事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
| セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
|---|---|---|---|---|---|
| (単一セグメント) | 1,981 | 100.0 | 344 | 100.0 | 17.4 |
3【事業の内容】
(1)事業の特徴
当社は、「医療をもっと、わかりやすく。」をPurposeとして、日本における「かかりつけ医」(注1)を推進するために、医療と患者及び生活者(注2)の接点をスムーズにするための各種SaaS(注3)を医療機関へ提供しています。
当社が対象とする事業領域は、医療機関を受診し診療・治療を受ける患者に限らず、受診前後を含めた一連の医療体験全体を対象としております。具体的には、日常生活の中で医療や健康に関する情報に触れ、意思決定を行う段階から、受診、診療後のフォローに至るまでのプロセスを含んでおります。このような観点から、本書においては、医療機関を受診し医療サービスを受ける立場にある者を「患者」、それ以外の段階も含め医療や健康に関する意思決定を行う主体としての個人を「生活者」として、文脈に応じて用語を使い分けております。
当社は長年にわたる医療業界での経験を活かし、医療制度や医療機関の現場業務に対する深い知見に基づき、医療機関における患者接点及び関連業務を複数の機能単位で提供する「マルチプロダクト戦略」を採用しています。当該戦略のもと、「WEB問診 Symview」、「予約システム Wakumy」、「患者管理システム Kakarite」、「電話自動応答 Iver」など、医療機関の患者接点にまたがる複数のプロダクトを展開しております。
また、当社は上記のマルチプロダクト戦略を補完する取り組みとして、当社プロダクトとの親和性が高く、医療機関における業務効率化や患者体験の向上に資する外部プロダクトについても、業務提携を通じて提供しております。具体的には、「VoiceChart」(注4)や「Pay CAS POS for clinic」(注5)などの他社プロダクトについて、当社が医療機関のニーズを踏まえた上で代理店として販売しております。これらのプロダクトは、当社が提供する各種サービスと機能的に補完関係にあり、医療機関に対してより包括的なソリューションを提供することを目的としたものであります。
当社のプロダクト群は、上記のマルチプロダクト戦略に基づき、統合型の基幹システムではなく各プロダクトを個別に利用できる設計としつつ、複数プロダクトをシームレスに連携させることができるため、医療機関ごとの特性や規模に応じた段階的なプロダクト導入ができる点を特徴としています。
また、患者に対しては、待ち時間の短縮や、医療者とのコミュニケーションをより豊かにすることで、便利で質の高い医療体験を提供し、患者と医療者の関係性を強化することで、かかりつけ医化を推進しています。
当社の主要顧客群は保険診療を主とする医科診療所ですが、近年は国立病院も含む病院や、自治体にも当社プロダクトの活用範囲を広げており、顧客を拡大しています。自治体への提供につきましては、医療DXが個別医療機関単位に留まらず、地域医療全体の効率化や住民利便性向上の観点から推進されていることを背景として、自治体へ当社サービスを提供しているものであります。
当社プロダクトは、ITに不慣れな方の多い医療者や高齢者の患者でも簡単に使えるUI(ユーザーインターフェース)(注6)を意識して開発しております。いずれかのプロダクトを通じた当社の利用医療機関数は2026年6月時点で約6,000施設となっており、WEB問診登録数も月間200万件を超えるなど、医院運営を支援するツールとして幅広く活用されています。
(注)1.かかりつけ医:健康に関することをなんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介してくれる、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師(厚生労働省の公式ウェブサイトより引用)
2.患者/生活者:本書において「患者」とは、医療機関を受診し、診療・治療等の医療サービスを受ける立場にある者を指します。
また、「生活者」とは、医療機関を受診している場面に限らず、日常生活の中で医療や健康に関する情報に触れ、受診先の選択、受診前の情報収集、受診後のフォロー等を含めた意思決定を行う主体としての個人を指します。
3.SaaS(Software as a Service):インターネット経由で提供するソフトウエアサービス。専用機器やインストールが不要で、常に最新機能が利用可能。初期投資を抑えられる点が利用者のメリット
4.VoiceChart:株式会社piponが提供する音声入力を活用し、電子カルテへの入力業務を支援するシステム
5.Pay CAS POS for clinic:SB C&S株式会社が提供する医療機関向けの決済機能及びPOS機能を提供するシステム
6.UI:医療者や患者がPCやスマートフォン等を操作する際の画面・操作方法
[医療における当社の事業領域とポジショニング]
[提供するプロダクト一覧]
(2)製・商品及びサービスの特徴
a. WEB問診システム / 電子同意書 / オンライン診療 Symview
患者が来院前にスマートフォンやPCから問診内容を入力できるシステムです。この仕組みにより、医療機関は診断に必要な情報を事前に収集することができ、診療の効率化や、電子カルテ記載の手間を大幅に削減することが可能です。患者は自宅や職場などで落ち着いて問診を入力できるため、症状や相談内容を正確に医療者に伝えることができ、限られた診療時間でも医師とのコミュニケーションの充実につながるものと考えております。また、当社が実施したSymview利用患者向けアンケート調査(注7)においても、「紙の問診と比較した際の利用満足度」に関する設問に対し、67%が「WEB問診のほうが良い」と回答しております。
SymviewではWEB問診としての機能だけでなく、電子同意書やオンライン診療の機能も併せて提供しています。電子同意書は、入院や検査、手術など医療機関で多い患者からの同意書取得のシーンにおいて、患者への事前説明と同意取得のデジタル化を支援して、同意書取得を効率化する機能です。また、オンライン診療においては問診聴取が非常に重要であり、外来と同じ仕組みで予約・問診を利用できるオンライン診療としてビデオチャットや決済機能を提供しています。2026年6月時点で、累計問診回答数が6,000万を超え、月間200万件以上の問診回答数を記録しております。
b. 予約システム Wakumy
医療機関における予約業務を効率化しつつ、24時間WEBでの予約を提供することで集患にも寄与し来院患者数の増加を支援する医療機関専用予約システムです。(例:利用医療機関における24時間WEB予約の活用により、受付時間外の予約獲得が可能となっております。)医療機関で多い時間帯予約・順番予約を併用して利用でき、診療と検査の同時予約の機能や、各電子カルテとの連携など、医療機関特有の機能を幅広くカバーしています。特に、業務が複雑化しやすい複数医師が在籍する医療機関や、複数拠点を保有するグループ経営診療所向けの機能も有しており、様々な医科診療所にて採用されていることが特徴です。
また、本プロダクトはオプション機能である「無人受付ソリューション」を付加することで、来院時の受付業務の自動化・省人化にも貢献しています。具体的には、患者自身によるセルフチェックインや受付手続を可能とすることで、受付業務の負担軽減及び待ち時間の短縮を実現し、医療機関の業務効率化と患者利便性の向上の双方に寄与しております。
さらに、WEB問診(電子同意書/オンライン診療)Symviewや、患者管理システムKakariteと連携することで、予約から受付、問診・同意取得・オンライン診療・スマート決済・患者フォローアップまでの一連の患者導線をシステム上で完結することも可能となります。
c. 患者管理システム(PRM)(注8) Kakarite
医療機関で各システムに点在する患者情報を集約し、患者データベースの構築や患者へのフォローアップなどを行うための医療機関専用のPRM(Patient Relationship Management)ツールです。医療機関の請求データであるレセプトデータや、予約・問診のデータを自動で連携し取り込むことで、特定の疾患や検査を受けている患者などを自動的にグループ化し、診療ガイドライン等で定められた受診・検査頻度に沿って受診・検査が行われているかを自動的に判断し、受診勧奨等のフォローアップを自動化できます。これにより、医療機関としては定期受診患者の離脱を減らし、受診時の検査漏れを減らすことで収入を安定させ、患者にとっても受診忘れや服薬忘れ、検査忘れなどを防ぐことで慢性疾患の重症化予防などにも繋がります。
d. 電話自動応答システム Iver
医療機関における電話受付業務を自動応答により省人化するプロダクトです。従来は高価だったオンプレミス型(注9)の自動応答システムをクラウド型で提供するとともに、医療機関で簡単に即時設定変更ができるような機能を提供することで、導入前に受付が対応していた受電業務について、当社集計によれば60%以上を自動応答により対応し、省力化を実現しております(注10)。予約の要件ではWEB予約のURLを自動でSMS送信するような機能や、在宅医療診療所における当番スケジュールの登録や、録音・AI文字起こし・要約機能など、医療機関に特化した機能を多く有していることが特徴です。患者側は電話が埋まっていたり、つながらず待たされることがないため、患者満足度の向上にも寄与しています。コロナ禍にはワクチン接種の電話が医療機関に殺到した時期に多くの電話を自動で捌いていくことができ、受付スタッフの労働環境改善にも大きく貢献しました。
e. 医療向けデジタルサイネージ / 動画活用サービス Medicastar
医療機関の待合室で、各医療機関の特徴や診療内容、検査や治療に対する啓発を目的とした動画を放映するデジタルサイネージの運用支援サービスです。当社は疾患啓発・診療科紹介・検査や治療の説明等を題材とした患者向け医療コンテンツを1,000本以上保有しており、利用医療機関は契約期間中、これらコンテンツを活用することができます。また、各医療機関に合わせたオリジナル動画を制作するサービスも付帯しており、待合室だけでなく、WEBやSNSでの動画マーケティングや、院内での患者向け説明にも活用できる動画を当社サポートのもとで作成することができます。
f. 医療機関専用WEB制作・運用サポート Wehub
医療機関のホームページの制作及び運用を簡単に行えるシステム及びサポートをセットで提供するサービスです。初期制作時はプロのデザイナー・ディレクションのもとに素早くホームページを立ち上げることができ、その後のアクセス数や予約コンバージョン数などを自動的に集計し分析できるダッシュボードや、ページ追加・変更等を簡単にできるWEBサービスを通じて、医療機関のWEBマーケティングを支援します。また、デジタルサイネージで制作した動画コンテンツとの連携も行えます。
g. AI電話エージェント Capai
医療機関における電話対応業務の効率化及び省人化を目的とした、AIを活用した電話応対支援サービスです。医療機関に入電した電話に対し、AIが患者の用件を自動で聞き取り、診療時間やアクセス方法等の定型的な問い合わせへの回答、予約変更等に関する必要事項の聴取、緊急性の高い案件のみ医療者への転送対応等を行うことで、受付スタッフの電話対応負荷を軽減します。また、受電内容については音声データ、要約、文字起こし情報として管理画面上で確認でき、折り返し対応や院内での情報共有を円滑に行うことが可能です。加えて、医療機関ごとの運用に応じて質問項目、応答シナリオ、転送条件等を柔軟に設定できるため、電話業務の平準化及び対応品質の向上にも寄与します。なお、本サービスは2026年6月から提供開始しております。
なお、当社のセグメントは、医療DX事業の単一セグメントであり、セグメント情報の記載を省略しておりますが、サービスの提供先や収益構造の観点から、「医療DXストック事業」「医療DXイニシャル事業」「広告事業」の3つの事業区分に分類しております。
(注)7.当社アンケート調査(Symview):
Symviewをご利用いただいている医療機関において、実際にWEB問診を回答した患者を対象に、WEB問診利用後の満足度に関するアンケート調査を実施しております。調査期間は2025年11月24日から1週間であり、当該期間中にSymview上へアンケート設問を掲出し、30,458件の回答を対象としております。「紙の問診と比較した際の利用満足度」に関する設問に対し、67%が「WEB問診のほうが良い」、26%が「どちらも同じ」、3%が「紙のほうが良い」と回答しております。
8.PRM(PRM:Patient Relationship Management):患者関係管理
9.オンプレミス型:医療機関内のサーバーにて運用する方式
10.自動応答対応率(Iver):
「Iver」を導入している医療機関における総受電件数及び院内転送件数(医療スタッフが実際に電話対応を行った件数)をサービス基盤側で取得・集計しております。
「院内転送率」を「院内転送件数÷総受電件数」と定義しており、導入医療機関全体の継続的な利用実績を集計した結果、院内転送率は概ね40%以下で推移しております。これに基づき、総受電件数の60%以上について自動応答により対応しているものと認識しております。
(3)事業区分について
a. 医療DXストック事業(月額利用料/ストック型)
医療DXストック事業は、当社が提供するSaaS製品の月額利用料収入で構成されています。医療機関は、予約、WEB問診、患者管理、電話自動応答、デジタルサイネージなどの各種プロダクトを毎月定額及び従量課金で利用することができます。当社は各プロダクトのクラウドサーバーも含む運用保守、機能アップデート、活用促進のためのカスタマーサクセス・カスタマーサポートを提供しています。当社製品はすべてクラウド型製品として提供しており、顧客である医療機関は、常に最新の機能を安価な費用で利用でき、オンプレミス型の製品のように5年に1回の定期的な買い替えなどをする必要がありません。
また、当社にとっては当社サービスをご利用いただく医療機関が増加することに比例して収入が積み上がるとともに、複数プロダクトを導入する医療機関が増加することで医療機関あたりのARPU(注11)が向上します。
b. 医療DXイニシャル事業(初期費用/フロー型)
医療DXイニシャル事業は、当社サービスを新規導入する際に発生する初期費用による収益で構成されています。医療機関ではIT人材の確保が難しく、また医療機関ごとに診療科目や業務フロー、スタッフ体制等が大きく異なるため、単なるSaaSのパッケージの提供にとどまらず、各医療機関の運用に即したコンサルテーションとシステム設定支援、受付スタッフへの操作方法のレクチャーなどのサービスを提供しています。
医療DXイニシャル事業の収入は、導入医療機関数と各プロダクトの販売単価に大きく依存します。近年は営業体制の拡充や定期的な新サービスの開発・投入、及び当社ブランドの向上により、導入医療機関数は年々拡大しています。また、契約時の複数プロダクト契約(クロスセル)率向上や、無人受付ソリューションなどの高単価プロダクトの投入により、販売単価も向上しています。
合わせて、導入初期における丁寧なコンサルテーション、オンボーディングサービス(注12)は、解約率の低減や長期的な顧客関係構築につながるため、ストック事業を下支えする重要な役割を果たしています。
近年は、病院を含む大規模な医療機関への包括的な医療DXに関するコンサルテーションサービスの提供や、一部の自治体や医師会と連携したプロジェクト案件の獲得も進んでいます。これらのサービスは単なるコンサルテーションにとどまらず、当社プロダクトの導入や新たなサービス開発、先進的な活用事例の開発にもつながっており、各事業と相乗効果を発揮しています。
c. 広告事業(広告代理店/フロー型)
当社の広告事業は、医療機関等に設置されたデジタルサイネージ「Medicastar」や、WEB問診システム「Symview」などのプロダクトの一部領域を広告媒体として活用し、広告主の広告出稿や広告コンテンツの制作・配信を行っています。本事業は、単に広告枠を提供するのではなく、広告内容を医療機関の環境に適合させ、生活者にとって有益で適切な情報として届けることを重視しています。具体的には、広告主から提供された内容を法令や業界ガイドラインに照らして審査し、医療機関院内での掲出にふさわしい形に編集・最適化した上で配信をしています。放映された広告の一部では、アンケート調査などにより広告効果を定量的に測定し、広告主にフィードバックする仕組みを備えている点も特徴です。広告主には製薬企業や食品メーカー、自治体など幅広い業種が含まれ、疾患啓発から商品認知拡大に至るまで多様なニーズに応えています。当社が運営するデジタルサイネージは、2025年10月時点で3,500面を超えており、国内最大規模の医療機関向けデジタルサイネージを運営しています。こうした広告事業は、生活者・医療機関・広告主の三者に価値を提供するモデルとして位置付けられており、当社の収益基盤の一翼を担っています。
(注)11.ARPU:利用医療機関あたり平均単価
12.オンボーディングサービス:医療機関ごとの個別カスタマイズ、導入時のレクチャーなどの支援
[各事業の主要指標]
[事業系統図]
業績状況
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は976,979千円となり、前事業年度末に比べ322,777千円増加しました。これは主に、現金及び預金が221,605千円増加、売上高の増加に伴い売掛金が84,218千円増加したこと等によるものであります。固定資産は132,771千円となり、前事業年度末に比べ10,871千円増加しました。これは主に、繰延税金資産が9,278千円増加したこと等によるものであります。
この結果、総資産は1,109,750千円となり、前事業年度末に比べ333,649千円の増加となりました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は379,876千円となり、前事業年度末に比べ118,146千円増加しました。これは主に、買掛金が14,366千円増加、未払金が18,796千円増加、未払法人税等が55,019千円増加、未払消費税等が12,307千円増加、賞与引当金が8,000千円増加したこと等によるものであります。固定負債は97,289千円となり、前事業年度末に比べ24,194千円減少しました。これは主に、長期借入金が23,676千円減少したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は477,166千円と前事業年度末に比べ93,951千円の増加となりました。
(純資産)
当事業年度末における純資産は632,584千円となり、前事業年度末に比べ239,697千円増加しました。これは主に、当期純利益の計上により利益剰余金が239,697千円増加したことによるものであります。
以上により、自己資本比率は前事業年度末の50.50%から56.91%となりました。
② 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や企業収益の底堅さを背景に、緩やかな回復基調で推移しました。一方で、物価上昇の継続、米国の通商政策の動向、地政学リスク及び金融資本市場の変動等により、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社の主要な事業領域である医療業界におきましては、物価及び人件費の上昇、医療従事者の人材不足等を背景として、医療機関における業務効率化及び生産性向上の重要性が一層高まっております。また、政府による医療DX推進施策の進展に伴い、医療現場におけるデジタル技術の活用ニーズは引き続き高い水準で推移しております。
このような状況の中、当社は、「医療をもっと、わかりやすく。」というPurposeのもと、医療DXの推進を通じて、医療機関の生産性向上及び患者体験の向上を実現することを目指し、医療DXプロダクトの新規導入拡大及び複数プロダクトの利用促進に取り組んでまいりました。
主力プロダクトであるWEB問診「Symview」、予約システム「Wakumy」及びPRMツール「Kakarite」について、販売代理店との連携を強化し、新規顧客に対する複数プロダクトの提案及び既存顧客への追加提案を推進しました。
また、2025年7月から、予約システム「Wakumy」のオプション機能として、セルフチェックイン端末を活用した「無人受付ソリューション」の提供を開始しました。同ソリューションの販売を通じて、医療機関における受付業務の省力化及び業務効率化を支援するとともに、当社プロダクトの提供領域の拡大に取り組みました。
これらの取り組みにより、当事業年度の契約医療機関数は前事業年度を上回る水準で推移し、医療DXストック事業及び医療DXイニシャル事業を中心に売上高が拡大しました。売上拡大に伴い、機器の仕入原価、販売手数料、人件費等が増加したものの、医療DXストック事業における継続収益の積み上がり及び売上規模の拡大による利益増加がこれらを上回りました。
これらの結果、当事業年度における経営成績は、売上高は1,980,664千円(前期比35.6%増)、営業利益は344,462千円(前期比170.6%増)、経常利益は337,040千円(前期比161.8%増)、当期純利益は239,697千円(前期比139.3%増)となりました。
また、当社は単一セグメントであるためにセグメント情報は記載しておりませんが、個別事業ごとの売上高は以下となります。
医療DXストック事業
医療DXストック事業は医療機関からの月額利用料によるストック収益からなり、利用医療機関数の増加に加えて、新規契約の複数プロダクト契約が増加したこと並びに既存顧客による別プロダクトの導入による利用医療機関あたりの平均単価(ARPU)を増加することができた結果、医療DXストック事業の売上高は1,093,747千円(前期比26.5%増)となりました。
医療DXイニシャル事業
医療DXイニシャル事業は医療機関への導入コンサルや運用レクチャー実施に伴う初期費用によるフロー収益からなり、導入医療機関を順調に獲得していくことができた結果、医療DXイニシャル事業の売上高は626,928千円(前期比75.7%増)となりました。
広告事業
広告事業はデジタルサイネージなどを活用した広告収入や製薬会社のプロジェクトなどによるフロー収益からなり、デジタルサイネージへの出稿数の拡大や単価向上、製薬会社から依頼されるプロジェクトが増加した結果、広告事業全体の売上高は259,988千円(前期比8.6%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末に比べ221,605千円増加し、642,981千円となりました。なお、当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は277,202千円(前事業年度は113,900千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益337,040千円の計上、売上債権の増加額84,218千円、法人税等の支払額50,483千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は31,300千円(前事業年度は12,876千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出19,731千円、有形固定資産の取得による支出10,685千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は24,296千円(前事業年度は37,188千円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出23,676千円等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。
c.販売実績
当事業年度(2026年6月期)の販売実績は1,980,664千円(前期比35.6%増)となりました。
なお、当社は医療DX事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。サービス別の売上高については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要②経営成績の状況」を参照下さい。
また、前期比で増加した要因は既存サービスのシェアの拡大によるものであります。
|
サービス区分の名称 |
当事業年度 (自 2025年7月1日 至 2026年6月30日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
医療DXストック事業 |
1,093,747 |
126.5 |
|
医療DXイニシャル事業 |
626,928 |
175.7 |
|
広告事業 |
259,988 |
108.6 |
|
合計 |
1,980,664 |
135.6 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5経理の状況 1財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。また、財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
財務諸表を作成するにあたり用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績の分析
(売上高)
当事業年度における売上高は1,980,664千円(前期比35.6%増)となりました。医療DXストック事業、医療DXイニシャル事業並びに広告事業より獲得し、売上高の増加要因は新規顧客並びに既存顧客からの追加導入の増加によるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は682,090千円(前期比24.8%増)となりましたが、売上原価率は34.4%と前事業年度に比べ3.0ポイント改善しました。これは、当社の主力である医療DXストック事業の売上拡大に対し、サポート人件費やサーバー費用等の原価が逓増しにくい性質を有しており、原価の増加が相対的に限定的であったためであります。その結果、売上総利益は、1,298,574千円(前期比42.0%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は954,111千円(前期比21.2%増)となりました。主要な費目は役員報酬101,250千円、給料及び賃金319,188千円であり、事業拡大のための体制整備に係る費用並びに営業活動費が主な増加要因となっております。その結果、営業利益は344,462千円(前期比170.6%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当事業年度における営業外収益は3,828千円となりました。これは主に、雑収入及び受取利息等によるものであります。また、営業外費用は11,250千円となりました。これは主に、上場関連費用9,346千円等によるものであります。その結果、経常利益は337,040千円(前期比161.8%増)となりました。
(特別利益、特別損失、税引前当期純利益)
当事業年度は特別利益、特別損失は発生しておりません。その結果、税引前当期純利益は337,040千円(前期比154.9%増)となりました。
(当期純利益)
当事業年度における当期純利益は239,697千円(前期比139.3%増)となりました。これは売上高が前期比35.6%増加する一方、売上原価及び販売費及び一般管理費の増加率がそれぞれ24.8%増、21.2%増に抑制されたことにより、税引前当期純利益が337,040千円(前期比154.9%増)となったことによるものです。この結果、法人税、住民税及び事業税106,621千円を計上し、当期純利益は239,697千円となりました。
c.キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
d.資本の財源及び資金の流動性
当社の主な資金需要は、継続的なサービス提供のための人件費、顧客獲得や認知度向上のための広告宣伝費、新規事業への資金導入等であります。財政状態等や資金使途を勘案しながら、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。
今後、資金需要の必要性に応じて、外部も含めた資金調達等は資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行う予定です。
e.経営方針、経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり売上高及び営業利益を重視しています。また、提供するサービスがサブスクリプション型(継続的な利用契約に基づき月額等の利用料を受領するビジネスモデル)であるため、以下の経営指標を重要視しています。まず、当社がサービスを提供する医療機関数の拡大と市場シェアの拡大を目指します。さらに、月次平均解約率の低減と顧客平均単価の向上も重要な経営指標です。マルチプロダクトを展開していることに加え、カスタマーサクセスを重視しており、顧客満足度の向上(解約率の低減)と利用医療機関あたり平均単価(ARPU)の向上を循環させることで、当社のサステナブルな成長の基盤を確立できると考えています。