人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数17,414名(単体) 74,077名(連結)
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平均年齢41.0歳(単体)
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平均勤続年数18.0年(単体)
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平均年収7,849,435円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2025年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員数 (休職者及び当社グループからグループ外部への出向者を除く) であり、臨時従業員数 (期間社員、人材会社からの派遣社員、パートタイマー他) は、年間の平均雇用人員を( )内に外数で記載しています。
2 全社 (共通) として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものです。
(2) 提出会社の状況
2025年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員数 (休職者及び当社から他社への出向者を除く) であり、臨時従業員数 (期間社員、人材会社からの派遣社員、パートタイマー他) は、年間の平均雇用人員を( )内に外数で記載しています。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。
3 全社 (共通) として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものです。
(3) 労働組合の状況
労使関係は安定しており特記すべき事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
①提出会社
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
②連結子会社
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものです。また、当該事項については、取締役会等の社内会議体で合理的な根拠に基づき適切な検討を行ったものです。これらの記載は実際の結果と異なる可能性があり、その達成を保証するものではありません。
(1)サステナビリティ全般の方針
①ガバナンス
代表取締役及び関係役員が出席する「経営・業務執行会議」と「コーポレートガバナンス委員会」において、サステナビリティ(環境・社会・ガバナンス)に関する課題や方針、対策等について議論しています。特に重要な議題については取締役会に上程・報告します。経営と一体となった、実効性のある活動の推進を目指しています。
具体的な施策については、経営企画本部に設置したサステナビリティ推進の専門部署を中心に、社内各本部/グループ会社と連携し、社会課題の解決に向けた取組みを社内横断的に推進しています。
②リスク管理
各部門で発生又は認識した課題の審議、並びに潜在リスクの洗い出し、把握をコーポレートガバナンス委員会で実施しています。特に環境関連リスクについては、テーマに応じてカーボンニュートラル推進会議や環境委員会で集中検討し、各部門への指示や管理を行っています。
詳細につきましては、「(2)気候変動への対応 ③リスク管理」「(3)人的資本に関する取組 ③リスク管理」「3 事業等のリスク」をご参照ください。
③戦略
a. マテリアリティ(重要課題)の特定
当社のマテリアリティは、社是「お客様の立場になって」を念頭に、課題解決によって社会やお客様にどのように貢献していくかを意識して特定し、「事業を通じて解決する課題」とそれらを支える「事業基盤の強化のための課題」に大別して整理しています。
特定・整理したマテリアリティを、当社のサステナビリティ方針の基本として定め、取組みを推進しています。なお、2025年2月に発表した中期経営計画の策定に伴い、事業を取り巻く環境の変化を踏まえて、現在マテリアリティの見直しを進めています。
b. サステナビリティ戦略
2025年2月、当社は中期経営計画「By Your Side」を発表しました。経営基盤の強化に向けた取組みとして、カーボンニュートラル、人材育成などに積極的に取り組んでいきます。社是・行動理念に基づいたスズキらしい解決策で様々な社会課題に取り組み、お客様の立場になった製品・サービスづくりで進出国・地域とともに成長していきます。
詳細につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
(2)気候変動への対応
①ガバナンス
スズキは、グループ全体の環境管理を目的として、取締役会直下に経営・業務執行会議である「カーボンニュートラル推進会議」「環境委員会」と、「コーポレートガバナンス委員会」を設置しています。
取締役会は「カーボンニュートラル推進会議」「環境委員会」及び「コーポレートガバナンス委員会」に対して指示・監督を行うとともに、両会議体からの報告を受け最終的な意思決定を行います。
「カーボンニュートラル推進会議」は気候変動(カーボンニュートラル)にテーマを絞り、より機動的に会議運営ができるように毎月1回、脱炭素に向けた集中審議を行っています。「環境委員会」は、カーボンニュートラル以外の環境問題、すなわち大気保全、水資源、資源循環などをテーマに年2回開催しています。
「コーポレートガバナンス委員会」は、コンプライアンスの徹底やリスク管理等に関する事項を検討し、関係部門と連携しながら組織横断的な課題への対策や施策を推進しています。
三つの会議体のテーマを明確に分けることで会議の実効性を高め、脱炭素に向けた意思決定を一層加速させています。
②戦略
a. TCFD提言への対応
2020年4月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の趣旨に賛同・署名しました。ステークホルダーに分かりやすい情報開示を進めるとともに、気候変動に対する強靭性をより強化するため、シナリオ分析の高度化や開示情報の充実化に努めていきます。
b. 気候関連リスクと機会、シナリオ分析
当社は、持続可能な事業活動を進めるために事業リスクや機会の特定を進めています。特に、気候変動の影響は根源的に不確実であるため、将来を幅広に捉えた上でリスク・機会の影響度を評価し、適切に対応することが重要であると認識しています。
この認識のもと、気候変動の物理影響が顕著になる「4℃シナリオ」と、パリ協定の実現に向けて気候変動対策が加速する「1.5℃/2℃シナリオ」の2つのシナリオを想定し、リスクと機会の影響の差異を評価しました。シナリオの想定にあたっては、IEA※1やIPCC※2等の科学知見に基づく、外部シナリオを参照しました。
※1 IEA:International Energy Agency の略。国際エネルギー機関。
※2 IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change の略。気候変動に関する政府間パネル。
■当社の気候関連リスクの一覧とシナリオ別の影響差異
c. スズキの気候関連リスクと機会
気候変動の緩和策として、排出ガスやCO2・燃費規制などさまざまな法規制の強化が進められる中、これらの規制を遵守するための開発費用の負担増加は当社の業績に大きな影響を与える可能性があります。一方で、当社が得意とする「小さなクルマ」は、生産に必要な材料やエネルギーが少なく、また使用時のCO2排出量も抑えることができます。こうした当社独自の強みを活かし、リスクに適切に対処していくことで機会の創出につなげていくことができると考えます。
2023年度から、すでに開示している気候変動に伴うシナリオ分析をベースとした財務インパクト分析に着手しています。気温上昇による台風や洪水、高潮など自然災害リスクの影響度をグローバルベースで評価し、リスクの低減や回避、事業継続につなげることを目的とした取組みです。まずは国内及びインドの自社拠点に加えて国内一次取引先様の影響度評価を実施しました。
気候変動によるリスクの低減や回避、将来の機会獲得や競争力強化に向けて、今後も引き続き十分な検討を重ね、事業戦略への反映を進めていきます。
■特に重要なリスク項目の詳細と創出機会、当社の対応状況
③リスク管理
a. リスク管理体制
気候関連のみならず、各部門で発生又は認識した課題の審議、並びに潜在リスクの洗い出し、把握をコーポレートガバナンス委員会で実施しています。環境関連リスクについては、テーマに応じてカーボンニュートラル推進会議や環境委員会で集中検討し、各部門への指示や管理を行っています。
各会議体の扱うテーマ
●コーポレートガバナンス委員会:
各部門で発生又は認識したリスクを把握し、審議のうえ各部門へ指示を出し解決につなげる。
●カーボンニュートラル推進会議:
環境関連リスクのうち、気候変動(カーボンニュートラル)に関するリスクと機会を審議し、解決並びに推進を行う。
●環境委員会:
水資源や生物多様性等、気候変動以外の環境関連のリスクと機会を審議し、解決並びに推進を行う。
b. 気候関連想定リスク
気候関連リスクにおいては、気候変動影響を「4℃シナリオ」「1.5℃/2℃シナリオ」の2つのシナリオを想定し、リスクと影響を評価しています。リスクの種類として、政策規制等の「移行リスク」と自然災害等の「物理リスク」の2つの観点からリスクと影響を考察しています。
リスクの詳細は、「②戦略 b. 気候関連リスクと機会、シナリオ分析」の当社の気候関連リスクの一覧をご参照ください。
④指標と目標
a. 環境目標
昨今、地球温暖化が要因とされる異常気象が頻発しています。こうした気候変動の影響を抑えるために、世界の平均気温上昇を産業革命以前から2℃未満に抑えることを目的に、今世紀後半に温室効果ガス排出の実質ゼロを目指す「パリ協定」が採択されました。
スズキは以前から、「小・少・軽・短・美」の理念に沿って、製造時、使用時ともにCO2排出の少ない製品を作り続けてきましたが、いわゆる1.5℃目標の達成に向けて、より一層のCO2削減に努めなければならないという課題意識のもと、気候科学と整合した削減目標を掲げ、取組みを推進していきます。
また、新興国は気候変動対策だけでなく経済成長との両立を求めています。新興国とともに成長を目指すスズキは、新興国の人々の暮らしを豊かにしつつ、気候変動対策を推進していきます。
スズキでは気候関連の目標と指標を複数設定し、推進並びに進捗管理しています。
指標にはCO2排出量のほか、気候変動と関連するエネルギー、大気保全、水資源保全等についても設定しています。
指標はターゲットに応じて大きく3つ設定しており、それぞれ目標達成を目指しています。
・ 長期:スズキ環境ビジョン2050
・ 中期:マイルストーン2030
2030年度に向けた成長戦略
・ 短期:スズキ環境計画2025
■スズキの環境目標
b. バリューチェーン全体が排出する温室効果ガスの開示
スズキは、原材料・部品の購買や製品の製造・販売を通した事業活動に伴い排出される温室効果ガスの低減に向け、温室効果ガス排出量の把握・開示が必要であると考え、事業活動に伴い排出される温室効果ガスだけではなく、バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量を把握する取組みを2013年度より行っています。
2023年度にバリューチェーン全体が排出した温室効果ガス排出量10,871万t-CO2のうち10,775万t-CO2がスコープ3(その他の活動に伴う間接排出)に相当し、中でも「カテゴリー11 スズキが販売した製品の使用」による排出量が8,558万t-CO2とバリューチェーン全体の78.7%を占めています。
このことからスズキは、バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量を低減させるには製品の使用に伴う排出量を低減させることが重要であると考え、引き続き燃費向上を重視した製品の開発・改良に取り組んでいきます。
■バリューチェーン全体が排出する温室効果ガスの開示 スコープ1・2・3 (単位:万t-CO2)
※1 《スコープ1・2》
●算定範囲
-国内:スズキ株式会社、及び国内製造・非製造子会社66社
-海外:海外製造・非製造子会社32社
●対象ガス:温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボン類、パーフルオロカーボン類、
六フッ化硫黄、三フッ化窒素の7つのガス)
●排出係数
-電力:国内は電気事業者別の直近の調整後排出係数、海外はIEA Emissions Factors 2022
-燃料:国内は算定・報告・公表制度における排出係数、海外はIPCCガイドライン2006。
なお、都市ガスの単位発熱量は供給会社の公表値。
※2 《スコープ3_ カテゴリー11》
●算定範囲:スズキ株式会社グループ
●算定対象製品:四輪車、二輪車、船外機、電動車いす他の自社製品を対象
●算定方法概要
-当該年度に販売した製品の想定される生涯走行距離に、機種別の排出原単位を乗じて算出。
-年間走行距離、使用年数については、主にIEA SMP Model 等の公表情報を基に設定。
-機種別の排出原単位は、原則として各国規制に基づく認証値を採用し、WTW(Well to Wheel)に換算したものを設定。
詳細は、ウェブサイト「サステナビリティ」をご参照ください。
(3)人的資本に関する取組
①ガバナンス
②戦略
<基本動作>
社是と行動理念「小・少・軽・短・美」、「現場・現物・現実」、「中小企業型経営」に則り、人財育成方針及び社内環境整備方針に基づき、社員の能力発揮、価値創造を後押しします。社員一人ひとりが自身の能力を最大限に発揮することで、2030年度に向けた成長戦略の達成及び持続的成長を実現します。人と社会に必要とされる存在となるべく、“生活に密着したインフラ企業”を目指していきます。
<新中期経営計画(2025~2030年度)>
経営基盤の強化に向けた取組み:人財育成
従業員の職務能力向上、個の成長とウェルビーイングを目指し、2024年4月に新人事制度を導入しました。適宜、取組みや制度のアップデートを行い、従業員一人ひとりが、社是と行動理念を実践し、個の成長に注力できる環境を整備していきます。
<人財育成方針>
スズキグループの全社員が理解し実践すべき社是では、①企業の社会的使命を果たすことへの努力目標(製品づくり)、②自分が所属する会社という組織に対する努力目標(会社づくり)、③自分自身に対する努力目標(人間づくり)の三つの努力目標を掲げています。社是の精神とそれを実践するための行動理念に基づき、「人財開発は会社の一丁目一番地」との思いで、社長自らが先頭に立って人財開発に関する諸改革をリードし、2022年10月には組織体制を人事総務本部から人財開発本部へと改編し、社是や行動理念を体現できるスズキらしい人財づくりに注力しています。そして、自動車の100年に一度の大変革と言われるCASE対応や、社会的使命であるカーボンニュートラル社会の実現等、従来の自動車メーカーのままでは到底対処できない大きな変化を乗り越えるために、既存の業務や考え方にとらわれず、新しいことに果敢に挑戦する人財、新たな発想を生み出す多様な経験・価値観を持つ人財、高度な専門性を持つ人財、グローバルに活躍できる人財など、多様な人財を採用、育成することに努めています。
<社内環境整備方針>
社是にあるとおり、高い目標への挑戦と自身の努力を促す風土醸成により、一人ひとり個性の異なる人財が共通の目標に向かって能力を発揮し、より付加価値の高い成果を創出し、働き甲斐・やりがいを感じながら生き生きと働き続けることができる会社づくりに取り組んでいます。今後も継続して、社員の声を吸い上げ、労使で丁寧な対話を重ね、人事制度改革、大胆な業務改廃・働き方変革、労働諸条件の改善、職場の環境づくりなど、人事総務諸施策の改革を進めて、社員一人ひとりがスズキで働いて良かったと思える会社にしていきます。
a. 人財育成
経営基盤の強化に向け「個の成長」と「個の稼ぐ力」の強化を掲げ、自己成長を促す環境と風土を醸成すると共に、社員の自主的な学びを奨励、支援することで、全社的な人財育成に取り組んでいます。
社是と行動理念の浸透
お客様に満足し続けていただき、スズキへの信頼が得られるよう、全社員一人ひとりが創業の精神、モノづくりの精神を再確認し、スズキのOS(Operating System)である社是と行動理念を業務で常に実践できるよう、新入社員から役職者までの階層別研修、各職場での実務などを通して確実な浸透を図っています。
階層別の職務能力向上
全部門に共通し、職能資格に応じて必要な基礎スキルや職務遂行能力が習得できるよう、社内外の講師による職能資格ごとに対象者を集めた集合研修を実施しています。各自が職務遂行に必要な能力の気づきと習得ができるよう取り組んでいます。
部門別の職務能力向上
職場の上司や先輩の指導を通したOJTや、社内研修や外部セミナーなどによるOFF‐JTを通し、専門知識とスキルの習得に取り組んでいます。また、技術及び生産技術部門では、部門で必要な全スキルを可視化し(スキルマップ)公開することで、各自のキャリアプラン構築やリスキリングを支援しています。
学習支援
Eラーニングによる各種研修コンテンツをオンデマンドで受講可能なシステム(研修ライブラリー)の導入や、福利厚生制度(カフェテリアプラン)による自己啓発書籍購入や語学スクール費用などに対する一定金額の補助を通し、社員の自主的な職務能力向上、専門知識の習得、学び直しを支援しています。
スタートアップ企業への派遣
スズキ本来の「困難に立ち向かい自ら切り開く起業家精神」に立ち返り視野・知見を広げ、社員一人ひとりが社外へのアンテナを高めることを目的に、当社の若手人財を、業種や企業規模を問わず、スタートアップ企業へ派遣しています。国内では、2020年より株式会社エムスクエア・ラボへ「モバイルムーバー」の共同開発などスズキのモビリティ開発のノウハウと、エムスクエア・ラボの農業や地域における課題解決型事業を創造してきたノウハウを融合し、新たなビジネスモデル創造として、また2022年8月より株式会社SkyDriveへ「空飛ぶ車」を四輪・二輪・マリンに次ぐ新たなモビリティ事業の一つとして、種をまき、育成するために派遣しています。海外では、デジタル化が急速に進んでいるインド工科大学内に、2022年11月よりSIC(スズキ・イノベーション・センター)を設置しました。SICに社内各本部の若手社員を派遣し、人々の日常にある課題解決を目指し、インド工科大学の学生と一緒にアイディアを出し合い、ITプロダクトの開発、社会貢献に繋げるイノベーション創出活動を開始しています。2024年11月より、インドのジュガード(今ある資源で創意工夫し問題解決を図る)思想やDPCA(まずはやってみる)精神を学び、インドの皆様と協業できる社員を育成するため、インド経営大学院アーメダバード校での集中研修を開始しました。インド最高峰の経営大学院である同校の教授陣より社会や経済について講義を受けるとともに、農村やスタータップ企業を訪問してインドの現場にふれ、モビリティを超えてインドと成長する熱い想いを醸成します。2024年-2025年には2回実施し、全社各部門から計25名が参加しました。
シリコンバレー研修
2017年9月より、失敗を恐れず挑戦する「ベンチャー精神」に触れ、問題解決手法「デザイン思考」を学ぶことを目的にシリコンバレーへの社員派遣を開始しました。スズキの社是である「お客様のために」の精神を体現している現地スタートアップ企業から学ぶべく、役員から若手までの男女様々な社員を、これまでに19回、延べ192名をシリコンバレーへ派遣してきました。コロナ感染症拡大中も加えて、オンラインや国内派遣によりさらに15回、延べ146名に対し研修を実施してきました。役員から若手までの男女様々な社員が研修に参加し、現地の研修で学んだデザイン思考や、失敗を恐れず挑戦するマインドセットを日々の業務や人財育成に活かしています。
デジタル教育
デジタル教育は全社員、DX推進人財、経営層及び管理職の3層に分けて教育を実施しています。全社員を対象に、DXリテラシー教育を実施し、業務効率化と付加価値の創出、各部門におけるデジタルツールの積極的な活用を促進することを目指しています。
DX推進人財には、DX推進スキル教育を実施し、より高度なデータ分析スキルの習得、デジタルツールの導入と社内展開を進めています。これにより、DX推進人財が社内でのデジタル化をリードする体制を整えています。
経営層及び管理職には、DXマネジメント教育を実施し、デジタル技術を活用した競争優位性の確保と変革を目指しています。
主な教育内容
・ DXマネジメント研修
DXは経営課題であるという認識のもと、経営層が自ら「役員・本部長が業界No.1デジタルチームになる」というスローガンを掲げ、DXを積極的に推進しているITトップベンダー各社との交流会や社内外の講師によるDX研修を開催しています。この研修では、役員及び本部長が直接手を動かし、ソフトウェアやネットワーク、セキュリティ等の分野についての原理・原則を理解するために取り組んでいます。3年目となる2024年度は、生成AI、データ活用、セキュリティをテーマに実際に手を動かすハンズオン形式で計6回を開催しました。生成AI、データ活用については、同様の内容を約200名の部長級管理職にも実施し、さらに生成AIについては、Eラーニングのコンテンツとして全社員に公開し、2025年3月時点で3,500名が受講済です。
・ 市民開発者の育成・支援
全社員がデジタルツールを使いこなし、自部門の課題を自らの手で解決することを目指しています。そのために、ローコード開発とBIの市民開発者を育成するとともに、各部門の個別最適にならないように、社内コミュニティの運営を通じて、ノウハウと成果物を共有し、全社最適のデジタル化に取り組んでいます。
1. 伴走支援型のスキルアップ機会の提供
ローコード開発ツールの教育と、自部門の課題解決を目的としたワークショップを実施し、2024年度は19本部100名の社員が参加しました。ここで学んだ市民開発者はエバンジェリストとして、自部門における市民開発の拡大の役割も担っています。
2. 市民開発者向けコミュニティの運用
(コミュニティTeam参加者 ローコード開発:846名、BI:967名)
・ 開発手法や手順・自習教材の共有
・ チャットベースの技術QAの投稿・共有
・ オンラインでの技術相談会、対面・集合形式での開発サポート
・ 開発されたアプリのカタログ化、情報の共有
3. 開発状況
・ データ分析・活用教育
データ活用の基礎理解を養う概念教育、データ活用の判断力を養うマネジメント教育、データの分析力を高める教育を実施しました。データの分析力を高める教育は、基礎編、応用編、実践編の3コースを開催しました。2024年度までの受講者数は、概念教育12,057名(全社員の71%)、マネジメント教育736名、分析力を高める教育1,398名となりました。また、研修以外にも「データ活用Quiz」を用意し、全社員がいつでも楽しみながら自己啓発・スキルアップできる環境を提供することでデータ分析に対する理解向上と定着を図っています。
i. データを活用する概念の教育(全社員の80%目標)
データを分析することで何ができるようになるのかイメージできるようにする。
ii. データの分析力を高める教育(DX推進人材:データ分析人材の80%目標)
基礎編:データの傾向/特徴から事象を予測できるようにする。
応用編:分析結果を考察し、結果の確からしさを判断できるようにする。
分析失敗事例から次分析に活かすポイントを見つけることができるようにする。
実践編:AIに触れることのハードルを下げ、自身の業務で活用できるようにする。
・ 生成AIの活用基盤の構築・活用
生成AIの大規模言語モデル(LLM)を同業他社に先駆け2023年3月21日に導入し、現在は10種類近くの内製アプリが稼働しています。2025年3月末時点で、8,787名の社員が生成AIを活用しています。生成AIを活用することで、アプリケーションの内製開発を加速させるとともに、社員自らが生産性を向上できる環境を維持します。
今後も、生成AI技術の活用範囲をさらに拡大し、業務効率化や新たな価値創出に取り組む予定です。
i. 生成AIを用いたアプリケーションの内製開発
長文要約、文章生成、コード生成といった生成AIの一般的な使い方の他に、社内ノウハウ(文書・社内公開WEBページ)を参照して回答するチャットボットを作成できるアプリケーションを開発しました。また、これらのチャットボットをツールとして使って回答を生成できるAIエージェント機能も実装しました。900以上の社内業務に対応したチャットボットを導入し、業務効率向上を実現しています。
ii. 生成AI技術の活用範囲の拡大
社員が自ら生成AIを業務フローやアプリケーションに組み込む事ができるように社内用のAPIを提供しています。これにより、専門知識がなくても、誰でも開発に取り組める環境を整えています。
b. エンゲージメント
社長職場対話
上司や部下、同僚、部門間でのコミュニケーションを円滑にし、問題を報告・連絡・相談しやすい土壌をつくるため、2021年より、社長による職場対話を全本部対象に、職場ごとに実施しています(実施対象:29本部、40職場)。職場対話では、社長自らが従業員に直接思いを伝え、また従業員は日々の困りごとや意見を述べ、対話を行っています。特に若手から中堅の従業員にとっては、自分の思いを自分の言葉で社長へ直接届けることができる機会となっています。また、職場対話の内容(抜粋)を社内ホームページで公開して全社員に共有することで、職場対話がより活発になるとともに、社員のモチベーションアップ、全社員のベクトル合わせにつなげています。
人事制度
2024年4月から人事制度を全面的に刷新しました。多様な社員一人ひとりが社是と行動理念を実践できるように、個の成長を促します。一人ひとりが自らの職務を遂行するために必要な職務遂行能力、すなわち職能を伸ばすことで、個の稼ぐ力が向上し、会社の持続的な成長につながります。同時に社員個々の価値創造を通じて、人と社会に必要とされる存在となるべく、“生活に密着したインフラ企業”を目指し、社会貢献に寄与していきます。多様な社員一人ひとりがやる気をもって「挑戦と行動」に取り組み、能力を発揮した結果について上司と部下で対話を重ねながら、評価・フィードバックする。このことでモチベーションを向上させて、さらなる「挑戦と行動」に取り組み、能力の更なる向上につなげていきます。この人財育成サイクルを繰り返すことで個の成長を促します。原理原則を理解し、職務遂行に求められる知識とスキルを自ら学び、上司や先輩社員からノウハウを受け継ぎ、自ら現場を経験することで職務能力を向上させることに取り組んでいます。
・ 職務系統・職能資格
各職系・各階層における職能資格を見直し、職務遂行に必要な役割・能力・行動要件を明確化した「職能資格制度」を導入しました。各部門の職務で必要とされる知識・スキル・ノウハウ・経験を明確にし、同時に各職系に求められる職務内容を整理することで、上司と部下の相互コミュニケーションを通じて、上司と部下の双方が共通理解にたって職務に取り組むことで、効果的な職務能力向上に取り組みます。
・ 評価
これまで一括実施していた業績評価と能力評価を個別に評価し、短期の業績は賞与に、職務能力は昇給・昇格に反映するようにしました。これにより、各職系・各階層に求められる能力を正しく評価できるように変更し、さらなる「挑戦と行動」を促す環境の醸成を図ります。また、半期に1回の目標を掲げ、目標達成度により業績考課を決める従来の「目標チャレンジ制度」に加えて、「職能育成制度」を導入しました。各資格で定義した評価項目(能力基準)に基づき、1年間における能力発揮・向上について評価し、上司と部下の相互コミュニケーションで個の成長を促す人財育成サイクルを回しています。
・ 賃金
各職能資格に応じて「挑戦と行動」を促し、個の能力発揮・向上を適切に賃金へ反映するように、賃金体系と賃金等級を見直しました。各職能に必要となる研修を実施し、勤務年数に応じて昇給するのではなく、求められている役割や能力に応じた昇給とすることで、さらなる個の成長を促します。また、従業員が安心してモチベーション高く業務に専念できるように、子育て支援手当や単身赴任手当、単身赴任帰省旅費手当等、各種手当を拡充しました。
・ 再雇用制度
60歳を迎えた社員の内、希望者には、年齢に関わらず「挑戦と行動」に取り組めるように、正社員と同様の業務で活躍し、60歳時点の給与を維持する制度に見直しました。また全社における人財マッチングと再教育による個の職務能力に最適な配置を実現し、生き生きと働くことができる環境を整備しました。
c. 流動性
人財の流動性や人手不足が加速している社会情勢において、スズキで働くことが魅力的であり、かつ個人の成長につながると感じてもらえるような会社づくりや職場環境整備に努めています。
キャリア採用
多様な人財を確保するべく新卒採用に加え、近年はキャリア採用に注力しています。2024年度は262名(前年度比145%(181名))を採用しました。また、社内に蓄積のない新しい分野の知見・経験をもった人財の方を対象に、既存の人事制度にとらわれない雇用形態を新設し、2023年6月より導入しています。
アルムナイ採用
スズキを退職された方を対象に「アルムナイ採用」に取り組んでいます。在職時の知見を活かし、社外で新たに学び得た知識や経験を持ち合わせ、慣れ親しんだ職場環境であるスズキで再び即戦力として活躍していただくこと、また、転職を経験したことにより、スズキの強み・弱みを再認識し、強みは伸ばし、弱みは改善することでスズキの更なる成長に貢献していただくことを期待しています。
リファラル採用
スズキに在籍している社員から知人・友人を紹介いただく「リファラル採用」に取り組んでいます。事前に社員がスズキのことを詳しく説明することで、応募者の方はスズキに対する理解が深まり、スズキを良く知った上で入社していただくことで、入社後の定着性向上に寄与すると考えています。
次世代技術開発に向けたデジタル人財の採用
CASEを始めとする次世代技術開発に必要なデジタル人財の確保が喫緊の課題となっています。日本国内のデジタル人財が不足する中、当該分野の人財を多数輩出するインドに着目し、2018年よりインド工科大学ハイデラバード校からの直接採用に取り組んでいます。(2024年5月時点 累計26名)またスズキが得意とするインド市場において、当社子会社のMaruti Suzuki India Ltd.との人財交流で日印一体となって競争力の向上に取り組んでいます。
人財可視化
部門ごとの業務を分解し、業務の流れと必要となるスキルを見える化し、社員一人ひとりが業務遂行に必要となるスキルを関係づけすることで、属人化されている業務が可視化され、自部門の人財配置状況を把握した上で、欠員を見越した補充や育成計画を明確にします。目標チャレンジや職能育成面接時に上司と部下との対話を通して育成計画やキャリアパスと実績を共有し続け、個の成長を促進・評価して、チーム・会社の成長・増強につなげます。将来的には各部門で作成した「タスク分解表(スキルマップ)」を人事データとして人財基盤システムに取り込み、人的資本状況の把握、採用と配置、リスキリング、タレントマネジメント等に活用していきます。
サクセッションプラン
当社は持続的な企業成長を目指し、次世代リーダー(役員、本部長、部長)のサクセッションプラン策定に取り組んでいます。2024年4月の人事制度改革に伴い役職ごとに求められる能力要素、人物・行動要件を定義し、役職者の役割を明確にしました。また、幹部級・管督級の人財プールを設け、組織のマネジメントを担うポスト長への配置をフレキシブルに行っています。役職昇格は上司からの推薦だけでなく人事部門が考える後任候補者リストを参考に、経営会議にて社長を始めとする経営幹部が意見を出し合って決定しています。また、管理職を対象とした多面評価を行い、あらゆる側面からリーダーとしての適性を見極め、適切な人財配置及び人財育成に取り組んでいきます。
部門人事
現場の困りごとを、現場により近くで正確かつ迅速に対応するため、2023年より四輪技術部門と生産部門に人財開発本部から独立した部門人事を新設しました。現場の声を拾い上げ、従業員個々の困りごとや相談ごとを一緒になって解決したり、部門で解決できない課題は人財開発本部へ届け、職場改善・問題解決をしています。社員が生き生きと働けるようにモチベーションを高め、定着率向上につなげています。
d. ダイバーシティ
スズキでは、性別、年齢、国籍、人権、宗教、障がいの有無などのみならず、社員一人ひとりの個性や意思を尊重し、一人ひとりが仕事と生活の調和を図りながら、多様な働き方を通じて、能力発揮・能力向上で最大限に活躍できる環境整備と風土醸成に取り組んでいます。
女性活躍推進
これまで以上に女性が活躍できる会社となるよう、2020年度からは、2025年度の女性役職者数を2015年度の3倍にする計画を掲げ、管理職並びにその候補者を含む女性役職者数の増加に取り組んだ結果、2024年度の女性役職者は2015年度比で4.2倍の223名まで増加し、計画を達成しました。一方で、女性管理職数は2024年度末時点で31名(女性比率2.18%)となっています。将来的には女性管理職比率を女性従業員比率と同じにするため、まずは2030年度までに女性管理職比率を5.0%とすることを目標とし、両立支援にとどまらず、キャリア形成支援に取り組んでいきます。また、自動車産業の女性比率が低いことも課題と捉え、生産工場をはじめとする社内のすべての職場が、性別、年齢、国籍、人種、宗教、障がいの有無などを問わず、すべての人にとって働きやすいものとなるよう、生産技術の革新、各種設備の更新によるすべての職場の根本的な作業環境の改善等、働きやすさの実現にも取り組んでいきます。
両立支援
従業員が多様な働き方を選択できる制度をつくることで、意欲と能力を持った従業員が継続して働ける環境を整えています。また、職場全体でワークライフバランスへの意識を高め、「働きやすい職場」づくりを推進していきます。
・ 短時間勤務制度(育児・介護)
小学生以下の子供を養育する従業員もしくは家族の介護を必要とする従業員に対し、本人の申し出により1日の所定労働時間を6時間又は7時間に短縮する制度を導入しており、2024年度は394名が利用しました。
・ 休暇・休職制度(育児・介護)
育児・介護に専念するための休職制度は、男女を問わず多くの従業員が利用しています。2024年度は372名がこの制度を利用しました。2022年4月からは、男性が育児参加しやすい風土とするために、従来の配偶者の出産時に2日間取得できる「配偶者出産休暇」に加え、子の出生から8週間以内に5日間取得できる「出生時育児休暇」を新設しました。2024年度の男性の育児休職取得者は267名(取得率65.7%)と着実に風土醸成が進んでいます。
・ ライフサポート休暇
付与後2年間の有効期限を過ぎた有給休暇日数は最大40日までストックすることができ、傷病、親や子供の介護、不妊治療、骨髄提供において利用できるライフサポート休暇制度を導入しています。
・ 2024年プラチナくるみん認定を取得
次世代育成支援対策推進法に基づき、「子育てサポート企業」として「プラチナくるみん」の認定を受けました。「プラチナくるみん」は、「くるみん」認定企業のうち、子育てなどの両立支援制度導入や利用が進み、高い水準の取組みを継続して行うなど、一定の基準を満たした場合に受けることができる認定です。スズキは2022年に「くるみん」認定を取得し、男性育児休職の取得促進や女性の就業継続・活躍の推進を行っていることが評価された結果、「プラチナくるみん」認定の取得となりました。
・ パパママ情報交換会
パパママ情報交換会は、育児休職中の従業員とその配偶者を対象にしており、育児休職からの復帰経験を持つ社員からの経験談や、社員同士の交流を通して、不安なくスムーズに職場に復帰できること、復帰後も気軽に相談できる体制を築くこと、共働きの子育てについて夫婦で理解を深めることを目的に開催しています。
・ 小児科・産婦人科オンライン相談サービス
妊娠、不妊、出産、子育て、女性の健康について「いつでもどこでも」「スマホからオンラインで」「専門家に」気軽に悩みを相談できるサービスを導入しています。日本にいる従業員・家族に限らず、駐在員や帯同家族の悩みが解消され、より一層安心して働ける環境となることを目指しています。
LGBTQ
スズキでは就業規則において、性的指向・性自認に関する嫌がらせ・差別的言動を禁止するとともに、全従業員に配布している「コンプライアンス・ハンドブック」でアウティングを取り上げて理解促進を図る等、従業員が「性の多様性」を理解し、受容する風土の醸成に取り組んでいます。また、ユニフォームの男女統一化や「誰でもトイレ」の増設も実施しました。
障がいのある方の雇用
人事部内に専任担当者、精神保健福祉士を配置し、定期的に個別面談を実施している他、職場にも障害者職業生活相談員を置き、障がいを持つ従業員の悩みや問題のケアを行うなど、長く安心して働くことができる環境づくりに取り組んでいます。
2005年2月に設立した特例子会社「スズキ・サポート」は、事業をスタートして21年目を迎えました。2025年3月末現在で、障がいのある方(重度の障がいを含む)の社員数は89名となり、指導員と一体となってスズキ本社内事務所、社員寮、関連施設の清掃業務、社内の文房具管理業務、及び農園作業に携わっています。全員が明るく元気に働く姿は、スズキの従業員からも共感と喜びをもって迎えられています。スズキでは、スズキ・サポート設立の理念である社会貢献の一環として、障がいのある方々が働くことのできる喜びや社会参加によって人間的成長を感じることができるよう、今後も障がいのある方の雇用に取り組んでいきます。
e. 健康・安全
健康経営:
健康宣言
スズキでは「お客様の笑顔は社員の笑顔から生まれる」をキャッチフレーズに、スズキグループで働くすべての従業員が社是を実践し、心も身体も健康で明るく生き生きと働くことができ、その結果、お客様が笑顔になるような製品をご提供できるよう、チームスズキ一丸となって、健康経営活動に取り組んできました。これまでの継続した取組みにより、スズキは2021年から毎年、健康経営優良法人へ認定され、2025年には、健康経営優良法人ホワイト500に認定されました。これからもお客様の笑顔を、社員の笑顔を生み出し続けるため、健康経営活動への取組みを続けます。
社内浸透の取組み
「お客様の笑顔は、社員の笑顔から生まれる!」を健康経営キャッチフレーズとして、「チームスズキ一丸で健康経営を推進していこう!」と社長から全従業員に対しメッセージを発信しました。また毎月1回「健康経営ニュース」を発行し、従業員へ健康経営活動についての情報発信をするとともに、活動に対するアイディアや意見を募集する取組みを実施しています。
ヘルスリテラシー向上の取組み
社長をはじめ経営層と従業員が健康管理をテーマに座談会を定期的に開催し、その様子を動画で社内へ発信することで、従業員のヘルスリテラシー向上を図っています。また毎月1回「今は興味のないあなたにも、何かの時にお役に立てる」をコンセプトに、医務室通信「はなえみ」を発行しています。
浜松ウエルネスアワード2025
浜松市が目指す予防・健幸都市の実現に向けた浜松ウエルネスプロジェクトの推進に寄与し、他の企業や団体等の模範となる事業・取組みとして、「浜松ウエルネスアワード2025」健康経営部門にて、優秀賞を受賞しました。
メンタルヘルス対策
メンタルヘルス対策として、各種階層別教育、セルフケア・ラインケア教育などの実施に加え、事業所ごとに独自のセルフケア教育やラインケア教育を実施しています。また、相談体制として社内医務室や心の相談室(外部精神科医や臨床心理士によるカウンセリングを無料で受けられる相談室)に加え、仕事上のストレスのみならず私生活上の悩みにも相談できるよう社外のEAPサービスを導入し、従業員だけでなくその家族も利用できる環境を整備しています。
運動習慣促進の取組み
スズキアスリートクラブの選手がアイディアを出し、簡単な動きで運動効果の高い「スズキオリジナル体操」を作成しました。スズキオリジナル体操を全社に広める活動として、アスリートクラブ選手が職場のフロアに出向き、就業時間内に体操指導を実施しています。また、浜松市と連携し、浜松市の提供する健康管理アプリ「はままつ健幸クラブ」を社内へ紹介しています。誰でも参加ができ、月間の歩数、消費カロリーの管理・歩数ランキングなど、日々の健康づくりの見える化を実施しています。
安全衛生:
安全基本理念
・ 「安全は全てに優先する。」~Make Safety as first priority.(Safety First)~
企業活動の根幹は「人」である。その「人」を守る安全はいかなる時にも一番の優先順位を与えなければならない。
・ 「労災はすべて防ぐことができる。」~All accidents are preventable.~
管理者は、「労災は必ず防げる」という強い信念をもって、日々職場をリードしなければならない。
・ 「安全はみんなの責任である。」~Safety is everyone’s responsibility.~
会社がやるべきことを行うと共に、一人ひとりが、自分の身を自分で守る、責任ある行動を取らなければならない。みんなが、ルールを守り、注意し合える職場風土を全員でつくろう。
リスクアセスメント活動
スズキでは予防を中心とした安全先取り活動として「リスクアセスメント」を実施しています。作業におけるリスクを洗い出し、その対策を進めることで安全性の向上を図っています。2001年よりヒヤリ・ハット事例のリスクアセスメントを導入し、2013年より定常作業のリスクアセスメントに取り組んでいます。また、2016年より化学物質のリスクアセスメントを実施しています。2017年にはリスクアセスメントの評価方法を見直し、リスクの高い作業について再評価し、リスク低減を進めています。
f. 労働慣行
人権の尊重:
人権に関する法令や国際規範の尊重
スズキグループは、「世界人権宣言」(UDHR)、国際人権規約(「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」(ICESCR)、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(ICCPR)」)及び「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」(ILO中核的労働基準)など、国際的な人権規範に規定された人権(結社の自由・団体交渉権の承認、強制労働の禁止、児童労働の禁止、差別の排除、安全かつ健康的な作業環境など)を尊重します。「ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGPs)、責任ある企業行動に関する多国籍企業行動指針、責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス、我が国の「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」等を参照し人権尊重の実践に取り組みます。また、スズキグループが事業展開する世界各国・地域の人権関連法令を遵守します。人権についての国際規範と各国・地域の法令の間に差異がある場合は、より高い基準を尊重することに努め、相反する場合には、国際的に認められた人権の原則を最大限尊重する方法を追求します。
是正と救済
スズキグループの企業活動が人権に対する負の影響を引き起こした、又は助長したことが明らかになった場合は、適切な手段を通じて、その是正・救済に取り組みます。さらに、スズキグループの事業、製品又はサービスが、人権に対する負の影響と直接関連する場合、ビジネスパートナーと協力し、その影響の是正を図ります。その一環で、スズキグループはホットラインを設け、人権への負の影響を受けたスズキグループの全役員・従業員、取引先、請負事業者等社外の関係者が利用できる相談窓口を整備します。
福利厚生:
従業員持株制度
従業員持株制度は、毎月の給与から一定の金額を天引きして会社の株式を継続的に購入する制度です。毎月の拠出金額に応じて無理なく株式が取得でき、財産づくりを支援するため、拠出金に会社から奨励金も付与されます。福利厚生のみならず、従業員が自社の株を持つことで、会社業績の向上が株価を押し上げ、その結果として自身の資産価値が増大するというモチベーションアップが期待でき、経営参画意識の醸成にもつながります。
またスズキでは、人的資本投資の取組みの一環として、2023年4月より従業員持株会の奨励金付与率を従来の5.6%から100%(奨励金額上限10,000円)へ引き上げました。魅力的で加入しやすい制度とすることで、さらに多くの従業員が持株会へ加入することで資産形成を後押しするとともに、経営参画への意識を向上していきます。
選択型福利厚生制度
・ カフェテリアプラン
勤務地・環境にかかわらず、社員が公平に福利厚生を受けられること、並びに多様な社員一人ひとりの嗜好を幅広く支えるため、会社が設定した福利厚生メニュー(両立支援、健康支援、能力支援、余暇支援、生活支援、等)の中から社員が自由に選択し、付与されたポイント(カフェテリアポイント)を上限に、補助を受けることができる仕組みです。
・ ベネフィット・ステーション
会社が設定したメニュー(旅行、レジャー、グルメ、スポーツ、ショッピング、学習、等)を会員優待価格で、制限なく利用できるサービスです。さらにカフェテリアプランで認められているメニューに関しては、そのポイントを併用して利用することができる仕組みです。
社内食堂・キッチンカー
昼食時間帯には社員食堂の他、曜日によっては本社構内にてキッチンカーの営業も行っています。クレープやかき氷などのスイーツやドリンクといったカフェメニューだけでなく、ハンバーガー、プレートランチ、スープなどランチメニューもあり、天気の良い日は芝生広場のベンチで喫食が可能です。2024年1月15日から本社社員食堂で新しいインドベジタリアン料理の提供を開始しました。この料理は浜松市でレストラン事業などを展開する企業様にご協力いただいたもので、味の開発にはインド出身のスズキの従業員も協力し、現地の味と同等にしています。本社以外の拠点では、予約制で提供を行っています。キッチンカーは本社以外からの出店希望も多いため、工場等の他拠点にも出店を広げています。
労使関係:
2022年以降の交渉スタイルの変革
労使交渉については、年1回の春季労使交渉(いわゆる春闘)の場が主となっていましたが、昇給・賞与に主眼が置かれてしまい、それ以外の課題については、労使間での情報共有・意見交換が尽くされておらず、お互いの主張を伝える形式的な場になりがちでした。こうした状況を踏まえ、労使信頼関係の根幹である職場単位での上司・部下コミュニケーションを活性化させ、層別で議論をしていくことを目指し、2022年の春季労使交渉では、これを実現させるための施策を実施しました。2023年以降も継続して取り組んでいます。
春季労使交渉での取組み
会社から組合に対して、将来に向けての取組みを伝え、課題を共有し、労使でベクトルを合わせながら解決に向けて話しあう「対話の場」としました。組合員だけではなく、管理職も一体となって労使交渉に臨むことが効果的と考え、管理職に向けた社長メッセ―ジも交渉に合わせて発信して、このメッセージを含めた対話内容を労使全体に向けて情報発信しました。
労使交渉後の継続的な取組み
職場の課題はまず職場で解決すべく、部門単位の「労使懇談会」を定期的に開催し、コミュニケーションを活性化させています。職場だけでは解決が難しい課題は、毎月1回開催する「支部労使協議会」、「中央労使協議会」の場で3月の春季労使交渉まで継続的に議論することで、春季労使交渉を労使対話の集大成の場とすることを目指しています。
g. コンプライアンス
不適切事案に関する再発防止策の実施状況
2016年の燃費・排出ガス試験問題及び2018年の完成検査問題を起こした反省から、その事実を決して忘れることなく後世へと伝え続けるために、毎年5月18日を全従業員が改めて自部門に関わる法令を総点検し、その遵守を再認識する日としました。2017年に技術部門より開始し2018年以降は社内の全ての部門で自分達の業務に関連する法令の棚卸しと総点検する活動を実施しています。
コンプライアンス・ハンドブック
2020年には、行動指針に基づいて、コンプライアンスの視点からスズキグループで働く人々が実践しなければならないことや、やってはいけないことを具体的にまとめた「コンプライアンス・ハンドブック」を発行して国内の全従業員に配布しています。日本語版の他、英語版・ポルトガル語版を作成して、国籍を問わず、日々の業務において随時確認・振り返りができるようにしています。2023年度には内容の見直しを行って改訂版(第2版)を再配布しています。
毎日コンプライアンスクイズ(毎コンクイズ)
日常的にコンプライアンスを意識する風土を作るため、毎日1問、役員・従業員のPC立ち上げ時に表示されるコンプライアンス関連のクイズに各人が回答する形式のEラーニングを2017年6月から実施しています。
③リスク管理
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク(1)事業に関するリスク⑤人財確保及び人財育成」に記載しています。
④指標及び目標
なお、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理ととともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属するすべての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、上記の指標に関する実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しています。