期比20.0%増)、販管費における営業・管理部門の人件費は517百万円(前期比26.9%増)となりました。

以上より、2026年6月期について、売上高は3,119百万円(前期比51.2%増)となり、営業利益459百万円(前期比7.3%増)、経常利益466百万円(前期比8.9%増)、当期純利益345百万円(前期比15.7%増)となりました。

 

当社は従来、「AI事業」の単一セグメントとしておりましたが、蓄電所の開発を開始したことから当事業年度より、報告セグメントを「AI事業」及び「インフラアセット事業」に変更しております。

なお、前事業年度のセグメント情報については、変更後の報告セグメント区分に基づき作成したものを記載しております。

セグメントごとの業績は以下のとおりです。

(AI事業)

AI事業においては、AIエンジンの開発(AI開発)、AIエンジンを搭載した業務システムの顧客への導入(システム開発)及び運用・サポートを提供しております。

AI事業は、引き続き、電力、製造・運輸、都市・交通の3分野に注力いたしましたが、予算規模が大きい電力会社からの継続した追加受注や本番導入開発により、電力分野の売上がAI事業全体の約6割を占めることとなりました。製造・運輸分野については、配船計画の本番導入開発が完了し保守案件へ移行したことから売上が減少し全体の約2割を占める結果となりました。都市・交通分野については、鉄道会社案件の売上が堅調に推移し全体の約2割を占める結果となりました。

当社は、AI事業においてAIエンジン及びシステム開発をフロー型売上、運用・サポートをストック型売上として定義しておりますが、2026年6月期のAI事業の合計売上高は2,362百万円(前期比17.9%増)、うちフロー型売上は1,723百万円(前期比15.4%増)でストック型売上は639百万円(前期比25.2%増)となりました。ドメイン別では、電力分野の合計売上高は1,407百万円(前期比22.0%増)、うちフロー型売上は1,166百万円(前期比18.9%増)でストック型売上は241百万円(前期比39.9%増)、製造・運輸分野の合計売上高は477百万円(前期比15.4%減)、うちフロー型売上は173百万円(前期比42.9%減)でストック型売上は304百万円(前期比16.8%増)、都市・交通分野の合計売上高は402百万円(前期比86.6%増)、うちフロー型売上は309百万円(前期比123.4%増)でストック型売上は93百万円(前期比20.9%増)、社会インフラ3分野に分類されないその他の合計売上高は75百万円(前期比6.3%増)となりました。

また、ストック型売上比率は27.1%(前期比1.6ポイント増)、全体の顧客平均売上は60.5百万円(前期比17.9%増)、取引先数は39社(前期比増減なし)、うちAI開発、システム開発、運用・サポートの3区分では、顧客平均売上は63.9百万円(前期比16.5%増)、取引先数は36社(前期比増減なし)となりました。

以上より、AI事業の2026年6月期について、売上高は2,362百万円(前期比17.9%増)、セグメント利益は848百万円(前期比12.5%増)となりました。

 

(インフラアセット事業)

インフラアセット事業においては、系統用蓄電所の設計、開発及び譲渡、並びに電力系統接続支援業務その他の蓄電所関連業務を提供しております。

インフラアセット事業は、第4四半期より蓄電所開発に着手し工事が順調に進捗したことに加え、電力系統接続申請支援についても売上を計上いたしました。以上より、インフラアセット事業の2026年6月期について、売上高は756百万円(前期比1,173.9%増)、セグメント利益は100百万円(前期比164.7%増)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は2,849百万円となり、前事業年度末と比較して348百万円減少いたしました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は28百万円(前期は405百万円の資金の獲得)となりました。主な収入要因は、税引前当期純利益466百万円、契約負債の増加173百万円、減価償却費69百万円である一方、主な支出要因は、売掛金及び契約資産の増加548百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は320百万円(前期は46百万円の資金の使用)となりました。主な支出要因は、本社移転に伴う有形固定資産の取得218百万円、敷金及び保証金の差入による支出133百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は0百万円(前期は62百万円の資金の使用)となりました。収入要因は、ストックオプションの行使による収入6百万円である一方、主な支出要因は、長期借入金の返済5百万円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績

当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。

b 受注実績

当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。

c 販売実績

当事業年度の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

売上高(千円)

前期比(%)

AI事業

2,362,823

17.9

インフラアセット事業

756,255

1,173.9

合計

3,119,079

51.2

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2024年7月1日

 至 2025年6月30日)

当事業年度

(自 2025年7月1日

  至 2026年6月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

九州電力株式会社

124,925

6.1

542,147

17.4

株式会社

エー・ディー・ワークス

-

-

488,355

15.7

北海道電力株式会社

550,348

26.7

180,872

5.8

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)

当事業年度における売上高は3,119百万円(前期比51.2%増)となり、前事業年度と比較して1,055百万円の増収となりました。これは主にインフラアセット事業において、当期より蓄電所開発に着手し工事が順調に進捗したことから売上高が696百万円増加したことによるものであります。また、AI事業においても、電力分野を中心とする継続的な追加受注や都市・交通分野の堅調な推移により、売上高が358百万円増加しました。

(売上原価、売上総利益)

当事業年度における売上原価は1,244百万円(前期比126.9%増)となりました。これは主に、蓄電所開発に着手したことによる外注費及びエンジニアの人件費の増加によるものであります。この結果、売上総利益は1,875百万円(前期比23.8%増)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当事業年度における販売費及び一般管理費は1,415百万円(前期比30.2%増)となりました。主な内訳は、営業・管理の人件費、研究開発費、技術販管費であります。この結果、営業利益は459百万円(前期比7.3%増)となりました。

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

当事業年度において、営業外収益は9百万円、営業外費用は2百万円発生しました。これは主に受取利息6百万円、補修費用2百万円が発生したことによるものであります。この結果、経常利益は466百万円(前期比8.9%増)となりました。

(当期純利益)

当事業年度において、税金費用(法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額)を121百万円を計上した結果、当期純利益は345百万円(前期比15.7%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の運転資金需要のうち主なものは、従業員の給与手当、プロジェクトに必要なソフトウエア関連費用、蓄電所開発に必要な外注費、地代家賃等の販売費及び一般管理費の営業費用であり、営業活動によるキャッシュ・フローでまかなうことを基本としております。また、事業運営上必要な資金を安定的に確保するとともに、M&Aや新たな事業への投資を行っていく中で最適な資本構成を構築するため、その際には自己資金だけではなく金融機関からの借入も積極的に行っていくことを考えております。当社は3行の金融機関との間で合計900百万円の当座貸越契約を締結(当事業年度末現在で借入実行残高はありません)しており、手許資金の流動性が不足すると想定される場合には、当座貸越契約を活用し金融機関からの短期借入金を通じて、必要な資金残高を確保することを考えております。

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保、市場のニーズに合った製品やサービスの展開等により、当社の経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応してまいります。

 

④ 経営者の問題意識と今後の方針に関して

経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、様々な課題に対処していく必要があると認識しております。

それらの課題に対応するために、経営者は常に外部環境の変化に関する情報を入手・分析し、現在及び将来における事業環境を認識した上で、当社の経営資源を最適に配分し、有効な解決策を実施していく方針であります。

 

⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析

当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、売上高成長率及び営業利益率を基本的な経営指標としております。過年度における当社の各指標等の進捗は次のとおりであります。

 

 

 

 

(単位:千円)

 

 

前事業年度

(自 2024年7月1日

 至 2025年6月30日)

当事業年度

(自 2025年7月1日

  至 2026年6月30日)

 

 

通期実績

通期実績

前期比(%)

売上高

全社

2,063,415

3,119,079

51.2

 AI事業

2,004,050

2,362,823

17.9

 インフラアセット事業

59,364

756,255

1,173.9

営業利益

全社

428,297

459,420

7.3

 AI事業

754,470

848,527

12.5

 インフラアセット事業

37,883

100,266

164.7

 本社費

△364,055

△489,373

-

 

 

当事業年度は、インフラアセット事業における蓄電所開発の順調な進捗が寄与し、売上高成長率は51.2%となり計画を達成いたしました。営業利益につきましては、各事業セグメントの増益により459百万円となりました。営業利益率につきましては、新たに事業として立ち上がったインフラアセット事業は既存のAI事業と異なる収益構造であることから、14.7%と前事業年度から低下したものの、計画(14.5%)を上回り、目標を達成いたしました。

 

⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されておりますが、この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、当社の実態等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。また、当社が行っております会計上の見積りのうち特に重要なものは次のとおりであります。

(進捗度に基づく収益認識)

財又はサービスを顧客に移転する履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しており、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができる場合には、進捗度に基づき収益を認識しております。

進捗度の測定は、AIシステム開発等においては各報告期間の期末日までに発生した工数が、総工数の見積りに占める割合、蓄電所開発においては各報告期間の期末日までに発生した原価が、総原価の見積りに占める割合に基づいて行っております。

進捗度に基づく収益計上の基礎となる総工数及び原価の見積りの算定はプロジェクトごとに行っておりますが、その基礎となる作業内容に不確実性を伴っております。

総工数及び原価の見積りはプロジェクトの進行に応じて適宜見直しが行われ、見積り時点では予見できなかった仕様変更や納期変更、施工上の問題の発生等により見積りの変更が発生し、その結果進捗度が変動する可能性があり、翌事業年度の財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。

(繰延税金資産の計上)

当社は繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることに加え、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提となる条件や仮説に変更が生じた場合、繰延税金資産の計上額が変動し、当期純利益に影響を与える可能性があり、重要と考えております。