リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当企業グループの経営成績及び財務状況等(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあり、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えております。
当企業グループと致しましては、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業グループが判断したものであります。
(1)当企業グループがとっている特異な経営方針
当企業グループは国内市場の販売力の強化はもとより、海外市場の開拓を積極的に進めております。売上高にしめる海外売上比率は、2022年3月期は46.3%、2023年3月期は51.7%、2024年3月期は56.6%となっております。主として、販売先であるアジア、北米の経済状況の影響を受けております。
これらの情報は第5[経理の状況]のセグメント情報等として開示しております。
また、当企業グループの事業では新規製品を継続的に市場に投入していく必要があるため研究開発力が経営の重要な要素となっております。そのため、将来の企業成長には主に新製品の開発の成果に依存するというリスクがあります。
前連結会計年度から引き続き、各国の排出ガス規制に対応すべく新型エンジンの全機種への適用を推進し、韓国排出ガス規制(5次規制)対応舗装用振動ローラのSW655H-K(8.1t)、国内排出ガス規制対応ロードスタビライザのPM600(22.8t)を開発致しました。また、新興国向け路面切削機のER555F-S(27.9t)の開発も行いました。
(2)研究開発活動及び人材育成について
当企業グループは、道路建設機械関連の専門メーカとして、市場において新規製品を継続的に投入していく必要があります。研究開発費の過去3年間の推移をみますと、2022年3月期は884,896千円、2023年3月期は955,073千円、2024年3月期は944,433千円となっており、新製品の開発等に積極的に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、舗装作業時の安全性の更なる向上を図るため、「緊急ブレーキ装置(Guardman)」を搭載した韓国向けタイヤローラのTZ705-K(15.1t)、ロードローラのR2-5K(14.1t)、振動ローラのTW504(3.7t)、北米向け振動ローラのSW884ND(13.9t)の開発を行いました。また、2024年3月にアメリカで開催されたWoA(ワールド・オブ・アスファルト)へ、「緊急ブレーキ装置(Guardman)」を搭載した北米向け舗装用振動ローラのSW884ND(13.9t)とSW504(3.7t)、振動タイヤローラのGW754(9.3t)、マカダムローラのR2H-4(14.5t)を出展しました。国土交通省が推進するi-Construction要請に対応すべく「SAKAI転圧管理システム(Compaction Meister)」の全締固め機械への展開の推進と、路面切削機に搭載する「SAKAI転圧管理システム」の改良を進めました。自律走行ローラの開発では、業界標準機を開発すべく国内の主要ゼネコンに共同体メンバーとして参画していただき、各社の工事現場において共同実験を積極的に展開し、仕様の見極め及び製品化を継続・推進しております。
研究開発の成果は不確実なものであり、必ずしも成果に結びつかないというリスクがあります。また、当企業グループの企業成長のためには、特に研究開発に係わる有能な人材に依存しますので、技術スキルの高い人材の確保と育成並びに研究成果の適正な評価が重要となっております。
このような人材を確保又は育成できなかった場合には、当企業グループの企業成長、経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)海外活動に係わるリスクについて
当企業グループは、海外市場の開拓を積極的に進めている中で、海外の各国における次のようなリスクがあるため、これらの事象が発生した場合は当企業グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
① 予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更
② 社会的共通資本(インフラ)が、未整備なことによる当企業グループの活動への影響
③ 不利な政治的要因の発生
④ 戦争等による社会的混乱
⑤ 主要な市場である北米、アジアにおける景気及びそれに伴う予測を超えた需要変動
当企業グループと致しましては、このような猶予ない事態が発生した際には、政府関係機関及び各業界団体等より正確な情報収集に努め、臨機応変かつ積極的に対応策を講じ解決を図る所存であります。
(4)法的規制等について
当企業グループは、国内の法的規制のほかに事業展開している各国の法的規制、たとえば事業・投資の許可、関税・輸出入規制等の適用を受けております。また、将来において現在予期し得ない法的規制等が設けられる可能性があります。
(5)株式保有リスクについて
当企業グループは、金融機関や販売又は仕入に係る取引会社の株式を保有しているため、株式市場の価格変動リスクを負っております。株式の価格変動リスクについては特別のヘッジ手段を用いておりません。なお、有価証券に係る時価に関する情報は、第5[経理の状況]の有価証券関係の注記に記載しております。
(6)重要な訴訟等について
当企業グループは、国内及び海外事業に関連して、訴訟、紛争、その他の法律的手続きの対象となるリスクがあります。これらの法的なリスクについては当企業グループの管理部門が一括管理しており、必要に応じて取締役会及び監査等委員会に報告する管理体制となっております。また、契約中の顧問弁護士と連携を図りながらこれらの法的リスクに対応して参ります。当連結会計年度において当企業グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟は提起されておりませんが、将来重要な訴訟等が提起された場合には、当企業グループの経営成績及び財務状況等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(7)為替変動リスクについて
当企業グループの事業は、北米、インドネシア、中国に製品等の生産拠点を設け、全世界に販売を行っております。各地域における売上高、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されております。換算時の為替レートにより、これらの項目は円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。一般に、他の通貨に対する円高は、当企業グループの事業に悪影響を及ぼし、円安は好影響をもたらします。
当企業グループが生産を行う地域の通貨価値の下落は、それらの地域における製造の調達コストを押し上げる可能性があり、コストの増加は、利益と価格競争力を低下させ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの悪影響を最小限にくい止めるために為替予約等を行ってはおりますが、中期的な通貨変動により、計画された調達、製造、流通及び販売活動を確実に実行できない場合があるため、為替レートの変動は当企業グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。当連結会計年度において、為替差益82,887千円を計上しております。
(8)製品保証及び生産物賠償責任リスクについて
当企業グループは道路転圧用各種ロードローラ等を製造しており、厳しい管理基準に基づき製品の設計・製造を行っておりますが、将来にわたり製品に欠陥が生じる可能性を完全に否定することはできません。製品の欠陥は将来の製品保証に係る費用の増加につながり、重大な欠陥が発生した場合には大規模な製品回収(リコール)や生産物賠償責任により多額の費用や賠償金を必要とするだけではなく当企業グループの評価に重大な影響を与え、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、生産物賠償責任については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありませんし、引き続き当企業グループがこのような保険に許容できる条件で加入できるとは限りません。生産物賠償責任につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当企業グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上高が低下し、当企業グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当企業グループと致しましては、大規模な製品回収や生産物賠償責任を負う事の無いよう徹底した製品の品質管理やISO9001規格の維持等に努めて参ります。
(9)売上債権管理上のリスクについて
当企業グループの販売形態については、商社及び有力代理店を通した間接販売とユーザへの直接販売があります。販売先において資金繰り等の財政困難な状況にあった場合、当企業グループの事業及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。当連結会計年度において、重大な貸倒れの発生はありません。
(10)繰延税金資産の回収可能性について
繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
(11)感染症の拡大等に関するリスクについて
新型コロナウイルス等の感染症の流行により、国内外において都市封鎖、外出制限等実施された場合、また、役員及び従業員が感染症に罹患した場合には、需要の減少や生産ラインの閉鎖等により当企業グループの事業運営に支障を来たし、財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、道路建設機械の製造・販売を業とする公共性の高い業種であり、長期にわたり安定的な経営基盤の確保に努めるとともに、配当についても安定的な配当の継続を重視し、業績と健全な財務体質に裏付けられた成果の配分を基本方針としています。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。
これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当社は、「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、剰余金の配当(中間配当)を行うことができる。」旨を定款に定めております。
内部留保資金につきましては、事業の運転資金、事業戦略に基づく再投資、将来に備えた財務体質強化に有効活用するとともに、資金需要と経済性を考慮しつつ自社株式消却を実施して参ります。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (千円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年11月9日 |
382,608 |
90.0 |
取締役会決議 |
||
2024年6月27日 |
828,886 |
195.0 |
定時株主総会決議 |