2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,042名(単体) 2,310名(連結)
  • 平均年齢
    41.2歳(単体)
  • 平均勤続年数
    17.2年(単体)
  • 平均年収
    5,550,000円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

 

(1)連結会社の状況

 

2025年3月31日現在

部門

従業員数(人)

研究・開発

662

[73]

営業

505

[3]

製造

798

[81]

本社

227

[5]

その他

118

[10]

合計

2,310

[172]

(注)1.実質的に単一セグメントであるため、部門別の従業員数を記載しております。

2.従業員数は就業人員数であります。

3.臨時従業員数(有期契約社員、パートタイマー、派遣社員)は、[ ]に当連結会計年度における平均雇用人員を外書きで記載しております。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

1,042

[86]

41.2

17.2

5,550,000

 

部門

従業員数(人)

研究・開発

375

[54]

営業

172

[1]

製造

328

[27]

本社

167

[4]

合計

1,042

[86]

(注)1.実質的に単一セグメントであるため、部門別の従業員数を記載しております。

2.従業員数は就業人員数(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む)であります。

3.臨時従業員数(有期契約社員、パートタイマー、派遣社員)は、[ ]に当事業年度における平均雇用人員を外書きで記載しております。

4.平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3)労働組合の状況

当社はドイツにおける子会社2社に労働組合が組織されておりますが、労使関係は良好に推移しており、特記すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

   (注)1.

男性労働者の育児休業取得率(%)

   (注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

5.8

80.0

53.4

54.6

40.9

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

②連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

 (注)1.

男性労働者の育児休業取得率

  (%)

 (注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

アイレムソフトウェアエンジニアリング㈱

0.0

200.0

75.4

75.4

-

EIZOエムエス㈱

0.0

100.0

63.3

66.1

51.2

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。なお、この規定に従い、アイレムソフトウェアエンジニアリング㈱の男性育児休業取得率は、当事業年度において配偶者が出産した男性労働者は1名、当事業年度において育児休業を取得した男性労働者は2名(うち1名は前事業年度に配偶者が出産)いるため、育児休業取得率は200.0%となり100.0%を上回ります。

 

男女間賃金差異についての補足説明:

当社は、担当職務の性質と期待役割に応じて、専門分野における高度な知識・技術を活用しながら企画開発創造型の職務を実施する総合職系と担当業務の経験・習熟度を高めながら効率追求型の職務を実施する技能・事務職系の2つの職系を定めています。総合職系は、技能・事務職系と比較し賃金を高く設定していますが、男女間において賃金体系や昇格昇給に関する人事制度上の差異は設けておりません。

現状、総合職の半数以上を占める研究・開発職において女性社員比率が極めて低く、一方、技能・事務職系は女性比率が高いことから、一定の男女間賃金差異が存在しています。

なお、多様性や組織活性化の観点より、研究・開発職を含む総合職系の女性社員の採用増に加え、指導的な立場における女性社員比率の向上に取組んでおります。(詳細につきましては、第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組(5)重要なサステナビリティ項目 ①人的資本に関する戦略並びに指標及び目標 をご参照ください。)

 

③提出会社及び国内連結子会社の総合職系における男女の賃金の差異

提出会社及び連結子会社

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.

全労働者

うち正規雇用労働者

うちパート・有期労働者(注)2.

提出会社

81.9

81.9

79.6

アイレムソフトウェアエンジニアリング㈱

78.6

78.6

-

EIZOエムエス㈱ (注)3.

-

-

-

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.アイレムソフトウェアエンジニアリング㈱には総合職系における女性のパート及び有期労働者は在籍しておりません。

3.EIZOエムエス㈱には総合職系の女性従業員は在籍しておりません。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)サステナビリティの基本方針

当社は「テクノロジーの可能性を追求し 映像を通じて 豊かな未来社会を実現する」という企業理念のもと、事業を通じて社会のサステナビリティに貢献することを目標に掲げています。これに基づき当社が守るべき指針として定めた「EIZOグループ行動指針」を、当社のサステナビリティの基本方針としています。

 

サステナビリティの基本方針:EIZOグループ行動指針

1.独自の技術・発想による新たな価値の創造と提案を通して、お客様に愛される高品質の製品・システム・サービスによるソリューションを提供します。

2.製品と事業活動を通じて、最先端の環境対応に取組みます。

3.自由闊達な企業風土のもと、グローバルな視野とマインドを持って業務に取組みます。

4.オープンでフェアな事業活動を行います。

5.ステークホルダー(取引先・社員・株主・地域)との信頼関係の構築と維持に努めます。

6.人権と多様性を尊重し、健全な職場環境づくりを推進します。

7.経営資源である会社資産および情報の保全と保護に努めます。

8.法とその精神を遵守し、高い倫理観を持って行動します。

 

(2)サステナビリティに関するガバナンス

サステナビリティの取組みに係る推進体制として、取締役会の直下に「サステナビリティ委員会」を設置しています。サステナビリティ統括責任者である代表取締役社長 COOを委員長とし、全執行役員および国内グループ会社の社長により委員を構成しています。同委員会にてサステナビリティの方針や中期目標の策定、これに基づく各部門におけるサステナビリティ推進活動の進捗の把握・評価・検証などを行い、取締役会の監督のもと経営トップ自らが関与し、グループ全社にてサステナビリティ推進に取組んでいます。

また、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けた取組みをより強化し、ステークホルダーとの一層の価値共有を図ることを目的に、2026年3月期より取締役(監査等委員である取締役を除く)を対象とした役員報酬制度を一部見直し、ESG評価指標を導入しました。

導入後の役員報酬制度の詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4)役員の報酬等」を参照ください。また、気候変動に関するガバナンスにつきましては、「(5)重要なサステナビリティ項目 ②気候変動に関するガバナンス、リスク管理、戦略並びに指標及び目標」をご確認ください。

 

 

 

サステナビリティ・マネジメント体制

名称

役割

構成

開催頻度

(/年)

取締役会

‐サステナビリティに関する事項について、サステナビリティ委員会より報告を受け、定期的に進捗状況を監督

取締役全員

4回以上

サステナビリティ

委員会

‐サステナビリティ方針の策定

‐マテリアリティの特定

‐サステナビリティ中期目標の策定

‐サステナビリティ推進活動の進捗状況の把握・評価・検証

‐サステナビリティ推進活動に課題・問題があればその指摘や提言

‐当社グループの事業活動にかかる気候変動に関わる戦略の策定、及び進捗管理とその情報開示

委員長:サステナビリティ統括責任者が兼ねる

 

委員:全執行役員及び国内グループ会社の社長

4回以上

 

サステナビリティ・マネジメント分科会

‐サステナビリティに関する情報の収集

‐マテリアリティの分析・評価

‐サステナビリティ目標・施策の立案及び進捗の確認

‐上記に関するサステナビリティ委員会への報告

各部門及び国内外グループ会社メンバーの中からサステナビリティ委員会事務局が選出し、サステナビリティ委員会が指名する

4回以上

 

気候変動対策分科会

‐TCFD/TNFDに沿った情報の収集及び情報開示

‐自然資本を含む、環境に関連するリスク及び機会の評価/再評価、事業戦略への影響の分析、対応計画の立案

‐上記に関するサステナビリティ委員会への報告

同上

4回以上

 

人権分科会

‐人権に関する国際規範等の情報収集

‐バリューチェーン全体での人権リスクの防止・軽減に向けた人権デューディリジェンスの推進

‐上記に関するサステナビリティ委員会への報告

同上

4回以上

リスクマネジメント

委員会

‐全社的リスクマネジメントにより洗い出されたリスクの中から重要リスクの選定・確認・検証

‐全社的リスクマネジメント推進に関する年次活動計画の立案

‐重要リスクに対するリスク対応策の確認・検証

委員長:リスクマネジメント統括責任者(社長 COO又は社長 COOが任命する者)が兼ねる

 

委員:全執行役員及び国内グループ会社の社長

2回以上

 

 

(3)サステナビリティに関するリスク管理

当社は、当社グループをとりまくリスクを適切に管理することが経営目標の達成や事業戦略の実行のために不可欠であると捉え、統合的・一元的にリスクを管理する全社的リスクマネジメント体制を構築・運用しています。サステナビリティにかかるリスクと機会に関しても、全社的リスクマネジメントと連携し、リスクの抽出を行うとともに、サステナビリティ委員会において分析・評価を行い、同委員会の指示のもと、各責任部門において対策を実施しています。対策実施の成果について、サステナビリティ委員会に報告し、評価を行うことで、サステナビリティに関するPDCAをマネジメントしています。

 

(4)戦略:EIZOのマテリアリティ

サステナビリティの観点から、当社に関わりの深い社会課題を抽出し、これらを「ステークホルダーにとっての重要度」と「EIZOグループにとっての重要度」の2つの指標で評価した上で、サステナビリティ委員会にて、EIZOが取組むべきマテリアリティ(重要課題)として特定しました。この各マテリアリティに対し、指標(KPI)と目標を設定し、その達成に向けた取組みを進めています。

 

 

 

(5)重要なサステナビリティ項目

①人的資本に関する戦略並びに指標及び目標

 

<人材に関する考え方及び戦略>

当社は、「Visual Technology Company」として、顧客の期待を超える製品・システム・ソリューションの提案を行ってまいりました。それを確固たるものにするために、最も重要な資本は「人材」だと考えており、次に掲げる5つの要素を人的資本に係るマテリアリティとして特定しています。

・異なる文化・価値観の尊重

・人材価値の最大化

・エンゲージメントの向上

・健康経営の推進

・安心・安全に働ける環境の構築・維持

人材を維持・強化するためには、この5つのマテリアリティへの投資と取組みが不可欠であり、当社では以下に定める人材育成方針や社内環境整備方針に基づき、各種人事・社内制度を整備することで、社員が生き生きと働き、やりがいを感じながら自己成長できる環境と組織の実現を目指しています。なお、各マテリアリティに対しては、指標(KPI)及び目標を定め、継続的な改善活動とモニタリングを実施することで、計画的・戦略的に人的資本への投資を進めております。

また、第8次中期経営計画においては、人事戦略を、当社ビジネスモデルを支え、深化させるための重要課題と位置づけることで、経営戦略との関連を明確にしています。今後も経営戦略と人事戦略を連動させながら、企業価値を高めるとともに、映像を通じた豊かな未来社会の実現へ向け、映像技術のトップランナーとして人的資本への投資と取組みを加速してまいります。

 

 

 

a.人材の確保と育成方針

「モノづくりの高度化・複雑化が進む中で、次のビジネスモデルを‘創る’‘支える’ことができる多様な人材の獲得と育成」を最優先課題として捉えており、EIZOマインドとともに、VUCA(※)の時代に対応する柔軟な思考力・実践力を持った人材を確保・育成することを目指します。

EIZOマインドとは、「自由闊達で創造的に活躍できる企業文化」の下、高い倫理観とグローバルマインドを持ちつつ、映像技術のトップランナーとして「世界で一番いいものをつくり、世界中のお客様にお届けする」という自信・プライドを表しています。脈々と受け継がれるこの「EIZOマインド」の更なる醸成と共有を推し進め、今後、当社ビジネスをさらに大きく発展させることができる人材の育成を進めます。

※VUCA:不確実性が高く将来の予測が困難な状況を指す。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字。

 

(具体的な取組み)

イ. 積極的な採用活動

EIZOグループの次世代を担う多様な人材を確保するため、積極的に採用活動を行っています。国内グループ会社では、幅広い職種で短期~長期のインターンシップを実施し、就業体験を通して学生に業務内容や社風を深く理解してもらい、人材の確保・入社後のミスマッチ防止につなげています。また、キャリア観に合わせた専門エンジニア職採用、退職した社員を再雇用するカムバック採用、外国籍社員の採用など、多様性を意識した採用活動を行っています。海外グループ会社においても、インターンの受入れやジョブフェアへの出展などで、積極的に人材確保に努めています。

 

ロ. 充実した教育制度

国内グループ会社においては、すべての社員に対して社内の教育・訓練ニーズを把握しながら、以下の階層別・職能別研修やグローバル人材の育成、自己啓発の援助など、多様な研修・教育を計画しています。さらに、海外グループ会社各社においても、開発会社・販売会社それぞれの業務に求められるスキルに合わせた全体及び個人別の研修プランを設け、OJTや外部研修なども利用しながら、スキルアップを図っています。

 

教育体系図

 

ハ. グローバルマインドの醸成

グループ会社を世界各国に構える強みを生かし、以下のような取組みによりEIZOマインドの根幹をなす「グローバルマインド」を醸成しています。

 

(イ)海外トレイニーの相互受け入れ

若手・中堅社員を中心に、海外拠点へのトレイニーを派遣しており、海外市場のニーズ把握や、設計・開発ノウハウの共有等を積極的に行っています。また、海外グループ会社からも適宜トレイニー受入を行い、相互人材交流を活発化しています。

 

(ロ)EIZO Unitedの開催

海外グループ会社及び販売代理店から約100名が参加する「EIZO United」を年に一度、本社にて開催しています。ここでは、社内技術展示会や大小の会議を通じて事業の方向性や自社技術・製品への理解を深め、想いを共有し、一体感を高めています。さらに、さまざまな部門の社員に自社技術・製品、生産活動に加えて所属部門の取組み等を説明する機会を設けることで、グローバルなEIZOグループの一員としての意識向上を図っています。

 

b.社内環境整備方針

当社は行動指針の一つである「自由闊達で創造的に活躍できる企業文化」こそ、社員と会社が成長するために最も重要な要素と考えております。この企業文化を醸成・浸透させるために、以下の様々な取組みを行っております。

 

(具体的な取組み)

イ.ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進

人権尊重は、企業にとって重要な社会的責任であると認識し、EIZOグループ人権方針に基づき、各国・地域における法令、文化、宗教、価値観などを正しく理解・認識することに努め、安心・安全で豊かな持続可能社会の実現を目指します。

 

(イ)国籍の多様性

EIZOグループは世界18社から構成され、世界中で多様な人材が活躍しています。さらに2023年からは当社役員層においても外国籍の役員を加えることで、経営層レベルでの多様性を確保しております。当社グループはこれからも社員が一人ひとりの人権を尊重し、多様で異なる国の文化を理解しあいながら、グループ全体が一体感を持って、事業の発展に努めてまいります。

 

(ロ)女性活躍推進

研究・開発職人員を含む女性総合職を増加させるために、採用活動に女性社員を積極的に参画させることでキャリアビジョンの広報を強化しています。同時に、女性の割合が比較的高い技能・事務職社員から総合職への転換も適宜実施しています。

また、国内グループ各社において、「女性活躍推進のための行動計画」を策定し、女性社員が指導的立場で活躍できる就業環境整備に努めており、管理職・中堅社員向けの選抜型研修を行うことで意識醸成を高めています。このような取り組みを通じ、2024年10月には初めて開発部門において2名の女性管理職が就任するなど、女性活躍は着実に進んでいます。男女を問わず公平に人事評価/処遇をすることで、透明性のある女性管理職比率の向上を目指しています。

 

(ハ)障害者雇用

国内外グループ各社において、各国の法律を考慮しながら、公平な採用、合理的配慮に基づく障害者が働きやすい環境整備などに取組んでおり、障害を有する方も製造部門や開発部門、コーポレート部門など多様な職場で活躍しています。また、国内グループ会社では障害者向け合同企業説明会への参加やインターンシップ受け入れなど、積極的な採用活動を行っており、引き続き、職場環境の整備や業務拡大に伴う雇用機会の創出を進めていきます。

 

(ニ)シニア社員雇用

国内グループ会社においては2024年4月に定年を60歳から65歳に引き上げました。60歳以降も能力・活力ある社員がより一層活躍できる環境を整備し、シニア社員が培った豊富な経験値を次の世代に計画的に継承することで、シニア社員のモチベーションの維持・向上と、組織・事業の継続安定化を図っています。

 

ロ.ワークライフバランス

ワークライフバランスを実現するため、以下のような取組みを通して、社員一人一人の個人の自由時間を確保し、仕事だけでなく、プライベートの時間も充実できるよう取組んでいます。

 

(イ)プライベート時間との両立

継続的な業務効率化や多残業社員へのメンタルヘルス対応、週1回「ノー残業デー」の設定により残業時間削減を目指しています。また、2025年4月からは一般社員全員に対しての年次有給休暇付与日数を従来より2日増加し、最大22日を付与しています。さらにシフト勤務社員については時間単位での有給休暇取得も可能とすることで、より柔軟なワークスタイルを実現しています。

 

(ロ)育児との両立

各種育休制度や時短勤務制度の整備や充実化と並行し、制度の認知や取得促進活動により、制度を利用しやすい雰囲気づくりにも力を入れています。2024年度の育休取得率は国内グループ全体で女性100%、男性68%でした。これからも社員一人ひとりが自分らしく働けるよう、ワークライフバランスのとれた職場環境づくりを目指します。

 

ハ.多様で柔軟な働き方

効率的な業務遂行のため、多くの部門でフレックスタイム制度を導入しています。また、副業・兼業を許可することで社員の自律的なキャリア形成や自己実現を支援し、社員一人一人が個性を発揮しながら、生き生きと働くことのできる環境づくりに力を入れています。

 

ニ.風通しの良い労使関係

国内グループ会社では、労使協議の場として「V-work協議会」を設けており、協議員からの意見をもとに社員がより働きやすい職場となるよう、労働環境を整備しています。各国グループ会社においても、それぞれの国の法令や社会環境に応じて、社内に労使協議会や労働委員会を設置し、これを活用することで、良好な労使関係を構築しています。

また、週1回、役員が集まる「EIZO Top Meeting」を開催しており、その中では各部門での施策や提案、中長期的な課題について担当社員が直接役員と協議する場としても活用されています。活発に意見を交わせる環境を整備することで、社員一人一人が責任感を持って経営にコミットし、全社一丸となって事業を推進しております。これらの取組みにより、EIZOグループでは高い定着率を維持しており、中長期的な人材育成と事業活動への貢献が可能となっています。

 

ホ.安全で健康的に働くことのできる職場環境

「EIZOグループ健康宣言」を掲げ、事業活動を通じて社会の健康課題の解決に貢献するとともに、自由闊達な企業風土の醸成や業務効率化による労働時間の削減・有給休暇取得の促進など社員の心身の健康維持・増進と快適な職場づくりに取組んでいます。2023年度は、健康経営戦略マップを策定し、私傷病休職者率の改善、ワークエンゲージメントスコアの向上、生活習慣病ハイリスク者の低減、運動習慣者比率の向上、ストレスチェック結果の総合健康リスクの高い職場比率の低減の数値目標を定め、保健指導、健康セミナー、運動促進の各種イベント、職場環境改善等の様々な活動を行いました。これらの活動が認められ、国内グループ会社全体で「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」の認定を受けました。さらに、労働安全衛生に関する活動を継続的に維持・向上していくため、ISO45001に基づく労働安全衛生マネジメントシステムを制定・運用しています。

 

<人的資本に関する指標と目標>

上記の様々な取組みを積極的に推進することで以下の各KPIの達成を目指します。

 

項目

2024年度実績 ※国内連結

2025年度目標 ※同左

2026年度目標

※同左

備考

人材の確保・定着

管理職に占める女性労働者の割合

3.9%

5.0%

7.0%

 

リーダー職に占める女性労働者の割合

6.4%

8.0%

10.0%

※管理職層を含む

新卒離職率

6.6%

5.0%以下

5.0%以下

※総合職系、直近3年度平均

障害者雇用率

2.2%

2.5%

2.7%

 

私傷病による休職者率

0.9%

0.6%

0.4%

※メンタルヘルス不調による1か月以上の休職

従業員の
スキルアップ

1人当たりの研修受講数

7.8件

12.0件

15件

※社内研修含む

人材育成投資額

36,600円

50,000円

80,000円

※社内研修含む

研修参加時間

28時間

40時間

60時間

※社内研修含む

働きがいのある
職場環境実現

エンゲージメントスコア

2.4点/4.0点中

2.7点/4.0点中

3.0点/4.0点中

※仕事の「活力」「誇り」に関する調査結果より

年次有給休暇取得率

84.3%

90.0%

95.0%

 

女性の育児休業取得率

100.0%

100.0%

100.0%

 

男性の育児休業取得率

68.1%

90.0%

100.0%

 

 

 

②気候変動に関するガバナンス、リスク管理、戦略並びに指標及び目標

当社はEIZOブランドの立上げ以来一貫して最先端の環境対応に取組んでおり、製品の省エネ性能を追求するとともに、事業活動全体におけるGHG(Greenhouse Gas、温室効果ガス)排出削減目標を策定するなど、バリューチェーン全体において積極的な気候変動対策に取組んでいます。2021年5月にはTCFDに賛同を表明し、世界的な気候変動が当社事業にもたらすリスク・機会を分析し、関連情報の開示と必要な対策を着実に進めています。また、パリ協定が定める気候変動に関する目標に科学的に整合するGHGの排出削減目標「Science Based Targets(以下「SBT」という)」 に対しても、2030年のGHG排出削減目標を設定し、認定を受けております。また2025年4月には「TNFDレポート」を開示し、今後は自然資本を含む気候変動・生物多様性への取組にも注力してまいります。

 

<気候変動に関するガバナンス>

気候変動に関するリスクと機会の評価と対応については、サステナビリティ委員会の下部に気候変動対策分科会を設置し、専門的観点から検討を行っております。当社取締役会は、気候変動関連事項に対処するための目標と取組み に関して、サステナビリティ委員会/気候変動対策分科会によるGHG排出削減やシナリオ分析に基づく機会実現のための戦略の策定、および年4回の業務執行状況の報告により、その進捗状況をモニタリングし監督しています。

 

<気候変動に関するリスク管理>

気候変動に関連するリスクと機会は、全社的リスクマネジメントと連携し、TCFDが示す長期的かつ専門的なリスクと機会への対応を包含するために、サステナビリティ委員会/気候変動対策分科会にて分析・評価し、対策を検討しています。

 

<気候変動に関する戦略>

「循環型社会への対応」「気候変動への対応」は当社のマテリアリティ(重要課題)です。そのため、気候変動についてどのようなビジネス上の課題が顕在しうるか、IPCC(※)第6次評価報告書において示された2℃シナリオ/4℃シナリオのそれぞれにおいて、TCFDが提言するシナリオ分析を行い、当社を取り巻く気候変動関連のリスクと機会を特定しました。また2℃シナリオの分析においては、1.5℃シナリオを示すIEA NZE2050も参照しました。

※IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change、気候変動に関する政府間パネル

 

・2℃/4℃シナリオに基づく気候関連リスク・機会

リスク

/

機会

区分

気候変動関連項目

期間

対応策

影響度

該当シナリオ

GHG排出価格上昇(炭素税導入)による税負担(公租公課)の増加

中期

長期

・SBT水準における長期的なCO2削減目標の設定と、削減活動の実行

2℃/4℃

調達コストの高騰による製造原価の上昇

短期

中期

・仕入先とのパートナーシップの強化

・製品における原材料構成の見直し

(再生プラスチックの利用率向上、脱プラ等梱包材見直し、バイオプラスチックの利用検討等)

2℃/4℃

再エネ導入費、省エネ対応設備投資費の上昇

短期

中期

2℃

GHG排出抑制のためのモーダルシフトによる輸送コスト上昇(モーダルシフトに限らず、現状の輸送手段における低炭素化に伴うコスト増)

中期

長期

2℃/4℃

災害対策に関する規制が強化され、従業員の安全や、事業継続に関する対策が義務化される可能性がある

中期

長期

・労働安全衛生マネジメントシステムにおける運用

・労働安全衛生目標の設定とモニタリング

4℃

製品の省エネ、低炭素化における目標達成の未達

中期

長期

・製品の省エネ、低炭素化目標達成に向けたKPIの設定とモニタリング

2℃

低炭素化の目標達成に向けた研究開発投資の増加

中期

長期

・低炭素化の目標達成に向けた研究開発投資の継続

2℃/4℃

再エネ比率の高まり、石油価格高騰によるエネルギーコストの上昇

中期

長期

・建物及び生産設備のエネルギー効率向上

・業界No.1の低消費電力を実現する製品の開発

・SBT水準における長期的なCO2削減目標の設定と、削減活動の実行

2℃/4℃

[B&P、ヘルスケア、クリエイティブワーク、V&S]

環境性能の高い製品ニーズ増加による販売拡大

短期

中期

・業界No.1の環境性能を追求する製品の開発

2℃/4℃

[ヘルスケア]

気候変動に伴う健康リスクの増大により健康と福祉を重視する価値観が醸成され、市場が拡大

中期

長期

・ヘルスケア事業の継続強化

・EVS(EIZO Visual Systems)を中核としたシステム事業の拡大

2℃/4℃

[V&S]

気候変動による自然災害が激甚化する中でレジリエントな社会ニーズに適応する製品およびシステムニーズの拡大

中期

長期

・V&S製品のラインナップ拡充

・EVS(EIZO Visual Systems)を中核としたシステム事業の拡大

2℃/4℃

 

これらシナリオ分析によって、2030年時点で具体的にどの程度の財務インパクトが生じるのかを分析しました。

2℃シナリオの場合、カーボンプライシング政策が強化されることによって、事業運営コストの上昇による財務影響が大きいと想定しています。また4℃シナリオの場合は、気候変動による物理的な影響から、バリューチェーンにおける物流の寸断や、調達コストへの影響も連動して負担となることを予測しています。

一方で、顧客の製品選択基準も変化し、より省エネ性能、GHG低排出製品のニーズが高まり、当社の高効率製品は低炭素社会への移行に伴って、ますますビジネス機会が生まれる可能性が高まることを想定しています。これらビジネス機会を確実に捉え事業計画へと反映するため、当社は2023年5月に既存の取組みや今後の計画を整理した「低炭素移行計画-Transition to Net Zero-」を策定し、開示しました。今後も当移行計画に沿ってバリューチェーン全体でGHG排出削減に取組んでまいります。

 

<気候変動に関する指標と目標>

・EIZOグループのGHG排出削減目標

2030年度

Scope(※)1、2のGHG排出量を70%削減 (2019年度比)

Scope3のGHG排出量を27.5%削減 (2019年度比)

2040年度

Scope1、2のGHG排出量をNet Zeroにする

Scope3のGHG排出量をステークホルダーと連携しNet Zeroを目指す

 

※Scope:スコープ。Scope1は事業者自らによる温室効果ガスの直接排出、Scope2は他者から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出、Scope3はその他の排出(製品の部品調達・物流・使用・廃棄、従業員の出張・通勤、投資等)を指す。GHGプロトコルのScope3基準ではScope3をさらに15のカテゴリーに分類する。

 

・当社GHG排出の概況

当社の2023年度 Scope1~3におけるGHG排出量の内訳はScope1:781t-CO2e、Scope2:2,685t-CO2e、Scope3:314,995t-CO2eであり、Scope3が全体の98.9%を占めています。したがって、Scope3削減を一層推進することでGHG排出全体の削減に繋げていきます。

 

GHG(温室効果ガス)排出量実績(単位:t-CO2e)

区分

2019年度実績

(基準年)

2020年度実績

2021年度実績

2022年度実績

2023年度実績

Scope1

915

805

782

782

781

Scope2

5,531

4,270

3,120

3,394

2,685

Scope3

443,716

403,005

431,834

411,207

314,995

合計(Scope1+2+3)

450,162

408,080

435,736

415,383

318,461

 

Scope別GHG排出量(2023年度)

 

 

・GHG排出削減に向けた取組み内容

Scope

カテゴリー

取組み内容

Scope3

Category1

(購入した製品・サービス)

目標値:2030年度までに製品本体へのリサイクルプラスチック使用率70%

・サプライヤーエンゲージメントによるGHG排出量調査実施と削減の依頼

・サプライヤーでの毎年のGHG削減結果を反映したCategory1の算出

・低環境負荷材料(グリーンマテリアル)の採用

Category11

(販売した製品の使用)

目標値:2030年度までに製品の消費電力を▲30%

・表示システムや独自省電力機能開発による、消費電力の更なる削減

Category4

(上流の輸送、配送)

目標値:2030年度までに輸送による排出▲25%

・軽量化・小型化(グリーンデザイン)の進化

・製品積載効率の向上

・遠地への輸送は鉄道への切替えなどモーダルシフトを推進

Category12

(販売した製品の廃棄)

・低環境負荷材料(グリーンマテリアル)の採用

-

・カーボンフットプリント(CFP)の算定と公開

・主要展示会における取組み

Scope1+2

-

・国内および海外グループ会社での太陽光発電導入

・本社および国内主要工場、拠点の再生可能エネルギー電力化

・国内社有車のEVへの転換 等