2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    3,302名(単体)
  • 平均年齢
    39.4歳(単体)
  • 平均勤続年数
    2.0年(単体)
  • 平均年収
    4,838,140円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)提出会社の状況

 

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

3,302

(92)

39.4

2.0

4,838,140

 (注)1.従業員数は就業人員数であり、臨時雇用者数(パートタイマー及び嘱託契約の社員)については、年間の平均人員数(1日8時間換算)を( )外数で記載しております。

2.当期中において従業員数が867名増加しております。主な理由は、新規施設の開設に伴い期中採用が増加したことによるものです。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおり、年度内の中途入社者及び中途退職者を除いております。

4.当社は介護事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(2)労働組合の状況

 当社において、労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

(3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 

 

 

 

2025年3月31日現在

当事業年度

管理職に占める女性

労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の育児

休業取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

補足説明

全労働者

うち正規雇用

労働者

うちパート

タイマー・

有期労働者

28.9

74.6

89.1

92.0

86.7

(注)3

 (注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.労働者の男女の賃金差異については、等級別人員構成により差異が生じております。賃金の基準につきましては、性別に関係なく同一となっております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社は、『介護サービスに進化と変化を』のミッションを実現するにあたり、業界の先駆者としてケアサービスの拡充・開発を推進すること、長期的な展望をもとに事業拡大を図ることが前提になると考えております。また、その施策においては、世間のニーズに敏感に順応することが必須であり、社会問題やステークホルダーの価値観が変容し続ける現代に際して、持続的な成長過程においてサステナビリティの本質を切り離して考えることは不可能であると認識しております。介護サービスの未来を考えることは、全ての人類の未来を考えることだと、当社は考えております。当社に関わる顧客、取引先、従業員、株主はもちろん、人々が暮らす環境や社会について尊び、サステナビリティを重視した経営を実践してまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、当社が有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1)ガバナンス

 当社は、気候変動関連課題を含むサステナビリティ関連の取り組みを推進するための体制として、「サステナビリティ委員会規程」に基づき、サステナビリティ委員会を取締役会直属の組織として設置しています。サステナビリティ委員会は代表取締役を委員長とし、各部門の課長以上の者により委員を構成しております。

 サステナビリティ委員会は、原則として6か月に1回開催されており、気候変動関連課題を含むサステナビリティ方針および中期目標の策定をしています。また各部門における活動の進捗管理を行い、企業全体のサステナビリティに関わる取り組みの推進をしています。審議内容は代表取締役を通して直接取締役会に報告され、監督を受けており、経営戦略や事業計画の策定、年間予算の審議に反映することとしています。

 なお、当社のコーポレート・ガバナンス体制は、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。

 

※当社サステナビリティ推進体制

 

(2)戦略

 ①人的資本に関する戦略

 a.雇用の場の創出と働き手の待遇改善

当社は、PDハウスの全国展開により、開設地域に雇用の場を創出してまいります。同時に、働き手の待遇改善を積極的に行い、定着率向上に取り組んでおります。

継続している取り組みとして、定期的に従業員アンケートを実施して従業員の意見を収集し、労働環境・福利厚生制度への反映を行い、働きやすい職場環境づくりに活かしてきました。当該年度においては、2024年9月の報道以降、特別調査委員会による調査の実施を鑑みて同アンケートを見送りましたが、新年度の2025年4月に実施しております。

また、経営理念「自らが輝き、人を元気にする」を体現すべく、健康経営への取り組みを行い、2025年3月10日付で「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」の認定を受けております。お客様を元気にするには、まず何よりサンウェルズの仲間一人ひとりが健康で元気に働けること、すなわちウェルビーイングの向上が何よりも大切だと考えております。理念に共感する従業員が相互に信頼しあい、お客様に良質なサービスを提供していくことを目指しております。お客様の健康に関わる企業として絶えず進化していけるよう、従業員が自ら輝くための基礎となる健康増進施策や働く環境整備に継続的に取り組み、お客様をはじめとするステークホルダーの皆様の期待にお応えしてまいります。

 

 b.人材採用

優秀な人材の確保が当社の今後の事業拡大および成長において重要な課題であると認識しております。

2025年3月期は、1,354名の人員を確保することができました。主な取り組みとして、就職説明会開催回数の増加、従業員からの友人・知人紹介による「リファラル採用」の継続、YouTubeチャンネル内容の拡充を図りました。就職説明会参加人数、リファラル採用人数は前事業年度より増加しており、YouTubeチャンネル登録者も1年間で1.7倍に増加しました。また、新たにタレントプール採用の取り組みを始め、成果が出ております。今後の採用活動にもこれらの取り組みを継続しつつ、安定的な人材確保を進めてまいります。

 

 c.人材育成

当社が安定的かつ持続的な事業を運営していくためには、利用者が安心・安全に生活できるサービスを提供できる人材の育成が重要と考えます。

そのため人材育成については、役職別の研修プログラムを整備しております。特に新規役職者の養成に関しては、2024年より新たに業務指導やマネジメント研修などの内容補強を行い、開設数増加にも耐えうるリーダー育成を進めております。

また、専門性向上に対しては、順天堂大学、福岡大学とのオンラインセミナーを継続的に開催し、PDハウスで勤務するリハビリ職、看護職、介護職のパーキンソン病患者に対するケアスキル向上を図っているほか、パーキンソン病ケアの専門家育成のために社内資格「PDライセンス(1級~3級)」制度を導入し、PDハウスで勤務する全従業員(介護職・看護職・リハビリ職)が初級にあたる3級を取得必須とし、パーキンソン病ケアのスペシャリスト集団を目指す仕組みづくりを行っております。専門的なケアの均質化・高水準化に注力するとともに、知識・技術の向上が評価される体制づくりを行うことで、従業員が自ら学び成長する職場環境づくりに取り組んでおります。

 これらの取り組みの一方で、特別調査委員会の調査結果では、業務マニュアルの整備および管理の不備が指摘され、誠に遺憾ながら従業員教育の不徹底があったと言わざるを得ない状況が確認されました。本件を真摯に反省し、適正な業務マニュアルの制定、管理、運用の徹底のための再発防止策を策定し、改善への取り組みを開始いたしました。

また経営陣を含む従業員教育において、コンプライアンス・倫理研修を毎年実施することとし、コンプライアンス意識の醸成を行ってまいります。

人材育成は一夜にしてはならないことを理解し、引き続き、利用者様に良質な介護サービスを提供すべく、人材の育成に注力してまいります。

 

 ②環境に関する取組

  当社は、介護サービスを提供する事業者として、高齢者やその家族に対する安心と支援を提供し、社会全体の福祉向上に寄与しています。今後ますます進んでいく高齢化社会において、今後の事業の安定的な継続と企業価値の向上および持続可能なサービス提供の観点から、気候変動に関する対応を踏まえ、事業活動の幅を広げることが喫緊の経営課題であると認識しております。

  そこで気候変動が将来いかなる進行を遂げた場合においても事業継続が可能となるよう、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)のフレームワークに則り、気候変動に関するシナリオ分析を実施いたしました。異なる気温上昇幅(1.5℃、4℃)ごとの影響を想定し、2050年までの事業環境および当社の事業活動に及ぼすリスクと機会を精査いたしました。以下は、2024年度中に実施したシナリオ分析の条件設定とその結果、並びにシナリオ分析を通じて識別した気候変動に関するリスク機会の評価結果となります。

想定シナリオ

1.5℃シナリオ

4℃シナリオ

世界観

世界の平均気温上昇が産業革命前と比べて1.5℃までに抑えるシナリオ。脱炭素を目指した政策や規制が強化されるとともに、低炭素製品・サービスの需要が拡大する。

世界の平均気温が産業革命前と比べて最大4℃上昇するシナリオ。
世界的に気候変動対策が十分に進展せず、物理的な被害が顕著に拡大する。

参照シナリオ

IEA 『WEO2024』NZEシナリオ, APSシナリオ
IEA 『WEO2019』SDSシナリオ

IEA 『WEO2024』 STEPSシナリオ

IPCC 『第5次報告書』RCP2.6シナリオ

IPCC 『第5次報告書』RCP8.5シナリオ

 

  また、気候変動のリスクと機会について、サステナビリティ委員会にて事業活動への影響を検討し、以下のリスクと機会を特定しています。

分類項目

時間軸
(※1)

種別

事業への影響

重要度評価(※2)

移行

カーボンプライシングの導入

中期

リスク

・炭素税徴収や関連エネルギーのコストの増加
・食料品価格や原材料価格の炭素税額転嫁による調達コストの増加

エネルギーコストの変化

長期

リスク

・電力などの価格上昇による、運営コストの増加

政策・規制の高度化

中期~短期

リスク

・省エネ政策の進展に伴う新規施設建設・増改築時の省エネ性能基準の強化への対応費用の増加

廃棄物規制

中期~長期

リスク

・廃棄物処理費用の高騰による対応コストの増加

物理

自然災害の激甚化

短期~長期

リスク

・拠点の被災による売上高の減少
・拠点の被災による資産価値の低下

長期

機会

・災害レジリエンス性の高い福祉施設の需要増加

平均気温の上昇

長期

リスク

・熱中症予防のための空調利用にかかるエネルギーコストの増加

長期

リスク

・農産物の不作などによる、食品価格の高騰

長期

リスク

・ウイルスを媒介する虫の生息域拡大による感染症リスクの増加および予防・営業停止損失の発生

短期

リスク

・内装材や家財道具のカビ発生頻度の増加による清掃・改修対応コストの増加

※1:時間軸の定義

短期…直近会計期 / 中期…1年~5年後 / 長期…5年後以降

※2:重要度評価の基準

大…営業利益対比1%以上 / 中…営業利益対比1%未満 / 小…営業利益対比0.1%未満

 

  当社事業に重大な財務影響を及ぼす可能性のある気候変動関連リスクに関する、4℃シナリオ、1.5℃シナリオそれぞれの仮説に基づく考察結果は以下のとおりです。

a.4℃シナリオ

  気候変動課題の対応が従来通りであり、気温が4℃上昇してしまう将来世界を想定し、分析を行った結果、当社事業においては物理リスクの増加が特定されました。当社は、「PDハウス」をはじめとした住居型福祉施設を日本全国に展開しています。新規拠点の開設に際しては、ハザードマップを活用した水害リスク評価を全ての候補地で実施し、リスクの低い土地を選定の上で開設しております。しかしながら、気温が4℃上昇するシナリオにおいては、既存拠点においても洪水による資産被害リスクおよび営業停止損害リスクが顕在化し、その想定被害総額が当社の重大リスク閾値を超える可能性があると評価されました。また、異常気象の激甚化によるライフラインやサプライチェーンの寸断も想定され、営業の停止やそれに伴う売り上げの減少も見込まれます。

 

b.1.5℃シナリオ

  気温上昇を1.5℃に抑えるべく、気候変動関連の政策や規制などが高度化した将来世界においては、移行リスクの増加が特定されました。当社は、住居型福祉施設を運営し、利用者が常時居住可能な環境を提供しております。気温上昇に伴い、熱中症リスクの高まりが懸念される中、利用者の安全確保の観点から、空調設備の継続的な使用は不可欠であり、また、施設運営上、一定の電力消費は避けられません。そのため、将来的にカーボンプライシングの導入や再生可能エネルギーの普及による電力価格の上昇が進行した場合、当社の事業運営におけるコスト負担が増加する可能性があります。カーボンプライシングの導入によるコストは衛生用品や食料品など原材料価格への転嫁という形で、高騰分は直接操業コストの増加として影響が想定されます。

  また廃棄物規制の高度化による影響も想定されます。当社が展開する福祉事業はし尿を含んだ紙おむつの廃棄が避けられません。しかしながら使用済みオムツは焼却処分する際に大きな環境負荷がかかることが指摘されており、今後は廃棄量の削減を目的とした処理費用の高騰やリサイクルのための回収の対応コストなどが想定されます。

 

  以上のようなシナリオ分析結果を踏まえ、当社サービスの利用者の皆様が今後も安心してサービスをご利用いただける環境を確保するため、リスクの低減を図るべく各種対応を進めてまいります。

  なお、シナリオ分析で特定したリスクや機会に対応していくための現在の取り組み状況として、以下のような取り組みがあります。

気候変動対策取り組み状況
・拠点周辺におけるハザードマップを活用した水害リスク分析の継続的な実施
・飲食料品、衛生用品等の必要資材の備蓄拡充
・自家発電設備および予備電源の導入、整備
・自家発電設備の導入による電力供給の安定化
・省電力型空調機器の導入による消費電力の抑制
・新設拠点のLED照明化(既存拠点については既に導入済み)
・Scope 1・2(自社事業における温室効果ガス排出量)の算定およびモニタリングの実施

 

(3)リスク管理

 当社における気候変動関連のリスク管理は、サステナビリティ委員会が担当しています。シナリオ分析によってリスクを識別し、当社事業への影響が想定されうるものを特定し、その影響の重要度を評価します。重要度の評価にあたっては、特定したリスク・機会項目を「影響度(財務インパクトの規模)」および「発生可能性」の2軸でマッピングし、対応の優先順位を決定します。

 優先度の高い重要課題に対しては、サステナビリティ委員会における審議のもとで、具体的な対応策や戦略の検討を行うこととしています。このうち、自然災害リスクをはじめとした発生後の事業継続のための施策が必要な事項については、リスクマネジメント・コンプライアンス委員会に報告され、対応策の検討がなされます。

 検討した対応策は、関係する各部門に指示・実行され、その進捗状況についてはサステナビリティ委員会及びリスクマネジメント・コンプライアンス委員会がモニタリングを行い、必要に応じて改善策の検討や施策の見直しを行います。

 なお、一連のプロセスは監査等委員会による監査を義務付けており、各対応策の実効性、透明性を確保しております。

 

(4)指標及び目標

①人的資本に関する指標及び目標

a.働きやすい環境づくりの指標:離職率および有給休暇取得率

 

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

2026年3月期(目標)

離職率(%)(注)

10.0

15.4

11.3

12.0

13.6

17.3

年次有給休暇取得率(%)

61.1

63.3

61.2

64.4

66.0

60.0

(注)期中入社及び期中退職者は除く

 

b.サンウェルズ健康経営戦略マップ

 

c.健康経営における2026年3月期目標

 

②環境に対する指標及び目標

 当社はGHG排出量の削減が気候変動関連のリスクの低減につながるとの認識のもと、2022年3月期分より、GHGのScope1,2(自社事業によって発生する)排出量の算定と、使用電力量の開示を行っております。今後は2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、以下の目標を設定し、排出量の削減に向けた取り組みを実施します。

 

 気候変動対応目標

・2030年 GHG排出量の42%削減(2022年度比)

・2030年 電力の再生可能エネルギー化100%切り替え

 

 ※自社事業活動における温室効果ガス排出量及び電気使用量

 

 

 

※小数点第一位以下切上

管理指標

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

SCOPE1(t-CO2)

672

889

1,089

SCOPE2(t-CO2)

2,766

3,962

5,458

SCOPE1,2(t-CO2)

3,438

4,851

6,548

電気使用量(kWh)

6,297,347

8,749,139

12,416,003