2024年9月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 2,675 100.0 108 100.0 4.1

事業内容

 

3 【事業の内容】

(1)ミッション

当社は、「smartなくらしをsupportする」という経営理念の下、これまでアナログであった「不動産管理会社」と「入居者」のコミュニケーション領域をデータ・テクノロジーの活用によって新たな価値を提供することを目的としております。

 

(2)不動産業界の課題

当社の顧客である不動産管理会社が属する不動産業界は、電話や書面、FAXによるやり取りが中心で、非効率的なやり方が依然として続いております。不動産業界には、不動産オーナー、不動産管理会社、不動産仲介会社、入居者などさまざまなプレイヤーが存在しますが、そのプレイヤー間のコミュニケーションがアナログであるためにさまざまな問題やトラブルが発生しています。当社は、これらの課題に対してソリューションサービスを提供することで解決していきたいと考えております。

 

(3)創業の背景

当社の前身は、大阪府を中心とした関西基盤の不動産管理会社である株式会社宅都ホールディングス(現 株式会社TAKUTO INVESTMENT)(※)の経営企画部門であり、前述のような不動産管理会社の課題を解決するソリューションを自社内に提供していました。

しかし、不動産業界の会合や他社見学等を通じ、同じような課題を他の不動産管理会社も抱えていると感じていたことから、1社だけへのサービス提供だけではなく他の不動産管理会社へのサービス提供を行うことで、業界全体の生産性向上を目指すべく、2016年にグループ内で業界内の人材交流を目的として設立されていた株式会社グローバルエージェントの社名を「株式会社スマサポ」に変更するとともに現経営陣による経営体制を確立しました。更に、2019年には、不動産管理会社向けソリューション提供事業を強化するにあたり、不動産管理会社を顧客として事業展開する当社が不動産管理の実業を営むグループに存しないようにするために株式会社宅都ホールディングス(現 株式会社TAKUTO INVESTMENT)から独立するに至りました。

 

※ 株式会社宅都ホールディングス(現 株式会社TAKUTO INVESTMENT)

  設立:2011年12月

 資本金:1億円 

事業内容:不動産事業者。不動産開発、ホテル運営等を営む。グループ会社に不動産管理事業を営む株式会社宅都プロパティ(現 株式会社TAKUTO)がある。

株式会社宅都プロパティ(現 株式会社TAKUTO)

  設立:1999年5月

 資本金:1億円

 事業内容:不動産管理会社

 

 

(4)事業の概要

当社は不動産管理会社と入居者のコミュニケーションを包括して、課題を解決していくといったビジネスモデルを掲げております。不動産管理会社と入居者のコミュニケーションを活発化させることで、不動産管理会社がこれまで得られなかった収益を得ることや貼り紙や電話での連絡によるコミュニケーションをデジタル化することで不動産管理会社の業務負担を改善することができます。

当社が提供するサービスは不動産管理会社向けソリューション提供事業であり、詳細なサービス内容は以下のとおりであります。なお、現状の売上構造の大半はスマサポサンキューコールが占めておりますが、将来的に入居者アプリ「totono」を核とした種々のサービス提供を企図しております。

 

①入居者満足度調査サービス「スマサポサンキューコール」

スマサポサンキューコールは、従来不動産管理物件の新規入居者との接点を持たなかった不動産管理会社に対して、入居者との継続的な関係を築く契機として、入居時のお礼や満足度アンケート調査の実施を代行するとともに、生活に必要な各種ライフラインサポート等の案内を手掛けるサービスです。

具体的には、新たに入居された方のご同意をいただいた上で、不動産管理会社から当社へ情報をご提供いただき、不動産管理会社に代わって、入居者へのご挨拶を行うとともに、仲介店舗のスタッフの接客やお店の雰囲気等のアンケートを行っております。当該アンケート結果は、定期的に不動産管理会社にフィードバックを行い、不動産管理会社の業務改善等にお役立ていただいております。また、アンケートを行った入居者のご意向を伺い、新電力、インターネット回線、ウォーターサーバー等の新生活に供するサービスのご案内を行い、ご同意をいただいた上で、新電力やインターネット回線、ウォーターサーバー等の商材提供事業者へのお取次ぎ等を行っております。

当社は不動産管理会社から提供される入居者情報に対し、対価を支払うとともに、外部委託先(販売先・外注先)から顧客紹介手数料、及び各種サービス(商材等)提供会社から取次手数料等を収受しております。そのため、取次手数料を得る当社と、情報提供元である不動産管理会社の両社に収益が生まれます。なお、当社では入居者に対しての架電業務を自社のコールセンターだけでなく、複数の業務委託先コールセンターに委託することで多くの入居者に対しての架電業務を円滑に行っております。

 


 


 

②入居者アプリ「totono」

入居者アプリ「totono」は、不動産管理会社と入居者のコミュニケーションをデジタル化するアプリです。

具体的には、入居者が賃貸借契約を締結してから発生する「入居時点検」「駐車場・駐輪場契約、更新、退去等の各種申請」や「近隣トラブルの相談」等はこれまで紙やFAX、電話で行われていましたが、「totono」を活用することでデジタル化が図れるようになります。

不動産管理会社にとっては、基幹システムと連携することで、電話やFAXで受けていた各種情報を入力する手間が省けたり、これまで物件の掲示板に貼り出していた「断水のお知らせ」等の連絡を入居者に直接届けたりできるようになるため、業務の効率化が図れるようになるとともに、入居者にとっても各種申請作業やトラブルの相談等を手軽に行うことができるようになることで満足度向上につながっていきます。具体的には、入居者にとっては350項目以上あるQ&Aリストをそのまま活用できるので、部屋の不具合に対する自己解決が可能となります。それでも解決しなかったものはアプリ内のチャット上に画像をアップロードすることで的確に不具合の状況を伝えることができるため、トラブルの早期解決につながります。併せて、チャット対応を行うリソースが不足している不動産管理会社に対しては、代行してチャットの返信を行うチャットセンターの運営を行っております。また、入居者からの問い合わせの膨大なデータを分析・解析し業務改善に繋げております。

このように「totono」を導入することによるメリットは不動産管理会社にとって大きいことから、アプリダウンロード者である入居者からは利用料等は収受せず、ご利用いただく不動産管理会社から初期導入料及び毎月の利用料を収受しております。当社はその利用料を収受するために、自社の開発人員においてアプリの機能開発を行う他、外部開発会社に開発のためのコストを支払っております。

 


 


 

③スマサポ内覧サービス「SKB」

「SKB」は、Sumasapo Key Boxの略称であり、賃貸物件の内覧時における鍵の管理業務効率化を図るためのキーボックスです。

これまでは、不動産仲介会社が内覧する際には不動産管理会社に鍵を取りに行き、内覧が終われば鍵を返しに行くというやりとりが必須であり、鍵の管理が極めて煩雑でした。本サービスでは内覧用の鍵を空室のドアに設置したキーボックス内に格納し、そのキーボックスの開閉はアプリによって行われるようになるため、鍵の管理を行う必要がなくなります。

アプリによるキーボックスの開閉は不動産管理会社が承認をした時に限られるため、セキュリティ面の強化が図れます。また、内覧履歴が残るようになっているので、どの部屋がいつ誰によって開閉されたのかが分かるため、不動産管理会社はそのデータを活用しリーシングの強化を行うことができます。

このように、不動産管理会社の鍵の管理業務を効率化するサービスであり、導入する不動産管理会社から導入時に機器代を収受するほか、システム利用の対価として月額利用料も収受しております。当社では、安定的に商品を供給するために、当該機器はメーカーに作成依頼をしており、一定数を在庫として保有しております。なお、サービス利用者である不動産仲介会社は、あくまで、本サービスを利用することで内覧の鍵を利用することができるだけの存在であり、手数料等は収受しておりません。

 


 


 

④家賃保証サービス「sumai保証」

家賃保証サービス「sumai保証」は、入居者の連帯保証人を代行するサービスです。

入居者にとっては、保証料を支払うことで連帯保証人を立てる必要がなくなり、不動産管理会社にとっては、規定する保証の範囲内で滞納賃料や原状回復費用の未回収分等の立替えを受けることができます。

 


 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概況

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ152,256千円増加し、689,574千円となりました。

 流動資産は、前事業年度末に比べ109,719千円増加し、438,943千円となりました。これは主に、その他が12,386千円減少した一方で、現金及び預金が116,680円、売掛金が9,454千円増加したこと等によります。

 固定資産は、前事業年度末に比べ42,536千円増加し、250,630千円となりました。これは主に、工具、器具及び備品(純額)が5,397千円減少した一方で、ソフトウエアが36,547千円、繰延税金資産が15,513千円増加したこと等によります。

 

(負債)

 当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ46,161千円増加し、248,265千円となりました。

 流動負債は、前事業年度末に比べ49,402千円増加し、243,931千円となりました。これは主に、前受収益が27,571千円減少した一方で、未払法人税等が27,272千円、未払消費税等が32,485千円、預り金が7,458千円、賞与引当金が8,325千円増加したこと等によります。

 固定負債は、前事業年度末に比べ3,241千円減少し、4,334千円となりました。これは主に、保証履行引当金が3,103千円減少したこと等によります。

 

 (純資産)
 当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ106,095千円増加し、441,308千円となりました。これは、繰越利益剰余金が106,095千円増加したことによります。

 

② 経営成績の状況

当事業年度における我が国経済は、社会・経済活動の持ち直しの傾向が続いている一方で、国際的な紛争の長期化や米国景気の後退懸念やそれに伴う為替相場の変動など依然として先行きが不透明な状況が続いております。当社が主にサービスを提供する不動産業界におきましては、特に東京や大阪などの主要都市において賃料水準の上昇の兆しがみられ、また、既存物件の入居率も入居者のライフスタイルの多様化などにより、引き続き堅調に推移すると見込んでおります。

このような状況の下、当社の主力サービスである「スマサポサンキューコール」及び入居者アプリ「totono」の需要は高く推移しており、受注拡大に向け注力いたしました。「スマサポサンキューコール」においては、㈱リクルートの電子申込システム「申込サポートby SUUMO」との連携を2023年12月よりスタートさせ、より一層の取引先の拡大と安定収益の強化を図るとともに、収益率の改善を図るため既存顧客との取引条件の見直しを進めてまいりました。今後は、totonoの販売拡大に加え、管理会社における入居者からの問い合わせを削減するためのチャットセンターの充実にも取組んでまいります。

以上の結果、当事業年度の売上高は2,674,994千円(前期比37.2%増)、営業利益は108,419千円(前期は営業損失133,180千円)、経常利益は112,948千円(前期は経常損失143,885千円)、当期純利益は106,095千円(前期は当期純損失147,789千円)となりました。

なお、当社は不動産管理会社向けソリューション提供事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

 

 ③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物の残高は前事業年度末に比べて、116,680千円増加し、285,757千円となり

 ました。

各活動区分別のキャッシュ・フローの状況及び主な要因は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは201,588千円の収入(前事業年度は187,822千円の支出)となりました。これは主に、税引前当期純利益112,948千円の計上、減価償却費57,913千円の計上、未払消費税等の増加32,485千円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、84,638千円の支出(前事業年度は88,664千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出81,659千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、269千円の支出(前事業年度は142,158千円の収入)となりました。これは、リース債務の返済による支出269千円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 該当事項はありません。

 

b.受注実績

 該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当事業年度における販売実績は次のとおりであります。なお、当社は不動産管理会社向けソリューション提供事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

不動産管理会社向けソリューション提供事業

2,674,994

137.2

合計

2,674,994

137.2

 

 

(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

(自  2022年10月1日

 至  2023年9月30日)

当事業年度

(自  2023年10月1日

 至  2024年9月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社アライアンステクノロジー

641,552

24.0

株式会社ストエネ

514,938

19.3

株式会社すまえる

594,287

30.5

406,269

15.2

ENECHANGE株式会社

267,698

13.7

株式会社ラストワンマイル

241,003

12.4

 

2.販売実績が総販売実績の100分の10未満の相手先については記載を省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概況 ①財政状態の状況、②経営成績の状況」に含めて記載しております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概況 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

当社の資本の財源及び資金の流動性については、販売費及び一般管理費等の運転資金需要及びシステムやソフトウエア等への設備投資需要に対して、主として営業活動により得られた資金で対応しております。また、売掛金の未回収等の突発的な事象に備え、取引金融機関と当座貸越契約、コミットメントライン契約の締結により必要資金を調達できる体制をとっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。繰延税金資産の回収可能性や固定資産の減損損失の判定に使用する事業計画については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載したとおり、今後も継続し業績が拡大するとの仮定のもと作成しております。ただし、景気の動向や事業環境の変動等により当初見込んでいた収益が得られなかった場合、実際の結果は見積りと異なる場合があります。

財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

a.繰延税金資産の回収可能性

当社は、将来の利益計画に基づいた課税所得の見積りを行い、将来減算一時差異等に対して繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は決算時点で入手可能な情報や資料に基づき合理的に判断しておりますが、消費の動向や市場環境の変化、競合他社の参入等により、売上計画等の見直しが必要となった場合、当社の翌事業年度以降の財務諸表において繰延税金資産の金額に重要な影響が及ぶ可能性があります。

 

b.固定資産の減損損失

当社は、固定資産の収益性の低下により、固定資産の回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては決算時点で入手可能な情報や資料に基づき慎重に検討し、各資産又は資産グループともに減損の兆候はないと判断しておりますが、消費の動向や市場環境の変化、競合他社の参入等により、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や将来の売上計画等に変更があった場合、当社の翌事業年度以降の財務諸表において減損損失が発生する可能性があります。