2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,339名(単体) 67,526名(連結)
  • 平均年齢
    42.4歳(単体)
  • 平均勤続年数
    14.8年(単体)
  • 平均年収
    14,871,103円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    -3.2%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1)【人材戦略に関する基本方針等】

①人事戦略の全体像

 “People’s Business”と呼ばれる保険事業を祖業とする東京海上グループは、創業以来、一貫して「人」を最も重要な資産と位置付けています。パーパスの実現に向けて挑戦を重ねる「人」の力を高めていくことが、企業としての成長の原動力、競争優位の源泉に繋がるとの考えのもと、社員一人ひとりを尊重し、そのポテンシャルを最大限に発揮できる環境を整えることをめざしています。

 東京海上グループは、2035年にありたい姿として「日本発のグローバルカンパニーとして、安心・安全の提供を通じ、お客様や社会の“いざ”と“いつも”をお守りし、幸せにあふれる社会と未来の創造に挑戦し続ける」という姿を掲げ、その実現に向けて、下図の中期経営計画を掲げています。人事戦略は、当社の強みである「グループ基本戦略」を支え、中期経営計画の達成確度を高めるための基盤として、「グループ一体経営を支える“人材”の安定的・継続的な輩出」および「グループ一体経営を支える“企業文化”のさらなる浸透」を両軸として取組みを進めています。

 

 

 経営戦略における重点施策ごとに人事面から対応すべき課題を特定し、人事施策を立案・実行しています。また、その進捗状況をモニタリングするための指標を設定し、各施策がめざす姿と現状とのギャップを明確にしながらPDCAを実施しています。

 

(注)1.DE&I:ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン

2.CVS:Culture & Values Survey

3.女性取締役・監査役比率:2026年6月29日開催予定の第24回定時株主総会の承認が得られることを条件に、同日付で監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行します。移行後は、女性取締役比率を指標とします。

4.TLI:Tokio Marine Group Leadership Institute

5.MAP:Management Associate Program

6.プレゼンティーズム:心身の健康状態を踏まえた、出勤時の生産性を測る指標。数値が高いほどパフォーマンスが高くなります(最大100)。

 

a)人材育成方針:グループ一体経営を支える“人材”

 グループ一体経営を担う人材の安定的・継続的な輩出に向けて、グループ経営体制の強化と戦略整合的な人材ポートフォリオの構築に取り組み、経営戦略のめざす姿の実現に必要なケイパビリティを強化しています。

イ)グループ経営体制の強化

●多様な人材で構成された経営体制構築

 海外子会社人材のグループ経営への積極登用等を通じたグループ横断での知見活用や、取締役会における女性比率の向上等を通じて、執行・監督の両面から経営判断の質を高めることをめざした体制構築に取り組んでいます。

 

●グループ経営人材の安定的・継続的な輩出

 グループCEOを含む経営陣が参加するタレントマネジメント会議では、グループ横断のタレントプールに約300名の候補者を選定し、ストレッチアサインメントやグローバル研修等、タレントごとのキャリアディベロップメント・プランを議論します。また、グループ経営人材候補の特定、能力開発、登用、配置を一体的に組み合わせた次世代人材育成プログラム「Tokio Marine Group Leadership Institute」では、多様なバックグラウンドを有する参加者が、自社や自国市場の枠を超えてパーパスのもとに団結し、経営課題に対する高い視座や解決アプローチを身につけるための独自のプログラムを実施しています。

 

ロ)戦略整合的な人材ポートフォリオの構築

●成長領域への人材の配置

 事業環境の変化を成長機会として捉えるために、ソリューション事業等の成長領域に積極的に人材を配置しています。また、各領域における専門性を有する人材を積極的にキャリア採用し、事業に必要なケイパビリティを確保しています。

 

●イノベーションを生む環境創出

 グループの成長に資するビジネスモデルの創造・新規事業創出を目的とした社内公募制プログラム「Tokio Marine Innovation Program」を開催しています。優秀案に選定された応募者は、新規事業を担う部門への異動等を通じて、事業化をめざすことができます。本制度を通じて会社全体のイノベーションマインドを高め、一人ひとりの発意にあふれた挑戦を後押ししています。

 

●デジタル・ケイパビリティの向上

 環境変化に対応していくために、全ての社員がDX推進の担い手として学び、成長していく必要があるという考えに基づき、Tokio Marine DX Academyを運営しています。担当業務や役割に応じて対象層ごとに研修や育成プログラムを提供することで、全社のDX人材育成を推進しています。

 

●ガバナンス強化に向けた専門人材の拡充

 グローバルな事業の拡大・多様化が進むなかで、成長とガバナンスの高位均衡を実現するために、リスク管理、法務・コンプライアンス、内部監査等の領域における専門人材の採用・育成を継続し、グループ会社横断での活用を推進しています。また、東京海上日動火災保険株式会社では、「本当に信頼されるお客様起点の会社」を実現するため、人材育成の目的である「個人と組織の成長」に不可欠なものとして「規律」を重視し、インテグリティや高い規範意識を持った人材の育成に取り組んでいます。

 

b)環境整備方針:グループ一体経営を支える“企業文化”

 国内外で5万人を超えるグループ社員が持つ力を最大限発揮していくために、多様な人材が一体となり、社員一人ひとりがいきいきと働ける風土づくりを推進していきます。

イ)グループ一体感の醸成

●パーパスの浸透

 グループ社員が熱意と一体感を持って社会課題の解決に取り組むためには、グループ共通の羅針盤・拠り所となるパーパスが不可欠です。また、健全なガバナンスの観点からも、良いカルチャーをグループ全体に浸透させることは極めて重要であると考えています。グループCEO自らがグループカルチャー総括(CCO)として先頭に立って継続的なメッセージを発信するとともに、CCOオフィス(部門横断のバーチャル組織)が研修プログラムやグループ表彰等の施策を通じて、パーパスの浸透を図っています。

 

●DE&Iの推進

 東京海上グループでは、DE&Iを成長戦略の重要な課題のひとつと位置付け、グループCEO直轄のDE&I推進に関する諮問機関として、ダイバーシティカウンシルを年2回開催しています。全ての人が持てる力を最大限発揮できる人事制度、人事施策および職場環境の整備に向けて様々な取組みを推進することで、グループベースのシナジー・イノベーション創出、意思決定層の多様化やエンゲージメント向上に繋げることをめざしています。

 

ロ)エンゲージメントの向上

●働きがいの向上

 社員一人ひとりの働きがいを高め、持っている力を最大限発揮するためには、エンゲージメントの状況および課題を的確かつ網羅的に把握し、改善に繋げていくPDCAサイクルが重要です。東京海上日動火災保険株式会社では、2020年度より「エンゲージメントサーベイ」を導入し、各組織において定性的かつ定量的な分析結果をもとに課題を特定し、対策の実行および効果測定を行っています。

 

●働きやすさの向上

 「お客様に“あんしん”をお届けし、選ばれ、成長し続ける会社」であるために、その原動力となる社員の心身の健康は重要なテーマです。そのために、当社は「東京海上グループ健康憲章」を定め、グループを挙げて健康経営を推進しています。2024年度より毎年6月を「Tokio Marine Wellness Month」とし、グループ社員全体で取り組む体操や、睡眠・メンタルヘルスのセルフケアに関するセミナー等、グループが一体となって社員の心身の健康の保持・増進を図る取組みを実施しています。

 

 東京海上グループの人的資本経営、人事戦略の詳細およびグループにおける取組みの具体例については、人的資本レポート「Human Capital Report」(2026年版は同年8月末発行予定)に記載しています。

 

②給与等の額及び内容の決定に関する方針

<当社>

 当社は、グローバルなグループ一体経営を推進する持株会社として、環境変化が加速する事業環境に柔軟に対応しつつ、グループの持続的な成長と企業価値向上を牽引する人材基盤の強化を報酬制度の中核的な目的としています。具体的には、高度な専門性やグローバルな経営視点を有する多様な人材を惹き付け、役割と成果を処遇に適切に反映し、実力主義を徹底することにより、組織全体のケイパビリティ向上を実現します。

従業員に対しては、基本給・賞与・長期インセンティブから構成される報酬体系を設けています。

基本給は、担う役割の大きさ・専門性および成果に応じて決定します。賞与は、会社業績指標および個人業績の結果に連動して変動することで、グループ全体の業績向上への貢献意識を高めるとともに、個人の成果を適切に報酬に反映し、実力主義の徹底を図ります。グループ経営を担う中核人材を対象に、中長期的なキャリア形成とロイヤリティ・コミットメントの向上を目的として長期インセンティブを付与します。長期インセンティブは、短期的な業績評価とは切り離して人材の定着と組織への貢献意欲を高め、グループ一体経営を支える人材基盤の強化に資するものと位置付けています。

また、報酬水準は、市場報酬水準を参考とし、競争力のある水準を維持します。

当社は、以上の方針に基づき、報酬の額および内容を決定しています。これらの報酬制度を通じて、多様な人材がパーパスの実現に向けて意欲を持って挑戦できる環境の整備をめざします。また、事業環境や人材市場の変化を踏まえ、中長期的な企業価値向上の観点から継続的に見直しを行います。

 

<東京海上日動火災保険株式会社>

東京海上日動火災保険株式会社は、「人」が創り上げる「信頼」がすべての源泉という保険事業の原点とお客様起点を大切に、社員一人ひとりと同社が持続的に成長していくことが大切であると考えています。この考えのもと、役割に応じて発揮された成果のみならず、目標に対し、どのようなアクションを選択し、どのような質で実行してきたかというプロセスを重視し、社員一人ひとりが創出する価値を正当に評価します。その結果を処遇に適切に反映することで、人材の成長、事業の持続的な発展および企業価値向上の実現をめざします。

従業員の給与は、基本給および賞与から構成されており、役割および職責、会社業績、個人業績ならびに各個人のコンピテンシーの発揮状況等を総合的に勘案して決定しています。

基本給は、日常業務を通じて発揮された専門性や、職務遂行を通じて創出されたお客様および社会への価値を安定的かつ継続的に処遇へ反映する仕組みとしています。賞与は、個人の成果に加え業績連動型の考え方を採用し、お客様および社会への価値提供の結果として生み出された利益を社員間で分配する役割を担っています。

また、報酬水準は、会社業績、事業環境および市場報酬水準等を総合的に勘案し、競争力のある水準を維持します。

 東京海上日動火災保険株式会社は、以上の方針に基づき、報酬の額および内容を決定しています。これらの報酬制度を通じて、社員一人ひとりの主体的な挑戦と成長を促すとともに、多様な人材がそれぞれの立場で力を発揮し、事業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に貢献できる環境の整備をめざします。また、事業環境や人材を取り巻く状況の変化を踏まえ、報酬制度については中長期的な視点から継続的に見直しを行います。

 

<東京海上日動あんしん生命保険株式会社>

 東京海上日動あんしん生命保険株式会社は、不確実性が高い事業環境においても競争力を持続的に高め、お客様の最善の利益を追求した業務運営を実現するため、環境変化を機会と捉えて変革を実現する人材の育成と、誰もが挑戦し続ける企業文化の醸成を重要な経営課題として位置付けています。この考えのもと、役割に応じて発揮された成果のみならず、目標に対し、どのようなアクションを選択し、どのような質で実行してきたかというプロセスを重視し、社員一人ひとりが創出する価値を正当に評価します。その結果を処遇に適切に反映することで、人材の成長、事業の持続的な発展および企業価値向上の実現をめざします。

従業員の給与は、基本給および賞与から構成されており、役割および職責、会社業績、個人業績ならびに各個人のコンピテンシーの発揮状況等を総合的に勘案して決定しています。

基本給は、日常業務を通じて発揮された専門性や、職務遂行を通じて創出されたお客様および社会への価値を安定的かつ継続的に処遇へ反映する仕組みとしています。賞与は、個人の成果に加え業績連動型の考え方を採用し、お客様および社会への価値提供の結果として生み出された利益を社員間で分配する役割を担っています。なお、営業職員の報酬体系は、契約ごとの手数料の他、業績や業務品質評価に応じた賞与が支給される仕組みとしています。

また、報酬水準は、会社業績、事業環境および市場報酬水準等を総合的に勘案し、競争力のある水準を維持します。

東京海上日動あんしん生命保険株式会社は、以上の方針に基づき、報酬の額および内容を決定しています。これらの報酬制度を通じて、社員一人ひとりの主体的な挑戦と成長を促すとともに、多様な人材がそれぞれの立場で力を発揮し、事業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に貢献できる環境の整備をめざします。また、事業環境や人材を取り巻く状況の変化を踏まえ、報酬制度については中長期的な視点から継続的に見直しを行います。

 

(2)【従業員の状況】

①連結会社の状況

 

2026年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数

(人)

国内損害保険事業

29,200

国内生命保険事業

2,728

海外保険事業

24,213

ソリューション・その他事業

11,385

合計

67,526

(注) 1.従業員数は、就業人員数です。

2.国際財務報告基準(IFRS)への移行に伴う連結範囲の見直しにより、新たに連結対象となった会社の従業員数を含めたこと等により、従業員数は前連結会計年度末と比べ増加しています。

 

②提出会社の状況

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数

(人)

平均年齢

(歳)

平均勤続年数

(年)

平均年間給与

(円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

1,339

42.4

14.8

14,871,103

△3.2

(注) 1.従業員数は、就業人員数です。

2.当社従業員はその大部分が子会社からの出向者であり、平均勤続年数は、出向者の各子会社における勤続年数を通算しています。

3.平均年間給与には、賞与および基準外賃金が含まれています。

 

 

2026年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数

(人)

国内損害保険事業

1,223

海外保険事業

108

ソリューション・その他事業

8

合計

1,339

(注) 従業員数は、就業人員数です。

 

③最大人員会社の状況

a)当事業年度における従業員数が最も多い会社

東京海上日動火災保険株式会社

 

 

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数

(人)

平均年齢

(歳)

平均勤続年数

(年)

平均年間給与

(円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

16,064

42.6

13.1

9,059,913

0.2

(注) 1.従業員数は、就業人員数です。

2.平均年間給与には、賞与および基準外賃金が含まれています。

 

b)上記a)の次に従業員数が多い会社

東京海上日動あんしん生命保険株式会社

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数

(人)

平均年齢

(歳)

平均勤続年数

(年)

平均年間給与

(円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

2,208

44.4

10.8

10,303,564

6.9

(注) 1.従業員数は、就業人員数です。

2.平均年間給与には、賞与および基準外賃金が含まれています。

 

④労働組合の状況

 東京海上ホールディングス労働組合    310名

 

⑤管理職に占める女性の割合、男性の育児休業取得率および男女の賃金の差異

会社名

管理職に占める女性の割合

(%)

男性の育児休業取得率

(%)

男性の賃金に対する女性の賃金の割合(%)

全労働者

正規雇用労働者

非正規雇用労働者

東京海上ホールディングス株式会社

7.0

0.0

75.9

89.0

32.3

東京海上日動火災保険株式会社

30.5

101.5

57.2

54.4

67.9

日新火災海上保険株式会社

19.6

103.6

65.9

66.9

61.9

東京海上ダイレクト損害保険株式会社

25.8

100.0

75.6

75.5

62.7

東京海上ミレア少額短期保険株式会社

42.1

100.0

73.3

70.5

46.6

東京海上日動あんしん生命保険株式会社

25.1

80.4

52.8

51.6

50.9

東京海上アセットマネジメント株式会社

12.3

71.4

59.4

59.3

51.9

株式会社東京海上日動キャリアサービス

62.7

50.0

93.6

60.9

95.5

東京海上日動ファシリティーズ株式会社

4.7

100.0

67.9

66.2

89.0

東京海上日動メディカルサービス株式会社

66.7

100.0

65.2

63.4

59.8

東京海上ディーアール株式会社

14.6

100.0

71.3

70.8

67.7

東京海上アシスタンス株式会社

29.5

83.3

74.6

80.7

53.0

東京海上ビジネスサポート株式会社

46.2

100.0

106.6

107.2

103.4

ID&Eホールディングス株式会社

11.1

-

49.3

67.2

33.3

日本工営株式会社

6.4

85.5

75.6

78.0

63.1

日本シビックコンサルタント株式会社

4.3

-

-

-

-

株式会社コーエイリサーチ&コンサルティング

54.2

100.0

-

-

-

日本工営都市空間株式会社

3.1

84.6

62.5

72.0

55.7

日本工営エナジーソリューションズ株式会社

2.6

62.5

64.5

73.3

52.4

日本工営ビジネスパートナーズ株式会社

15.4

40.0

79.2

77.8

75.4

株式会社エル・コーエイ

50.0

-

87.9

72.9

90.4

 

 

会社名

管理職に占める女性の割合

(%)

男性の育児休業取得率

(%)

男性の賃金に対する女性の賃金の割合(%)

全労働者

正規雇用労働者

非正規雇用労働者

東京海上日動ベターライフサービス株式会社

45.2

75.0

63.7

90.1

101.3

東京海上日動システムズ株式会社

12.4

52.3

82.0

82.4

94.1

東京海上日動あんしんコンサルティング株式会社

25.6

-

77.2

75.0

83.8

東京海上日動事務アウトソーシング株式会社

100.0

-

188.9

-

123.5

東京海上日動安心110番株式会社

43.9

100.0

87.5

88.6

77.9

東京海上日動調査サービス株式会社

0.4

60.7

62.8

61.9

47.6

株式会社東京海上日動コミュニケーションズ

36.1

75.0

75.1

77.4

106.9

株式会社東京海上日動パートナーズTOKIO

13.0

100.0

55.6

55.3

42.3

株式会社東京海上日動パートナーズ東海北陸

18.2

33.3

54.0

50.8

54.6

株式会社東京海上あんしんエージェンシー

7.0

75.0

71.4

73.1

70.0

東京海上日動ファシリティーサービス株式会社

4.5

100.0

47.6

78.3

68.4

(注)1.管理職に占める女性の割合は、女性活躍推進法に基づき、当事業年度初日の「女性の管理職数÷管理職数」により算出しています(管理職に役員は含みません)。なお、出向者は出向元の従業員として集計し、東京海上日動火災保険株式会社および東京海上日動あんしん生命保険株式会社は、ユニットリーダーを含めた比率としています。

2.男性の育児休業取得率は、育児・介護休業法に基づき、「当事業年度に男性労働者のうち育児休業等をした数(育児を目的とした休暇がある場合はその数値を含む)÷当事業年度に男性労働者のうち配偶者が出産した数」により算出しています。

3.男性の育児休業取得率および男性の賃金に対する女性の賃金の割合における「-」は、対象となる従業員がいないこと、または、育児・介護休業法に基づく開示をしていないことを示しています。

4.男性と女性の間で賃金格差が生じている要因は会社により異なりますが、主として勤務地区分(転勤の有無)、勤続年数、職種等の男女構成比の違いに起因するものであり、性別によって賃金に差異は設けていません。なお、東京海上日動火災保険株式会社において、男性と女性の間で賃金格差が生じている要因の分析を行った結果、勤務地区分および勤続年数の差異による影響が大きいことを確認しています。

勤務地区分

転居を伴う転勤(以下「転居転勤」といいます)の有無で賃金差を設けており、転居転勤がある「総合職」に男性が多く、転居転勤が原則無い「総合職(エリア限定)」に女性が多いことから、男性の賃金水準が高い傾向がある。

勤続年数

男性と女性を比較すると、男性の平均勤続年数が長く、これに伴い男性の賃金水準が高い傾向がある。

 

        <勤務地区分>                      <勤続年数>

 

[男女間賃金格差解消に向けた主な取組み]

 人事制度の改定

・My Aspiration(社員一人ひとりの想い)を起点とした転居転勤政策への転換

「総合職」、「総合職(エリア限定)」の勤務地区分を廃止し、「総合職」に統一するとともに、全ての総合職が「本拠地」を定め、毎年、転居転勤への同意有無を申告する制度を導入

・成果・実力・職責に応じた評価・処遇

「4つのフリー(注)」の考え方を軸に、属性によらず、成果・実力・職責に応じて適正に評価・処遇する制度・運用に改定

 

 仕事とライフ(育児・介護)の両立支援策のさらなる拡充

・スーパーマイセレクト制度(5時から22時の間で、始業および終業時刻の変更を可能とする制度)やリモートワーク等により、時間・場所を問わず柔軟な働き方を実現

・パートナー参加型の仕事・育児の両立支援セミナー「すくすくペンギン会」や上司が育児疑似体験を行う「もしもチャレンジ」等の施策を通じた、「仕事とライフの両立」をしやすい職場風土の醸成

 

(注)東京海上日動火災保険株式会社がDE&I推進のために掲げる4つの方針:ジェンダーフリー(LGBTQへの取組みや性別の壁の打破)、エイジフリー(入社年次や社員間の年齢の壁の打破)、ボーダーフリー(コース区分・国籍・障がい・キャリア採用等の壁の打破)、ワークスタイルフリー(個々人のライフスタイルに合わせた働き方の壁の打破)

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)サステナビリティ共通

 東京海上グループは、「お客様や社会のいざをお守りする」というパーパスを起点に、時代ごとの社会課題を自ら探し出し、保険本業を通じてその課題解決に貢献することで成長してきました。東京海上グループの事業活動は社会課題解決そのものであるため、使命感を持って事業活動に取り組むことで、安心・安全に生活し、かつ果敢に挑戦できるサステナブルな社会の実現に貢献できると考えています。

①ガバナンス

 グループ全体でサステナビリティ戦略を推進するため、グループCEO、グループサステナビリティ総括(以下「CSUO」といいます)、グループ資本政策総括(以下「CFO」といいます)、グループリスク管理総括(以下「CRO」といいます)を含むチーフオフィサー、海外の経営陣等で構成されるサステナビリティ委員会を設置し、取組内容や方針等をグローバルベースで審議しています。サステナビリティ委員会は原則として年4回開催し、サステナビリティ課題への対応方針等に関する審議および各施策の進捗状況のモニタリングを行っています。取締役会は、サステナビリティ関連のリスクおよび機会に関する戦略を含む、東京海上グループの戦略、事業計画、リスク管理プロセスを監督する最終的な責任を負います。CSUOは、サステナビリティ関連の目標設定を含む、サステナビリティ戦略の推進および浸透を総括し、取締役会に方針を諮るとともにサステナビリティ委員会の審議内容や目標達成に向けた進捗状況等を取締役会に報告する役割を担っています。取締役会は年1回以上報告を受け、サステナビリティのリスクおよび機会に関するトレードオフを考慮しながらサステナビリティに関する取組みについて審議し、執行を適切に監督しています。
 2025年度は、以下のとおり取締役会において審議しました。

実施月

審議事項

2025年5月

グループサステナビリティ 2024年度取組みの振返りおよび2025年度年次計画

2025年10月

グループサステナビリティ 2025年度年次計画の進捗報告

2026年3月

グループサステナビリティ 2025年度年次計画の進捗報告

 

また、リスクベース経営(ERM)に基づき、ERM戦略を議論する場として、当社はERM委員会を設置し、ERM委員会での論議等を通じて、気候変動および自然関連リスクを含むグループ全体のリスク管理を行っています。ERM委員会での議論を踏まえ、取締役会は、重要なリスクテイク方針(リスクアペタイト)を決定し、ERM戦略に関する最終的な責任を負います。リスクベース経営(ERM)については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

■スキルおよびコンピテンシー

サステナビリティ関連のリスクおよび機会に対応するために定めた戦略を取締役会が適切に監督するために、取締役の選任にあたっては、サステナビリティに関するスキルおよびコンピテンシーも考慮し、取締役会全体としてサステナビリティに関する取組みを適切に審議し、執行を適切に監督できる体制を有することとしています。当社は、「環境」というスキル項目を設定し、気候変動対策等のサステナビリティ関連業務に関するスキルの有無を、サステナビリティ関連業務への従事経験等にて判断しています。本有価証券報告書提出日現在、「環境」のスキルを有する取締役および監査役は7名(うち6名は社外役員)です。役員の選任要件、役員のスキルに関する考え方の全体像およびスキルマトリクスについては「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (2)役員の状況 ②役員の選任要件、役員のスキルについての考え方および定時株主総会後の役員のスキル」に記載のとおりです。

 

■業績連動報酬における指標

取締役の業績連動報酬は「個人目標」および「会社目標」の前年度実績の評価について、報酬委員会の答申を踏まえ、取締役会で決定しています。「会社目標」の業績評価指標には、サステナビリティ戦略に係る非財務指標を10%取り入れています。なお、業績連動報酬のうち、サステナビリティに係る指標に連動する報酬は、気候変動対応等主要課題として掲げる分野における取組みの進捗状況を指標とし、サステナビリティ委員会にて1次評価を行った後に、報酬委員会にて審議を行い、取締役会で最終決定します。

 

■サステナビリティ推進体制図

(注)グループダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン総括

 

②戦略

 東京海上グループは、「次の世代に明るい未来を引き継ぐことは私たちの責務である」との強い想いから、「お客様」、「社会」、「社員」および「株主・投資家」に加え、「未来世代」をステークホルダーに位置付けています。

 東京海上グループは、パーパスを起点に取り組むべき8つの重点領域を設定しています。事業活動により社会課題を解決しながらサステナブルな社会づくりに貢献し、その結果として社会的価値と経済的価値を同時に高めていきます。

 

東京海上グループの8つの重点領域

重点領域

取組み

a.気候変動対策の推進

・2050年ネットゼロの実現(含む保険引受・投融資先)

・保険引受・投融資先企業とのエンゲージメントやグリーントランスフォーメーション(以下「GX」といいます)関連の保険・ソリューションの提供を通じたトランジションへの貢献

b.災害レジリエンスの向上

・自然災害対応の高度化(大規模災害時に速やかに保険金をお支払いする「商品・サービスの開発と提供」、「業務プロセスの効率化」)

・事前・事後領域(現状把握、対策実行、避難・退避、復旧・再建)における災害リスクマネジメントサービスの提供

c.健やかで心豊かな生活の支援

・新たなヘルスケア商品・サービス(予防・未病)の開発・提供、寿命の延長により増加する資産形成・貯蓄ニーズへの対応

・中小企業支援を通じた社会・地域課題解決

d.人と多様性の尊重

・人的資本のさらなる強化・経営戦略の実現に資する人事戦略の実行

・多様性の確保と多様性が活きるカルチャーの醸成・浸透

・保険引受・投融資先、バリューチェーン、自社オペレーションにおける人権デューデリジェンスの推進

e.イノベーティブなソリューションの提供

・デジタル、データを活用した、GX、災害レジリエンス、ウェルビーイング等の社会課題を解決するソリューションの提供

f.自然の豊かさを守る

・2030年ネイチャーポジティブ(自然資本や生物多様性の損失を止め、回復させること)への貢献

・マングローブ植林やアマモ場の保全・再生活動、海を守る活動等による地球温暖化防止および生物多様性・湿地の保全

g.未来世代の育成支援

・各種教育プログラム等の提供を通じた未来を担う人材の育成支援

・未来世代の意見を活かした経営の高度化

h.誠実かつ透明性の高いガバナンス

・全てのバリューチェーンにおける業務品質の向上、内部統制の強化

・海外を含む全てのグループ会社におけるリスクベース経営(ERM)の強化

・適時適切かつ透明性の高い情報開示

 「a.気候変動対策の推進」、「f.自然の豊かさを守る」に関する具体的な取組みは「(2)気候変動対策と自然資本・生物多様性の保全」に記載のとおりです。

 

③リスク管理

 東京海上グループを取り巻くリスクは、グローバルな事業展開や経営環境の変化等を受けて一層多様化・複雑化してきています。また、不透明感が強く、変化の激しい昨今の政治・経済・社会情勢においては、新たなリスクの発現を常に注視し適切に対応していかなければなりません。そのため、東京海上グループは、リスクの軽減、回避等を目的とした従来型のリスク管理に留まらず、リスクベース経営(ERM)に基づいて定性・定量の両面での網羅的なリスク把握を行うとともに、リスク管理の高度化に取り組んでいます。環境・社会に関しては、環境基本方針、人権基本方針に基づいて、当該リスクが発生する可能性の高いセクターを特定し、負の影響を与えるリスクを適切に把握、管理できるよう努めています。リスクベース経営(ERM)の詳細については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。

当社では東京海上グループ全体を対象とし、リスクベース経営(ERM)に基づいたグループ全体のリスク管理プロセスの一環として、「重要なリスク」および「エマージングリスク」の特定を行っています。サステナビリティ関連のリスクについても、「重要なリスク」および「エマージングリスク」のひとつと位置付け、本枠組みの中でリスクを識別、評価、優先順位付け、モニタリングするためのプロセス(以下「管理プロセス」といいます)を整備しています。サステナビリティ関連のリスクの管理プロセスの詳細は以下のとおりです。

a)識別

東京海上グループは各ビジネスモデルにおけるバリューチェーンの範囲を考慮し、サステナビリティ関連のリスクを識別しています。また、リスクの識別にあたっては、各グループ会社における特定・評価結果、マネジメントの見解、外部機関が定めるトップリスク等を情報源としています。

 

b)評価

リスクを識別し、潜在的影響を特定・評価するプロセスは、一定のシナリオを設定して実施しています。気候関連のリスクに関するシナリオ分析の概要およびその結果については、「(2)気候変動対策と自然資本・生物多様性の保全 ②戦略」に記載のとおりです。なお、気候関連以外のサステナビリティ関連についても、主要グループ会社における特定・評価結果、外部機関の定めるトップリスク等を参考として、新たに現れてくるリスクやリスクの程度が著しく高まったリスクを洗い出し、シナリオ発現時の当社事業への影響度や切迫度を評価しています。

 

c)優先順位付け

優先順位付けについては、顕在化している、または潜在的な財務的影響度等および将来の発生可能性の観点からリスクを評価した上で、その評価結果を踏まえて判断しています。具体的には、当社の自然資本や社会関係資本等の資源への依存や影響、リスクが関連するバリューチェーンの範囲、当該リスクが当社の財務諸表へ波及する経路および全社的なリスク管理プロセスにおける金額的目線を踏まえた財務諸表への影響規模等を総合的に勘案し、評価を実施しています。

 

d)管理プロセス

実施したリスクの評価および優先順位付けについては、当社のERM委員会で議論した上で経営会議に付議・報告し、取締役会にも報告しています。また、特定した重要なリスクやグループベースで取組みを推進するエマージングリスクへの対応状況についても、ERM委員会で議論した上で経営会議に付議・報告し、取締役会にも報告しています。

 

また、東京海上グループは、サステナビリティ関連のリスクに加え、事業に影響を与えるサステナビリティ関連の機会についても把握・評価をしています。サステナビリティ関連の機会については、市場動向や、再生可能エネルギー事業者をはじめとするお客様との対話等を通じて洗い出し、関連部門との協議を経てサステナビリティ委員会で報告したうえで特定しています。なお、気候関連の機会に関する定量的なシナリオ分析については現状実施していませんが、今後その実施要否の検討を続けてまいります。

サステナビリティ関連のリスクおよび機会について、少なくとも年に1回、重大な事象の発生の有無および状況の重大な変化の有無という観点も含め、見直しを実施しています。

なお、上記のサステナビリティ関連のリスクおよび機会の管理プロセスの結果、当社の見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクおよび機会については、「(2)気候変動対策と自然資本・生物多様性の保全 ②戦略」に記載のとおりです。

 

④指標と目標

 東京海上グループは、サステナビリティに関する中長期目標(非財務指標)を課題ごとに掲げ、実効性のあるPDCAサイクルを回し続けることで各種取組みを着実に進めています。

 

(2)気候変動対策と自然資本・生物多様性の保全

①ガバナンス

 「(1)サステナビリティ共通 ①ガバナンス」に記載のとおりです。

 

②戦略

 気候変動は、グローバルな課題であるとともに、自然災害の激甚化をもたらす可能性があるものであり、保険引受や資産運用に大きな影響を及ぼします。東京海上グループは、気候変動対策を、本業である保険事業はもとより、機関投資家、そしてグローバルカンパニーとして真正面から取り組むべき最重要課題と位置付けています。

 また、地球の環境を守るためには、気候変動対策だけでなく、自然資本や生物多様性の損失を止め、回復させるネイチャーポジティブの取組みが不可欠です。気候変動によって、植物の生育ができない環境となり、自然が失われるという影響が出ています。自然が失われることによって、吸収・固定される温室効果ガスが減少し、地球の温暖化が進行するという影響も出ています。このように気候変動と自然資本・生物多様性は相互に影響を与えるものであり、同時に取り組むべき課題と認識しています。以上を踏まえ、東京海上グループの気候変動および自然資本・生物多様性に関連するリスクならびに機会に関する情報を本有価証券報告書に記載しています。気候関連情報開示および自然関連情報開示の詳細については、東京海上グループのClimate & Natureレポートに記載しています。

戦略にはその前提となるリスク認識が重要です。東京海上グループは、気候変動リスクおよび自然関連リスクが高まることを想定し、事業への影響を特定・評価しています。気候変動リスクおよび自然関連リスクには気候変動および自然の損失に伴う自然災害の激甚化等によって生じる物理的リスクに加え、脱炭素社会や自然共生社会への移行が投融資先の企業価値や東京海上グループの保有資産価値に影響を及ぼすこと等によって生じる移行リスクがあります。

 また、気候変動の緩和および気候変動への適応ならびに自然との共生に向けた対応から生まれるビジネス機会を認識し、保険商品・サービスの開発・提供を通じて、脱炭素社会および自然共生社会への移行に取り組んでいきます。

 物理的リスク、移行リスクおよび機会について、事象例および東京海上グループの事業活動における具体例は以下のとおりです。

事象例

東京海上グループの事業活動における

リスク・機会の例

時間軸(注)

物理的リスク

急性

・自然災害の激甚化の可能性

・土壌の保水力低下や沿岸浸食による損害の発生・拡大

・保険収益の減少(保険金支払への影響等)

・拠点ビル等が被災することによる事業継続への影響

短期~

慢性

・気温の上昇

・干ばつや熱波等、その他気象の変化

・海面の上昇

・節足動物媒介感染症への影響

中期・長期

移行リスク

政策および法規制

・炭素価格の上昇

・環境関連の規制・基準の強化

・気候関連の訴訟の増加

・炭素価格上昇による投融資先企業の企業価値や東京海上グループの保有資産価値の下落

・賠償責任保険に係る支払保険金の増加

中期・長期

技術

・脱炭素社会・自然共生社会への移行に向けた技術革新

・脱炭素社会・自然共生社会への移行が十分ではない投融資先企業の企業価値や東京海上グループの保有資産価値の下落

・技術革新やお客様ニーズの変化を捕捉できないことによる収益の低下

中期・長期

市場

・商品・サービスの需要と供給の変化

短期~

評判

・脱炭素社会・自然共生社会への移行の取組みに対するお客様や社会の認識の変化

・東京海上グループの取組みが不適切とみなされることに伴うレピュテーションの毀損

短期~

機会

資源の効率性、エ

ネルギー源、製品・サービス、市場、レジリエンス

・エネルギー源の変化やレジリエンス向上に向けた製品・サービス需要や社会の認識の変化

・再生可能エネルギーや自然関連事業に関する保険ニーズの飛躍的増大

・脱炭素社会・自然共生社会への移行に伴う企業の資金需要の増加による投融資機会の増大

・災害レジリエンス向上に向けた防災・減災ニーズの増加

短期~

(注)中期経営計画の策定期間を考慮し、「短期」については3年未満と定義しています。また、現中期経営計画において2035年に「当社グループのありたい姿」を設定していることから、「中期」については10年未満とし、10年以上については「長期」と定義しています。

 

東京海上グループでは、特に以下を気候変動・自然関連の重要なリスク・機会と捉えています。リスクに関しては、リスクベース経営(ERM)に基づく定性リスク管理の中でグループとしての重要なリスクおよびエマージングリスクを特定しており、特定されたリスクのうち、気候・自然関連に関するものを抽出しています。機会に関しては、エネルギー源の変化やレジリエンス向上に向けた需要等を踏まえて重要と考えられる機会を特定しています。

カテゴリー

東京海上グループにおける重要なリスク・機会(注)

時間軸

物理的リスク

a)巨大風水災・セカンダリーペリル

b)地球温暖化、自然資本・生物多様性の喪失

短期~

中期・長期

移行リスク

c)脱炭素・自然共生社会への不適切な対応

中期・長期

機会

d)再生可能エネルギーや自然関連事業に関する保険ニーズの飛躍的増大

中期・長期

(注)リスク・機会の詳細は次項を参照ください。

 

■ビジネスモデルおよびバリューチェーンに与える影響

 気候変動・自然関連のリスクおよび機会は、東京海上グループのビジネスモデルおよびバリューチェーンにさまざまな影響を与えており、将来にその影響がさらに拡大する可能性があります。現在および将来における影響ならびに東京海上グループのビジネスモデルおよびバリューチェーンにおいて、気候変動・自然関連のリスクおよび機会が集中している部分は、以下のとおりです。

東京海上グループにおける重要なリスク・機会

現在のビジネスモデルおよびバリューチェーンへの影響

将来のビジネスモデルおよびバリューチェーンへの影響

リスクまたは機会集中している部分

a)巨大風水災・セカンダリーペリル

・巨大台風や集中豪雨の発生、雹災・森林火災・洪水等のセカンダリーペリルの発生に伴い、保険金支払が多額となることによる保険引受損益の悪化。

・上記事象により、バリューチェーンを含む東京海上グループの物的損害が甚大となり、オペレーションの一部遅延・停止が発生。

・気候変動により左記事象が深刻化し、さらなる保険引受収益の悪化や、オペレーションへの影響(追加対応によるコスト増を含む)が拡大した場合、バリューチェーンを含めた東京海上グループのビジネスモデルに大きな影響を及ぼす可能性がある。

・日本、北米

・火災保険等のプロパティ(財産)種目

b)地球温暖化、自然資本・生物多様性の喪失

・現在においてリスクが発現、または、蓋然性が高まっているリスクではあるが、定性リスク管理上はエマージングリスクとして認識している。

・環境劣化に起因する自然災害の増加により、保険収益が悪化する可能性がある

・より深刻で頻繁な災害が発生して社会経済に甚大な被害をもたらした場合、サプライチェーンを含めた東京海上グループのビジネスモデルに悪影響をもたらす可能性がある

・日本

・火災保険等のプロパティ(財産)種目

 

 

東京海上グループにおける重要なリスク・機会

現在のビジネスモデルおよびバリューチェーンへの影響

将来のビジネスモデルおよびバリューチェーンへの影響

リスクまたは機会が
集中している部分

c)脱炭素・自然共生社会への不適切な対応

・同上

・不適切な資産運用、保険引受、その他当社行為が持続可能な社会への移行に悪影響を及ぼすとみなされ、東京海上グループのレピュテーションが毀損する可能性がある。

・持続可能な社会に向けて適切な行動または移行しなかった産業・企業の価値が減損するに伴い、当社資産価値も低下する可能性がある。

・温室効果ガス高排出セクターの保険引受または当該セクターへの投融資

d)再生可能エネルギーや自然関連事業に関する保険ニーズの飛躍的増大

・再生可能エネルギー需要が拡大する中、発電設備の建設におけるプロジェクトファイナンスにおいて保険手配が不可欠であること等を背景に、保険ニーズが高まっている。東京海上グループでは、洋上風力や太陽光発電等の再生可能エネルギー事業者向けの保険や電気自動車・蓄電池の保険等、脱炭素社会の実現に直接的に貢献する脱炭素関連保険の提供を進めている。

・世界中でネットゼロの実現および脱炭素社会への移行に向けて多くの設備投資が見込まれ、それらへの保険ニーズが高まっている。既存保険商品の拡大や新たな保険商品の開発により東京海上グループのビジネスに好影響をもたらす可能性がある。

・再生可能エネルギー事業者への保険引受

 

■財務的影響

気候変動・自然関連のリスクおよび機会が当年度および将来において東京海上グループの財政状態、財務業績およびキャッシュ・フローに与える影響は以下のとおりです。なお、将来における定量的な影響については見積もるにあたり測定の不確実性の程度が非常に高いことから、定量的情報は開示していません。

 

[物理的リスク]a)巨大風水災・セカンダリーペリル、b)地球温暖化、自然資本・生物多様性の喪失

気候変動に起因する自然災害の増加に伴って、拠点ビル等が被災する可能性があります。被災した場合には、その復旧費用や営業停止期間の収益機会の喪失等が発生し、東京海上グループの連結財務諸表に影響が生じる場合があります。当事業年度において、自然災害に伴う拠点ビル等の被災は発生しておらず、東京海上グループの連結財務諸表に重要な影響を与えていません。また、自然災害の頻度の高まりや規模の拡大により、保険金の支払いが増加し、事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。当事業年度においては、日本国内では2025年8月の九州大雨をはじめとする自然災害に対して574億円、海外ではロサンゼルスの山火事や北米暴風雨等により396億円の保険金支払が発生しており、合計970億円(注)の正味発生保険金が発生しています。

 将来的な気候変動に伴い、さらなる保険引受損益の悪化や、追加対応によるコスト増を含むオペレーションへの影響が拡大した場合、バリューチェーンを含めた東京海上グループのビジネスモデルに大きな影響を及ぼす可能性があると考えています。

(注)税引前・国際財務報告基準(IFRS)ベース

 

[移行リスク]c) 脱炭素・自然共生社会への不適切な対応

当該リスクに関する財務的影響については、当事業年度において、東京海上グループの不適切な対応に伴うレピュテーション低下や、産業・企業における不適切な対応に伴う当社資産価値の低下等は発生しておらず、東京海上グループの連結財務諸表に重要な影響を与えていません。

将来的には、上記リスクの発現に伴い、資産価値の低下等、財務諸表に影響を与える可能性があります。

 

[機会]d) 再生可能エネルギーや自然関連事業に関する保険ニーズの飛躍的増大

 東京海上グループでは気候変動および自然関連の機会を捉えるべく、保険商品・ソリューションの開発・提供に力を入れています。気候変動においては、洋上風力や太陽光をはじめとする再生可能エネルギー事業者向けの保険等、脱炭素社会実現に直接的に貢献する保険を提供しています。さらなる価値提供拡大に向けて、2025年5月より新プロジェクト「Tokio Marine GX」(注)を始動しました。グループ一体となり保険商品・サービスラインナップの拡充、GX領域における新たなリスクへの対応、グループの強固な財務基盤を活用した保険引受キャパシティの提供等を通じて、より幅広いお客様のGX支援の取組みを推進することで、2026年度末時点における脱炭素関連保険料450億円の達成をめざすとともに、将来にわたる持続的な成長を実現してまいります。自然関連についても、2025年2月に東京海上グループに加わったID&Eグループが有する自然関連リスクの可視化・評価技術や自然共生型インフラの設計等の専門性を活かし、お客様の自然関連リスクへの対応やネイチャーポジティブ実現に向けた取組みを推進していきます。

これらの取組みは、将来の保険引受収益の増加をはじめとする財務業績およびキャッシュ・フローに好影響をもたらす可能性があります。

 

(注)再生可能エネルギー事業者向け保険の引受およびリスクマネジメントの専門性を有するTokio Marine GX社(旧GCube社)をGX支援の牽引役として、グループ一体でGX分野の保険商品・サービスのラインナップの拡充、GX領域における新たなリスクへの対応および当社グループの強固な財務基盤を活用した保険引受キャパシティの提供等を通じて、お客様のGX推進を支援するとともに、GX関連保険分野における最先端・リーディング保険グループとしてのブランド確立を目指すプロジェクト

 

■リスクおよび機会に対する戦略

東京海上グループは気候変動・自然関連のリスクおよび機会に対応するために様々な取組みを実施しています。リスクの観点では、保険引受や投融資における損失の増加、資産価値の変動等を通じて、将来的に財務状況や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。一方で、これらの変化は、顧客の脱炭素化やレジリエンス向上を支援する保険・ソリューションへの需要拡大といった新たな事業機会をもたらす可能性もあります。こうしたリスクと機会の両面を踏まえ、以下のような戦略を策定しています。

物理的リスクa)、b)への対応では、被害の未然防止や事故発生時の被害軽減、早期復旧のためのソリューションの提供に注力しています。具体的には、自然災害時の迅速な対応態勢の構築や、デジタル・AI等の技術を活用した保険金支払の高度化に取り組んでいます。また、防災コンソーシアムにおけるソリューション共創や、ID&Eグループや東京海上レジリエンス株式会社によるソリューション提供等を進めています。社会の災害レジリエンス向上に不可欠な火災保険制度を持続的に運営するとともに、防災・減災につながる保険商品開発、提供するソリューションの拡充、BCP(事業継続計画)策定支援の高度化等を通じて、支援提供先の拡大に取り組んでまいります。

移行リスクc) に対しては、気候変動に伴う温室効果ガス排出の管理・削減等に係るコストの増加が、投融資先の企業価値や東京海上グループの保有資産価値に影響を及ぼす可能性があります。東京海上グループでは、政策投資として保有している株式の保有ゼロに向けた取組み(非上場株式および資本業務提携による出資等は除く)や脱炭素化を目的とした取引先とのエンゲージメントに努めており、これらの取組みが上記の影響を軽減することにつながっています。具体的には、東京海上日動火災保険株式会社において、保険引受に伴う温室効果ガス排出量の約9割を占める大口顧客200社のうち160社について深度ある提案・対話を行うことを2030年目標として掲げ、取組みを進めています。

また、機会 d) については上述のとおり、洋上風力や太陽光をはじめとする再生可能エネルギー事業者等に対する保険商品・ソリューションの開発・提供等に力を入れています。

 上述のとおり、東京海上グループは、保険商品・サービスによる再生可能エネルギーの普及支援、脱炭素化を目的とした取引先とのエンゲージメント、保険引受・投融資方針の厳格化等を通じて、2050年ネットゼロの実現に取り組んでいます。また、自然共生社会の実現に向けて、自然共生サイトの認定に向けた取組みや、取引先企業との対話を通じた支援を実行しています。東京海上グループの移行に向けた計画は次のとおりです。

 

 

 上記移行計画には不確実性が伴いますが、確実な実行・推進のために東京海上グループは様々な取組みを実施していきます。

例えば、脱炭素社会および自然共生社会の実現に向けては、保険引受先・投融資先との建設的なエンゲージメントを通じて、脱炭素計画のみならず、自然資本への依存・影響への対応状況をモニタリングするとともに、脱炭素関連保険や自然関連事業を支えるソリューションの提供を進めています。また、サステナビリティ・テーマ型投融資による資金提供も実行しています。2050年のネットゼロ達成および自然共生社会の実現は、再生可能エネルギーの普及や技術的発展、カーボン・クレジット市場の健全な発展に加え、ネイチャーポジティブに資する技術およびビジネスモデルの進展を前提としています。東京海上グループは再生可能エネルギー発電事業や関連設備に関する保険商品やカーボン・クレジット関連保険、自然関連リスクやネイチャーポジティブに資する商品・ソリューションの開発・提供等を進めてまいります。気候関連の中間目標の詳細は、「④指標と目標 ■気候関連の目標に関する開示」に記載のとおりです。

 

■気候レジリエンス

東京海上グループは、物理的リスクおよび移行リスクに関するシナリオ分析を行い、気候変動が保険金支払、投融資先の企業価値および東京海上グループの保有資産価値に及ぼす影響を評価しています。

リスクの観点では、シナリオ分析の結果、いずれのシナリオにおいても一定の影響が生じ得ると識別しています。一方で、損害保険事業は比較的短期の保険契約が多いことや、東京海上グループの運用資産は流動性の高い金融資産が中心であること、また、政策投資として保有している株式の保有ゼロに向けた取組みを進めていることから、これらの影響に柔軟に対応することが可能であると考えています。

また、気候関連の機会の観点からも、選択したシナリオに基づき将来的なビジネス機会を検討しています。脱炭素社会への移行が進行するシナリオにおいては、「■リスクおよび機会に対する戦略」に記載しているサステナビリティ戦略を着実に実行していくことで気候関連の機会を享受することが可能であると考えています。また、脱炭素社会への移行が進まない場合においても、自然災害の頻発化・激甚化に対する社会全体のレジリエンス向上に資するような商品やソリューションの開発等の取組みをより一層推進することで、保険金支払の増加による影響を相殺・軽減することが可能であると考えています。

今後も、上記の評価結果も踏まえ、「■リスクおよび機会に対する戦略」に記載しているサステナビリティ戦略を、気候関連のリスクに対応するとともに、気候関連の機会の獲得につながるよう充実させながら実践していきます。なお、気候関連のレジリエンス評価については、最新の研究結果をもとにシナリオ分析に用いるシナリオや定量化モデルの改修が図られる可能性があるなど、一定の不確実性があると考えています。

シナリオ分析の概要は、下表のとおりです。保険引受の物理的リスクのシナリオ分析に用いたシナリオは、IPCCのRCP8.5シナリオであり、強度の強いものであることから、東京海上グループの保険引受に係る自然災害の激甚化等に対するレジリエンス評価に関連するものであると考えています。また、運用資産のシナリオ分析では、移行リスクのシナリオとして、NGFSの2つのシナリオ(Orderly-Net Zero 2050、Disorderly-Delayed Transition)を使用しています。物理的リスクおよび移行リスクへの影響の大きさがシナリオによって異なる中、東京海上グループでは複数シナリオを以て多角的に分析していることから、運用資産に係る物理的リスクや移行リスクに対するレジリエンス評価に関連するものと考えています。なお、当該シナリオ分析は、気候レジリエンス評価の一環として実施しているものの、その定量的な結果については上記の不確実性を踏まえ、未だ高度化が必要な状況と認識しています。今後も、より適切な定量化モデルの活用に向けて研究・調査を進めていきます。

 

物理的リスク(支払保険金への影響)

移行リスク(資産運用への影響)

分析に用いたシナリオおよびその情報源

IPCCのRCP8.5シナリオ

NGFSの以下のシナリオ

・Orderly-Net Zero 2050

・Disorderly-Delayed Transition

分析に用いた時間軸

2050年まで

2050年まで

分析に用いた事業の範囲

日本および北米の損害保険

日本および北米等の主要拠点が保有する運用資産(株式、社債、CMBS、国債)

分析の前提とした主要な仮定

気候変動による支払保険金への影響が、国連環境計画金融イニシアティブの気候変動影響評価プロジェクトによる分析評価ツールで導出される経済損失への影響と同程度と仮定している。

NGFSが提供するシナリオに準拠して、シナリオ変数(炭素価格、エネルギー需要、燃料価格、排出量、気温等)が変動することによって企業価値に与える影響を定量化している。また、低炭素社会への移行に伴い、気候変動の緩和や適応を技術的に実践することで得られる優位性(いわゆる「機会」)によるポジティブな効果を含めて算出している。

シナリオ分析を実施した報告期間

2025年3月期

2025年3月期

 

③リスク管理

 東京海上グループは、リスクベース経営(ERM)に基づいてグループ全体のリスク管理を行うとともに、その高度化に取り組んでいます。気候変動リスク・自然関連リスクについてもERMの枠組みのなかで適切に管理しています(「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです)。

 

④指標と目標

■気候関連の目標に関する開示

東京海上グループは、移行支援や2050年ネットゼロへの貢献を通じた脱炭素社会の実現のために、2050年までに東京海上グループ(保険引受・投融資先を含む)の温室効果ガス(CO₂)を実質ゼロとする長期目標を設定しています。

東京海上グループの温室効果ガス排出目標は、東京海上グループ全体を対象とした純量(ネット)ベースの絶対量目標であり、パリ協定を踏まえた我が国の気候変動への取組みに沿って設定しています。

 温室効果ガス排出目標の対象はCO₂とし、スコープ1温室効果ガス排出、スコープ2温室効果ガス排出(マーケット基準)およびスコープ3温室効果ガス排出の合計値に対して設定しています。セクター別脱炭素アプローチは用いていません。

長期目標達成のための中間目標として、東京海上グループは、①自社の事業活動に伴う温室効果ガス削減目標、②使用する電力に対する再生可能エネルギー導入目標、③社有車の電動車化目標、④保険引受における大口顧客に対するエンゲージメント目標、⑤脱炭素関連保険料目標を設定しています。

 

 

 各中間目標の詳細は以下のとおりとなります。

時期

各目標の対象会社

中間目標

目標のタイプ

2030年度

東京海上グループ

①温室効果ガス(CO₂)排出量(注)1 を2015年度対比60%削減する。

比率目標

東京海上グループの主要拠点(注)2

②使用する電力を100%再生可能エネルギーとする。

比率目標

東京海上日動火災保険株式会社、東京海上日動あんしん生命保険株式会社、日新火災海上保険株式会社

③保有する社有車(注)3を全て電動車(EV・PHV・HV等)にする。

比率目標

東京海上日動火災保険株式会社

④保険引受に伴う温室効果ガス排出量の約90%を占める大口顧客200社と対話を行い、160社以上について深度ある提案・対話を行う。また、当該大口顧客200社に対しては、対話の中で脱炭素計画の策定を求め、2030年までに脱炭素計画を有していない企業とは取引を行わない。

絶対値目標

2026年度

東京海上グループ

⑤2026年度末時点における脱炭素関連保険料(注)4 450億円

絶対値目標

(注)1.スコープ1温室効果ガス排出、スコープ2温室効果ガス排出、スコープ3温室効果ガス排出のうちカテゴリー1,3,5,6が対象です。

2.東京海上日動火災保険株式会社、Philadelphia Consolidated Holding Corp、Tokio Marine Kiln Group Limited等の国内外の主要拠点を対象としています。

3.自社名義で保有する車およびリース車を対象としています。

4.洋上風力や太陽光発電等の再生可能エネルギー事業者向けの保険や電気自動車・蓄電池の保証保険等、脱炭素社会の実現に直接的に貢献する保険。例えば、再生可能エネルギー事業者向け保険(建設・組立、財産、賠償責任、利益、船舶、貨物保険等)、電気自動車・蓄電池に関する保険、再生可能エネルギー事業の買収・譲渡を対象とする表明保証保険を指します。

 

目標の設定にあたっては、CSUO管轄のもと、サステナビリティ委員会事務局にて検討を行い、サステナビリティ委員会の審議を経て、取締役会等にて決定しています。なお、目標や目標設定の方法論について第三者による認証は取得していません。

東京海上グループは、2050年東京海上グループ(保険引受・投融資先を含む)の温室効果ガス(CO2)を実質ゼロとする目標の達成に向け、前述の中間目標に関する進捗をサステナビリティ委員会にて報告することでモニタリングしています。東京海上グループの事業活動に伴う温室効果ガス排出目標に関しては、2015年度対比での累計削減率、エンゲージメント目標に関しては、エンゲージメントのレベル別にエンゲージメントを行った企業数を確認することで、目標の変更要否を含めて検討しています。なお、再エネ導入率、および自動車のEV化率に関しては、サステナビリティ委員会事務局にて、トレンドや推移を確認しており、重要な変化点があった際には、サステナビリティ委員会に報告することとしています。

東京海上グループでは、気候変動対応に関する各中間目標について、削減施策の実行、再生可能エネルギーの導入、事業活動および顧客との対話を通じた取組みなどを継続的に推進しており、いずれの中間目標についても目標の達成に向けて概ね計画どおり進捗しています。

温室効果ガスの削減については、中長期目標を設定し、その達成に向けて各種施策を計画どおり進めています。具体的には、省エネルギーの推進や非化石エネルギーへの転換、ビジネストラベルや紙・廃棄物の削減・抑制等の削減策を実施しています。また、再生可能エネルギー使用率の向上に向けて、2021年度以降、拠点ごとの状況を踏まえながら計画的に導入を進めており、使用電力に占める再生可能エネルギーの割合は増加しています。そして社有車の電動車への切替についても着実に進めており、目標達成に向けて順調に進捗しています。引き続きこれらの取組みを継続することで、温室効果ガス排出量の削減に努めてまいります。

なお、いずれの指標に関しても、目標達成に向けた進捗をモニタリングするために東京海上グループ独自に設定した指標であり、実績数値に対して第三者による認証は取得しておりません。

 

■内部炭素価格に関する開示

東京海上グループは、意思決定に内部炭素価格を用いていません。

 

■報酬に関する開示

東京海上グループのサステナビリティ関連の評価項目を役員報酬に組み込む方法および当事業年度の役員報酬のうち、サステナビリティ関連の評価項目と結び付いている部分の割合については、本項「(1)サステナビリティ共通 ①ガバナンス ■業績連動報酬における指標」に記載のとおりです。

 

(3)人的資本

①ガバナンス

 グループ全体へのガバナンスとして、内部統制基本方針に基づき人事に関する基本方針を定め、人事に関する基本的な考え方、統括部署の設置、各種基準の策定等の態勢整備等を示すとともに、グループ会社における重要な人事制度改定等における承認および報告の基準を定め、人事に関するガバナンス体制を構築しています。また、取締役会は関連議案の報告を受けて人的資本に関する取組みについて審議し、執行を適切に監督しています。

 グループの人事を統括するチーフオフィサーは、東京海上グループの人的資本経営に関する事項および施策を取締役会に報告することで人事戦略と経営戦略の連動性を高め、人事戦略に基づく施策の実行によって人的資本を強化し、経営戦略がめざす姿の実現を図ります。

 

 

②戦略

 「5 従業員の状況等 (1)人材戦略に関する基本方針等」に記載のとおりです。

 

③リスク管理

 形のない保険や関連するサービスを中核事業とする東京海上グループにおいては、「人」が創り上げる信頼が全ての源泉であり、「人」の力の最大化がパーパスの実現を通じた成長の原動力です。人材の流動性が高まるなか、人材マーケットにおける競争力低下は、人材採用の計画未達および社員の離職に繋がり、当社の経営戦略の遂行を困難にさせる大きなリスクです。人事戦略の実践を通じて、社員一人ひとりへ成長機会を提供し、活躍できる環境を整えることで、このようなリスクの低減に努めています。

 

④指標と目標
a)経営戦略と連動した指標

経営戦略における重点施策ごとに人事面から対応すべき課題を特定し、人事施策を立案・実行しています。また、その進捗状況をモニタリングするための指標を設定し、各施策がめざす姿と現状とのギャップを明確にしながらPDCAを実施しています。

(注)1.2026年6月29日開催予定の第24回定時株主総会の承認が得られることを条件に、同日付で監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行します。移行後は、女性取締役比率を指標とします。

2.各年度末時点におけるCxO、Deputy CxOに占める外国人の比率。

3.2025年度より対象範囲を見直したことに伴い、過年度の数値を同一の基準で再集計しています。

4.東京海上日動火災保険株式会社で採用し、当社に出向中の社員を含みます。

5.エンゲージメントの状況やパーパスの浸透度等を測る「カルチャー&バリューサーベイ」(CVS)の関連項目にかかる肯定回答(5点満点中4または5)の割合。2025年度よりサーベイの変更に伴い、従前のスコア平均(5点満点)から評価方法を変更しています。

6.各年度初日時点、管理職以上(役員含む)に女性が占める割合。2024年度以降については、2024年4月の人事制度改定により新設した役職であるユニットリーダーを含みます。

7.心身の健康状態を踏まえた出勤時の生産性指標。数値が高いほどパフォーマンスが高い(最大100)。

 

b)人的資本経営の成果を測る指標

 人事戦略が有効に機能し、人的資本への投資が企業価値の持続的な向上に繋がっていることを測る観点から「一人あたり創出価値(注)1」および「人的資本ROI(注)2」を指標として設定しています。

 

<一人あたり創出価値>

<人的資本ROI>

2024年度

2025年度

1.63倍

1.64倍

 

(注)1.一人あたり創出価値=修正純利益*1÷連結従業員数

2.人的資本ROI=(対象5社の事業別利益*1+対象5社の人件費*2)÷対象5社の人件費*2-1
対象は、東京海上日動火災保険株式会社、東京海上日動あんしん生命保険株式会社、Philadelphia Insurance Companies、Delphi Financial GroupおよびTokio Marine HCC。

3.国内2社(東京海上日動火災保険株式会社および東京海上日動あんしん生命保険株式会社)の事業別利益*1および従業員数をもとに算出(東京海上日動火災保険株式会社のみ為替の影響を控除)。

4.北米3社(Philadelphia Insurance Companies、Delphi Financial GroupおよびTokio Marine HCC)の一人あたり創出価値は、各社の事業別利益*1および従業員数をもとに算出。

5.過去推移を適切に表す観点から、本項における修正純利益*1、事業別利益*1および従業員数は、日本基準の数値を使用。

 

*1 利益はいずれもNormalizedベース(各年度の利益実績から自然災害関連保険金、コロナ関連の保険金等の一過性要素を補正した利益水準)を使用。

*2 人件費は、給与、賞与、厚生費の合計に法定税率を適用し、税後ベースに換算して算出。

 

 なお、本項の記載には将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。