人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数854名(単体) 2,047名(連結)
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平均年齢41.8歳(単体)
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平均勤続年数10.7年(単体)
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平均年収6,486,761円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
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2024年3月31日現在 |
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セグメントの名称 |
従業員数(人) |
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日本・アジア・オセアニア |
1,621 |
(174) |
北・中南米 |
218 |
(-) |
欧州・中東・アフリカ |
208 |
(16) |
合 計 |
2,047 |
(191) |
(注)従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外からの出向者を含むほか、常用パートを含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、季節工を含む。)は、平均人員を( )に外数で記載しております。
(2)提出会社の状況
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2024年3月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
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854 |
(128) |
41.8 |
10.7 |
6,486,761 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
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日本・アジア・オセアニア |
854 |
(128) |
合 計 |
854 |
(128) |
(注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外からの出向者を含むほか、常用パートを含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、季節工を含む。)は、平均人員を( )に外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
当事業年度 |
補足説明 |
||||
管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)1. |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注)2. |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1. |
|||
全労働者 |
正規雇用労働者 |
パート・有期労働者 |
|||
2.8 |
95.7 |
72.6 |
75.7 |
50.0 |
国内子会社への出向者を含む |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等に、当社独自の休暇制度利用者を含めて取得率を算出したものであります。※当社独自の制度:本人に対し、配偶者の出生時に際して取得できる特別休暇(有給1日・無給1日の最大2日まで)
(3)連結子会社の状況
女性活躍推進法に基づき全労働者に占める女性労働者の割合を公表する連結子会社は以下のとおりであります。
当事業年度 |
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名称 |
全労働者に占める女性労働者の割合(%) |
株式会社砺波製作所 |
16.3 |
(4)労働組合の状況
労働組合は組成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する考え方
当社グループにおいては、経営方針に則り、持続可能な社会への貢献を目指しております。これにあたり、主に①環境負荷の削減、②ステークホルダーへの還元、③実効性の高いガバナンスの観点で、サステナビリティに関する取組を実施しております。これらの取組の多くは、製品やサービスの提供を通じて「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した(1)経営の基本方針を実践することを意味します。また、それ以外の多くの取組は、活動の足場となる企業風土を形成・強化するものであります。この風土があってこそ、地域社会やサプライヤーの協力のもと、役職員による経営方針の実現、すなわち事業活動を長く存続することができると考えております。サステナビリティ取組を通じた経営方針の実現サイクルを通じて当社グループが成長することで、すべてのステークホルダーに対する還元が可能になります。
① 環境負荷の削減
本領域においては「無駄を減らす技術・運営・ものづくり」がキーワードであります。
技術面では、サステナブルな特長を持つ主力製品の普及と、資源節約・循環に資する新技術の提案を通じて、お客様へ価値を提供しております。主力製品のインクジェットプリンタで行うデジタル・オンデマンドプリントでは、印刷工程のリードタイムを短縮できます。つまり必要な時(ジャストインタイム)に必要な分だけを印刷・生産でき、過剰在庫や廃棄物の削減に貢献します。また印刷箇所にのみインクを吐出するため、インクや水の大量消費も回避できる等、従来のアナログ印刷と比べてサステナブルな特長を有していると言えます。加えて、当期に発表した2つの新技術(後述)は、環境負荷の大きなTA産業に問題解決の糸口を与えるものであります。売上の多くを占めるインクジェットプリンタと、経営ビジョンのとおり「新しさと違いを提供する」新技術・製品を世に送り出す行為こそ、メーカーとしてミマキが注力する「技術力による環境負荷削減への貢献」であります。
そのような技術の開発や普及促進に加え、国内拠点への省資源設備導入、国内外の拠点におけるCO2フリー電力(再生エネルギー由来の電力)導入により、CO2排出量を削減し、一般管理の面でも環境負荷削減を推進しております。
同時に製品包装等に使われる資源についても、対応可能な製品から順次、その使用量の削減や、CO2排出量が比較的少なく安価な素材への変更に取り組んでおります。後述の気候変動対応にあたり分析を行うなかで、中・長期的に製品コストに直接関係するリスクの発生が予想されました。運営における省エネ促進に加え、設計・調達・生産・出荷過程で無駄を極力減らすことで、環境対応を通じたリスクヘッジを目指します。
開発型企業として、独自性の高い取組でお客様先の環境負荷削減に貢献し、またメーカーとして、世界に向けたものづくりから流通・納品までの過程における環境への影響を顧みて、無駄を排除する改善活動に活かしております。その他、環境負荷の削減と事業活動の継続・良化を両立できる取組を積極的に採用し、足元の省エネ・省資源の徹底と再エネ利用を推進してまいります。
<当期に発表した2つの新技術:「ネオクロマトプロセス」と「TRAPIS」>
「ネオクロマトプロセス」は、ポリエステル製の布地から昇華染料インクを脱色する技術であります。使い捨てになりがちな布製の宣伝物(のぼり旗や横断幕)や廃棄割合の高い衣料品について、繰り返しの使用を可能にすべく開発を行っております。この技術を通じて、ポリエステルの再生利用ではなく、脱色した生地に新たな図柄を印刷して何度でも使うことができる、アップサイクル(創造的再利用)の実現を目指しております。現在進めている、工程自動化に向けた開発が完了して広く普及すれば、原料となる石油資源の使用量及び工業廃水の削減に貢献できると考えております。
次に、捺染顔料転写システム「TRAPIS」も、これまでの常識を覆すサステナブルな印刷システムであります。大量の水を消費し、大規模設備が必要で、工程が多く難しいというアナログ捺染の課題解決に貢献します。その上、1種類のインクで様々な布地に簡単に捺染ができる、環境と人にやさしい技術であります。つまり水をほとんど使わず、大規模なスペースも要らず、印刷と転写の2工程で布地へプリントができます。さらに、TRAPIS用の捺染顔料インクはZDHC MRSL Lv.3*に適合しており、作業者と消費者の安全性及び環境に配慮された製品であります(*オランダに本部を置くZDHCは、繊維・皮革産業において有害物質の排出をゼロにする活動を行う非営利団体。MRSL、すなわち「製造時制限物質リスト」を設定しており、適合レベル1~3のうち、Level 3が最高レベル)。
これらは、当社グループが重要視する「新しさと違い」という付加価値を体現する技術であります。イノベーターとして、このような独自性の高い技術・製品の開発により、サステナビリティ領域における当社グループの価値を発揮したいと考えております。
② 人的資本関連取組を含むステークホルダーへの還元
創業以来、長野県に本社を構える地元企業として、また2,000名を超える人員を擁し、グローバルビジネスを展開する企業の責任として、ステークホルダーへの価値提供に注力しております。
具体的には、地域社会の存続・発展や、社会課題の解決に、継続的に貢献してまいります。周辺地域を事業基盤の一部として捉え、連携を深めて関係を構築・維持いたします。また、地域事業や次世代人財育成を支援し、雇用の創出にも努めております。同時に、自社製品の活用方法として印刷工程の省人化を可能にするシステムの販売なども手がけております。当社グループが事業を展開している産業領域における人手不足という社会課題に対し、印刷のみならずその前後工程まで含めた改善提案を通じて、解決策を提示しております。
社内の取組としては、管理本部主導による各種施策を通じて従業員エンゲージメントの向上を目指し、研修やリスキリングプログラム等を通じた従業員のスキルアップ、業務スキル習得を支援しております。また、社員代表による「厚生委員会」の活動支援を通じて、会社と従業員、従業員同士の関係構築促進や、ワークライフバランスの充実を図ります。
一方で社外のステークホルダーに対しては、主に当社グループの事業や戦略についての支持を得られるよう尽力しております。産業用製品に主軸を置く当社グループのビジネスモデルや製品の優位性を、投資家の皆様にわかりやすく直接説明する機会を設けております。また、業績の成長に見合った成果を安定的かつ継続的に株主の皆様に還元することを、経営の重要政策と位置付けております。
③ 適正な事業活動の実施・維持を可能にするガバナンス
当社グループでは、世界約150カ国へ製品やサービスを届け、ステークホルダーとの良好な関係を構築・維持するため、法令を遵守し、各国の法規制動向を注視した事業活動を行っております。当期は、既存の運営体制や各種契約におけるリスク管理の再徹底を含めたコンプライアンス遵守や、適正な業務フローの実行とその運用チェックなど、管理体制の抜本的な見直しを行いました。
不安定で変化の激しい昨今の情勢下、より一層、事業の持続可能性が重要視されております。実効性の高いガバナンスは、ステークホルダーへの価値提供の継続において不可欠であるとの意識のもと、今後も一層の体制強化を図ってまいります。
(2)サステナビリティに関する取組
① ガバナンス
ここでは、当社グループのサステナビリティ関連のリスクや機会に対して、どのようなガバナンス体制を敷き、経営陣や会議体がどのように関与しているかを説明いたします。当社グループ全体の事業活動を対象とした企業統治の詳細については、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。
サステナビリティ関連のリスクや機会に応じた取組においては、SDGs推進室が主幹として各本部の対応を統括し、毎月SDGs推進会議を開催しております。
この会議にはSDGs推進室のほか、代表取締役社長、専務取締役、常務取締役ならびに、一部の取締役・執行役員を含む全本部の責任者が出席し、全社的な推進体制を敷いております。取組の本格化のため、2022年4月のSDGs推進室設置と同時に発足させました。
これまで各部門が別個・独自に推し進めてきた活動の全容を統括し、部門横断的な課題にも柔軟なアプローチを行う、あるいはESG領域以外の課題との優先順位を整理するなど、効率的な取組推進を見据えた議論、タイムリーな報告、迅速な判断を行う場としての役割を担います。毎月の会議においては、各本部のESG業務計画の進捗報告のほか、当社グループとして認識・開示するESG領域の課題や目標等、審議事項についての議論・合意形成も行われます。また、本部長自らが参加することで、当社グループにおけるESG課題の重要性の認識、意識の向上にも貢献しております。
その他の会議体に関しては、四半期に一度、全社の責任者が出席するQレビュー会議にてSDGs推進室が全体的な取組状況を報告し、財務・経営に大きな影響のある事案については適宜、経営会議でもSDGs推進室や人事部・総務部など当該案件を取り扱う部門より報告・議論を行い、取締役会でも管掌役員より報告を行います。
また、そのような事案は監査等委員会の議論にも上がり、必要に応じて取締役会への意見提起も行われました。あわせて当期は、SDGs推進室より監査等委員会へ、当社グループのESG領域取組状況を報告いたしました。
② 戦略
前述の(1)サステナビリティに関する考え方にあるとおり、環境負荷の削減、ステークホルダーへの還元、実効性の高いガバナンスの3項目に基づき対応を行うことで、全社的なサステナビリティの向上を図り、取組を通じた経営方針の実現を目指します。取組の内容につきましては、次のとおりであります。
a. 当期の取組一覧
当社グループにおいては、領域により濃淡はあるものの、網羅すべきサステナビリティ領域に広く意識を向けて活動や制度を導入・継続しております。ここでは当期、新たに着手または実施した取組を抜粋して記載いたします。なお、これまでの取組全般に関しては、当社ウェブサイトの「サステナビリティ」ページ(https://ir.mimaki.com/about/sustainability/)で開示している、「長野県SDGs推進登録 具体的な取り組み(要件2)(様式第3号).pdf」 をご参照ください。
b. 当期の取組の優先順位と今後の展望
当社グループの経営方針におけるサステナビリティの位置づけの明確化と、経営におけるサステナビリティ分野のマテリアリティー特定が必要である一方、足元の状況としては、さらなる企業成長に備えてガバナンス体制の強化と、当社グループに影響し得る規制等の対応準備を優先すべきとの判断の元、当期の取組を推進してまいりました。当社グループの欧州子会社であるMimaki Europe B.V.は、EUの企業サステナビリティ報告指令(以下CSRD)に則ったサステナビリティ開示義務の対象となる見込みであり、対応の本格化を見据えて準備を進めております。
今後は特に、全社的なマテリアリティー特定と方針の決定を通じて、統合的なサステナビリティ向上の継続・加速と、規制対応を漏れなく行うことを目指しております。
③ リスク管理
様々なリスクに対処するにあたり、当社グループにおいては、必要なアクションを迅速に認識・実行することを目的として、対応を行う各部門より経営陣と各責任者へ定期的に報告を行っております。これにより情報を遅滞なく浸透させ、重要度に応じて取締役会も含めた的確な判断を行える体制を敷いております。
まず当社グループの全般的なリスク管理は、管理本部が統括し、その体制を含めて社長の直轄部署である監査室が内部監査を行っております。
サステナビリティ関連リスクは、主に製品開発や生産他、業務執行における課題の解決が、当社グループの事業の持続可能性にも資するという観点で各部門が個々に抽出します。それらを業務計画に織り込んで対応し、包括的な識別・評価・管理プロセスは、前期よりSDGs推進会議が担っております。
気候関連リスクは、管理本部内の総務部及びSDGs推進室を中心に対応を行い、月次のSDGs推進会議を通じて進捗管理を行います。また中長期的な財務的リスク・機会に関しては、前下期のTCFDプロジェクト活動において、識別・評価を行いました。当期のTCFD関連取組については、(3)で詳述いたします。
人的資本関連リスクは、管理本部内の人事部を中心に対応を行い、月次のSDGs推進会議を通じて進捗管理を行っております。採用計画、人事制度や研修プログラム等、全社に係わる案件を含むことから、経営会議や取締役会においても報告を行っております。詳細は、(4)人的資本関連の取組①ガバナンス及び③リスク管理をご参照ください。
SDGs推進会議では、期初に設定した目標値に向けて、関連部署との定期的な情報共有・更新を兼ねて取組の進捗と課題を報告し、適宜方向修正を行います。
同時に、推進会議から独立した取組として、当期は各本部におけるガバナンス体制の強化、リスク管理手続の再整備を行いました。具体的には各種の規程、契約内容、業務フローの見直しに加えて、業務フローの運用もチェックいたしました。また今後の企業成長に備え、リスクの予防とさらなる管理体制の整備が肝要と考え、その対応を行うためのプロジェクトの新設準備を行いました。(2024年4月1日付で発令・正式に活動を開始)
以下は、上記のリスク管理についてまとめた表であります。
④ 指標及び目標
当社グループ全体としてのマテリアリティー特定は今後実施する予定であり、したがって当社グループにとって重要なサステナビリティ領域の指標も、マテリアリティーの観点での選定はこれから行うものであります。現在のESG取組計画内でKPIとして用いる指標は、現時点の各部門の業務において、「製品品質の維持・向上」や「コストの維持・削減」、あるいは「本来の業務の継続・改善」と両立できる「前述の3つの観点に沿ったサステナビリティ取組」の進度を測るため、という視点で選定しております。
現在、気候変動関連分野において開示可能な指標と目標は、CO2排出量であります。
人的資本関連の指標と目標については、「第1 企業の概況 5.従業員の状況」ならびに(4)人的資本関連の取組②戦略及び④目標及び指標をご参照ください。
それ以外の指標と目標については、マテリアリティー特定後に選定・設定の上、開示いたします。
a. Scope 1・2 連結ベース(2016~2022年度)
2021年度より国内主要拠点において、CO2フリー電力への切替えを実施し、Scope 2の大幅な削減に成功いたしました。一部の賃借物件では未実現であります。
当下期中より、欧州4拠点(MIMAKI EUROPE B.V., Mimaki La Meccanica S.R.L., Mimaki Lithuania, UAB, MIMAKI EURASIA DIJITAL BASKI TEKNOLOJILERI PAZARLAMA VE TICARET LIMITED SIRKETI)においてもCO2フリー電力の導入を開始いたしました。
上記以外の海外拠点についても、再生エネルギー由来の電力メニューが提供されている地域においては、今後の切替えを検討いたします。
*「CO2排出量 / 連結」グラフには、次の連結子会社の数値が含まれておりません:㈱楽日、㈱マイクロテック
今後、データを収集し条件を揃えて算定を検討いたします。
*排出量の数値は、算定範囲や算定に使用するCO2排出係数等により、後に変更となる可能性があります。
b. Scope 1~3 単体ベース(2022年度)
当期に集計を完了した2022年度のCO2排出量と、主なScope 3排出削減施策は次の表のとおりであります。
なおScope 3排出量は独自のシナリオに基づいて算定しており、前提条件の変更等により数値が変動する可能性があります。
連結ベースのScope 3は、2024年度以降の集計・開示を目指しております。
*Scope 3 試算困難との表記について
合理的な根拠数値の算出と、それによる精緻な排出量の算定が困難なカテゴリは、今回の算定結果より除外しております。
c. CO2排出削減目標
Scope 1, 2排出量について、直近の年度で最大の排出量であった2019年度と比較し、2026年度に60%、2030年度に61%の削減目標を設定いたしました。なお、この目標は当期より国内外に毎年営業拠点1箇所ずつを新設する想定の元に設定しており、企業成長を続けながらも排出量の抑制・削減に努める意向であります。
次の表に、目標と前提条件、主な削減施策をまとめました。
(3)気候変動への対応(TCFD提言への取組)
当社グループは、気候変動問題が事業にもたらす影響を重要視し、TCFD -気候関連財務情報開示タスクフォース-の提言に基づく情報開示を進めてまいります。
① ガバナンス
(2)サステナビリティに関する取組①ガバナンスをご参照ください。
② 戦略
全社横断体制で気候変動に関する議論を深める必要性から、前下期は全本部より選出したメンバーによる「TCFDプロジェクト」を実施いたしました。全社的な視点で気候変動関連課題の分析、財務的影響の算定等を実施し、多角的に当社グループの状況を把握したことで、中・長期的に取り組むべき課題が明確になりました。
具体的には下記の手順で、事業に影響を及ぼす可能性のあるリスク・機会特定と財務的影響の算定、対応策の検討を行いました。引き続き2で特定した内容への対応を継続し、新たなリスク・機会に関する対応策の検討を行ってまいります。
■手順
1 |
前提条件の設定 |
分析対象範囲(地域、事業)、時間軸の設定 |
2 |
リスク・機会の特定 |
TCFD提言で挙げられている、低炭素経済への移行に伴う4分野のリスクと、気候変動の物理的影響に関連した2分野のリスク、そして気候変動への適応・緩和策に関する5分野の機会から事業継続において想定される影響を特定。「影響を受ける可能性」と「影響の大きさ」を点数化し、事業インパクトの大きいリスク・機会を抽出し、重要度を評価 |
3 |
シナリオ分析 |
2で特定したリスク・機会のうち、影響度が高いと推定されるものについて 2℃以下・2℃以上の各シナリオにおける当社グループ事業への財務的影響を算定 |
4 |
対応策の検討 |
3の結果、事業インパクトの大きいリスク・機会について対応策や方針を検討 |
■移行リスク・物理リスク、機会
*出典:TCFD「最終報告書 気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言(2017年6月)」
■採用シナリオ
分析には、移行リスクの面で国際エネルギー機関(IEA)によるSTEPSならびにSDSシナリオ、物理リスクの面で気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によるRCP8.5及び2.6シナリオ*1を採用いたしました。
*1 RCP8.5及び2.6シナリオ:IPCC 第5次報告書の気候モデル予測で用いられる、温室効果ガスの代表的な濃度の仮定(シナリオ)
*2 GHG:温室効果ガス
出典:環境省「IPCC第5次評価報告書の概要 -第1作作業部会(自然科学的根拠)- (2014年12月版)」
IPCC「第5次評価報告書」のRCP8.5シナリオ、RCP2.6シナリオ
IEA「世界エネルギー見通し2021年版(WEO-2021)」のSDSシナリオ、STEPSシナリオ
■シナリオ分析の結果
■気候変動関連リスクと機会に関する特筆すべき当期の取組
上記の表のうち、移行リスクに関して、新たに「CSRDへの対応」に関連するリスクを認識しております。また、機会である「低炭素製品・サービスの開発・拡大」に向けた活動を活発化させました。
a. CSRDについて
同指令の対象に当社グループの欧州子会社であるMimaki Europe B.V.が該当する見込みであるため、今後は同指令に即したサステナビリティ開示の準備・対応を行います。同指令は広範なトピックを網羅しており、そのひとつである気候変動は当社グループの事業活動に影響を与えると考えております。また、将来的には連結単位でCSRD対応が求められる見込みであることもふまえ、当社グループが気候変動関連開示を含む適切なCSRD開示対応を取れない場合には、法令遵守の不履行やレピュテーション低下の恐れがあると考えます。
これらのリスクの低減につながる、CSRD対応に伴う財務的影響は小~中程度と見込んでおり、時間軸については現状、短期の案件となることを想定しております。当期はそのため、情報収集と社内体制の整備を開始いたしました。対応の本格化を見据え、引き続き準備を進めてまいります。
b. 低炭素製品・サービスの開発・拡大について
当期は特に、ネオクロマトプロセス及びTRAPISという、TA市場に革新をもたらしうる新技術を発表し、国内外の展示会等で訴求を行いました。同技術の概要については、(2)サステナビリティに関する考え方①環境負荷の削減をご参照ください。今後も、脱炭素や水資源の保護等、気候変動対応分野において、メーカーである当社の製品が果たせる役割をアピールしてまいります。
■レジリエンスの向上
シナリオ分析の結果、今後の大きな気候変動関連リスクとしてコストの上昇(レピュテーション低下による人財不足対応を含む)、異常気象による調達難、そして機会としてはデジタル・オンデマンド印刷需要の増加が挙がりました。
具体的には、炭素税の導入やそれに伴う材料・エネルギーの価格高騰など、製品コストにかかわるリスクの発生が予想されました。対策として、製品梱包等におけるコスト削減及び資源利用量の削減を、以前より継続しております。あわせて、気候変動の影響に限らず昨今のコスト上昇に対応すべく、販売価格を適切に見直しております。今後も、取り得る選択肢を柔軟に検討してコスト上昇リスクに対処してまいります。
加えて、調達難を含む想定外の事態の影響を、最小限に留めるために備えていきます。当期は主に、総務部の取組の一環として、緊急時の基本的対応に用いる安否確認システムの導入徹底を行ってきました。また、各工場間における生産品目の移管等も適宜行っております。
レピュテーションリスク低減のためにも、ESG課題に対して当社グループの技術や取組がもたらす具体的な効果等の情報開示の充足が必要です。ポスト・コロナと呼べる当期、展示会やイベントの機会も増え、露出を増やせるようになりました。今後も、社内外に当社グループの気候変動対応への姿勢を発信していきます。
最後に、気候変動対応の緊急性が叫ばれる今、当社グループの強みであるインクジェットプリンタと関連技術がもたらす価値は向上し続けると推測しております。少量多品種生産のニーズに応えるこの製品・技術は、大量生産による過剰在庫や廃棄物の削減に資するものであります。この技術・製品の普及により、当社グループはお客様先のビジネスの支援と同時に、環境負荷の削減、管理面の負担軽減をもサポートしております。
お客様の持続可能なデジタル・プリンティングビジネスを支え、各本部によるリスクの低減・緩和、機会の最大化を通じて統合的なサステナビリティ向上を目指すことが、全社的なレジリエンス強化に繋がると考えております。
■CO2排出量の削減計画
当該項目については、(2)サステナビリティに関する取組④指標及び目標 c. CO2排出削減目標をご参照ください。
③ リスク管理
当社グループでは前下期、全本部より選出されたメンバーからなるプロジェクトチームにおいて、気候関連のリスク・機会を識別・評価いたしました。当該内容は、代表取締役社長をはじめとする社内取締役・一部執行役員と各本部責任者で組織するSDGs推進会議へ報告いたしました。以降もリスクの発生時には関係部門にて認識の上、全社的な影響の大きい場合は適宜、SDGs推進会議のほかQレビュー会議ならびに取締役会への報告により管理し、内容によっては監査等委員会においても議論の対象となりました。
リスクの抽出 |
評価・分析 |
対策・管理 |
TCFD最終提言ほか各機関の提言・発表等を参考に、マシン本体を取り扱う国内拠点を対象として気候変動関連リスクを抽出。 |
抽出したリスク・機会がもたらしうる事業への影響を点数評価しシナリオ毎に想定されるインパクトを分析。 そのなかで、影響度が大きいと推定される項目の財務的影響を算定。 |
財務的影響を算定した項目におけるリスク軽減ならびに機会増大のための対応策を検討。 SDGs推進会議ならびに取締役会へ適宜報告し、対応策の承認を得て実際のリスクマネジメントやBCP策定に活用する。目標と達成計画の策定後、経営計画に反映し毎月のSDGs推進会議でPDCAサイクルを回す。 |
④ 指標及び目標
CO2排出量については(2)サステナビリティに関する取組④指標及び目標を参照ください。
(4)人的資本関連の取組
(基本的な考え方)
経営ビジョンに「開発型企業」「イノベーター」をありたい姿として掲げる当社にとって、多様な価値観を有する「人財」こそ最大の経営資源であり、製品開発・製造・販売の根幹であると認識し、中核人財の確保を積極的に推進しています。併せて、ダイバーシティの推進、特に女性活躍推進やジェンダーギャップの解消、働き方改革の推進や働きやすい環境づくり、管理職を含めた意識改革などを進めています。また、教育体系の充実を図り、各人の能力を最大限発揮できる企業風土の醸成に取り組んでいます。
① ガバナンス
人的資本の諸課題に対応するため、本社組織の再編成を行い、2024年度からグローバル人財総務本部を設置しています。月次の経営会議等で、採用計画や人員計画の進捗状況の確認を行うとともに、人的資本経営に関する重要事項については、担当役員から取締役会へ適宜報告を行い、必要情報の共有を行っています。
また、こうした企業風土の醸成には、社員と経営との情報共有や意見交換等の対話が不可欠であり、社員代表と経営層で構成される「社員経営者協議会」を毎月開催して、社員の要望や意見の確認、施策の状況説明等を継続しています。
② 戦略
(中核人財の確保)
「開発型企業」「イノベーター」を目指すために、中核となる人財の育成・確保は重要な経営課題です。経営層も候補人財へのアプローチや選考に深く関わることで採用態勢が強化され、必要人財の確保は進んでいます。
・職種に応じた適材適所の考え方を基本に、人財の多様性を考慮しつつ、採用活動を積極的に進めています。具体的には、キャリア採用は製品開発力の強化、営業戦力の強化、管理態勢の強化に向けた「即戦力」を、新卒採用は中長期的視点から開発・営業の中核を担える「将来戦力」を確保します。
・処遇や評価の納得性を高め、組織の活性化を図るために、人事制度の見直しを進めるとともに、持続的な賃上げに取り組み、成果に応じた処遇、やりがいのある職場環境をつくります。また、外部教育機関との提携による専門教育の充実、職場環境の改善に取り組み、中核人財の確保・定着を進めます。
(多様性の確保)
多様な人財が活躍できる環境を整え、「各人が持っている個性・能力を力一杯発揮できる企業風土」の実現を目指して取り組みます。
・女性活躍推進:女性管理職比率は、会社組織の拡大もあり2019年度4.1%から2022年度2.3%へ低下していましたが、2023年度は2.8%に改善しました。女性管理職を展望できる人財の採用促進、育成・動機づけ、ダイバーシティ研修(管理職対象)等を通じた社員の意識改革を行い、引き続き女性管理職比率の適正な向上を目指します。また、女性社員比率は製造業では相応の水準にはあるものの、上記と同様の理由から2021年度24.0%から低下傾向にあり、2023年度は21.0%となっています。採用活動においては女性活躍の様子を含めた情報発信を行い、職場環境面では、女性が働きやすい制度・仕組み(休暇制度・短時間勤務制度等)の充実や女性社員の声を反映できる取組みを進めています。
・障がい者雇用:関係法令の趣旨を踏まえ、積極的に取り組む課題と認識しています。2023年度は社員用の弁当提供サービス(2024年4月開始)や外部委託をしていた清掃業務の内製化といった業務整備を行い、6名の新規雇用を進めました。
・男女の賃金格差:2023年度で男性100%に対して女性72.6%となっています。当社は、役割等級制度を導入しており、賃金体系上は男女間の賃金差を設けていませんが、管理職の男性比率が高いこと、給与の高い階層における男性比率が高いこと等が要因であると考えています。2023年度は前年度比+0.7%改善しましたが、格差縮小に向けて、引続き女性管理職比率や女性社員比率の改善を進めていきます。
※1 年度は年度末時点です
※2 従業員数は単体+国内子会社出向の正規雇用・非正規雇用社員の合計です
※3 女性管理職比率は管理職全体に占める女性管理職の比率、女性社員比率は全従業員(※2)に占める女性社員の比率です
(教育体系の充実・人財育成の強化)
人財確保と併せて、教育体系の充実を図り、人財育成の強化に取り組みます。
・階層別教育の充実…新任管理職研修、中堅社員研修、サブリーダー研修等を人財育成の中核と位置づけ、国内グループ会社社員も参加して実施しました。
・専門教育の拡充…各本部で選定したテーマ(営業本部:営業担当向け引合管理研修等)に基づき、計画的に専門教育を実施しています。また、社内リソースだけでは対応が難しい専門教育については、外部教育機関との連携をしていきます。2022年度に信州大学と「リスキリング教育短期プログラム」契約に基づき、2023年度(初年度)は技術教育講座3講座を行い、延べ143人が受講しました。2024年度も技術教育講座は新規講座を加えて継続していきます。
・有益な資格取得に関わる取得費用や報奨金を支給する資格取得報奨制度の運営により、社員個々人の成長を継続的に支援します。2023年度は23人(前年度比+7人)が対象となりました。
(職場環境の改善)
ワークライフバランスに配慮した働きやすい職場環境づくり、事故防止等安全安心にも配慮した職場環境の実現に取り組みます。
・有給休暇の取得促進…2023年度から1週間連続して有給休暇が取得可能な「リフレッシュ休暇」制度を導入し、一人平均有給休暇取得日数も2023年度実績で14.7日(前年度比+1.8日)まで伸びました。引続き、リフレッシュ休暇の定着に努め、有給休暇のさらなる取得日数増加及び有給休暇を取得しやすい環境づくりに取り組みます。
・時間外労働…一定期間における一人平均時間外労働が多い部門は、改善計画の策定を行う等の対策を行い、引き続き、時間外労働の縮減を進めます。
・男性育児休業の取得率向上…人事部に相談窓口を設置し、職場・本人への制度周知や休暇取得の促進に取り組み、2023年度の取得率は95.7%(当社独自の休暇制度利用を含む)に改善しました。男性育児に対する意識の変革、育児との両立、男性女性問わず働きやすい環境作りを引続き進めていきます。
・事故防止・安全衛生の推進…安全衛生委員会を中心に横断的な活動を行い、定期的なリスクアセスメントの実施や事故防止に取り組んでいます。特に、交通事故や労災事故は社員の職場の安全安心確保の点から再発防止を徹底していきます。また、各本部・部門単位で独自にテーマ選定を行い、幅広く職場の課題解決を行う5S活動を展開していきます。
※1 年度は年度末時点です
③ リスク管理
・「人財」こそ最大の経営資源であり、採用力が低下して必要人財の確保が進まないこと、職場環境の改善が進まず社員の離職により必要人財が不足することが大きなリスクと考えています。雇用の流動性が高まる中で、処遇の改善や教育の充実、職場環境の改善を通して多様な人財が活躍できる環境を整備することで、リスク低減に努めていきます。
④ 目標及び指標
・2023年度に掲げた重点項目の達成状況ならびに2024年度に取り組む指標ならびに目標は以下のとおりです。女性管理職比率の改善ならびに福利厚生制度の充実に軸足を置いた取り組みを行います。
カテゴリー |
KPI |
2023年目標 |
2023年実績 |
多様性の確保 |
女性管理職比率の増加 |
3.0% |
2.8% |
福利厚生制度の充実 |
男性育児休業取得率の増加 |
80.0% |
95.7% |
カテゴリー |
KPI |
2024年目標 |
多様性の確保 |
女性管理職比率の増加 |
3.5% |
福利厚生制度の充実 |
1人平均有給休暇取得日数の増加 |
15.0日 |
※1 目標数値は各事業年度末時点です
※2 従業員数は単体+国内子会社出向の正規雇用・非正規雇用社員の合計です
※3 女性管理職比率は管理職全体に占める女性管理職の比率です