リスク
3【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅したものではありません。
1.経営上の重要な契約に関する事項
(1)マスター・フランチャイズ契約に係るリスクについて
ア.マスター・フランチャイズ契約について
当社は、Anytime Fitness Franchisor,LLCとマスター・フランチャイズ契約を締結し、エニタイムフィットネスの日本におけるマスター・フランチャイジーとして、フランチャイズシステム全体の運営と、連結子会社による直営店の運営を行っております。
Anytime Fitness Franchisor,LLCと当社は、契約締結以降、長年にわたり良好な関係を維持しておりますが、当該「マスター・フランチャイズ契約」には、主に以下の条件が定められております。
① 当社は15年を1期間としてマスター・フランチャイズ契約を無制限に更新する権利を有しているが、当該契約の当初の契約期間は2025年6月9日までとなっていること。
② 現時点で、開発計画において当該契約終了時までに要求される店舗運営件数は既に達成しているものの、各年次において達成すべき最低店舗運営件数が開発計画に定められていること。
③ 当該契約期間中、当社がエニタイムフィットネス以外のフィットネス関連事業、又はエニタイムフィットネスの会員等に対する物品販売又は役務提供を行うためには、Anytime Fitness Franchisor,LLCの事前の許諾を要すること。
④ 当社に対し、当該契約終了後2年間は一定範囲の競業避止義務が課される旨、及び契約終了後の秘密保持義務が課される旨が規定されていること。
⑤ Anytime Fitness Franchisor,LLCの単独の判断により、当社のエニタイムフィットネス事業に重大な影響を与えない範囲内で、当社が「エニタイムフィットネス」の商標の使用を中止又は変更しなければならない可能性があること。
⑥ Anytime Fitness Franchisor,LLCは、当社の同意なく、マスター・フランチャイザーの権利を第三者に譲渡できること。
⑦ ③で定める取引上の制約が、裁判所の判断、適用法令等により無効等とされた場合において、当社がエニタイムフィットネス以外のフィットネス関連事業、又はエニタイムフィットネス会員等に対する物品販売又は役務提供を行う場合は、当社が当該事業により得た収益の一定割合をAnytime Fitness Franchisor,LLCに支払う義務が発生すること。
⑧ 当該契約を遵守しない場合、重大な表明保証違反の場合又は支払不能となった場合等が契約解除事由であること。
イ.マスター・フランチャイズ契約に係るリスク
当社は、Anytime Fitness Franchisor,LLCとは引き続き良好な関係を維持するよう努めており、現時点において、同社との契約の継続に支障を来す要因は発生しておりませんが、Anytime Fitness Franchisor,LLCの経営方針の変更、Anytime Fitness Franchisor,LLCと当社との関係の悪化若しくはマスター・フランチャイズ契約の契約上の地位の譲渡を受けた第三者の経営方針変更や当該第三者との関係悪化等によって契約更新の合意が成立しなかった場合、又は上記に代表される当社が果たすべき各種契約上の義務を当社が履行できずに契約が解除された場合は、当社が競業避止義務に抵触しない新たな事業を行うことは可能なものの、契約終了後2年間の競業避止義務があることから、事業の継続が困難になる可能性があります。
また、マスター・フランチャイズ契約に基づき、Anytime Fitness Franchisor,LLCの事前の許諾を得られない場合は③の条件により特定の事業を行えないことから、将来、当社グループの事業戦略において制約を受ける可能性があります。
加えて、Anytime Fitness Franchisor,LLCの経営方針に変更等があった場合、Anytime Fitness Franchisor,LLCからロイヤリティ等の引き上げや追加的なサービスの販売等の要請がありこれに応じざるを得なかった場合、又はAnytime Fitness Franchisor,LLCと当社との関係が悪化した場合、当社グループにおいて営業戦略の見直しや商標の使用中止又は変更に伴う諸費用が増加する等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
2.事業に関する事項
(1)感染症等による影響について
当社グループでは、「安全」「安心」「清潔」「快適」な店舗クオリティの維持・改善・向上に努めながら、店舗においては、様々な感染防止対策を行った上で、全店舗において、24時間営業(※)を継続しております。しかしながら、新型コロナウイルス等の感染症の再拡大により、各都道府県からの休業要請を受け店舗を臨時休業する場合や再度外出の自粛要請が出された場合など、感染症等の影響により、入会者が想定通り増加せず、休退会する会員が増加し、またそれによりフィットネスジム利用に係る需要が当社の想定通り増加せず、FCオーナーの出店意欲への影響が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(※) 改装、停電、検査等のための休業を除きます。
(2)新規出店に係るリスクについて
当社グループは、今後も様々な情報ルートを活用し出店候補地の情報を収集するとともに、集客予測に基づき投資採算性の検証を行いながら、積極的にフィットネスクラブ運営事業の開発を進めておりますが、当社が出店を決定した後に、景気の変動があった場合、計画時の市場調査から環境に変化があった場合、FCオーナーの出店意欲が減退した場合、出店候補地が確保できない場合、出店に必要な人材が確保できない等の理由により出店計画数に満たない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)競合の出店等に係るリスクについて
当社グループが新規出店をする際には、商圏誘引人口、交通量、競合店調査、賃借条件等の立地調査を綿密に行った上で新規出店の意思決定をしております。また、消費者の行動様式の変化等に対応すべく、SNSを活用した広告宣伝等を行うとともに、店舗の混雑状況をホームページ等に記載する店舗を増やしていくことを検討しております。しかしながら、当社グループの出店後に交通アクセスが変化した場合や、同業他社等から新規参入があった場合には、そこに新たな競合関係が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、24時間年中無休・マシンジム特化型という、当社グループが運営するフィットネスクラブと同じ特徴を打ち出した低価格・低品質のフィットネスクラブが増加した場合、価格競争の激化や、低品質の同業他社の不祥事等による業界イメージの悪化等により、顧客流出やそれに対処するための様々なコストの増加等が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、最近では、オンラインでフィットネスレッスン等のサービス提供を行う事業者の参入も増加しており、消費者の行動様式の変化等により、これらを含む他のサービス形態のフィットネスジムに顧客が流出した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)FC店への店舗運営指導に係るリスクについて
当社グループは、直営店の運営に加え、FCが運営するFC店を含めたフランチャイズシステム全体の運営を行っております。
FCは独立した経営主体であるため、当社グループの指導に従ったサービスの提供が行われないことにより生じる潜在的なリスクや、個人情報保護法等の法令を遵守することを定めたサブ・フランチャイズ契約に違反することにより生じる潜在的なリスクを抱えております。
FC店の運営に関しては、FCに対して店舗運営のために必要なサポートを提供するとともに、法令遵守のための指導並びにコンプライアンス研修を実施しており、直営店と同水準のサービスを提供し、法令遵守をはじめとするコンプライアンスを徹底するための体制を整えております。
当社グループのこれらの取り組みにも関わらず、上記のような潜在的リスクが顕在化した場合には、エニタイムフィットネスのブランドの価値が棄損し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)集客に苦戦した場合の労務費や賃借料等の固定費負担が大きいことに伴う収益悪化に係るリスクについて
当社グループが新規出店をする際には、商圏誘引人口、交通量、競合店調査、賃借条件等の立地調査を綿密に行った上で集客予測を立て、所定の期間内に投資回収が出来ると判断した場合のみ新規出店の意思決定をしております。また、直営店のスタッフは基本的に店舗マネージャー以外をアルバイトスタッフのみで運営しており、労務費を変動費化するよう努めております。
しかしながら、フィットネスクラブ運営における収益構造は労務費や賃借料等の固定費の負担が大きいため、新規出店の意思決定を行った後に競合環境の変化が生じ集客に苦戦する等、会員数が出店時の計画に達しない場合には、収益の確保や、初期投資の資金回収に時間がかかり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)有利子負債への依存と金利変動の影響について
当社グループが直営店を新規に出店する際には、建物入居のための敷金及び保証金、店舗内装設備及び器具備品等のための資金を必要とします。当社グループは、これらの資金に自己資金を充当するとともに、金融機関からの借入金も充当しているため、当社グループの当連結会計年度末現在の借入金残高は、長期・短期を合計して3,239百万円となり、有利子負債依存度は14.9%となりました。
当社グループは、公募増資による手取金を新規出店時の資金に充当し、有利子負債への依存度を低減させていく方針であり、また、複数の金融機関と良好な関係を維持するとともに、今後の金利動向を注視してまいります。
しかしながら、近年の低金利の状態が続いている環境が急変し、今後、金利が上昇した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)賃貸借による店舗展開について
当社グループは、直営店の運営に当たり当連結会計年度末現在の土地建物賃貸借契約により賃貸人に差し入れている敷金及び保証金の残高が1,531百万円あります。当社グループでは、賃貸借契約において、当社グループが差し入れている敷金及び保証金を担保として提供することを禁じており、敷金及び保証金が回収不能となるリスクを減じております。しかしながら、賃貸人の財政状態が悪化し、返還不能になったときは、賃料及び解体費用との相殺ができない範囲において貸倒損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)固定資産の減損について
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用し、直営店については、各店舗を資産グループとしてグルーピングしております。当社グループは、各店舗の運営状況及び収益状況については毎月確認し、店舗の会員数が当初の計画を著しく下回っているような場合には、会費の見直しや集客のための広告宣伝の媒体の変更等、会員数を増加させるための施策を実行しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症再拡大や新店が黒字化するまでの期間が従来よりも長期化する傾向にあることや、近隣への競合店の出店による影響を受けること等により、店舗の収益及び評価額が著しく低下し、有形固定資産の減損処理が必要となった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(9)情報システムセキュリティについて
当社グループは、会員情報を管理し、会費等の徴収を行うための会員・会員管理システムと海外のエニタイムフィットネス店舗も含む相互利用を可能とするための全世界共通の入館管理システムを直営店及びFC店全店で利用しております。社内の業務システムを含むこれら情報システムには、ウイルス感染やサイバー攻撃等によるシステム障害及び社外への情報漏洩等のリスクに対する対策を図り、また、FC店を含む店舗スタッフ等のシステム使用者に対する教育を行っております。しかしながら、当社グループの想定を超えるサイバー攻撃や、システム使用者による不正行為等により、重要データの破壊、改ざん、流出、システム停止等を引き起こす可能性や、会員様が入館出来ない等の事象が発生する可能性があります。このような情報システムセキュリティの問題が発生した場合、当社グループのブランドイメージ及び社会的信用の低下により、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(10)単一事業であることのリスクについて
当社グループは、「フィットネスクラブ運営事業」の単一事業であるため、当社はエニタイムフィットネスのフランチャイズシステム全体の運営を行うとともに、子会社の株式会社AFJ Projectがサブ・フランチャイジーの1社として、エニタイムフィットネスの店舗を運営することで、FCからのロイヤリティ収入と直営店における会費収入という、主に2つの大きな収益源を有しております。また、収益源を多角化するための新しい事業領域の開拓を課題と認識し、新規事業について検討を進めておりますが、社会情勢の変化等により、フィットネス産業の成長が想定通り進まない場合、又は、当社グループが事業環境の変化に適切に対応できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)個人情報の保護について
当社グループは、フィットネスクラブ運営事業において、顧客の入会手続等によって個人情報を取得し、利用しております。当社グループでは、個人情報の保護に関する法律を遵守し、必要な社内規程を定め、社員教育を徹底することで個人情報の取り扱いについて適正な管理に努めておりますが、万一、個人情報の漏洩や不正利用が発生した場合、損害賠償請求やブランドイメージの低下により、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(12)従業員による不適切な行為等について
当社グループにおいて、過去に店舗従業員による不適切な行為が発生したことがありますが、当社グループでは問題を真摯に受けとめ、再発を防止するためのルールの策定や社員教育を徹底する等の対応策をとり、発生防止に努めております。しかしながら、こうした当社グループの取り組みにもかかわらず、将来同様の事案が発生した場合又は過去に発生した事案や対応中の事案についての情報が拡散した場合には、当社グループのブランドイメージ及び社会的信用の低下につながる可能性があります。
また、昨今、パートタイム・アルバイト従業員が、勤務に関連する不適切な画像をインターネット等において公表するなど、不適切な行為をした結果、店舗の閉鎖・休業に至るなど、業務運営やブランドイメージ等に影響が及ぶ事例が出てきております。
当社グループでは、インターネット・ソーシャルメディア等への不適切な書き込み等については、専門の会社に委託し、毎日確認しておりますが、そのような事象が発生したことにより情報が拡散した場合には、その内容の正確性にかかわらず、当社グループのブランドイメージ及び社会的信用が低下することにより、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(13)店舗内の事故について
当社グループが運営する店舗内は24時間録画されており、万が一のトラブル・事故等を知らせる通報が入った際には、いつでも警備員が駆け付けるセキュリティシステムを構築しております。
しかしながら、当社グループが運営する店舗内で事故が発生した場合、当社は損害賠償請求を受ける可能性があります。当社は店舗内で発生する事故に関し、損害賠償責任保険に加入しておりますが、損害賠償請求額が保険金額を超えた場合、当該超過額については、当社が負担する可能性があります。また、このような事故、訴訟により、当社グループのブランドイメージ及び社会的信用の低下により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)訴訟等について
現時点において、当社グループの事業に重要な影響を及ぼすおそれのある訴訟は提起されておりません。しかしながら、今後フィットネスクラブ運営に関し、訴訟その他の法的手続等の対象となる可能性があります。かかる法的手続等は多くの不確定要素により左右されるため、その結果を予測することができません。将来において訴訟等の法的手続等が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
3.事業環境に関する事項について
(1)経済情勢について
当社グループが事業展開しているフィットネス業界は、主として個人消費者を対象顧客としております。エニタイムフィットネスの会員様からは月次で会費を収受しており、日々の売上が発生する業界に比して会費収入は安定しておりますが、個人消費が低迷するような経済局面においては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)気候変動並びに自然災害等の発生について
気候変動により近年発生が増加傾向にある異常気象や自然災害は、中期的にも継続するとともに規模の拡大が見込まれます。
当社グループは、フィットネスクラブ運営にあたり施設や器具を有しておりますが、大規模な震災や水害等の自然災害や火災等により施設や器具等が大規模に毀損し事業運営が困難になった場合、あるいはこれらの災害や感染症等の影響により予定通りに施設や器具を調達できずに新規出店が困難になった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの気候関連に関わるリスク分析の詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への取り組みとTCFD提言に基づく情報開示」に記載しております。
(3)法的規制について
当社グループは、これまで法的規制によって事業展開に制約を受けたことはなく、現時点において何らかの法的規制への抵触は認識しておらず、また、コンプライアンス体制も整備しております。しかしながら、今後新たな法的規制等の導入や既存の法的規制の改廃や解釈の変更等が生じた場合並びに重大な法令違反が起こった場合には、当社グループの業績や事業の存続に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、更なる財務体質の強化や事業拡大及び競争力の確保を経営の重要課題として位置づけております。配当に関する基本方針として、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しつつ、内部留保の充実を図り、事業拡大と事業の効率化のための投資に充当し、持続的に成長することで企業価値を高めていくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。会社法第459条第1項各号に基づき、取締役会の決議によって剰余金の配当を行うことができる旨を定款に定めております。
当事業年度の剰余金の配当につきましては、上記方針のもと、1株当たり45円(うち中間配当金10円)としております。
内部留保資金につきましては、企業体質の強化及び将来投資のための財源として利用していく予定であります。
なお、当社は、中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年10月16日 |
187 |
10 |
取締役会決議 |
||
2024年5月14日 |
655 |
35 |
取締役会決議 |