2025年6月期有価証券報告書より

リスク

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 市場および事業について

①ODM事業について

当社グループの売上高構成のうち、ELITechGroup等のODM販売先への依存度が76%程度(2025年6月期)と高くなっております。そのため、当社グループの業績は、ODM販売先の売上状況の影響を受けることが予測されます。

このたび、当社とELITechGroupは、ODM製品のより安定した生産と供給を実現するために、2024年7月~2029年6月の5年間を契約期間とするODM製品の中長期的な供給契約に合意し、契約期間中に総額70億円以上の発注がなされる予定です。このことを受け、大館試薬センターをはじめ、協力会社も含む各生産拠点の継続的な安定稼働と運営の効率化を見込んでいます。

 

②自社ブランド製品事業について

当社グループの自社ブランド製品事業は、国内外において装置、抽出試薬・消耗品、メンテナンス関連製品の販売を行っており、2025年6月期における売上依存度は24%弱となっております。これらの販売は、提携する現地代理店の販売実績に影響を受ける可能性があり、当該代理店の経営状況や販売戦略の変化によっては、当社グループの業績に影響を及ぼすリスクがあります。当社は、営業力を有する代理店との提携強化や、販売見込みの精度向上に努めることで、売上の安定化を図ってまいります。

 

③人材確保について

当社グループは、ヘルスケア企業であり、競争力の維持のためにも専門的な知識・技能を持った優秀な人材の確保は必須であると考えております。しかしながら、人材確保が出来ない場合、必要不可欠な人材が社外に流出する状況になった場合、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。

そこで当社グループでは、人材マネジメントポリシーの実践をしてまいります。

 

(2) 財務・資金調達について

①資金調達について

当社グループは、製品の上市、販売に向けた開発費用、設備投資、運転資金などの資金需要の増加に対応するため、資金調達を行う必要がありますが、資金が計画通りに調達できない場合には、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社グループでは健全な財務体質を構築、維持に努め、安心できる格付けを取得するとともに、最新の販売、生産計画に基づいた資金計画の見直しを随時行ってまいります。

 

②減損について

当社グループは、様々な有形固定資産、技術資産等の無形固定資産を有していますが、事業環境の急激な変化に伴う生産設備の遊休化や稼働率の低下等により減損損失が発生し、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、最新の販売、受注情報に基づいた生産計画の見直しを随時行なってまいります。

 

(3) 規制・災害・事故について

①経営上の重要な契約等について

当社グループの事業展開上、重要な契約が期間満了、解除、その他の理由に基づき終了した場合や、当社グループに不利な改定が行われた場合には、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②知的財産権について

当社グループは、競合他社を排除するため、当社グループの技術を特許で保護しております。登録している特許が無効化、消滅した場合には、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③製造物責任のリスクについて

当社グループが取り扱うすべての製品、パーツ部材等について製造物責任賠償のリスクが内在しております。当社はこれに備えて製造物責任賠償保険に加入しておりますが、臨床試験、検査の過程で製造物の欠陥が発見され、補償額が保険の補償範囲を超える大規模な製造物責任を負う場合には、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④法的規制について

当社グループの製品は、販売される国ごとの法規制を受けており、当社グループは当該法規制を順守していく方針であります。しかしながら、これらの規制が強化されたり、新たな規制が導入された場合には、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループが開発、販売中のIVD検査装置、IVD試薬は関連法規の規制を受けており、営業活動継続のためには当局の承認又は許可が必要になります。当社グループが開発を進めている個々のプロジェクトについて、かかる許認可が得られなかった場合には、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤情報セキュリティ

当社グループが保有する機密情報及び個人情報については、厳正な管理に務めておりますが、これらの情報の流出により問題が発生した場合には、当社グループの社会的信頼の低下等、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)継続企業の前提に関する重要事象等について

当連結会計年度は中期経営計画に定めた事業再生フェーズ中であります。利益確保の基盤は整いつつあるものの、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。これにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況が存在しております。

このような事象又は状況を解消すべく、当社グループは、事業の抜本的改善策について拠点の移転統廃合等でグループ収益力向上を図り、事業の収益改善策については、従来より強固な協力関係にあり、当社グループの売上の約50%強を構成するELITechGroupとの5年間のODM製品供給契約の締結により、装置、試薬、消耗品、メンテナンス関連製品の収益改善の具体化につながり、大館試薬センター第二工場の稼働率の大幅な向上が図られ、製品供給能力の向上と製造原価率の低減から利益率が改善され、利益確保の基盤が整いつつあります。資金面では、財務制限条項の付された借入金は弁済済となっており、また、メインバンクを中心に既存取引行と緊密な関係を維持しており、今後も継続的な支援が得られるものと考えております。当社メインバンクとは2025年5月に返済期限をむかえた短期借入金について借換えを行いました。これにより、当面の間の運転資金及び投資資金において、資金繰りに重大な懸念はないと判断しております。従いまして、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象及び状況は存在するものの、重要な不確実性は認められないものと判断しております。

※当社の製品は製品設計の段階から受託するケースがほとんどであるため、当期より従来の表現であったOEMから「ODM(Original Design Manufacturing)」へと表記を統一いたします。

 

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、内部留保については、研究開発活動を中心として、企業価値を高める様々な活動に利用していく方針であります。そのため、配当と内部留保のバランスをとりながら株主還元を行ってまいりたいと考えておりますので、当面の間は、連結での配当性向20%をひとつの目安として運用していく方針であります。

なお、期末配当の決定機関は株主総会、中間配当については取締役会であります。

また、当社は「取締役会の決議によって、毎年12月31日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。

当事業年度に係る剰余金の配当はありません。