2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 238,933 100.0 51,320 100.0 21.5

事業内容

3【事業の内容】

当社グループは、当社及び連結子会社7社で構成され、半導体製造装置の製造・販売・保守サービスを中心にグローバルに事業活動を展開しております。当社グループは、半導体製造装置事業の単一セグメントであるため、ビジネスユニットごとに分類して記載いたします。

 

(1)装置ビジネス

当社グループでは、半導体の製造に使用する装置の製造及び販売を行っております。半導体の製造プロセスの概略図を(図-1)に示します。半導体は、シリコンウェーハ上に、回路を形成していく工程を繰り返して製造していきます。回路形成工程は、回路形成に必要な薄膜等を形成する成膜工程、成膜後に熱をかけて結晶サイズを揃える(アニール)等の熱処理工程、成膜上に回路を形成するパターニングを行うリソグラフィ工程、パターンに沿って膜を取り除くエッチング工程、各工程間でウェーハを洗浄する洗浄工程、各工程間での検査工程で構成されます。シリコンウェーハ上にこれらの工程を繰り返して回路を形成する製造工程を総称して前工程と呼んでおります。そして、前工程の工程ごとに高度な専用技術を要したさまざまな装置が使用されることで半導体が製造されます。当社グループでは、前工程における「成膜」工程の装置を主力製品として、また「熱処理」工程に用いられる装置の製造及び販売をしております。

 

図-1 半導体製造前工程と当社グループ適応製品

 

 

「成膜」工程とは、シリコンウェーハの回路形成における回路素材となるポリシリコン膜や絶縁膜等の薄膜を形成する工程を指します。当社グループでは、その成膜工程の中でLP-CVD製品のほかに、ALD(注1)に対応した製品を提供しております。

一方、「熱処理」工程とは、熱酸化(注2)膜を形成するプロセスや、成膜後に加熱して膜中の結晶サイズを揃える(アニール)プロセス、成膜後に注入した不純物を加熱して均一に拡散するプロセス、また、プラズマを用いて成膜後に膜質を改善する(トリートメント)プロセスなどを指します。当社グループでは、本工程に最適なプロセス技術にて装置提供を行っております。

これらの工程は、シリコンウェーハの回路形成において重要な役割を担うことから、各装置に、高度な技術と品質の信頼性の高い製品提供が必要となります。

 

当社グループが装置メーカーとして取り組んでいる最も重要な課題に、デバイス構造の複雑化を原因とする成膜プロセスの生産性の低下があります。三次元(立体)構造になるとデバイスの構造がより深く、複雑になります。それにより成膜が必要な表面積が拡大し、ガスの移動距離が長くなり、成膜に要する時間が増加するため、生産性の課題が顕在化します。また、デバイス構造の複雑化に伴い、難易度の高い高品質成膜が要求されており、ALDのニーズが高まっております。当社グループは、このニーズに高難易度成膜と高生産性の両立できるバッチALD技術で、顧客の厳しい要求仕様に応えております。このバッチALD技術は、当社のコア技術による競合優位性の高い技術となっており、当社グループは高いシェアを持続しております。

 

顧客からのニーズが高まっているALDはサイクリックなプロセスであり、そのプロセスの中でガスの流入や流出、また膜質を維持するために副産物の除去を行うため時間を要するプロセスになってしまうことが大きな課題になっております。ALD技術とバッチの組み合わせによる補完関係を実現した当社グループのバッチALD技術は、高難易度成膜と高生産性の両立を可能とするものであり、生産性に関するALDの問題の論理的な解決策となります。

 

次に当社製品について以下にご紹介いたします。当社製品はバッチ成膜装置と枚葉トリートメント(膜質改善)装置をラインアップしており、バッチALDは売上高世界シェア1位(出典:TechInsights  Inc.. “TI_ALD Tools_YEARLY” (April 2025))となっております。また、当社の枚葉トリートメント装置が属するPlasma Gate Modification Tools市場でも売上高世界シェア1位(出典: Gartner®, Market Share: Semiconductor Wafer Fab Equipment, Worldwide, 2024, Bob Johnson et al. Published 21 April 2025, Revenue from Shipments basis)(注3)となっております。

 

それぞれの製品についてご説明します。

① バッチ成膜装置

バッチ成膜装置とは、数十枚以上のシリコンウェーハを一括処理することを可能とした成膜装置であり、高生産性が特徴となります。バッチ成膜装置には、高生産性を追究しウェーハ数百枚の一括処理に対応した「ラージバッチ」プラットフォーム(図-2 主要製品概要参照)と、複雑化する半導体構造への難易度が高い高品質成膜に対応し、ウェーハ数十枚の一括処理に対応した「ミニバッチ」プラットフォームがあります。

このバッチ成膜装置のプラットフォームに使途に応じた反応炉をセットし、最適なプロセスを実現しております。「成膜」工程では、「LP-CVD」「ALD」など、「熱処理」工程では「熱酸化」「アニール」「拡散」などに適応しております。

なお、バッチ成膜装置の主力製品であるAdvancedAce®シリーズ及びTSURUGI® 剱®シリーズの概要は下記のとおりです。

・AdvancedAce®シリーズ:当社のコア技術である温度制御技術、自動搬送技術、真空・ガス置換技術、冷却技術、成膜技術を結集することで、高品質な成膜性能と高生産性を実現し、バッチCVD技術とバッチALDに対応したサーマルプロセス装置。

・TSURUGI® 剱®シリーズ:次世代デバイス、特に三次元(立体)デバイスに向けた成膜品質向上の市場ニーズにこたえるため、新反応炉を採用した成膜処理技術向上により、最新のバッチALD技術に対応し高品質・高生産性を備えたプロセス提供を可能にしたサーマルプロセス装置。

 

② 枚葉トリートメント(膜質改善)装置

枚葉トリートメント装置は、成膜後にプラズマや加熱により膜中の不純物の除去や粒子を安定させることで膜質を改善させることを目的とした装置です。半導体デバイスの微細化、複雑化に伴い低温環境での成膜需要が高まる中で、低温環境でも膜質を維持するソリューションとして需要が拡大しております。

当社グループで製造・販売している枚葉トリートメント装置には、独自のプラズマ源を用いた「酸窒化・トリートメント装置」のMARORA®、ノンプラズマでヒーターを熱源とした「アニール装置」のTANDUO®などがあります。特に「MARORA®」は複雑な半導体形状に対しても高い生産性と品質でのトリートメントが可能で、顧客からの需要を集めており、バッチ成膜装置に次ぐ柱として今後も成長させていく計画です。

 

(注1)当社グループでは、複数のガスをサイクリックに供給する工程を伴い、原子層レベルで成膜する手法を「ALD」と呼んでおります。

(注2)シリコン基板表面から内部にかけて高純度の酸化をする方法。熱酸化には、ドライ酸化、ウエット酸化などいくつかの方法があります。

(注3)GARTNERは、Gartner Inc.または関連会社の米国およびその他の国における登録商標およびサービスマークであり、同社の許可に基づいて使用しています。All rights reserved. Gartnerは、Gartnerリサーチの発行物に掲載された特定のベンダー、製品またはサービスを推奨するものではありません。また、最高のレーティング又はその他の評価を得たベンダーのみを選択するようにテクノロジーユーザーに助言するものではありません。Gartnerリサーチの発行物は、Gartnerリサーチの見解を表したものであり、事実を表現したものではありません。Gartnerは、明示または黙示を問わず、本リサーチの商品性や特定目的への適合性を含め、一切の責任を負うものではありません。本書に記載するGartnerのコンテント (以下「Gartnerコンテント」) は、Gartnerシンジケート・サブスクリプション・サービスの一部としてGartner, Inc.(以下「Gartner」)が発行したリサーチ・オピニオンまたは見解を表すものであり、事実を述べているものではありません。Gartnerコンテントの内容はいずれも、そのコンテントが発行された当時の内容であり、本書が発行された日の内容ではありません。また、Gartnerコンテントに記載されている見解は予告なく変更されることがあります。

 

図-2 主要製品概要

 

 

(2)サービスビジネス

当社グループでは、当社グループが製造・販売する半導体製造装置において部品販売・保守サービスをはじめとするアフターサービスの提供を行っております。半導体生産工場においては、半導体製造装置が年中無休で稼働しており、半導体製造装置に対し安定的な稼働とともに、耐久性が高い製品の提供が要求されております。当社グループにおいては、これら品質を担保した製品の提供を行っておりますが、これに加え、迅速、かつ、的確にアフターサービスを提供する体制が求められております。

当社グループでは、このような顧客の要望に応えるべく、より顧客の製造拠点に近い場所にて、サービス拠点を設置したうえで、優秀なエンジニアを配置するとともに、交換パーツを配備することで、装置トラブルに迅速、かつ、的確に対応可能な体制を整えております。

 

 

取り扱いサービス(役務提供を含む)

消耗部品等の部品販売、

保守サービス、有償修理

(現地修理/ユニット引取り修理/オーバーホール等)

装置の移設・改造

(プロセス変更/アップグレード等)

ウェーハサイズ200mm以下の

レガシー装置(新規・中古)販売

 

① 部品販売、保守サービス、有償修理

当社が製造・販売する主要製品に対し、保守メンテナンスするための製品の提供を行っております。加えて、半導体製造装置のための定期的な保守サービスを行っております。また、製品保証契約による修理サービスに加えて、故障時に有償で修理サービスを提供しております。

 

② 装置の移設・改造

当社が提供する主要製品に対し、設置後に必要に応じて、装置の移設やプロセスの書き換え、アップグレード等のサービス等を提供しております。

 

③ ウェーハサイズ200㎜以下の装置と中古装置の販売

当社はレガシー世代でのバッチ成膜装置を新規・中古いずれも顧客の要望に応じて適切に提供しております。2017年には、200mmバッチ成膜装置に、ウェーハサイズ300mmの先端装置技術を移植した新製品として競争力の高いバッチ成膜装置(VERTEX Revolution®)を市場投入して販売しております。また、SiCを含むパワーデバイス用途向けの販売が増加しており、当社は高温アニール技術を生かして差別化をはかっております。

 

 

半導体設備投資サイクルの変動を受けにくく、かつ消耗品の販売等リカーリングな収益が発生するサービスビジネスは、安定的かつ高マージンな収益が期待されます。当社グループは装置のライフサイクル全体にわたってアフターサービスを提供し続ける体制を整えており、インストール台数の増加と各サービスの強化を通じてサービスビジネスも拡大しております。

 

また、国内関連子会社(株式会社国際電気セミコンダクターサービス)にて、成膜した後に膜の抵抗値を測定する測定検査装置や、他装置メーカー等向けに洗浄装置用の超音波発振器(水の中で振動させて洗浄に使用)ユニットを製品として製造・販売をしております。

 

 

当社グループの事業系統図は以下のとおりであります。

 

[事業系統図]

 

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、3,415億円となり、前連結会計年度末に比べ339億円減少しました。主な内容として、現金及び現金同等物は、借入金の期限前返済による減少915億円、自己株式の取得による支出に伴う減少185億円、資金の借入れによる増加600億円等により479億円減少しました。一方で有形固定資産は、富山県砺波市の新工場建設等により115億円増加しました。営業債権及びその他の債権は、売上収益増加に伴い108億円増加しました。

 当連結会計年度末の負債合計は、1,453億円となり、前連結会計年度末に比べ427億円減少しました。主な内容として、借入金は借換により333億円、営業債務及びその他の債務は131億円減少しました。

 当連結会計年度末の資本は1,962億円となり、前連結会計年度末に比べ88億円増加しました。主な内容として、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上等により利益剰余金が281億円増加しました。一方で自己株式の取得により資本の控除項目である自己株式が180億円増加しました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度における世界経済は、緩やかな成長基調にあるものの、欧州や中東における地政学リスクの長期化、中国経済の減速、米中貿易摩擦の影響、各国の関税政策に対する懸念などにより、依然として先行きに対する不透明感が続いています。

 当社グループを取り巻く事業環境は、スマートフォンやパソコン等の電子機器の需要回復が遅れる中、半導体デバイス市場では生成AIの普及等を背景に先端DRAMに対する需要が増加しています。Logic/Foundryは、一部のデバイスメーカーに投資抑制が見られるものの、全体として先端ノード向けの設備投資が加速しています。NANDも年度終盤に回復の兆しが見られ、今後回復が進むものと期待できます。中長期的には、スマートフォンやパソコン等の電子機器の需要拡大に加え、AI、IoT、DX等の拡がりによるデータセンターの拡充や環境負荷低減への投資(GX)等により、半導体関連市場は大きな成長が見込まれております。

 こうした状況において、当連結会計年度における当社グループの売上収益は、前連結会計年度と比べてDRAM、Logic/Foundry、NANDのすべてのアプリケーション向けで装置販売が伸長し、装置ビジネスの売上収益が増加したことに加え、部品販売やレガシー装置販売が好調に推移し、サービスビジネスの売上収益が増加したことから、2,389億円(前連結会計年度比32.1%増)となりました。これに伴い、営業利益は513億円(同66.9%増)、税引前利益は508億円(同70.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は360億円(同60.9%増)と、各利益が前連結会計年度と比べて増益となりました。

 なお、当社グループは、半導体製造装置事業による単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は448億円となり、前連結会計年度末の926億円と比べて479億円の減少となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べ355億円増加し、385億円の収入となりました。主なキャッシュ・フローの増加要因としては、売上収益増加に伴う当期利益の計上360億円によるものであります。一方で主な減少要因は、売上収益増加に伴う営業債権及びその他の債権の増加116億円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、主として有形固定資産の取得による支出等により、277億円の支出となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、主として長期借入金の借換、自己株式の取得による支出等により、581億円の支出となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは半導体製造装置事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

半導体製造装置事業

202,707

110.4

 (注)1.金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

当社グループは半導体製造装置事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の受注実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

受注高

(百万円)

前年同期比(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比(%)

半導体製造装置事業

224,862

151.8

135,608

90.6

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループは半導体製造装置事業のみの単一セグメントであるため、製品・サービス別の販売実績を示しております。

区分

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

販売高(百万円)

前年同期比(%)

製品

164,292

138.8

サービス

74,641

119.4

合計

238,933

132.1

 (注)1. 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおり  であります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

CXMT Corporation

26,153

14.5

48,759

20.4

Samsung Electronics Co., Ltd.

35,774

19.8

31,806

13.3

Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd.

(注2)

(注2)

30,827

12.9

 (注)2. 該当連結会計年度において連結売上収益の10%未満であるため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 重要性がある会計方針及び見積もり

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたって、過去の実績や状況を踏まえ、合理的と考えられるさまざまな要因を考慮した上で、見積もり及び判断を行っておりますが、見積もり特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積もりと異なる場合があります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び「同 4.重要な会計上の見積もり及び判断」をご参照ください。

 

② 経営成績等の状況に関する分析・検討内容

(売上収益)

半導体デバイス市場では生成AIの普及等を背景に先端DRAMに対する需要が増加しており、Logic/Foundryは全体として先端ノード向けの設備投資が加速しています。また、NANDも今後回復が進むものと期待できます。そうした中、DRAM、Logic/Foundry、NANDのすべてのアプリケーション向けで装置販売が伸長したことにより当社の装置売上収益は1,643億円(前期比138.8%)となりました。また、部品販売やレガシー装置販売が好調に推移したことによりサービス売上収益は746億円(前期比119.4%)となり、売上収益全体では、2,389億円(前期比132.1%)となりました。

 

(営業利益)

売上収益の増加により売上総利益が増加しました。また、他方で中長期的な成長に向けた研究開発費、人件費等の販売費及び一般管理費は増加したものの、営業利益は513億円(対売上収益比率21.5%)となりました。

 

(税引前利益)

長期借入金の利息支払い等金融費用の発生(14億円)等により、当連結会計年度の税引前利益は508億円(対売上収益比率21.3%)となりました。

 

(親会社の所有者に帰属する当期利益)

法人所得税費用が148億円計上となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は360億円(対売上収益比率15.1%)となりました。

 

財政状態及びキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」及び「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性について

当社グループでは、運転資金については、内部留保により調達することを基本としております。設備資金については、案件の都度、手持ち資金でまかなえるか、又は長期借入金にて調達するかを検討しており、必要に応じて外部からの資金調達を行うこととしております。

なお、子会社の資金調達については、グループ資金の効率性確保の観点から原則として当社が実施し、当社から当社グループ子会社に貸付を実施します。当社グループでは、グループ資金を当社が集中して管理し、グループ全体としての資金の効率的な調達・運用を実現しております。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

当連結会計年度の売上収益は2,389億円、営業利益は513億円であり、営業利益率は21.5%となりました。調整後営業利益は578億円、調整後当期利益は423億円となりました。

 

当社グループを取り巻く事業環境は、スマートフォンやパソコン等の電子機器の需要回復が遅れる中、半導体デバイス市場では生成AIの普及等を背景に先端DRAMに対する需要が増加しています。Logic/Foundryは、一部のデバイスメーカーに投資抑制が見られるものの、全体として先端ノード向けの設備投資が加速しています。NANDも年度終盤に回復の兆しが見られ、今後回復が進むものと期待できます。中長期的には、スマートフォンやパソコン等の電子機器の需要拡大に加え、AI、IoT、DX等の拡がりによるデータセンターの拡充や環境負荷低減への投資(GX)等により、半導体関連市場は大きな成長が見込まれております。

 

半導体デバイス市場は、マートフォンやパソコン等の電子機器の需要回復が遅れる中、生成AIの普及等を背景に先端DRAMに対する需要が増加しています。Logic/Foundryは、一部のデバイスメーカーに投資抑制が見られるものの、全体として先端ノード向けの設備投資が加速しています。NANDも年度終盤に回復の兆しが見られ、今後回復が進むものと期待できます。中長期的には、スマートフォンやパソコン等の電子機器の需要拡大に加え、AI、IoT、DX等の拡がりによるデータセンターの拡充や環境負荷低減への投資(GX)等により、半導体関連市場は大きな成長が見込まれ、当社グループでは今後の需要に対応するための研究・開発投資や設備投資を継続してまいります。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針

経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

(参考情報)

 当社グループは、経営成績の推移を適切に把握するために、調整後営業利益及び調整後当期利益を算出しております。これらは国際会計基準(IFRS)により規定された指標ではなく、当社の業績を評価する上で、通常の営業活動の結果として投資家が有用と考える財務指標であり、上場準備のために発生する上場関連費用、上場後には発生しないと見込まれるマネジメントフィー等の非経常的なものについて除外しております。

 

(1)調整後営業利益

(単位:百万円)

 

第6期

第7期

第8期

第9期

第10期

自2020年4月1日

至2021年3月31日

自2021年4月1日

至2022年3月31日

自2022年4月1日

至2023年3月31日

自2023年4月1日

至2024年3月31日

自2024年4月1日

至2025年3月31日

営業利益

60,037

70,652

56,064

30,745

51,320

-その他の収益(注3)

△16,571

△231

△270

△679

△348

+その他の費用

87

1,235

1,562

487

253

(調整額)

 

 

 

 

 

+企業結合により識別した無形資産等の償却

6,391

6,368

6,369

6,369

5,907

+スタンドアローン関連費用(注4)

423

1,024

353

223

317

+マネジメントフィー

(注5)

275

308

+売却関連費用(注6)

1,771

9

+株式報酬費用(業績連動型株式報酬制度に係るものを除く)

56

173

694

304

調整額 計

8,860

7,765

6,895

7,286

6,528

調整後営業利益(注1)

52,413

79,421

64,251

37,839

57,753

 

(2)調整後当期利益

(単位:百万円)

 

第6期

第7期

第8期

第9期

第10期

自2020年4月1日

至2021年3月31日

自2021年4月1日

至2022年3月31日

自2022年4月1日

至2023年3月31日

自2023年4月1日

至2024年3月31日

自2024年4月1日

至2025年3月31日

当期利益

33,043

51,339

40,305

22,374

36,004

-その他の収益(注3)

△16,571

△231

△270

△679

△348

+その他の費用

87

1,235

1,562

487

253

(調整額)

 

 

 

 

 

+企業結合により識別した無形資産等の償却

6,391

6,368

6,369

6,369

5,907

+スタンドアローン関連費用(注4)

423

1,024

353

223

317

+マネジメントフィー

(注5)

275

308

+売却関連費用(注6)

1,771

9

+株式報酬費用(業績連動型株式報酬制度に係るものを除く)

56

173

694

304

+ファイナンシング関連費用

4,270

+その他の金融費用

1,054

+調整項目に対する税金調整額

1,160

△2,685

△2,507

△2,172

△1,970

-税率変更等に伴う一時的な税金費用の調整額(注7)

△1,857

1,836

調整後当期利益(注2)

31,903

55,566

45,985

27,296

42,303

 (注)1.調整後営業利益は以下の算式により算出しております。

調整後営業利益 = 営業利益(IFRS)- その他の収益 + その他の費用 + 企業結合により識別した無形資産等の償却 + スタンドアローン関連費用 + マネジメントフィー + 売却関連費用 + 株式報酬費用(業績連動型株式報酬制度に係るものを除く)

2.調整後当期利益は以下の算式により算出しております。

調整後当期利益 = 当期利益 - その他の収益 + その他の費用 + 企業結合により識別した無形資産等の償却 + スタンドアローン関連費用 + マネジメントフィー + 売却関連費用 + 株式報酬費用(業績連動型株式報酬制度に係るものを除く) - 持分法で会計処理されている投資の売却益 + ファイナンシング関連費用 + その他の金融費用 + 調整項目に対する税金調整額 - 税率変更等に伴う一時的な税金費用の調整額

3.第6期のその他の収益には、契約解除料16,362百万円が含まれており、これは2021年3月にApplied Materials, Inc.との事業統合の契約解除が確定したことによるものとなります。

4.スタンドアローン関連費用は、国際会計基準の導入、適時開示体制構築及び内部統制体制構築等の上場関連の一時的な費用であります。

5.マネジメントフィーはKohlberg Kravis Roberts & Co. L.P.とのMonitoring Agreementに基づく報酬であります。

6.売却関連費用は、Applied Materials, Inc.との事業統合に向けた準備費用及び事業再編等に関わる一時的な費用であります。

7.第10期の税率変更等に伴う一時的な税金費用の調整額は、連結子会社間における事業譲渡に伴う一時的な費用であります。

8.調整後営業利益及び調整後当期利益につきましては、国際会計基準により規定された指標ではなく、当社の業績を評価する上で、通常の営業活動の結果として投資家が有用と考える財務指標であり、上場準備のために発生するスタンドアローン関連費用、上場後には発生しないと見込まれるマネジメントフィー等の非経常的なものについて除外しております。

 

 

セグメント情報

6.セグメント情報

(1)報告セグメントの概要

 当社グループの事業セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。

 当社グループは半導体製造装置事業を行っており、事業セグメントは半導体製造装置事業単一となっております。

 

(2)セグメント収益及び業績に関する情報

 当社グループは、半導体製造装置事業による単一セグメントであるため、記載を省略しております。

 

(3)地域別に関する情報

 売上収益及び非流動資産の地域別内訳は以下のとおりであります。

 

 売上収益

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

    至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

    至 2025年3月31日)

日本

22,019

19,859

 米国

10,659

15,135

 中国

83,282

111,901

 台湾

18,613

42,002

 韓国

37,912

37,966

 その他アジア

6,617

9,642

 欧州他

1,736

2,428

海外計

158,819

219,074

合計

180,838

238,933

(注) 売上収益は、販売仕向先の所在地によっております。

 

 非流動資産

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(2024年3月31日)

当連結会計年度

(2025年3月31日)

日本

144,359

154,173

韓国

6,970

6,216

その他

1,656

1,812

合計

152,985

162,201

(注) 非流動資産は、資産の所在地によっており、有形固定資産、使用権資産、のれん、無形資産を含んでおります。

 

(4)主要な顧客に関する情報

 外部顧客への売上収益のうち、連結損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先は以下のとおりであります。

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

CXMT Corporation

26,153

48,759

Samsung Electronics Co., Ltd.

35,774

31,806

Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd.

(注)

30,827

(注) 前連結会計年度において連結売上収益の10%未満であるため、記載を省略しております。