2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 当社グループの事業環境に係るリスクについて

イ 外国為替証拠金取引市場について

当社グループの主要な事業である外国為替証拠金取引事業は、多様化する個人資産運用の気運や株式運用の個人ネット顧客の参入等により、活況を呈しております。当社では、今後も継続的な成長が見込める市場として取引規模も拡大すると考えております。

しかしながら、景気動向や金融情勢または競合商品の出現等により、市場が縮小する可能性があります。その場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

ロ 為替変動が当社グループに与える影響について

当社グループの主要な収益源は、顧客の取引によるトレーディング損益であります。トレーディング損益は顧客の取引高の増減に大きく左右され、顧客の取引高は為替変動に大きく左右されます。為替変動率が高い場合は、顧客の取引高が増加し、反対に為替変動率が低い場合、顧客の取引高が減少する傾向にあります。また、為替変動が当社グループの顧客に不利に働き損失が過大となった場合は、投資意欲が減退し取引高が減少することも想定されます。

そのため、このような状態が続いた場合、当社が想定する以上に取引高が減少するような事態が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

ハ 為替市場の流動性が当社グループに与える影響について

当社グループでは、顧客との取引により生じるポジションの為替変動リスクを回避するため、複数のカウンターパーティとカバー取引を行っております。

しかしながら、天災地変、戦争、テロ、規制の強化、伝染病・感染症等何らかの事由により急激な為替変動が発生した場合や、為替市場の流動性が低下した場合、当社グループはカウンターパーティとのカバー取引ができなくなり、顧客との取引により生じるポジションの為替変動リスクを回避することができなくなる可能性があります。その場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

ニ 外国為替証拠金取引等に対する規制について

当社グループの主要な事業である外国為替証拠金取引事業は、「金融商品取引業等に関する内閣府令」により、想定元本の4%以上の証拠金の預託を受けずに業者が取引を行うことを禁止する(レバレッジ規制)等、投資者保護のための様々な規制が定められております。また、2020年1月からは、「金融商品取引業等に関する内閣府令」に基づき、外国為替相場の変動その他の理由により発生し得ると想定される損失が経営の健全性に与える影響を分析し、必要に応じて経営の健全性を確保するための措置を講じること(ストレステストの実施)が義務付けられました。

当社グループでは、これらの規制が財政状態及び経営成績等に及ぼす影響を考慮した上で、リスク量の削減や自己資本の拡充等を日々実施・検討しておりますが、さらなるレバレッジ規制の強化やストレステストで求められる基準の厳格化等、規制対象の拡大や強化等の事業に関連する法令、諸規則等が改正・施行された場合、または当社グループの自主的な対応により規制強化を図った場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

 

ホ 外国為替証拠金取引における競争激化について

外国為替証拠金取引業界においては、証券会社やネット系銀行の他、新たに異業種大手企業の本格的参入等に
より顧客の獲得競争が激化しております。

当社グループでは、他社との差別化、顧客満足度の向上を実現するため、食品キャンペーン等を実施することで他社との差別化を図っておりますが、当社グループの差別化戦略が功を奏さなかった場合、競争の激化により更なるスプレッドの縮小が進んだ場合、または新規顧客を獲得するための費用が増加した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

② 当社グループの事業構造に係るリスクについて

イ 顧客に対する信用リスクについて

当社グループでは、顧客が外国為替証拠金取引、店頭証券CFD取引を行うにあたって、不測の損失を被ることを未然に防止するためのロスカット制度を採用しており、顧客が取引を行った結果一定の水準以上に損失を被った場合、自動的にロスカットが働き、顧客の受入証拠金の範囲内で損失が収まるように努めております。

しかしながら、金融市場、為替相場の急変等により顧客から預っている証拠金以上の損失が発生する可能性があります。その場合、当社グループでは顧客に不足金の支払請求を行いますが、顧客から不足金の入金がない場合、顧客の不足金の全部または一部を回収できない可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

ロ 取引システムについて

当社グループの金融商品取引ではすべての取引がインターネットを通したオンラインによるものとなっております。そのため当社グループでは、取引システムの安定稼働を重要な経営課題としており、それを実現するための様々な対応を実施しております。

しかしながら、取引システムに動作不良や人為的ミス、想定以上のアクセス数の増加、通信回線の障害、コンピュータウィルス、サイバーテロ、自然災害等によって障害が発生し、かかる障害に対して適切な対応ができない可能性があります。その場合、障害によって発生した損害についての賠償請求や、当社グループの信用及び企業イメージの失墜による顧客数の減少等が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

ハ システム会社への業務委託について

当社グループの扱う取引システムについては、システム会社とASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)契約を締結しております。当社では、システム会社に対して、信用状態等の定期的な調査を行うとともに、システム会社との間で毎月定例会議を行う等良好な関係の維持・発展に努めております。

しかしながら、予期せぬシステム会社の破綻、事業方針の転換等何らかの事由により信頼関係が毀損し、システム会社との業務委託契約の継続が困難になった場合または業務委託手数料が大幅に増加した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

ニ カウンターパーティとのカバー取引について

当社グループでは、顧客との取引により生じるポジションの為替変動リスクや、原資産の価格変動リスクを回避するため、複数のカウンターパーティとカバー取引を行っており、取引を行うカウンターパーティに対して差入証拠金を預け入れております。

しかしながら、急激な為替変動や、原資産の価格変動の発生、顧客ポジションの増加等が発生した場合はカウンターパーティに対する差入証拠金を増額する必要があり、当該差入証拠金の資金を確保できない場合には当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

 

ホ 資金調達リスクについて

当社グループの主要な事業である外国為替証拠金取引は、カウンターパーティとのカバー取引をする際、カウンターパーティに一定額の差入証拠金を預け入れる必要があります。顧客からの預り資産については区分管理し金銭信託に一本化することが義務付けられているため、カウンターパーティへの差入証拠金については、自己資金、金融機関からの借入金、当座貸越契約等に基づく借入金、カバー先に差入れる差入証拠金に代用する銀行保証状の発行(ボンド・ファシリティ契約)により調達しております。

しかしながら、銀行の事業方針の転換等何らかの事由により金融機関からの資金調達が困難になった場合、かかる借入金の契約更新ができなくなる可能性があります。また、当座貸越契約及びボンド・ファシリティ契約には財務制限条項が付されており、経営成績等の悪化により財務制限条項に抵触した場合、期限の利益を喪失する可能性があります。その場合、カウンターパーティに必要な差入証拠金を預け入れることが困難になり、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

ヘ 組織体制の強化について

当社グループでは、継続的な成長を続けていくため、社内教育や研修の充実及び適正な人事評価の実施により優秀な人材の確保と育成及び組織体制の強化を図っております。

しかしながら、今後当社グループが求める優秀な人材の確保と育成が計画どおり進まなかった場合、組織体制の強化が図れず、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

③ 法的規制について

イ 金融商品取引法について
a 金融商品取引業の登録について

当社及び連結子会社JFX株式会社は、それぞれ近畿財務局及び関東財務局から「金融商品取引法」第29条に基づく「第一種金融商品取引業」の登録を受け、「金融商品取引法」等の法令・規制等を遵守し事業を行っております。

金融商品取引業については、「金融商品取引法」第52条第1項及び第4項もしくは同法第53条第3項、同法第54条により登録の取消しとなる要件が定められており、これらに該当した場合、登録の取消しを含む行政処分が下されます。

当社及び連結子会社JFX株式会社では、法令遵守の徹底を図っており、現時点では取消事由に該当する事実はありません。

しかしながら、当社グループにおいて何らかの事由により諸法令等に違反する事象が発生した場合、行政指導や業務停止・登録取消等の行政処分を受ける可能性があります。その場合、当社グループの信用が著しく損なわれ、財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

b 自己資本規制比率について

「金融商品取引業等に関する内閣府令」第179条第4項第2号により、自己資本規制比率が120%を下回った場合、「自己資本規制比率の状況を回復させるために自らとるべき具体的措置に関する計画書」を提出することが義務付けされており、更に自己資本規制比率が100%を下回った場合、「金融商品取引法」第53条第2項により、3ヶ月以内の期間を定めて業務の全部または一部の停止を命じられる可能性があります。また、同条第3項により、業務停止命令後3ヶ月を経過しても自己資本規制比率が100%を下回り、回復の見込みがないと認められる場合、金融商品取引業者の登録が取り消される可能性があります。

2024年3月31日現在、当社の自己資本規制比率は786.2%、連結子会社JFX株式会社の自己資本規制比率は1548.6%であり、本項目で記載されている自己資本規制比率の値を上回っておりますが、かかる事象に抵触した場合、行政指導や業務停止・登録取消等の行政処分を受ける可能性があります。その場合、当社グループの信用が著しく損なわれ、財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

 

c 顧客資産の区分管理及び分別管理について

金融商品取引業者は、顧客資産が適切かつ円滑に返還されるように顧客から預託を受けた金銭を自己の固有財産と区分または分別して管理することが義務付けられております。

当社及び連結子会社JFX株式会社では、外国為替証拠金取引における顧客からの受入証拠金について株式会社三井住友銀行と顧客区分管理信託契約を締結しております。また当社では、店頭証券CFD取引における顧客からの受入証拠金について、SBIクリアリング信託株式会社と顧客分別金信託契約を締結しております。このように、それぞれ金銭信託を実施することにより、顧客資産の保全体制を整えております。しかしながら、何らかの事由により当社及び連結子会社JFX株式会社において金銭信託を実施できない事象が発生した場合、行政指導や業務停止・登録取消等の行政処分を受ける可能性があります。その場合、当社グループの信用が著しく損なわれ、財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

d 金融商品取引業者に係る禁止行為等について

金融商品取引業者は、「金融商品取引法」第38条により、金融商品取引契約の締結またはその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為や、顧客に対し不確実な事項について断定的判断を提供し、または確実であると誤解させるおそれのあることを告げて金融商品取引契約の締結を勧誘する行為等、様々な禁止行為が定められております。

当社グループでは、コンプライアンスマニュアル等に禁止行為を織り込み役職員に対し周知徹底を図っておりますが、当社グループにおいて何らかの事由によりかかる法律に違反する事象が発生した場合、行政指導や業務停止・登録取消等の行政処分を受ける可能性があります。その場合、当社グループの信用が著しく損なわれ、財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

ロ 個人情報の保護に関する法律について

「個人情報の保護に関する法律」は、個人情報を取り扱う事業者に遵守する事項を定め、個人情報の不適切な取扱いによる個人の権利利益の侵害を未然に防止することを目的としております。

当社では、2012年12月にプライバシーマークを取得し、関連する社内規程の整備及び役職員への教育を行うことで個人情報の保護に努めておりますが、外部からの不正アクセスや不測の事象の発生によって個人情報の漏洩・流失等の事故が発生した場合、監督官庁からの処分、顧客からの損害賠償請求等により当社グループの信用が著しく損なわれ、財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

また、当社グループは、欧州における個人情報保護を規定した「EU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation)」に対応するため、社内体制とプロセスを強化してリスクを低減しています。EU一般データ保護規則違反により万一制裁金が課された場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

ハ 犯罪による収益の移転防止に関する法律について

「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(以下「犯罪収益移転防止法」という。)は、顧客の本人特定事項等の確認、記録の保存及び疑わしい取引の届出等を法律上の義務とし、顧客管理体制の整備を促すことにより、テロ資金や犯罪収益の追跡のための情報確保とテロ資金供与及びマネー・ロンダリング等の防止を目的としております。当社グループでは、犯罪収益移転防止法に基づき、当社グループ所定の本人特定事項に関する書類等を顧客から徴収して確認を行うとともに、反社会的勢力に該当しないことの確認を行い、顧客カードを作成して確認記録及び取引記録を保存する等法令遵守を徹底しております。

しかしながら、当社グループの何らかの事由により、かかる法律に違反する事象が発生した場合、行政処分や当社グループの信頼失墜等により、財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

ニ その他の法的規制について

当社グループは、「金融商品取引法」、「個人情報の保護に関する法律」、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」の他、「外国為替及び外国貿易法」、「金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律」、「消費者契約法」等の諸法令、日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会の定める諸規則等に従って業務を遂行しており、諸法令及び諸規則を遵守するため、コンプライアンスの徹底を図り、内部管理体制の整備に努めております。

しかしながら、当社グループにおいて何らかの事由によりかかる諸法令等に違反する事象が発生した場合、行政処分や当社グループの信頼失墜等により、財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

④ 海外における事業活動について

連結子会社HIROSE FINANCIAL UK LTD.、Hirose Financial MY Limited及びLION PAYMENT UK LTD.は、海外にて金融事業を行うために法令上必要となる認可を受け、事業活動を行っております。

しかしながら、海外において何らかの事由により諸法令等に違反する事象が発生した場合、罰金、認可の取消し等の処分を受ける可能性があります。また、現地において政治・経済・社会環境の変化、税制等の変更や移転価格税制等に基づく課税等により、事業活動の継続が困難となる可能性や海外事業の撤退を余儀なくされる可能性があります。その場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

⑤ その他

イ ストックオプション制度について

当社グループは、取締役及び従業員に対するインセンティブを目的としたストックオプション制度を採用しております。本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は67,500株となっており、これらの新株予約権の権利が行使された場合、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また、今後も同様のインセンティブ・プランを継続する可能性があります。従いまして、今後付与される新株予約権が行使された場合にも、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。

 

ロ 自然災害等について

当社グループは主要な拠点において地震等の自然災害、火災、伝染病・感染症の流行、停電、テロ攻撃等が発生した場合の備えとして「BCP(事業継続計画)」を策定し臨時オフィスの構築等、緊急時における体制整備に努めております。

しかしながら、当社グループの想定を超えた災害が発生した場合、サービス提供の停止を余儀なくされる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

ハ キャンペーン商品に係るリスク

当社グループでは、外国為替証拠金取引を行った顧客を対象に、食品キャンペーン等を毎月実施しております。当社グループは、食品の製造・加工を行っておらず、すべてのキャンペーン商品を外部の取引先から仕入れております。

しかしながら、製造元での異物混入等何らかの事由により健康被害を及ぼすおそれのある製品事故が発生した場合、当社キャンペーン商品の回収、キャンペーンの停止等を行う可能性があります。その場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、中長期的な企業価値の向上に努め、株主に対する利益還元を行うことを経営の重要な課題の一つとして認識しております。そのため、剰余金の配当等の決定に関しては、今後の事業展開及び経営体質強化のための内部留保資金とのバランスを総合的に勘案したうえで、業績に見合った利益還元を実施することを基本方針としております。

上記の方針に基づき、当事業年度の剰余金の配当につきましては、1株当たり48円とさせていただきました。

なお、当社は、年1回の期末配当を基本的な方針としており、配当の決定機関は株主総会であります。また、当社は、取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当をすることができる旨を定款に定めております。

 

(注)基準日が第21期事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額

1株当たり配当額

2024年6月27日

定時株主総会決議

290,051

千円

48