人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数1,232名(単体) 51,436名(連結)
-
平均年齢41.7歳(単体)
-
平均勤続年数16.2年(単体)
-
平均年収15,356,700円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
|
2025年3月31日現在 |
セグメントの名称 |
従業員数 (人) |
国内損害保険事業 |
20,083 |
国内生命保険事業 |
2,163 |
海外保険事業 |
19,765 |
金融・その他事業 |
9,425 |
合計 |
51,436 |
(注) 1.従業員数は、就業人員数です。
2.ID&Eホールディングス株式会社を買収したこと等に伴い、金融・その他事業の従業員数が前事業年度末と比べ増加しています。
(2)提出会社の状況
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|
|
2025年3月31日現在 |
従業員数 (人) |
平均年齢 (歳) |
平均勤続年数 (年) |
平均年間給与 (円) |
1,232 |
41.7 |
16.2 |
15,356,700 |
(注) 1.従業員数は、就業人員数です。
2.当社従業員はその大部分が子会社からの出向者であり、平均勤続年数は、出向者の各子会社における勤続年数を通算しています。
3.平均年間給与には、賞与および基準外賃金が含まれています。
|
2025年3月31日現在 |
セグメントの名称 |
従業員数 (人) |
国内損害保険事業 |
1,118 |
海外保険事業 |
104 |
金融・その他事業 |
10 |
合計 |
1,232 |
(注) 従業員数は、就業人員数です。
(3)労働組合の状況
東京海上ホールディングス労働組合 307名
(4)管理職に占める女性の割合、男性の育児休業取得率および男女の賃金の差異
①管理職に占める女性の割合
|
2024年4月1日現在 |
会社名 |
管理職に占める女性の割合 (%) |
東京海上ホールディングス株式会社 |
6.7 |
東京海上日動火災保険株式会社 |
27.9 |
日新火災海上保険株式会社 |
16.8 |
イーデザイン損害保険株式会社 |
21.4 |
東京海上ミレア少額短期保険株式会社 |
36.6 |
東京海上日動あんしん生命保険株式会社 |
23.7 |
東京海上アセットマネジメント株式会社 |
10.5 |
東京海上日動キャリアサービス株式会社 |
59.0 |
東京海上日動ファシリティーズ株式会社 |
5.7 |
東京海上日動ベターライフサービス株式会社 |
44.8 |
ID&Eホールディングス株式会社* |
0.0 |
日本工営株式会社* |
6.5 |
日本工営都市空間株式会社* |
3.6 |
日本工営エナジーソリューションズ株式会社* |
0.0 |
日本工営ビジネスパートナーズ株式会社* |
17.6 |
株式会社エル・コーエイ* |
33.3 |
株式会社コーエイリサーチ&コンサルティング* |
56.0 |
(注)1.女性活躍推進法に基づき、「女性の管理職数÷管理職数」により算出しています(管理職に役員は含みません)。なお、出向者は出向元の従業員として集計しています((4)において同様です)。
2.東京海上日動火災保険株式会社および東京海上日動あんしん生命保険株式会社は、2024年4月の人事制度改定により新設した役職であるユニットリーダーを含めた比率としています。
3.会社名に「*」を付している会社は、ID&Eホールディングス株式会社の前事業年度末日(2024年6月30日)現在のものです。
4.ID&Eホールディングス株式会社は、当事業年度において対象者がいません。
②男性の育児休業取得率(2024年度)
会社名 |
男性の育児休業取得率 (%) |
東京海上ホールディングス株式会社 |
100.0 |
東京海上日動火災保険株式会社 |
93.3 |
日新火災海上保険株式会社 |
90.9 |
イーデザイン損害保険株式会社 |
66.7 |
東京海上ミレア少額短期保険株式会社 |
100.0 |
東京海上日動あんしん生命保険株式会社 |
105.0 |
東京海上アセットマネジメント株式会社 |
100.0 |
東京海上日動キャリアサービス株式会社 |
42.9 |
東京海上日動ファシリティーズ株式会社 |
50.0 |
東京海上日動ベターライフサービス株式会社 |
50.0 |
ID&Eホールディングス株式会社* |
- |
日本工営株式会社* |
65.7 |
日本工営都市空間株式会社* |
72.2 |
日本工営エナジーソリューションズ株式会社* |
23.0 |
日本工営ビジネスパートナーズ株式会社* |
77.7 |
株式会社コーエイリサーチ&コンサルティング* |
200.0 |
日本シビックコンサルタント株式会社* |
- |
(注)1.育児・介護休業法に基づき、「当事業年度に男性労働者のうち育児休業等をした数(育児を目的とした休暇がある場合はその数値を含む)÷当事業年度に男性労働者のうち配偶者が出産した数」により算出しています。
2.ID&Eホールディングス株式会社および日本シビックコンサルタント株式会社は、当事業年度において対象者がいません。
3.会社名に「*」を付している会社は、ID&Eホールディングス株式会社の前事業年度である2023年7月3日~2024年6月30日の数値です(③においても同様です)。
③男女の賃金の差異(2024年度)
a)東京海上ホールディングス株式会社
男性の賃金に対する女性の賃金の割合 (%) |
||
全労働者 |
正規雇用労働者 |
非正規雇用労働者 |
67.3 |
82.1 |
44.8 |
(注)上表の差異は専門性、キャリアおよび成果に応じた賃金設定によるものであり、性別によって賃金に差異は設けていません。なお、人事制度上、従事する業務の違いおよび勤務地限定の有無等による社員区分はありません。
b)東京海上日動火災保険株式会社
男性の賃金に対する女性の賃金の割合 (%) |
||
全労働者 |
正規雇用労働者 |
非正規雇用労働者 |
54.7 |
52.2 |
66.1 |
(注)1.正規雇用労働者の社員区分には、勤務地を限定しない「総合職」および勤務地を限定する「総合職(エリア限定)」があり、勤務地限定の有無により相対的に「総合職」の賃金水準が高くなっています。「総合職」に男性が多いことおよび相対的に男性の勤続年数が長いことから上表の差異が表れていますが、性別によって賃金に差異は設けていません。社員区分ごとおよび勤続年数ごとの男性の賃金に対する女性の賃金の割合は下表のとおりです。
勤続年数 |
社員区分 |
|
総合職 |
総合職(エリア限定) |
|
1~10年 |
89.5% |
95.5% |
11~20年 |
88.2% |
93.5% |
21~30年 |
94.2% |
115.5% |
2.非正規雇用労働者については従事する業務ごとに職種を定めています。賃金の差異は、賃金水準が相対的に高く男性比率が高い特定の職種の構成比が大きいことを主因として生じているものであり、性別によって賃金に差異は設けていません。
c)日新火災海上保険株式会社
男性の賃金に対する女性の賃金の割合 (%) |
||
全労働者 |
正規雇用労働者 |
非正規雇用労働者 |
63.8 |
64.1 |
60.7 |
(注)1.正規雇用労働者の社員区分には、勤務地を限定しない「全国型」および「アジャスター社員」、勤務地を一定範囲に限定する「広域型」ならびに勤務地を限定する「地域型」があり、勤務地限定の有無により相対的に「全国型」の賃金水準が高くなっています。「全国型」に男性が多いことおよび相対的に男性の勤続年数が長いことから上表の差異が表れていますが、性別によって賃金に差異は設けていません。社員区分ごとおよび勤続年数ごとの男性の賃金に対する女性の賃金の割合は下表のとおりです。なお、「アジャスター社員」は女性の在籍がないため下表に記載していません。
勤続年数 |
社員区分 |
||
全国型 |
広域型 |
地域型 |
|
1~10年 |
89.9% |
90.2% |
95.0% |
11~20年 |
81.3% |
68.8% |
85.6% |
21~30年 |
76.7% |
91.9% |
87.6% |
2.非正規雇用労働者については従事する業務ごとに職種を定めています。賃金の差異は、賃金水準が相対的に高く男性比率が高い特定の職種の構成比が大きいことを主因として生じているものであり、性別によって賃金に差異は設けていません。
d)イーデザイン損害保険株式会社
男性の賃金に対する女性の賃金の割合 (%) |
||
全労働者 |
正規雇用労働者 |
非正規雇用労働者 |
72.6 |
72.7 |
56.2 |
(注)非正規雇用労働者については、従事する業務ごとに職種を定めています。賃金の差異は、賃金水準が相対的に高く男性比率が高い特定の職種の構成比が大きいことを主因として生じているものであり、性別によって賃金に差異は設けていません。
e)東京海上日動あんしん生命保険株式会社
男性の賃金に対する女性の賃金の割合 (%) |
||
全労働者 |
正規雇用労働者 |
非正規雇用労働者 |
53.1 |
52.4 |
47.0 |
(注)1.正規雇用労働者の社員区分には、勤務地を限定しない「総合職」および勤務地を限定する「総合職(エリア限定)」があり、勤務地限定の有無により相対的に「総合職」の賃金水準が高くなっています。「総合職」に男性が多いことおよび相対的に男性の勤続年数が長いことから上表の差異が表れていますが、性別によって賃金に差異は設けていません。社員区分ごとおよび勤続年数ごとの男性の賃金に対する女性の賃金の割合は下表のとおりです。
勤続年数 |
社員区分 |
|
総合職 |
総合職(エリア限定) |
|
1~10年 |
72.9% |
115.8% |
11~20年 |
94.2% |
117.7% |
21~30年 |
86.3% |
153.4% |
2.非正規雇用労働者については従事する業務ごとに職種を定めています。賃金の差異は、賃金水準が相対的に高く男性比率が高い特定の職種の構成比が大きいことを主因として生じているものであり、性別によって賃金に差異は設けていません。
f)東京海上アセットマネジメント株式会社
男性の賃金に対する女性の賃金の割合 (%) |
||
全労働者 |
正規雇用労働者 |
非正規雇用労働者 |
60.3 |
60.0 |
53.2 |
(注)1.正規雇用労働者は、資産運用を担う社員および定型業務を中心に担う社員に大別されますが、資産運用を担う社員の賃金水準が相対的に高くなっています。資産運用を担う社員に男性が多いことから上表の差異が表れていますが、性別によって賃金に差異は設けていません。
2.非正規雇用労働者については従事する業務ごとに職種を定めています。賃金の差異は、賃金水準が相対的に高く男性比率が高い特定の職種の構成比が大きいことを主因として生じているものであり、性別によって賃金に差異は設けていません。
g)東京海上日動キャリアサービス株式会社
男性の賃金に対する女性の賃金の割合 (%) |
||
全労働者 |
正規雇用労働者 |
非正規雇用労働者 |
93.6 |
60.9 |
95.5 |
(注)正規雇用労働者における賃金の差異は、労働時間数が少ないこと等により賃金水準が相対的に低く女性比率が高い派遣社員(無期雇用)の構成比が大きいことを主因として生じているものであり、性別によって賃金に差異は設けていません。
h)東京海上日動ファシリティーズ株式会社
男性の賃金に対する女性の賃金の割合 (%) |
||
全労働者 |
正規雇用労働者 |
非正規雇用労働者 |
66.4 |
64.6 |
91.6 |
(注)正規雇用労働者については、勤務地限定の有無により相対的に「転勤あり総合職」の賃金水準が高くなっています。「転勤あり総合職」に男性が多いことから上表の差異が表れていますが、性別によって賃金に差異は設けていません。
i)東京海上日動ベターライフサービス株式会社
男性の賃金に対する女性の賃金の割合 (%) |
||
全労働者 |
正規雇用労働者 |
非正規雇用労働者 |
62.3 |
89.3 |
102.8 |
(注)全労働者における賃金の差異は、労働時間数が少ないこと等により賃金水準が相対的に低く女性比率が高い特定の職種の構成比が大きいことを主因として生じているものであり、性別によって賃金に差異は設けていません。
j)上記以外の連結子会社
会社名 |
男性の賃金に対する女性の賃金の割合 (%) |
||
全労働者 |
正規雇用労働者 |
非正規雇用労働者 |
|
ID&Eホールディングス株式会社* |
56.0 |
- |
68.8 |
日本工営株式会社* |
76.0 |
78.7 |
64.4 |
日本工営都市空間株式会社* |
69.9 |
71.2 |
72.0 |
日本工営エナジーソリューションズ株式会社* |
49.7 |
67.6 |
53.9 |
日本工営ビジネスパートナーズ株式会社* |
78.0 |
77.0 |
51.2 |
株式会社エル・コーエイ* |
81.6 |
73.0 |
86.9 |
(注)正規雇用労働者の「-」欄は、当事業年度において対象となる女性従業員がいないことを示しています。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
(1)サステナビリティ共通
東京海上グループは、「お客様や社会のいざをお守りする」というパーパスを起点に、時代ごとの社会課題を自ら探し出し、保険本業を通じてその課題解決に貢献することで成長してきました。東京海上グループの事業活動は社会課題解決そのものであるため、使命感を持って事業活動に取り組むことで、安心・安全に生活し、かつ果敢に挑戦できるサステナブルな社会の実現に貢献できると考えています。
①ガバナンス
グループ全体でサステナビリティ戦略を推進するため、グループCEO、グループサステナビリティ総括(以下「CSUO」といいます)、グループ資本政策総括(以下「CFO」といいます)、グループリスク管理総括(以下「CRO」といいます)を含むチーフオフィサー、海外の経営陣等で構成されるサステナビリティ委員会を設置し、取組内容や方針等をグローバルベースで審議しています。サステナビリティ委員会は原則として年4回開催し、サステナビリティ課題への対応方針等に関する審議および各施策の進捗状況のモニタリングを行っています。CSUOは、サステナビリティ戦略の推進および浸透を総括し、取締役会に方針を諮るとともに進捗状況を報告する役割を担っています。また、リスクベース経営(ERM)に基づき、ERM委員会での論議等を通じて、気候変動および自然関連リスクを含むグループ全体のリスク管理を行っています(リスクベース経営(ERM)については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです)。
取締役会は定期的にその報告を受けサステナビリティに関する取組みについて審議し、執行を適切に監督しています。2024年度は、以下のとおり取締役会において審議しました。
実施月 |
審議事項 |
2024年4月 |
2023年度年次計画の下期取組報告 |
2024年5月 |
2023年度取組みの振返りおよび2024年度年次計画 |
2024年10月 |
2024年度年次計画の上期取組報告 |
2025年3月 |
2024年度年次計画の下期取組報告 |
上記の体制により、グループ社員にサステナビリティ戦略を浸透させ、事業活動を通じた社会課題の解決に取り組んでいます。
また、取締役の業績連動報酬にサステナビリティ戦略に係る非財務指標を取り入れています。
○サステナビリティ推進体制図
②戦略
東京海上グループは、「次の世代に明るい未来を引き継ぐことは私たちの責務である」との強い想いから、「お客様」、「社会」、「社員」および「株主・投資家」に加え、「未来世代」をステークホルダーに位置付けています。
東京海上グループは、パーパスを起点に取り組むべき8つの重点領域を設定しています。事業活動により社会課題を解決しながらサステナブルな社会づくりに貢献し、その結果として社会的価値と経済的価値を同時に高めていきます。
東京海上グループの8つの重点領域
重点領域 |
取組み |
a.気候変動対策の推進 |
・2050年カーボン・ニュートラルの実現(含む保険引受・投融資先) ・保険引受・投融資先企業とのエンゲージメントやグリーントランスフォーメーション(以下「GX」といいます)関連の保険・ソリューションの提供を通じたトランジションへの貢献 |
b.災害レジリエンスの向上 |
・自然災害対応の高度化(大規模災害時に速やかに保険金をお支払いする「商品・サービスの開発と提供」、「業務プロセスの効率化」) ・事前・事後領域(現状把握、対策実行、避難・退避、復旧・再建)における災害リスクマネジメントサービスの提供 |
c.健やかで心豊かな生活の支援 |
・新たなヘルスケア商品・サービス(予防・未病)の開発・提供、寿命の延長により増加する資産形成・貯蓄ニーズへの対応 ・中小企業支援を通じた社会・地域課題解決 |
d.人と多様性の尊重 |
・人的資本のさらなる強化・経営戦略の実現に資する人事戦略の実行 ・多様性の確保と多様性が活きるカルチャーの醸成・浸透 ・保険引受・投融資先、バリューチェーン、自社オペレーションにおける人権デューデリジェンスの推進 |
重点領域 |
取組み |
e.イノベーティブなソリューションの提供 |
・デジタル、データを活用した、GX、災害レジリエンス、ウェルビーイング等の社会課題を解決するソリューションの提供 |
f.自然の豊かさを守る |
・2030年ネイチャーポジティブ(自然資本や生物多様性の損失を止め、回復させること)への貢献 ・マングローブ植林やアマモ場の保全・再生活動、海を守る活動等による地球温暖化防止および生物多様性・湿地の保全 |
g.未来世代の育成支援 |
・各種教育プログラム等の提供を通じた未来を担う人材の育成支援 ・未来世代の意見を活かした経営の高度化 |
h.誠実かつ透明性の高いガバナンス |
・全てのバリューチェーンにおける業務品質の向上、内部統制の強化 ・海外を含む全てのグループ会社におけるリスクベース経営(ERM)の強化 ・適時適切かつ透明性の高い情報開示 |
上表のとおり、重点領域において、主力事業である保険事業の商品やサービス等の提供や投融資等を通じて社会課題の解決に取り組んできましたが、さらなる事業の拡大とお客様への価値創造をめざすべく、2025年2月に、主に建設コンサルティング事業、都市空間事業およびエネルギー事業を有するID&Eホールディングス株式会社を子会社化しました。ID&Eグループは「誠意をもってことにあたり、技術を軸に社会に貢献する。」を経営理念としています。同社の工学技術に基づく計画、評価、設計、調査等についての経営資源(人財、実績、実務経験、ノウハウ、技術力、研究開発力等)を保険と組み合わせることで、温室効果ガスの可視化や、災害リスクの評価および把握、被災からの早期復旧支援等、気候変動対策の推進や災害レジリエンスの向上等において、さらに高度なソリューションの提供が可能な体制を構築し、お客様への価値創造に取り組んでまいります。
③リスク管理
東京海上グループを取り巻くリスクは、グローバルな事業進展や経営環境の変化等を受けて一層多様化・複雑化してきています。また、不透明感が強く、変化の激しい昨今の政治・経済・社会情勢においては、新たなリスクの発現を常に注視し適切に対応していかなければなりません。そのため、東京海上グループは、リスクの軽減、回避等を目的とした従来型のリスク管理に留まらず、定性・定量の両面での網羅的なリスク把握に取り組んでいます。環境・社会に関しては、環境基本方針、人権基本方針および人事に関する基本方針に基づいて、当該リスクが発生する可能性の高いセクターを特定し、負の影響を与えるリスクを適切に把握、管理できるよう努めています。
④指標と目標
東京海上グループは、サステナビリティに関する中長期目標(非財務指標)を課題ごとに掲げ、実効性のあるPDCAサイクルを回し続けることで各種取組みを着実に進めています。
(2)気候変動対策と自然資本・生物多様性の保全
気候変動は、グローバルな課題であるとともに、異常気象や自然災害の増加をもたらすものであり、損害保険業界に直接的な影響を及ぼします。そのため、東京海上グループは、気候変動対策を、本業である保険事業はもとより、機関投資家、そしてグローバルカンパニーとして真正面から取り組むべき最重要課題に位置付けています。
また、地球の環境を守るためには、気候変動対策だけでなく、自然資本や生物多様性の損失を止め、回復させるネイチャーポジティブの取組みが不可欠です。気候変動によって、植物の生育ができない環境となり、自然が失われるという影響が出ています。自然が失われることによって、吸収・固定される温室効果ガスが減少し、地球の温暖化が進行するという影響も出ています。このように気候変動と自然資本・生物多様性は相互に影響を与えるものであり、同時に取り組むべき課題と認識しています。
東京海上グループは、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures、以下「TCFD」といいます)および自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures、以下「TNFD」といいます)の提言を支持しており、そこで推奨されている「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」(TNFDにおいては「リスクとインパクトの管理」)および「指標と目標」の4つの柱に沿った情報開示を行っています。なお、両提言に沿った気候関連情報開示および自然関連情報開示の詳細については、東京海上グループのTCFDレポートおよびTNFDレポートに記載のとおりです。
①ガバナンス
「(1)サステナビリティ共通 ①ガバナンス」に記載のとおりです。
②戦略
戦略にはその前提となるリスク認識が重要です。東京海上グループは、気候変動リスクおよび自然関連リスクが高まることを想定し、事業への影響を特定・評価しています。気候変動リスクおよび自然関連リスクには、気候変動および自然の損失に伴う自然災害の頻度の高まりや規模の拡大等によって生じる物理的リスクに加え、脱炭素社会や自然共生社会への移行が投融資先の企業価値や東京海上グループの保有資産価値に影響を及ぼすこと等によって生じる移行リスクがあります。
また、気候変動の緩和および気候変動への適応ならびに自然との共生に向けた対応から生まれるビジネス機会を認識し、保険商品・サービスの開発・提供を通じて、脱炭素社会および自然共生社会への移行に取り組んでいきます。
物理的リスク、移行リスクおよび機会について、TCFD提言およびTNFD提言の分類ごとの事象例および東京海上グループの事業活動における具体例は以下のとおりです。
事象例 |
東京海上グループの事業活動における リスク・機会の例 |
時間軸 |
||
物理的リスク |
急性 |
・自然災害の頻度の高まりや規模の拡大の可能性 ・土壌の保水力低下や沿岸浸食による損害の発生・拡大 |
・保険収益の減少(保険金支払への影響等) ・拠点ビル等が被災することによる事業継続への影響 |
短期~ |
慢性 |
・気温の上昇 ・干ばつや熱波等、その他気象の変化 ・海面の上昇 ・節足動物媒介感染症への影響 |
中期・長期 |
||
移行リスク |
政策および法規制 |
・炭素価格の上昇 ・環境関連の規制・基準の強化 ・気候・自然関連の訴訟の増加 |
・炭素価格上昇による投融資先企業の企業価値や東京海上グループの保有資産価値の下落 ・賠償責任保険に係る支払保険金の増加 |
中期・長期 |
技術 |
・脱炭素社会・自然共生社会への移行に向けた技術革新 |
・脱炭素社会・自然共生社会への移行が十分ではない投融資先企業の企業価値や東京海上グループの保有資産価値の下落 ・技術革新やお客様ニーズの変化を捕捉できないことによる収益の低下 |
中期・長期 |
|
市場 |
・商品・サービスの需要と供給の変化 |
短期~ |
||
評判 |
・脱炭素社会・自然共生社会への移行の取組みに対するお客様や社会の認識の変化 |
・東京海上グループの取組みが不適切とみなされることに伴うレピュテーションの毀損 |
短期~ |
|
機会 |
資源の効率性、エ ネルギー源、製品・サービス、市場、レジリエンス |
・エネルギー源の変化やレジリエンス向上に向けた製品・サービス需要や社会の認識の変化 |
・再生可能エネルギーや自然関連事業に関する保険ニーズの飛躍的増大 ・脱炭素社会・自然共生社会への移行に伴う企業の資金需要の増加による投融資機会の増大 ・災害レジリエンス向上に向けた防災・減災ニーズの増加 |
短期~ |
(注)表中の時間軸における「短期」は3年未満、「中期」は3年以上10年未満、「長期」は10年以上の期間を指します。
東京海上グループは、物理的リスクおよび移行リスクに関するシナリオ分析を行い、気候変動が及ぼす保険金支払、投融資先の企業価値および東京海上グループの保有資産価値への影響を評価しています。そして、サステナビリティ戦略を、シナリオ分析の結果も踏まえ、充実させながら実践しています。損害保険事業は比較的短期の保険契約が多いことや東京海上グループの運用資産は流動性の高い金融資産が中心であることから、これらの影響に柔軟に対応し、レジリエンスを確保することが可能であると考えています。
東京海上グループは、保険商品・サービスによる再生可能エネルギーの普及支援、脱炭素化を目的とした取引先との建設的な対話(エンゲージメント)、保険引受・投融資方針の厳格化等を通じて、2050年カーボン・ニュートラルの実現に取り組んでいます。また、自然共生社会の実現に向けて、自然共生サイトの認定に向けた取組みや、取引先企業との対話を通じた支援を実行しています。東京海上グループの移行に向けた計画は次のとおりです。
③リスク管理
東京海上グループは、リスクベース経営(ERM)に基づいてグループ全体のリスク管理を行うとともに、その高度化に取り組んでいます。気候変動リスク・自然関連リスクについてもERMの枠組みのなかで適切に管理しています(「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです)。
④指標と目標
東京海上グループは、パリ協定を踏まえ、以下の指標と目標を設定しています。
・2050年度までに、東京海上グループが排出する温室効果ガスの実質ゼロをめざす(含む保険引受・投融資先)。
・2030年度までに、東京海上グループが排出する温室効果ガスを2015年度対比60%削減するとともに、東京海上グループの主要拠点において使用する電力を100%再生可能エネルギーとする。
・2026年度までに、東京海上グループにおける脱炭素社会の実現に直接的に貢献する脱炭素関連保険料を450億円とする。
・2030年までに、グループのなかで企業取引を多く扱う東京海上日動火災保険株式会社において、保険引受に伴う温室効果ガス排出量の約9割を占める大口顧客200社と対話し、160社以上について深度ある提案・対話を行う。また、当該大口顧客200社に対しては、対話のなかで脱炭素計画の策定を求め、2030年までに脱炭素計画を有していない企業とは取引を行わない。
(3)災害レジリエンス
①ガバナンス
「(1)サステナビリティ共通 ①ガバナンス」に記載のとおりです。
②戦略
東京海上グループにとって、災害に関する課題を解決することによる「災害レジリエンスの向上」は重要課題です。災害リスクをカバーする保険商品を提供し、人工衛星やAI等を活用した迅速な保険金支払体制を整備するなど、お客様のいざをお守りするサービスの開発・提供を強化しています。
また、有事における保険金の支払いに留まらず、事故を未然に防ぎ、万が一発生してもその負担を軽減し早期復旧等に繋げるための「事前・事後」のサービスを継続的に提供することを通じて、災害に負けない社会づくりに貢献していきます。そのために、業界の垣根を超えた防災コンソーシアムをリードし、各社が持つ技術やインフラを活用した防災・減災ソリューションを開発しています。2023年11月には防災・減災領域の新規事業に特化した子会社として、東京海上レジリエンス株式会社を設立し、防災・減災のソリューション事業を立ち上げました。気象リスクをリアルタイムで把握できる「レジリエント情報配信サービス」や、企業担当者の管理・配布の負担を軽減する「防災備蓄品」等の防災・減災サービスを提供しています。また、2025年2月に東京海上グループに加わったID&Eホールディングス株式会社とのシナジーを活用した取組みも始まっています。同社の工学技術に基づく計画、評価、設計、調査等についての経営資源(人財、実績、実務経験、ノウハウ、技術力、研究開発力等)を保険と組み合わせることで、災害リスクの評価・把握といった「現状把握」、都市計画・防災設計やエネルギー最適化といった「対策実行」、財物・工事・利益補償といった「経済的補償(保険金支払)」、被災からの早期復旧支援、再発防止といった「復旧・維持管理」という社会の強靭化に関わる4つの領域において、一気通貫でソリューションを提供できる体制を構築しました。保険と技術の両面で、さらに付加価値の高い防災・減災ソリューションの提供を開始しています。
さらに、産学連携に基づく科学的知見を踏まえた気候変動および自然関連リスクの研究を行うとともに、セミナーの開催、子どもたちへの「ぼうさい授業」の継続的な実施等の防災教育・啓発活動を推進しています。
③リスク管理
東京海上グループは、ERMに基づいてグループ全体のリスク管理を行うとともに、その高度化に取り組んでいます。災害に関するリスクについても、ERMの枠組みのなかで自然災害が保険引受に及ぼす影響等を考慮しながら適切に取り組んでいます(「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです)。
④指標と目標
東京海上グループの指標と目標は以下のとおりです。
・社会の災害レジリエンス向上に不可欠な火災保険制度を持続的に運営する。
・防災・減災につながる保険商品を開発し、提供するソリューションを増加させる。
・BCP(事業継続計画)策定支援の内容を充実させるとともに、支援の提供先を増加させる。
(4)人的資本
①ガバナンス
グループ全体へのガバナンスとして、内部統制基本方針に基づき人事に関する基本方針を定め、人事に関しての基本的な考え方、統括部署の設置、各種基準の策定等の態勢整備等を示すとともに、グループ会社における重要な人事制度改定等における承認および報告の基準を定め、人事に関するガバナンス体制を構築しています。また、取締役会は関連議案の報告を受けて人的資本に関する取組みについて審議し、執行を適切に監督しています。
グループの人事を統括するチーフオフィサーは、東京海上グループの人的資本経営に関する議題および施策を取締役会に報告することで人事戦略と経営戦略の連動性を高め、人事戦略に基づく施策の実行によって人的資本を強化し、経営戦略がめざす姿の実現を図ります。
②戦略
a)人事戦略の全体像
<人的資本経営に関する考え方>
“People’s Business”と呼ばれる保険事業を祖業とする東京海上グループは、創業以来、一貫して「人」を最も重要な資産と位置づけています。パーパスの実現に向けて挑戦を重ねる「人」の力を高めていくことが、企業としての成長の原動力、競争優位の源泉に繋がるとの考えのもと、社員一人ひとりを尊重し、そのポテンシャルを最大限に発揮できる環境を整えることをめざしています。
<経営戦略と連動した人事戦略>
東京海上グループは、2035年にめざす姿を「お客様や社会の課題/リスクに対して“イノベーティブなソリューションを届け続けるパートナー”」と設定し、その実現に向けて、下図の中期経営計画を掲げています。人事戦略は、当社の強みである「グループ基本戦略」を支え、中期経営計画の達成確度を高めるための基盤として、「グループ一体経営を支える“人材”の安定的・継続的な輩出」および「グループ一体経営を支える“企業文化”のさらなる浸透」を両軸として取組みを進めています。
経営戦略における重点施策ごとに人事面から対応すべき課題を特定し、人事施策を立案・実行しています。また、その進捗状況をモニタリングするための指標を設定し、各施策がめざす姿と現状とのギャップを明確にしながらPDCAを実施しています。
(注)1.DE&I:ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン
2.CVS:Culture & Values Survey(以下「CVS」といいます)
3.TLI:Tokio Marine Group Leadership Institute
4.MAP:Management Associate Program
(注)1.各年度末時点におけるCxO、Deputy CxO等のうち外国人の比率。
2.東京海上日動火災保険株式会社で採用し、当社に出向中の社員を含む。
3.エンゲージメントの状況やパーパスの浸透度等を測るCVSの関連項目にかかるスコア平均(5点満点)。CVSは、2024年度に質問項目を一部変更しています。
4.各年度初日時点、管理職以上(役員含む)に女性が占める割合。2024年度については、2024年4月の人事制度改定により新設した役職であるユニットリーダーを含む。
b)人材育成方針:グループ一体経営を支える“人材”
グループ一体経営を担う人材の安定的・継続的な輩出に向けて、グループ経営体制の強化と戦略整合的な人材ポートフォリオの構築に取り組み、経営戦略のめざす姿の実現に必要なケイパビリティを強化しています。
イ)グループ経営体制の強化
●多様な人材で構成された経営体制構築
海外子会社人材のグループ経営への積極登用等を通じたグループ横断での知見活用や、取締役会における女性比率の向上等を通じて、執行・監督の両面から経営判断の質を高めることをめざした体制構築に取り組んでいます。
●グループ経営人材の安定的・継続的な輩出
<Tokio Marine Group Leadership Institute>
経営陣の強いコミットのもと、グループ経営人材候補の特定、能力開発、登用、配置を一体的に組み合わせた次世代人材育成プログラム「Tokio Marine Group Leadership Institute」を基軸にしています。多様なバックグラウンドをもつ参加者たちが、自社や自国市場の枠を超えて東京海上グループのパーパスのもとに団結し、経営課題に対する高い視座や解決アプローチを身につける独自のプログラムです。
<タレントマネジメント>
CEOを含む経営陣が参加し、年3回のタレントマネジメント会議を開催しています。グループ横断のタレントプールに約300名の候補者を選定し、ストレッチアサインメントやグローバル研修等、タレントごとのキャリアディベロップメント・プランを議論します。
<Management Associate Program>
経営戦略の遂行に必要な高い専門性を有する若手人材の育成を目的にした、グループ横断の研修プログラムを実施しています。海外大学からの新卒社員および国内外のグループ会社の若手社員が、2年間で複数のグループ会社・部門・チームをローテーションし、専門性やグローバルな視点の獲得をめざします。
ロ)戦略整合的な人材ポートフォリオの構築
●成長領域への人材の配置
事業環境の変化を成長機会として捉えるために、ソリューション事業等の成長領域に積極的に人材を配置しています。また、各領域における専門性を有する人材を積極的にキャリア採用し、事業に必要なケイパビリティを確保しています。
●イノベーションを生む環境創出
グループの成長に資するビジネスモデルの創造・新規事業創出を目的とした社内公募制プログラム「Tokio Marine Innovation Program」を開催しています。優秀案に選定された応募者は、新規事業を担う部門への異動等を通じて、事業化をめざすことができます。本制度を通じて会社全体のイノベーションマインドを高め、一人ひとりの発意にあふれた挑戦を後押ししています。
●デジタル・ケイパビリティの向上
環境変化に対応していくために、全ての社員がDX推進の担い手として学び、成長していく必要があるという考えに基づき、Tokio Marine DX Academyを運営しています。担当業務や役割に応じて対象層ごとに研修や育成プログラムを提供することで、全社のDX人材育成を推進しています。
●ガバナンス強化に向けた専門人材の拡充
グローバルな事業の拡大・多様化が進むなかで、成長とガバナンスの高位均衡を実現するために、リスク管理、法務・コンプライアンス、内部監査等の領域における専門人材の採用・育成を継続し、グループ会社横断での活用を推進しています。また、東京海上日動火災保険株式会社では、「本当に信頼されるお客様起点の会社」を実現するため、人材育成の目的である「個人と組織の成長」に不可欠なものとして「規律」を重視し、インテグリティや高い規範意識を持った人材の育成に取り組んでいます。
c)環境整備方針:グループ一体経営を支える“企業文化”
国内外で5万人を超えるグループ社員が持つ力を最大限発揮していくために、多様な人材が一体となり、社員一人ひとりがいきいきと働ける風土づくりを推進していきます。
イ)グループ一体感の醸成
●パーパスの浸透
グループ社員が熱意と一体感を持って社会課題の解決に取り組むためには、グループ共通の羅針盤・拠り所となるパーパスが不可欠です。また、健全なガバナンスの観点からも、良いカルチャーをグループ全体に浸透させることは極めて重要であると考えています。グループCEO自らがグループカルチャー総括(CCO)として先頭に立って継続的なメッセージを発信するとともに、CCOオフィス(部門横断のバーチャル組織)が研修プログラムやグループ表彰等のパーパス浸透施策を推進しています。
●DE&Iの推進
東京海上グループでは、DE&Iを成長戦略の最重要課題と位置付けています。全ての人が持てる力を最大限発揮できる人事制度、人事施策および職場環境の整備に向けて様々な取組みを推進することで、グループベースのシナジー・イノベーション創出、意思決定層の多様化やエンゲージメント向上に繋げることをめざしています。
<ダイバーシティカウンシル>
グループCEO直轄のDE&I推進に関する諮問機関として、2021年より年2回開催しています。経営陣・社員代表・社外有識者が集い、多様な知見・意見を共有し、グループベースでDE&I推進に向けた議論を進めています。
<女性社員のエンパワーメントを図る取組み>
女性社員一人ひとりが自律的にキャリアを構築し、より広いフィールドで活躍するための環境創りや人材育成を、積極的に推進しています。2024年には「Global Women’s Conference」を初めて開催し、有識者による講演やテーマごとのディスカッションを行い、世界中から集まった参加者の学びとネットワーキングの機会としています。
<男女間賃金格差解消に向けた取組み>
東京海上日動火災保険株式会社では、真にインクルーシブで自由闊達な組織風土のもと、多様な社員がエンゲージメント高く働くことで、全ての社員と会社双方が持続的に成長することをめざしています。なかでも、ジェンダーギャップ解消を優先すべき課題と捉え、賃金格差の解消に向けた取組みを進めています。
[男女間賃金格差の主な要因]
東京海上日動火災保険株式会社において、男性と女性の間で賃金格差が生じている要因の分析を行った結果、勤務地区分および勤続年数の差異による影響が大きいことを確認しています。
・勤務地区分
転居を伴う転勤(以下「転居転勤」といいます)の有無で賃金差を設けており、転居転勤がある「総合職」に男性が多く、転居転勤が原則無い「総合職(エリア限定)」に女性が多いことから、男性の賃金水準が高い傾向がある。
・勤続年数
男性と女性を比較すると、男性の平均勤続年数が長く、これに伴い男性の賃金水準が高い傾向がある。
<勤務地区分> <勤続年数>
[男女間賃金格差解消に向けた主な取組み]
2026年4月に以下の人事制度・運用変革を実現し、全ての社員が持てる力を最大限発揮できる環境を実現します。
・My Aspiration(社員一人ひとりの想い)を起点とした転居転勤政策への転換
「総合職」「総合職(エリア限定)」の勤務地区分を廃止し、「総合職」に統一するとともに、全ての総合職が「本拠地」を定め、毎年、転居転勤への同意有無を申告する制度を導入
・成果・実力・職責に応じた評価・処遇
「4つのフリー(注)」の考え方を軸に、属性によらず、成果・実力・職責に応じて適正に評価・処遇する制度・運用へと変革
仕事とライフ(育児・介護)の両立支援策のさらなる拡充
・スーパーマイセレクト制度(5時から22時の間で、始業および終業時刻の変更を可能とする制度)やリモートワーク等により、時間・場所を問わず柔軟な働き方を実現
・パートナー参加型の仕事・育児の両立支援セミナー「すくすくペンギン会」や上司が育児疑似体験を行う「もしもチャレンジ」等の施策を通じた、「仕事とライフの両立」をしやすい職場風土の醸成
(注)東京海上日動火災保険株式会社がDE&I推進のために掲げる4つの方針:ジェンダーフリー(LGBTQへの取組みや性別の壁の打破)、エイジフリー(入社年次や社員間の年齢の壁の打破)、ボーダーフリー(コース区分・国籍・障がい・キャリア採用等の壁の打破)、ワークスタイルフリー(個々人のライフスタイルに合わせた働き方の壁の打破)
<障がい者の雇用促進>
東京海上グループは「障がい者の雇用促進と働く環境創りを通じて社会課題を解決し、誰もが安心して暮らせる共生社会の実現に貢献すること」をめざし、グループ各社において障がい者雇用とノーマライゼーションの意識浸透に努めています。
ロ)エンゲージメントの向上
●働きがいの向上
<エンゲージメント向上のためのPDCAサイクルの実行>
社員一人ひとりの働きがいを高め、持っている力を最大限発揮するためには、エンゲージメントの状況および課題を的確かつ網羅的に把握し、改善に繋げていくことが必要です。東京海上日動火災保険株式会社では、2020年度より「エンゲージメントサーベイ」を導入し、各組織において定性的かつ定量的な分析結果をもとに課題を特定し、対策の実行および効果測定を行っています。
<働きがい向上のための取組み>
当社および東京海上日動火災保険株式会社では、「個人および会社双方の成長の実現」というゴールに向けて、社員一人ひとりの想い(=My Aspiration)と会社のパーパスとの“つながり”を強めていく取組み(LINK)を推進しています。上司・部下間の1on1や、お互いのMy Aspirationを共有して組織の一体感を高めるダイアローグ等、様々な施策で対話の質の向上を図り、社員のキャリア形成の実現を支援しています。
また、東京海上日動火災保険株式会社では、社員自らが希望する職務に手を挙げて異動をする「JOBリクエスト制度」を実施しています。その他、グループ全体では、社員が自らの意思で東京海上日動火災保険株式会社に1年間の研修出向ができる「Group-wide Open Training」や、海外グループ会社の社員を最長3か月間当社で受け入れ、業務を通じて専門知識を深める機会を提供する「Short-term Group-wide Job Training Scheme」等を実施しています。
●働きやすさの向上
<社員が心身ともに健康でいきいきと働くためのグループ全体の環境整備>
「お客様に“あんしん”をお届けし、選ばれ、成長し続ける会社」であるために、その原動力となる社員の心身の健康は重要なテーマです。そのために、当社は「東京海上グループ健康憲章」を定め、グループを挙げて健康経営を推進しています。2024年度より毎年6月を「Tokio Marine Wellness Month」とし、メッセージリレー、ウォーキングイベント、仕事と介護との両立に関するセミナー等、グループが一体となって社員の心身の健康の保持・増進を図る取組みを実施しています。
d)人的資本経営の成果を測る指標
人事戦略が有効に機能し、社員が生み出す価値の持続的な向上に繋がっていることを測る観点から「一人あたり創出価値(注)1」を指標として設定しています。
<一人あたりの創出価値>
(注)1.一人当たり創出価値=修正純利益(Normalizedベース)÷連結従業員数
2.実力を示す指標として、各年度の利益実績から一過性要素(自然災害関連保険金、コロナ関連の保険金等)を補正した「Normalizedベース」の利益水準を使用
3.東京海上日動火災保険株式会社および東京海上日動あんしん生命保険株式会社の事業別利益(Normalizedベース)ならびに従業員数をもとに算出(東京海上日動火災保険株式会社のみ為替の影響を控除)
4.北米の3社(Philadelphia Insurance Companies, Delphi Financial GroupおよびTokio Marine HCC)の事業別利益(Normalized ベース)および従業員数をもとに算出
東京海上グループの人的資本経営、人事戦略の詳細およびグループにおける取組みの具体例については、人的資本レポート「Human Capital Report」(2025年版は同年7月末発行予定)に記載しています。
③リスク管理
形のない保険や関連するサービスを中核事業とする東京海上グループにおいては、「人」が創り上げる信頼が全ての源泉であり、「人」の力の最大化がパーパスの実現を通じた成長の原動力です。人材の流動性が高まるなか、人材マーケットにおける競争力低下は、人材採用の計画未達および社員の離職に繋がり、当社の経営戦略の遂行を困難にさせる大きなリスクです。人事戦略の実践を通じて、社員一人ひとりへ成長機会を提供し、活躍できる環境を整えることで、このようなリスクの低減に努めています。
④指標と目標
「②戦略 a)人事戦略の全体像」に記載のとおりです。
なお、本項の記載には将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。