事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
-
セグメント別売上構成
-
セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
-
セグメント別利益率
最新年度
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
教育人材支援事業 | 1,057 | 32.7 | 142 | 26.3 | 13.4 |
福祉人材支援事業 | 433 | 13.4 | 88 | 16.3 | 20.3 |
個別指導教室事業 | 1,232 | 38.2 | 261 | 48.3 | 21.2 |
家庭教師事業 | 506 | 15.7 | 50 | 9.2 | 9.8 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社では、「教育と福祉の社会課題を解決し、より良い未来を創造する」を企業ミッションとして、教育人材支援事業、福祉人材支援事業、個別指導教室事業及び家庭教師事業の4つの事業を営んでおります。それぞれの事業内容は以下のとおりです。なお、以下に示す事業区分は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
(1) 教育人材支援事業
教育人材支援事業は、塾講師、学校教員、ICT支援員、部活動指導員、日本語教師等の教育に関わる人材を集め、その人材を民間学習塾、学校法人及び地方自治体に対して紹介及び派遣、並びに業務受託を行うサービスを展開しております。教育を取り巻く環境、とりわけ学校法人を取り巻く環境においては、2020年以降、新学習指導要領の導入や外国語教育の充実など、多くの改革が行われております。新学習指導要領では、小学校における外国語教育の教科化やプログラミング教育の実施など、教員に求められるスキルが多様化しています。グローバル化・IT化している社会に対応していく必要があるため、子どもたちの新たな学びの構築が課題となっております。また、教員の長時間労働による過労死が起きていることや、精神疾患者が毎年約5,000人出ていることへの対応が急務であるため、教員の働き方改革も大きな社会課題となっております(文部科学省「教職員のメンタルヘルスの現状等」)。そのため、教職員定数の改善や専門スタッフ・外部人材の配置拡充、業務の適正化などの推進が行われております。さらに、コロナ禍を契機に教育現場のDXは進み、学校教育や社会全体が変化を求められております。
教育業界においては、教員の労働問題や教育の地域格差・経済格差、少子高齢化による人材不足など、様々な課題を抱えており、当社はそのような課題解決のための事業を展開しております。
① 塾講師
学習塾業界は慢性的な人材不足が続いており、当社では、学習塾に対して専任講師やアルバイト講師を紹介・派遣するサービスを展開しております。当社では、「教えるシゴト」等の自社媒体及び他社の有料媒体を通じて求職者を集め、求職者に対してコーディネーターがカウンセリングを行い、クライアントとのマッチングの最適化を図っております。専任のコーディネーターが求職者に対して希望や状況のヒアリングを行い、一人ひとりの細かなニーズを汲み取ります。また、クライアントの求人内容の詳細や個別事情を予め聴取することにより、直接応募の求職者と比べ、ニーズに合致した人材の採用を可能にしています。
② 学校教員
全国の私立の小学校、中学校、高等学校に対して、常勤・非常勤の教員を紹介・派遣するサービスを展開しております。かつて教員は人気職種でしたが、教職志望の学生の減少が続き、2023年度採用選考の公立小学校の採用倍率は全国平均で2.3倍と、過去最低となっております(文部科学省「令和5年度(令和4年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況のポイント」)。昨今のワークライフバランスを重視する社会や学校現場の厳しい労働環境が敬遠されたことが要因と考えられています。今後、35人学級が順次始まり、新たに5年間で約13,000人の教員が必要になると言われており、教員の採用倍率低下に伴う質の低下が懸念されます。当社では、教員の人材紹介サービスのニーズの高まりを受け、教員の転職をサポートするための求人サイトやLP(※)等のWEB媒体を運用しており、数多くの教員の登録者を有しております。創業以来、教育事業を行ってきた当社だからこそできる学校と教員をつなぐマッチングノウハウに強みがあります。
(※)LPとはランディングページの略であり、様々な切り口から求職者を集める数ページのミニサイトのことをいう。
③ ICT支援員
日本では授業でICTを活用する教員の割合が諸外国に比べ遅れており、文部科学省は教育現場のDX推進に強い意気込みを見せています。コロナ禍の影響により「GIGAスクール構想(注)」の実現年度を前倒しするなど、国主導で教育分野のDX推進は加速しており、そのための環境整備として、児童1人につき1台の情報端末を整備することと4校に1人のICT支援員の配置が目標とされていますが、現時点においてまだその目標は達成しておりません。当社では、長年教育に関わる人材サービスを行ってきたノウハウを生かし、ICT支援員の確保に迫られている自治体に向けた人材サービスを展開しております。これにより、学校授業の質の向上、学校・教員の負担軽減という教育現場の課題解決に貢献してまいります。ICT支援員の需要は当面続くと予想され、今後はサービスを全国の自治体に拡大してまいります。
(注) GIGAスクール構想とは、1人1台の端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、特別な支援を必要とする子どもを含め、多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる教育環境を実現すること。
④ 部活動の運営受託
学校現場において、部活動の負担が増えることで教員本来の業務である授業に集中できないといったことや、部活動の指導による教員の時間外労働の多さが社会課題となっており、文部科学省を中心に部活動の外部委託に向けた議論が活発に行われています。当社では、全国の学校に対して、部活動の運営を受託するサービスを展開しております。部活動の運営を外部に委託することで、教員の労働時間が軽減され、働き方改革の実現にもつながります。また、ハイレベルな競技実績や理論を有する外部コーチの指導により、生徒の満足度は向上します。部活動の運営受託を通じて、教員が授業に専念できる環境の整備、また、未来を担う子どもたちの更なる学力向上や、部活動を通じた豊かな思い出づくりに貢献してまいります。
⑤ 日本語教師
少子高齢化に伴う人材不足を背景に、日本企業では外国人材の採用ニーズは高まっており、外国人労働者数はここ数年間で急増しています。特に、インバウンド需要の増加に伴う観光業界やホテル業界、慢性的な人手不足に悩む介護業界や飲食業界、国内でのエンジニア確保が困難になってきたIT業界などで顕著となっております。これらの企業では、人材確保とともに採用した人材の定着が課題であり、人材が定着するための語学支援が必要となっております。当社では、外国人材を雇用する企業や外国人労働者とその家族の支援を行う自治体に対し、日本語教師の派遣、オンライン授業の配信、日本語教室の運営受託など様々な語学支援サービスを展開しております。コロナ禍においては、外国人材の受け入れを中断する企業が増加しましたが、現在では外国人労働者の入国数は回復しております。わが国は2030年に600万人を超える人手不足に陥ると予想されており、今後もこの構造が変化しない限りは外国人材の採用ニーズは拡大傾向が続くと考えております(パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2030」)。また、2019年には日本語教育の促進に関する法律も施行され、わが国における在留外国人への日本語教育の重要性は増しており、今後はさらにマーケットが拡大することが期待されます。
⑥ 学内塾の運営受託
当社では、私立中高一貫校、公立中学・高校に対して、学内塾の運営を受託するサービスを展開し、放課後や土日、または早朝に学校の教室において、多彩なカリキュラムでの課外授業をサポートしております。少子化に伴い私立学校の生徒獲得競争は激化しており、多くの学校は生き残りを賭けて特徴作りを急いでいます。当社は長年学習塾を運営してきたノウハウを生かし、生徒の学力や進学実績の向上に寄与する学内塾の構築を提案しております。また、生徒の学習支援を行うチューター(※)や、進路相談を担当するカウンセラーによるサポートも行っており、当社の学内塾を導入することで、学校教員の負担軽減にも寄与するものと考えております。
(※)チューターとは、塾内で学生への学習補助を行う講師のことをいう。
(2) 福祉人材支援事業
福祉人材支援事業は、保育士、栄養士、学童保育指導員、児童発達支援管理責任者等の福祉に関わる人材を集め、その人材を全国の保育所、幼稚園、学童保育施設、放課後等デイサービス等を運営する法人や自治体に対して、紹介及び派遣を行うサービスを展開しております。自社媒体を通じて登録のあった求職者に対して、詳細なカウンセリングを行い、クライアントの要望に応じたマッチングを図っております。自社内にWebマーケティングの専門部署を設置し、日々変化するクライアント及び求職者のニーズに機動的に対応しております。ニーズに応じて迅速に自社でサイト制作ができる機動力が強みです。福祉分野での人手不足を解消し、国民が安心安全に過ごすことができる社会を作るためのサービスの提供を継続しております。これにより、今後の日本の労働力不足の解消に寄与してまいります。
① 保育士・栄養士・管理栄養士
少子高齢化が進み、労働力人口の減少が見込まれる中、女性の就業率を高め労働力人口を増加させるために、保育園の設置が進められ、待機児童は減少しております。しかしながら、多くの保育園運営会社が、運営に必要な人員を確保することができないという問題は解決しておらず、保育士等の人材不足は未だ解消されておりません。当社では、その課題を解決するために、全国の保育園に対して保育士、栄養士、管理栄養士等の紹介・派遣を行うサービスを展開しております。クライアントの対応を行うリクルーティングアドバイザーと求職者のカウンセリングを行うキャリアアドバイザーの両面を同一のコーディネーターが担当し、クライアントと求職者のニーズを高い精度ですり合わせることにより、クライアント・求職者双方のニーズを汲み取った、きめ細やかなマッチングを実現できることに強みがあります。
② 学童保育スタッフ
子どもが小学校に上がると保育園時代に比べて、仕事と子育ての両立が困難になるという、いわゆる「小一の壁」問題があります。共働き世帯の増加に伴い、放課後児童クラブの利用申込み人数は年々増加しており、学童施設を利用することが出来なかった待機児童数も増加しております。当社ではこの社会課題を解決するため、地方自治体、社会福祉協議会、民間の学童運営企業等に対して、放課後児童支援員等の学童保育スタッフの紹介・派遣を行うサービスを展開しております。近年、学童施設の運営企業等からの人材紹介・派遣についての問い合わせが増加して、ニーズは高まっています。当社では、保育士だけでなく、教員免許所持者など教育関連人材の登録者も多数有していることから、競合他社と比較して、幅広い人材から各施設に適した各種資格保有者等の付加価値の高い人材を紹介・派遣できることに強みがあります。
③ 放課後等デイサービス
障がい児支援を目的とした放課後等デイサービスは2012年に児童福祉法に位置づけられた新たな支援であり、その提供が開始されてから間もないことから、様々な企業等が新たに運営に参画しています。当社では、そのような企業等に対して、児童発達支援管理責任者や児童支援員の紹介・派遣を行うサービスを展開しております。児童発達支援管理責任者は、施設の開設運営に必ず必要であるものの、専門性が高く一定の経験が必要なこともあり、募集が難しい職種となっています。当社では福祉業界、教育業界の両方に登録者を多数有していることから、競合他社と比較して、各種資格保有者等の付加価値の高い人材を紹介・派遣できることに強みがあります。
(3) 個別指導教室事業
個別指導教室事業は、「これからの社会で活躍する子どもたちのために」をモットーに一人一人に合わせた学習指導を行う学習塾「個別指導学院サクシード」と学習塾付き学童クラブ「ペンタスキッズ」を展開しております。当社では、人材サービス事業を行っているため、低い募集コストにより講師を確保できることに強みがあります。
① 「個別指導学院サクシード」の運営
「個別指導学院サクシード」は、神奈川県内を中心に全30校舎(本書提出日現在)の地域密着型個別指導教室を展開しており、小学校1年生から大学受験生までを対象として、学校の補習や受験対策、各種検定の対策など様々なニーズに対応した授業を提供しております。「すべての子どもたちに質の高い教育を」というポリシーのもと、価格を低く抑えるために、講師1人に生徒3人の授業スタイルを採用しています。これは、経済格差が教育格差になってはならないという起業当時の思いから、授業の質を落とさず生徒1人あたりの授業料の低価格を実現するためのシステムです。集団授業では手の届きにくい生徒一人ひとりの進路や学習状況に応じたカリキュラムで、それぞれの目的に合わせた授業を行っています。
当社では生徒と以下の3つを目標としています。
1.他のどんな塾よりも面倒見の良い塾であり続けます。
2.生徒全員がいつも笑顔で通える塾であり続けます。
3.生徒の成績を上げることに真剣な塾であり続けます。
当社は、勉強のやり方から丁寧に指導し、やればできるという自信を持たせ、やる気を起こさせ、それを伸ばすことで自主的に学習できる子どもたちを育てます。これを支えるためには優秀な講師が必要でありますが、当社では民間学習塾・私立学校法人・自治体へ講師の紹介・派遣事業等の人材サービスを行っているため、教育業界における幅広い人材の確保が可能となり、数多くの優秀な講師陣の囲い込みを実現しております。また、授業カリキュラムや講師の管理など、教室運営の全てを従業員に細かく研修することによりクオリティを均一化し、お客様に満足いただけるサービスを維持し、生徒数及び売上の増加を図ります。
② 「ペンタスキッズ」の運営
「ペンタスキッズ」は、学童の機能に学習塾と習い事をパッケージしたハイブリッド型の学童クラブです。子どもたちを預かるだけでなく、学習塾と習い事の機能をプラスし、放課後の時間を有効に使いたい保護者のニーズにこたえています。毎日の学習カリキュラムのほか、英会話、プログラミング、体操教室、思考・表現ワークショップが含まれています。これら全てをワンストップで、教育意識の高い保護者層に提供しております。他の学童クラブとの差別化としては、学習塾部門が母体となって運営しているため、経験豊富な講師陣と個別指導教室で確立した指導ノウハウを提供することが可能です。放課後の豊富な時間と多彩なカリキュラムを通じて、「学ぶって、楽しい!」を実感し、たくましく生きてゆくための力を養います。
(4) 家庭教師事業
当社では、「家庭教師のサクシード」を展開しており、対面式とオンラインの二通りの方式で家庭教師サービスを行っております。昨今、教育の地域間格差が社会課題として注目されています。この課題を解決すべく、オンライン家庭教師サービスの提供を進めております。従来の対面式家庭教師サービスにおいては、主要大学が置かれている首都圏・関西圏にサービスが限られており、地域によって紹介可能な教師が限られてしまうなど地域間での学習機会の格差が生じていました。オンライン家庭教師サービスは、全国の生徒に首都圏・関西圏の高学歴な家庭教師を紹介することが可能であるため、地域間での家庭教師の指導力格差の解消につながります。都市部においても、利便性の観点からオンライン家庭教師サービスを選択する顧客が増加しています。今後は全国規模での事業展開を進めてまいります。
[事業系統図]
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産合計は2,508,270千円となり、前事業年度末に比べ253,143千円増加いたしました。
これは主に現金及び預金が228,465千円、売掛金が18,256千円増加したこと等によるものであります。
固定資産合計は253,902千円となり、前事業年度末に比べ47,099千円増加いたしました。これは主に建物が36,479千円、敷金が5,672千円増加したこと等によるものであります。
この結果、資産合計は2,762,172千円となり、前事業年度末に比べ300,243千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債合計は503,877千円となり、前事業年度末に比べ63,260千円増加いたしました。
これは主に未払費用が19,141千円、預り金が16,259千円、契約負債が11,503千円、未払金が10,361千円増加したこと等によるものであります。
固定負債合計は50,959千円となり、前事業年度末に比べ7,657千円増加いたしました。これは資産除去債務が7,657千円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は554,836千円となり、前事業年度末に比べ70,917千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は2,207,336千円となり、前事業年度末に比べ229,325千円増加いたしました。
これは主に当期純利益の計上により利益剰余金が223,329千円増加したこと等によるものであります。
② 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウィルス感染症による制限が緩和され、経済活動の正常化が進んでおります。一方、不安定な国際情勢や為替変動、人件費や物流費の上昇や物価高など依然として先行きは不透明な状況です。
当社におきましては、教育・福祉業界を対象とした人材サービス及び学習塾・家庭教師などの教育サービスを事業領域としております。
教育業界におきましては、教育現場での教員の長時間労働の実態が浮き彫りになり、教員のなり手不足が深刻化しております。2024年度の教員採用試験における受験者数は約11万3千人、最終合格者は約3万9千人、全国平均の選考倍率が2.9倍となり教員人気の低下に歯止めが掛かっておりません。そのような状況を改善させるため、部活動の地域移行や外部人材の活用に注目が集まっております。また、ICT支援員におきましては、文部科学省が掲げる教育のICT化に向けた環境整備5か年計画で目標とする水準「4校1人配置」には届いておらず、新たにデジタル教育の拠点となる高校「DXハイスクール」の指定が始まるなど、デジタル人材のニーズは高まっております。
学習塾業界におきましては、少子化による市場の縮小が見込まれる中、大学入試改革等の教育制度改革が進んでおり、顧客のニーズは多様化し、より質の高い教育サービスを求める声が高まっております。そのようなニーズの変化に迅速に対応し、期待に応えるためにも、優秀な人材の確保が重要課題となっております。
福祉業界におきましては、子育て支援の充実に向けて、認定こども園増設の推進やこども誰でも通園制度の策定などが進む一方、保育士不足が深刻化しております。また保育施設が増加したことで待機児童数が減少した地域がある一方、小学校入学後に親の働き方を変えざるを得なくなるいわゆる「小1の壁」問題が深刻さを増しており、学童保育の需要が高まっております。子育て支援事業者の社会的役割は一段と重要性を増す中、保育士や学童支援員の確保が急務となっております。
以上のような外部環境のもと、当社は「教育と福祉の社会課題を解決し、よりよい未来を創造する」ことをミッションに掲げ、教育と福祉を事業領域としておりますが、どの分野も人手不足が高い水準で続いており、当社の成長を後押しする要因となっております。一方、個別指導教室や学童の出店に対する設備投資や人的投資、家庭教師のWEBページ改修、人材サービスの営業規模拡大に伴う広告費や人材募集費用の増加など、必要な投資を積極的に進めてまいりました。
この結果、当事業年度の売上高は3,227,997千円(前年同期比9.8%増)、営業利益は332,232千円(同13.2%減)、経常利益は332,679千円(同16.8%減)、当期純利益は223,329千円(同17.0%減)となりました。
なお、当社は、これまで事業基盤の整備を優先することが株主価値の最大化に資するとの考えから、その原資となる内部留保の充実を基本方針とし、配当を実施しておりませんでしたが、将来の事業展開に備えた内部留保を確保しつつ、株主の皆様へ安定的な配当の実施を通じた利益還元を行うことが可能と判断いたしました。来期以降の投資計画を勘案しても安定した配当を維持できる財務状況であると判断し、当期の期末配当については、1株当たり 14 円とすることといたしました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりとなります。
(教育人材支援事業)
ICT支援員派遣サービスにおいては、教育現場のDXという環境のもとで、自治体向けサービスの受注が増加しました。部活動の運営受託サービスについても新規顧客の開拓が進み受注が増加しました。また、インバウンド需要の回復や外国人労働者の増加に伴い、日本語教育サービスの問い合わせが回復しております。一方、今後成長が期待される分野に対する積極的な人的投資による人件費が増加しました。
その結果、売上高は1,057,003千円(同24.0%増)、セグメント利益は141,930千円(同18.0%増)となりました。
(福祉人材支援事業)
福祉人材サービスにおいては、人材派遣サービスの売上が順調に伸び、売上は増加いたしました。特に学童施設向け及び障がい児施設向けサービスの売上が前事業年度に比べ増加しました。一方、新規登録者獲得のための募集費が増加しました。
その結果、売上高は433,466千円(同9.6%増)、セグメント利益は87,873千円(同6.3%減)となりました。
(個別指導教室事業)
個別指導教室事業においては、2023年6月に「本厚木校」、7月に「淵野辺校」及び千葉県初出店となる「新松戸校」10月に「ペンタスkids中川校」を開校し、新規校舎の入塾者数が順調に増加いたしました。既存の校舎においても期首の在籍生徒数が前事業年度を上回ることにより授業の受講数が増加し、また初の試みである冬期合宿も寄与した結果売上が増加しました。一方、利益に関しては、コロナ禍を受け取りやめていた出店を2022年度より再開した結果、出店費用が増加し営業利益は減少しております。
その結果、売上高は1,231,957千円(同10.5%増)、セグメント利益は260,772千円(同1.9%減)となりました。
(家庭教師事業)
家庭教師事業においては、前事業年度よりオンライン市場の拡大を見込みプロモーションを展開し、人的投資を行いました。しかしながら増加する多様化したニーズの問い合わせに対応する体制が整っておらず、結果として期首の在籍生徒数が前事業年度を下回りました。期中にプロモーション費用を増加するとともに、自社WEBページのSEO対策を進め、増加する問い合わせに対応するための内部体制作りに注力してまいりました。
その結果、売上高は505,569千円(同12.3%減)、セグメント利益は49,653千円(同58.0%減)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、2,292,687千円と前年同期と比べ228,465千円(11.1%)の増加となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は271,133千円(前年同期比20.9%増)となりました。
これは主な増加の要因として、税引前当期純利益332,679千円、未払費用の増減額19,141千円、減価償却費15,667千円、契約負債の増減額11,503千円、主な減少の要因として、法人税等の支払額119,400千円、売上債権の増減額18,256千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は48,663千円(前年同期比693.5%増)となりました。
これは主な減少要因として、有形固定資産の取得による支出42,391千円、敷金及び保証金の差入による支出6,812千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は5,996千円(前年同期比199.8%増)となりました。
これは主な増加要因として、株式の発行による収入5,996千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の内部振替はありません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり、会計基準の範囲内で、一定の見積りが行われている部分があり、資産・負債、収益・費用の金額に反映されております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
(固定資産の減損)
当社は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおり、個別指導教室事業については教室を、教育人材支援事業や福祉人材支援事業については当該事業を、資産のグルーピングの最小単位としております。減損の兆候が把握された資産グループについては、割引前将来キャッシュ・フローの総額を見積り、減損損失の認識の要否を判定しております。資産グループの割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、将来キャッシュ・フローの現在価値を回収可能価額として、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。
当社は、教室及び各事業等の営業活動から生ずる損益が継続してマイナスとなった場合や、教室の移転及び閉鎖が決定された場合、生徒数や顧客数の大幅な減少等による経営環境の著しい悪化が生じた場合等の様々な状況を勘案し、減損の兆候を把握しております。
減損損失の認識及び測定に際して策定される将来キャッシュ・フローは将来の事業計画を基礎としております。当社は、将来の事業計画の策定にあたり、過年度の実績等の内部情報に加え、売上計画は各地域の人口動態等の外部情報、原価及び費用計画は人件費相場や賃料相場の動向を基に算定しております。
② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当事業年度の売上高は、3,227,997千円(前期比9.8%増)となりました。これは主に、新規顧客の獲得によるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は、2,649,926千円(前期比14.5%増)となりました。これは主に、売上高の増加に伴う講師給与等の人件費及び新規開校による地代家賃の増加等によるものであります。この結果、当事業年度の売上総利益は、578,071千円(前期比7.5%減)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、245,838千円(前期比1.6%増)となりました。これは主に、人件費の増加等によるものであります。この結果、当事業年度の営業利益は、332,232千円(前期比13.2%減)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
当事業年度の営業外収益は、446千円(前期比97.6%減)となりました。これは主に、受取損害賠償金の発生があったことによるものであります。また、当事業年度の営業外費用は発生しておりません(前事業年度は1,493千円)。この結果、当事業年度の経常利益は、332,679千円(前期比16.8%減)となりました。
(特別利益、特別損失及び当期純利益)
当事業年度の特別利益は発生しておりません(前事業年度は発生しておりません)。また、当事業年度の特別損失は発生しておりません(前事業年度は発生しておりません)。この結果、当事業年度の税引前当期純利益は、332,679千円(前期比16.8%減)となり、法人税等を109,350千円(前期比16.3%減)計上したことにより、当期純利益は、223,329千円(前期比17.0%減)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の運転資金需要のうち主なものは、従業員の給与手当の他、販売費及び一般管理費の営業費用であります。これらの資金につきましては、営業活動によって得られる資金及び自己資金でまかなうことを基本方針としております。
なお、キャッシュ・フローの詳細な状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
売上高及び売上高対前年増減率、並びに営業利益及び営業利益対前年増減率を重要指標としており、当事業年度の売上高は3,227,997千円となり、前事業年度比9.8%増となりました。これは顧客の増加によるものであります。
また、当事業年度の営業利益は332,232千円となり、前事業年度比13.2%減となりました。これは売上高の増加により売上総利益も増加したものの、それ以上に販売費及び一般管理費が増加したことによるものであります。
今後は効率的な企業経営の観点から、営業利益率についても目標を設定し、達成状況を判断する方針です。
⑤ 経営成績に重要な要因を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、今後の経営成績に影響を与える課題につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。