2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
文中の将来に関する記載事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。
当社は、経営理念に基づく「持続的経営」を重視し、企業の稼ぐ力とESG(環境・社会・ガバナンス)を両立させる「両利き経営」(サステナビリティ・トランスフォーメーション)への転換を図るべく、ガバナンス委員会を中心にリスク・機会を捉えた重要課題(マテリアリティ)を検討・特定し、取締役会にて対応方針を含め決定しております。
各重要課題に対しては、社員の参画機会の創出と当事者意識の醸成を図りESGに精通した人財の育成・確保により人的資本の価値を高めながら、執行役員を中心とした執行部門において取り組みを進めており、その推進状況は取締役会及びガバナンス委員会が定期的にモニタリングし、評価・助言指導を行っております。
また、持続的経営の推進においては、ステークホルダーとの共存が不可欠であるとの認識のもと、多様な意見を事業に反映させるべく市場をはじめとするステークホルダーとの対話を進めてまいります。
(1)経営理念
世界的な視野に立ち
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… グローバルな視点をもって社会と環境、市場をみつめ
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ユーザーの期待を創造し
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… ユーザーの潜在的価値を顕在化させ
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最高の技術を提供する
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… 探索・深化の継続によって技術を磨き潜在的価値を具現化する
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創造システムで社会に貢献
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… 高付加価値な製品とサービスの提供を通したイノベーションにより、持続的な社会の発展と環境保全への使命を果たす
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(2)サステナビリティ経営推進図
リスク管理及びガバナンスの内容については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」及び「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」もご参照ください。
(3)要因別リスク及び機会と重点課題
テーマ
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リスク要因
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重点課題
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事業
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技術革新
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リスク
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〇新技術への対応遅れ・当社技術の陳腐化による競争力の低下
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●顧客付加価値の創造(技術深耕/領域拡大)
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〇新技術への取り組みにともなう採算悪化
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●ブラックオーシャン戦略の推進
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機会
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●付加価値創出による事業領域拡大
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●生産性向上・リードタイムの短縮(利益の創出)
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知的財産
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リスク
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〇知的財産に係る訴訟費用・補償等の発生
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●製品品質の向上
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機会
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●自社・他社知財の戦略的活用
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サプライ チェーン
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リスク
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〇諸問題にともなう調達部材の供給不足・停止、当社生産機能の低下・停止
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機会
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●協業促進機会の増加
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製品品質
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リスク
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〇品質問題に起因する信用の失墜・損害賠償の発生
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機会
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●高品質・高付加価値製品需要の増加
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環境
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気候変動
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リスク
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〇環境規制にともなう調達部材の供給不足・停止等、事業活動の停滞
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●環境に配慮した事業活動の推進
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〇環境問題への取り組み遅滞による競争力の低下、社会的信用の失墜
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機会
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●省エネ・高効率化設備需要の増加
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※事業重点課題同様
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●モータ関連設備需要の増加
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社会
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人口
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リスク
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〇国内少子高齢化にともなう国内労働力確保の難航、人材流出に起因する能力低下等による生産活動・事業活動等の停滞
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●プロフェッショナル人財から成る自律型組織への変革 ●人財多様性の確保
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機会
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●自動化・省人化・遠隔システム需要の増加
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※事業重点課題同様
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感染症
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リスク
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〇感染症にともなう調達部材の供給不足・停止、当社生産機能の低下・停止
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●健康・労働安全衛生促進
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自然災害
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リスク
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〇自然災害にともなう調達部材の供給不足・停止、当社生産機能の低下・停止
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●BCP強化
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セキュリ ティ
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リスク
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〇サイバー攻撃・コンピュータウイルス等による情報流出・改竄・破壊、システム停止にともなう事業活動低下・停止および損害賠償の発生
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●資産保護・取引保護
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機会
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●高セキュリティ企業としての取引拡大
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外交・紛争
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リスク
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〇貿易摩擦、輸出管理規制等にともなう調達・販売活動の停滞・停止
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●地産地消体制推進
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機会
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●顧客生産拠点の再編等にともなう設備需要増加
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(4)重点課題別取り組み
<技術革新・知的財産・サプライチェーン・製品品質>
●顧客付加価値の創造(技術深耕/領域拡大) 技術深耕 顧客の生産技術を担うべく、モータ・ 電子部品(微細・精密) 分野を中心に設備の高度化・高速化・高品質化を推進するとともに、プラットフォームやモジュール等を駆使した変種変量混合生産への対応を推進する。 領域拡大 精密技術・搬送技術・RFID技術等の既存技術を応用し、電池・半導体分野をはじめとする新たな事業領域に向けた各種自動機・システム機への展開を推進する。 ●ブラックオーシャン戦略の推進 ビジネスパートナーとの協業を促進し、オープンイノベーションによる新製品・新サービスの創出を図り、顧客の潜在需要を掘り起こしビジネスにつなげる。 ●生産性向上・リードタイムの短縮(利益の創出) モジュール・部材の標準化を進めるとともに生産工程を最適化し、短納期化を図り利益拡大を図る。 ●製品品質の向上 設備の安全性を保つとともに、高信頼性・拡張容易性・保守性・リアルタイム性、トレーサビリティ等を確保した顧客のスマートファクトリー化の実現を推進する。
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<環境>
●環境に配慮した事業活動の推進 地球環境と国際社会の持続的な成長に貢献するラインビルダーとして、持続可能な開発目標(SDGs)における気候変動・クリーンエネルギーといった「脱炭素化」のキーアイテムとなるモータ・コイル向けに、4S(Speed(スピード)・Small(省スペース)・Saving(節約)・Smart(情報化))のコンセプトのもと生産設備の開発・製造、ファクトリーオートメーション化、スマート工場化へのソリューションを推進する。 本社・事業所での再生可能エネルギーの利用や資源問題を考慮した代替部材の確保により環境負荷の軽減を図るとともに、部材の共通化や拡張性を高めた他展開可能な設備販売を通して廃棄ロスの縮減に努める。
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<人的資本(人財)>
●プロフェッショナル人財から成る自律型組織への変革 変化に対応できる人的資本の構築を柱に、経営参画機会の創出と当事者意識の醸成や変化に応じた能動的キャリアパスおよび公平な評価制度の形成を通して、従業員エンゲージメントの向上を図り、常に挑戦する改革意識とそれを実現可能なものとする見識・行動力を備えたプロフェッショナル人財集団への変貌を果たす。 ●人財多様性の確保 性別・国籍の違いを含め、異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点や価値観が存在することが、会社の持続的な成長を維持する上での強みとなるとの認識に立ち、当社の持続的成長と価値向上に資する資質・能力・識見を有する人財を積極的に登用するとともに、各々の能力を最大限発揮・活躍できる評価および育成制度の構築を推進する。
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指標
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目標
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実績(当連結会計年度)
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労働者に占める女性労働者の割合
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2030年3月までに25%
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18.6%
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男女の賃金の差異
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2030年3月までに70%
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63.9%
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(注) 1 人的資本(人財)に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、当該指標に関する目標及び実績は、提出会社のものを記載しております。
2 当社は、労働者の約8割が技術系・技能系の職種(開発・設計・組立・調達等)であり、当該職種については電気・電子工学、機械工学等の専門知識を有する人材を求めております。これらの人材の母集団は女性の割合が少ないため、当社の採用者数における女性の割合も低くなる傾向がありますが、人的資本(人財)に係る指標の目標達成に向けて各種施策を実施しております。
<人的資本(安全衛生)>
●健康・労働安全衛生促進 5Sやワーク・ライフ・バランスを考慮した働き方支援、ハラスメントの防止等により、従業員が心身ともに健康で安全な職場環境を提供する。 また製品安全リスクアセスメントを通して、顧客が安心して安全に使用できる製品の提供を推進する。
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指標
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目標
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実績(当連結会計年度)
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有給休暇取得率
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2025年3月までに70%
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77%
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(注) 人的資本(安全衛生)に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、当該指標に関する目標及び実績は、提出会社のものを記載しております。
<事故災害>
●BCP強化 「人命の安全」、「供給責任」、「経営維持」、「社会貢献」、「二次災害防止」を基本方針とする事業継続計画に基づき、サプライヤーとの協力体制のもと損害の最小化と事業の早期復旧・継続を図る。
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<資産・取引>
●資産保護・取引保護 開発活動からなる知財については、オープン戦略として積極的に活用の幅を拡げるとともに、基幹となる技術についてはクローズ戦略として秘匿化を図り利益拡大につなげる。 データ・サイバーセキュリティに対しては、ハード・ソフト両面のセキュリティ対策を講じるとともに、セキュリティ教育の徹底や復旧対応計画により不測の事態に備える。 ステークホルダーと良好な関係を築き、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上の実現に向けて、誠実かつ適切な行動をするための共通の価値観・倫理観を『NITTOKU行動憲章』『NITTOKUコンプライアンスマニュアル』に定め、その趣旨・精神を尊重する企業文化、風土の醸成を図るとともに、内部通報制度を整え推進する。
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<グローバル対応>
●地産地消体制推進 サプライチェーンの停滞等を考慮し、生産機能を有しない海外拠点においてもオーバーホールや簡易な設備アッセンブリが行える体制(スモールファクトリー)に順次切り替え各拠点での対応可能範囲を引き上げるとともに、拠点間での部材の流通や人財の交流を高め、またリモート技術を積極的に活用して顧客対応の早期化を目指したグローバルサポート体制の充実を図る。
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