2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

住まい関連事業 暮らし関連事業 投資関連事業
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
住まい関連事業 565 63.0 67 45.1 11.9
暮らし関連事業 28 3.2 8 5.1 26.8
投資関連事業 304 33.9 74 49.8 24.5

事業内容

3 【事業の内容】

当社グループは、当社、連結子会社5社で構成されております。

当社グループの手掛けるASJ建築家ネットワーク事業は、全国の建築家を登録・ネットワーク化するとともに、建設会社をフランチャイズ化(注)して、登録建築家と加盟建設会社及びパートナー建設会社とを結びつけ、両者の協力のもとでプラットホーム(ビジネスの基盤となる環境)を構築し、顧客が望む住宅・商業施設等を供給する事業であります。つまり、当社グループの事業は「建築家との家づくり」を訴求ポイントとし、住宅・リフォーム・商業施設等の建設計画がある顧客に、建築家を活用した建物づくりの選択肢を提供するものであり、「建設計画のある方が、最寄りのASJのスタジオを利用するのは当たり前」となることを目指しております。

(注)「フランチャイズ化」とは、加盟建設会社に対し一定エリア内におけるASJ建築家ネットワーク事業の展開を許諾し、サポートすることであります。対象とする商品も、新築住宅、リフォーム、医療施設、マンション、店舗・商業施設等多岐に亘り、一般的な同一基準商品を供給するフランチャイズ展開とは異なり、建築家・建設会社・顧客を結びつけるプラットホームを提供しております。

当社グループは、当連結会計年度より、従来の単一セグメントから新たに設定した3つの報告セグメント(「住まい関連事業」、「暮らし関連事業」、「投資関連事業」)へと移行しており、セグメント別の情報を記載いたします。これにより、従来は単一セグメントであったために当社の事業単体の収支が不明確でありましたが、各報告セグメントに配分しない会社費用を調整額として表記することで、各事業単位の事業収支の明確化が果たせております。

各報告セグメントに携わっている当社及び関係会社は以下のとおりであります。

 ・住まい関連事業:アーキテクツ・スタジオ・ジャパン株式会社、SupaSpace PTE LTD、MED株式会社、株式会社トルネードジャパン

 ・暮らし関連事業:アーキテクツ・スタジオ・ジャパン株式会社、ESJ株式会社、株式会社チャミ・コーポレーション

 ・投資関連事業:アーキテクツ・スタジオ・ジャパン株式会社

 

1. 「住まい」関連事業

既存事業を「住まい」関連事業に昇華させ、建築家ネットワーク事業の質的向上と量的拡大を目指します。

1-1 ネットワーク事業:スタジオ加盟数の増加を重要課題として取り組んでいきます

1-2 プロデュース事業:新規サテライト開設とプロデュース案件数の増加を目指します。

1-3 リノベーション事業:中長期的に市場拡大が予想される市場へ本格的な参入を目指します

1-4 ビジネスサポート事業:スタジオとの関係強化と増収増益のために機能させていきます

1-5 クリエイティブ事業:CASABELLA プロジェクト/PROTOBANK プロジェクト

1-6 海外事業:プロジェクト受注と空間プロデュースを中心に日本の建築家を輸出します。

 

2. 「暮らし」関連事業

 「住まい」から派生する「暮らし」に関連する事業を事業多様化戦略の下に展開するのが「暮らし」関連事業です。取扱いジャンルは「衣+食+住+遊+健康」をテーマにしたものとし、中期経営計画における成長因子となる重点事業として展開していきます。特に当社顧客及び潜在的な顧客である ASJ アカデミー会員を対象として事業を開始し、その後、一般顧客まで対象を拡げた展開を計画しています。

2-1 当社を介して住宅建設した顧客及び ASJ アカデミー会員を対象としたサービス

① 家具・インテリア関連商品の販売

② 絵画・オブジェ・アートの販売

③ グルメコンシェルジュプロジェクト

④ 「生活そのものを Design する」をテーマとした催事+販売イベント

2-2 マーチャンダイジング事業

 コンセプトを「ASJ だから提供できる上質な製品とサービスの提供」として商品・サービスの提供を行います。主な取扱い商品は家具・食器・時計・貴金属・特選食材・高級ブランド品などとして、EC 販売(専用顧客サイト仮称「コンシェルジュデスク」を開設予定)及び当社催事における販売を中心に展開します。将来的には一般顧客まで対象とし、それは提携する通販サイトとカタログ販売の顧客リストをベースに順次販売展開します。

 

3. 投資関連事業

 既存 ASJ 建築家ネットワーク事業等「住まい関連事業」及び「暮らし関連事業」のサポートの一環として、今回の中期経営計画のスピードアップに貢献する投融資を積極的に展開していきます。

3-1 ASJ パートナー企業への投融資

今後、事業展開を検討していく事業候補として

3-2 ASJ 建築家ネットワーク事業の顧客への各種ローン

3-3 住まい関連事業リフォーム顧客への各種ローン

3-4 事業投資(事業多様化戦略に貢献するような事業・企業への投融資)事例として「ALIN プロジェクト」

 当社は研究開発からその実用化に向けてアライアンス面を中心に参画しており、実用化段階時点では総合監修的な立場で当社子会社を介して関与していく予定です。

 

ASJ建築家ネットワーク事業を図式化すると、次の事業系統図となります。

[事業系統図]


 (注)建設工事請負会社が加盟建設会社(登録工務店)又はパートナー建設会社の場合は、上記「建築家との家づくりの流れ(入会から完成・引渡しまで)」④「建築設計・監理業務委託契約」については顧客(ASJアカデミー会員)と登録建築家間との二者契約、⑤「設計料支払」については顧客(ASJアカデミー会員)から当社、当社から登録建築家の流れとなります。

 

 

(1) 登録建築家について

2025年3月末現在の登録建築家数は、国内外の有名な建築家をはじめ新進気鋭の若手建築家など2,972名であります。建築家の登録につきましては、建築家自身が当社にアプローチしてくるケースと、主に当社従業員のスーパーバイザー(SV)が建築家に対して登録を勧誘するケースとに分かれます。いずれも登録に際しましては、当社担当部門が当該建築家の建築士資格の有無、設計実績、設計コンセプト等を勘案して、ASJ建築家登録契約を締結いたします。

一般に独立してアトリエ(設計事務所)を構える建築家の活動範囲は、アトリエの周辺に限定される傾向にあります。ASJ建築家ネットワーク事業におきましては、建築家の移動交通費等の費用を個別の物件に付加するのではなく、ASJ建築家ネットワーク事業の活動費用としてスタジオ等が負担することにより、建築家の活動範囲を全国へと大きく広げることが可能となりました。

 

(2) 加盟建設会社及びスタジオについて

2025年3月末現在の加盟建設会社が運営するスタジオ数は北海道から沖縄県まで全国80スタジオであります。建設会社との契約につきましては、当該建設会社の経営方針、技術力、工事実績及び今後の営業方針を確認するとともに、当該建設会社の財務内容等を審査のうえ、ASJスタジオ運営契約を締結しております。

加盟建設会社は、ASJスタジオ運営契約に規定された営業エリア内(原則として1エリア=20万~30万世帯)にスタジオを開設いたします。スタジオは、登録建築家及び加盟建設会社と住宅等の建築を希望する顧客であるASJアカデミー会員(以下「顧客」という。)との相談・打合せスペースであり、登録建築家との個別相談、各種セミナー等の開催にも利用される情報サロンであります。また、各スタジオは、ASJスタジオ運営契約に規定された営業エリア内で集客を目的とするイベントを開催いたします。

また、上記の加盟建設会社の中には、スタジオの開設やイベントの開催を行わない登録工務店があり、ASJスタジオ運営契約に準じた手続きを経て、ASJ登録工務店契約を締結しております。

なお、上記ASJスタジオ運営契約及びASJ登録工務店契約に基づいて、工事請負金額の一定比率を工事請負契約ロイヤリティとして当社に支払われます。

 

(3) イベントについて

ASJ建築家ネットワーク事業におきましては、スタジオ単位で開催されるイベントが重要な役割を担っております。各スタジオを担当するSVは、当該スタジオを運営する加盟建設会社と協議のうえ、年間イベント・スケジュールを作成し(1スタジオの年間イベント開催件数は2~3回程度)、当社担当部門にイベント開催の申請を行います。担当部門は、当該イベントの開催時期・内容等を精査しインターネット等を利用して、登録建築家にイベントの開催を告知いたします。建築家の参加希望を基に、担当SVとイベントを開催する加盟建設会社は協議のうえ、イベント参加建築家の絞込みを行います。通常、建築家の参加人数は1イベント当たり8名程度となります。イベントは、主に地域の公共施設を会場として、通常は土曜日、日曜日を含む2~3日間開催され、イベントの告知については、ASJスタジオ運営契約に規定された営業エリア内において、主に新聞の折込チラシ等を活用して行われ、集客が図られます。

建築家と加盟建設会社の協力のもとで開催されるイベントにおいては、まず会場の入場受付で来場者にアンケート用紙を配り、家づくりに対する興味の度合い、住宅建築の予定、予算等を確認いたします。会場内では、参加建築家ごとにブースが設営されており、建築家が来場者と対面で建築模型や写真パネル等を使いながら、自らの設計コンセプトや実績を直接プレゼンテーションいたします。また、イベントにおいて、来場者にASJアカデミー会員の特徴・メリット等を案内し、入会促進を図ります。

 

(4) ASJアカデミー会員について

イベント来場者が建築家との対話等を通してASJ建築家ネットワーク事業のシステムを理解し、建築家との家づくりに対する興味が高まると、イベント来場者はASJアカデミーへ入会いたします。ASJアカデミーは、当社のホームページをはじめ、スタジオ等を利用した各種セミナー、現場見学会、竣工物件見学会等を通じて会員が建築家の設計した家づくりを進めるうえで必要と思われる情報や知識を提供する会員組織であります。

ASJアカデミー会員は、原則として入会したときに参加していたイベントを運営するスタジオ運営会社の会員であり、会員登録を他のスタジオに移管した場合以外は、他のスタジオと工事請負契約を締結することはありません。

なお、当社常設展示場「ASJ CELL」「ASJ Satellite」において開催する自社イベントや紹介等により入会したASJアカデミー会員については、スタジオ運営会社の会員ではなく原則として当社会員となります。

ASJ建築家ネットワーク事業においては、各スタジオ等が毎年数回開催するイベント等を通してASJアカデミー会員数が増加し、従来の会員数に累積され、それらの会員の中からプランニングコース利用を経て、建築設計・監理業務委託契約から工事請負契約の締結へと進展します。

 

(5) プランニングコースについて

ASJアカデミー会員が建築家の設計した家づくりを具体的に一歩進めたいと考えると、ASJアカデミーのメニューの一つであるプランニングコースを利用することとなります。プランニングコースは、顧客が『自らが選んだ建築家との相性』『プランニング』『建設コスト』『建築を請負うスタジオを運営する加盟建設会社とのコミュニケーション』といったポイントを具体的にチェックし、建築設計・監理業務委託契約、更には工事請負契約を締結するか否かを判断することを目的とするものであります。プランニングコースにおきましては、顧客、建築家、加盟建設会社とが一緒になり、顧客の様々なリクエストに応えながら意見を交えて、設計・監理及び施工上の具体的な問題点について事前に解決を図ります。

また、当社会員である顧客については、建築家と当社直営業部門の営業職の三者が一体となってプランニングコースが進んでいきます。

ASJアカデミーに入会することにより、顧客が希望する建築家と容易にコミュニケーションを図ることが可能となり、理想の住まいのプランニングが実現することとなります。

ASJアカデミー会員については、申し込み時から会員期限の定めはなく、年会費は無料としております。また、プランニングコース利用期間中は、建築家の変更も無料で対応することが可能です。

 

(6) 設計監理業務及び建設工事請負について

プランニングコースを終了すると顧客は、このプランニングコースを進めてきた建築家と建築設計・監理業務委託契約を結びますが、建築設計・監理業務委託契約は顧客、建築家及び建設を請負うスタジオ運営会社(加盟建設会社)との三者契約となります。この際、設計料は、顧客からスタジオ運営会社、スタジオ運営会社から当社、当社から当該建築家というルートで支払われます。建築設計・監理業務委託契約に基づく設計が終了すると、顧客はスタジオ運営会社と工事請負契約を結ぶことになります。

一般に建築家が設計した住宅は、設計は建築家と顧客が協議しながら独自に進行し、実際に建設工事を請負う建設会社・工務店(施工会社)は設計のプロセスに関与しないケースが多く、完成した設計図面に従い施工会社は工事を進めなくてはならず、施工会社側から見ると手間のかかる施工物件であるといわれてきました。ASJ建築家ネットワーク事業におきましては、顧客がプランニングコースを利用した時から顧客、建築家及び加盟建設会社の三者が、設計から建設工事に至る過程において発生するであろう問題点を事前に洗い出ししていくことで、設計図面では表現できない建設工事における課題を解決することにより、顧客が希望するデザイン性や設計の自由度の高い理想の家づくりが可能となることを目的としております。また、スタジオ運営会社においても、建築家の設計した住宅はハウスメーカーとの競合にあたってデザイン等で差別化がなされておりますので、ASJ建築家ネットワーク事業のメリットを享受できるものと考えます。

当社会員である顧客については、プランニングコースを終了した後、顧客と建築家との二者間で建築設計・監理業務委託契約が締結され、設計料は顧客から当社、当社から当該建築家というルートで支払われます。設計が終了すると、顧客は、主として施工エリアや顧客ニーズ等を勘案して選定される加盟建設会社もしくはパートナー建設会社と工事請負契約を結ぶことになります。パートナー建設会社は、当社と協業等に関する提携契約等を締結した施工会社であります。

業績

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 ① 財政状態及び経営成績の状況

 a.経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や感染症の収束などで個人消費の持ち直し、過去最高の海外からの来日者数によるインバウンド需要の増加となったことから、サービス消費を中心に日本国内の経済活動正常化の流れは活発化しました。しかしながら、一方、ウクライナ・ガザにおける国際紛争の収束が見通せない不透明な海外情勢や為替市場の混乱と円安の長期化は、過去に類をみない物価上昇を継続させており、家計への影響は大きく、よって個人消費は停滞傾向にあり、景気動向に深刻な影響を与えています。トランプ関税などによる経済的な混乱と金融資本市場への影響等も相まって、国内外の経済活動、国際情勢は、まだまだ先行き不透明な状況が継続しております。

こうした社会情勢の中で、当社の主たる事業の1つである「住まい関連事業」の対象市場である住宅業界におきましては、物価高及び建材資材、住宅設備機器等の高騰、人件費の上昇と慢性的な人手不足に伴うコスト・販売価格の上昇によって消費者マインドは低下傾向にあり、新設住宅着工戸数は、依然として減少傾向で推移、持家の着工についても、前年同期比11.5%という大幅な減少となって前年割れの状況が依然として続いている状況であります。市場は購買層・市場が二極化していると言われ、富裕層及び海外からの投資家の好立地住宅案件への購買欲は高く、都市部に限らず、不動産価格は上昇傾向にあり、こうした歪な市場環境は、当社を含めて業界にとっては決して追い風とはならず、結果としては厳しい事業環境であると言えます。こうした状況と市場傾向を改善するような要素は見当たらず、しばらくは住宅市場を取り巻く状況の厳しさは継続することが予想されております。こうした市場環境を見越して、当社は中期経営計画により、収益構造改革を目指して「住まい」関連事業に加え、「暮らし」関連事業と「投資」関連事業による事業展開を開始してきております。

このような状況の下、当連結会計年度におきましては、当社グループは当連結会計年度中間期より、中期経営計画に沿った事業展開を開始しており、3つのセグメントによる当連結会計年度の売上高は897,496千円(前期比51.4%の増収)となりました。これは「住まい関連事業」においてイベント数、対象案件数は減少したものも建設費高騰等の要因による単価の増加により、ほぼ前年並の565,121千円を計上したこと、当連結会計年度中間期より開始した「暮らし関連事業」による売上、「投資関連事業」によるALINプロジェクトの売上及び新規案件、ESJ株式会社からの収益によるものです。

前期比での増収は達成しながらも、中期経営計画における当連結会計年度の計画値には未達となり、その主な要因は当連結会計年度中に資本業務提携により当社グループ会社化したMED株式会社、株式会社チャミ・コーポレーション、株式会社トルネードジャパンの3社につき、その収益を当連結会計年度では連結対象外としたこと、当社株価が行使価額を下回っていたために新株予約権の行使が予定よりも遅れ、事業資金調達が想定よりも遅延したことと「暮らし関連事業」の開始準備に想定以上の時間を要したことから「暮らし関連事業」の売上計上が2026年3月期にずれ込んだことがその要因となりました。

営業利益は「住まい関連事業」及び「暮らし関連事業」の収益率が若干改善したものの、計画売上高の計上が行えなかったこと及び「投資関連事業」のALINプロジェクトにおいて追加費用の発生もありましたが、継続して経費削減に努めたことから販売費及び一般管理費は703,328千円となり、営業損失は96,615千円(前期営業損失216,506千円)となりました。営業外収益は主に、加盟店より預かった保証金について、返却義務が消滅したものを預り金戻入益として7,011千円計上しております。営業外費用は主に支払利息5,152千円を計上し、経常損失は92,982千円(前期経常損失236,217千円)となりました。

また、現在当社事業に必要な基幹管理システムAPОSのソフトウェアの開発改修に伴って当連結会計期間に計上したソフトウェア仮勘定、「住まい関連事業」の東京・二子玉川の東京サテライトの店舗設備の固定資産等について「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき回収可能性を検討し、将来の収益見込み等を勘案した結果、当社の固定資産簿価の36,341千円の減損処理を行いました。加えて係争中の訴訟案件につき予期せぬ判決に係る訴訟損失引当金繰入額61,590千円を計上したことにより、特別損失99,018千円を計上いたしました。しかしながら、資本業務提携によるグループ会社化に伴う特別利益として、MED株式会社の株式取得に伴う負ののれん発生益54,546千円、株式会社トルネードジャパンの株式取得に伴う負ののれん発生益57,196千円が計上されました。

その結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失は79,904千円(前年同期親会社株主に帰属する当期純損失361,355千円)となりました。

 

 

b.財政状態

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は2,131,397千円となり、前連結会計年度末と比べて1,587,211千円増加いたしました。

流動資産は前連結会計年度末に比べ、164,220千円増加し、630,582千円となりました。これは主として現金及び預金51,745千円の減少、短期貸付金126,606千円、売掛金34,728千円の増加等によるものであります。

固定資産は前連結会計年度末に比べ、1,422,990千円増加し、1,500,814千円となりました。これは主として投資不動産1,297,981千円、のれん5,694千円の増加、差入保証金75,967千円の減少等によるものであります。

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は1,896,148千円となり、前連結会計年度末と比べて1,415,216千円増加いたしました。

流動負債は前連結会計年度末に比べ、307,183千円増加し、575,656千円となりました。これは主として1年内返済予定の長期借入金81,180千円、前受金75,934千円、訴訟損失引当金61,590千円の増加等によるものであります。

固定負債は前連結会計年度末に比べ、1,108,032千円増加し、1,320,491千円となりました。これは主として長期借入金984,068千円の増加等によるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は235,249千円となり、前連結会計年度末と比べて171,994千円増加いたしました。これは主として資本金56,525千円、資本剰余金56,525千円の増加、利益剰余金の減少79,904千円によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、51,745千円減少し、211,375千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の減少は84,249千円(前年同期は204,231千円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失80,257千円、負ののれん発生益111,742千円、売上債権の増加額12,792千円、未払金の減少額34,143千円等の支出要因のほか、訴訟損失引当金の増加額61,590千円、減損損失36,341千円等の収入要因によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は46,690千円(前年同期は90,719千円の支出)となりました。これは主に子会社株式の取得による収入87,889千円、子会社株式の取得による支出55,295千円、保証金の差入による支出36,918千円等の支出要因によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の増加は77,870千円(前年同期は245,026千円の収入)となりました。これは主に新株予約権の行使による株式の発行による収入102,672千円等の収入要因によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当社グループは、生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b. 受注実績

ASJ建築家ネットワーク事業の性格上、受注の記載になじまないため、受注状況に関する記載はしておりません。

 

c. 販売実績

当社グループは、当連結会計年度より、従来のASJ建築家ネットワーク事業の単一セグメントから、「住まい関連事業」と「暮らし関連事業」、「投資関連事業」の3つの報告セグメントに変更しております。

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

 

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

住まい関連事業

565,121

暮らし関連事業

28,294

投資関連事業

304,080

合計

897,496

 

 

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析

当社グループの売上は例年3月に集中する傾向にありますが、資材高騰の影響により見積調整に時間がかかったことや建設計画の延期及び中止並びに規模縮小などが原因で、建築設計・監理業務委託契約及び工事請負契約の成約数は前期と比較して微減となりました。また、主要施策であるスタジオの新規加盟契約件数につきましては、新しく加わったフランチャイズメニューにより加盟件数は増加いたしました。以上のことから売上高は897,496千円となりました。また、営業損益においては、想定していた売上高が下振れしたことから、営業損失は96,615千円となりました。

 

② 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要の主なものは、運転資金と設備投資資金であります。

運転資金は、主に人件費、販売促進費、建物賃借料等の販売費及び一般管理費によるものであります。また、設備投資資金は事業運営に係る基幹システム開発及び社内業務効率化のためのシステム開発等を目的としたソフトウエア開発費用であります。

当社グループは、運転資金と設備投資資金については、自己資金により充当いたしました。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

1.報告セグメントの概要

(1) 報告セグメントの決定方法

当社グループの報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定および業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは、建築家ネットワークを活用したビジネスをベースとして「生活そのものをDesignする”暮らし提案企業”」となるべく複数の部署を設置して、事業活動を展開しております。
 したがって、当社は、「住まい関連事業」、「暮らし関連事業」および「投資関連事業」の3つを報告セグメントとしております。

 

(2) 各報告セグメントに関するサービスの種類

「住まい関連事業」は、既存の建築家ネットワークを活用したビジネスにおいて建築家やスタジオへの住宅等に関する各種企画等をサービスとして提供しております。「暮らし関連事業」は、既存の建築家ネットワークを活用したビジネスをベースに「衣+食+遊+健康」をテーマとして販売及びサービスの提供をしております。「投資関連事業」は、既存の建築家ネットワークを活用したビジネスにて提供する「衣+食+住+遊+健康」における資金面でのサポートを提供しております。

 

(3) 報告セグメントの変更等に関する事項

当社グループは、前連結会計年度までASJ建築家ネットワーク事業の単一セグメントでしたが、今後の事業戦略等を踏まえ、報告セグメントの見直しを検討した結果、当連結会計年度より、「ASJ建築家ネットワーク事業」を含む「住まい関連事業」、「暮らし関連事業」、「投資関連事業」の3セグメントに変更いたしました。なお、前連結会計年度のセグメント情報を当連結会計年度の報告セグメントの区分方法により作成した情報については、「暮らし関連事業」、「投資関連事業」が当連結会計年度より追加されたことから、開示を行っておりません。

 

2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法

報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、連結財務諸表作成において採用している会計処理の方法と概ね同一であります。

なお、報告セグメントの利益は営業利益ベースでの数値であります。

 

 

3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産その他の項目の金額に関する情報並びに収益の分解情報

当連結会計年度(自  2024年4月1日 至  2025年3月31日)

(単位:千円)

 

報告セグメント

調整額

(注)2

連結財務諸表

計上額

(注)3

住まい関連
事業

暮らし関連
事業

投資関連事業

売上高

 

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高

565,121

28,294

304,080

897,496

897,496

セグメント間の内部売上又は振替高

565,121

28,294

304,080

897,496

897,496

セグメント利益

67,400

7,571

74,444

149,417

△246,032

△96,615

セグメント資産

1,727,197

219,623

23,500

1,970,321

161,076

2,131,397

その他の項目

 

 

 

 

 

 

減価償却費

1,992

9

2,001

2,001

有形固定資産及び無形固定資産の増加額

1,319,089

10,357

1,329,447

1,329,447

 

(注)1 セグメント利益又は損失(△)の調整額△246,032千円は、各報告セグメントに配分していない全社収益及び全社費用の純額です。全社収益は子会社からの経営指導料であり、全社費用はグループ運営に関する費用です。

2 セグメント資産の調整額161,076千円は、報告セグメントに配分していない全社資産等であります。全社資産は、主に親会社の余剰資金(現金及び預金)等であります。

3 セグメント利益又は損失(△)は、連結損益計算書の営業損失と調整を行っております。

 

【関連情報】

前連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

単一の商品・サービスの区分の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1) 売上高

本邦以外の外部顧客への売上高がないため、該当事項はありません。

(2) 有形固定資産

本邦以外に所在している有形固定資産がないため、該当事項はありません。

 

3.主要な顧客ごとの情報

  該当事項はありません。

 

当連結会計年度(自  2024年4月1日  至  2025年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1) 売上高

本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

(2) 有形固定資産

本邦に所在している有形固定資産が、連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

3.主要な顧客ごとの情報

(単位:千円) 

顧客の名称又は氏名

売上高

関連するセグメント名

平金産業株式会社

290,100

投資関連事業

 

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

当連結会計年度(自  2024年4月1日  至  2025年3月31日)

(単位:千円)

 

住まい関連事業

暮らし関連事業

投資関連事業

全社

合計

減損損失

35,171

1,170

36,341

 

 

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

当連結会計年度(自  2024年4月1日  至  2025年3月31日)

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

報告セグメント

全社・消去

合計

住まい関連事業

暮らし関連事業

投資関連事業

当期償却額

当期末残高

5,694

5,694

 

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

当連結会計年度(自  2024年4月1日  至  2025年3月31日)

当連結会計年度において、MED株式会社の株式を取得し連結の範囲に含めたことにより、住まい関連事業において、54,546千円の負ののれん発生益が発生しております。また株式会社トルネードジャパンの株式を取得し連結の範囲に含めたことにより、住まい関連事業において、57,196千円の負ののれん発生益が発生しております。なお、負ののれん発生益の計上額は特別利益のためセグメント利益に含まれておりません。