人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数80名(単体) 1,124名(連結)
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平均年齢38.8歳(単体)
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平均勤続年数5.0年(単体)
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平均年収5,736,000円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
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2025年8月31日現在 |
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セグメントの名称 |
従業員数(人) |
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ブランド品、骨董・美術品等リユース事業 |
1,124 |
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(153) |
(注)1.当社グループは「ブランド品、骨董・美術品等リユース事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
2.2025年8月31日時点で、当社グループから当社グループ外への出向者、また当社グループ外から当社グループへの出向者はおりません。
3.従業員数は就業員数であり、臨時雇用者数(契約社員、パート・アルバイト、派遣社員)は、( )内に年間平均雇用人員数を外数で記載しております。
(2)提出会社の状況
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2025年8月31日現在 |
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従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数 |
平均年間給与(千円) |
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80 |
38.8 |
5年 |
8ヶ月 |
5,736 |
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(18) |
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(注)1.当社は純粋持株会社であるため、セグメント別の記載はしておりません。
2.従業員数は就業員数であり、臨時雇用者数(契約社員、パート・アルバイト、派遣社員)は、( )内に年間平均雇用人員数を外数で記載しております。
3.2025年度新規学卒者の研修期間変更に伴い、子会社への出向時期が早まったことから、当社の従業員数が前期末比で39名減少しております。
4.平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与については、正社員を対象とした数値を示しております。
5.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(3)労働組合の状況
当社グループの労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円滑に推移しております。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
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当事業年度 |
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管理職に占める 女性労働者の割合(%) (注)1 |
男性労働者の 育児休業取得率(%) (注)2 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1 |
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全労働者 |
正規雇用労働者 |
パート・有期労働者 |
||
|
22.7 |
100.0 |
72.0 |
64.3 |
71.5 |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しております。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。
3.労働者の区分は以下のとおりであります。
正規雇用労働者 :当社から社外への出向者を含み、他社から当社への出向者を除く正社員
パート・有期労働者:契約社員、アルバイト雇用の有期契約従業員を含み、派遣社員等を除く
② 連結子会社
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当事業年度 |
|||||
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名称 |
管理職に占める 女性労働者の割合(%) (注)1 |
男性労働者の 育児休業取得率(%) (注)2 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1 |
||
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全労働者 |
正規雇用 労働者 |
パート・ 有期労働者 |
|||
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バリュエンスジャパン 株式会社 |
11.3 |
100.0 |
72.7 |
75.5 |
89.4 |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しております。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。
3.労働者の区分は以下のとおりであります。
正規雇用労働者 :当社から社外への出向者を含み、他社から当社への出向者を除く正社員
パート・有期労働者:契約社員、アルバイト雇用の有期契約従業員を含み、派遣社員等を除く
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.サステナビリティ全般
(1)ガバナンス
サステナビリティへの対応は当社グループの重要な経営課題の一つという認識のもと、関連する重要事項については取締役会で審議、決定しております。サステナビリティに精通した社外取締役を選任することで、取締役会はサステナビリティの監督に適切な知識・経験・能力を確保した構成になっております。
サステナビリティ全体の業務執行に係る実務については、取締役会の支援機関として設立されたESG推進委員会が担っております。ESG推進委員会は、サステナビリティに関するリスク・機会の抽出、マテリアリティ(重要課題)の特定、課題解決に向けた指標と目標の設定及び進捗管理を行っております。なお、サステナビリティに関する戦略の責任者の明確化及びサステナビリティ経営の更なる社内浸透を目的に、ESG推進委員会の下部組織として重点テーマ毎に分科会を設置し、ESG推進委員を各分科会の責任者として選任しております。
取締役会は、ESG推進委員会及びリスクマネジメント委員会で協議、決議された内容の報告を受け、当該報告内容を踏まえて、当社グループのサステナビリティ課題への対応方針及び実行計画等についての議論、審議を行うとともに、執行の監督を担っております。ESG推進担当取締役はESG推進委員会の委員長を務め、サステナビリティの取組に係る執行責任を負っております。また、代表取締役はリスクマネジメント委員会の委員長を務め、サステナビリティリスクを含むリスクマネジメントに係る執行の最終責任を負っております。
(推進体制)
(2)戦略
当社グループは、「Circular Design for the Earth and Us」というパーパスと「大切なことにフォーカスする人を増やす」というビジョンに基づき、事業成長と社会価値創出の実現を目指しております。2027年8月期を最終年度とする3か年の中期経営計画「To the Next Stage: For 2030 Revival Vision」では、当社グループの競争優位性と社会課題解決を両立させるため、4つの重点テーマを設定しております。これらのテーマには、事業活動を通じて戦略的に取り組む17のマテリアリティが体系的に反映されております。これらのマテリアリティを経営戦略と統合し、実効性ある取組を推進することで、誰もが大切なことにフォーカスし、自分らしく生きることのできる、持続可能な社会の実現を目指してまいります。
(マテリアリティ・マトリックス)
(重点テーマと目指す姿)
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重点テーマ |
目指す姿 |
マテリアリティ |
管掌役 |
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人生の 広がる |
人々が「大切なことにフォーカスして生きて いける」未来をつくるためには、一人ひとりが 自分にとっての豊かな生き方について追求する 必要があります。 バリュエンスは、お客様の人生で起こる さまざまな選択や場面に寄り添い、豊かさを 育み、人生における選択肢が広がる商品・ サービスを提供することを目指します。 |
① 持続可能な消費の促進 ② 人生の選択肢が広がる 商品とサービスの提供 ⑤ 顧客のファン化と 長期的な顧客関係 |
当社 取締役 兼 バリュエンス ジャパン株式会社 取締役 兼 執行役員 (営業本部管掌) |
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モノと 循環する グローバル経済圏 |
世界中の人々が「大切なことにフォーカス」 できるようになる結果、人と地球がともに 豊かになりつづけ、世界の幸せにつながると 考えています。 バリュエンスは、全ての人が安心して利用 できるマーケットプレイスのもと、 コミュニティとの共存共栄を通じて、 実物資産の循環と心の豊かさが波及する グローバル経済圏を構築し、拡大させることを目指します。 |
③ 革新的・創造的な マーケットのデザイン ⑦ データプライバシーと サイバーセキュリティ ⑩ コミュニティとの 共存共栄 ⑬ 責任あるマーケティングと消費者意識 |
バリュエンス ジャパン株式会社 執行役員 (販売本部管掌) |
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Value Designの 源泉となる 文化と |
従業員一人ひとりが、夢やキャリアを追求し、可能性を広げていくアクションを模索 しつづけることが、バリュエンスに関わる 全ての人が大切なことにフォーカスするためのValue Designの起点となります。 バリュエンスは、従業員一人ひとりが 心身ともに健康で、個性や才能を発揮できる ような応援やサポートと、全員が居場所を 感じられる文化の醸成を目指します。 |
⑧ 労働安全衛生と従業員のウェルビーイング ⑨ 人材獲得・定着・ 人材開発 ⑭ DEIB |
当社 執行役員 兼 コーポレート ストラテジー本部長 (人事部管掌) |
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地球・ とって 誠実な |
私たちが中長期にわたり循環をデザインする ためには、豊かな地球環境や社会のもと、 強靭なガバナンス体制を構築し持続的に 企業を成長させることが必要不可欠です。 バリュエンスは、地球環境、社会を含む ステークホルダーと誠実に向き合いながら、 倫理的かつ公正な判断のもとで事業を運営することを目指します。 |
④ ガバナンス・ コンプライアンス・ ビジネス倫理 ⑥ 人権尊重 ⑪ 気候変動対策 ⑫ ステークホルダー・ エンゲージメント ⑮ 廃棄物管理 ⑯ 水資源管理 ⑰ 生物多様性 |
当社 執行役員 兼 コーポレート ストラテジー本部長 (法務部管掌)
バリュエンス ジャパン株式会社 執行役員 (SCM本部管掌) |
(3)リスク管理
当社グループは、ESG推進委員会において、サステナビリティに係るリスク・機会について主要事業を中心に対象活動を選定し、より詳細に検討を行うことにより、サステナビリティに係るリスク・機会の識別及び評価を行っております。ESG推進委員会において議論・検討された内容は取締役会で報告され、特に重要とされたリスク・機会は当社グループの戦略に反映し、ESG推進委員会が中心となって管理を行っております。
また、サステナビリティに係るリスクの分析結果や取組の状況についてはグループ全体のリスク管理を行うリスクマネジメント委員会に共有され、同委員会によりサステナビリティに係るリスク管理状況がモニタリングされております。また、ESG推進委員会及びリスクマネジメント委員会が連携し、サステナビリティに係るリスクの管理を行っております。その他リスク管理の詳細は「3 事業等のリスク」をご参照ください。
(4)指標及び目標
持続可能な社会への貢献と当社グループの持続的な成長を目指し、4つの重点テーマについて指標及び目標を以下のとおり設定しております。設定された指標と目標に基づいて各分科会が活動計画を策定し、サステナビリティへの取組を実行・推進しております。
その他の指標及び目標と進捗状況につきましては、当社コーポレートサイト Sustainabilityページ 指標と目標と進捗状況(https://www.valuence.inc/sustainability/#indicators)において開示しております。
(重点テーマ① 人生の選択肢が広がる価値提供)
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マテリアリティ |
指標 |
2025年8月期実績 |
2027年8月期目標 |
2030年8月期目標 |
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① 持続可能な消費の促進 ② 人生の選択肢が広がる商品と サービスの提供 ⑤ 顧客のファン化と長期的な 顧客関係 |
なんぼや以外(海外含む)の仕入高比率 |
18.4% |
25%以上 |
↗ |
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買取顧客リピーター比率 (注)1 |
49.3% |
50%以上 |
↗ |
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リペアサービス提供件数 |
約4.5万件 |
5万件以上 |
↗ |
「人生の選択肢が広がる価値提供」は、当社グループが提供する商品・サービスによる顧客価値創出の中核となる重点テーマであります。本テーマの指標は収益性向上のための重要な指標であり、なんぼや以外(海外含む)からの仕入高比率、買取顧客リピーター比率、リペアサービス提供件数のいずれも好調に推移しております。また、リユース事業に加えて、商品寿命を延ばすリペアサービスの拡充やスポーツ・エンターテインメント業界の廃材を活用したアップサイクル事業を推進しております。特にアップサイクル事業は2025年度の環境省の「デコ活(注)2」推進事業に採択され、消費者の環境意識を高める事業として注目されております。
これらの取組を通じて、お客様の持続可能な選択を支援し、循環型社会の実現に貢献してまいります。
(注)1.2回目以降買取成立顧客ユニークユーザー数÷買取成立顧客ユニークユーザー数
2.環境省が推進する「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」の愛称。脱炭素型ライフスタイルの将来像を示すとともに、国・自治体・企業・団体等が連携し、国民の新しい暮らしへの移行を後押しする取組。
(重点テーマ② モノと思いが循環するグローバル経済圏)
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マテリアリティ |
指標 |
2025年8月期 実績 |
2027年8月期 目標 |
2030年8月期 目標 |
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③ 革新的・創造的な マーケットのデザイン ⑦ データプライバシーと サイバーセキュリティ ⑩ コミュニティとの共存共栄 ⑬ 責任あるマーケティングと 消費者意識 |
オークション委託比率 |
38.3% |
40%以上 |
↗ |
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小売売上高比率 |
20.6% |
25%以上 |
↗ |
|
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海外仕入高成長率 |
- |
CAGR25%以上 |
↗ |
「モノと思いが循環するグローバル経済圏」の構築には、新たな機会を創出するマーケットの創造が不可欠であり、本テーマの指標は当社の収益基盤拡大のための重要な指標であります。自社オークションにおけるSaaS型機能の貢献やECプラットフォームの機能強化により、オークション委託比率及び小売売上高比率はいずれも好調に推移しております。また、リユース業界の信頼性向上を目的として2025年4月に責任あるマーケティング方針を新たに策定し、透明で誠実な情報発信を徹底しております。スポーツ等をはじめとしたチーム・団体やアスリート・アーティスト等の希少価値の高いモノやコトが循環するプラットフォーム「HATTRICK」では、106件のチャリティ企画を実施し、ファンや受益者との新しいつながりを創出いたしました。
これらの取組を通じて、実物資産の循環と心の豊かさが波及するグローバル経済圏の実現を推進しております。
(重点テーマ③ Value Designの源泉となる文化と人材力)
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マテリアリティ |
指標 |
2025年8月期 実績 |
2027年8月期 目標 |
2030年8月期 目標 |
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⑧ 労働安全衛生と従業員の ウェルビーイング ⑨ 人材獲得・定着・人材開発 ⑭ DEIB |
従業員エンゲージメント スコア(注)1 |
3.7 |
4.0 |
4.2 |
|
女性取締役比率 |
18.2% |
- |
30% |
|
|
女性管理職比率(注)2、3 |
14.6% |
25% |
30% |
|
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男性育休取得率 |
100% |
80% |
100% |
|
|
男女間賃金格差(注)2、4 |
72.8% |
80% |
85% |
従業員一人ひとりが夢やキャリアを追求し、個性や才能を最大限発揮することは、当社グループの競争優位性の源泉であります。当社グループは、従業員が心身ともに健康で、全員が居場所を感じられる組織文化の醸成を通じて、人材力を競争力に転換する取組を推進しております。詳細については「3.人的資本」をご参照ください。
(注)1.外部エンゲージメントサーベイ「会社満足度」「仕事満足度」「上司満足度」「職場満足度」における各スコア平均値(1~5段階評価)を算出しております。
2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき、提出会社及びバリュエンスジャパン株式会社に在籍する正社員(出向社員を含む)、契約社員、パート、アルバイトを対象に算出しております。
3.2025年8月期より、管理職のうち、課長相当職から課長代理を除外し集計しております。
4.2025年8月期より、算定対象を月間賃金支給人数から月末在籍人数に変更し集計しております。
(重点テーマ④ 地球・社会にとって誠実な事業運営)
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マテリアリティ |
指標 |
2025年8月期 実績 |
2027年8月期 目標 |
2030年8月期 目標 |
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④ ガバナンス・コンプライアンス ・ビジネス倫理 ⑥ 人権尊重 ⑪ 気候変動対策 ⑫ ステークホルダー・ エンゲージメント ⑮ 廃棄物管理 ⑯ 水資源管理 ⑰ 生物多様性 |
コーポレートガバナンス・ コード ※プライム基準 |
- |
- |
全項目 コンプライ |
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再生可能エネルギー |
2026年1月 |
50% |
100% |
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GHG排出量削減率 ※2023年8月期実績比 |
2026年1月 |
50% |
90% |
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GHG排出量 |
2026年1月 |
- |
カーボン ニュートラル (注) |
当社グループの持続的成長には、豊かな地球環境・社会のもとで強靭なガバナンス体制を構築することが不可欠であります。「バリュエンスグループ行動規範」の徹底を図るため、グループ全社員を対象とした研修を実施いたしました。また、取締役会の監督機能を強化するとともに、内部通報制度に加え外部通報制度を整備するなど、透明性と説明責任を重視した健全なガバナンスの維持に努めております。
当連結会計年度においては、主要ステークホルダーの特定と対話方法を整理し、透明性あるエンゲージメント体制を強化いたしました。生物多様性については、買取事業における電子署名サービスによるペーパーレス化推進やFSC認証紙の使用などを実施しております。今後はバリューチェーン全体での自然資本リスク評価と情報開示を進めてまいります。気候変動対策に関する詳細については、「2.気候変動」をご参照ください。
(注)削減努力を進めた上で残存する排出量については、SBT(Science Based Targets)に準拠した方法でオフセットを行う前提としております。
2.気候変動
(1)ガバナンス
気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ全般のガバナンスに含んでおります。詳細は「1.サステナビリティ全般(1)ガバナンス」をご参照ください。
(2)戦略
(短期・中期・長期のリスク・機会)
気候変動関連のリスク・機会は、長期にわたり当社グループへ影響を及ぼす可能性があるため、マイルストーンを設定し検討することが必要であると認識しております。そこで、検討期間を「短期」「中期」「長期」の3期に分類し、気候関連のリスク・機会を検討いたしました。それぞれの期間の定義は次のように定めております。
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|
期間 |
定義 |
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短期 |
2027年8月期まで |
中期経営計画の目標年度までの期間 |
|
中期 |
2030年8月期まで |
SBTにおける短期目標年度及び 当社グループ環境長期目標年度までの期間 |
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長期 |
2050年8月期まで |
SBTネットゼロ目標年度までの期間 |
(リスク・機会が事業・戦略・財務計画に及ぼす影響の判断プロセス)
気候変動が当社グループに与えるリスク・機会及びそのインパクト、戦略のレジリエンスの把握、更なる施策の必要性の検討を目的に、主要事業である「ブランド品、骨董・美術品における買取・販売事業」を対象にシナリオ分析を実施いたしました。シナリオ分析の検討に際しては、以下、1.5℃及び4℃シナリオの2つのシナリオを設定いたしました。
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設定シナリオ |
1.5℃シナリオ |
4℃シナリオ |
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社会像と事業環境への影響 |
世界全体で2050年度までのネットゼロを 実現するため、大胆な政策や技術革新が 進められる世界。脱炭素社会への移行に伴う社会変化といった主に移行面でのリスク及び機会が顕在化しやすい。 |
気候変動対策が不十分で現在の排出ペースが継続し、化石燃料依存の経済発展が続く 世界。国際協力や政策対応が限定的で、 極端な気象現象や災害が多発し、主に物理面でのリスクが顕在化しやすい。 |
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参照 |
「Net-Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)」(IEA) |
「Representative Concentration Pathways(RCP8.5)」(IPCC) |
(シナリオ分析の結果と戦略のレジリエンス)
当社グループは、カーボンニュートラル実現に向け戦略のレジリエンスを継続的に強化していく必要があると認識しております。そのためには、リスクを適切に移転・回避・軽減するとともに、機会に対しては積極的に対応することが重要との考えのもと、具体的な対応を検討いたしました。特に重要とされた項目については当社グループの戦略に反映し、管理しております。
当社が特定した主なリスク・機会とそれらについての対応は以下の表のとおりであります。
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区分 |
主なリスク・機会 |
発現 |
影響度 |
主な対応 |
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移行 リスク |
政策/ 法規制 |
電力・エネルギーコストの増加 炭素税や排出権取引の導入に伴う電力料金の上昇により、店舗や 物流拠点における運営コスト (電力・空調)増加 |
短期 |
中 |
・店舗・物流拠点での省エネ施策 (LED照明、空調効率化等) ・再生可能エネルギー導入、 非化石証書・グリーン電力の活用 ・入居商業施設や物流施設の所有者、 管理者に対する、環境配慮型設備への切替の提案 |
|
物流・輸送コスト増加 炭素税導入に伴う燃料課税等に より燃料費が上昇し、買取商品の移動や販売に伴う国内及び海外の物流・輸送コストの増加 |
・国内物流効率化(拠点間輸送最適化、積載率向上、配送ルート見直し) ・低環境負荷輸送手段への移行 (海運利用、SAF等) ・梱包材の軽量化 |
||||
|
市場 |
原材料コスト上昇 電力価格・燃料価格の上昇による物流・運営コスト増加 |
短期 |
中 |
・物流効率化 ・低炭素輸送手段への移行 ・省エネ設備の導入 |
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評判 |
気候変動対応遅れによる評価の低下 リユース事業において、気候変動関連の対応が不十分と認識された場合、投資家・金融機関からの 融資条件悪化による資金調達 コストの増加、環境意識の高い 消費者離れやパートナー企業との提携機会損失による売上高減少 |
短期~ |
大 |
・気候変動対応方針の明確化と 情報開示の強化 ・リユース事業における環境貢献の 定量化(Resale Impact) ・消費者向けコミュニケーションの強化 |
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物理 リスク |
急性 |
自然災害による店舗・物流拠点の 停止・損害 台風の大型化や豪雨増加により、店舗や物流拠点が浸水・損壊することで、休業・営業停止に伴う 売上機会損失、設備の修繕費や 在庫損失が発生 |
短期~ |
中 |
・BCP対応継続 ・防災設備強化 ・保険付保、災害対応訓練実施 |
|
慢性 |
気象の極端化による来店客数減少 猛暑や豪雨などの極端気象、 又は感染症流行により外出が 控えられ、店頭買取の減少及び 小売店舗売上高の減少 |
中期~ |
中 |
・店頭買取以外の新規仕入モデル構築(他業種協業等) ・EC販売強化 (ECプラットフォームの機能充実等) |
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機会 |
資源効率 |
省エネ化・物流効率化による 資源効率化 資源効率化による運営コストの 削減 |
短期~ |
中 |
・店舗・物流拠点への省エネ設備導入 ・梱包材の削減やリユース梱包材の導入 ・拠点間輸送の最適化、積載率改善、 モーダルシフトなどによる物流効率化 ・社有車をHV/EV等の次世代自動車へ 移行 |
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製品と サービス |
環境配慮意識の高まりによる 競争力強化 消費者の環境配慮意識の高まりに伴う循環型消費拡大により、 新規顧客開拓、循環型サービス 創出、市場シェア拡大 |
短期~ |
大 |
・仕入競争優位性の強化 ・リペア事業の拡大 ・アップサイクル事業の開始 |
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市場 |
環境配慮意識の高まりによる 循環型消費市場の拡大 環境負荷が低いリユース サービス、リペア事業のニーズの増加 |
短期~ |
大 |
・循環型消費市場を踏まえたビジネスと販売機会の拡大施策 |
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以上のシナリオ分析の結果、当社グループにおいては、気候変動対応が不十分と判断された時の投資家・金融機関からの評価低下による資金調達コストの増加、環境意識の高い消費者離れやパートナー企業との提携機会損失による売上高減少が、重要な移行リスクとして改めて認識されました。また、物理リスクにおいては、自然災害による店舗や物流拠点への影響が大きなリスクとして認識されました。
一方で、消費者の環境配慮意識の高まりに伴うサーキュラーエコノミーの普及により、当社グループの主要事業であるリユース市場の拡大という機会も再認識されました。このため、認識されたリスクに対応することが事業機会の追求や企業価値向上にも繋がるとの考えのもと、カーボンニュートラルの達成に向け取組を積極的に進めております。
特に、影響度の高いリスクへの対応は喫緊の課題でもあり、各種施策の検討・実施を推進しております。具体的には、各種イニシアチブへの参加・賛同や、気候変動対応に関する開示の拡充、災害に備えた体制強化等を進めてまいります。GHG排出量の削減については、スコープ1、スコープ2の削減はもとより、スコープ3においても排出量の多いカテゴリから優先的に対応を検討し、カーボンニュートラルを目指してまいります。
(3)リスク管理
気候変動に関するリスク管理は、サステナビリティ全般のリスク管理に含んでおります。詳細は「1.サステナビリティ全般(3)リスク管理」をご参照ください。
(4)指標及び目標
当社グループは、気候変動への対応を経営上の重要課題と位置づけております。2030年8月期までにスコープ1,2,3におけるカーボンニュートラルを達成することを目標に掲げ、科学的根拠に基づいた削減目標であるSBT認定について、2026年8月期中の取得を目指しております。設定した指標及び目標と進捗状況については、以下のとおりであります。
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指標 |
2024年8月期 実績 |
2025年8月期 実績 |
2027年8月期 目標 |
2030年8月期 目標 |
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GHG排出量削減率 (スコープ1,2) (基準年:2023年8月期) |
5.0%増 |
2026年1月 |
50% |
90% |
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GHG排出量(スコープ1,2,3) |
83,945t-CO₂e |
- |
カーボン |
|
|
再生可能エネルギー電力比率 |
0% |
50% |
100% |
(注)削減努力を進めた上で残存する排出量については、SBTに準拠した方法でオフセットを行う前提としております。
前連結会計年度のスコープ1、スコープ2排出量は2023年8月期実績対比5.0%増となりました。主な要因は、国内外における新規店舗オープン等による事業拡大に加え、当社グループが入居する施設への再生可能エネルギー導入の働きかけや導入準備段階にとどまったことによるものであります。一方、当連結会計年度においては一部店舗において再生可能エネルギーの導入を実施したことから、スコープ1、スコープ2の削減効果が見込まれております。算定結果については2026年1月に開示予定です。なお、現在のGHG排出量実績については第三者検証を実施しておりませんが、今後はデータの信頼性向上のため導入を検討してまいります。
今後は、GHG排出量の削減に向けた具体的な施策を検討・実行するとともに、情報開示の拡充にも取り組み、ステークホルダーに対する透明性の高い報告に努めてまいります。
GHG排出量実績は、当社コーポレートサイト Sustainabilityページ ESGデータ(https://www.valuence.inc/sustainability/data/)で開示しております。
3.人的資本
(1)戦略
当社グループは、パーパスの実現に向けて、人材の専門性の強化及び組織としての多様性の確保に取り組み、人材の価値を最大限に引き出すことが必要不可欠であると認識しております。全ての従業員が最も生産的かつ満足度の高い状態で働くことができる状態を目指し、以下のとおり人的資本戦略に関する方針を定めております。
(人材マネジメント方針)
事業成長、人材確保、配置、処遇、育成、組織文化の6つの観点で人材マネジメント方針を設定し、当社グループの企業文化に合う人材を厳選して採用した上で、公平な評価・処遇を通じて、従業員のモチベーションと成長を支援し、心理的安全性の高い組織文化を構築しております。
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観点 |
人材マネジメント方針 |
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事業成長 |
中長期的な企業価値向上の観点から物事を鳥瞰し、必要な人事施策を導入いたします。 |
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人材確保 |
国籍・性別・年齢などを問わず当社グループの企業文化に合う人材を厳選して採用し、 人材の確保・定着を目指してまいります。 |
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配置 |
全ての従業員が自らの意思で好きなこと・得意なことに挑戦できる環境を提供いたします。 |
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処遇 |
企業価値向上に資する貢献・成果に対して公平性のある評価・処遇をいたします。 |
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育成 |
多様な個の可能性を最大限に引き出し、個人の成長ひいては企業の成長につながる機会を 積極的に提供いたします。 |
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組織文化 |
思いやりを基にした人間関係と心理的安全性を確保し、従業員全員が自分らしく生き生きと 働ける環境を提供いたします。 |
(人材育成方針)
当社グループは、全ての従業員が好きなこと・得意なことを仕事にし、組織や自身の成長に向けて切磋琢磨する組織を目指し、OJT・職場外研修・自己啓発の観点から人材育成・支援を行ってまいります。
(社内環境整備方針)
当社グループは、パーパス実現に向けて、全ての従業員が最も生産的かつ満足度の高い状態で働くことができる労働環境を目指しております。従業員一人ひとりが働きやすさ・働きがいを持って働ける職場環境づくりを通じて組織・個人それぞれの成長を加速させてまいります。
(ダイバーシティポリシー)
当社グループは、全ての従業員が自分らしく仕事に取り組めるよう、人種、宗教、年齢、性別、国籍、障がい、性的指向、性自認等、あらゆる差別を禁止し人権を尊重いたします。職場において従業員があらゆるハラスメントを受けることなく、更なる多様性を受け入れるしなやかな組織に向けた啓蒙活動を継続してまいります。
(健康宣言)
当社グループは、「大切なことにフォーカスして生きる人を増やす」というミッションを掲げ、従業員一人ひとりが能力を最大限発揮することが企業価値向上に繋がるという考えのもと、当社グループに関わるあらゆる人々が健康かつ安全・安心に働くことができる世の中を目指してまいります。
(健康経営推進方針)
当社グループは、「大切なことにフォーカスして生きる人を増やす」というミッションの実現に向け、社員一人ひとりが自分らしく輝き、能力を最大限に発揮するための基盤が「健康」であると捉えております。そのため健康経営は、社員の幸福と成長を支えると同時に、社会に新しい価値を生み出す原動力であり、企業価値向上に直結する重要な取組であると認識しております。
当社グループは以下の方針のもと、健康経営を推進してまいります。
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観点 |
方針 |
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心身の健康の保障 |
全ての社員が安心して働けるよう、予防と早期対応を重視し、安全で健やかな労働環境を整えます。 |
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自分らしさの尊重 |
多様なライフスタイルや価値観を尊重し、社員が自らの「大切なこと」にフォーカス できる柔軟な働き方をサポートいたします。 |
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挑戦と成長の支援 |
健康を自己実現と挑戦のエネルギー源と位置づけ、一人ひとりが学び・進化し続けられる文化を醸成いたします。 |
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社会的価値の創造 |
健康経営を通じて、社員・家族・地域社会にポジティブな影響を広げ、持続可能で豊かな社会の実現に貢献いたします。 |
これらの方針に基づき、事業成長と人材成長が循環を描き、持続的な成長を実現できる組織・人事戦略を立案し、企業価値向上を目指す施策を展開しております。なお、2025年9月に当社コーポレートサイトにて、当方針に基づく取組内容をまとめた人的資本レポート(https://www.valuence.inc/wp-content/uploads/2025/09/Human-Capital-Report-2025.pdf)を開示しております。
(2)指標及び目標
人的資本戦略に関連する指標及び目標については以下のとおりであります。
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指標 |
2025年8月期 実績 |
2027年8月期 目標 |
2030年8月期 目標 |
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従業員エンゲージメントスコア(注)1 |
3.7 |
4.0 |
4.2 |
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女性取締役比率 |
18.2% |
- |
30% |
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女性管理職比率(注)2、3 |
14.6% |
25% |
30% |
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男性育休取得率 |
100% |
80% |
100% |
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男女間賃金格差(注)2、4 |
72.8% |
80% |
85% |
(注)1.外部エンゲージメントサーベイ「会社満足度」「仕事満足度」「上司満足度」「職場満足度」における各スコア平均値(1~5段階評価)を算出しております。
2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき、提出会社及びバリュエンスジャパン株式会社に在籍する正社員(出向社員を含む)、契約社員、パート、アルバイトを対象に算出しております。
3.2025年8月期より、管理職のうち、課長相当職から課長代理を除外し集計しております。
4.2025年8月期より、算定対象を月間賃金支給人数から月末在籍人数に変更し集計しております。