2025年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があり、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があるリスク及びそれに対する主な対応策は本項に記載のとおりです。ただし、これらのリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できない、又は重要とみなされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。当社グループではこのような経営ないし事業リスクを最小化するために様々な対応を行ってまいります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)外部環境リスク

   世界的な経済社会活動の持ち直しの動きが続き、日本経済も雇用・所得環境が改善するなど緩やかに回復していますが、海外景気の下振れリスクの懸念、物価上昇、アメリカ政府の政策動向、ウクライナ・ロシアや中東情勢の影響への留意が必要と考えられます。なお、アメリカ政府による関税政策変更については、当社は海外に15拠点を構え地産地消を実現しており、北米拠点での現地生産を強化することで関税リスクを回避し、競争力を維持しておりますものの、自動車業界全体への影響が当社にも波及するおそれがあります。

   また、自動車用等の内燃機関の電動化の進展、世界的な環境規制の強化等による内燃機関の生産減少は、当社既存事業領域の市場規模縮小につながり、当社グループの経営を圧迫するおそれがあります。

 

リスク要因

リスク要因概要

リスクへの対応策

市場環境変化

地政学・経済・政治を含む、様々な国の市場環境の変化によるリスク

・国内外拠点から入手した情報に基づく対応

・取締役会で課題、対策を報告し、実施

・年度目標値の達成状況の監視、対策実施

為替変動

・為替変動によるリスク

・為替リスクを極小化する取引通貨の選択

・必要に応じた為替予約の実施

革新技術の出現

・当社製品寿命経過(電動化、内燃機関の変化、減少等)によるリスク

・低コストで革新的な技術・製品の出現により 当社の製品が競争力を失うリスク

・将来的なニーズに適合した製品開発の推進

・「NITTAN Challenge 10」VISIONⅠ(ICE領域)及びVISIONⅡ(EV領域)の事業化に向けた開発

法令・規制等の

改正・強化

・工場立地での各種規制、関税・税務制度の変化によるリスク

・法令・規制の変化の定期調査に基づく適時適切な対応、監視監督の実施

・関連する教育の実施

自然災害、戦争、

テロ、疫病

・自然災害・戦争・革命・テロ・疫病等による、地域的ないしはグローバルな事業継続のリスク

・自然災害を想定した防災訓練の実施

・必要に応じたBCPの更新

・自然災害に耐えうる施設等の構築

・複数拠点による供給体制の確保

 

 

 

(2)経営プロセスリスク

  製造業である当社グループにおいて、製造現場における効率化の遅延は価格をはじめとする製品競争力の低下につながります。間接部門においてもIT化の遅延は効率的な経営の妨げとなり、適時的確な経営判断の障害となる危険性があります。

  また、当社グループは海外関係会社を有し、様々な法制の下で企業運営を行っておりますが、言語の問題や十分な人員配置が困難なことも要因となり、グループ全体に対するガバナンスが不十分となるリスクを有しております。

当社では2024年10月に株式会社恵那金属製作所(現 株式会社NITTAN恵那金属)を子会社化しましたが、引き続きM&Aによる事業拡大を検討しております。M&A実施前のデューディリジェンスが十分でない場合にM&A後に買収先の不正が発覚することや、M&A後の統合プロセスがうまく進まないことにより、期待通りの効果を得られないリスクが考えられます。また、昨今では、同意なき買収(敵対的買収)も目立ってきており、当社がその対象になる可能性も考えられます。

 

リスク要因

リスク要因概要

リスクへの対応策

IT化の遅延

・製造現場におけるIT化の遅延による、コスト削減の停滞、ノウハウ散逸のリスク

・決算や経営判断に必要なデータの正確かつ早期な提供が困難となるリスク

・標準的なIT技術に応じたITシステムの適時の更新及び構築

海外拠点の

ガバナンス不全

・海外の拠点に対する統制が行き届かず、不正が発生し、信用を失うリスク

・決算数値の誤謬が発生するリスク

・現地法人トップとの対話の実施

・定期的な監査の継続実施

・過去の発生事案を活用したリスク回避対策の構築

・海外拠点財務諸表の分析、定期レビューの実施

・内部通報制度の活用、事案発生時の適正な処罰実施

M&A

・M&Aデューディリジェンス時に検知できないリスク

・M&A後の統合プロセス/内部統制リスク

・専門家との協働、表明保証条項によるヘッジ

・PMIの早期検討開始・実行、M&Aマニュアル策定

TOB

・同意なき買収による経営権喪失リスク(企業価値の過小評価)

・NC10活動の推進、IR戦略室中心の積極的なIR活動

・自社株買い、政策保有株の見直しによる企業価値向上

 

 

 

(3) 支援プロセスリスク

当社グループが必要とする各種の優秀な人材の採用が容易ではない状況は継続しております。

また、当社グループは事業活動における法令遵守に努めており、『NITTANグループ・グローバル行動規範』の当社グループ内への浸透、ガバナンス委員会を中心とする当社グループ内のコンプライアンス強化活動の推進をしております。しかしながら、『NITTAN Challenge 10』による新規商品の開発においては知的財産権に関するリスクを十分に考慮して進める必要がある他、製造物責任、独占禁止法等の法的手続に関する当事者になり、業績に影響を及ぼすリスクがあります。各種のハラスメントが発生した場合には、被害者の労働意欲の低下、休職および離職、職場環境の悪化による生産性の低下、ひいては当社への信用、信頼、イメージの低下を招くリスクがあります。

その他、当社グループでは情報セキュリティ基本方針、情報セキュリティ管理規程等を制定しITセキュリティ対策の推進に努めておりますが、サイバー攻撃を受けた場合やシステムに予想し得ないトラブルが起きた場合、業務への支障をきたし、当社グループの業績および財務状況に大きな影響を与えるおそれがあります。また、情報へのアクセス制御、パスワード管理の徹底等を図り不正アクセス等による情報漏洩対策をしておりますが、予期し得ない事象により個人情報や秘密情報の漏洩が起こるおそれがあります。

そして、当社グループでは環境汚染の防止に努める他、カーボンニュートラルに向けたCO₂削減の為、電力使用量の削減、グリーンエネルギーの活用を主とする「NITTAN Carbon Neutral」活動を実施しておりますが、環境汚染、CO₂削減等の目標の未達成により、環境の悪影響により当社グループへの信用を損なうリスクがあります。

 

リスク要因

リスク要因概要

リスクへの対応策

知財、労務その他の 分野における各種紛争

・労務、規制違反等に起因する訴訟又は争訟が発生するリスク

・知的財産権に関するリスク

・NITTANグループ・グローバル行動規範によるグループの企業倫理確立を通じた健全な企業活動の推進

・社内各種研修による、コンプライアンス意識向上

・他社所有知的財産権調査の適時実施

人材不足

・当社グループが必要とする優秀な人材の確保が困難となるリスク 

・感染症の影響等、当社グループ所在国の事情による採用難により、必要な人材が不足するリスク

・採用体制の強化と採用ツール・施策の充実

・人的資本経営方針の明確化、エンゲージメント向上

・ハラスメント防止等の教育体制と教育計画の強化

・ワークライフバランスや多様な人材に対応した施策の整備と充実

コンプライアンス違反

・独占禁止法違反、不公正取引、ハラスメント等のコンプライアンス違反が発生するリスク

・グローバルコンプライアンスプログラム、NITTANグループ・グローバル行動規範、企業行動規範等の社内規程に基づいたコンプライアンス教育の実施

・独占禁止法遵守マニュアル、グローバル独禁法遵守マニュアル、贈収賄防止に関するガイドラインに基づく教育の実施

・規定違反に対する適正な処罰の実施

サイバー攻撃、

情報漏洩

・サイバー攻撃による事業活動へ影響が発生するリスク

・個人情報、秘密情報の漏洩が発生するリスク

・サイバー攻撃再発防止の為のセキュリティ見直し強化施策の実施、当社グループへの横展開

・専門業者のコンサルティング継続

・情報セキュリティ基本方針に基づいた教育の実施

環境汚染、

CO₂削減の未達成

・事故により環境汚染が発生し信用を損なうリスク

・地球温暖化による被害を及ぼすリスク

・汚染物質の流出防止管理および施策の実施

・環境事故発生を想定した訓練実施

・カーボンニュートラルに向けたCO₂削減活動(NITTANカーボンニュートラル活動:電力使用量の削減、グリーンエネルギーの活用)の実施

 

 

(4) 基幹プロセスリスク

革新技術の出現による当社グループの既存製品の競合先に対する製品競争力の低下、リコール・品質不良による顧客への損害の発生及び費用求償、工場火災、機械設備の故障等による生産停止、納入遅延・不能による顧客への損害の発生及び費用求償、これらによる社会的評価の低下等を通じて、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性がございます。当社グループでは、継続的なコスト削減活動や顧客ニーズに沿った製品開発を進めることに加え、「品質優先に徹し、顧客の信頼に応える」という品質に関する基本方針の実現の為、ISO9001及びIATF16949規格に基づく品質マネジメントシステムの徹底による取り組みを推進しております。

また、特定の取引先への依存度が高い材料・部品の調達等が困難になることによる生産および業績への悪影響を与えるリスクが考えられます。

 

リスク要因

リスク要因概要

リスクへの対応策

製品競争力低下

・競合先に対する競争力(品質、価格、納期、サービス、技術)が劣後するリスク

・コスト削減活動の継続

・顧客ニーズに沿った製品開発の実施

リコール、品質不良

・顧客の信用を失い、多額の費用を求償され取引を打ち切られるリスク

・品質マネジメントシステムの徹底

・製造物責任保険の活用

納入遅延/不能

・工場火災、機械設備の故障、ユーティリティ障害、労働力不足等内部要因に基づく生産停止、納入遅延・不能、費用増加のリスク

・供給者の緊急事態等に基づく生産停止、納入遅延/不能、費用増加のリスク

・工場内における安全・保全・保守に対するルールの教育と徹底

・緊急対応手順書の整備・運用

火災・労災

・火災・労災等の人為災害の発生により生産に支障をきたすリスク

・訓練により洗い出した課題の解決策をBCPに反映教育実施

・複数拠点からの供給体制構築

・設備毎のリスクアセスメント、是正実施

特定の取引先への依存

・材料・部品調達等を特定の取引先へ依存していることにより、材料枯渇、信用不安、事業撤退発生時に材料・部品調達等が困難となるリスク

・取引先との綿密な情報交換と動向把握による早期対応の実施

・特定の取引先以外に対応可能な会社の検討、グループ・社内取り入れの検討

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、長期的な展望に立ち企業体質の強化を図りながら、経営環境及び収益を勘案しつつ、キャッシュ・フローの状況を見極めた上で、可能なかぎりの配当を継続的に行うことを基本としております。

当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。

当事業年度の剰余金の配当につきましては、当期の業績、今後の事業展開を総合的に勘案し、1株当たり6円とし、中間配当6円を合せて12円としております。

内部留保金につきましては、新製品開発のための研究開発費や事業体質の強化を目的とした設備投資に充当することを基本としております。

また、当社は、株主の皆様の日頃からのご支援に深く感謝するとともに、当社株式への投資の魅力を高め、より多くの株主の皆様に中長期的に当社株式を保有していただけることを目的として、株主優待制度を導入しております。

なお、当社は中間配当を行うことができる旨を定めております。

 

(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(円)

1株当たりの配当額(円)

2024年11月1日

取締役会決議

172,650,750

6

2025年6月20日

定時株主総会決議

172,650,648

6