2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    891名(単体) 2,114名(連結)
  • 平均年齢
    41.5歳(単体)
  • 平均勤続年数
    10.7年(単体)
  • 平均年収
    7,272,765円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

日本・アジア・オセアニア

1,674

(227)

北・中南米

228

(-)

欧州・中東・アフリカ

212

(6)

合      計

2,114

(233)

 (注)従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外からの出向者を含むほか、常用パートを含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、季節工を含む。)は、平均人員を( )に外数で記載しております。

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

891

(156)

41.5

10.7

7,272,765

 

セグメントの名称

従業員数(人)

日本・アジア・オセアニア

891

(156)

合      計

891

(156)

 (注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外からの出向者を含むほか、常用パートを含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、季節工を含む。)は、平均人員を( )に外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

当事業年度

補足説明

管理職に占める女性労働者の割合(%)

 (注)1.

男性労働者の育児休業取得率(%)

 (注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

4.2

95.8

74.8

76.8

57.9

国内子会社への出向者を含む

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等に、当社独自の休暇制度利用者を含めて取得率を算出したものであります。※当社独自の制度:本人に対し、配偶者の出生時に際して取得できる特別休暇(有給1日・無給1日の最大2日まで)

(3)連結子会社の状況

女性活躍推進法に基づき全労働者に占める女性労働者の割合を公表する連結子会社は以下のとおりであります。

当事業年度

名称

全労働者に占める女性労働者の割合(%)

株式会社砺波製作所

16.0

 

(4)労働組合の状況

 労働組合は組成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方

① サステナビリティ方針、マテリアリティーの概要

 当社グループはこれまで、経営方針に則り持続可能な社会への貢献を目指してまいりました。その取組をさらに効果的・効率的に推進すべく、マテリアリティー、すなわち重要課題の特定を行いました。その結果、当社グループの持続的な成長および長期的な価値提供において重要な課題を下記の5つに絞り込んだうえで、「社会的価値を提供するためのマテリアリティー(以下、価値提供マテリアリティー)」と「企業価値を向上するためのマテリアリティー(以下、価値向上マテリアリティー)」に大別いたしました。

◆ 価値提供マテリアリティー

A. 既存・新規事業を通じた産業印刷のデジタル化

B. イノベーションを通じたサステナビリティへの貢献

◆ 価値向上マテリアリティー

C. グループ人財の活躍と地域社会の活性化

D. 責任あるサプライチェーンの実現

E. 企業成長に応じたガバナンスの徹底

 

 価値提供マテリアリティーはすなわち、当社グループがビジネスを通じて産業印刷業界ならびに社会のサステナビリティ向上に取り組むことを意味します。価値向上マテリアリティーとは、換言すれば社会的価値の提供を将来も持続するため、そして当社グループが長期的に成長するためのマテリアリティーです。具体的にはサステナビリティ・リスクを予防・低減し、ステークホルダーへ良いインパクトを与えることで、産業印刷業界、社会、当社グループのサステナビリティ向上につながることとなります。

 これらのマテリアリティーをふまえ、当社グループが事業活動を通じてサステナビリティにどのように取り組むべきかを改めて検討した結果、サステナビリティ方針を次のとおり策定いたしました。

◆当社グループのサステナビリティ方針

1. 産業印刷のデジタル・オンデマンド化を推進し、持続可能な社会の実現に貢献する

・インクジェット技術を用いたデジタル・オンデマンド印刷なら、必要な時に必要な分だけ生産することで、製品の在庫レス・廃棄ゼロに貢献し、過剰在庫の管理費用をも抑制

・多品種・小ロットを短納期で生産可能、多様な素材に適用できるこの手法を、既存市場でさらに普及・浸透させつつ、新たな市場でも産業印刷のデジタル化を推進していく

・大量生産・大量廃棄社会から脱却し、高品質を保ちつつ、ものづくりを迅速・柔軟に行うためのソリューション提供を通じて、社会のサステナビリティ向上に貢献する

2. 安心して成長・挑戦できる職場環境を提供し、地域社会の維持・発展に尽力する

・互いに助け合いながら成長できる組織、働きやすく、挑戦を尊重する企業風土を実現し、従業員の自己実現によって持続可能な社会への歩みとグループの進化を支える

・創業以来、ともに歩み続けてきた地域社会が将来も活気あるまちとして持続できるよう、リーダーシップを持ってその活性化に向けた役割を果たす

 

 上記の方針に則って、サステナビリティの向上に努めるにあたり具体的に取り組む重要課題が、上記A~Eのマテリアリティーです。

 今後も産業印刷業界に新しさと違いを提供することで、社会全体のサステナビリティ向上にイノベーターとして貢献し、その活動を支える従業員の活躍と地域社会の発展に尽力しながら、サステナビリティ・リスクの予防と軽減に努め、ステークホルダーに対する責任を果たしてまいります。

 

(2)サステナビリティに関する取組

① 戦略

 サステナビリティ向上のための取組を加速させるにあたり、今一度その範囲と優先順位を見直し、マテリアリティーを特定いたしました。今後はこのマテリアリティーに優先的に取り組むとともに、変化する外部情勢に柔軟に対応することで、サステナビリティ方針の実現を目指してまいります。

 

マテリアリティーの詳細(財務的リスク・機会ならびに正負のインパクト)

 ここでは、リスク・機会を「直面する財務的なリスク」 「享受する財務的な機会」、インパクトについては「(他者へ)及ぼす正または負の影響」と定義いたします。当社グループのサステナビリティに関する取組は、産業印刷業界と当社グループの財務的な機会に繋がり、そして業界・社会・当社グループに正のインパクトをもたらすと言えます。同時に、当社グループの財務的リスク、ならびにステークホルダーへの負のインパクトの予防・低減も目指しております。マテリアリティー特定にあたっては、事業を取り巻く状況やその特性をふまえ、どのような機会・リスク・正負のインパクトが顕在化しているか、あるいは潜在的に存在するかを短期・中期・長期の時間軸で広く抽出したうえで、その重要性を数値で評価いたしました。また欧州に現地法人を有することから、欧州の開示規制で指定されている欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)を参考に特定を実施いたしました。

1. 評価バリューチェーン、ステークホルダー、時間軸の整理、評価トピックの決定

2. インパクト・リスク・機会(以下、IRO)特定、閾値の整理

3. 閾値に基づいたIROの評価

4. IROに関するステークホルダーエンゲージメントの実施(一部項目では未実施)

5. 重要なIROの決定、Mimaki Innovation 30に整合したマテリアリティーへの集約、サステナビリティ方針の策定

 1~5においては、SDGs推進室が主導して各本部の意見を集約いたしました。最終的なマテリアリティー案とサステナビリティ方針案は、SDGs推進会議において各本部長と経営層による協議を経て社内の合意を形成の上、取締役会で社外取締役へ報告し、最終化としております。

 上記の手順を経て特定した、特に重要な5つの項目の詳細は次の通りです。

 

 

A. 既存・新規事業を通じた産業用印刷のデジタル化 →機会・正のインパクトの増大

 当社グループは産業用印刷機器等を市場に提供し、SG・IP・TA市場のデジタル化に貢献しております。既にノウハウを蓄積しているこのビジネスにおいて、既存の製品群の改善や高度化を続け、業界の課題解決と、当社グループのさらなる成長を目指します。加えて、Mimaki Innovation 30に基づきイノベーションとそれを起こす人的資本への投資を積極的に行い、新たな市場を開拓いたします。これはデジタル化による課題解決を、より多様な分野に展開していくためであります。業界・社会に正のインパクトをもたらすこれらの戦略は、中長期的な収益源の維持・確保、すなわち財務的な機会としても重要であります。

B. イノベーションを通じたサステナビリティへの貢献 →機会・正のインパクトの増大、負のインパクトの低減

 気候変動や水質汚染、人手不足など、社会が抱える問題に対し、当社グループはイノベーターとして、技術力でソリューションを提案していきたいと考えております。デジタル・オンデマンド印刷を可能にする当社の製品史には、世界初の機能を誇る発明がいくつもあります。このイノベーションの歴史を、複雑化する社会課題の解決に役立てるべく、マテリアリティーとして今後も取り組んでまいります。具体的には、印刷工程で水を使わず、しかも簡単に多様な繊維素材へ顔料転写ができるシステム「TRAPIS」や、ポリエステル製広告アイテムから染料を脱色し、アップサイクルを可能にする「ネオクロマト・プロセス」(開発中)など、独自性のあるソリューションを展開しております。またMimaki Innovation 30においては、当社グループのコア技術の応用・発展により高粘度領域に進出し、Digital Paintの実現を目指しております。これらは当社グループの技術力がより広範な正のインパクトを社会に創出することを意味し、同時に当社グループの新たな収益源となる可能性を秘めております。

C. グループ人財の活躍と地域社会の活性化 →正のインパクトの増大、リスクの予防・低減

 それぞれのマテリアリティーに取り組むうえで、長期的な成長および継続的な価値の提供のため、グループ従業員のさらなる成長・活躍と、地域社会の維持・発展を推進することが重要になると考えております。Mimaki Innovation 30の達成に向けては、オープンイノベーションを含めた多様な連携を展開し、技術開発から営業力強化に至るまで、全社的な専門教育の深化を通じて、新しさと違いを提供するイノベーターを創出してまいります。同時に、地域との連携を強化し、その活性化においてリーダーシップを発揮していく必要があります。雇用の創出による貢献という面では、借上社宅制度や帰省手当等の支給、地域の暮らし情報発信等により、勤務地域外に生活の本拠地がある社員にも働きやすい環境の整備に取り組んでおります。また、地域のスポーツクラブや美術館等の事業による文化振興、観光資源でもある季節の催事等への支援や参加を通じて、地元企業として微力ながら、活気あるまちづくりへの貢献を目指しております。こうした取組を通じて、当社グループ内外のステークホルダーに正のインパクトを提供してまいります。人的資本への投資が採用競争力を高め、人財の定着に繋がり、そして競争力の源となるイノベーションを促進する点、それから当社グループの人財獲得や地域支援が直接的・間接的に地域の都市機能の維持に貢献するという点では、これらの分野に取り組まないことが財務的なリスクになり得ると考えております。

D. 責任あるサプライチェーンの実現 →リスク・負のインパクトの予防・低減

 事業の継続と成長に伴い、グローバルにビジネスを行う当社グループのサプライチェーンは今後も拡大が予想されます。このサプライチェーンにおいて人権侵害、森林破壊等、当社グループのステークホルダーに対する脅威となりうる事項の把握、予防、低減に努めることは、企業としての責任であります。同時に世界規模の課題である気候変動等に対しても、対応の緊急性をグループ全体で認識し、GHG排出量の削減や再生可能エネルギーの導入等の取組を積極的に行う必要があります。これらの対応も含めて、安定した製品供給とそのレジリエンスを確保するための事業継続計画の重要性の高まりを認識し、平時の準備を進めてまいります。こうした負のインパクトの予防・低減に適切に対処できない場合には、当社グループの事業に対する財務的なリスクが発生する可能性があります。

E. 企業成長に応じたガバナンスの徹底 →リスク・負のインパクトの予防・低減

 当社グループにおいては、2020年に策定した中長期成長戦略「Mimaki V10」における、営業利益率10%の目標を1年前倒しで達成するなど、コロナ禍を経て成長を続けております。今後、新・中長期成長戦略「Mimaki Innovation 30」で定めた目標に向かうためには、ガバナンスの実効力をさらに高め、経営管理体制を強化することで、いわゆるVUCAの時代に生じる財務的なリスクを低減することが重要です。リスク予防・低減を適切に実施できない場合、具体的には法令違反や経営管理上の過誤等により、当社グループならびにそのステークホルダーへ負のインパクトが及ぶ可能性があります。そうした事態を防ぐべく、AIをはじめとするテクノロジーを最大限に活用し、従業員一人ひとりの業務効率・品質の向上や、DXによる内部統制の強化など、当社グループの成長速度と時代の流れに則したガバナンス体制・経営管理体制を維持できるよう、アップデートを継続してまいります。

 

戦略の実践として、当期に取り組んだサステナビリティ関連施策の一部を抜粋して記載いたします。

 

既存・新規事業を通じた産業用印刷のデジタル化

 IP市場向け製品ラインナップへの「ちょうどいいサイズ-Just In Size」のJFX200-1213EX追加や、各地のTA市場で好評を博したDTFプリンタの、生産性を大幅に向上させた1600mm幅モデルの追加、同じくTA市場において「無水」のオンデマンド捺染を牽引するTx330-1800/1800Bの発表など、顧客のニーズを捉え、新しさと違いを提供する新製品を当期も多数投入いたしました。詳しくは、4(1)経営成績等の状況の概要をご参照ください。

 

イノベーションを通じたサステナビリティへの貢献

 印刷済の生地から染料を脱色し、その再利用を可能とする「ネオクロマト・プロセス」の実用化に向け、株式会社ロフトの「ロフト グリーンプロジェクト」に全面協力いたしました。株式会社BP Labの運営する繊維循環プラットフォーム「BIOLOGIC LOOP」の協力のもと、ロフトの各店頭で使用された装飾用タペストリーの循環利用トライアルを行うことで、ポリエステル製広告表示物の廃棄削減の普及に向けた新たな歩みを進めました。また当期末には、日華化学株式会社・エレファンテック株式会社および当社の3社合同にて、「ネオクロマト加工」の開発と実用の展開で2024年度繊研合繊賞・サステイナブル部門賞を受賞いたしました。一方、当期に発表したSG市場向けのCJV200シリーズに搭載される新エコソルベントインク「SS22」は近年、世界的に使用規制が強化されているGBLという有機溶剤を含有せず、これまで以上に作業者の安全に配慮した製品であります。グループ会社においては、アルファーデザイン株式会社が半導体後工程自動化・標準化技術研究組合(SATAS)への加盟を発表いたしました。同社のコア技術であるフリップチップ搭載技術により、半導体製造の後工程の自動化・標準化への貢献を目指します。

 

グループ人財の活躍と地域社会の活性化に資する取組

 国内外のグループ会社においても、各社が拠点を構える地域のイベント・事業の支援や、教育振興、多様な雇用の創出に貢献いたしました。各地域でのイベントが行われる際には、当社製品の貸し出しや、当社製品で出力した印刷物の提供を行いました。また、日本や欧米におけるインターン生の受入、オーストラリア等での学生の見学受入・就業体験の実施等を通じて、次世代の人財育成や当社グループ事業への理解促進に努めております。またトルコでは、これまで従業員やその家族へ提供していたホリデーギフトの一部を、慈善団体への寄付に変更いたしました。当社においては人事部内にオフィスサービスグループを新設し、障がいのある従業員が適性に応じた業務を行えるよう環境を整備し、積極的な雇用に取り組みました。

 グループ人財に対しては、福利厚生制度の拡充、労働環境の改善、教育の実施などを行い、安心して成長・挑戦できる職場環境の整備に取り組みました。制度面では不妊治療に対する助成金の創設と特別休暇制度の拡充、人間ドック受診費用の補助や、全社的な年収水準の底上げ等、各社・各地の情勢等を鑑みて、安心して働ける環境の醸成に努めました。また製品入出荷時の従業員負担を軽減すべく省力化設備を導入したり、事務所の改装を行ったりと、安全な職場づくりに注力いたしました。教育面では、イノベーションの創出に向けて従業員の積極的な挑戦を促すべく、信州大学リスキリング教育短期プログラムによる専門教育を継続したほか、ブラジルやインドネシア、台湾をはじめとする子会社においても、社内教育を実施しました。さらに、ドイツや中国で従業員向けのイベントや満足度向上のためのワークショップを開く等、チームとしての成長や団結に資する施策も行っております。

 

責任あるサプライチェーンの実現に向けた取組

 温室効果ガス排出量の削減に向けた第一歩である省エネ施策として、ガソリンの使用量を減らすべく、ブラジルでは社有車におけるバイオアルコール燃料の使用率を上昇させました。国内においては、社有車の一部を電気自動車に切り替え、その充電にはCO2フリー電力を用いることで、CO2排出量のさらなる削減に努めております。また海外子会社においては、保守パーツの管理方法改善を通じて環境負荷の高い輸送方法の使用低減や、ペットボトル使用量の削減を目指し、ウォーターサーバーの導入や個人の水筒等の使用推進を行っております。一方、森林の保全につながる新たなアプローチとして、適切な森林管理と温室効果ガスの吸収量増加につながる事業を応援すべく、「J-クレジット預金」への預入も実施いたしました。さらに、プラスチック使用量の低減によるCO2排出量の削減を特長とし、国内で先行販売していた紙製インクカートリッジを、当期より全世界に向け出荷開始いたしました。同製品は、2023 日本パッケージングコンテスト「工業包装部門賞」の受賞に続き、当期では、イギリスで開催されたthe Sign Industry Awards 2025において、当社販売代理店のHybrid Servicesを通じて”the Sustainable Product award”を受賞いたしました。

 

企業成長に応じたガバナンスの徹底

 当期より、ガバナンス機能の補強を目的にグローバル管理プロジェクトを新設したこともあり、ワールドワイドで社内規程の見直しや強化が進められ、内部統制システムの実効性のさらなる向上を目指しました。また既存あるいは新たに策定した規程が適切に運用されるよう、社内教育を通じた落とし込みと運用開始後のチェックについても、確実な実施のための仕組み化を進めております。また、グループ各社内の各種申請手続きの電子化を引き続き進め、業務効率・品質の向上と相互牽制の両立にも取り組んでおります。

 

 なお、これまでの取組全般に関しては、当社ウェブサイトの「サステナビリティ」ページで開示している、「長野県SDGs推進登録 具体的な取り組み(要件2)(様式第3号).pdf」 をご参照ください(https://ir.mimaki.com/about/sustainability/)。

 

② リスク・機会・インパクトの管理

 様々なリスク・機会・インパクトを取り扱うにあたり、当社グループにおいては、必要なアクションを迅速に認識・実行することを目的として、対応を行う各部門より経営陣と各責任者へ定期的に報告を行っております。これにより情報を遅滞なく浸透させ、重要度に応じて取締役会も含めた的確な判断を行える体制を敷いております。

 まず当社グループの全般的なリスク管理は、コーポレート統括本部が統括し、その体制を含めて社長の直轄部署である監査室が内部監査を行っております。

 サステナビリティ関連リスク・機会・インパクトは、主に製品開発や生産他、業務執行における課題の解決が、当社グループの事業の持続可能性にも資するという観点で各部門が個々に抽出してきました。それらを業務計画に織り込んで対応し、包括的な識別・評価・管理プロセスは、前期よりSDGs推進会議が担っております。新たに特定したマテリアリティーは、これまでの取組と現在・将来の外部動向をふまえたものであります。今後はマテリアリティーを中心として課題の解決に取り組みます。

 気候変動関連のリスク、インパクトは、SDGs推進室及びグローバル人財総務本部内の総務部を中心に対応を行い、月次のSDGs推進会議を通じて進捗管理を行います。機会については、営業本部内のグローバル・マーケティング部が捕捉し、ビジネスに繋げる活動を行います。中長期的な財務的リスク・機会に関しては、2023年度のTCFDプロジェクト活動において、識別・評価を行いました。また、ESRSを参考にしたマテリアリティー特定プロセスにおいても、最新の動向をふまえてこの気候変動関連リスク・機会を考慮いたしました。

 人的資本関連リスク・インパクトは、グローバル人財総務本部内の人事部を中心に対応を行い、月次のSDGs推進会議を通じて進捗管理を行っております。採用計画、人事制度や研修プログラム等、全社に係わる案件を含むことから、経営会議や取締役会においても報告を行っております。詳細は、(4)人的資本関連の取組①ガバナンス及び③リスク管理をご参照ください。

 SDGs推進会議では、期初に設定した目標値に向けて、関連部署との定期的な情報共有・更新を兼ねて取組の進捗と課題を報告し、適宜方向修正を行います。

 また当期より、今後の企業成長に備えてグローバル管理プロジェクトを新設いたしました。リスクの予防とさらなる管理体制の強化の一環で、過去に整備した規程やフローが適切に運用されているか、チェックする役割を担います。

 

③ 指標・目標

 マテリアリティー別の中長期的な目標の具体例は、次のとおりです。これらの内容は、今後の進捗や変化する外部動向に応じて適宜、見直しを行います。マテリアリティーの目標に対する進捗を測る指標の一部は、今後策定・公開を予定しております。

 

A. 既存・新規事業を通じた産業印刷のデジタル化

中長期成長戦略Mimaki Innovation 30の基本方針を基に、次のKPI達成を目指してまいります。

※基本方針:安定的な収益性で売上高成長の追求を継続し、資源の積極的な活用により新たな領域にチャレンジすることで、2030年3月期に売上高 1,500億円を目指す

a. 2030年3月期に売上高1,500億円、営業利益率8%以上

b. 新製品売上高比率(NPVI)年30%の達成

B. イノベーションを通じたサステナビリティへの貢献

a. ネオクロマト・プロセスの完成・普及による資源循環への貢献

b. IP市場向け製品の販売促進による省力化・労働生産性の向上

C. グループ人財の活躍と地域社会の活性化

人的資本関連施策と指標・目標の詳細は、(4)をご参照ください。

a. 階層別教育の充実、専門教育の深化によるイノベーションの促進と人財の高度化

b. 職場環境の改善による採用競争力の強化と人財の定着

c. 地域事業への参画、支援を通じた社会との関係構築・強化

D. 責任あるサプライチェーンの実現(主に環境/人権リスク)

a. 温室効果ガス(以下、GHG)排出量の削減をはじめとする気候変動対策

目標および削減計画については、(3)③をご参照ください。

b. 人権侵害・環境破壊・汚職等のリスク予防・低減

c. 調達におけるBCPを策定・運用し、製品の安定供給を維持

E. 企業成長に応じたガバナンスの徹底

a. 法令違反の予防、業務実態に応じた社内規程の定期的な見直しと適切な運用

b. グループ全体における管理会計の浸透やルール等の統一による業務品質・効率の向上

c. テクノロジーによる業務品質・効率の改善

 

④ ガバナンス

 ここでは、当社グループのサステナビリティ関連のリスクや機会、インパクトに対して、どのようなガバナンス体制を敷き、経営陣や会議体がどのように関与しているかを説明いたします。当社グループ全体の事業活動を対象とした企業統治の詳細については、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

 

 サステナビリティ関連のリスクや機会、インパクトに関する取組においては、SDGs推進室が主幹として各本部の対応を統括し、毎月SDGs推進会議を開催しております。

 この会議にはSDGs推進室のほか、代表取締役社長、専務取締役、常務取締役ならびに、一部の取締役・執行役員を含む全本部の責任者が出席し、全社的な推進体制を敷いております。取組の本格化のため、2022年4月のSDGs推進室設置と同時に発足させました。

 これまで各部門が別個・独自に推し進めてきた活動の全容を統括し、部門横断的な課題にも柔軟なアプローチを行う、あるいはESG領域以外の課題との優先順位を整理するなど、効率的な取組推進を見据えた議論、タイムリーな報告、迅速な判断を行う場としての役割を担います。毎月の会議においては、各本部のESG業務計画の進捗報告のほか、当社グループとして認識・開示するESG領域の課題や目標等、審議事項についての議論・合意形成も行われます。また、本部長自らが参加することで、当社グループにおけるESG課題の重要性の認識、意識の向上にも貢献しております。

 その他の会議体に関しては、四半期に一度、全社の責任者が出席するQレビュー会議にてSDGs推進室が全体的な取組状況を報告し、財務・経営に大きな影響のある事案については適宜、経営会議でもSDGs推進室や人事部・総務部など当該案件を取り扱う部門より報告・議論を行い、取締役会でも管掌役員より報告を行います。

 

 

 また、そのような事案は監査等委員会の議論にも上がり、必要に応じて取締役会への意見提起も行われました。あわせて当期は、SDGs推進室より監査等委員会へ、Mimaki Europe B.V.のCSRD対応の準備状況を報告いたしました。

 

(3)気候変動への対応(TCFD提言への取組)

① 戦略

 全社横断体制で気候変動に関する議論を深める必要性から、2023年度には全本部より選出したメンバーによる「TCFDプロジェクト」を実施いたしました。全社的な視点で気候変動関連課題の分析、財務的影響の算定等を実施し、多角的に当社グループの状況を把握したことで、中・長期的に取り組むべき課題が明確になりました。当期は当社グループ全体のマテリアリティー特定作業を行うにあたり、このTCFDプロジェクトの結論と最新の動向をふまえ、各本部の意見を反映いたしました。

 具体的には下記の手順で、事業に影響を及ぼす可能性のあるリスク・機会特定と財務的影響の算定、インパクトの特定、対応策の検討を行いました。引き続き、特定した内容への対応を継続し、新たなリスク・機会・インパクトに関する対応策の検討を行ってまいります。

 

1

前提条件の設定

分析対象範囲(地域、事業)、時間軸の設定

2

リスク・機会の特定

事業インパクト評価

TCFD提言で挙げられている、低炭素経済への移行に伴う4分野のリスクと、気候変動の物理的影響に関連した2分野のリスク、そして気候変動への適応・緩和策に関する5分野の機会から事業継続において想定される影響を特定。「影響を受ける可能性」と「影響の大きさ」を点数化し、事業インパクトの大きいリスク・機会を抽出し、重要度を評価

3

シナリオ分析

2で特定したリスク・機会のうち、影響度が高いと推定されるものについて

2℃以下・2℃以上の各シナリオにおける当社グループ事業への財務的影響を算定

4

対応策の検討

3の結果、事業インパクトの大きいリスク・機会について対応策や方針を検討

5

インパクトもふまえた再検討

(当期の追加対応事項)

気候変動を含むサステナビリティ関連リスク・機会ならびに当社グループが及ぼす正負のインパクトを検討。重要度を評価し、重要と判断したIROをマテリアリティーに位置づけ、サステナビリティ領域において高い優先順位で取り組むことを決定

 

A. 採用シナリオ

 TCFDプロジェクトにおける分析には、移行リスクの面で国際エネルギー機関(IEA)によるSTEPSならびにSDSシナリオ、物理リスクの面で気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によるRCP8.5及び2.6シナリオ*1を採用いたしました。

*1 RCP8.5及び2.6シナリオ:IPCC 第5次報告書の気候モデル予測で用いられる、温室効果ガスの代表的な濃度の仮定(シナリオ)

*2 GHG:温室効果ガス

 

出典:環境省「IPCC第5次評価報告書の概要 -第1作作業部会(自然科学的根拠)- (2014年12月版)」

IPCC「第5次評価報告書」のRCP8.5シナリオ、RCP2.6シナリオ

IEA「世界エネルギー見通し2021年版(WEO-2021)」のSDSシナリオ、STEPSシナリオ

 

B. シナリオ分析結果と、対応するマテリアリティー

 

a.気候変動関連対応に関する特筆すべき当期の取組

 当期においては、欧州の企業サステナビリティ報告指令(以下、CSRD)の対象に当社の欧州子会社であるMimaki Europe B.V.が該当する見込みであると考え、全本部からメンバーを選出した「CSRDプロジェクト」を組織し、同指令に即したサステナビリティ開示の準備・対応を進めました。同指令が網羅するトピックのひとつである気候変動は、当社グループの事業活動に影響を与える課題であり、同指令に則った適切な気候変動関連開示をできない場合、法令遵守の不履行やレピュテーション低下の恐れがあると考えます。そのためCSRDプロジェクトにおいては、気候変動を含めたサステナビリティ・トピックにおけるリスク・機会・インパクトについて各本部メンバーで協議・評価を行いました。最終的には当社グループのマテリアリティーの1つに気候変動対策を包含し、今後も取組を強化することを結論付けました。

 なお当期末時点で、欧州議会ではCSRD対応による企業の負担軽減を目的としたオムニバス法案が提出され、サステナビリティ報告の義務化については適用時期の延期が見込まれております。また開示義務の適用対象縮小に関する法案が議会を通過した場合には、Mimaki Europe B.V.は同指令の適用対象外となる可能性があります。対象外となった場合でも、マテリアリティーへの対応を通じてサステナビリティ向上の努力を続け、それに伴って開示情報も一層の充実を図ります。

 

b. レジリエンスの向上

 シナリオ分析を通じて認識している、今後の大きな気候変動関連リスクとしてコストの上昇(レピュテーション低下による人財不足対応を含む)、異常気象による調達難、そして機会としてはデジタル・オンデマンド印刷需要の増加があります。

 具体的には、炭素税の導入やそれに伴う材料・エネルギーの価格高騰など、製品コストにかかわるリスクの発生が予想されます。対策として、製品自体の原価率低減のほか製品の容器・梱包等におけるコスト削減及び資源利用量の削減を継続しております。また気候変動の影響に限らず、昨今のコスト上昇に対応すべく販売価格を適切に見直すなど、取り得る選択肢を柔軟に検討してコスト上昇リスクに対処しております。

 加えて、調達難を含む想定外の事態の影響を、最小限に留めるために備えております。管理部門においては、緊急時の基本的対応に用いる安否確認システムの導入徹底や、地政学リスクへの対応も考慮して、各工場間における生産品目の移管等も適宜行っております。

 ESG課題に対する当社グループの取組をさらに効率的・効果的に進めるため、マテリアリティーを特定し、サステナビリティ方針を策定いたしました。これにより、社内におけるサステナビリティ施策の重要性が明確になっただけでなく、社内外にむけて当社グループがなぜ、どのようにサステナビリティに取り組んでいるかをより明確に発信できるようになりました。2025年度からは従業員に対するサステナビリティ教育も開始しており、今後も社内外に当社グループのサステナビリティ対応への姿勢を発信していきます。

 最後に、気候変動対応の緊急性が叫ばれる今、当社グループの強みであるインクジェットプリンタと関連技術がもたらす価値は向上し続けると推測しております。多品種生産のニーズに応えるこの製品・技術は、大量生産による過剰在庫や廃棄物の削減に資するものであります。この技術・製品の普及により、当社グループはお客様先のビジネスの支援と同時に、環境負荷の削減、管理面の負担軽減をもサポートしております。お客様の持続可能なデジタル・プリンティングビジネスを支え、各本部によるリスクの低減・緩和、機会の最大化を通じて統合的なサステナビリティ向上を目指すことが、全社的なレジリエンス強化に繋がると考えております。

 

② リスク・機会・インパクトの管理

 当社グループでは当期、全本部より選出されたメンバーからなるプロジェクトチームにおいて、気候変動関連を含むサステナビリティに関するリスク・機会・インパクトを識別・評価いたしました。当該内容は、代表取締役社長をはじめとする社内取締役・一部執行役員と各本部責任者で組織するSDGs推進会議へ報告いたしました。以降もリスクの発生時には関係部門にて認識のうえ、全社的な影響の大きい場合は適宜、SDGs推進会議のほか、Qレビュー会議ならびに取締役会への報告により管理し、内容によっては監査等委員会においても議論の対象となりました。

リスクの抽出

評価・分析

対策・管理

TCFDプロジェクトのアウトプットやESRS基準ほか各機関の提言・発表等を参考に、連結のサステナビリティ関連リスク・機会・インパクトを抽出。

抽出したリスク・機会・インパクトによる影響を点数評価し、重要度が高いと推定される項目を特定。

重要なリスク・機会・インパクトを集約してマテリアリティーを特定し、それに対応するサステナビリティ方針を策定。SDGs推進会議ならびに取締役会へ適宜報告。引き続き、各マテリアリティーへの対応を各部門の業務において進める。指標・目標と達成計画の策定後、経営計画に反映し毎月のSDGs推進会議でPDCAサイクルを回す。

 

③ 指標・目標

A. Scope 1, 2 連結ベース(2016~2023年度)

 2021年度以降、国内外の拠点において、CO₂フリー電力や再生可能エネルギーの導入を進め、Scope 2削減に尽力しております。今後も、CO₂フリー電力導入拠点の増加に取り組んでまいります。

*排出量の数値は、算定範囲や算定に使用するCO2排出係数等により、後に変更となる可能性があります。

 

 

B. Scope 1~3 単体ベース(2023年度)

 当期に集計を完了した2023年度のCO排出量は次の表のとおりであります。なおScope 3排出量は独自のシナリオに基づいて算定しており、前提条件の変更等により数値が変動する可能性があります。Scope 3については、カテゴリ1の排出量が最も多いことから、製品の容器や梱包材において、排出係数が比較的小さな素材への切替を積極的に進め、売上伸長と排出量削減の両立を目指します。

連結ベースのScope 3は、2026年度以降の集計・開示を目指しております。

Scope 3 試算困難との表記について

 合理的な根拠数値の算出と、それによる精緻な排出量の算定が困難なカテゴリは、今回の算定結果より除外しております。

 

C. CO排出削減目標

 Scope1, 2排出量について、直近の年度で最大の排出量であった2019年度と比較し、2026年度に60%、2030年度に61%の削減目標を設定し、削減に取り組んでおります。なお、この目標は国内外にほぼ毎年、拠点1箇所ずつを新設する想定の元に設定しており、企業成長を続けながらも排出量の抑制・削減に努める意向であります。目標と前提条件、削減施策は次のとおりです。

[目標]

 2019年度比 2026年度▲60%

 2030年度▲61% *2019年度排出量は記録のある2016年以降で最大

[前提]

・2023年度よりほぼ毎年、国内外に各1箇所の拠点新設を想定

・売上高が伸長を継続する想定

  → 拠点増加、売上伸長等の企業成長を実現しつつCO排出量の増加抑制・削減に努める

[排出量削減に向けた主な施策(実績)]

・省エネの徹底(省エネ空調やLED照明、ハイブリッド車の導入、デマンドコントロール、電力会社要請に応じた節電)

・再エネ由来電力導入拠点の増加

・創エネシステムの導入(加沢工場)

 

④ ガバナンス

 ガバナンスについては、(2)④をご参照ください。

 

 

(4)人的資本関連の取組

(基本的な考え方)

 経営ビジョンに「開発型企業」「イノベーター」をありたい姿として掲げる当社にとって、多様な価値観を有する「人財」こそ最大の経営資源です。当期に策定したサステナビリティ方針に則り、産業印刷のデジタル・オンデマンド化を引き続き推進すべく、特に製品開発を行う人財とグローバル適応のできる人財の確保を積極的に推進しています。

 併せて、ダイバーシティの推進、特に女性活躍推進やジェンダーギャップの解消、働き方改革の推進や働きやすい環境づくり、管理職を含めた意識改革などを進めています。また、教育体系の充実を図り、各人の能力を最大限発揮できる企業風土の醸成に取り組んでいます。

 

① ガバナンス

 人的資本の諸課題に対応するため、2024年度からグローバル人財総務本部を設置しており、月次の経営会議等で採用計画や人員計画の進捗状況の確認を行うとともに、人的資本経営に関する重要事項については、担当役員から取締役会へ適宜報告を行い、必要情報の共有を行っています。

 また、こうした企業風土の醸成には、社員と経営との情報共有や意見交換等の対話が不可欠であり、社員代表と経営層で構成される「社員経営者協議会」を毎月開催して、社員の要望や意見の確認、施策の状況説明等を継続しています。

 今後もマテリアリティーのひとつである「企業成長に応じたガバナンスの徹底」を図りつつ、Mimaki Innovation 30の実現に不可欠な人財戦略を着実に遂行していきます。

 

② 戦略

(中核人財の確保)

 「開発型企業」「イノベーター」を目指すために、中核となる人財の育成・確保は重要な経営課題です。経営層も候補人財へのアプローチや選考に深く関わることで採用態勢が強化され、必要人財の確保を進めています。

・職種に応じた適材適所の考え方を基本に、人財の多様性を考慮しつつ、採用活動を積極的に進めています。具体的には、キャリア採用は製品開発力の強化、営業戦力の強化、管理態勢の強化に向けた「即戦力」を、新卒採用は中長期的視点から開発・営業の中核を担える「将来戦力」を確保します。

・処遇や評価の納得性を高め、組織の活性化を図るために、人事制度の見直しを進めております。現行の役割等級制度にジョブ型要素を加えて各人が取り組むべき課題や職責を明確にするとともに、メンバー相互が連携して、組織として計画達成に邁進する風土を築きます。また、持続的な賃上げに取組み、成果に応じた処遇、やりがいのある職場環境をつくります。また、外部教育機関との提携による専門教育の充実、職場環境の改善に取り組み、中核人財の確保・定着を進めます。

 

(多様性の確保)

 多様な人財が活躍できる環境を整え、「各人が持っている個性・能力を力一杯発揮できる企業風土」の実現を目指して取り組みます。

・女性活躍推進:女性管理職比率は、会社組織の拡大もあり2020年度の3.1%から低下しておりましたが、2024年度は4.2%に改善しました。採用活動の強化や人材育成の成果と認識していますが、女性管理職を展望できる人財の採用促進、育成・動機づけ、ダイバーシティ研修(管理職対象)等を通じた社員の意識改革を行い、引続き女性管理職比率の適正な向上を目指します。また、女性社員比率は製造業では相応の水準にはあるものの、上記と同様の理由により2021年度の24.0%から低下傾向にありましたが、2024年度は21.4%に改善しております。有給休暇の取得促進等や働きやすい職場環境づくりに取り組みます。

・障がい者雇用:関係法令の趣旨を踏まえ、積極的に取り組む課題と認識しています。2023年度には障がい者が活躍できる部門としてオフィスサービスGを新設して、社員用の弁当提供サービス(2024年4月開始)や外部委託をしていた清掃業務の内製化、福利厚生施設である本社カフェの運営担当などに業務を拡大しております。2023年度以降は9名採用しております。

 

 

[女性管理職比率・女性社員比率]

・男女の賃金格差:2024年度で男性100%に対して女性74.8%となりました。当社は、役割等級制度を導入しており、賃金体系上は男女間の賃金差を設けていませんが、管理職の男性比率が高いこと、給与の高い階層における男性比率が高いこと等が要因であると考えています。2024年度は前年度比+2.2%改善しましたが、引続き女性管理職比率や女性社員比率の改善に取り組んでいきます。

   ※1 年度は年度末時点です

   ※2 従業員数は単体+国内子会社出向の正規雇用・非正規雇用社員の合計です

   ※3 女性管理職比率は管理職全体に占める女性管理職の比率、女性社員比率は全従業員(※2)に占める女性社員の比率です

 

(教育体系の充実・人財育成の強化)

 サステナビリティ方針で掲げる、「安心して成長・挑戦できる職場環境の提供」のため、人財確保と併せて、教育体系の充実を図り、人財育成の強化に取り組みます。

・専門教育の強化(人事部・各本部主管)…各本部で選定したテーマに基づき、計画的に専門教育を実施しています。技術部門では、2023年度からスタートした信州大学「リスキリング教育短期プログラム」契約の基づき、2024年度も技術教育講座3講座を行い、延べ121名(前年度比-22名)が受講しました。2025年度には他教育機関でも技術教育講座を開設する予定です。営業部門では、今年度、国内営業を対象に営業パフォーマンス向上トレーニングを行います。社内講師を据えた個別指導型の研修として、個々人の営業力強化に取り組みます。受講人数の増加と並び、新規の専門研修の導入を積極的に行います。また、教育関連投資額の着実な増加に取り組みます。また、社内リソースだけでは対応が難しい専門教育については、引続き、外部教育機関との連携を図っていきます。

・階層別教育の充実(人事部主管)…新任管理職研修、中堅社員研修、部長研修等の階層別教育を人財育成のベースと位置づけ、国内グループ会社社員も参加して実施しています。2024年度は234名(前年度比+81名)が受講しました。

・有益な資格取得に関わる取得費用や報奨金を支給する資格取得報奨制度の運営により、社員個々人の成長を継続的に支援します。2024年度は26名(前年度比+3名)が対象となりました。

 

(職場環境の改善・福利厚生制度の充実)

 ワークライフバランスに配慮した職場環境、福利厚生制度の充実に加え、事故防止等安全安心にも配慮した職場環境の実現に取り組みます。

・有給休暇の取得促進…2023年度から1週間連続して有給休暇が取得可能な「リフレッシュ休暇」制度を導入し、一人平均有給休暇取得日数は2024年度実績で14.2日(前年度比-0.5日)となりました。引続き、リフレッシュ休暇の定着に努め、有給休暇を取得しやすい環境づくりに取り組みます。

・時間外労働の縮減…必要人員の確保や業務の効率化に取り組むとともに、一定期間における一人平均時間外労働が多い部門は、改善計画の策定を行う等の対策を行い、引続き、時間外労働の縮減を進めます。

・男性育児休業の取得率向上…人事部に相談窓口を設置し、職場・本人への制度周知や休暇取得の促進に取り組み、2024年度の取得率は95.8%(当社独自の休暇制度利用を含む)となりました。男性育児に対する意識の変革、育児との両立、男性女性問わず働きやすい環境づくりを引続き進めていきます。

 

[育児休業取得率]

  ※1 年度は年度末時点です

・両立支援の取組みの拡充…2025年2月に不妊治療両立支援制度を導入しました。不妊治療に伴う特別休暇(上限10日/年)ならびに不妊治療費の補助(最大100万円)を内容とするものです。ライフステージにおける充実やサポートを強化するために、両立支援制度の拡充に引続き取り組んでいきます。

・事故防止・安全衛生活動の推進…安全衛生委員会を中心に横断的な活動を行い、定期的なリスクアセスメントの実施や事故防止に取り組んでいます。特に、交通事故や労災事故は、職場における安全安心確保の点から、発生時の原因分析と再発防止を徹底していきます。また、各本部・部門単位で独自にテーマ選定を行い、幅広く職場の課題解決を行う5S活動を展開していきます。

 

③ リスク管理

 「人財」こそ最大の経営資源であり、採用力が低下して必要人財の確保が進まないこと、職場環境の改善が進まず社員の離職により必要人財が不足することが大きなリスクと考えています。雇用の流動性が高まる中で、処遇の改善や教育の充実、職場環境の改善を通して多様な人財が活躍できる環境を整備することで、リスク低減に努めていきます。

 

④ 目標及び指標

 2024年度に掲げた重点項目の達成状況ならびに2025年度に取り組む指標ならびに目標は以下のとおりです。人材育成・教育の充実として一人当り教育関連投資の増加、職場環境の改善として有給休暇の取得促進に引続き取り組んでいきます。

カテゴリー

KPI

2024年目標

2024年実績

多様性の確保

女性管理職比率の増加

3.5%

4.2

福利厚生制度の充実

1人平均有給休暇取得日数増加

15.0日

14.2

※1 目標数値は各事業年度末時点です

※2 従業員数は単体+国内子会社出向の正規雇用・非正規雇用社員の合計です

※3 女性管理職比率は管理職全体に占める女性管理職の比率です

カテゴリー

KPI

2025年目標

人材育成・教育の充実

1人当たり教員関連投資の増加

38.1千円

職場環境の改善

1人平均有給休暇取得日数の増加

14.0日

※1 目標数値は各事業年度末時点です