2023年12月期有価証券報告書より
  • 社員数
    892名(単体) 3,044名(連結)
  • 平均年齢
    46.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    19.0年(単体)
  • 平均年収
    6,931,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

 

当社及び連結子会社の事業は、電子楽器の製造販売であり区分すべき事業セグメントが存在しないため単一セグメン卜となっており、セグメン卜情報に関連付けては記載していません。

 

(1) 連結会社の状況

2023年12月31日現在

従業員数(人)

3,044

[242]

 

(注)1. 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しています。

2. 当連結会計年度における従業員数の増加及び臨時従業員数の減少は、主にマレーシア子会社の雇用形態の変更によるものです。

 

(2) 提出会社の状況

2023年12月31日現在

従業員数(人)

平均年齢

平均勤続年数

平均年間給与(千円)

892

46歳2か月

19年8か月

6,931

 

(注)1. 従業員数は就業人員です。なお、臨時従業員数は従業員の総数の100分の10未満であるため、記載を省略しています。

2. 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

 

(3) 労働組合の状況

当社は、ローランド労働組合を組成しています。なお、ローランド労働組合は、上部団体には加入していません。

2023年12月31日現在、当社従業員のうち、組合員数は553人です。なお、労使関係は円滑に推移しており、労働組合との間に特記すべき事項はありません。

 

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

提出会社

当事業年度

管理職に占める
女性労働者の割合(%)(注1)

男性労働者の
育児休業取得率(%)(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注1,3)

全労働者

正規雇用
労働者

パート・
有期労働者

5.8

19

76.5

76.0

65.1

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

3.「労働者の男女の賃金の差異」については、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しています。なお、同一労働の賃金に差はなく、等級別人数構成の差によるものです。

 

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)の視点に代表される「サステナビリティ(持続可能性)」への取り組みにあたり、以下の認識のもと、環境・社会を含むすべてのステークホルダーの期待に応え、事業成長にもつながるテーマを中心に重要課題を整理しました。<5つの活動指針>で示すとおり一貫した「姿勢」で「意識」「実践」「開示」を一連のものとして課題対応を進め、取締役会が定期的な報告を受けてその状況を「監督」し、必要に応じて助言と支援を行います。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) サステナビリティの取組

当社の事業は、音楽・映像文化を通じて社会の持続的発展に貢献している一方で、環境や社会全体の安定と豊かさのもとに成り立っています。そして気候変動や人権などのさまざまな課題に真摯に向き合い、その解決に貢献することは企業としての重要な責務であると認識しています。

環境・社会の安定や持続性が損なわれ、音楽・映像文化や当社事業が存続しえなくなる負の連鎖を避けるため、それぞれのサステナビリティを高め合う好循環を生み出す活動を、経営の重要課題に位置付け、取り組んでいます。

 

 

 


 

(2) 活動指針

当社グループでは、以下の活動指針を定め、音楽・映像文化の発展のために「創造」の価値を提供し続け、全ステークホルダーから「共感」いただける取り組みを通じて、地球環境・社会の課題解決と事業成長の両立に「BEST」を尽くします。

 

<5つの活動指針>


 

(3) 重要課題

重要課題及びSDGsターゲットとの関連

中期経営計画2023-2025における重点施策

サプライチェーン・マネジメントの高度化

 

 

 


 

・事業効率の改善

輸送・配送での経路・積載の効率化とCO2排出量削減

事業所効率化や再エネ活用による自社排出CO2の極小化

・取引先との関係強化

人権保護及びCO2排出量削減の意識共有と協業推進

部材不足等の非常時でのレジリエンス強化

音楽・映像文化の発展支援

 

 


・当社ならではの活動による文化・業界の振興

デジタルマーケティング活用、機会・体験の提供

協賛・支援を通じた新興市場での繋がり強化

・製品による環境・社会配慮

企画・設計による環境負荷低減やアクセシビリティ向上

人材の活力、能力発揮の最大化

 


・グループ人材活用

人材の育成・適正配置、報酬体系のグローバル管理推進

・従業員エンゲージメント向上

組織受容力(職場環境・ダイバーシティ等)の強化

成長(無形資産)への投資

 

 


・次世代の製品基礎開発

楽器性能向上のための継続的な開発投資

・Roland Platformの実現

サービスや顧客情報基盤の整備・拡大

・Roland Cloudのサービス拡大

ガバナンスのたゆみない強化

 

 


・構造改革で獲得した強みの内部進化

取締役会、執行体制の実効性向上

リスク管理・コンプライアンスのさらなる強化

・情報可視化の発展

事業判断・情報開示の精度向上

非財務情報の開示推進

 

 

(4) 気候変動への対応(TCFD提言に沿った情報開示)

当社グループは、地球温暖化に伴う異常気象や災害の発生などの現象は、経済的損失につながるだけでなく、人類の文化的な営みや生活様態にまで深刻な影響を与える可能性があることを認識しています。人々が安心して暮らし、音楽・映像をはじめとした芸術文化が育まれる社会環境を維持するために、CO2排出量削減につながる貢献策や事業活動の効率化に取り組んでいます。

また、気候変動によって生じる当社事業に対するリスクや機会を適切に評価し対応を進め、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候変動関連財務情報開示タスクフォース)のフレームワークに沿って、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」の4つの観点から、その状況を開示していきます。

 

ガバナンス

サステナビリティを巡る課題全般への対応として、取締役会がサステナビリティ基本方針と特定した重要課題を承認し、その取り組みの状況について定期的に報告を受けて監督する体制を定めています。気候変動問題を含む主要課題への取り組みはテーマ別の分科会で企画・実行され、社長を含む全執行役員で構成する「サステナビリティ推進委員会」がその推進状況を確認・協議することで、それぞれの執行部門への的確な指示と取締役会への定期報告の両方を担保する体制としています。ガバナンス体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要 企業統治の模式図」に記載のとおりです。

 

戦略

IPCC(気候変動政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)等が発行する報告書における複数のシナリオを参照し、以下の2つの対照的なシナリオを用いました。その想定から、当社事業に対する気候変動のリスクと機会について一定程度の発生可能性(確信度)が見込まれるものを特定し、それが顕在化する時期と財務影響を評価しました。

 

・ 1.5℃シナリオ:パリ協定での合意を踏まえ、脱炭素への取り組みが世界的に最も進む想定

- 産業構造やエネルギー政策が大幅に転換する過程で規制等が増加する「移行リスク」が高まる可能性があります。

- 当社事業は産業構造の転換や活動規制の影響は受けにくいものの、炭素税や排出権取引などのカーボンプライシングが企業全般を対象として導入された際には、その影響を受ける可能性があります。

 

・ 4℃シナリオ:世界的に気候変動対策が十分に進展せず、現構造のまま経済活動が継続される想定

- 気候変動が進行し自然環境の変化や災害が増加する「物理的リスク」が高まる可能性があります。

- 当社事業は自然資源(水や無垢木材)の使用は少なくその影響は受けないものの、突発的な自然災害によって事業の操業に影響を受ける可能性があります。しかし慢性的な影響までは見込んでいません。

 

 

<特定した気候変動リスク/機会の評価>

区分

特定したリスク/

機会

顕在

時期

(注)1

財務

影響

(注)2

想定する状況とその対応

移行

リスク

(1.5℃シナリオ)

カーボンプライシング導入による対応コストの増加

長期

<想定>

本社を中心に炭素税や排出権取引などの規制が課されるが、CO2の直接排出量(スコープ1)と間接排出量(スコープ2)が対象となる場合は、当社排出量に比例しその影響は小さい
<対応>

事業の省エネ化を進めるとともに、CO2排出量をオフセットする対応を実施

規制強化に伴う

原材料の値上り

長期

<想定>

他社に課されたカーボンプライシング等の規制コストが、鉄鋼などの用途が広範な素材や代替が難しい部材に転嫁される場合に、仕入コストの上昇影響は小さくない
<対応>

取引先との関係強化を通じてGHG排出量削減を働きかけ協業することでコスト安定化を図るとともに、設計部門と調達部門が連携して業界動向を注視することで早期の代替着手等の予防も講じる

物理的

リスク

(4℃シナリオ)

急激な自然災害

による事業操業

度の低下

中期

<想定>

主要生産拠点であるマレーシアにおいて大雨洪水が発生し、事業所浸水、部品供給路の寸断、労働者の移動制限等で1か月以上にわたり生産・出荷が停滞すれば、小さくない逸失利益が生じる
<対応>

工場において柔軟な製造ライン移設や生産計画の組み換えを想定した事業継続計画を整備するとともに、製品と部材の特性に応じた安全在庫運用により影響の吸収を図る

機会

消費者の生活

様式や消費動向

の変化

長期

<想定>

気温上昇に伴い消費者の屋外活動が制限され屋内での余暇時間が増えることで、音楽・映像の演奏や創作の楽しみを提供する当社製品に対する需要が増える
<対応>

新たな顧客層が気軽で簡単に楽しめる製品・サービスを充実するとともに、付加価値を持続的に提供することでファン層を拡大する

 

(注)1. 「短期」は1年以内、「中期」は5年以内、「長期」は5年超としています。

2. 単年度で5億円±2億円の損益影響を「中」程度とし、その上下をそれぞれ「大」「小」としています。

 

リスク管理

当社事業を取り巻く様々なリスクに対し的確な管理・実践を行うために、定期的に子会社を含むグループ全体より潜在リスク情報を集約し、社長がリスク管理責任者として委員長を務める「リスク管理・コンプライアンス委員会」においてその影響の重要度と対応方針を評価しています。また当委員会で評価されたリスクの内容は定期的に取締役会に報告されています。

気候変動で生じる移行リスクや物理的リスクについては、発生事象や対応策が既知の事業リスクと共通する点も多いため、上記の全社的リスク管理プロセスに統合する運用を行っています。

 

指標及び目標

当社グループでは2021年度よりCO2排出量の算定を行っており、その結果を以下の当社ホームページにて公開しています。

https://www.roland.com/jp/sustainability/environment/

 

主力となる当社の電子楽器は総じて省電力であり、お客様の要望や環境への貢献を念頭に更なる使用電力低減に継続的に取り組んでいます。また、日本、マレーシア、中国にある自社工場は大量の電力を必要としない組立工程が中心であり、さらに非化石価値を利用することで、スコープ2に相当するCO2の排出量を大幅に低減しています。サプライチェーン全体においては、自社だけでなく取引先も含めたCO2排出量削減や再生可能エネルギーの活用を着実に進めていきます。

 

現在計画している新本社社屋については、既存の建物を再利用することで、建設・解体時に発生するCO2排出量を大きく減らすことが可能であり、新築する場合に比べ約60%の削減効果が見込めます(当社推定)。

 

当社グループが責任をもって上述の取り組みを実行するために、CO2排出量算定の精度向上と要因の分析を行い、2050年のカーボンニュートラルを意識したうえで、明確な根拠に基づく「指標及び目標」を設定していきます。

 

(5) 人的資本経営への取組

ガバナンス

当社グループは、人事戦略をグループレベルで策定・実行・牽引するためにCHRO(Chief Human Resource Officer)を設置しています。CHROは、国内外における「従業員エンゲージメント」「生産性」「各種指標」の動向を常に確認しつつ、国内人事部門及び海外人事部門との定例会議により全社の状況を把握し、必要に応じて指示及びアドバイスを行っています。また、重要な人事案件は執行役員会で討議し、人事政策の見直しを図っています。

なお、役員の選解任及び報酬制度・報酬金額については、指名報酬委員会での討議を経て取締役会へ上程しています。
 

戦略

<経営戦略と人的資本戦略>

当社グループでは、以下の「経営理念」「長期ビジョン」「中期経営計画」を実現するにあたり、<人の成長と組織の活性化>を最重要テーマの一つと位置づけ、各種人事施策に取り組んでいます。

 

経営理念   :創造の喜びを世界にひろめよう/BIGGESTよりBESTになろう/共感を呼ぶ企業にしよう

長期ビジョン :The World Leader in Music Creation

中期経営計画 :Create Fans For Life!

 

このことから、当社人事戦略における最重要ポイントは、各従業員が「豊かな発想とチャレンジ精神を持って自発的に創造性を発揮すること」及び従業員を取り巻く組織文化が「個々の従業員の多様性を受け入れ、共創的な交わりにより相乗効果を導くものであること」であると考えています。またガバナンスの観点からは、これら従業員個人と組織の活性度を常にモニタリングし、必要に応じて改善を施す仕組みを構築することで、継続的な人と組織の活性化を実現したいと考えています。

 

<近年の人的資本経営について>

当社グループは、特に2016年以降、人材の強化に向けてさまざまな改革に取り組んできました。

国内においては、従業員のモチベーション向上を目的として、人事考課制度及び報酬制度を個人の業績と成長をバランスよく重視しながら処遇する制度に改定しました。その他、要員計画に基づく採用管理や社内研修活動の強化、働き方の多様性を推進するためのテレワーク制度やフレックス制度の導入等を行いました。また、KPIとして「従業員エンゲージメント」と「生産性」を設定し、その向上に努めてきました。

一方で当社グループ売上の91%(2023年12月期現在)を占める海外においては、グローバルにおける人材最適化に向けて海外子会社とのリレーションを強化し、現地の労働条件や文化的背景を考慮のうえ、<グローバル人事基本ポリシー>に沿って各種活動を進めています。

 

[グローバル人事基本ポリシー]

・人事制度は“公正さ”と“社員のエンゲージメント向上”に主眼を置いて策定する。

・年齢/性別/人種/社歴によらず、成果・能力・会社への貢献に応じて処遇される制度設計を目指す。

・会社の成長に応じて、適切に社員へベネフィットが還元される人事制度を目指す。

 

<人的資本経営に関する考え方>

当社グループは創業以来、音楽、映像の分野で電子技術を使ったさまざまな提案を行い、多くの人に魅力ある価値を提供することで新しい市場を切り開いてきました。このような「創造」を中核とする企業としてのあり方は、当社グループの根本的な存在価値につながるものとして今後も継続していきたいと考えています。

このような観点から、[人事戦略ビジョン]として、目指すべき「人材」「組織文化」「ガバナンス」を以下のとおり定めています。

 

[人事戦略ビジョン]

人材    :豊かな発想力とチャレンジ精神を備え、あるべき姿に向けて自律的に行動する人材

組織文化  :互いの個性を尊重し合うことで各人の能力を十分に発揮し、共創により相乗効果を生み出すことのできる組織

ガバナンス :継続的なモニタリングにより人事施策を改善し、人と組織が成長し続ける仕組み

 


 

 

<各種人事施策方針>

当社グループの各種人事施策における方針は以下のとおりです


 

指標及び目標

「創造」を事業の中核とする当社グループにとって、豊かな発想を持つ従業員の育成と共創的な組織文化の醸成は最重要テーマとなります。そして、その源泉となるのは、個々の内発的動機につながる「従業員エンゲージメント」であると認識しています。

したがって当社グループでは、人事戦略ビジョンを実現するための中核指標として「従業員エンゲージメント」を重視し、目標を2025年までに3.8(5段階中)と定め、定期定量的に推移を調査するとともに、すべての人事施策が従業員エンゲージメントの向上に寄与することを目指しています。

 

 

・従業員エンゲージメントの調査結果推移

 

2021

2022年

2023

従業員エンゲージメント指数

3.6

3.6

3.7

 

 

また、従業員エンゲージメント向上による業績への貢献度を計るための指標として、「生産性(Added Value÷Personnel Expenses)」を独自の計算式で定期的に確認し、中長期での継続的な向上を目標として定めバランスの良い人事戦略の遂行に努めています。

 

・生産性推移

 

2021

2022

2023

生産性

2.3

2.4

2.4

 

 

<ご参考:各種指標>