リスク
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。以下の事業等のリスクは、すべての事業活動上又は投資判断上のリスクを網羅しているものではありませんのでご留意ください。
(1) 法的規制リスク
① 許可の新規取得と更新について
廃棄物処理法とは、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする法律であり、他社の廃棄物の処理を業として行う者は、都道府県等による許可の取得が必須事項であります。当社グループの主要業務である産業廃棄物収集運搬業・処分業の許可は、有効期限が5年間(優良産業廃棄物処理業者認定制度による優良認定を受けた場合は7年間)、一般廃棄物収集運搬業・処分業許可の有効期間は2年間であり、事業継続には許可の更新が必要となります。新規取得及び更新時において、産業廃棄物収集運搬業・処分業においては廃棄物処理法第14条第5項及び第10項、一般廃棄物収集運搬業・処分業においては廃棄物処理法第7条第5項及び第10項に記載されている基準に当社が適合していると認められない場合、許可の新規取得の申請が却下されたり、更新がされない可能性があります。
現在、当社グループは当該基準に適合しておりますので、産業廃棄物収集運搬業・処分業、一般廃棄物収集運搬業・処分業の更新許可を取得しており、許可の新規取得の申請が却下されたり、更新がされない事由はありません。万一、当該基準に当社グループが適合しなくなった場合は許可の新規取得の申請が却下されたり、更新がされないため、当社グループの事業活動は事実上停止状態となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、事業範囲の変更及び他地域での事業開始並びに処理施設の新設・増設に関しても、許可の変更申請、施設の設置許可の取得等が必要となります。この場合において、申請したにも関わらず許可基準に適合していると認められないときは、事業が開始できない可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② 当社グループの事業活動の停止及び取消し要件について
廃棄物処理法には収集運搬業・処分業許可についての停止要件並びに取消し要件が定められております。不法投棄、マニフェスト虚偽記載等の違反行為、処理施設基準の違反、申請者の欠格要件等に関しては事業の停止命令あるいは許可の取消しという行政処分が下される可能性があります。これらの要件に当社グループが該当する可能性がある場合、当社グループに対し、指導、改善命令、措置命令、事業停止等の行政処分がなされることになり、改善が認められない場合等、許可の取消し処分が下される可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また当社グループが今後、リサイクル事業を拡大する際にも廃棄物処理法における許認可の取得が前提となり、当社グループが廃棄物処理業許可の停止並びに取消し要件に該当した場合、新規の許可取得は不可能となります。このような事態が発生した場合、リサイクル事業からの撤退を含めた経営判断を迫られ、当社グループの事業展開は大きく影響を受けることになり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
現在、当社グループは当該基準に抵触して許可の停止及び取り消し要件に該当する事由はございません。万一、当該基準に当社グループが該当した場合は許可の停止及び取り消し処分となり、当社グループの事業活動は事実上停止状態となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(当社)
(株式会社ヨドセイ)
③ その他配慮すべき法令について
その他、当社グループが事業を行う上で配慮すべき主要な法的規制は、次に記載のとおりであります。当社グループがこれらの規制に抵触することになった場合には、事業の停止命令や許可の取消し等の行政処分を受ける可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(2) 当社グループの事業所用地について
当社グループは東京都豊島区に当社本社、東京都足立区に当社足立支社及び当社入谷リサイクルセンター並びに埼玉県和光市に株式会社ヨドセイの和光事務所を有しておりますが、用地の一部を賃借しております。現時点において、用地の貸主と当社グループの関係は良好で、賃貸条件の変更や更新拒絶がなされる可能性は低いものと考えておりますが、貸主の事情により、当該用地が第三者に売却された場合等においては、賃借料の値上げ等の条件変更がなされるケース、期間満了後に契約更新されないケースが発生する可能性は否定できません。契約の更新がなされない場合、解除その他の理由により当社グループの処理施設の事業所用地に関する賃貸借契約が終了した場合には、代替の事業所用地を確保することは困難を伴うことが予想され、当社グループの事業継続が困難となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、新しい事業所用地の確保には各種許可や自治体との事前協議等が必要であり、万一移転等の必要性が発生した場合、移転先での操業開始には長期の手続き期間が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。今後、長期間の賃借契約の締結等、安定的な事業基盤の形成に努める方針でありますが、現時点ではかかる安定的な事業所用地の確保が保証されるものではありません。
(3) 市場動向と競合について
当社グループの主力事業分野には大きな市場占有率を持つ全国的な企業が存在せず、地域別に中小・中堅企業が多数存在し競合しております。当社グループは主に首都圏を基盤として総合廃棄物処理業を営んでおりますが、同業者はそれぞれの得意分野・地域を持ち、価格、サービスを競っております。
今後は、法的規制を背景にした環境対応や廃棄物リサイクルへのニーズの高まりにより、より高度な廃棄物処理と再資源化が求められていることから、大規模な設備投資が出来る資金力、ノウハウ、あるいは廃棄物の排出者からリサイクル品の利用先まで含めた総合的な廃棄物の循環処理サービスの体制を構築することが重要になってくるものと予測しております。当社グループはこの社会的ニーズを取り込んだ事業展開を目指しておりますが、他産業からの新規参入や業界再編成といった事業環境の変化が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4) 資源の市場環境について
当社グループは、リサイクル事業において鉄、非鉄金属、プラスチック樹脂、紙資源等を販売しております。これらの資源の価格は、国内及び世界的な需給の状況や投機等の動向に影響を受けることから、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5) 入札について
当社グループでは、行政受託事業において、行政各区が定期的に行う入札案件を継続的に落札している案件もあります。しかしながら、競合他社との競争により大型の入札案件を落札できなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(6) 処理業者と処理費用について
当社グループでは、各事業において処分する際に発生した廃棄物の処理を委託できる外部処理業者に限りがあります。これらの業者の経営状態が不安定となったり、処理費用が高騰した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(7) 人材の確保育成について
当社グループにおいては、有能な人材の確保・育成が不可欠となりますが、優秀な人材の確保・育成ができない場合又は優秀な人材が社外に流出した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(8) 子会社の労働組合について
連結子会社である株式会社ヨドセイにおいて組織されている労働組合との労使関係が不安定化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(9) 配当について
当社は利益配分について、将来の事業展開と経営体質の強化の為に必要な内部留保を確保しつつ、株主に対し安定的な配当を行うことを基本方針としております。しかしながら、業績の低迷等により安定的な配当が維持できなくなる可能性があります。
(10) 自然災害・感染症・火災・事故等への対応について
当社グループは、主要な営業基盤及び中間処理リサイクルセンターが東京23区に集中しており、大規模な台風、地震等の自然災害や感染症の流行に見舞われて被害を受けた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、重大な労働災害、設備事故等が発生した場合には、操業に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
なお、新型コロナウイルスの感染症は「5類感染症」へと引き下げられましたが、引き続き当社グループは感染拡大を防止するため、衛生管理を継続しております。しかしながら、再び感染が拡大した場合、従業員の感染によるリサイクルセンターの操業停止等の業務への悪影響を始めとして、当社グループの事業運営、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 情報管理について
当社グループは、事業者より収集運搬されてきた機密情報を含むカード、メディア(機密媒体)及び機密書類をリサイクルできるように選別し、専用のシュレッダーで処理し、資源物として出荷しております。機密媒体や機密書類は当社入谷リサイクルセンターの機密情報処理室において一括して処理が行われており、機密情報処理室においては入室を制限したり監視カメラを設置するなど、厳しい情報管理体制をとっております。また、機密情報管理規程の運用や従業員への定期的な研修活動などを通じて、適切な情報管理体制の構築に努めております。しかしながら、係る情報管理体制が当社の想定どおりに運用されず、機密媒体や機密書類に係る機密情報が漏洩した場合には、当社グループへ損害賠償責任が生じることにより当社の信用力が毀損し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(12)投資有価証券について
当社グループは、営業上の取引関係維持等のため各事業年度の資金計画に基づき余剰資金の一部を投資有価証券により運用しております。投資有価証券への投資に際しては、定期的に時価や発行体の財務状況等を把握するなど、その安全性にも十分留意しております。しかしながら、株式市場における大幅な株価下落、金利や為替レートの変動により投資価値が大幅に減少した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(13)固定資産の減損について
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。当社グループが有する固定資産について、今後収益性が悪化した場合や市場価格等が著しく低下した場合は、減損損失を認識すべき資産について減損処理をすることがあり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(14)繰延税金資産について
当社グループは、将来の事業計画に基づく課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。 繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合には、将来における一時差異の解消金額や繰延税金資産の計上額が変動し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は利益配分について、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としております。現状では、配当性向30%程度とすることが、成長戦略と株主への還元の最適バランスであると考えております。
当社の剰余金の配当は、中間配当をすることができる旨を定款で定めておりますが、年1回の期末配当を基本的な方針にしております。なお、配当の決定機関は、中間配当、期末配当共に取締役会であります。(第46期定時株主総会において、中間配当及び期末配当の決定機関は取締役会とする旨の承認を得ております。)
当事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき1株当たり24円の配当を実施することを決定しました。
内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、今まで以上にコスト競争力を高め、一層の経営基盤の強化と業績の向上を図るために有効投資してまいりたいと考えております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。