事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
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セグメント別売上構成
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セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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セグメント別利益率
最新年度
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
水産物卸売業 | 57,176 | 97.0 | -378 | -1,080.0 | -0.7 |
冷蔵倉庫業 | 1,609 | 2.7 | 330 | 942.9 | 20.5 |
不動産賃貸業 | 157 | 0.3 | 83 | 237.1 | 52.9 |
事業内容
3【事業の内容】
当社グループは、当社及び子会社7社より構成されており、水産物の卸売業及び水産物の売買を主要事業とし、附帯事業として冷蔵倉庫業務及び不動産賃貸業務を行っております。
事業内容と当社及び関係会社の当該事業にかかる位置付けは、次のとおりであります。
水産物卸売業…………当社は生鮮加工水産物の委託及び買付販売、共同水産㈱及び㈱キタショクは生鮮加工水産物の加工及び販売、築地市川水産㈱は生鮮加工水産物の販売を行っております。東市築地水産貿易(上海)有限公司は、中国、上海市で、中国向けの水産物の販売業務を行っております。
冷蔵倉庫業……………㈱東市ロジスティクスは、当社所有設備により冷蔵倉庫業を営み、築地企業㈱は㈱東市ロジスティクスの冷蔵庫内の荷役作業を行っております。
不動産賃貸業…………当社及び共同水産㈱は所有する不動産の一部を外部ならびに当社グループの会社に賃貸しております。
事業の系統図は次のとおりであります。
業績
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績及び財政状態の状況
当社グループの当連結会計年度の経営成績及び財政状態は、適正在庫による販売の効率化、採算管理の徹底を継続するとともに、前中期経営計画『SG-2023』に基づく組織再編、加工機能の強化を推進してまいりました。
このような状況のもと、当社グループは業務筋への売上が徐々に回復し、売上高は増加しましたが、水産物の輸入量の減少やALPS処理水による中国への水産物禁輸措置の影響を強く受け、取扱量の減少とともに、一過性の損失が発生する結果となりました。
なお、当社グループが保有する豊洲市場内と豊海地区の2つの冷蔵庫は、エネルギー関連のコストの削減と保管
料への転嫁が効果を発揮し、順調に推移しております。
その結果、当連結会計年度の連結売上高は58,701百万円(前年同期売上高57,981百万円)となり、営業利益は35百万円(前年同期営業利益183百万円)、経常利益は76百万円(前年同期経常利益225百万円)となりました。また特別利益に投資有価証券売却益を、特別損失に関係会社株式評価損等を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は204百万円(前年同期親会社株主に帰属する当期純利益223百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(水産物卸売業)
売上高は57,176百万円(前年同期は56,626百万円)、セグメント損失378百万円(前年同期は57百万円のセグメント損失)となりました。
(冷蔵倉庫業)
売上高は1,367百万円(前年同期は1,200百万円)、セグメント利益は330百万円(前年同期は157百万円のセグメント利益)となりました。
(不動産賃貸業)
売上高は157百万円(前年同期は154百万円)、セグメント利益は83百万円(前年同期は84百万円のセグメント利益)となりました。
当連結会計年度末の当社グループの財政状態は次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の総資産は17,182百万円となり、前連結会計年度末に比べ310百万円増加いたしました。流動
資産は7,736百万円となり、487百万円増加いたしました。これは主に売掛金の増加によるものです。固定資産は
9,446百万円となり、163百万円減少いたしました。これは主に固定資産の減価償却によるものです。
(負債)
当連結会計年度末の負債は10,765百万円となり、前連結会計年度末に比べ74百万円増加いたしました。流動負債は6,227百万円となり、511百万円増加いたしました。これは主に買掛金の増加によるものです。固定負債は4,538百万円となり、436百万円減少いたしました。これは主に長期借入金の返済によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、当期純利益を計上したことにより6,416百万円となりました。この結果、自己資
本比率は前連結会計年度末の36.6%から37.3%となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
営業活動によるキャッシュ・フローについては、棚卸資産の減少等により1,199百万円の収入(前連結会計年度は143百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、投資有価証券の売却による収入がありましたが、切り身加工用機械等の有形固定資産を取得したことによる支出等により1百万円の支出(前連結会計年度は358百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、借入金の返済等により833百万円の支出(前連結会計年度は14百万円の支出)となりました。
この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は364百万円増加し1,387百万円となりました。
(キャッシュ・フローの指標)
|
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
自己資本比率(%) |
33.9 |
36.6 |
36.8 |
36.6 |
37.3 |
時価ベースの株主資本比率(%) |
12.9 |
28.8 |
39.2 |
36.5 |
45.4 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
9.1 |
13.9 |
18.8 |
36.3 |
3.7 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
20.5 |
14.3 |
10.8 |
5.6 |
47.7 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※いずれも連結ベースの財政数値により計算しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
④仕入及び販売の実績
(a)仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
|
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
水産物卸売業 |
53,702 |
99.9 |
冷蔵倉庫業 |
- |
- |
不動産賃貸業 |
- |
- |
合計 |
53,702 |
99.9 |
(注)冷蔵倉庫業、不動産賃貸業に関しては、仕入高に該当するものはありません。
(b)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
|
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
水産物卸売業 |
57,176 |
101.0 |
冷蔵倉庫業 |
1,367 |
113.9 |
不動産賃貸業 |
157 |
102.1 |
合計 |
58,701 |
101.2 |
(注)上記は、セグメント間取引消去後の金額で記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、連結会計年度末日における資産・負債の計上、報告期間における収益・費用の計上に加え、開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的・保守的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
『当社グループの当連結会計年度の経営成績等』は、次のとおりです。
当連結会計年度の売上高は58,701百万円(前年同期売上高57,981百万円)となり、営業利益は35百万円(前年同期営業利益183百万円)、経常利益は76百万円(前年同期経常利益225百万円)となりました。また特別利益に投資有価証券売却益を、特別損失に関係会社株式評価損等を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は204百万円(前年同期親会社株主に帰属する当期純利益223百万円)となりました。
『当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因』は次のとおりです。
(近年の漁業資源の動向)
2022年の我が国の漁業・養殖業生産量は、前年から24万トン(6%)減少し、392万トンとなりました。魚種別にはサバ類、カツオ、ブリ等が減少しております。なお、2023年もサバ類、カツオ、そして中国向け出荷がストップしたホタテガイの減少が大きく報じられております。近年不漁が続いているサケ、サンマ、スルメイカは、海水温や海流等の海洋環境の変化、外国漁船による漁獲の影響などを大きく受けており、水産庁の調べ(2023年)では、マイワシ、サンマは漁獲量を若干持ち直したものの、スルメイカ、サケ共に、漁獲量はいずれも過去最低レベルが続いております。平均産地価格は、不漁が続き漁獲量の減少しているスルメイカも高値継続、漁獲量が一転減少したサバの価格上昇などにより、2022年は前年から引き続き71円/キロと大きく上昇し、401円/キロとなりました。
一方、長年の資源管理が効果を上げ不漁から回復したニシン、輸出需要の増加に伴う養殖のブリの生産量の増加、また環境に優しく外部環境に左右されにくいサケ、マス類の陸上養殖の新規参入の増加等、食糧安全保障の観点からも国内水産業に明るい話題が見受けられるようになりました。
(国内外の水産物消費の動向)
我が国の食用魚介類の消費量は、ここ近年減少傾向にあり、長らく水産業にとっての課題となっています。食用魚介類の国内消費仕向量は、2016年度に肉類の国内消費仕向量を下回り、2022年度には505万トンとなりました。2012年度の国内消費仕向量との比較では、国内生産量が85万トン、輸入量が81万トン減少したことにより約23%縮小しております。一方海外では輸送技術等の発達による流通機能の近代化、生活水準の向上、健康志向の高まり等により、新興国を中心に魚の消費量が増加し続けています。この世界的な水産物消費の増加に加え、人件費の安い国への加工場の移転、貿易自由化の進展等を背景として、世界の水産物貿易量の増大には顕著なものがあり、国際的な需要の高まりを受けて、取引価格は上昇基調にあります。一方、我が国においては、長期化したデフレ、直近の為替相場の影響を強く受け、国際市場において買い負けが常態化しており、輸入量は減少傾向が続いています。
なお、経済開発協力機構(OECD)の2022年の発表によると、今後10年間の水産物の国際取引価格について、総じて高値で推移すると予測しておりますが、消費量の増加ペースは、生産量の増加ペースの低減、人口増加のペースが低下すること、また魚価高の影響もあり、過去10年の年2%増から年1.4%増と減速すると予測しております。さらに2022年に入り、ロシア・ウクライナ情勢による混乱、2023年秋の中国の日本産水産物の輸入禁止措置とその継続、為替相場の大きな変動などがあり、取引量・価格ともに先の見えない状況となっております。
(海洋資源保護の動き)
2015年、国連において「持続可能な開発目標(SDGs)」の14、『海の豊かさを守ろう』が採択されました。その目的は持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用することです。その観点からIUU漁業(違法・無報告・無規制で行われる漁業)を抑制するための議論が活発化し、また、各地域漁業管理機関では漁獲量規制、技術的規制等の実効性のある資源管理の議論が行なわれています。
カツオ・マグロ類は、世界のすべての海域で、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)、大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)等により、明確な漁獲枠が設定され、積極的な資源管理が行なわれております。サンマ・サバ等についても、北太平洋漁業委員会(NPFC)において水産資源管理が行われております。近年不漁の代名詞となったサンマは北太平洋に生息する回遊性魚種で、以前は日本、韓国、ロシアのみが漁獲しておりましたが、近年では台湾、中国、バヌアツも漁獲するようになりました。これら関係各国は、資源保護の共通認識から、公海での漁獲可能量(TAC)を削減することで合意し、漁獲量の適切な制限等、資源管理を進めております。
(水産エコラベルの普及)
水産エコラベルは、水産資源の持続性や環境に配慮した方法で漁獲・生産された水産物に対して、消費者が選択的に購入できるよう商品にラベルを表示する仕組みです。国内発の「MEL」と「AEL」、海外発の「MSC」と「ASC」の水産エコラベル認証が主に活用されており、それぞれによる漁業と養殖業の認証実績があります。環境に優しく持続可能な水産物であることを消費者にアピールすることで、消費拡大を目指しています。
(水産物の消費量及び市場経由率の減退)
国内の生産魚介類の1世帯当たりの年間購入量は、2019年まで一貫して減少してきたものの、2020年には新型コロナウイルス感染症拡大の影響で家での食事(内食)の機会が増加したことにより、年間購入量は前年より増加しました。しかし、2022年には再び減少し、2023年には前年より5%減の18.5㎏と連続して減少となりました。また、ここ近年概ね横ばいとなっていた年間支出金額は、2023年には価格の上昇等により前年より2%増の4.11万円となりました。
近年は食料品全体の価格が上昇している中、新型コロナウイルス感染症による世界的な経済活動の停滞からの回復、急速な円安等による水産物の輸入価格の上昇、国内生産の減少等の影響で2023年の生鮮魚介類の消費者物価指数は前年より9%と大きく上昇しております。生鮮魚介類の1人1年当たり購入量は、価格上昇に反比例して減少する傾向があることから、価格の大幅な上昇は購入量減少の一因と考えられます。
水産物の食用国内消費仕向量は、ここ近年の減少傾向には変わりなく、加えて、漁業者・産地出荷業者と小売業者等との産地直送取引や、ECによる消費者への直販等、市場外流通が増えています。この結果、近年、消費地市場の経由率は年々低下してきています。
(魅力ある水産物の消費拡大)
水産物が優れた栄養特性と機能性を持つ食品であるということは、様々な研究から明らかになっています。近年の健康志向の高まりから、魚食に関する知識の習得や、体験等の食育の機会を充分に確保しようという動きが広まっています。具体的には、学校給食等で魚食習慣を身につけるための活動、魚食の魅力を伝え水産物消費を拡大していくための「魚の国の幸せ」プロジェクトの官民協働の取組、水産庁長官認定の「お魚かたりべ」による魚食普及活動、調理が面倒だと敬遠されがちな水産物を手軽においしく食べられるような商品及びその食べ方を選定する「ファストフィッシュ」の取組、また「魚食はサステナブル」というコンセプトのもとに、水産庁と賛同メンバー(企業・団体)による「さかなの日」の設定等、水産物消費拡大に向けて様々な活動が展開されています。
さらに、知名度が低いことやロット(数量)がまとまらないこと等により、非食用に回されたり、低い価格でしか評価されなかったりする低・未利用魚の活用が注目を集めています。いままで食品として流通される機会が少なかったこれらの魚介類に価値を見出し、消費者に届けようと試みが活発になってきております。
(水産物に対する消費スタイルの変化)
2020年以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、水産物に限らず、食の消費スタイルが大きく変化しました。具体的には外食の利用が大きく減少し、家での食事(内食)が増加しており、併せて食品の購入方法にも変化が見られ、「EC」、「量販店・スーパー」、「テイクアウト」を利用する機会や量が増加しております。買い物に行く回数が減って、1回の買い物の購入量が増え、買い置きできる食品の購入が増えたのも2020年以降の傾向としてあげられています。
なお、コロナ感染症の5類移行後、行動制限の全面解除、インバウンド消費の急速な拡大、輸出水産物の増大もあり、業務筋を中心に需要が復活しており、一時低迷していた高級鮮魚の単価が持ち直してきております。
また近年、消費者の食の志向にも変化が見られ、「健康志向」、「経済性志向」、「簡便化志向」の割合がより大きくなっております。特に「簡便化志向」の割合が長期的に見ても増加傾向となっており、一方で「安全志向」、「手作り志向」は緩やかに減少、「国産志向」は比較的低水準で横ばいとなっております。
(水産物流通に関する法改正)
2022年12月に施行された水産物流通適正化法は、世界の水産物の13~31%(重量ベース)を占めると言われている違法漁獲物を市場から排除し、「国内漁獲物のトレーサビリティの確保」と「IUU漁業を終わらせる」ことを目的としており、漁獲証明制度(CDS)などの強力な措置を効果的に実施・施行していくこととしております。具体的には、国内において違法かつ過剰に採捕が行われるおそれが大きい魚種について、取り扱う事業者に届け出を求めるものであり、漁獲から販売までの情報の伝達が確保されることにより、トレーサビリティが担保される仕組みとなっております。これらはSDGs14の海洋資源のサスティナビリティに合致するもので、国外からは歓迎の意を受け取っています。
(物流の2024年問題)
2024年4月から、トラックドライバーの長時間労働の改善に向けて、トラックドライバーの時間外労働の上限が年間960時間となります。このまま物流の適正化・生産性向上について対策を講じなければ、2024年度には輸送能力が約14%不足し、さらにこのまま推移すれば2030年度には約34%不足すると推計されております。この問題に対処するため、関係各省は「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」を策定いたしました。このガイドラインの中で着荷主事業者としての取組事項として、発注から納品までのリードタイムを十分に確保する、発注の平準化・適正化を求められております。
上記ガイドラインを受けて、当社が所属する「全国水産卸協会」では、物流の適正化・生産性向上に向けた自主行動計画を策定しております。「物流業務の効率化・合理化」、「輸送・荷受け作業等安全性の確保」を目指し、産地出荷者、買受業者、物流事業者と協議を重ねてまいります。
(当社グループの役割)
中央卸売市場には、国内外から大量多品種の生鮮食品を集荷する機能、少量多品種へと迅速・確実・効率的に分荷する機能、セリなどの方法で迅速かつ適正な評価により価格形成する機能、販売代金の迅速かつ確実な決済を行う機能、取引情報を産地や小売業者に速やかに公表する情報受発信機能、衛生的な施設で食品衛生法に基づく食品流通を保持する機能、災害時の物流拠点として市民生活を支える機能などを果たす重要な役割があります。東京都中央卸売市場豊洲市場はそれら機能に加え、適切な温度管理と品質、衛生管理を強化した閉鎖型施設で、効率的な物流動線と多様なニーズに対応する加工設備を装備した中央卸売市場として機能しております。当社グループは、この豊洲市場の装備を如何なく活用し、生産者・出荷者の川上、そして消費者・実需者の川下のニーズを迅速・的確にフィードバックし、タイムリーな集荷と販売に努め、市場内に保有する多機能型冷蔵庫や加工設備などをフルに活用し、顧客満足度の向上を目指して参ります。
一方水産物需給に目を転じますと、人口減少やコロナ禍以降の消費者の生活様式の変化等に伴い、食に対する志向が変化し、水産物消費量の減少傾向が続いているとともに、水産物を消費する形態も変化しています。また、海洋環境の変化や海洋資源管理の観点から漁業生産量が減少傾向となっています。
当社グループは、これら変化に対応すべく、新中期経営計画『MF-2026』を掲げ、当社の経営方針の一部である「旧来型の荷受会社から、広範な機能を有する販売会社への転換を図る」ことを目指して、出荷者とのより一層の協業を継続しつつ、買受人の要求に応える商品やサービスを提供する「マーケットイン」の視点を今まで以上に取り入れていきます。
さらに、昨今の食を取り巻く環境変化やグローバルなデリバリーへの対応、そして最終消費者の皆様に「安全・安心」な商品を継続的に供給するため、水産食品卸にもHACCPに基づく衛生管理の徹底が求められています。
当社は、生産者から消費者まで続くサプライチェーンのプレーヤーとして、HACCPの考え方に基づいた衛生管理を実施するとともに、食品安全管理システムの国際規格であるISО22000認証を活かし、川上の生産者(水産出荷者や加工業者)から川下である仲卸業者をはじめ量販店や大口需要者を結ぶ中央卸売市場において、DXを始めとしたデジタル化への対応を含め、水産物を中心とした食品販売会社としてのプラットフォームの今まで以上の機能向上を目指していきます。
また、当社は、前述の、水産資源の持続性や環境に配慮した方法で漁獲された天然の水産物の証である「MSC」、その養殖版である「ASC」の各流通認証を取得、さらに水産資源の持続性と環境に配慮している事業者の証である「MEL」とその養殖版である「AEL」の各流通認証も取得して、日本における4大水産認証をすべて保有しております。さらに、当社子会社の北海道にある㈱キタショク及び豊洲市場内の共同水産㈱においても、MSC,ASCのCOC(流通加工管理)認証を保有し、環境に配慮した企業としての社会的責任を果たしております。
当社グループは、原料入手から、加工、販売まで一貫した体制で、豊かな海を守り、持続性ある水産業を応援するとともに、出荷者や買受人と協働で「持続可能な社会のために,海と海の資源を守る」、「海と海の資源を持続可能な方法で利用する」をテーマとするSDGsの目標14『海の豊かさを守ろう』を目指し、社会に貢献していきます。
『当社グループの資本の財源及び資金の流動性』については、次のとおりです。
当社グループの主な運転資金については、商品の仕入や製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は主に設備投資によるものです。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入金を基本としており、安定した資金繰りの確保に努めております。
なお、当連結会計年度における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は4,498百万円となっております。また当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,387百万円となり、ネット借入金(長・短借入金から現金及び預金を控除したもの)は3,072百万円、ネットDEレシオ(ネット借入金と純資産との倍率)は1倍以下(0.48倍)で、財務内容は健全と判断しております。
『経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等』については、次のとおりです。
2024年3月期の連結ベースの実績は、売上高58,701百万円、経常利益76百万円、親会社株主に帰属する当期純利益204百万円、純資産6,416百万円、自己資本比率37.3%となっております。2024年度から新中期経営計画として、『MF-2026』がスタートしています。計画の目標数値は下記のとおりとなっております。
項目 (連結ベース) |
MF-2026最終目標数値 2027年3月期 |
売上高 |
65,000百万円程度 |
営業利益 |
600百万円程度 |
経常利益 |
600百万円程度 |
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
500百万円程度 |
RОE(株主資本利益率) |
7%以上を目指す |
PBR(株価純資産倍率) |
1倍以上 |
ネットDER |
1倍以下 |
連結配当性向 |
20~30%を目途に安定配当を実施 |
なお、詳細は「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上課題」に記載しております。
『セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容』は、次のとおりです。
なお、セグメントごとの経営成績につきましては、(1)経営成績等の状況の概要①経営成績及び財政状態の状況に記載しておりますのでご参照ください。
(水産物卸売業)
生鮮水産物は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類感染症に移行した影響により、インバウンド消費により外食産業に回復が見られたものの取扱数量はほぼ横ばい、平均単価が上がったこともあり取扱金額は増加となりました。冷凍水産物は、冷めばちなどの取扱数量が減少しましたが全体的には前年並み、冷ほたてなどがALPS処理水の海洋放出による中国への水産物禁輸措置の影響を強く受けたこと等により取扱金額は減少となりました。加工水産物は、原材料費、人件費や物流費などの高騰による単価の上昇などによりしらす干、揚げ物類、煮ホタルいかなどの取扱が減少し、取扱数量が減少、平均単価は上昇しましたが取扱数量の減少により取扱金額も減少となりました。
本セグメントの収益力の回復を図ることが重要課題と考えています。
しかしながら、国内生産量が天候不順・資源保護問題や漁業従事者の高齢化等に加え、ALPS処理水による中国への水産物禁輸措置により一過性の損失が発生する等、魚種別にバラツキはあるものの、関係者の懸命な努力にもかかわらず減少傾向となっております。また、冷凍水産物の輸入についても、円安や国際的な価格競争の激化に加え、ロシア・ウクライナ情勢等により、資源の高騰などに起因とした運送料や原材料の高騰も影響し、仕入値が上昇しております。
一方、消費者の「魚離れ」や「高齢化」等により需要が減退し、市場規模の縮小から同業間の競争が激化しており、消費者ニーズの多様化もあって厳しい業界環境が継続しています。
当社グループでは、中央卸売市場の荷受会社として生鮮流通に対し、その優位性を活かしたビジネスチャンスの拡大を志向すると同時に、産地加工・消費地加工を主軸とした㈱キタショクや共同水産㈱による水産物への付加価値の向上や築地市川水産㈱(仲卸業)の機能拡充を図り、㈱東市ロジスティクスが管理運営する豊洲市場内の多機能型冷蔵庫を組み込んだ商流拡大に取り組んでまいります。
また、天然魚の漁獲が不安定かつ減少傾向にあることから、安定した出荷が見込める養殖魚の取扱拡充が不可欠と考えており、養殖魚出荷業者との連携を強化してまいります。
水産物取引は市況変動リスクを避けては通れませんが、保有在庫の適正化と回転を早めるための社内管理体制の見直しと、採算管理の細分化により営業費用の適正化を図ることで、タイムリーな集荷と在庫リスクの軽減に努め、引続き与信管理を強化するなど、リスクマネジメントにも留意して、収益力のあるセグメントへの転換に向け傾注していきます。
(冷蔵倉庫業)
豊洲市場内の冷蔵庫(株式会社東市ロジスティクス 豊洲事業所)は、鮮魚荷捌き場、C(+5℃)~F(-25℃)~SF(-60℃)の各温度帯の保管設備、水産加工場、製氷機、事務所等を装備した、市場特有の多機能型冷蔵庫となっており、仲卸業者等への冷蔵冷凍倉庫賃貸により安定した収益をあげ、当社の豊洲市場での重要な施設・設備になっているものと評価しています。
また東京都中央区豊海町に保有している冷蔵庫(株式会社東市ロジスティクス 豊海事業所)は、建設から48年を経過しております。同冷蔵庫は豊洲市場にも近接立地していることから、豊洲市場の冷蔵庫を補完することが期待できるため、改修し活用してまいります。
(不動産賃貸業)
引き続き、稼働率向上を目指してまいります。なお、当面、新規に資産を取得する計画はありません。
セグメント情報
(セグメント情報等)
【セグメント情報】
1.報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役等により構成する経営会議が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、取り扱う商品・サービス別に、連結子会社においては個社別に報告を受け、業種別に包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
したがって、当社は、業種別のセグメントで構成されており、「水産物卸売業」、「冷蔵倉庫業」及び「不動産賃貸業」の3つを報告セグメントとしております。
「水産物卸売業」は、水産物及びその加工製品の卸売をしております。「冷蔵倉庫業」は、水産物の冷蔵保管等をしております。「不動産賃貸業」は、不動産の賃貸等をしております。
2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産その他の項目の金額の算定方法
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」における記載と概ね同一であります。
報告セグメントの利益は、営業利益ベースの数値であります。
セグメント間の内部収益及び振替高は市場実勢価格に基づいております。
3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産その他の項目の金額に関する情報
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
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(単位:百万円) |
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水産物卸売業 |
冷蔵倉庫業 |
不動産賃貸業 |
合 計 |
調整額 (注)1,2 |
連結財務諸 表計上額 (注)3 |
売上高 |
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外部顧客への売上高 |
56,626 |
1,200 |
154 |
57,981 |
- |
57,981 |
セグメント間の内部売上高又は 振替高 |
- |
201 |
- |
201 |
△201 |
- |
計 |
56,626 |
1,402 |
154 |
58,182 |
△201 |
57,981 |
セグメント利益又は損失(△) |
△57 |
157 |
84 |
183 |
- |
183 |
セグメント資産 |
7,661 |
5,151 |
1,413 |
14,225 |
2,647 |
16,872 |
その他の項目 |
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減価償却費 |
39 |
208 |
25 |
273 |
47 |
320 |
有形固定資産及び無形固定資産の増加額 |
79 |
433 |
2 |
516 |
24 |
540 |
(注)1.セグメント利益又は損失(△)の調整額は、セグメント間取引消去額であります。
2.セグメント資産の調整額は各報告セグメントに配分していない全社資産であり、その主なものは提出会社の長期投資資金(投資有価証券等)であります。
3.セグメント利益又は損失(△)は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
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(単位:百万円) |
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水産物卸売業 |
冷蔵倉庫業 |
不動産賃貸業 |
合 計 |
調整額 (注)1,2 |
連結財務諸 表計上額 (注)3 |
売上高 |
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外部顧客への売上高 |
57,176 |
1,367 |
157 |
58,701 |
- |
58,701 |
セグメント間の内部売上高又は 振替高 |
- |
242 |
- |
242 |
△242 |
- |
計 |
57,176 |
1,609 |
157 |
58,943 |
△242 |
58,701 |
セグメント利益又は損失(△) |
△378 |
330 |
83 |
35 |
- |
35 |
セグメント資産 |
8,042 |
5,109 |
1,390 |
14,543 |
2,639 |
17,182 |
その他の項目 |
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減価償却費 |
49 |
226 |
25 |
301 |
50 |
352 |
減損損失 |
7 |
- |
- |
7 |
- |
7 |
有形固定資産及び無形固定資産の増加額 |
94 |
47 |
4 |
146 |
28 |
174 |
(注)1.セグメント利益又は損失(△)の調整額は、セグメント間取引消去額であります。
2.セグメント資産の調整額は各報告セグメントに配分していない全社資産であり、その主なものは提出会社の長期投資資金(投資有価証券等)であります。
3.セグメント利益又は損失(△)は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。
【関連情報】
前連結会計年度(自2022年4月1日 至2023年3月31日)
1.製品及びサービスごとの情報
セグメント情報の中で同様の情報が開示されているため、記載を省略しております。
2.地域ごとの情報
(1)売上高
本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
(2)有形固定資産
本邦以外に所在している有形固定資産がないため、該当事項はありません。
3.主要な顧客ごとの情報
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。
当連結会計年度(自2023年4月1日 至2024年3月31日)
1.製品及びサービスごとの情報
セグメント情報の中で同様の情報が開示されているため、記載を省略しております。
2.地域ごとの情報
(1)売上高
本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
(2)有形固定資産
本邦以外に所在している有形固定資産がないため、該当事項はありません。
3.主要な顧客ごとの情報
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。
【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
セグメント情報に同様の情報を開示しているため記載を省略しています。
【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】
前連結会計年度(自2022年4月1日 至2023年3月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自2023年4月1日 至2024年3月31日)
該当事項はありません。
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
前連結会計年度(自2022年4月1日 至2023年3月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自2023年4月1日 至2024年3月31日)
該当事項はありません。