2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 22,292 100.0 - - -

事業内容

3【事業の内容】

当社グループは、2025年3月31日現在、当社及び子会社5社で構成され、住宅ローンの貸付を中心とした住宅金融事業を行っています。当社グループにおける会社の名称及び取引関係の概要は、「事業系統図」及び「4関係会社の状況」に記載のとおりであります。

 

当社の住宅ローンは、主に貸金業法に基づく貸金業者として、証券化を資金調達手段とした住宅ローンのオリジネート(融資実行)とサービシング(回収)を行う、いわゆるモーゲージバンク事業(注1)であります。加えて、銀行法に基づく銀行代理業者として提携金融機関の住宅ローンを代理で販売しております。また、グループ会社のSBIエステートファイナンス株式会社では不動産担保ローン、売却つなぎローン、マイホーム売却サポートローンなどを取り扱っています。

当社グループが融資実行した住宅ローンは原則として証券化され、また、代理で販売した住宅ローン商品等は当社グループのバランスシートに計上されないため、当社グループの住宅ローンは信用リスクや金利リスクが最小化されたフィービジネスとしての特徴を有しております。

当社グループは年間約20兆円(注2)の住宅ローン市場で、15年連続シェアNo.1(注3)を獲得している「ARUHIフラット35(及びARUHIスーパーフラット)」をはじめ、銀行代理商品、「ARUHI住宅ローン(MG保証)」といった当社オリジナルの変動金利住宅ローン商品、住宅ローン補完商品「ARUHIフラットつなぎ」等に加え、各種保険の取扱いを行っています。また、グループ会社で取り扱っている個人のお客さま向けの不動産担保ローン、売却つなぎローン、リースバック、不動産事業者向けの仕入資金ローンなどの多岐にわたる商品ラインアップに加え、全国約100の拠点(注4)、非対面チャネルの活用など、お客さまの多様なニーズにきめ細かく対応できる営業体制を整備しております。

 

(注)1.当社でオリジネートされた住宅ローン債権は、原則として、独立行政法人住宅金融支援機構(以下、「住宅金融支援機構」という。)や信託銀行などの金融機関にそれぞれ債権譲渡されます。その後、当該住宅ローン債権を裏付資産とする住宅ローン担保証券(Residential Mortgage-Backed Securities)又は信託受益権が発行され、投資家へ販売されます。これにより、当社は資金調達リスク、金利変動リスク、信用リスクなど事業運営にかかわる各種リスクの最小化を図っております。また、当社は住宅金融支援機構や信託銀行などの金融機関から委託を受けて、債権譲渡後の住宅ローンに関する債権の管理・回収を行っております。

2.出典:住宅金融支援機構(2023年度)

3.融資実行件数ベース(当社調べ)

4.2025年3月末時点

 

なお、当社グループは住宅金融事業の単一セグメントであり、区分すべき事業セグメントが存在しないためセグメント別の記載は省略しておりますが、収益区分ごとの内容を以下に記載しております。

 

①オリジネーション関連収益

 当社は「ARUHIフラット35」をはじめ、さまざまな住宅ローン商品を、住宅ローンを希望するお客さまに対して提供しております。また、当社が融資実行した住宅ローン債権を対象として、債権流動化・証券化を実施することで資金調達を行っております。融資実行後、債権流動化・証券化を実施するまでの間、当社が住宅ローン債権を保有する場合には、主に銀行借入により資金調達を行っております。これらの業務により発生する収益をオリジネーション関連収益として区分しております。

 なお、前連結会計年度において融資実行業務及びファイナンス業務に区分していたオリジネーション・フィー売上、貸付債権流動化関連収益は、当連結会計年度より、オリジネーション関連収益に区分しております。

 

②リカーリング収益

当社は、主に当社が融資実行した住宅ローン債権について、住宅金融支援機構や信託銀行などの金融機関から委託を受けて、債権譲渡後の住宅ローンに関する債権の管理回収業務を受託しております。また、当社は住宅ローンの販売に際して、住宅金融支援機構や保険会社からの業務委託を受けて、保険の申込受付や販売代理業務等を行っております。住宅ローンに付帯する団体信用生命保険や全疾病保障特約付の保険商品等の取扱いに関する業務を行っております。これらの業務により発生する収益をリカーリング収益として区分しております。

なお、前連結会計年度において債権管理回収業務及び保険関連業務に区分していたサービシング・フィー売上、保険関連業務の収益は、当連結会計年度より、リカーリング収益に区分しております。

 

 

③アセット・その他収益

当社で保有している貸付債権から発生する利息収入、不動産担保ローン等による利息収入、不動産のリースバックによる売上や金融商品の公正価値の変動から生じる利得又は損失など、当社グループのアセットから生じる収益及びその他の収益をアセット・その他収益として区分しております。

なお、前連結会計年度においてファイナンス業務に区分していた受取利息、FVTPLの金融商品から生じる利得又は損失は、当連結会計年度より、アセット・その他収益に区分しております。

 

(取扱商品)

2025年3月末現在、当社グループが取り扱っている主な商品は次のとおりであります。

なお、当社は2025年4月1日より全疾病保障付団信を基本付帯した最長50年のオリジナル住宅ローン「ARUHI 住宅ローン(SBI信用保証)」をリリースしたことに加え、2025年6月2日より当社が株式会社SBI新生銀行の銀行代理業者として販売する住宅ローンを取扱い開始するなど、取扱商品のラインアップ拡充を図っております。

 

 

(当社の主な取扱商品)

種別

商品名

資金使途

説明

全期間固定

金利商品

ARUHI フラット20

ARUHI フラット35

新規借入

及び借換

住宅建設費(土地取得費を含む。)や住宅購入価格の10割以下までの借入が可能。繰上返済手数料が無料。

ARUHI フラット20は最長20年、ARUHI フラット35は最長35年の全期間固定金利のローン。

ARUHI フラット50は、長期優良住宅を取得する場合に利用できる最長50年の全期間固定金利のローン。

住宅金融支援機構の証券化支援事業(買取型)(注1)を活用し、住宅金融支援機構に対し住宅ローン債権を譲渡。

ARUHI フラット50

新規借入

ARUHIスーパーフラット5~

ARUHIスーパーフラット9・ARUHIスーパーフラット借換(全9商品)

新規借入

及び借換

手持金に応じて、ARUHI フラット35より低金利で利用可能。住宅金融支援機構の証券化支援事業(保証型)(注2)を活用し、当社で住宅ローン債権を証券化。

ARUHI リ・バース60

新規借入

及び借換

満60歳以上の方を対象とした、リバースモーゲージ型住宅ローン。

変動金利商品

ARUHI 住宅ローン
(MG保証)

新規借入

住宅建設費(土地取得費を含む。)や住宅購入価格の10割及び住宅購入に伴う諸費用の借入が可能な最長50年の変動金利、当初固定金利及び全期間固定金利のローン。MG保証株式会社が保証会社となり、当社で住宅ローン債権を証券化。

自己居住用部分だけでなく、事務所・店舗部分も申込み可能な店舗併用コースも用意。

銀行代理

商品

住信SBIネット銀行の住宅ローン

新規借入

及び借換

当社が住信SBIネット銀行株式会社の銀行代理業者として販売する住宅ローン。

ソニー銀行の

住宅ローン

新規借入

及び借換

当社がソニー銀行株式会社の銀行代理業者として販売する住宅ローン。

 

 

 

 

種別

商品名

資金使途

説明

変動金利商品

(付帯商品)

ARUHI フラットα

新規借入

ARUHI フラット35(融資比率9割以下)と組み合わせることで物件価格の10割まで借入が可能となる変動金利タイプのパッケージローン。

ARUHI フラットつなぎ

つなぎ

融資

フラット関連商品において、土地取得資金、着工金等の住宅建築過程で必要な資金及び中古住宅購入後にリフォームをする過程で必要な資金を対象としたローン。

ARUHI 変動つなぎ

つなぎ

融資

ARUHI 住宅ローン(MG保証)において、土地取得資金、着工金等の住宅建築過程で必要な資金及び中古住宅購入後にリフォームをする過程で必要な資金、諸費用を対象としたローン。

住み替え関連

商品

ARUHI 住み替え実現ローン

つなぎ

融資

現在所有している住宅の買替えに必要な買替え先の居住用住宅購入資金、住宅ローン事前完済資金及びリフォーム資金、諸費用等を対象としたつなぎ融資。

 

 (注)1.住宅金融支援機構が、民間金融機関が融資する長期固定金利の住宅ローン債権を買い取り、証券化を行う制度。

2.住宅金融支援機構が、民間金融機関が融資する長期固定金利の住宅ローンについて、住宅ローン利用者が返済不能となった場合に民間金融機関に対し保険金の支払いを行う住宅融資保険(保証型用)を引き受け、当該住宅ローン(その信託の受益権を含む。)を担保として発行された債券等に係る債務の支払いについて、投資家に対し期日どおりの元利払い保証を行う制度。

 

(グループ会社の主な取扱商品)

会社名

商品名

説明

SBIエステートファイナンス

住宅ローン

購入予定の自宅を担保とした、購入資金に活用できる住宅ローン。独自の審査基準で、外国人や個人事業主等の幅広いお客さまのニーズに対応。

不動産担保ローン

不動産を担保とした、資金使途自由のフリーローン。生活・教育・納税資金、開業・運転資金、不動産購入資金、リフォーム資金などのニーズに対応。

売却つなぎローン

売却予定の不動産を担保とした、資金使途自由のフリーローン。担保不動産売却までのつなぎ資金。

マイホーム売却サポートローン

自宅を担保とした、自宅の買替えに伴う様々な資金に活用できるローン商品。住宅ローンの借換え、新居の購入費用、現自宅のリフォーム資金などのニーズに対応。

仕入資金ローン

購入予定の販売用不動産を担保とした、購入資金や購入時のリフォーム資金に活用できるローン商品。建売事業用地・一棟マンション・一棟ビルの購入資金、競売代金納付資金などのニーズに対応。

SBIスマイル

長期リースバック

「ずっと住まいる」

自宅を売却すると同時に、賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けることができるサービス。お客さまの状況に応じて長期リースバックと短期リースバックが選択可能。

短期リースバック

 

 

 

(販売チャネル)

当社グループは、リアルチャネルであるFC店舗、直営店舗及び直販拠点(ホールセール営業)に加え、来店不要で手続きが可能な非対面チャネルを展開しております。

リアルチャネルは、お客さまの意思決定を左右する不動産事業者へのアプローチに加え、来店されるお客さま及び非対面チャネルにて相談等を行った後に来店を希望されたお客さまに対して、相談受付から融資実行までのサービスを提供しております。非対面チャネルは、来店不要で相談受付から融資実行までの手続きが可能な利便性の高いサービスを提供しており、お客さまが自らの希望に合わせてリアルチャネルと非対面チャネルを自由に行き来できるよう、チャネルの融合を推進しております。

店舗・拠点展開は、アプローチ対象である不動産事業者の規模や物件種別、地域の住宅需要等を勘案し、出店計画を立てております。

 

販売チャネルごとの特徴は次のとおりであります。

区分

特徴

FC店舗

フランチャイズ方式を採用して全国に店舗を展開しております。来店されるお客さま及び非対面チャネルにて相談等を行った来店希望のお客さまに対して、相談受付から融資実行までのサービスを提供することに加えて、不動産事業者に向けた営業活動を行っております。

直営店舗

「フラット35」に加え、銀行代理による変動金利商品の取扱いや地域内の戦略的なセグメントに対する営業などを行っております。

直販拠点

(ホールセール営業)

マンション事業者及びハウスメーカーとの提携等を推進しており、アカウント別の営業を行っております。

非対面チャネル

Web申込やビデオチャットなどを活用することにより、来店不要で相談受付から融資実行まで手続きが可能なサービスを展開しております。

 

2025年3月末現在の地区別拠点数は次のとおりであります。

地区

FC店舗

直営店舗/

直販拠点

他取扱拠点

合計

北海道

1

1

2

東北

5

1

6

関東

32

8

2

42

甲信越

3

3

北陸

3

3

東海

5

1

6

近畿

16

1

17

中国・四国

7

1

8

九州・沖縄

8

2

10

80

15

2

97

 

 

以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 

事業系統図

 

 

 

(2025年3月31日現在)

 

(注)当社は、2025年4月1日を効力発生日として、アルヒ住み替えコンシェルジュ(株)を吸収合併しました。

 

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の営業収益は、22,292百万円(前年比9.3%増)となりました。2024年10月以降の固定と変動の金利差縮小を背景に、当社の主力商品である「フラット35」の融資実行件数は、第4四半期に前年同期比プラスに転じましたが、第3四半期までが低調であったことに加え、変動金利商品の融資実行件数が伸び悩んだことなどから、オリジネーション関連収益は前年比2.7%減少しました。一方で、複数社からのサービシング事業の譲り受け等によるサービシング・フィー売上の増加、保険関連収益が好調に推移したことに加え、SBIEFグループを完全子会社化したことで、リカーリング収益は同11.9%増加しました。また、アセット・その他収益に関しても、足元の金利上昇の影響を受けたFVTPLの金融商品から生じる損失の計上があったものの、SBIEFグループを完全子会社化したことで、同36.0%増加しました。

 

営業費用は、引き続き固定費の削減に努めましたが、SBIEFグループを完全子会社化したことやフランチャイズ店舗への支援等に加え、SBIブランドの活用を目的とした店舗看板の変更や店舗統廃合及び事業戦略の転換に伴う資産整理などの構造改革費用を計上した影響もあり19,843百万円(同9.8%増)となりました。その結果、税引前利益については2,427百万円(同4.3%増)、当期利益は1,897百万円(同27.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,904百万円(同25.5%増)となりました。

 

当社グループは住宅金融事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。なお、当連結会計年度よりセグメント内の収益区分を以下のとおり変更しております。前年との比較については、前年の金額を変更後の収益区分に組み替えた金額で表示しております。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は20,149百万円となり、前連結会計年度末に比べ267百万円の減少となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。

 

営業活動によるキャッシュ・フローは5,366百万円の支出(前連結会計年度は3,425百万円の支出)となりました。これは主に、税引前利益が2,427百万円となり、預り金の増加1,053百万円のキャッシュの増加要因があった一方で、営業貸付金の増加9,387百万円のキャッシュ減少要因があったことによるものです。

 

投資活動によるキャッシュ・フローは5,164百万円の支出(前連結会計年度は544百万円の収入)となりました。これは主に、無形資産の取得による支出5,023百万円によるものです。

 

財務活動によるキャッシュ・フローは10,263百万円の収入(前連結会計年度は6,128百万円の収入)となりました。これは主に、長期借入による収入8,685百万円、短期借入金の増加9,419百万円等のキャッシュ増加要因があった一方、長期借入金の返済による支出6,241百万円等のキャッシュの減少要因があったことによるものです。

 

 

③販売の実績

1)販売実績

当連結会計年度における販売実績の内訳は次のとおりであります。なお、当社グループは住宅金融事業の単一セグメントであるため、業務別に記載を行っております。

(単位:百万円(前年同期比を除く。))

業務

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

 至 2025年3月31日)

前年同期比

オリジネーション関連収益

9,621

97.3%

リカーリング収益

7,554

111.9%

アセット・その他収益

5,116

136.0%

合計

22,292

109.3%

(注)販売実績の内訳には、消費税等は含まれておりません。

 

 

2)オリジネーション・フィー売上及び件数

当連結会計年度におけるオリジネーション関連収益のうち、オリジネーション・フィー売上の内訳は、次のとおりであります。

(単位:百万円(前年同期比を除く。))

区分

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比

新規借入

8,108

108.6%

借換

44

121.2%

合計

8,152

108.7%

(注)オリジネーション・フィー売上の内訳には、消費税等は含まれておりません。

 

当連結会計年度における当社の融資実行件数は、次のとおりであります。

(単位:件(前年同期比を除く。))

区分

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比

新規借入

10,121

87.2%

借換

124

106.9%

合計

10,245

87.4%

 

 

(参考情報)

投資情報としての有用性の観点から、参考情報として2021年3月期から2025年3月期に係る四半期ごとの当社の融資実行件数を以下に記載しております。

 

1)新規借入

(単位:件)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

合計

2021年3月期

5,644

6,199

6,393

6,133

24,369

2022年3月期

5,699

5,107

4,795

4,460

20,061

2023年3月期

3,978

3,588

3,542

3,344

14,452

2024年3月期

2,634

2,702

3,231

3,036

11,603

2025年3月期

2,828

2,501

2,324

2,468

10,121

 

 

2)借換

(単位:件)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

合計

2021年3月期

166

255

306

300

1,027

2022年3月期

233

211

208

231

883

2023年3月期

159

96

66

63

384

2024年3月期

41

28

22

25

116

2025年3月期

31

34

26

33

124

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

当連結会計年度末における資産は205,679百万円となり、前連結会計年度末に比べ14,328百万円増加いたしました。これは主に営業貸付金が7,320百万円、無形資産が4,107百万円増加したことによるものです。

 

当連結会計年度末における負債は163,527百万円となり、前連結会計年度末に比べ14,129百万円増加いたしました。これは主に借入債務及び預り金がそれぞれ11,958百万円、1,053百万円増加したことによるものです。

 

当連結会計年度末における資本は42,151百万円となり、前連結会計年度末に比べ198百万円増加いたしました。これは主に当期利益を1,897百万円計上した一方、配当により利益剰余金が1,771百万円減少したことによるものです。

 

2)経営成績

経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

1)経営成績に重要な影響を与える要因についての分析

経営成績に重要な影響を与える要因についての分析は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

2)経営者の問題認識と今後の方針について

経営者の問題認識と今後の方針については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指数等

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指数等については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは、住宅金融事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

1)資金調達の基本方針

当社グループは、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保と財務の健全性・安定性維持を資金調達の基本方針としており、主として金銭消費貸借契約やコミットメントライン等による銀行等からの借入、コマーシャル・ペーパーの発行や住宅ローン債権等の債権譲渡・流動化による資金調達を行っております。

 

2)資金需要の主な内容

当社グループの資金需要は、大きく分けて運転資金需要と貸付資金需要の2つになります。運転資金需要は主に、人件費、販売費及び一般管理費、システム開発、証券化に係る準備金や未収債権などであり、貸付資金需要は、お客さまへの住宅ローンの融資実行や当社子会社が提供する不動産事業者への仕入資金ローン等の融資実行のための資金需要になります。住宅ローンの融資実行は、基本的に貸付債権を融資実行後遅滞なく債権譲渡・流動化を行い資金化するため、融資実行から資金化までの短期間であり、当社子会社が提供する不動産事業者への仕入資金ローン等は、融資実行から返済期日まで一定期間の資金需要になります。

 

3)資金調達手段

当社グループは、円滑な事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用を行うとともに、金融機関からの借入、貸付債権の譲渡及び貸付債権を裏付資産とする信託受益権の売却などを行っております。

このようなオペレーションを行うに当たり、複数の金融機関から金銭消費貸借契約等による長期の借入やコミットメントライン等による十分な借入枠の確保を行うとともに、安定的に貸付債権の流動化が実施できる環境整備を行うなど、円滑な事業活動に必要な資金調達が可能な状況を常に維持するよう努めております。

また、当社グループは、円滑な資金調達を行うため株式会社格付投資情報センター(R&I)、株式会社日本格付研究所(JCR)の2社から格付けを取得しており、2025年3月31日現在の格付けは次のとおりであります。当社グループとしては引き続き健全な財務基盤を維持し、格付けの維持・向上に尽力していく方針であります。

 

格付機関名

長期発行体格付

見通し

コマーシャル・

ペーパー

株式会社格付投資情報センター

(R&I)

A

安定的

a-1

株式会社日本格付研究所

(JCR)

A

安定的

J-1

 

③重要性がある会計方針の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表はIFRS会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられるさまざまな要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に記載しておりますが、特に以下の将来に関する主要な仮定及び報告期間末における見積りは、当社の連結財務諸表に大きな影響を及ぼします。

a.のれんの評価

当社グループは、旧アルヒ株式会社の株式を公開買付けした際の買収価額と純資産の公正価値との差額をのれんとして認識しております。のれんについては、減損の兆候の有無にかかわらず、年1回回収可能価額を見積っております。当該回収可能価額の算定においては、見積将来キャッシュ・フローを使用しております。

減損判定における資金生成単位の回収可能価額は、見積り・前提を使用するため、見積り・前提は減損が認識されるか否かの判定及び認識される減損金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

のれんの減損判定において、当社は独立した外部の評価機関を利用しております。見積将来キャッシュ・フローは社内で作成した5ヶ年事業計画を使用し、付随する財務資料、内部資料等を加え、一般に入手可能な市場情報も考慮に入れております。割引率に株主資本コストを使用しております。

2025年3月31日時点における評価の結果は、住宅金融事業の使用価値が帳簿価額を十分に上回っており、減損損失を認識することはありませんでした。

 

b.金融商品の公正価値

当社グループが保有する金融商品の公正価値の見積りにおいては、市場価値に基づく価額により見積っております。市場価格がない場合には、将来キャッシュ・フローを割り引く方法、又はその他の適切な評価技法により見積っております。

これら金融商品のうち住宅ローン債権の債権譲渡により生じた受益権(配当受領権)は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しており、公正価値の評価においては、繰上償還率(CPR)、デフォルト率(CDR)を将来キャッシュ・フローの見積りにおけるインプットとして使用し、割引率等についても一定の前提条件を設定しております。

将来キャッシュ・フローの見積りにおけるインプットとして使用するCPR、CDRについては、外部第三者機関の公表データを参照して見積っております。但し、一部のパッケージローンについては、CPRの見積りにおいて、外部第三者機関の公表データに、過去実績等を勘案して合理的に見積った調整を反映しております。

 

 

セグメント情報

5.事業セグメント

(1) 一般情報

当社グループの事業内容は、長期固定金利の「フラット35」をはじめ、変動金利や固定金利選択型住宅ローンの貸付、回収及びこれに付帯する各種保険の販売等の住宅金融事業であり、区分すべき事業セグメントが存在しないため、報告セグメントは単一となっております。

 

(2) サービスに関する情報

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

    至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

    至 2025年3月31日)

金額

構成比(%)

金額

構成比(%)

オリジネーション関連収益

9,892

48.5

9,621

43.2

リカーリング収益

6,751

33.1

7,554

33.9

アセット・その他収益

3,760

18.4

5,116

23.0

合計

20,405

100.0

22,292

100.0

 

(3) 収益区分の変更について

 前連結会計年度に行ったSBIエステートファイナンス株式会社の完全子会社化に伴い、年間を通じて、当社グループの企業活動の成果をより明確に開示するため、当連結会計年度より、収益区分の開示について変更を行っております。具体的には、フロー収益であるオリジネーション・フィー売上、貸付債権流動化関連収益を「オリジネーション関連収益」として一つの区分に、ノンアセットのリカーリング収益であるサービシング・フィー売上、保険関連業務などを「リカーリング収益」として一つの区分に、アセットから生じる収益である受取利息、FVTPLの金融商品から生じる利得又は損失などを「アセット・その他収益」として一つの区分に集約し変更しております。

 

(4) 地域に関する情報

本邦以外の外部顧客への営業収益がないため、記載を省略しております。

 

(5) 主要な顧客に関する情報

外部顧客への営業収益のうち、連結損益計算書の営業収益の10%以上を占める顧客からの売上収益の合計は、前連結会計年度において3,448百万円、当連結会計年度において4,900百万円であります。