2024年6月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)組織体制に関するリスク

① 新製品(新規トレーディングカードゲーム、新規モバイルゲーム及びコンソールゲーム)の適時リリース

 新製品を適時に出荷できるかどうかのリスクの顕在化する可能性の程度や時期は、新製品の開発プロセス、ライセンサーの許可、生産能力等、ソフトウエアの場合にはさらにデバッギング(注)、企図した水準に達していないなど顧客満足度向上のための追加開発、ミドルウエアメーカーや各種権利者からのライセンス許可等、様々な要因に左右されます。新製品を適時にリリースすることは、当社グループの収益基盤であり、当該リスクが顕在化した場合には当社グループの売上に与える影響が大きいと認識しております。そのため、当社グループは、Global Mega Character Platformを構築する中で自社IPの開発だけに頼らない事業ポートフォリオを確立することでリスクの分散をはかっております。

 (注) デバッギングとは、ソフトウエアのプログラムの誤り(バグ)を修正すること。

 

② 人材採用・人材確保

 当社グループの成長と成功の継続は、経営幹部と他の重要な従業員の貢献が継続すること、そして新規に能力ある従業員を雇用できるかどうかに依存しております。特にソフトウエア産業は、従業員の流動性がきわめて高く、競合会社間では技術、マーケティング、販売、開発及びプロデュースの能力が高いスタッフの獲得競争が行われております。このような人材採用・人材確保のリスクの顕在化する可能性の程度や時期は常に発生するものと考え、当該リスクが顕在化した場合には十分な人的リソースを確保することができず、当社グループの業績に与える影響が大きいと認識しております。そのため、当社グループは、魅力的なIP創出などコーポレートのプレゼンス向上に努め、また、セキュリティ、コンプライアンス、ハラスメントなどの共通領域に加え、事業領域別の専門研修、階層別のマネジメント研修など、人材の育成及び強化を進めております。

 

③ 特定人物への事業依存

 当社グループの創業者であり代表取締役社長である木谷高明は、当社グループの強みであるコンテンツの創出やプロデュースノウハウを蓄積しており、実際の事業の推進においても重要な役割を果たしております。そのため同氏への事業依存のリスクの顕在化する可能性の程度や時期は常に発生するものと考え、当該リスクが顕在化した場合には、当社グループの業績に与える影響が大きいと認識しております。そのため、当社グループは、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を目指し、人材の育成及び強化を進めております。2023年6月期より組織をTCG、デジタルコンテンツ、BI(Bushiroad International)、ライブエンタメ、MD、アド、スポーツという7つのユニットに再編し、ユニット長に若手を多数抜擢するなど権限委譲を進めております。

 

(2)事業環境に関するリスク

① 広告宣伝のリスク

 当社グループは、良質なIPの開発・獲得・発展を目的として事業を多角化しており、IPをトレーディングカードゲームやモバイルゲームやコンソールゲーム、音楽、マーチャンダイズ等様々なメディアに対し商品やサービス展開(メディアミックス)をグループ全体で担うビジネスモデルとなっているため、プロモーション施策を積極的に展開しております。このような広告宣伝のリスクの顕在化する可能性の程度や時期は常に発生するものと考え、当初意図した広告効果が発現しなかった場合は、当社グループの営業利益に影響が生じる可能性があります。そのため、デジタルマーケティング、TVCM、交通広告といった様々な広告手段を活用することで広告宣伝のリスクの分散をはかっております。

 

② トレーディングカードゲームの市場規模の推移

 トレーディングカードゲームの国内市場規模は、2023年度に前年度比27.8%増(注1)、北米市場では同10.1%増(注2)と大きく伸長しております。しかし、現在は一定の市場規模はあるものの今後成長が進まない場合、当社グループのトレーディングカードゲーム部門の売上に影響が生じる可能性があります。そのため、2020年以降行ってきた「ヴァイスシュヴァルツ」や「カードファイト!! ヴァンガード」での英語版強化に加え、2022年以降は中国語版の展開を開始しました。さらに複数言語にライセンスアウトするなど当社のカードゲームを全世界に浸透させることで、グローバル市場でのプレゼンスを高めて参ります。

(注1)出典:「メディアクリエイト総研“Monthly Trading Card Game Research Data”」

(注2)出典:「ICv2 “White Paper 2024”」

 

③ モバイルゲームの競合他社との競争激化

 現在、モバイルゲームの市場においては、数多くの競合他社が存在しております。また、国内市場は頭打ちの傾向であることに加え上位タイトルは寡占傾向にあり、当社グループのモバイルゲーム部門の売上に影響が生じております。当社グループは、自社IP及び他社からの利用許諾を得たIPを活用し、コンソールゲームを含めてマルチプラットフォーム戦略を引くことで、リスクの分散をはかりながら激化する競争に対抗し得る魅力的なゲームを今後もリリースしていくことに注力してまいります。

 

④ 海外展開におけるリスク

 当社グループではTCG・ゲーム・フィギユアやキャラクターグッズ・アニメ配信権・プロレス興行や映像配信など、当社グループ製品やサービスは海外における取引が増加しております。しかしながら、海外における取引は、製造コストや配送料の高騰、現地政府による外国為替の停止、関税の引き上げ、及び政府の公用収用による財産の没収等の様々なカントリーリスクに晒される可能性があります。また、海外での取引では為替レートの変動リスクが生じるため、契約上当該為替リスクを当社グループが負担せざるを得ない場合、当該為替リスクによる金銭的な負担を当社が負うことがあります。加えて、海外において当社グループのベンダーや顧客を増やす過程において、製造物責任、設備責任、製品の欠陥又は労働問題等の訴訟リスクや予期しない破産のリスクにさらに晒される可能性があります。このような海外展開におけるリスクの顕在化する可能性の程度や時期は常に発生するものと考え、当該リスクが顕在化した場合には、当社グループの海外事業の業績に与える影響が大きいと認識しております。そのため、これらのリスクについては、当社取締役及び当社執行役員が参加する経営会議において共有・議論しております。

 

⑤ 為替リスク

 当社グループの海外売上高比率は20%を超える程度まで拡大しており、その多くは海外連結子会社における英語版TCG事業によるものでありますが、中国語版TCGも増加傾向、フィギユアやキャラクターグッズ・アニメ配信権・プロレス興行や映像配信サービスも増加傾向です。海外連結子会社の連結財務諸表の作成にあたって適用される為替換算レートにより、当社グループの円換算後の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
 

⑥ M&A及び資本提携等に係るリスク

 当社グループは、さらなる事業成長を目指し、M&Aや資本提携による事業領域の拡大を推進しておりますが、買収・提携後の事業計画が市場環境の変化などの要因により事業計画通りに進捗しない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、M&Aや資本提携に際しては、対象企業の財務内容や契約関係等についてデューデリジェンスを実施し、既存投資においては定期的にモニタリングを実施し、リスク軽減に努めております。

 

 これらの当社グループが認識している最重要リスクに加え、「ソフトウエア製品の品質管理」、「他社知的財産の侵害」、「新たな法的規制への対応」、「個人情報の管理」、「紛争、訴訟の発生」、「システムの継続性確保、セキュリティ対策」、「自然災害、事故等による影響」等、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があるさまざまなリスクが存在していますので、当社取締役及び当社執行役員が参加する経営会議において共有・議論しております。なお、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではございません。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けております。配当につきましては、株主資本を充実させて財務基盤の安定・強化を図り成長投資に積極的に振り向けつつ、業績も勘案した安定した利益還元を継続的に行う方針であります。

 剰余金の配当を行う場合、年1回の期末配当を基本方針としており、配当の決定機関は株主総会となっております。また、当社は取締役会決議によって、毎年12月31日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款で定めております。

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額
(千円)

1株当たり配当額
(円)

2024年9月26日
定時株主総会決議

315,594

4.5