2023年12月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 930 100.0 172 100.0 18.5

事業内容

3【事業の内容】

 

<当社のビジネスと目指す姿>

 当社は、2018年に創業し、「データとアルゴリズムで、人類を豊かにする」というパーパスのもと、当社が独自開発した技術コアモジュール(※7)である「AVILEN AI」を活用したAIソフトウエアの開発、実装、またAIドリブンなビルドアップコンテンツ(DXやAIを推進するための組織開発や人材育成コンテンツ)も提供することで、企業のAI活用/DX推進を一気通貫で支援する「AIソリューション事業」を展開しております。

 当社が目指す姿は、多くの企業に対し「AIソフトウエアユニット」に関わるサービスを提供するために、AI推進に既に着手をしているAI-Readyな企業だけでなく、これからAI推進に着手するAI-Ready以前の企業に対しても、ビルドアップコンテンツを提供することで、アセスメントや方針策定等のデジタル組織・人材の開発を行い、要件定義から実際のデータの利活用を見据えたデータ基盤となるデータ・プラットフォームの設計と実装を支援し、更にはAIソフトウエアの実装・活用(顧客企業における新規事業の創出や業務効率化のために課題の特定から企画、PoC(※8)、開発・実装まで行う)を推進し、当該企業や資本業務提携先とのパートナリングにより共同開発したパッケージ型ソフトウエアを拡販・普及を実現し、データ×AIで豊かな未来を実現することを目指しております。

 

 

<提供するサービスとビジネスモデル>

 当社はAIソリューション事業の単一セグメントとして、「AIソフトウエアユニット」、「ビルドアップユニット」という2つのサービスを提供しております(「ユニット」とはAIソフトウエア及びビルドアップそれぞれのサービスの総称)。「AIソフトウエアユニット」として自社開発技術コアモジュールである「AVILEN AI」を活用し、ビジネスプロセスへのAI実装・データ利活用を支援し、「ビルドアップユニット」として組織のアセスメントやロードマップの策定、経営者や従業員、経営企画やエンジニア等部門横断的なAI人材の育成による組織開発を支援し、両ユニットにまたがるサービスとしてD&A戦略コンサルティング(データ及びアナリティクスと事業戦略策定の繋ぎこみを行うコンサルティング)を提供しております。なお、「AIソフトウエアユニット」においては法人向け、「ビルドアップユニット」においては法人及び個人向けにサービスを提供しております。両ユニット共に主にフロー収益ですが、「AIソフトウエアユニット」の一部サービスにおいてはストック収益となっております。

 

 当社は、月間25万PV(当事業年度の月間PVの平均値)の自社メディアの「AI Trend」を活用することで、効率的なリード顧客(見込み顧客)の獲得(2023年12月末時点で上場企業グループを含む大手企業を中心に累計700社以上の法人顧客と取引実施)が可能となっております。当社は、多くの企業に対し「AIソフトウエアユニット」に関わるサービスを提供するために、「ビルドアップユニット」にコンテンツのクロスセルや他部門への拡大による深耕(IT部門で領域特化研修、営業部門でG検定対策研修を実施する等)を進めて、顧客とのリレーション構築を行い、企業が抱える経営課題を特定しつつ、「AIソフトウエアユニット」において、AI・データサイエンスの観点でデータの利活用により業務効率化等の新たな価値を創造するAIソリューションを提供できるというビジネスモデルを構築しております。

 

(1)当社の特徴と優位性

 当社の特徴と優位性は、「①特定の業界に限定されない顧客の課題を捉え、マルチモーダル(※9)なAIソフトウエアの開発を可能にする技術コアモジュール」、「②潜在的なAI/DX市場を創出し、高い継続率を実現するビジネスモデル」、「③業界全体が抱える成長ボトルネックを解消する「AVILEN DS-Hub」のエコサイクル」、及び「④高いブランド認知による顧客獲得能力」にあります。

 

①特定の業界に限定されない顧客の課題を捉え、マルチモーダルなAIソフトウエアの開発を可能にする技術コアモジュール

 当社は9つの自社開発技術コアモジュールである「AVILEN AI」を有し、幅広い技術領域をカバーしております。コアモジュールがあることで効率的な開発を可能としております。最新論文や最先端のテクノロジーをリサーチする社内の体制(AVILEN Research)を構築しており、常にコアモジュールをアップデートすることが可能となっております。また、特定の業界に限定されない顧客の課題を捉え、AIソフトウエアを提供しております。単一のモジュールでは解決できない課題に対しては、複数のモジュールを組み合わせたマルチモーダルなAIソフトウエアの開発も可能としております。また、2023年4月には、コアモジュールである「Instructea」とChatGPTを組み合わせたSaaSプロダクトである「ChatMee」の販売を開始しており、生成AIビジネスへの展開も進めております。

 

②潜在的なAI/DX市場を創出し、高い継続率を実現するビジネスモデル

 AIビジネス市場はまだ導入段階で長期的な発展が期待されております。AI導入の目的は業務効率化や生産性向上等その利用範囲・目的も幅広い一方で、慢性的なAI人材の需給ギャップが顕在化しており、企業はAIの導入が急がれるも、専門人材の採用難等から同時に人材の育成を行うことによる、AI/DX組織への変革が求められています。

 当社は、AI推進に既に着手をしているAI-Readyな企業だけでなく、これからAI推進に着手するAI-Ready以前の企業に対してもビルドアップコンテンツを提供することで、潜在的なAI/DX市場を創出することが可能となっております。

 また、「ビルドアップユニット」及び「AIソフトウエアユニット」のビジネスを展開することで、顧客内でのビルドアップコンテンツのクロスセル、そして他部門への拡大による深耕、さらにビルドアップコンテンツを活用しながら企業が抱える経営課題を特定しつつ、AI・データサイエンスの観点でAIソフトウエアを開発することで顧客と幅広い業務領域で取引ができるため、結果としてAI技術の導入サービスのみを提供するビジネスモデルと比較して高い継続率を実現し、LTV(※10)を拡大することが可能となっています。

 

 

③業界全体が抱える成長ボトルネックを解消する「AVILEN DS-Hub」のエコサイクル

AIビジネス市場は、人材不足が機会(ニーズ)であり脅威(ボトルネック)となっている状況であり、ベンダー側、ユーザー側の両社において慢性的な人材不足が顕在化しており、社内人材を育成、或いは中途採用が主流となっています。

当社は、社内のデータサイエンティスト・エンジニアに加え、237名(2023年12月末時点)のデータサイエンティスト・エンジニア集団である「AVILEN DS-Hub」を組織しています。在籍メンバーは、当社が独自開発した技術スクリーニングテストを通過した人材になります。「AVILEN DS-Hub」は主にデータサイエンス領域を研究している学生メンバーで構成されており、在籍メンバーは個別に当社と業務委託契約を締結し、当社の「AIソフトウエアユニット」におけるコーディング業務や技術的サポート(技術調査や技術適用)、「ビルドアップユニット」におけるコンテンツ開発や受講者からのアルゴリズム(※11)等に関わる質問対応等の業務を行うとともに、当社の安定した採用ルートの確保にも繋がっており、「AVILEN DS-Hub」から累計で25名のデータサイエンティスト・エンジニアを採用しています。「AVILEN DS-Hub」で経験を積んだ後に正社員として採用するため、即戦力人材の獲得、採用コストの低減、高いエンゲージメントとリテンションに繋がっています。

 

④高いブランド認知による顧客獲得能力

 当社は、月間25万PV(当事業年度の月間PVの平均値)の自社メディアの「AI Trend」、一般社団法人日本ディープラーニング協会が実施するE資格において、当社が提供するE資格講座の受講者の7期連続合格者数1位(2021#1~2024#1)という実績等により効率的に顧客獲得が出来ており、2023年12月期は170社の新規法人顧客(2023年12月期に初めて取引開始した法人顧客)を獲得しました。

 

結果として、創業6期目で製造業界や金融業界、物流業界、情報通信業界及びサービス業界等といった各産業の上場企業をはじめとした企業との取引が「AIソフトウエアユニット」、「ビルドアップユニット」それぞれのサービスで複合的に進展しており、LTVも上昇傾向にあります。

 

(2)当社が展開するサービス及びソリューションの内容

①AIソフトウエアユニット

 当社は、企業が抱える経営課題を特定し、AI・データサイエンスの観点でデータの利活用により業務効率化等の新たな価値を創造するソリューションを提供しています。金融、インフラ、製造業、サービスといった様々な業界の既存オペレーションを理解したうえで、当社のコアモジュールを活用したカスタマイズ型ソフトウエアを提供しております。なお、コアモジュールは効率的な開発を可能とするアルゴリズムになります。

また、当社は「AIソフトウエアユニット」で開発されたサービスのうち、汎用性の高いサービスをパッケージ型ソフトウエア(SaaS)として業界横展開をしております。2023年4月にコアモジュールである「Instructea」とChatGPTを組み合わせたSaaSプロダクトである「ChatMee」を開発・販売開始しており、生成AIビジネスへの展開も進めております。

 

<AIソフトウエアユニットの代表的なコアモジュールとソリューション>

画像やパッケージデザインを自動生成するアルゴリズムを搭載したコアモジュール

開発事例)画像生成、パッケージデザイン自動生成

ChatGPTなどのLLM(※12)を扱い自然言語処理をするためのアルゴリズムを搭載したコアモジュール

開発事例)「ChatMee」

手書き文字や非定型帳票、図面等をデジタル化するためのアルゴリズムを搭載したコアモジュール

開発事例)機械部品の図面認識、広告チラシのデジタライズ化

インフラ等建造物の異常・損傷を検知するためのアルゴリズムを搭載したコアモジュール

開発事例)大型設備の点検自動化、ケーブル異常検知

時系列データを分析し、予測するためのアルゴリズムを搭載したコアモジュール

開発事例)「AI Seed」、パッケージデザイン分析

 

 

 

 

 

 

②ビルドアップユニット

 顧客企業におけるAI/DXに関わる組織及び人材の現状評価から必要人材(ビジネス領域及びエンジニア領域)の育成まで、AIの実装を実現するための組織開発に必要なアセスメント・方針策定・ロードマップ策定・エグゼキューション・人材育成に関わるパッケージ化されたサービスを一気通貫で提供しております。

 具体的には、法人・個人向けにeラーニングをベースとしたAIに関するパッケージ化された研修サービス(動画講義、講義資料)を提供しております。2023年12月期の売上割合は法人向けが87.5%となっております。また、研修サービスは、社内人材を中心に独自に制作しております。

 

<ビルドアップユニットのサービス一覧>

 

<ビルドアップユニットの主なサービス概要>

サービス名

対象

サービス概要

AI/DX組織開発ロードマップ

法人

AI/DXを推進するための組織・人材開発を下記4つのSTEPで支援するサービス。
STEP1:目指すべき姿の設定(自社で必要とされる人材を明確化し、その人材が持つべきスキルセットを定義)
STEP2:現状分析(現状分析から不足ポイントを明確化)
STEP3:育成計画策定(社内の人材育成ロードマップ策定)
STEP4:採用計画策定(採用による人材獲得ロードマップを策定)

ChatGPTビジネス研修

法人/個人

法人/個人のChatGPTに対するリテラシーを向上させ、ChatGPTの業務への導入・活用のためのポイントを効率的に学習するサービス。

AIビジネス研修

法人/個人

前提知識ゼロからAIリテラシーを習得し、AI推進手順に沿って課題や注意点を学び、企画ワークで自社へのAI活用を企画し、自社でAI開発プロジェクトを企画できるレベルまで育成することを目指すサービス。

DXリテラシー研修

法人/個人

前提知識ゼロからDXリテラシーを習得し、立案した施策を推進することができるレベルまで育成することを目指すサービス。

G検定対策講座

法人/個人

G検定の試験出題範囲に準拠したG検定の合格を目指すサービス。

E資格講座

法人/個人

E資格の試験出題範囲に準拠したE資格の合格を目指す。専属アドバイザーのコンサルティングサービスを活用し効率的に学習するサービス。

AIエンジニア
武者修行研修

法人

9ヶ月間の座学(eラーニング+演習)と実践学習(PBL※13・Kaggle※14・OJT※15)を通じて、AI開発案件にアサイン可能なレベルのAI・データサイエンススキルを学ぶサービス。

データサイエンティスト
研修

法人/個人

データ分析業務に必須の知識を厳選し、最短スピードで基礎を習得できるサービス。

ディープラーニング
領域特化研修

法人/個人

Pythonや機械学習(※16)の基礎を身につけた後、さらに専門性の高い領域に特化したデータサイエンス応用研修。

 

 

 

  用語集

注釈番号

用語

用語の定義

※1

DX

Digital Transformationの略称であり、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することをいう。

※2

AI

Artificial Intelligenceの略称であり、人間にしかできなかったような高度に知的な作業や判断を、コンピュータを中心とする人工的なシステムにより行えるようにしたものをいう。

※3

ディープラーニング

ディープラーニング(深層学習)とは、人間が自然に行うタスクをコンピュータに学習させる機械学習の手法のひとつ。

※4

Microsoft for Startups

Microsoftが提供する革新的な技術やサービスを有するスタートアップ企業のサービス立ち上げから顧客開拓まで伴走する無料支援プログラム。

※5

ChatGPT

OpenAI社が2022年11月に公開した人間的な会話の成立を目指した人工知能に類するコンピュータプログラム。

※6

SaaS

Software as a Serviceの略称で、クラウドサーバーにあるソフトウエアをインターネットを経由してユーザーが利用できるサービス。

※7

コアモジュール

当社の過去のAI関連開発におけるアルゴリズムの集合体。

※8

PoC

Proof of Conceptの略称で、新たなアイデアやコンセプトの実現可能性やそれによって得られる効果などについて検証すること。

※9

マルチモーダル

様々な種類の情報を利用して高度な判断を行うAI。例えば、音声、画像、テキストなどの複数の情報を組み合わせて判断するAI等。

※10

LTV

Life Time Valueの略称で、「顧客生涯価値」と訳される。一社の顧客が取引を始めてから終わりまでの期間(顧客ライフサイクル)内にどれだけの利益をもたらすのかを算出した指標。

※11

アルゴリズム

ある特定の問題を解いたり、課題を解決したりするための計算手順や処理手順をいう。

※12

LLM

Large Language Modelsの略称で、巨大なデータセットとディープラーニング技術を用いて構築された大規模言語モデル。

※13

PBL

Project Based Learningの略称で、知識の暗記などのような受動的な学習ではなく、自ら問題を発見し解決する能力を養うことを目的とした教育法のこと。

※14

Kaggle

企業や政府などの組織とデータ分析を行うデータサイエンティスト/機械学習エンジニアを繋げるプラットフォーム。

※15

OJT

On-the-Job Trainingの略称で、実践を通じて業務知識を身につける育成手法。

※16

機械学習

コンピュータが大量のデータを学習し、分類や予測などのタスクを遂行するアルゴリズムやモデルを自動的に構築する技術をいう。

 

[事業系統図]

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当社は「データとアルゴリズムで、人類を豊かにする」をパーパスに掲げ、「企業と人がAIを自在に使いこなし、発展し続ける豊かな未来」の実現に向けて、「AIを搭載したソフトウエアの開発」と「デジタル組織の構築を支援するプログラムの提供」を主軸に、企業のAI活用/DX推進による成長を支援してきました。

 AI業界を取り巻く事業環境については、生成AIをはじめとしたAI利活用に対して各企業の注目度が一層高まっております。株式会社三菱UFJ銀行に対しては、2023年11月に生成AI活用による業務改革を支援するためのChatGPTアイデアソンを開催し、実務における活用事例163件を創出しました。昨今の技術の飛躍的進歩は、AIソフトウエア開発も含め当社のビジネスにとって追い風となっております。

 また、2023年6月に資本業務提携を締結した株式会社大塚商会等との連携を更に加速させるために、株式会社大塚商会の経営層を含む全社員約8,600人に対し、日本e-Learning大賞「生成AI特別部門」を受賞したChatGPTビジネス研修を提供いたしました。今回の研修を通じて得られた商材の深い理解及び生成AI活用スキルの向上は、当社の「ビルドアップパッケージ」及び、当社のコアモジュールである「Instructea」と「ChatGPT」を組み合わせたChatGPT活用プラットフォームの「ChatMee(SaaS)」等のAVILENサービスの更なる販売促進に寄与する見込みです。

 当事業年度(2023年1月1日から2023年12月31日まで)においては、AIソフトウエアユニット及びビルドアップユニットにおける顧客数・プロジェクト数は堅調に推移し、売上高は順調に推移いたしました。以上の結果、当事業年度は、売上高929,587千円(前事業年度比27.0%増)、営業利益171,930千円(前事業年度比55.8%増)、経常利益162,475千円(前事業年度比46.8%増)、当期純利益114,725千円(前事業年度比45.0%増)となりました。なお、当社はAIソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しておりますが、当社の販売実績を主な内訳に区分した売上高は、AIソフトウエアユニットは486,111千円(前事業年度比83.4%増)、ビルドアップユニットは443,476千円(前事業年度比5.0%減)となっております。

 

② 財政状態の状況

(資産)

 流動資産は532,827千円となり、前事業年度末に比べ175,605千円増加いたしました。これは、主に受注の増加に伴い、売掛金及び契約資産が105,681千円増加したことによるものであります。

 固定資産は92,126千円となり、前事業年度末に比べ33,624千円増加いたしました。これは、主にソフトウエア開発の進捗に伴い、無形固定資産が37,043千円増加したことによるものであります。

 この結果、当事業年度末における資産合計は624,954千円となり、前事業年度末に比べ209,229千円増加いたしました。

(負債)

 流動負債は209,249千円となり、前事業年度末に比べ2,085千円減少いたしました。

 固定負債は該当ありません。

 この結果、当事業年度末における負債合計は209,249千円となり、前事業年度末に比べ2,085千円減少いたしました。

(純資産)

 純資産は415,705千円となり、前事業年度末に比べ211,315千円増加いたしました。これは、主に上場に伴う新株発行により資本金が48,760千円、資本剰余金が48,760千円それぞれ増加したこと及び当期純利益114,725千円の計上により利益剰余金が増加したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ54,501千円増加し、282,500千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は12,813千円となりました。これは主に税引前当期純利益162,350千円の一方で、売上高の順調な推移を背景に売上債権および契約資産の増加額105,681千円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は45,468千円となりました。これは主にソフトウエアの開発進捗を背景とした無形固定資産の取得による支出45,100千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は87,295千円となりました。これは主に株式の発行による収入97,520千円等によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b.受注実績

 提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当社は、AIソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しておりますが、当事業年度の販売実績をサービス区分別に示すと、次のとおりであります。

サービス区分

当事業年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

前年同期比(%)

AIソフトウエアユニット(千円)

486,111

83.4

ビルドアップユニット(千円)

443,476

△5.0

合計(千円)

929,587

27.0

(注)1.AIソリューション事業はAIソフトウエアユニットとビルドアップユニットの2つにより構成されております。

2.販売実績に著しい変動がありました。これは、旺盛な新規受注が期待できる良好な事業環境が継続する中、AIソフトウエアユニットでは、幅広い産業へのAIアルゴリズム開発の推進が寄与したことによるものであります。

3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、当事業年度の三菱UFJ信託銀行株式会社については、当該割合が100分の10未満のため注記を省略しております。

相手先

前事業年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当事業年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

三菱UFJ信託銀行株式会社

104,356

14.3

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、当事業年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。しかしながら実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社の財務諸表を作成するにあたって採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。

 また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは次のとおりであります。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

 当社は、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」に基づき、一時差異等加減算前課税所得の見積額に基づいて、一時差異等のスケジューリングを行い、回収可能性を判断した上で繰延税金資産を認識しております。なお、スケジューリング不能な将来減算一時差異については、評価性引当額としております。繰延税金資産の回収可能性に用いられる将来の課税所得の見積りは、事業計画を基礎としており、業界環境や収益動向等を考慮の上で設定した売上予測をその主要な仮定としております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌事業年度の財務諸表において繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

 170社の新規法人顧客(2023年12月期に初めて取引開始した法人顧客)の獲得、DX組織開発コンテンツ間シナジー、ビルドアップユニットからAIソフトウエアユニットへの循環によるLTVの拡大、「ChatMee」の外販開始等により、ビルドアップユニットは443,476千円、AIソフトウエアユニットは486,111千円の売上となりました。

 以上の結果、当事業年度の売上高は929,587千円(前事業年度比27.0%増)と前期を大幅に上回りました。

(売上原価、売上総利益)

 顧客から収益を獲得するプロジェクトに従事する人員の人件費が売上原価の大部分を占めており、プロジェクトの増加により、当事業年度の売上原価は277,779千円(前事業年度比16.5%増)と売上高と同様に前期を大幅に上回りました。

 以上の結果、売上総利益は、651,808千円(前事業年度比32.0%増)と増加しました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 人材関連費用に関して人材採用を積極的に実施したことにより給料及び手当が61,234千円増加したことを主要因として、販売費及び一般管理費は479,877千円(前事業年度比25.2%増)となりました。

 以上の結果、営業利益は171,930千円(前事業年度比55.8%増)となりました。

(営業外損益、経常利益)

 営業外収益は、907千円となりました。

 営業外費用は、主に上場関連費用の支払により10,363千円となりました。

 以上の結果、経常利益は162,475千円(前事業年度比46.8%増)となりました。

(特別損益、当期純利益)

 特別利益は、新株予約権の失効による戻入益により930千円となりました。

 特別損失は、ソフトウエアに係る減損損失により1,054千円となりました。

 以上の結果、当期純利益は114,725千円(前事業年度比45.0%増)となりました。

 なお、当社は、AIソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

 財政状態の分析及びキャッシュ・フローの分析は、前述の「(1)経営成績等の状況の概況」に含めて記載し

ております。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社の主な資金需要は、AI関連開発活動に関する人件費及びそれ以外の営業活動や本社部門等に関わる人件費、また、経費等の販売費及び一般管理費等となっております。これらについては、現時点では自己資金で賄っており、基本的には今後も自己資金または営業活動によるキャッシュ・フローを充当する方針であります。

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、共同研究開発や初期導入フェーズにおける課題特定や全社戦略策定の支援、PoCの実施、AIアルゴリズムの構築及びシステム実装等の準委任型の役務提供を通じたフロー型(非継続)の収益と、DX組織開発コンテンツにおけるフロー型(非継続)の収益を得ておりますが、DX組織開発コンテンツ受注後にAIアルゴリズムを行うといった取引、顧客における各部門(ITシステム部や人事部等)における複合的な取引、新卒研修等を提供するサービスの性質から継続的な取引を獲得できております。そのため、売上高成長率及び営業利益率といった基礎的な指標に加えて、幅広い産業への事業展開や売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するため、継続率を重要な指標としております。

 当社の特徴的な比率である継続率については、2023年12月期は76.7%(2022年12月期に100万円以上の取引を行った法人顧客の内、2023年12月期も取引を行った法人顧客)の水準であり、今後もこの比率の上昇に努めてまいります。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。