人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数1,234名(単体) 1,313名(連結)
-
平均年齢39.0歳(単体)
-
平均勤続年数15.0年(単体)
-
平均年収6,588,000円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社における従業員数
2025年3月31日現在 |
セグメントの名称 |
銀行業 |
リース業 |
信用保証・クレ ジットカード業 |
その他 |
合計 |
従業員数(人) |
1,234 [645] |
16 [11] |
- [3] |
63 [14] |
1,313 [673] |
(注)1.従業員数は、嘱託及び臨時従業員655人を含んでおりません。
2.臨時従業員数は、[ ]内に年間の平均人員を外書きで記載しております。
3.信用保証・クレジットカード業の従業員数は、2024年7月1日付で当行が保有するちば興銀カードサービス株式会社の全株式を当行グループ外の会社へ譲渡したことにより、当連結会計年度末の同社の従業員数を含んでおりません。
(2)当行の従業員数
|
|
|
|
|
2025年3月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢 |
平均勤続年数 |
平均年間給与(千円) |
||
1,234 |
39歳 |
10月 |
15年 |
9月 |
6,588 |
[645] |
(注)1.従業員数は、嘱託及び臨時従業員626人を含んでおりません。
2.当行の従業員はすべて銀行業のセグメントに属しております。
3.臨時従業員数は、[ ]内に年間の平均人員を外書きで記載しております。
4.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
5.当行の従業員組合は、千葉興業銀行従業員組合と称し、組合員数は923人であります。労使間においては特記すべき事項はありません。
6.当行は執行役員制度を導入しており、執行役員17人は従業員数に含まれております。
(3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
当行
当事業年度 |
補足説明 |
||||
管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)1 |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注)2 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1 |
|||
全労働者 |
正規雇用労働者(注)3 |
パート・有期労働者 |
|||
24.7 |
100.0 |
59.2 |
76.2 |
61.4 |
- |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、管理職に占める女性労働者の割合は、出向者を出向元の労働者として集計し、労働者の男女の賃金の差異は、休職者を除き、正規雇用労働者は行員を、パート・有期労働者は嘱託社員、パートタイマーを集計しております。また、パートタイマーのうち、行員と比して所定労働時間が短い者については、短縮率等に応じて人数換算しております。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出しており、出向者は出向元の労働者として集計しております。
3.正規雇用労働者のうち当行職責階層(役割・責任に応じた階層)に区分した場合の賃金の差異(%)
経営職 |
管理職 |
特定職Ⅰ |
推進職 |
指導職 |
事務職 |
95.5 |
87.8 |
95.7 |
87.6 |
90.1 |
103.3 |
(注)経営職は支店長クラス、管理職及び特定職Ⅰは課長クラス、推進職は係長クラスで休職者を除き集計しております。
当行は、単線型の人事制度を運用しているため、制度的には男女の賃金格差は生じておりません。上記の賃金差につきましては、諸手当(時間外勤務手当、家族手当、住宅手当等)の支給について、男性の方が多いことにより生じております。
上記のような社会的課題でもある賃金格差解消のため、当行は、引き続き女性活躍推進や男性の育児参加を促進してまいります。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティへの取組み
サステナビリティを巡る諸課題について、当行グループはリスクと機会の両面がある事を認識しております。企業理念である「地域とともに お客さまのために 『親切』の心で」及び新たに制定し2025年3月に公表したパーパス「いちばん近くで、いちばん先まで。千のしあわせを、興そう。」のもと、地域に根ざし、地域とともに存続・発展する地域金融機関の社会的責任として、企業理念に基づく事業活動の展開により、ステークホルダーのみなさま(お客さま、株主、従業員、地域社会)の成長と発展に貢献することを目指し、サステナビリティへの取組みを推進してまいります。
① ガバナンス
当行グループは、サステナビリティにおけるガバナンス体制を、「イ.サステナビリティへの取組みに関する方針・ガイドライン」及び「ロ.サステナビリティ推進体制」の両面により、地域の経済・産業・社会の持続的な発展・繁栄に貢献すべく、サステナビリティを経営戦略の重要事項の一つとして取り組んでおります。
イ.サステナビリティへの取組みに関する方針・ガイドライン
当行グループは、企業理念である「地域とともに お客さまのために 『親切』の心で」及びパーパスである「いちばん近くで、いちばん先まで。千のしあわせを、興そう。」のもと、グループ一体でのサステナビリティ経営を推進するために、サステナビリティ関連規程類体系を構築し、各種方針・ガイドラインを制定しております。 各種方針・ガイドラインの詳細については、下記ホームページをご覧ください。 |
|
ロ.サステナビリティ推進体制
当行グループにおけるサステナビリティへの取組みについて、執行は取締役頭取を委員長とするサステナビリティ推進委員会での審議・決定を中心とし、取締役会へ定期的に報告を行うことによりガバナンス体制を構築しております。執行における体制として、サステナビリティ推進委員会の下部組織として当行グループの幅広い環境保全取組みを管理・推進するecoアクション部会をはじめ、本部関係各部や営業店、関係会社が連携することによって、サステナビリティ推進を行っております。 |
|
[2024年度サステナビリティ推進委員会開催状況]
回数(開催日) |
主な審議及び報告事項 |
第10回委員会 (2024年5月20日) |
非財務情報の開示内容及び明治安田生命保険相互会社との連携協定締結について報告 |
第11回委員会 (2024年9月9日) |
お取引先へのエンゲージメント取組検討及びTNFD提言への賛同を審議 |
第12回委員会 (2024年12月2日) |
マテリアリティ見直しに係る骨子を審議 |
第13回委員会 (2024年12月9日) |
千葉市環境局環境保全部による勉強会を実施 |
第14回委員会 (2025年2月17日) |
マテリアリティ及びKPIの見直し案を審議 |
第15回委員会 (2025年3月24日) |
自然資本開示の方向性及び次年度取組事項を審議 |
ハ.サステナビリティリテラシー向上に向けた取組み
当行の役員におけるサステナビリティリテラシー向上を目的として、外部有識者を招聘し勉強会を実施しております。2024年度は千葉市環境局環境保全部の方々をお招きして脱炭素や生物多様性にかかる取組状況などをテーマに勉強会を開催し、有意義な意見交換を行いました。 引き続き、役員だけでなく当行グループ全体のサステナビリティリテラシー向上を目指し、取り組んでまいります。 |
サステナビリティ推進委員会の様子 |
ニ.役員報酬におけるサステナビリティ要素の追加
役員の気候関連の課題への取組みに関するインセンティブの強化が中長期的な企業価値向上につながるとの認識のもと、サステナビリティKPIのうち気候変動にかかるKPIの達成状況に応じて金銭で支給する業績連動報酬の評価体系に組み込んでおります。
気候関連のKPIとしては、サステナブルファイナンスの実行額やCO2排出量削減を選定しております。
② 戦略
イ.サステナビリティ重点項目(マテリアリティ)と設定プロセス
地域金融機関として千葉県の持続可能性を実現することこそが、当行グループ及びステークホルダーの成長と発展につながると考え、次世代が誇れるような光り輝く千葉へさらに飛躍するため、千葉県の諸課題の中から当行が持つ強みを発揮することで解決に寄与できる項目を優先課題として抽出するとともに機会であると識別しております。2025年度より開始する新たな中期経営計画にあわせて重点項目(マテリアリティ)の見直しを行い、下記のとおり3つのマテリアリティへ集約しております。
(ⅰ)重点取組事項のマッピング
千葉県総合計画で記載された重点取組事項を、当行にて社会及び当行グループに対するインパクトの評定を行いました。右上ほどインパクトが大きいと判断し、マテリアリティ設定要素としております。
(注)マトリクス上の取組事項は、千葉県総合計画『新しい千葉の時代を切り開く』の「千葉県が目指す姿」に基づいております。
(ⅱ)ESGの観点から見たマテリアリティ設定
パーパスを中心に据え、ESG要素を考慮したマテリアリティの見直しを行ったのは以下の3つになります。
③ リスク管理
地域の経済・産業・社会の持続的な発展・繁栄にあたって、気候変動の影響や生物多様性の喪失、健康への影響などをはじめとする様々なリスクがあると認識しております。
中でも気候変動リスクは、地球環境や地域経済のみならず、当行グループの経営戦略や財務計画に大きな影響を与えるリスクとして、新たなリスクカテゴリーではなく、従来から把握・管理されていた既存のリスクカテゴリーにおけるリスクを発生・増幅させる「リスクドライバー」として認識しております。
また、気候変動に起因するリスクを大きく「移行リスク」と「物理的リスク」に分類し、信用リスク管理やオペレーショナルリスク管理などにおける分析結果などをサステナビリティ推進委員会とリスク管理委員会において共有し、リスク管理の高度化を図ってまいります。
環境・社会への影響を鑑み、積極的に投融資を行う事業ないし原則投融資を行わない事業に関しては、「投融資ポリシー」を定め、これを公表しております。ポリシーに基づいた責任ある投融資を通じ、地域金融機関として、環境・社会的課題の解決に取り組むお客さまとともに、持続可能な社会の実現に努めてまいります。
④ 指標及び目標
当行は、さまざまなステークホルダーの価値創造に配慮した経営と当行の持続的かつ安定的な成長による企業価値の向上を実現すべく、マテリアリティの見直しに伴い以下の中長期的なKPIを設定しております。各KPIは、サステナビリティ推進委員会において進捗状況を確認してまいります。
<中長期的なKPIと実績>
項目 |
目標 |
実績 (注)1 |
|||
FY2027 |
FY2030 |
FY2024 |
|||
マテリアリティ1:地域活性化と千葉の魅力創造 |
|||||
|
サステナブルファイナンス累計実行額 |
1.0兆円 以上 |
1.5兆円 以上 |
7,311億円 |
|
|
|
うち環境系ファイナンス (注)2 |
2,000億円 以上 |
4,000億円 以上 |
502億円 |
|
サステナビリティ課題解決コンサルティング件数 (注)3 |
1,500件 以上 |
- |
1,475件 (注)3 |
|
マテリアリティ2:明るく豊かな社会への貢献 |
|||||
|
女性役付行員比率 |
35%以上を維持 |
37.0% |
||
|
総合エンゲージメントスコア (注)2 |
70.5 ポイント 以上 |
- |
70.1 ポイント |
|
|
金融リテラシー教育参加人数 |
15,000人 以上 |
25,000人 以上 |
9,865人 |
|
マテリアリティ3:人々の暮らしを守る千葉の実現 |
|||||
|
CO2排出量の削減率(FY2019比)(対象はScope1,2) (注)4 |
45%以上 削減 |
60%以上 削減 |
49%削減 |
|
|
累計植樹本数 (注)2 |
6,500本 以上 |
- |
2,500本 |
(注)1.実績は2025年6月時点の速報値となります。
2.FY2025からの新規設定KPIになります。
3.サステナビリティ課題解決コンサルティング件数はFY2025からの新規設定KPIで、実績はFY2022~FY2024の実績(参考値)であり、KPIはFY2025~FY2027を対象期間として集計してまいります。
4.CO2排出量の削減率の詳細は、「(2)気候変動への取組み ④ 指標及び目標」をご参照ください。
(2)気候変動への取組み
気候変動に起因する異常気象の発生により、甚大な被害が頻発しております。地元千葉県においても、豪雨等による災害が発生しており、気候変動への対策は地域にとって大きな課題であると認識しております。
なお、気候変動への取組みについては、TCFD提言の枠組み(「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」)に基づき開示内容の拡充、体制整備の取組み等、適切に対応してまいります。
① ガバナンス
気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティへの取組みにおけるガバナンスに組み込まれております。詳細については「(1)サステナビリティへの取組み ① ガバナンス」をご参照ください。
② 戦略
イ.リスクと機会の認識について
当行は、持続可能な社会の実現に向けた気候変動への対応としてリスク(移行リスク、物理的リスク)及び機会の両面として捉え、短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸に基づき、以下のとおり認識しております。
分類 |
種類 |
内容 |
時間軸 |
移行 リスク |
政策・法規制 |
・気候変動に関する政策や規制の強化による、お客さまの事業への影響に伴う与信コストの増大 |
中期~長期 |
技術・市場 |
・気候変動に起因する市場の変化により、資金調達が困難になる、ないし調達コストの上昇 |
中期~長期 |
|
・脱炭素社会への移行に伴う新たな技術等の導入や産業構造の変化による既存資産等の減損や収益悪化 |
|||
評判 |
・炭素排出セクターに対する投融資継続によるレピュテーション悪化 |
短期~長期 |
|
物理的リスク |
急性 慢性 |
・台風・豪雨による風水災に伴うお客さまの事業停滞による業績悪化影響及び担保価値の毀損を通じた与信コストの増大 |
短期~長期 |
・異常気象等による当行資産の毀損に伴う事業継続への影響、管理コストの増加 |
|||
・海面上昇によるお客さま及び当行の営業拠点被災に伴う損失の発生 |
長期 |
||
機会 |
商品・サービス |
・気候変動に関するサステナビリティへの取組みに対するコンサルティングやファイナンスによる支援の増加 |
短期~長期 |
資源効率化 |
・省資源、省エネ、再生可能エネルギーの活用による事業コストの低下 |
短期~長期 |
ロ.リスク
(ⅰ)シナリオ分析の実施
TCFD提言に基づく一定のシナリオのもと、低炭素経済への移行に伴いCO2排出量の多い金融資産の再評価によりもたらされる移行リスク、及び気候変動による洪水リスクの影響によりもたらされる物理的リスクについてシナリオ分析を実施いたしました。
(ⅱ)移行リスク
移行リスクについては、分析対象としてCO2排出量が比較的多いセクターである、エネルギー(電力、ガス、石油)セクター、素材(鉄鋼、化学)セクター、運輸セクターを特定いたしました。
リスク重要度評価、事業インパクト評価を行い、大規模企業、上場企業については個社別分析を実施(ボトムアップアプローチ)、その他の事業計画・財務等の多くの情報が得られない先に対して拡大推計(トップダウンアプローチ)を行い評価いたしました。
項目 |
概要 |
リスクイベント |
・炭素税導入による費用増加 ・脱炭素社会への移行に伴う設備投資、研究開発費の増加 ・再生可能エネルギーへの転換に伴う市場影響 ・脱炭素社会への転換に伴う需要の変化 など |
シナリオ |
NGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)のシナリオ(NGFS Phase4)のうち、Net Zero 2050・Below2℃シナリオ Net Zero 2050:厳しい気候政策等により2050年にネットゼロを達成するシナリオ(1.5℃未満シナリオ) Below2℃:やや厳しい政策が導入され、温暖化を2℃以下に抑えるシナリオ(2℃以下シナリオ) |
分析手法 |
・ボトムアップアプローチ:個社別に2050年までの財務内容を推計 ・トップダウンアプローチ:個社別分析の結果をもとに利益率やコスト率の平均をベースに推計 |
分析対象 |
エネルギー(電力、ガス、石油)セクター、素材(鉄鋼、化学)セクター、運輸セクター |
分析期間 |
2025年3月末を基準として2050年まで |
分析結果 |
与信関係費用:累計40億円~50億円 |
(ⅲ)物理的リスク
物理的リスクについては、気候変動による洪水リスクの影響を把握するためシナリオ分析を実施し、融資先の所在地や担保所在地についてハザードマップ(想定最大規模と計画規模)に基づく複数確率年の洪水の考慮を行い、当該災害発生時の債務者区分に与える影響(債務者区分影響)と保全に与える影響(保全影響)の分析を行いました。
債務者区分影響は、企業が保有する建物や有形固定資産の被害額(直接被害額)と営業停止に伴う被害額(間接被害額)を推計、企業の財務内容等に与える影響を算出、債務者区分を付与、引当の増加額を算出いたしました。保全影響は、建物等の担保棄損による引当の増加額を算出いたしました。
算出した引当の増加額を2050年までに発生する確率と気候変動による洪水頻度の増加を考慮し、複数シナリオでの引当増加額を算出いたしました。
また、同様に当行本支店の洪水による固定資産の毀損についても推計を行いました。
項目 |
概要 |
リスクイベント |
洪水による ①融資先の事業の中断や事業拠点の直接被害に伴う財務内容の悪化 ②担保物件の毀損 ③当行本支店の資産の毀損 |
シナリオ |
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によるRCP(代表的濃度経路)シナリオ(RCP2.6:2℃上昇シナリオ、RCP8.5:4℃上昇シナリオ) |
分析手法 |
・ハザードマップのデータ(想定最大規模、計画規模)から洪水発生時の融資先の直接被害額と間接被害額から財務への影響と担保(保全)への影響を算出したうえで、シナリオを踏まえ推計した2050年までの洪水発生確率・洪水頻度の増加を勘案し、与信関係費用の増加額を算出 ・当行本支店については建物被害額を算出 |
分析対象 |
貸出のある国内法人・個人事業主、住宅ローン(プロパーのみ)、特定貸付債権、当行本支店の固定資産 |
分析期間 |
2025年3月末を基準として2050年まで |
分析結果 |
与信関係費用:8億円~10億円、当行本支店被害額:最大2億円 |
(ⅳ)シナリオ分析の結果
今回の分析対象やシナリオの前提条件のもと、与信関係費用が移行リスクでは累計で40億円~50億円、物理的リスクが8億円~10億円、当行本支店の資産の毀損は最大2億円となり、ポートフォリオ全体への影響は限定的であるとの結果となりました。
引き続き対象セクターの拡大など充実化へ取り組んでまいります。
(注)シナリオ分析に係る概要は、当行で把握した各種リスクを踏まえ分析しております。
(ⅴ)炭素関連資産
当行の与信残高に占める炭素関連資産の割合は43.05%であります。 なお、当行与信残高に占めるセクター毎の割合は右記のとおりであります。 引き続きセクター分類の精緻化へ取り組んでまいります。 (注)TCFD提言における開示推奨対象の全18セクターに分類し、2025年3月末の貸出金、支払承諾、外国為替、銀行保証付私募債の合計を基に算出しております(再生可能エネルギー発電事業として太陽光発電事業を除く)。セクターの分類方法につきましては、日本銀行が制定した「業種分類一覧表」の分類を基に、当行が判定いたしました。 |
|
ハ.機会
(ⅰ)当行グループのサステナビリティ支援ソリューション
当行グループは、地域とお客さまの環境負荷低減と脱炭素経営実現へ向けた取組みに積極的に関与することにより、環境や社会の課題解決に貢献するとともに、持続可能な社会実現と企業価値向上を図ってまいります。
また、脱炭素社会への移行に伴い、お客さまの資金需要に対するファイナンスの提供やコンサルティング等ソリューションの提供を通じて脱炭素社会の実現に取り組んでまいります。今後、より多くのビジネス機会を創出するため、お客さまのCO2排出量の削減やエネルギー効率の向上に向けた取組みの支援等、脱炭素化を支援するサービスを充実させてまいります。
お客さまのニーズ |
|
当行グループのソリューションラインナップ |
|
サステナビリティに向けた実効的な取組みを始めたい |
サステナブルファイナンスの提供 |
・サステナビリティ・リンク・ローン ・ポジティブインパクト・ファイナンス |
|
脱炭素に向けた課題把握や目標設定を行いたい |
お客さまのCO2排出量可視化、目標設定 |
・CO2排出量算定支援 ・SBT認証支援 |
|
SDGsに関する取組みを始めたい |
SDGsに関する取組み支援 |
・ちばSDGsパートナー登録推進 |
(ⅱ)お客さまとのサステナビリティ経営に向けたエンゲージメント活動の実施
当行は、お客さまとのエンゲージメント向上の一環として「サステナビリティ経営に関するアンケート」を2024年度に初めて実施いたしました。
本アンケートでは、サステナビリティに関する取組状況をはじめ、CO2排出量の計測状況や脱炭素に向けた削減取組状況、従業員の健康に関する取組状況などをご回答いただきました。
今回のアンケート結果を受けて、お客さまのサステナビリティに関する課題解決につなげていくとともに、より一層のエンゲージメントの向上につなげてまいります。
③ リスク管理
気候変動に関する主なリスクは、サステナビリティへの取組みにおけるリスク管理に含めております。詳細については、「(1)サステナビリティへの取組み ③ リスク管理」をご参照ください。
④ 指標及び目標
本気候変動への取組みに関する指標及び目標における実績は、2025年6月時点の速報値であります。最新の情報は当行ホームページ(https://www.chibakogyo-bank.co.jp/csr/sustainability/tcfd.html)をご参照ください。
イ.サステナブルファイナンス
当行では、地域の環境保全及び経済・産業・社会の持続的な発展・繁栄に貢献することを目的とするファイナンスを「サステナブルファイナンス」と定義し、推進しております。
[サステナブルファイナンスの主な商品] |
・「サステナビリティ・リンク・ボンド」や「グリーンローン」など、国際原則・政府の指針を基準としたローン商品や債券 |
・お客さまのSDGs達成に向けた取組支援を行うローン商品 |
・SDGsの取組みに寄与する私募債の引受 |
・環境負荷低減をはじめとした、地域振興や人材育成など地域の持続的な発展・繁栄に貢献する融資 等 |
※上記以外の商品も含みます。 |
サステナブルファイナンスの累計実行額目標及び実績は以下のとおりであります。
|
目標達成年度 |
累計実行額目標 |
実績 |
||
|
FY2022 |
FY2023 |
FY2024 |
||
|
FY2027 |
1.0兆円以上 |
1,416億円 (うち環境系 105億円) |
4,302億円 (うち環境系 330億円) |
7,311億円 (うち環境系 502億円) |
|
うち環境系 2,000億円以上 |
||||
|
FY2030 |
1.5兆円以上 |
|||
|
うち環境系 4,000億円以上 |
||||
(注)うち環境系は、サステナブルファイナンスのうち環境に資する投融資の実行額を集計しております。
|
|
||||
ロ.CO2排出量の削減 (ⅰ)カーボンニュートラルに向けたCO2排出量削減状況 地域とともに存続・発展する地域金融機関の社会的責任として、「2040年度までにカーボンニュートラル(対象はScope1+2)の実現」という長期的な目標を掲げ脱炭素に向けて取り組んでおります。 2024年度は削減率が2019年度比約49%となり、2024年度までの中期経営計画に基づく削減目標(20%削減)は達成しております。 |
[Scope1,2の排出量] |
|
|
|
(単位:t-CO2) |
||
CO2排出量 |
FY2019 |
FY2020 |
FY2021 |
FY2022 |
FY2023 |
FY2024 |
Scope1 |
847 |
843 |
825 |
725 |
659 |
624 |
Scope2 |
3,555 |
3,347 |
3,169 |
2,953 |
2,468 |
2,560 |
(注)1.エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)に基づく定期報告書におけるScope1,2のCO2排出量となります。
2.Scope2の合計値は、マーケット基準にて算出し、非化石証書購入による吸収量控除前の実績であります。
[FY2024 CO2排出量実績] |
(単位:t-CO2) |
|
CO2排出量 |
FY2024 |
|
Scope1 |
624 |
|
Scope2 |
ロケーション基準 |
2,616 |
マーケット基準 |
2,560 |
|
Scope3 |
4,697,331 |
|
合計(Scope1+2+3) |
4,700,515 |
(注)1.Scope2排出量は、非化石証書購入による吸収量控除前の実績であります。
2.合計のScope2は、マーケット基準にて算定しております。
3.Scope3の算定方法・範囲などは、下記「(ⅲ)Scope3の算定状況」をご参照ください。
(ⅱ)Scope3の算定状況
脱炭素を進めていくにあたっては、サプライチェーン全体の排出量であるScope3の算定も重要であると認識しており、当行グループ全体での算定を行っております。
今後も算定対象範囲の拡大や排出量把握の精緻化に努めていくとともに、サプライヤーと協力した脱炭素の取組みを進め、社会全体のカーボンニュートラル達成に貢献してまいります。
[Scope3排出量] |
|
(単位:t-CO2) |
カテゴリ |
計測項目 |
FY2024 |
1(購入した製品・サービス) |
物品などを購入したもの |
10,142 |
2(資本財) |
新たに購入した設備など |
1,729 |
3(燃料及びエネルギー関連活動) |
ガソリン、電気以外の燃料消費 |
543 |
4(上流の物流) |
郵送によるものなど |
46 |
5(事業から出る廃棄物) |
廃棄物として計上 |
379 |
6(出張) |
行員の出張費用 |
91 |
7(雇用者の通勤) |
行員の通勤費(電車・車) |
727 |
12(販売した製品の廃棄) |
現状は通帳の廃棄量にて計上 |
1 |
13(リース下流) |
リースで賃貸している製品の使用量 |
5,722 |
15(投融資) |
投融資先の排出量 |
4,677,951 |
<Scope3の算定対象範囲、算定方法>
(a)算定範囲
カテゴリ15以外は当行グループ全体で算定しております。
カテゴリ8、9、10、11、14は、想定されるCO2排出を伴う活動がないと想定されるため、算定しておりません。
(b)算定方法(カテゴリ15を除く)
株式会社NTTデータが提供する温室効果ガス排出量算定ツール「C-Turtle® FE」を導入し、GHGプロトコルに基づく排出量算定を行っております。
当行グループで利用している経費管理システムから得られるデータについて、勘定科目をもって経費支出項目と算定要否を判断したうえで、カテゴリごとに算定しております。なお、算定にあたって支出金額を使用する場合は、消費税を控除せずに算定しております。
カテゴリ1(購入した製品・サービス)及びカテゴリ2(資本財)については、サプライヤー別排出原単位に基づく総排出量配分方式により算定することで、サプライヤーの削減努力を取り込んだ算定を行っております。
カテゴリ3(燃料及びエネルギー関連活動)は、ガソリン、ガス、軽油、重油等の使用量に対して、環境省が公開している「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出量等の算定のための排出原単位データベース」及び「カーボンフットプリント制度試行事業CO2換算量共通原単位データベースver.4.0(国内データ)」を参考に算定しております。
カテゴリ4(上流の物流)は、経費支出項目のうち運輸費及び郵便費の支出金額に対して、当該業種に該当する企業が開示している排出量データに基づく排出原単位を乗じております。
カテゴリ7(雇用者の通勤)は、当行は人事給与情報システムにて管理している「通勤手当」の金額及び通勤手段に基づき、それぞれ電車・バス・交通費(ガソリン代支給金額)の排出原単位を乗じております。当行以外の連結子会社は、従業員数と営業日数に基づいて算定しております。
カテゴリ13(リース下流)は、連結子会社である千葉総合リース株式会社が他社へ賃貸している主要なリース資産について、一定の使用シナリオに基づいて算定しております。
以下のカテゴリに関しては、使用量や支出金額に対して環境省が公開している「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出量等の算定のための排出原単位データベース」を利用の排出原単位を乗じております。
カテゴリ |
算定対象 |
5(事業から出る廃棄物) |
衛生費の支出金額 |
6(出張) |
旅費の支出金額 |
12(販売した製品の廃棄) |
当行保管通帳等を出庫した際に使用したとみなした、通帳の物量データ |
(c)算定方法(カテゴリ15「投融資(ファイナンスド エミッション,FE)」)
投融資を通じた間接的な温室効果ガス排出量は、金融機関におけるScope3の中でも大きな割合を占めるため、PCAFスタンダードの計測手法に則り、2025年3月末時点における当行の国内法人向け貸出について試算いたしました。
(※)データ クオリティ スコア
データ クオリティ スコアは、ファイナンスド エミッションにおけるCO2排出量データの品質を5段階で示した数値であり、1に近いほど品質が高く、5に近いほど推計値を多く使用しているものになります。
(注)1.TCFD提言における開示推奨セクター等を参考に分類しております。また、財務データ不足先は算定不可としております。
2.PCAFスタンダードに基づく算定を実施し、企業開示データ等を活用しております。データが得られない場合は、PCAFデータベースから引用した排出係数等を用いて推計しております。なお、PCAFデータベースにはScope3下流の排出係数が含まれておりません。
3.Financed Emissions=帰属係数×投融資先のCO2排出量(帰属係数…投融資額÷資金調達総額(上場企業は現金を含む企業価値(EVIC)、非上場企業は各取引先の負債+資本))
お客さまのCO2排出量の開示拡大やPCAF算定基準や業種分類の変更、算定対象の拡大等により、算定結果は今後大きく変更される可能性があります。引き続き算定方法の精緻化へ取り組んでまいります。
(3)自然資本・生物多様性保全の取組み[TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)提言]
当行グループが営業基盤を置く千葉県は、美しい海岸線を誇る九十九里浜や緑豊かな里山など、多様な自然環境が広がっております。地域の経済・産業・社会の持続的な発展のためには、次世代へと受け継がれる豊かな自然を守り、かつ生物多様性を保全していくことが必要不可欠であります。
当行グループは2024年9月に自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の開示提言へ賛同のうえAdopterとして登録し、気候変動への対応のみならず、自然資本・生物多様性保全に向けた取組みをより一層強め、適切な情報開示を進めてまいります。
<参画等行っているイニシアチブ>
・生物多様性のための30by30アライアンス 2030年までに、陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする30by30の目標達成を目指すために発足されたイニシアチブで、生物多様性保全へ積極的に取り組んでいくために参画いたしました。 |
|
・TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース) 自然資本や生物多様性に関するリスクや機会を適切に評価・開示するためのフレームワークを確立することを目的として設立された国際的な組織で、同組織が公表した開示提言に沿って情報開示を進めてまいります。 |
|
① ガバナンス
当行グループは、環境方針において気候変動への取組姿勢と併せて生物多様性への取組姿勢を明示し、多様かつ複雑化している環境問題へ多面的に対応していく旨を明示しております。
また、自然資本・生物多様性に関する取組みについて、気候変動への取組み等と同様に執行は取締役頭取を委員長とするサステナビリティ推進委員会での審議・決定を中心とし、取締役会へ定期的に報告を行うことによりガバナンス体制を構築しております。執行における体制として、サステナビリティ推進委員会の下部組織として当行グループの幅広い環境保全取組みを管理・推進するecoアクション部会をはじめ、本部関係各部や営業店、関係会社が連携することによって推進しております。
② 戦略
イ.自然資本における依存と影響の分析
TNFD提言内で提示されているLEAPアプローチに基づき、自然関連のリスクや依存度を理解するためのツールであるENCOREを活用して依存と影響の分析を実施いたしました。
(注)1.LEAPアプローチとは、TNFDが開発した4つのフェーズ(L(発見)、E(診断)、A(評価)、P(準備))に基づいて自然資本に関連するリスクや機会を評価するアプローチの事であります。
2.ENCOREとは、セクターに基づいて自然資本への依存と影響を分析するツールであります。
(ⅰ)分析概要
企業の事業活動は大気や土壌、動植物、水などといった生態系サービスに依存し、影響を与えているという前提のもと、当行融資先を融資割合に応じてセクターへ分類し、各セクターが依存及び影響している生態系サービスに対しヒートマップを作成いたしました。
<依存と影響の関係>
(ⅱ)分析結果及び今後の取組み
(a)依存の状況
供給サービスの「地表水」及び「地下水」といった水資源、調整サービスの「気候調整」、「洪水及び嵐からの防御」、「地盤安定及び浸食防止」と、自然のプロセスに多く依存している結果を得ました。
(b)影響の状況
「水質汚染物質の排出」が最も影響を与えており、次いで「温室効果ガスの排出」及び「土壌汚染物質の排出」が影響を与えている結果を得ました。
(c)セクター毎の影響・今後の取組事項
当行の融資割合を鑑みて、「不動産業」が多くの生態系サービスに対して、依存及び影響している結果を得ました。次いで、「建設業」が多くの生態系サービスに依存及び影響している結果を得ました。
今回の分析結果を踏まえ、分析の高度化を図りながら自然関連のリスクと機会の特定に向けて取り組んでまいります。
<セクター毎の依存ヒートマップ>
<セクター毎の影響ヒートマップ>
(注)1.ヒートマップは、2025年6月時点で分析した結果となります。
2.融資割合は2025年3月末の貸出金、支払承諾、外国為替、銀行保証付私募債の合計を基に算出しております。セクターの分類は、ENCOREにおけるセクター分類と日本銀行が制定した「業種分類一覧表」の分類を基に、当行で判定いたしました。
ロ.当行グループ拠点の自然との接点及びリスク
当行グループの拠点と自然との関わりについて、以下の観点から分析を行いました。
(ⅰ)千葉県自然公園自然環境保全地域等と当行グループ拠点との重なり
千葉県自然公園自然環境保全地域と当行グループ拠点との重なりを分析したところ、同地域に立地する当行グループ拠点はないものの、一部当行グループ拠点が半径10㎞以内に位置していることを確認いたしました。
上記以外に、生物多様性の観点では、国や千葉県のレッドデータブック・レッドリストに掲載されている絶滅危惧種の生育・生息が確認されております。今後、TNFD提言に沿った「優先地域」の特定・評価に向けた取組みを進めるにあたり、当行グループ拠点における事業活動が生物多様性へどの程度影響を及ぼしうるのかを踏まえてまいります。
(参照)
・千葉県ホームページ「千葉県自然公園自然環境保全地域まっぷ」
https://www.pref.chiba.lg.jp/shizen/kouen/shizenkouen/documents/map.pdf
・千葉県生物多様性センターホームページ「千葉県レッドデータブック・レッドリストについて」
https://www.bdcchiba.jp/reddatebook_redlist
(ⅱ)WWF Biodiversity Risk Filterによる自然関連のリスク分析
水の利用可能性や生物多様性保全の状況など、自然関連のリスク分析ツールであるWWF Biodiversity Risk Filterを活用して当行グループ拠点の自然関連リスクを分析いたしました。
<当行グループ66拠点の自然関連リスクの状況> |
<各リスクカテゴリの計測内容> |
|
|
(a)計測方法
Biodiversity Risk Filterのリスクカテゴリーにおいて、当行グループ66拠点がどのリスクレベルに該当するかを確認。
Biodiversity Risk Filterのポートフォリオマネジャーから取得したデータを加工して使用。
[出典]WWF Risk Filter Suite https://riskfilter.org/biodiversity/home
(b)分析結果
調整サービスにおいて、全拠点にて相対的にリスクレベルが高いことを確認いたしました。こちらは土砂崩れや自然の中で発生する火災による影響のリスクカテゴリーとなります。引き続きリスク影響度などの分析を進めてまいります。
(4)人的資本
当行グループのパーパス「いちばん近くで、いちばん先まで。千のしあわせを、興そう。」は当行グループが目指す千葉の未来やお客さまの未来への貢献を具体的に示しております。これを理解し、実践するのは従業員一人ひとりであり、当行にとって「人材」は最も重要な「経営資源」であると同時に、当行の存在意義を体現する重要な要素であります。そして、従業員一人ひとりのエンゲージメントを向上させることが、パーパスの実現と経営計画の達成を着実なものにしていくと考えております。このエンゲージメントは、各個人が自らの役割を理解し、共感を持って行動することで生まれ、このプロセスにより、個々の成長が組織全体の成長に寄与する相互依存の関係を築くことにつながっていきます。
なお、本項目では連結グループにおける主要な事業を営む当行単体の人材戦略について記載しておりますが、連結子会社についても、各社との緊密な人材交流を通じて、必要な人材を当行から支援し、共に成長していく関係を築いております。
① 戦略
イ.経営戦略と人材戦略の関係性
当行では、従前より「コンサルティング人材」を「コンサルティング考動」を実践する人材と定義し、全従業員がお客さまに感動を与え、新しい価値創造を担う、質の高い「コンサルティング人材」になることを目指しております。
パーパスを実現するための当行の人材戦略は、「人材育成方針」と「人材活用方針」を基盤としており、これに基づく“3つの価値創造プロセス”を通じて、従業員のエンゲージメント向上を目指します。この人材重視の経営モデルは、経営計画の達成に向けた重要な取組みであり、持続可能な成長を支える基盤となります。
従業員一人ひとりが最大限の能力を発揮できる環境を整えることが、全体のパフォーマンス向上に寄与し、価値ある成果創出につながると考え、2025年度より開始する中期経営計画において、人事制度の刷新を行ってまいります。
<人事諸制度の刷新>
人事諸制度について、2025年度より開始する新たな中期経営計画の中で刷新し、従業員が一人ひとり保有する専門能力(コアコンピテンシー)・適性を尊重し、その発揮を最大限促すことで、少数精鋭を可能とする組織構築を検討しております。また、従業員の成長や専門性の更なる向上を促し、従業員のエンゲージメントの最大化を図ってまいります。
また、検討中の人事諸制度では、行内の職務・役割と従業員の適性を5つの職務Typeに分け、それぞれの職務Typeに応じた研修体系を構築することで、より専門性を高める支援を行うとともに、従業員の専門能力や適性を考慮した人材配置を実現してまいります。
ロ.人材戦略における課題認識
当行は以下の課題認識を踏まえ、従業員の能力開発強化と従業員が最大限に能力を発揮し活躍できる体制の構築に取り組んでまいります。
・コンサルティング考動のレベルの底上げ
・伴走型コンサルティングにおける対面コンサルティングのスピード・質強化
・新しい価値創造や専門分野への対応を可能にする多様な人材の確保
ハ.人材育成戦略(能力開発強化)の具体的な取組事項
人材育成戦略の理念に基づき、「コンサルティング考動の底上げ」及び「伴走型コンサルティングにおける対面コンサルティングのスピード・質強化」に向け、次の2点に取り組んでおります。
(ⅰ)継続的で多種多様な能力開発機会の提供
人材育成戦略実現のためには、常に学習し、自律的に多様な人と協働しながら成長していくことが必要であります。そこで、「8,000本超の動画教材やグループによる協働学習、対面・非対面研修を織り交ぜた継続的な学習」を強力に進めております。
コンサルティング業務には課題・ニーズへの解決策を考える力がなによりも必要であることから、当行では専門的な知識に加え、基礎的なスキルとして「思考力」を重要視しております。資格取得報奨金の支給など専門知識取得を奨励するほか、階層毎の各種思考力強化プログラムを実施し、コンサルティング人材の底上げに取り組んでおります。
2020年7月に開設した企業内大学「こうぎん考動館」は、従業員同士がお互いに学び合う機会を提供し続けており、開設以来累計68回開催、延べ783名が参加しております。
検討中の人事諸制度では、上記取組みに加えて、職務Type別の公募型能力開発プログラムやマネジメント・リーダーシップ開発プログラムを拡充してまいります。
<思考力強化プログラムの概要・実績>
コース名 |
養成する能力 |
受講者数 |
|||
FY2022 |
FY2023 |
FY2024 |
合計 |
||
初級 |
表現力・伝達力・文章力 |
82名 |
99名 |
118名 |
299名 |
コミュニケーション力 |
|||||
中級 |
論理的思考力 |
113名 |
101名 |
38名 |
252名 |
批判的思考力 |
|||||
上級 |
プログラミング的思考力 |
69名 |
76名 |
29名 |
174名 |
デザイン思考力 |
<こうぎん考動館概要・実績>
|
主な講義テーマ |
開催回数 |
受講者数 |
|
|
単年 |
累計 |
||
FY2020 |
営業店の人材育成 他 |
2回 |
11名 |
11名 |
FY2021 |
財務分析・経営塾 他 |
31回 |
247名 |
258名 |
FY2022 |
会話術・人事コンサル 他 |
10回 |
179名 |
437名 |
FY2023 |
営業術・介護・年金 他 |
14回 |
132名 |
569名 |
FY2024 |
キャリア・資格・不動産 他 |
11回 |
214名 |
783名 |
(注)実績値はいずれも2025年6月時点の速報値となります。
(ⅱ)異業種交流の拡充
「伴走型コンサルティングにおける対面コンサルティングのスピード・質強化」にはお客さまに対する非金融・情報提供の拡充が欠かせません。そのためには、これまで以上にお客さまに共感し、つながりと絆を深め、親密度を高めると共に、従来の枠にとらわれない「新たな視点・発想の習得」「新たな価値創造」が必要であります。そこで、2022年度より当行の研修プログラムをお取引先従業員にも開放し、異業種交流ワークショップをスタートさせました。今後も、2023年1月に開設した研修施設「幕張学問所」を拠点に、異業種交流ワークショップを拡充してまいります。
<異業種交流会の提供回数の累計>
FY2022 |
FY2023 |
FY2024 |
12回 |
26回 |
43回 |
ニ.人材活用戦略(環境構築)の具体的な取組事項
人材活用戦略の理念に基づき、「価値創造や専門分野への対応を可能にする多様な人材の確保」に向け、心身共に安心して働ける環境整備も含め、以下の取組みを実施しております。
(ⅰ)女性活躍・子育て支援 従前より「従業員の仕事と私生活の両立支援」を推進し、女性活躍や子育てのために仕事と私生活の両立支援や職域拡大の取組みを進めております。 その結果、幹部行員として位置づけられる、経営職の女性比率は11.6%となりました。 また、不妊治療と仕事を両立しやすい職場環境整備に取り組む企業として評価され、2022年に金融機関では初の次世代育成支援対策推進法に基づく「プラチナくるみんプラス」認定を受けております。 なお、女性活躍に関する評価では、2004年に女性活躍推進法に基づく均等推進企業表彰「厚生労働大臣優良賞」受賞、2016年に「基準適合一般事業主」の認定を受け、3段階目の「えるぼし」を取得しております。
(ⅱ)若手の活躍推進 入行直後からキャリア開発研修や人事部面談を通じてキャリア自律の意識醸成を図り、毎年、自身のキャリア志向について、自己申告する仕組みや申告を踏まえた配属、又はポスト公募制を採用し、行員のチャレンジを促し抜擢する仕組みなどを導入しております。なお、2017年に地方銀行では初となるグッドキャリア企業アワード2017にて「大賞(厚生労働大臣表彰)」を受賞しております。
(ⅲ)外部人材・パートタイマーの活躍推進 外部人材を様々な条件で受け入れることのできる就業体制を整備することで、これまでに30名超の専門人材を採用いたしました。また、パートタイマーの正規社員登用も積極的に行っており、これまでに60名超が行員に転換いたしました。 また、アルムナイ・リファラル採用にも積極的に取組み、当行の理念や経営戦略を理解している人材の確保にも努めております。 2016年には、パートタイム労働者活躍推進企業表彰で「優良賞(雇用均等・児童家庭局長優良賞)」を受賞しております。 |
|
(ⅳ)シニアの活躍推進
シニア人材がリスキリングを通じてそれぞれのもつスキル・専門性を発展的に活用できるよう、キャリア研修を実施すると共に各種研修コンテンツを提供しております。また、従業員の専門性や保有する能力に応じて職域を拡大し、年齢にかかわらない活躍の場を提供しております。
(ⅴ)健康経営® 当行は、健康維持・増進及び治療と仕事の両立支援の取組みにより、多様な人材の活躍を推進し、心身ともに健康で長く働くことができる環境を作ることで、生産性の向上・企業価値の向上を目指し、2024年9月に「健康経営宣言」を行い、2025年に健康優良法人の認定を取得いたしました。 |
|
<健康経営宣言> 千葉興業銀行の企業理念である「地域とともに お客さまのために 『親切』の心で」を実践するためには、従業員一人ひとりが活き活きとやりがいを持って働くことが重要です。 当行では、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた持続的な取組みや時間外勤務短縮への取組み、疾病予防、運動習慣定着に向けたイベント等を通じて、従業員の心身の健康の保持・増進を図り、組織力を向上させることで、お客さまと当行の持続的な発展と成長を目指します。 |
<健康経営に関連する指標>
月平均時間外勤務時間数 |
2時間16分 |
有給休暇取得日数 |
14.4日 |
健康診断受診率 |
100% |
(ⅵ)福利厚生制度 従業員の健康増進や余暇の充実のため、各種休暇制度の拡充やスポーツ施設・宿泊施設との提携に努めております。福利厚生の充実・活用に力を入れる企業等を表彰する制度「ハタラクエール2025」において、千葉県内の金融機関として初めて「福利厚生推進法人」に認証されました。 |
|
(ⅶ)従業員資産形成支援
経済的な不安はメンタルヘルスに悪影響を及ぼすと言われており、当行では従業員持株会制度や持株会奨励金制度、財形(年金・定期預金)制度、確定拠出年金制度、従業員向け株式給付信託制度など、従業員の資産形成支援にも取り組んでおります。
② 指標及び目標
指標及び目標については、以下のとおりであります。
人材戦略実現に 向けた要素 |
KPI |
目標 |
実績 |
||
FY2027 |
FY2023 |
FY2024 |
|||
エンゲージメント |
エンゲージメントサーベイにおける総合エンゲージメントスコア (注)2 |
70.5 ポイント 以上 |
70.0 ポイント |
70.1 ポイント |
|
育成 |
継続的で多種多様な能力開発の機会 |
従業員一人当たりの年間研修回数 |
12回 |
45.5回 |
37.5回 |
(従業員一人当たりの年間平均育成プログラム参加時間) |
(-) |
(47.2時間) |
(21.6時間) |
||
ダイバーシティ |
女性 |
女性比率(行員のみ) |
- |
40.3% |
39.1% |
女性役付行員比率 |
35%以上 維持 |
36.7% |
37.0% |
||
女性管理職比率 |
- |
25.2% |
24.7% |
||
女性経営職比率 |
12% |
10.3% |
11.6% |
||
パートタイマー |
行員転換者数累計 |
- |
60人 |
64人 |
(注)1.FY2024の実績は、2025年6月時点の速報値となります。
2.総合エンゲージメントスコアとは、会社・職場・仕事に対して、総合的に抱く愛着の“状態”を示します。
3.連結グループにおける主要な事業を営む当行単体の従業員を対象として集計しております。