2023年9月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 25,998 100.0 1,415 100.0 5.4

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社グループは、当社及び子会社1社で構成されております。

当社の主な事業は、鉄骨等鋼構造物の設計、製作及び現場施工であります。

子会社の川岸プランニング株式会社は、設計・積算業務を担っております。

プレキャストコンクリート事業は、建築用プレキャストコンクリート製品の製造、販売及び取付工事を営んでおります。

事業の系統図は、次のとおりであります。


 

業績

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度における我が国経済は、コロナ禍からの経済再開やインバウンド消費等の増加により非製造業の改善が続いており、供給制約が緩和され生産の回復が進む大企業を中心とした製造業において景況感が改善していることから、波及効果による先行きの見通しに期待感も出てきています。一方で、国際的な政治情勢に起因した資源、エネルギー価格の高止まり等による原材料コスト高と、海外経済の成長鈍化等に伴う国内経済の先行きへの懸念はくすぶっており、景況感はまだら模様となっております。

当業界におきましては、建材や人件費等のコスト増加により中小案件は引き続き低迷しています。大型案件については、首都圏を中心とした再開発事業に伴う出件はあるものの、工期が大幅にズレ込むなど端境期が続いております。また、いわゆる「2024年問題」を直前に控え、物流や人件費等のコスト上昇に伴う適正な利益水準確保は大きな課題で、引き続き当社を取り巻く経営環境は厳しい状況となっております。

このような状況のなか、当社は受注に鋭意努力しましたが、受注高は通期で前期比30.5%減の24,214百万円となりました。なお、当期末の受注残高は、前期比6.3%減の26,482百万円となりました。

 

イ.財政状態

(資産の部)

当事業年度末における総資産は、前事業年度末の30,766百万円から当事業年度末は32,440百万円となり、1,674百万円増加しました。

流動資産は前事業年度末の22,251百万円から当事業年度末は23,564百万円となり、1,313百万円増加しました。これは、現金預金が3,187百万円減少したものの、完成工事未収入金が4,325百万円増加したことなどによるものです。

固定資産は前事業年度末の8,514百万円から当事業年度末は8,875百万円となり、360百万円増加しました。これは、債券の購入及び保有している投資有価証券の期末時価の上昇により投資有価証券が339百万円増加したことなどによるものです。

(負債の部)

当事業年度末における総負債は、前事業年度末の5,047百万円から当事業年度末は5,180百万円となり、132百万円増加しました。

流動負債は前事業年度末の4,763百万円から当事業年度末は4,819百万円となり、56百万円増加しました。これは工事未払金が195百万円減少したものの、未成工事受入金が137百万円増加及び有形固定資産購入による未払金が111百万円増加したことなどによるものです。

固定負債は前事業年度末の284百万円から当事業年度末は360百万円となり、75百万円増加しました。これは、投資有価証券の時価の上昇に伴い繰延税金負債が45百万円増加したことなどによるものです。

 

(純資産の部)

当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末の25,718百万円から当事業年度末は27,260百万円となり、1,541百万円増加しました。これは利益剰余金が1,016百万円増加及び保有している投資有価証券の時価の上昇によりその他有価証券評価差額金が304百万円増加したことなどによるものです。

 

ロ.経営成績

完成工事高は、原材料価格の高騰を受けて販売価格の上昇が進んだことと、大型物件の完成及び工場稼働率の向上等により、前期に比べ17.9%増の25,998百万円となりました。

 

損益面については、鋼材価格やエネルギー関連の高騰がありましたが、前期に受注した採算性の良い大型工事の完成により、営業利益は1,415百万円(前期比13.9%増)、経常利益は1,708百万円(同16.5%増)となりました。なお、当期純利益は、子会社を吸収合併したことによる抱合せ株式消滅差益74百万円を計上した事により、1,248百万円(同31.2%増)となりました。

なお、当社は建設業以外の事業を営んでいないため、セグメントに関する業績は記載しておりません。

 

製品別の経営成績は、次のとおりであります。

(鉄骨)

受注高は、「(仮称)浜松町二丁目4地区A街区A1棟」、「大井町駅周辺広町地区開発」、「日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業C街区新築工事」、「浦和駅西口南高砂地区第一種市街地再開発事業に伴う施設建設物新築工事」、「山口市新本庁舎新築工事」、「日立ハイテク笠戸製造新棟建設工事」、「PPES7・8ライン極板棟新築工事」等の工事で23,154百万円であります。

売上高は、「虎ノ門一・二丁目地区第一種市街地再開発事業に伴う施設建築物新築建築工事」、「(仮称)赤坂二丁目プロジェクト新築工事」、「NHK放送センター建替工事」、「草加市新庁舎建設工事」、「梅田3丁目計画(仮称)建設工事」、「長崎TEC増強工事 CR棟(Step3)」、「(仮称)JFEエンジニアリング株式会社笠岡製作所建設工事素管工場棟」等の工事で24,347百万円となり、これにより受注残高は24,956百万円となりました。

(プレキャストコンクリート)

受注高は、「(仮称)柏の葉キャンパス新技術センター計画新築工事(A棟、B棟、C棟)」、「港区特定公共賃貸住宅シティハイツ高浜等新築工事」等の工事で1,059百万円であります。

売上高は、「(仮称)品川プロジェクト新築工事」、「(仮称)イトーピア浜離宮建替計画新築工事」等の工事で1,651百万円となり、これにより受注残高は1,526百万円となっております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末より3,265百万円減少しましたが、川岸工事株式会社の吸収合併に伴い現金及び現金同等物が68百万円増加した事により、3,596百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、支出した資金は2,582百万円(前事業年度1,458百万円の収入)となりました。これは主に税引前当期純利益が1,783百万円の計上、減価償却費の計上及び未成工事受入金の増加等がありましたが、売上債権の増加、仕入債務の減少及び法人税等の支払等などによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、支出した資金は643百万円(前事業年度710百万円の支出)となりました。これは有形固定資産及び投資有価証券の取得等による支出等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、支出した資金は40百万円(前事業年度234百万円の支出)となりました。これは自己株式の売却による収入がありましたが、配当金の支払等によるものです。

 

 

③ 受注及び販売の実績
a. 受注実績

当事業年度における受注実績を製品ごとに示すと、次の通りであります。

製品の名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

鉄骨

23,154

△28.1

24,956

△4.6

プレキャストコンクリート

1,059

△59.2

1,526

△27.9

合計

24,214

△30.5

26,482

△6.3

 

 

b. 販売実績

当事業年度における販売実績を製品ごとに示すと、次の通りであります。

製品の名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

鉄骨

24,347

16.7

プレキャストコンクリート

1,651

38.8

合計

25,998

17.9

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次の通りであります。

相手先

前事業年度

当事業年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

鹿島建設株式会社

5,670

25.7

9,993

38.4

大成建設株式会社

4,912

22.3

6,827

26.3

株式会社竹中工務店

2,823

12.8

5,849

22.5

戸田建設株式会社

3,078

14.0

清水建設株式会社

2,927

13.3

 

2.当事業年度の戸田建設株式会社及び清水建設株式会社については、売上高に占める割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.財政状態の分析

財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

ロ.経営成績の分析

(売上高)

売上高は、原材料価格の高騰を受けて販売価格の上昇が進んだことと、大型物件の完成及び工場稼働率の向上等により、前事業年度に比べ3,948百万円増加し25,998百万円(前事業年度比17.9%増)となりました。その内訳は、鉄骨24,347百万円、プレキャストコンクリート1,651百万円であります。

(営業利益)

売上原価で鋼材価格やエネルギー関連等の高騰がありましたが、前期に受注した採算性の良い大型工事の完成が影響した結果、売上総利益が142百万円増加し2,253百万円(前年同期比6.7%増)となり、販売費及び一般管理費は30百万円減少し837百万円(同3.6%減)となりました。

以上の結果、営業利益は、173百万円増加し1,415百万円(同13.9%増)となりました。

 

(当期純利益)

営業外収益は、鉄屑売却益の増加等により前事業年度と比較して29百万円増加し308百万円(前事業年度比10.4%増)となりました。営業外費用は、固定資産解体費用の減少等により前事業年度と比較して40百万円減少し15百万円(同72.3%減)となりました。

以上の結果、当期純利益は、子会社を吸収合併したことによる抱合せ株式消滅差益74百万円を特別利益に計上した事等により296百万円増加し1,248百万円(同31.2%増)となりました。

 

 ハ.経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」をご参照ください。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フロー)

当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末より3,265百万円減少しましたが、川岸工事株式会社の吸収合併に伴い現金及び現金同等物が68百万円増加した事により、3,596百万円となりました。当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(資金需要)

当社における資金需要の主なものは、製品製作のための原材料の購入、協力会社への人件費等の運転資金及び品質確保や作業効率化のための設備資金であります。

(財務政策)

当社は、運転資金につきましては、自己資金で対応することを原則としておりますが、金利動向や負債と資本のバランスに配慮しつつ、必要に応じて金融機関からの借入を実施しております。

資金の流動性については、余剰資金の有効活用に努めるとともに、さらに金融機関との間で当座貸越契約を締結する等により、急な資金需要にも備えております。

なお、当事業年度末において借入金の残高はありません。また、現金預金3,606百万円を保有しており、必要な資金は確保されていると認識しております。

 

③経営者の問題認識と今後の方針について

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

なお、2024年9月期の見通しにつきましては、コロナ禍からの経済再開によるインバウンド消費等の増加、供給制約の緩和による製造業の生産回復等により、その波及効果が期待されます。

一方で、国際的な政治情勢に起因した資源、エネルギー価格の高止まりによる原材料コスト高と、海外経済の成長鈍化等に伴う国内経済への影響が懸念され、引き続き不確実な状況が続くことが見込まれます。

また、「2024年問題」を直前に控え、物流や人件費等のコスト上昇も加わり、適正な利益水準確保は大きな課題で、利益水準の押し下げ圧力が継続するものと思われます。

上記のような厳しい環境が想定されることから、来期の完成工事高は26,500百万円、営業利益1,360百万円、経常利益1,600百万円、当期純利益1,100百万円を見込んでおります。

 

④経営方針・経営戦略又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照下さい。当社の当事業年度の数値目標は、2023年9月期において売上高26,000百万円、営業利益1,300百万円でありましたが、実績では、売上高は25,998百万円、営業利益は1,415百万円で目標をほぼ達成する事が出来ました。

2024年9月期においては、売上高26,500百万円、営業利益1,360百万円の目標達成に向け邁進してまいります。

 

⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表を作成するために、会計方針の選択、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを行っております。当社は、過去の実績や現在の状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき継続的に見積りを行っておりますが、見積りには不確実性を伴うことから、実際の結果とは異なることがあります。

財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。