リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 事業等のリスク
① 国際情勢について
当社グループは国内のみならず米国、欧州、アジア、中近東、ロシア等の地域で商品を供給しています。従って、これらの国または地域の経済状況や地政学的要因、法的規制等により当社グループの販売活動に影響を及ぼす可能性があります。特に、ウクライナ情勢の長期化や、中東地域の混迷などにより、資源価格をはじめとした過度の物価上昇によるインフレが世界経済への悪影響を及ぼした場合、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、こうしたリスクが顕在化した場合、その影響を最小限に留めるため、米国、ドイツ、シンガポールの現地法人との連携を密にし、各地域の情勢を的確に把握するとともに、サプライチェーンの強化を図って参ります。また、国際情勢の変化に伴う為替相場の変動リスクにも備え、為替予約等によりリスクの最小化に努めて参ります。
② 災害・事故について
当社グループでは、工場における生産活動に関し、労働安全衛生に配慮するとともに、環境マネジメントシステムISO14001の認証を取得し、地球環境に配慮した生産活動に努めております。また、首都圏における大規模地震の発生などにより本社機能が麻痺した場合に指揮命令系統を早期に確立するための震災マニュアルも策定しています。しかしながら、不測の大規模地震や台風等の自然災害による生産設備の被害、工場における事故、製品輸送・外部倉庫保管中の事故等、不測の事態が発生するリスクが考えられます。これらの事象は、工場の操業や顧客への供給に支障が生じることで、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 品質リスク
① 品質について
当社グループは設計から製造・検査に至るまで、製品の品質および安全性には細心の注意を払っています。しかしながら、製品の品質面でのリスクを全て排除するのは不可能であり、製造物責任(PL)問題を提起される可能性があります。また、その他にも製品の不具合による賠償など品質や安全面での問題を提起される可能性も考えられ、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、こうしたリスクに備え、製品の設計段階からデザインレビューを実施するともに、製品化の前段階での品質、性能評価試験を徹底しています。また、製品として出荷前に品質管理部門での出荷前テストを綿密に実施しています。
② 製品開発について
当社グループは、国内外の市場へ向けた新製品、新技術の開発を進めておりますが、各事業において、市場で競合する各社との競争の激化により、製品競争力が相対的に低下し、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、こうしたリスクが発生しないよう、常に次世代技術の習得・獲得・活用に注力し、各事業において市場でのマーケティング戦略の立案・実行による製品開発へのフィードバックを徹底します。
(3) コンプライアンス・リスク
当社グループは、事業の遂行にあたって、国内はもとより、事業を展開する各国において、当該国の法的規制の適用を受けています。これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等により、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受けたりお客様からの信頼を失ったりする可能性があります。当社グループでは、コンプライアンスの取り組みを横断的に統括するRC委員会を設置し、具体的な計画を策定、実行することで、リスクの未然防止に努めています。また、リスクマネジメントやコンプライアンスに関する研修を通じ、従業員へ法令順守の意識醸成と徹底を推進し、違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。
(4) 財務制限条項に関するリスク
当社グループは、資金需要に対する機動性と安定性の確保および資金効率向上を図ることを目的に、取引銀行3 行とコミットメントライン契約等を締結しています。これらには純資産の減少および経常損失の計上に関する財務制限条項が付されています。これに抵触し、借入先の請求に基づき借入金の返済を求められた場合、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主の皆さまへの利益還元を経営の重要な責務であるという認識のもと、収益の状況や経営環境に対応した安定配当の継続を基本とし、企業体質の強化と将来の事業展開に備えるための内部留保の充実等を勘案し、配当を行うことを基本としています。
当社グループの今期の業績は、国内においては、放送システム事業は前年同期並みに推移し、産業システム事業でも検査装置事業で売上を伸ばすなど、前年同期の売上高を上回りました。しかしながら海外では、メディカル事業の注力市場である中国における年度を通じた反腐敗運動の継続や景気低迷、更には今後の米国との関税動向等が中国医療機器メーカーの経営判断に大きく影響したこともあり、想定していた売上高を大幅に下回り、また、放送用カメラにつきましても、特に北米市場における新大統領就任後の政策動向見極めによる客先設備投資の先送りや、中東市場で一部大型案件の計画延期が生じた頃から、期初の予想を下回る結果となりました。
損益面につきましても、売上高の減少と併せ、特に収益性の高い中国向け医療用カメラの納入が来期以降に延期となったことによる大幅な減益が影響し、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに当初の予想を下回る結果となりました。
このような状況を踏まえ、当期におきましては、誠に遺憾ながら期初の予想から21円減配し期末配当として1株当たり12円の配当を実施することといたしました。
なお、当社は、剰余金の配当の決定につきましては、迅速な配当金のお支払を目的に取締役会決議で行うことを定款第39条に定めています。
当社を取り巻く事業環境は、中国経済の停滞継続や中国国内の医療業界での反腐敗運動が長期化しております。また、国内における物価上昇の継続による個人消費への影響や、米国の通商政策等を背景とした景気の下振れリスクが存在し、金融資本市場の変動等の影響にも引き続き注意が必要な状況です。
こうした事業環境のもと、放送システム事業におきましては、次世代新技術の獲得・活用を通じ、IPをはじめとする高度なトータルシステムソリューションの提案力を強化し、更新需要の確実な取り込みを推進して参ります。また、4Kカメラシステムや、新製品のIPエクステンションユニット「IPX-100」および4K/HDマルチパーパスカメラ「UHL-X40」の販売促進により、シェア拡大を目指して参ります。
産業システム事業におきましては、セキュリティー事業において、防衛省をはじめとする公共性の高い官公庁や鉄道、プラント市場等を最注力領域と位置づけ、売上規模の拡大を図って参ります。メディカル事業では、引き続き海外を中心とした内視鏡および顕微鏡用カメラの新規OEM顧客の獲得に加え、新規事業領域への参入を推進して参ります。なお、中国市場における医療用カメラの販売につきましては、官公立病院における入札状況は回復傾向にある一方で、中国経済の停滞継続や今後の米国との関税動向等が懸念される状況です。引き続き、現地医療機器メーカーとの商談を継続し、密なるコンタクトを図って参ります。さらに、検査装置事業においては、医薬市場向けの錠剤検査装置や錠剤印刷装置等のシェア拡大に加え、労働人口減少に伴う検査自動化ニーズへの対応を進め、医薬市場以外も含む事業規模の拡大を目指して参ります。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は、以下のとおりです。