2023年12月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のあると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 当社グループの財政状況、経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクの一部を以下で取り上げていますが、全てのリスクを網羅している訳ではありません。当社グループの事業は、現在において未知のリスク、あるいは現時点で特筆すべき、または重要とみなされていない他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 世界経済の動向

 当社グループの製品は、日本、米国、韓国、台湾および中国を中心とする顧客メーカーに販売された後、日本、北米、欧州、東南アジアをはじめとする世界の各地で最終製品として販売されます。米中摩擦等をはじめとする地政学的リスクや世界的に影響を受ける感染症拡大とその感染予防措置等による経済環境の激変、景気の変動、それに伴う需要の拡大、縮小は、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

② 価格競争

 当社グループが取り扱う半導体製品およびIoT製品の市場は競争が激しく、かつ技術革新や顧客ニーズの変化および頻繁な新製品の参入がある点で特徴付けられます。当社グループは、激化する低価格競争や新規参入業者の増加を想定しつつ、新技術に根ざした顧客ニーズに対応できる製品の開発を行うとともに、競争力のある価格提示を行うことにより、これらの競争に対処しておりますが、これによっても対抗し難い事態が生じる場合には、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

③ 製造委託および仕入

 当社グループは、半導体製品およびIoT製品の製造または仕入にあたり、半導体の製造受託を専門に行うファウンドリー企業やIoT製品に使用される通信モジュール製品メーカーからの仕入れ等を行っております。当社の製品仕様に適合する商品を適時、確実に、優れたコストパフォーマンスで製造できる複数パートナーとの連携関係を維持し、半導体市場およびIoT市場の様々な業況に対しても安定的な製品供給が可能な体制を構築するよう努めておりますが、適切な製造キャパシティ、納期、コストパフォーマンス等が製造委託先または仕入先から得られない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当連結会計年度において、LSI事業の製品の製造につきましては、Advanced Semiconductor Engineering, Inc.、Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.、Faraday Technology CorporationおよびVanguard International Semiconductor Corporationの4社への製造委託割合が76.0%、AIOT事業の製品の仕入につきましてはSIMCom Wireless Solutions Co.,Ltd.1社への仕入割合が78.0%と高い状況にあります。当社グループの製品の製造を委託しているファウンドリーまたは仕入先メーカーは複数ありますが、米国と中国における輸出規制やそれに伴う供給キャパシティの過度の逼迫その他の理由により当該企業からの製品供給が安定的に受けられない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 特定顧客への販売割合

 当社グループは、当連結会計年度において、直接販売および商社経由での販売を行いましたが、そのうち株式会社マクニカ、加賀電子株式会社および伯東株式会社の3社への売上高が全体の55.8%を占めております。現時点において当該3社向けの販売割合が高いことから、何らかの理由により当該3社を通じた製品提供が困難になった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 棚卸資産

 当社グループは、客先フォーキャストを考慮しつつ、月次により棚卸資産の管理を行っており、2023年12月期末における棚卸資産の総額は8億46百万円であります。棚卸資産は、新規事業の立ち上げ時、または客先フォーキャストが安定しない場合等により、増加する可能性があります。また、当社グループは、長期間の在庫等、収益性の低下により評価減もしくは廃棄を必要とすべき在庫に関して適切に会計処理を行っております。棚卸資産の評価減または廃棄が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 研究開発プロジェクトの収益性

 半導体製品に関して、当社グループは、ミックスドシグナルLSI技術に基づき、8Kテレビ、事務機器、アミューズメント、自動車等の情報利用技術において今後のニーズの変化に対応できる新技術と新製品の開発を行っております。このための各研究開発プロジェクトは、成長する市場が必要とする機能を想定しながら実施しておりますが、投下した研究開発費の全てを回収できるとは限らず、この場合、当社グループの収益性に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 製造物責任

 当社グループは、顧客に信頼される製品の供給とブランド価値の創造に努めており、このような観点からも、品質マネジメント体制の強化を行い、厳正な品質管理を行っておりますが、全ての製品について欠陥がなく、販売先からの損害賠償請求が発生しないという保証はありません。万一損害賠償請求があった場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 知的財産権

 当社グループは、独自に開発した技術等について、特許権その他の知的財産権を取得するなど知的財産の確保・保護に努めていますが、第三者による当社グループの知的財産の不正流用を防止できない可能性があります。また、当社グループが使用している技術やノウハウは、他社が保有する特許権等、知的財産権を侵害しないように専門の部署を組織し厳重に管理していますが、万一見解の相違等により他社から特許権侵害等で提訴された場合には当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

⑨ 情報管理体制

 当社グループは、研究開発をはじめとする事業活動に際して、情報管理が重要であり、このため、コンピューター・ウィルスの検知、ファイアウォールの構築等の外部からの侵入に対する予防策を採用するとともに、ハード面での障害時に業務への支障が生じないようデータ管理の多重化を行うと共に情報へのアクセス可能な管理者の制限を行うなど、情報管理に関するシステムと社内体制の構築を行っておりますが、これらの対策にもかかわらず情報漏洩や改ざん・消去等が生じた場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

⑩ 経営リソース

 当社グループが競争力のある事業展開により企業価値を高めていくためには、将来のキャッシュ・フローを生み出す原動力となる新技術と新製品を生み出し、事業を発展させていくことが必要であり、このような方針に適合する研究開発活動をはじめとする各業務において優秀な人材を積極的に拡充することが必要です。このため、優秀な人材の確保に注力しておりますが、仮に十分な人材の確保ができない場合や流出がある場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社は、アジア市場を核とする成長を遂げるべく、日本はもとより米国、韓国、台湾、中国の各グループ会社を中心に優れた人材を獲得していく方針です。

⑪ 為替レートの変動

 当社グループの事業には海外における製品の販売、製造が含まれており、各地域における資産、売上、費用を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表上、円換算されております。2023年12月末日において保有しているドル建ての現金及び預金は約8百万米ドルあります。当社グループでは、売上仕入ともにドル建て取引を行っており、為替変動の影響は受けづらい体制を取っておりますが、これらドル建て資産は、換算時の為替レートにより、現地通貨における価値が変わらなかったとしても、為替変動の影響により円換算後の資産価値が変動し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は経営基盤の一層の強化と今後の積極的な事業展開に備えるために内部留保の充実を重視しておりますが、株主に対する積極的かつ安定的な利益還元策の実施も重要な経営課題と認識しております。具体的には業績動向、配当性向等を考慮しながら、利益配当(年1回)を実施したいと考えております。剰余金の配当の決定機関は取締役会であります。

 上記の方針に基づき、当社業績と配当金の連動を高める観点から、第31期(2022年12月期)は、1株当たり15円、総額162百万円の配当を実施いたしました。

 当社は「取締役会の決議により、毎年6月30日を基準日として中間配当を行うことができる」旨、および「会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる。」旨を定款に定めております。

 なお、第32期(2023年12月期)の配当についての取締役会決議は2024年2月2日に行っており、当社普通株式1株につき金15円(配当総額160百万円)とさせていただきました。