リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)地政学リスク・安全保障輸出管理について
当社グループは製品の約70%を輸出しており積極的に海外展開を行っておりますが、海外において経済摩擦、武力衝突が生じた場合及びサプライチェーンの断絶により生産停止となった場合、当社グループの財政状態や経営成績は影響を受ける可能性があります。
また、海外への製品や部品の輸出あるいは技術の提供を行う際には、外国為替及び外国貿易法とその関連法令に定められた安全保障輸出管理に係る規定を遵守して実施することが求められております。これらに違反した場合、懲役、罰金などの刑罰や輸出禁止の行政制裁などが科せられることが定められており、国際情勢の変化による規制の強化などによっても、売上・利益に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、販売地域の見直し及び調達先の分散化等を図るとともに、安全保障輸出管理体制を整備し、コンプライアンス経営を推進することによりリスクの低減に努めております。
(2)競争環境の激化について
当社グループの主力製品である射出成形機については、競合企業が多く、低コスト・短納期を強みとする中国企業の台頭による更なる競争の激化も懸念され、価格競争により収益性が悪化する可能性があります。
当社グループでは、製品の品質、保守・サービスの向上、短納期の競争力の強化に努めるとともに、顧客の商品価値を高める当社独自技術を活かした顧客ニーズに対応するカスタマイズ提案などにより、付加価値を上げて製品の販売単価を維持するように努めております。また、中国では増設した常熟第3工場による更なる現地生産の拡大を図り、短納期化に伴う競争力の向上に努めてまいります。
(3)部品の調達難について
当社の製品に使用される部品の不足に伴う納期の遅れが顕著になってきた場合、これに連動して当社製品の生産に影響し、顧客への納期遅れが懸念され、受注・売上が減少し、経営成績が悪化する可能性があります。
当社グループでは、設計の見直しや複数社購買に努め、生産計画に基づいた安定した調達を維持するよう努めております。
(4)顧客の技術革新について
当社グループでは、顧客の技術革新に対して製品をモデルチェンジすることで対応する必要があります。これに対応できない場合は、販売単価の下落やマーケットシェアの低下により経営成績が悪化する可能性があります。
当社グループでは、市場の動向調査を行い、製品リリース計画に基づいた製品開発に努めております。また、各国の規制などの的確な情報収集や分析を行い、適正な製品開発にも努めております。
(5)新型コロナウイルス感染症等のパンデミックの発生について
当社グループは、アジアを中心とする複数の海外営業拠点において事業を展開しております。新型コロナウイルス感染症拡大のような人類を脅かすパンデミックが発生した場合、人の移動制限、活動の自粛及びロックダウンなどの異常事態により、当社グループの操業度低下や資金繰り悪化、取引先の倒産、売上債権の回収遅延、サプライチェーンの分断など、当社グループの事業運営、財政状態や経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。
当社グループでは、主要部材の調達の確保、柔軟な製品政策、供給体制の維持に努めることで経営成績等の状況に与える影響を最小限にするよう努めております。
(6)原材料価格・輸送費等の上昇について
当社グループでは、鉄、石油、電力等の原材料の値上がりが顕著になってきた場合、これに連動して当社製品の原材料費の上昇が懸念され、コストアップを吸収しきれず、経営成績への影響を受ける可能性があります。
当社グループは、海外調達を推進する原価低減活動を通じてコストダウンに努め、また、見積価格に原材料費の上昇を織り込み、販売価格への転嫁に努めております。
(7)労働人口の減少について
当社グループは、当社グループが必要とする適切な人材を確保できない場合、顧客の技術革新やグローバル化等に対応できずに競争力が低下する懸念があり、当社グループの財政状態や経営成績は影響を受ける可能性があります。
当社グループは、高いプロ意識を持った人材が活躍できる職場環境の整備、海外人材やソリューション人材の採用・育成に力を入れることで自社工場のDX化等に努めております。
(8)環境問題への対応について
当社グループは、当社グループ各国の規制強化や脱プラスチックの加速に伴う受注減少、気候変動に伴うビジネス継続に対する懸念があり、当社グループの財政状態や経営成績は影響を受ける可能性があります。
当社グループは、各国の規制等の適格な情報収集と分析を行い、それらを踏まえた新素材の研究開発や更なる環境負荷低減製品の開発に努めております。また、順次カーボンニュートラルロードマップに沿ったGHG排出量削減とBCPの整備に努めてまいります。
(9)人権問題への対応について
当社グループは、当社グループのサプライチェーンにおいて人権問題が発生した場合に、取引先の変更を余儀なくされた結果、事業活動への悪影響が懸念され、当社グループの財政状態や経営成績は影響を受ける可能性があります。
当社グループは、サプライチェーンへの的確な情報収集に加え、コンプライアンス教育及び人権方針の浸透・徹底に努めております。
(10)固定資産の減損・設備等の老朽化について
当社グループは、既存事業の拡大や競争力強化のため投資を行っています。固定資産の減損に係る会計基準に従い、同資産の貸借対照表計上額について、将来キャッシュ・フローにより回収することができるかを定期的に検証しています。充分なキャッシュ・フローが見込めない場合は、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性があります。また、設備の老朽化に伴うキャパシティ不足による機会費用が発生する懸念もあります。
当社グループの設備投資計画に対し、経営会議において投資計画の妥当性の審議を行い決定しております。また、重要な投資に関しては、投資後の業績計画と大きく乖離していないかのモニタリング及び対策の検証を行い、その実行に努めております。
(11)製品の欠陥について
当社グループの製品については、全く欠陥が発生しないことを保証するものではなく、製品の欠陥によるリコールや製造物賠償責任の発生等により、当社グループの財政状態や経営成績は影響を受ける可能性があります。
当社グループは、社内の基準に従って品質及び安全管理を徹底しております。また、過去に起こった不具合から学んだ技術・ノウハウを活かした新製品の開発に努めております。
(12)特定の業界への依存について
当社グループは、射出成形機及びダイカストマシンを製造販売しております。その製品の主な需要先は、携帯電話やパソコン、液晶表示装置の樹脂部品等のIT業界向けや自動車部品業界向け、また、容器類や雑貨、日用品などの生活用品関連向けが大きな比重を占めております。当社グループの経営成績は、これらの需要先の設備投資動向に影響を受けやすい傾向があります。
当社グループでは、回復すれば比較的安定市場となる自動車関連のEV化や軽量化などの動向を見据えながら、現時点でも安定した需要が見込める生活用品関連の需要開拓を進めるとともに、医療、第5世代通信(5G)関連その他新規需要を適時にキャッチし、市場開拓に努めております。
(13)海外売上高への依存について
当社グループでは、主に国内で製造して輸出しておりますが、2024年度の海外売上高は18,787百万円となり、海外売上高比率は69.5%と比率が高くなっております。これは中国を中心とするアジアにおける現地顧客や、関連業界において国内生産から海外生産へと移行された日系顧客に対応して、当社グループが積極的に海外、特に中国への販売に注力したからであります。中国の連結売上高に占める割合は、2024年度は23.1%となっており、主要輸出地域における政治・経済環境等にも影響を受ける可能性があります。また、円高時には価格競争力が低下する可能性もあります。
当社グループは、海外取引においては為替リスクに対するヘッジ目的として、基本は円建契約としているため、為替変動による財務への影響は軽微であります。しかし、円高時には実質価格が上昇することから、為替が変動し安定しない場合、販売価格の低下や発注が手控えられる可能性があります。中国リスクについては他の国に影響が及ばないよう中国内でのビジネスを拡大しております。
配当政策
3【配当政策】
当社は、中長期的視点から、財務体質と経営基盤の強化を図るとともに、株主の皆様に対して安定的な配当の維持及び適正利益還元を基本としております。内部留保につきましては、長期展望に立った新規事業の開発活動及び経営体質の効率化・省力化のための投資等に活用し、企業体質と企業競争力のさらなる強化に取組んでまいります。
当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は中間配当、期末配当とも取締役会であります。また、会社法第454条第5項の規定により毎年9月30日を基準として、取締役会の決議をもって、株主もしくは登録株式質権者に対し、中間配当金として剰余金の配当を行うことができる旨を定款で定めております。
当事業年度の剰余金の配当につきましては、中間配当金は1株当たり17.5円とし、期末配当金は17.5円と合わせて年間配当金35円としております。
今後は資本コスト(WACC:加重平均資本コスト)を意識し、財務健全性とのバランスを考慮しながら、有利子負債も積極的に活用することによって資本効率を高め、中期経営計画の目標であるROE8%超の達成を実現することで、株主の皆様へ安定的かつ持続的な配当の実施を目指してまいります。
(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
|
2024年10月30日 |
取締役会 |
359 |
17.50 |
2025年4月23日 |
取締総会 |
358 |
17.50 |