リスク
3【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)公的規制強化のリスクについて
当社グループは、物流事業を中心とする3PL(企業物流の包括的受託)企業として、物流事業に関する各種事業法の規制を受けています。そのような中、当社は、法令遵守の徹底を図るため、代表取締役社長を委員長とするコンプライアンス委員会を設置し、事業活動の適法性の確保に努めておりますが、環境対策及び安全対策の規制強化などを遵守するために一層の費用負担を求められるリスクや、法令等違反した場合に事業の停止、許認可の取消等を受けるリスクがあります。したがって、これらの事象は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
セグメント区分 |
許認可 事業 |
法律 |
監督官庁 |
許認可等 の内容 |
有効期限 |
取消事由 |
物流サービス事業 |
倉庫業 |
倉庫業法 |
国土交通省 |
登録 |
- |
同法第21条 |
第一種貨物 利用運送事業 |
貨物利用運送事業法 |
国土交通省 |
登録 |
- |
同法第16条 |
|
その他の事業 |
指定障害児 通所支援事業 |
児童福祉法 |
厚生労働省 |
指定 |
6年 |
同法第21条の5の24第1項又は第33条の18第6項 |
指定障害福祉サービス事業者 |
障害者総合支援法 |
厚生労働省 |
指定 |
6年 |
第36条の第3項又は第2条の第6項 |
(2)設備投資・投資成果・減損等のリスクについて
当社グループは顧客の物流業務を受託する際、物流センターや設備機器、情報システム等に対して先行的に設備投資を行う場合があります(新規顧客のセンター開設時など初期投資が必要となります)。投資にあたっては事業収支計画を策定し慎重に判断しておりますが、経済状況の悪化等により顧客の業績不振や支払停止が生じると、投下資金の回収が困難となり将来の成長や収益性が低下する可能性があります。また、継続的な設備投資やソフトウェア開発を行っておりますが、計画通りに実施しても期待した投資効果を得られない場合や、事業環境の変化により保有資産に減損損失が発生する場合があります。さらに、資本市場から調達した資金についても、状況の変化により当初予定とは異なる用途に充当する可能性があり、想定通りの成果を得られないリスクがあります。これらの場合、当社グループの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。特に物流施設やITシステムへの投資額は多額であり、その減損が発生した場合には当社グループの財務指標に及ぼす影響も大きくなる可能性があります。
(3)コスト上昇リスクについて
当社グループは、物流業務において輸配送サービスを外部の専門業者に委託しておりますが、原油価格や為替レートの変動により燃料費が高騰した場合や、車両・ドライバー不足、関連法令の改正等により庸車費用が上昇した場合は、輸配送コストが上昇する可能性があります。輸配送コストの上昇分は、お客様にご理解いただき、値上げ対応させていただく方針であり、また輸配送サービスの委託先については、佐川急便株式会社及びヤマト運輸株式会社の占める割合が相対的に大きいため、他の輸配送サービス業者との関係構築等に努めております。加えて、物流センター運営等にかかわる水道光熱費等の経費のほか、従業員の賃金及び労働力の確保のためのコストが上昇する可能性があり、作業の効率化による残業の削減、空調設備の充実、リフレッシュ休暇(注)の取得促進、社員教育等をとおして働きやすい環境の構築に努めるとともに、新しい物流設備の導入等による生産性の向上に取組んでおります。しかしながら、これらの対策が奏功しない場合は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(注)リフレッシュ休暇とは、社員若しくはパート社員として半年以上勤務した者が、半年に1度の頻度で5から6連休の休暇を取得できる制度です。
(4)甚大な災害発生のリスクについて
当社グループは、物流センターを運営する等、顧客の商品やそれらの管理にかかわる情報を取り扱っていること等から、BCPや災害発生時のマニュアル整備・火災予防対策など、事前対策の推進に取り組んでいます。しかしながら、地震・風水害などの天災地変により、停電・輸送経路の遮断などの事態が発生した場合、物流業務の停滞を招く恐れがあります。したがって、これらの事象は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(5)情報セキュリティ・システム障害のリスクについて
当社グループは物流業務の受託およびソフトウエア提供に際し、顧客の機密情報を取り扱っております。社内規程の整備、内部監査および社員教育の徹底など情報資産の管理に努めておりますが、万が一情報の外部流出やデータ消失などが発生した場合、社会的信用の低下や顧客からの損害賠償請求に繋がる可能性があります。また、当社グループは物流センター業務やITサービスにおいて自社開発の倉庫管理システムを使用しており、外部からのサイバー攻撃に備えたセキュリティ対策やデータバックアップ等を講じております。それでもなお、災害やサイバー攻撃などによりシステムがダウンあるいは破壊された場合、業務に重大な支障が生じる可能性があります。これらの事象が発生した場合、当社グループの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。さらに、業務委託先における情報管理の不備から機密情報が流出するリスクにも注意を払っておりますが、完全に排除することは困難であります。
(6)M&A及び資本業務提携等のリスクについて
当社グループは、持続的な成長のため、M&Aや資本業務提携等を行うことがあります。これらの実施にあたっては、事前に対象企業の財務内容や契約内容等審査を十分行い、リスクを検討したうえで決定していますが、実施後の事業環境の変化等により、当初想定していた成果が得られないと判断した場合や、資本業務提携等を解消・変更する場合、のれんや持分法で会計処理されている投資の減損損失等、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(7)金利変動および資金調達のリスク
当社グループは物流センター増設などの設備投資資金を主に金融機関からの借入金で調達しております。変動金利の借入は金利上昇リスクに晒されているため、低金利下での長期固定化など適切な固定・変動比率の管理に努めておりますが、予想を上回る金利上昇が発生した場合には調達コストが増大する可能性があります。なお、2025年2月期末現在、当社グループの有利子負債残高は約62億円(総資産比約60%)に上り、財務レバレッジが高い水準にあります。現時点では金融機関との関係は良好でありますが、将来、経営成績の悪化や金融情勢の変化等により金融機関からの融資姿勢が慎重化し、必要な資金調達に支障が生じた場合、当社グループの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。借入金利の上昇は利払い負担増によるキャッシュフロー悪化を招き、新規投資余力の低下にも繋がる可能性があります。さらに、資金調達が逼迫した場合、資金確保のため不利な条件での借入や株式発行(株主価値の希薄化)を余儀なくされる可能性があります。
(8)人材確保のリスクについて
当社グループの展開する物流サービス事業は労働集約型産業の一面があり、人材の確保や管理職の育成強化が、ITオートメーション事業においてはソフトウエア開発者等の専門職の確保や専門職の育成強化が重要となります。当社の事業計画を遂行する上で必要な人材を継続的に採用し、労働環境の整備や教育体制の充実等により人材の定着を図ることが、当社グループの持続的な成長にとって必要となります。これらが達成できなかった場合、また、達成のために人件費等増加が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(9)市場環境の変化および競合のリスク について
当社グループはアパレル、日用品、食品を扱うEC(通信販売)事業者を主要顧客としており、現在EC市場は拡大基調にあります。しかし、国内景気の悪化等によりEC市場の成長が停滞または縮小に転じた場合、当社グループの取扱業務量が減少する可能性があります。また、物流業界では大手企業による自動化・無人化倉庫の展開や業界再編など競争が激化しており、ITオートメーション事業においても同業他社との競合があります。当社グループは顧客のニーズに応じた柔軟なサービス提供や、自社現場で培ったノウハウを活かしたソフトウェアの改良等により競合他社との差別化を図っておりますが、これらの取り組みが奏功せず将来的に競争優位を維持できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、競合他社が低価格戦略やサービスの拡充を図った場合、当社グループの顧客が流出しシェアが低下する可能性があります。また、市場動向の変化に当社グループの対応が遅れた場合、ビジネスチャンスを逃し業績に影響が出る可能性があります。
(10)業績変動のリスクについて
当社グループが得意とするインターネット通販事業者向けのEC・通販物流支援サービスでは、お客様が開催する各種セールや、入学や進級等のライフイベントに伴う季節的な時期において、需要が増加し売上が集中する傾向にあります。そのため、当該時期における人材や資材等の確保が必要となり、また、それに伴う売上高及び営業利益の増加を見込んでおり、それらは当社グループの季節要因として経営成績に影響を与える傾向にあります。経済や業界の動向、取引先の業況による景気変動などにより、季節要因等影響が計画通り進捗しない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(11)創業者への依存リスクについて
当社の代表取締役社長である達城久裕は、当社設立以来の代表取締役社長であります。同氏は経営方針や経営戦略等、当社の事業活動において重要な役割を果たしており、同氏に対する当社の依存度は高くなっております。当社グループにおいては、同氏に過度な依存をしない経営体制を構築すべく、担当役員や本部長等に権限委譲を進めておりますが、何らかの理由で同氏の業務遂行が困難になった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(12)物流拠点の賃借に関するリスクについて
当社グループは物流サービスの提供にあたり、多くの物流センターを賃借しております。自社で保有する物流施設は限られており、大部分を外部からの賃借に依存している状況であります。契約形態によっては、貸主の都合による中途解約や契約満了時の更新拒絶等により、想定外に当該拠点が使用できなくなる場合があります。その際は他の施設の活用や新規拠点の確保等で業務継続に努めますが、適切な代替施設を迅速に確保できなければサービス提供に支障が生じる可能性があります。また、近隣の賃料相場上昇等に伴い契約更新時に賃料が大幅に引き上げられる場合もあります。当社グループはその妥当性を検証の上で貸主と協議し、必要に応じて顧客にも理解を求めますが、新拠点への移転には時間と費用を要するため、賃料負担が増大し取引継続が困難になった場合には当社グループの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。重要拠点の閉鎖は当社グループの物流ネットワーク全体に支障をきたし、サービスレベルの低下や顧客離れを招く可能性があります。
(13)訴訟等のリスクについて
当社グループは、サービス提供に関して品質等のトラブルや問題が発生した場合、当社グループに過失の有無を問わず、顧客等から損害賠償請求や訴訟(以下「訴訟等」といいます。)を提起される可能性があります。当社グループでは、トラブル発生時には迅速な対応を図り、また事前に取引基本契約書を締結する等でリスクを低減しておりますが、万一、重大な訴訟等が生じた場合には、社会的信用の低下や高額の損害賠償負担が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)サービス品質の低下リスクについて
当社グループは、EC・通販物流支援サービスの提供に当たり、環境整備活動や従業員教育、作業ミスに関するアセスメント(事故報告アセスメント)による改善の横展開等によりサービス品質の維持・向上に努めております。しかし、これらの取組みが不十分であった場合やオペレーションに不備が生じた場合には、お客様満足度が低下し、ひいては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(注)事故報告アセスメントとは、誤出荷等の業務上のミスの原因究明を行い、対策や改善内容を役員が直接従業員へ教育し、全社で共有するための定期的な教育機会であります。
(15)株式価値の希薄化および大株主に関するリスクについて
当社グループは役員および従業員の士気向上を目的として新株予約権(ストックオプション)を発行しております。これらが権利行使され新たに株式が発行された場合、既存株主の持株比率および議決権割合が希薄化する可能性があります(2025年2月期末現在、潜在株式数367,900株・発行済株式数の約3.57%)。また、当社創業者である代表取締役社長およびその親族などが当社株式の約50%(議決権所有割合50.74%)を保有しており、経営方針の決定に大きな影響力を有しております。同社長は株主全体の利益に配慮した経営に努めておりますが、何らかの事情で同グループが大量の株式を市場で売却した場合、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。このため、経営意思決定において少数株主の意見が十分に反映されない事態が起こる可能性があります。さらに、経営方針の相違から支配株主と一般株主との間で利益相反が生じるリスクも存在します。支配株主と一般株主の利益相反が顕在化した場合、当社株式の市場評価にも影響が及ぶ可能性があります。
(16)配当方針にかかるリスクについて
当社グループは、株主に対する利益還元を経営上の重要な課題と認識しており、剰余金の配当については、将来の事業展開及び財務体質の強化のために必要な内部留保金を確保しつつ、安定した剰余金の配当を実施していく方針であります。
しかしながら、剰余金の配当につきましては、長期的な視野に立った事業展開の中で、設備投資資金の確保及び財務体質の強化のための内部留保の充実を優先する考えであり、当社グループの業績が何らかの理由で悪化した場合は、安定した剰余金の配当を継続できない可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社グループは、株主の皆様に対する利益還元を経営上の重要な課題と認識しており、将来の事業展開及び財務体質の強化のために必要な内部留保金を確保しつつ、安定した剰余金の配当を継続して実施していくことを基本方針とし、1事業年度の配当の回数は株主総会決議による期末配当の1回としております。
当社は2021年2月期までの間、長期的な視野に立った事業展開の中で、事業成長のための設備投資等によって、一層の企業価値の向上を図ることが、株主の皆様に対する最大の利益還元につながると考え、剰余金の配当を実施しておりませんでしたが、2022年2月期においては、利益を重視した経営戦略を推進したこと等が奏功し、安定した利益計上の基盤整備が進んだものと判断したことから、期末配当(初配)を実施することといたしました。2023年2月期以降につきましても、1株当たり当期純利益、設備投資予定額、次年度の業績見通し、手元資金の状況、並びに金融動向等から内部留保資金と剰余金の配当のバランスを総合的に勘案し、安定的な配当の実現を目指して取締役会において審議して決定する方針です。
内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、なお一層の事業の効率化を推進し、また事業の拡大を図るために有効投資し、株主の皆様のご期待に応えてまいりたいと考えております。
なお、当社は取締役会の決議により、毎年8月31日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
当事業年度に係る剰余金の配当につきましては、前述の基本方針等に基づき、1株当たり10円00銭とすることが、第38期定時株主総会において承認可決されました。
基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 |
1株当たり配当額 |
2025年5月29日 |
100,614千円 |
10円00銭 |
定時株主総会決議 |