2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,161名(単体) 2,921名(連結)
  • 平均年齢
    43.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    19.0年(単体)
  • 平均年収
    7,969,511円(単体)

従業員の状況

 

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

交通運輸インフラ事業

1,427

ICTソリューション事業

1,440

 報告セグメント計

2,867

全社(共通)

54

合計

2,921

 

(注) 1.従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員数であります。

2.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。

 

(2)提出会社の状況

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢

平均勤続年数

平均年間給与(円)

1,161

43歳8ヶ月

19年4ヶ月

7,969,511

 

 

セグメントの名称

従業員数(人)

交通運輸インフラ事業

703

ICTソリューション事業

404

 報告セグメント計

1,107

全社(共通)

54

合計

1,161

 

(注) 1.従業員数は、他社への出向者を除き、他社からの出向者を含む就業人員数であります。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。

 

(3)労働組合の状況

提出会社の労働組合は、1946年5月、日本信号労働組合として結成され、現在従業員中887名は日本信号労働組合を組織して全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会に加盟しております。その他連結子会社4社においてそれぞれ労働組合(組合員数130名)を結成しております。

なお、労使関係について特に記載すべき事項はありません。

 

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
    ①提出会社

当事業年度

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業取得率(%)

(注2)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注3)

全労働者

正規雇用労働者

パート・

有期労働者

4.2

90.3

71.9

76.6

68.7

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、労働者全体の女性割合は14.8%です。出向者は、他社への出向者を除き、他社からの出向者を含みます。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。出向者は、他社への出向者を含み、他社からの出向者を除いております。

3.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、同一労働の賃金に男女間の格差はなく、等級別人数構成の差によるものです。出向者は、他社への出向者を除き、他社からの出向者を含みます。

 

  ②連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める

女性労働者の

割合(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業

取得率(%)

(注2)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注3)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

日信電子サービス(株)

3.3

53.0

78.3

54.7

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、労働者全体の女性割合は7.3%です。出向者は、他社への出向者を除き、他社からの出向者を含みます。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。出向者は、他社への出向者を含み、他社からの出向者を除いております。

3.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、同一労働の賃金に男女間の格差はなく、等級別人数構成の差によるものです。出向者は、他社への出向者を除き、他社からの出向者を含みます。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、交通インフラという公共性の高い事業に関わる企業集団として、事業活動を「持続可能な開発目標(SDGs)」と関連づけて、自社にとっての重要課題を特定し、具体的な取り組みを行っています。SDGsの「世界を変えるための17の目標」になっている環境負荷の低減や災害に強いインフラづくり、安全なマチづくりにどのような役割が果たせるかを考えながら、研究開発や製品開発を展開しており、企業経営にとって大切な地域社会の皆さまとの強固なパートナーシップを育むために、教育や文化、福祉、地球環境の保全などをテーマとした社会貢献活動を積極的に行っております。
 また、企業の成長力、活力を生み出す「さまざまな働き手がいきいきと働けるプラットフォームの構築」にも一層力を注いでまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

長期経営計画「Vision-2028 EVOLUTION 100」においては、「環境変化に適応したリスク管理とガバナンス」の一環としてサステナビリティへの取り組みを掲げております。中期経営計画においても、「新事業・新商材のNext Stage」に向け、人材の獲得・育成策を推進し、新ビジネス創出を目指しているほか、TCFDの提言に基づき、気候変動への取り組みを推進しております。

全社環境委員会は、環境目標等の具体的な目標を活動に展開して実践し、取締役会の監督のもと適宜、開示をしております。

人的資本等への投資については、事業拡大や既存市場におけるシェアアップを図るべく、中期経営計画で投資ドメインや投資額を計画した上で、各年度の事業計画策定や半期ごとの投資進捗の確認という形で取締役会にて審議されるほか、毎月開催される役員会の場で議論し、投資内容の検討・変更や進捗に対する監視を適宜行っております。

 

(2)重要なサステナビリティ項目

当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下の通りであります。

・人材の多様性

・気候変動

 

①人材の多様性

a.ガバナンス

取締役会で経営方針を決定し、それに基づき人事部門が採用・教育・人事制度・健康経営など人材戦略を立案いたします。立案された人材戦略は、執行役員で構成する役員会のうち年2回設定される経営計画会議で審議され確定いたします。当社で決定した各種施策は、グループ会社社長で構成するグループ経営会議やグループ会社の総務人事部門で構成するグループ人事部会を通じ、情報共有を図ります。

 

b.戦略

当社グループでは、グループ理念「私たちの大切にすべきこと」のひとつに「自らの成長に向けてチャレンジすること(ヒトづくり)」を掲げ、人材戦略の基盤としております。この理念の下、安全と信頼の交通インフラを支える「使命感」を中心に、自ら考動する「自律心」、困難を乗り越えていく「挑戦心」、様々な人々と協力しながら新たな価値を生み出す「共創力」を持つ人材をめざす姿として定めております。

この人材の獲得・育成ならびに、全ての社員が自分らしく生き生きと働ける企業環境の実現のため、現在の28中計では、「エンゲージメント向上」、「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)推進」「不易流行の人材マネジメント」の3つを重点課題として取り組んでおります。

 

i.エンゲージメント向上のための取り組み

(ア)安全と信頼を支える使命感の醸成

当社グループが、社会に貢献し必要とされる企業であり続けるためには、全ての役員・社員がグループの使命や価値観を共有し、「交通インフラを支えるに相応しい人材」として考動することが重要です。これらの基盤になるものとして「日本信号グループ理念」において「私たちの行動規範」を策定し、法令やルールを尊重する行動を浸透させるとともに、問題を早期に発見して是正・改善する自浄作用を持つ組織づくりを推進しています。また、全社員を対象に「教訓事例教育」を定期的に開催し、事業活動において得られた気づきを共有し、当社が扱う製品が世の中へ与える影響を自ら考え、自らの仕事に活かす機会を設けております。

 

(イ)健康経営の推進

社員が心身ともに健康で働く環境維持のため、推進体制を構築し、各種取り組みを実施しており、2023年から3年間連続で「健康経営優良法人」(大企業法人部門)の認定を取得しております。

<主な活動>

(1) からだの健康

・健康診断受診後の各種フォローの実施(特定保健指導の参加率増加、医療従事者による保健指導の充実)

・定期的な運動習慣の確保のため、スポーツイベントや運動キャンペーンを継続

(各種スポーツイベントの開催)

健康増進・コミュニケーション活性化の観点から、各種のスポーツイベントを開催しております。特にグループの主要拠点が集中している関東地方においては、運動会「スポーツフェスティバル」や「リレーマラソン」、健康保険組合主催の当社グループ全体で1日平均8,000歩を目指すウォーキングキャンペーンなどのイベントを毎年開催し、多数の従業員が参加しております。

(2) こころの健康

・ストレスチェック・メンタルヘルス講習等を実施するとともに、高ストレスと判定された社員をフォローし、メンタル不調者の早期発見・未然防止を実施

(3) みらいの健康

・ヘルスリテラシー向上を目的とした各種セミナーの実施

・ヘルスケア休暇の利用促進

・喫煙対策の強化

喫煙対策の一環として、受動喫煙やニコチン依存など喫煙に係る危険性を再認識し、禁煙意識を醸成する目的で、毎年、WHOが定める「世界禁煙デー」に合わせ当社においても禁煙デーを定め、当社内全拠点で、終日禁煙の取り組みを実施しています。

 

(ウ)意識調査・サーベイの実施

社員のエンゲージメント向上を目的として「意識調査」を実施し、働きがいのある職場づくりのための課題把握・解決に活用しております。加えて、2024年度から管理職を対象とした「360度評価」を実施し、自身と周囲の認識のギャップを知ることで、本人の気づき・行動改革を促す取り組みを行っています。一例として、部下育成能力を強化する必要を認識し、後述のキャリアデザイン研修等に生かしています。

また、社員の自発的コミュニケーション活性化支援の観点から、社員同士のグループによる課外活動・自己啓発等に一定の補助を行う「このゆびとまれプロジェクト」を展開しています。

 

ⅱ.DE&I推進のための取り組み

(ア)グローバル人材獲得のための取り組み

当社では、アジアなど新興国を中心に国内で培った安全と信頼の技術をグローバル展開しています。現地と日本の架け橋となり活躍できる人材獲得のため、グローバル化を牽引する国内大学や、タイやベトナム等の大学に対し積極的な採用活動を行っております。

 

(イ)多様性への対応

フレックス勤務・時差出勤、リモートワークに加え、地域限定社員制度を導入し、社会の環境変化や社員のライフイベントなどに応じて働き方を選択できる環境づくりを進めました。

さらに、2024年には新たな福利厚生制度としてカフェテリアプランを導入し、多様化する社員の要望・ライフスタイルに合わせてサービスを選択することができるようになりました。このサービスには、介護・育児代行サービスなどの両立支援、資格取得補助や語学学習などの自己啓発、食事配達などの健康支援なども含まれ、社員のワーク・ライフ・バランスの充実をサポートしております。

 

(ウ)仕事と育児・介護 両立支援の取り組み

当社では、仕事と育児・介護両立支援のため、柔軟な働き方の推進に取り組んでおります。

(1) 制度の充実化

・看護等休暇、育児フレックスタイム勤務、産前フレックスタイムなど、育児に関する制度について対象者を広く設定

・在宅勤務とコアタイムのないフレックスタイム制を導入し、妊娠・育児・通院・介護などへの柔軟な対応と、仕事との両立を支援

制度

概要

取得対象となる社員

法定要件

当社制度

看護等休暇

子の看病や健診・入園式

などの際に利用できる休暇

小学校3年生修了の子

養育する者

小学校卒業の年度末までの子

養育する者

育児フレックスタイム制

勤務(時短含む)

出退勤時間を任意に選択して勤務することのできる制度

3歳から小学校就学前の子を養育する者

※2025年10月より

小学校卒業の年度末までの子

同居し養育する者

産前フレックスタイム制

勤務(時短含む)

本人もしくは配偶者が

妊娠した場合

 

(2) 両立支援ガイドブックの作成

両立支援についてイメージがしやすいよう、社員の声をもとにしたガイドブックを作成し公開しております。

(3) シグナリオキッズ

社員寮の一つであるシグナリオ宇都宮に企業内保育施設「シグナリオキッズ」を併設しています。事業所からも近く、仕事と子育ての両立を支援し安心して働ける環境を提供しております。

 

ⅲ.不易流行の人材マネジメント

(ア)階層別研修の実施

当社では、すべての世代が「安全と信頼」を共通の価値観として継承するため、きめ細かな階層別研修を実施しています。

(1) 若年層向け

当社では新入社員育成研修「鉄熱(てつあつ)プログラム」を導入しています。「鉄熱プログラム」とは、「鉄は熱いうちに打て」との諺にある通り、吸収力が高い新入社員時代に様々な経験を積むことを目的とした教育プログラムです。加えて、このプログラムでは、新入社員を支える体制も重要であるとの考えのもと、周囲の人材育成も同時に実施しています。

新入社員を迎える組織は「課長」がリーダーとなり、「係長」「バディ(先輩社員)」が各々の立場での役割を持って新入社員の成長をサポートし、チーム一丸の活動を行います。その活動を通じて、新入社員を取り巻く全員が人材育成に関わり、新入社員に寄り添うことにより自らも成長していくことを目指しております。2024年度では新入社員のみならず、若手社員の育成、エンゲージメント向上のための取り組み紹介、意見交換の場としての活用を行い、ディスカッションプラットフォームの場としての進化を進めております。


(2) 次世代リーダー層向け研修

次世代の管理職・リーダーの育成を目的として、幅広いものの見方・考え方を持ちながら自らの想いを明確にし、組織内もしくは顧客・取引先などさまざまなステークホルダーへ価値ある企画・提案ができるスキルを身に着けることを目指した研修を実施しております。

(3) 管理職・リーダー向け研修

管理職は、部下の育成・組織力の向上において重要な役割を担っています。2024年度は、部下の価値観や適性を理解したうえでキャリア形成の支援を行うことが出来る管理職の育成を目指して、キャリアデザイン研修を実施しました。キャリアデザイン支援での管理者の役割やキャリア面談の進め方を学び、実践力を向上させております。併せて、将来の経営人材として経営リテラシーの習得や組織リーダーとしての人間力向上を目的とした「NSサクセッションプラン(次期経営人材育成研修)」を実施しております。

 

(イ)「安全と信頼」の技術継承

交通インフラの担い手として「安全と信頼」を守り続けるために高い技術力や専門的な技能を持つ人材を継続的に育成する必要があります。将来のものづくりを担う人材を育成するための取り組みや、グローバルに成長する企業として広い視野を養うことを目的とした若手技術者の海外派遣を行っています。また、鉄道をはじめ、現地への機器設置工事において必須となる品質・安全管理などの各資格者に対して月額手当を支給し、重要な役割を果たす人材の適正な処遇と確保につなげております。

 

(ウ)自ら学ぶ文化・意識の醸成

「基本的な考え方(①人材の多様性b.戦略 参照)」にある「自律心」「挑戦心」の観点から、社員自ら学ぶ文化・意識の醸成が重要であると考えております。当社では、その機会を提供するために、通信教育講座の費用補助や公的資格取得者への手当支給などの制度を整備しています。対象となる講座や資格は、海外市場拡大に必要不可欠な英語に関するものやITに関する幅広い知識を獲得できる情報関係、難易度の高い国家資格など多岐にわたります。

 

 

c.リスク管理

採用競争力の低下や離職者の増加に伴う組織の硬直化により、企業競争力を損なうリスクがあります。

このリスクを低減させるために、給与水準の見直しを逐次行うだけでなく、広報活動の強化など採用競争力の向上に努めるとともに、従業員の外国人材や構成比の低い工学系の女性の採用を増やす等の採用活動強化や、グローバル化やDX化の進展に追随するための学び直し(リスキリング)支援や、多様性を向上させる人材の配転など、人材開発を強化しております。

また、前述の両立支援を企図した福利厚生・人事制度によって従業員を支えるほか、若年層からリーダー層、次世代の経営人材まで、自らの成長に向けてチャレンジする人材を育成し、企業価値向上に努めてまいります。加えて、良好な企業風土を保つため、長時間労働やハラスメントなどコンプライアンスに係る事案、労働災害につながるインシデント(重大事故に発展する可能性のある事象)は、代表取締役社長を委員長とする「リスク管理委員会」の議題として取り上げ、全役員・従業員で情報共有し、リスクの未然回避及び顕在化したリスクによる被害の最小化に取り組んでおります。

 

d.指標及び目標(単体)

経営戦略の実現のための人事課題を達成するため、当社では以下のKPIを設定しております。

KPI

2024年3月期

2025年3月期

目標値

目標年度

育児休業取得率

男性  92%
女性 100%

男性 90.3%
女性  100%

男性  90%以上
女性 100%

2026年3月期

女性管理職比率

3.8%

4.2%

5%

2026年3月期

技術職女性人数

49名

48名

2020年3月期比

20%増加(50名)

2026年3月期

外国籍社員採用人数

3名

1名

2名

毎年

従業員一人当たり研修投資額

75,949円

86,132円

90,000円

毎年

 

 

②気候変動

a.ガバナンス

当社グループは、気候変動への対応をサステナビリティにおける重要な課題と位置づけています。全社環境委員会では、環境担当役員を委員長とし、各サイトのトップが参加し、年度目標や計画に基づいたマネジメントが行われています。内容や進捗状況の報告に基づいて、取締役会が監督を行っています。

気候関連の責任は、全社環境委員会及び委員長が負っております。


ⅰ.全社環境委員会、取締役会

2024年度は計3回全社環境委員会が開催されました。取締役会では、IFRS S1「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」、S2「気候関連開示」(TCFD)に関わる開示情報、全社環境委員会で審議された重要事項が計2回報告されました。

取締役会では重要事項として、温室効果ガス排出量実績と目標、産業廃棄物マネジメントシステムの導入、第7期環境行動計画(2025年度~2027年度)、気候変動への品質の影響を考慮した戦略が報告されました。

 

 

ⅱ.気候関連のモニタリング

気候関連のモニタリングは、各部門から、サイト/関係会社の環境事務局に集約され、サイト環境事務局から環境・品質マネジメント推進部に報告されます。環境・品質マネジメント推進部は、環境・品質マネジメント推進部担当役員に報告し、特に重要な事項は取締役会で報告されます。モニタリングの指示は、報告と逆のルートで実施されます。

 

b.戦略(採用したシナリオ)

シナリオ分析の検討に際して、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change/国連気候変動に関する政府間パネル)AR6 SSP1-1.9、及びSSP5-8.5を参照し、それぞれⅰ.2100年までの平均気温上昇が1.5℃未満に抑えられている世界(1.5℃シナリオ)、ⅱ.2100年までの平均気温上昇が4℃となる世界(4℃シナリオ)の2つのシナリオを設定しました。

ⅰ.1.5℃シナリオ

リスク

当社への影響

当社の対応

  移行リスク

サプライヤーへの炭素税、排出権取引制度の導入

・電気料金の大幅増加

・第7期環境行動計画:グリーンエネルギー調達比率80%(日本信号グループ)達成に向け、計画的にグリーン電力を確保

・温室効果ガス排出削減目標(注1)(第7期環境行動計画)達成に向け、省エネ・再エネ(エネルギー高効率機器の導入、発電設備導入等)の推進

・事業コストの増加

 (炭素税、排出権取引)

・素材(鉄・プラスチック)等の価格転嫁が進み、調達価格の上昇

・グループ会社への脱炭素政策の展開

・ハードウエアの使用を削減した商品への転換

・気候変動枠組みを含むグリーン調達ガイドラインの提示、遵守状況確認

・電気料金の高止まり

・省エネ、再エネの継続

脱炭素社会へ
調達・投資行動の
急速な変化

・環境関連設備投資の前倒しによる追加

 費用発生

・省エネと合わせた設備投資

・脱炭素・低環境負荷素材、部品しか調達できなくなることによる品質低下

・簡易梱包の義務化による輸送時のリスク

・新規部品改廃による定期的なマイナーチェンジを計画し、品質試験、製品認定を行い、常に品質・機能を守る

・「当社への納入品」と「当社からの出荷品」の両面で簡易梱包化、またはリサイクル材料を利用

長期

・環境性能における競争激化(環境負荷の大きい製品の競争力低下)

・適切な対応がとれない場合、社会的信頼、事業機会の損失

・サーキュラーエコノミー対応によるコスト増

・SBT Scope3(注2)に基づく、

 当社主要製品の環境負荷低減

・温室効果ガス排出量削減につながる商品・サービスの開発

・TCFDへの賛同とシナリオ分析、枠組みに従った情報開示

 

 (注)1.長期的温室効果ガス削減目標(SBT Scope3)は第7期環境行動計画中に提示

2.SBT:Science Based Targets パリ協定が求める温室効果ガス削減目標、Scope3は間接的排出

 

 

ⅱ.4℃シナリオ

リスク

当社への影響

当社の対応

  物理リスク

自然災害の激甚化、急激な増加

・風水害による生産拠点の被害発生

・サプライチェーンの寸断による部品供給

 停止

・猛暑による屋外作業の制限、空調コスト

 の増加

・事業継続計画(BCP)対応:生産拠点

 での災害対策、複数の生産拠点による製

 造対応、複数の調達先、輸送手段の確保

・自家発電、蓄電能力の確保

・屋外作業環境改善

 (屋根、スポット空調等)

・顧客の被害による新規設備投資の減少

・災害対策コストの上昇による新規インフラ

 整備箇所の縮小

・災害に強い製品の開発(耐水等)

・MaaS等、既存インフラ設備を活用した

 最適な移動の提案

・災害の影響を受けやすい地域の変化による

 既存インフラの稼働率低下

・低コストで維持できるシステムの提案

温暖化による品質への影響

中期

・高温による屋外保管品の品質劣化(屋内保管への切り替えによるコスト増加)

・設計条件を超える環境になった場合の劣化の早期化

・適切な保管環境の確保、長期保管品の削減

・冠水リスクがある商品の耐水機能の標準装備、緊急出荷に応じた予備品の確保、入念な温度試験

感染症の地域的流行

・部品を含む生産工場の稼働率低下

・部品供給の寸断による生産縮小

・生産プロセスの自動化、商談のIT化

・部品、製品在庫の確保

・公共(乗合)交通の優位性低下による新規

 設備投資の減少

・感染症対策製品の開発

(検温、トレーサビリティ等)

 

 

ⅲ.機会

機会

当社への影響

当社の対応

顧客の脱炭素化を
支援する商品・
ソリューションの
販売拡大

・省エネ製品の注文増

・既存製品の省電力化設計

・長期

・脱炭素化を目的とした既存製品の置き換

  え注文増

・脱炭素化ソリューションの提案要望増加

・設計改善、商材変更による脱炭素化計画

 (製品の廃止を含む)

・温室効果ガス排出量削減につながる

 ソリューション

顧客のインフラ強靭化を支援する

商品・ソリューションの販売拡大

・停電時電源確保、浸水対策製品注文増

・太陽光発電、蓄電池つき製品の開発

・耐水型屋外製品の開発

・顧客のインフラ強靭化工事に伴う既存

 製品の置き換え注文増

・災害復旧迅速化ソリューションの提案

 要望増加

・災害時に機能を維持する製品の開発

・災害復旧の迅速化に貢献する製品の開発

 感染症対策
(ニューノーマル)につながるソリューションの販売拡大

・窓口、券売機以外での予約、決済利用

 の増加

・モバイル予約、決済に対応する改札の

 拡販

・混雑情報把握、人流平準化ソリューショ

 ンの提案要望増加

・現場作業の無人化ソリューションの提案

 要望増加

・人流把握、混雑予測等ソリューションの

 開発、提案

・遠隔監視、操作ソリューションの開発、

 提案

新規事業の
創出・展開

・災害検知ソリューションの提案要望増加

・インフラにおける災害発生を検知する

 技術の開発計画

 

 

 

ⅳ.シナリオ分析による影響の検討結果

(ア)製品・サービス

・ライフサイクルにおける温室効果ガス削減のため、ハードウエアの使用を削減した商品の開発を進めます。これには、機器の集約化、ケーブルレス(無線化)、汎用端末を使用した決済対応等が含まれます。

・異常気象による災害増加に対応するため、災害に強い製品の開発を進めます。これには、耐水型製品、停電時対応を考慮したバッテリー・発電装置付き製品等が含まれます。

 

(イ)サプライチェーン/バリューチェーン

・異常気象による災害により、部品製造工場の被災、物流の寸断に備え、複数の調達先、輸送手段を確保します。これには、複数の調達先を確保できる部品を用いた設計・開発が含まれます。

・災害時に社会インフラを維持し、迅速な復旧に貢献する製品・システムの開発を進めます。

 

(ウ)研究開発関連投資

中期経営計画「Realize-EV100」において、研究開発に210億円規模の投資が計画・実行されています。脱炭素社会を実現するための課題を解決する、CBM、自動運転、キャッシュレス決済、MaaS、ロボット分野などへ注力します。これらは、いずれも限りあるヒト・モノを効率的に配置することで温室効果ガス削減に貢献します。

 

c.リスク管理

ⅰ.気候関連リスクのマネジメントプロセス

日本信号グループでは、気候関連の以下のリスクに関して、選別・評価・管理し、全社環境委員会で妥当性を審議し、取締役会に報告しております。

・移行リスク(政策規制、市場、技術、利用者の行動変化)

・物理的リスク(自然災害、感染症、気温上昇)

 

ⅱ.気候関連のリスクマネジメント評価プロセス

1.5℃シナリオ、4℃シナリオのリスクに対して、短期・中期・長期について、通常の他のリスクと同じように、発生確率×被害の大きさで重大度を判断し、それに合わせて対応の緊急性を判断いたします。

 

ⅲ.気候関連のリスクを軽減、移転、受入または制御する意思決定プロセス

全社環境委員会(特に重要な事項は取締役会)で意思決定が行われた後、日本信号グループの各サイトに指示されます。各サイトの環境委員が中心となり、各サイトで具体的な意思決定が行われます。サイト間の調整、及び各サイトの意思決定の報告は、環境事務局会議(環境・品質マネジメント推進部が事務局)で行われます。 各サイトの意思決定の結果は環境委員から各部門に周知されます。

 

 

d.指標及び目標(ライフサイクルCO2排出量)

日本信号グループは、SBTのScope1~3に則り、温室効果ガス削減に取り組みます。特に、Scope3については、カテゴリ別の排出量測定を行い、特に自社製品の使用と廃棄に関する温室効果ガスの削減を、設計の上流から活動として取り組みます。具体的には、製品ライフサイクル全体で、政府目標である2030年温室効果ガス46%削減(2013年比)、2050年カーボンニュートラルに取り組みます。

単位:t

2022年度

2023年度

2024年度

2027年度

(中間目標)

2030年度

(目標)

削減方策

Scope1

683(単)※1

1,094(グ)772(単)

983(グ)

651(単)

600

(▲383)

300

(▲683)

電気自動車、低燃費車の活用

Scope2

1,665(単)

1,050(グ)115(単)

911(グ)

50(単)

200

(▲711)

0

(▲911)

グリーン電力への切替

Scope3

188,499

230,214

266,544

159,200

(▲107,344)

120,400

(▲146,144)

製品使用時のCO排出量削減、原材料削減

カテゴリ1

83,894

123,259

147,337

75,000

(▲72,337)

61,500

(▲85,837)

省資源化、グリーン調達※2

カテゴリ2

3,036

3,247

3,140

2,900

(▲240)

2,500

(▲640)

グリーン調達

カテゴリ4

1,715

1,355

1,577

1,200

(▲377)

1,000

(▲577)

輸送効率化、エコカー導入

カテゴリ5

457

362

370

400

(目標達成)

400

(目標達成)

 

カテゴリ6

未算出

350

344

320

(▲24)

300

(▲44)

オンライン会議の利用

カテゴリ7

647

663

650

550

(▲100)

500

(▲150)

エコ運転、公共交通の利用

カテゴリ11

56,129

59,665

71,280

45,000

(▲26,280)

25,500

(▲45,780)

CBTC、省電力・省資源化

カテゴリ12

25,621

30,834

29,985

25,000

(▲4,985)

20,200

(▲9,785)

省資源化

カテゴリ13

未算出

479

1,861

500

(▲1,361)

500

(▲1,361)

 

その他

17,000

10,000

10,000

8,330

(▲1,670)

8,000

(▲2,000)

業務活動効率化

合計

190,847

232,358

268,438

160,000

(▲108,438)

120,700

(▲147,738)

2013年度比50%減

 

※1(単)=単体、(グ)=グループ。グループの排出量には、日本信号㈱、山形日信電子㈱、日信特器㈱、

栃木日信㈱、日信工業㈱、朝日電気㈱、日信電子サービス㈱の排出量が含まれています。

※2カテゴリ1は、排出量の多くの割合を占めていますが、原材料の購入高に排出原単位を掛けた値で算出しているため、自社および調達先の排出量削減活動が反映されない問題があります。これは、算出方法を変更した上で排出量削減活動を行う予定です。