2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

海運事業 港運・倉庫事業
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
海運事業 8,346 60.8 575 104.9 6.9
港運・倉庫事業 5,380 39.2 -27 -4.9 -0.5

事業内容

3【事業の内容】

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(兵機海運株式会社)、及び当社事業に密接に関わる関連会社2社により構成されており、内航海運、港湾運送、倉庫、外航海運等の事業活動を行っております。

当社事業に係わる位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。

なお、次の2部門は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

 

(海運事業)

内航海運……当社の主力事業であり、主として国内の海上輸送業務を行っております。関連会社㈱吉美に姫路港での荷役の一部を委託しております。また、関連会社七洋船舶管理㈱は船員派遣等内航海運に関連する事業を行っております。

外航海運……委託船を活用した国外の海上輸送業務を行っております。

 

(港運・倉庫事業)

港運…………当社の事業であり、神戸・大阪・姫路港で主として輸出入貨物を取扱っております。

倉庫…………当社の事業であり、神戸・大阪・姫路港で展開しております。関連会社㈱吉美に姫路港において入出庫荷役を委託しております。

 

[事業系統図]

 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、長年続いたデフレ経済を脱却し、幅広い分野で物価が上昇するインフレ経済の局面に入りました。前半は物価上昇に賃上げが追い付かず個人消費が足踏みしたものの、7月には日経平均が史上最高値を更新し、期中以降は実質賃金の改善により国内消費に復調が見られました。また、好調なインバウンド需要も国内消費の押上げに一定の影響を与えました。一方で、期末にかけては、ウクライナ情勢及び中東情勢の停戦を巡る交渉の難航ならびに米国新政権の関税政策等により、先行きに不安定感が懸念される状況で推移いたしました。

 

 このような状況下におきまして、当社は「安全・迅速・信頼」をモットーに、国民生活と企業活動のライフラインを支える物流業者として、如何なる時世にも顧客に対する輸送責任を果たす「堅実な兵機」との信頼を得るべく、事業展開を進めてまいりました。

内航事業では、上昇が続く運航コストを改善するため、海上運賃改定交渉を継続実施しました。また、所属船団数を維持して輸送責任を果たすため、傭船料改善や新規傭船開拓に努めました。

外航事業では、前期好調であった建機輸送が、下期以降は競合により取扱いが減少しました。一方で、台湾及び韓国向けの取扱いは堅調に推移し、スポット案件獲得も収益に寄与しました。

港運事業では、為替変動や景気低迷が続く中国発着貨物の物量減少の影響などもありましたが、他部門と連携し新規案件獲得に努め、通関取扱いは輸出入ともに前期並みの件数となりました。

倉庫事業では、兵庫埠頭物流センターの固定資産税、減価償却費が負担となった事に加え、労務費上昇も利益を圧迫しました。また、契約期間終了による物量減少もあり苦戦しました。

 

 これらの結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ392百万円減少し、12,546百万円となりました。

 当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ635百万円減少し、7,693百万円となりました。

 当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ243百万円増加し、4,853百万円となりました。

 

b.経営成績

当社は、前下期(2023年10月)に、港運事業の船会社費用を売上から立替金へ変更しました。当事業年度はこの変更が通期にわたり影響したため、売上高は13,726百万円(前期比909百万円減 93.8%)と減収となりましたが、原価も同額減少したため営業利益には影響せず、営業利益は548百万円(前期比28百万円増 105.4%)となりました。一方で、前期に営業外収益として計上した貸倒引当金戻入額89百万円の剝落もあり、経常利益は618百万円(前期比60百万円減 91.1%)となりました。これらの結果、当期純利益は、435百万円(前期比77百万円減 85.0%)となりました。

 

 当事業年度におけるセグメントの営業状況は次のとおりです。

 1)海運事業

(イ)内航事業・・・・・運航コストの上昇が続くなか、適正運賃への改定を顧客へ継続交渉をするとともに、当社所属船団を維持し、安定的な輸送サービスを提供し続けるため、各船主への定期傭船料の増額実施及び船主と一体となり新造船を就航させました。また、航海期間の短い輸送にはトリップ傭船の積極的な配船や輸送ニーズに応じて台船を使用したプラント輸送などにより、収益の底上げと利益率改善を実施しました。一方で、主要顧客の工場設備の更新にともなう出荷休止期間があり、輸送取扱量が減少したこと及び社艀の不稼働期間もあり、売上は伸び悩みました。

 結果としまして、取扱量が1,777千トン(前期比 97.5%)と減少しました。売上高は6,855百万円(前期比74百万円減 98.9%)と微減となりましたが、営業利益は339百万円(前期比31百万円増 110.1%)と増益になりました。

 

(ロ)外航事業・・・・・韓国、台湾向けの鉄鋼製品は堅調な取扱いで前年並みで推移し、設備輸送案件などスポット貨物は順調に取扱いを伸ばしました。また、円安レートによる影響でドル建て海上運賃の売上にプラス効果が表れ、収益の下支えとなりました。一方で、外航事業の主力貨物の一つである中国、中央アジア向けの建機輸送は、当事業年度後半にかけてRORO船との集荷競争により前年対比で取扱量が減少しました。

 結果としまして、売上高は1,490百万円(前期比196百万円増 115.2%)、営業利益は235百万円(前期比134百万円増 232.8%)と増収増益になりました。

 

 2)港運・倉庫事業

(イ)港運事業・・・・・欧米各国が利下げに向かうなか、日本は利上げ機会を伺う展開により歴史的な円安がひと段落しました。また、日本の主要な貿易相手国である中国経済の停滞などもあり、輸出入取引を行う当社顧客にとって、取引形態や貿易相手国の見直しなどが顕在化してきました。当社営業の中核を担う港運事業は他のセグメントと共同セールスを実施し、新規案件の獲得に努めました。なお、トラック運送料、倉庫作業料などの費用が増加しており、また一般管理費も上昇傾向にあり、価格改定の交渉を粘り強く実施しましたが、利益改善には至りませんでした。なお当社は、前下期(2023年10月)に、船会社費用を売上から立替金へ変更しており、当事業年度はこの変更が通期にわたり影響したため、売上高が減少しておりますが、原価も同額減少したため、この変更が営業利益に及ぼす影響はありません。

 結果としまして、売上高は3,716百万円(前期比1,103百万円減 77.1%)となり、営業損失は18百万円(前期は営業利益101百万円)と減収減益になりました。

 

(ロ)倉庫事業・・・・・兵庫埠頭物流センターの固定資産税及び減価償却費の負担増、また、作業員人件費及び資材費高騰なども利益を圧迫しました。危険品貨物取扱いやISOタンクコンテナの保管収益は堅調に推移しましたが、一方で、神戸、大阪地区の一般貨物は伸び悩んだ事と、契約期間終了による物量減少もあり全体的なカバーには至りませんでした。神戸物流センター、兵庫埠頭物流センター両倉庫間の一体運営による取扱い貨物の配置換えや、需要が見込めるISOタンクコンテナ蔵置場や定温倉庫の拡大、効率的な人員の配置など神戸地区倉庫事業の運用の見直しが課題となりました。

 結果としまして、売上高は1,664百万円(前期比71百万円増 104.5%)となり、営業損失は8百万円(前期は営業利益8百万円)と増収減益になりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前事業年度末に比べ65百万円減少し、当事業年度末には1,977百万円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動の結果、獲得した資金は877百万円(前期は908百万円の獲得)となりました。

 主な内訳は、税引前当期純利益623百万円、減価償却費404百万円等に対して、法人税等の支払額122百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は153百万円(前期は74百万円の獲得)となりました。

 主な内訳は、有形固定資産の取得による支出118百万円、長期貸付けによる支出24百万円、短期貸付金の増加額19百万円等に対して、長期貸付金の回収による収入8百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、使用した資金は788百万円(前期は737百万円の使用)となりました。

 主な内訳は、長期借入金の返済による支出1,057百万円、短期借入金の純減少額450百万円、配当金の支払額153百万円等に対して、長期借入れによる収入900百万円によるものであります。

 

③事業部門別売上高、輸送品目別トン数及び売上高の実績

(1)事業部門別売上高明細

 当事業年度における事業部門別売上高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

数量

(千トン)

金額(百万円)

前年同期比(%)

(海運事業)

 

 

 

内航事業

1,777

6,855

98.9

外航事業

126

1,490

115.2

(港運・倉庫事業)

 

 

 

港運事業

1,448

3,716

77.1

倉庫事業

201

1,664

104.5

合計

3,553

13,726

93.8

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)輸送品目別トン数及び売上高明細

 当事業年度における輸送品目トン数及び売上高を示すと、次のとおりであります。

輸送品目別

数量

(千トン)

金額(百万円)

前年同期比(%)

鉄鋼

1,776

7,276

97.3

飼料

125

216

120.4

農水産品

284

431

73.1

油糧

90

185

112.8

鉱石類

20

59

70.2

機械類

113

1,511

119.3

紙・パルプ

11

16

95.2

自動車関連

46

83

52.2

石膏

198

252

116.3

その他貨物

891

3,692

82.5

合計

3,554

13,726

93.8

 (注)1.外航事業・内航事業・港運・倉庫事業を合算したものであります。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

大和工業株式会社グループ

4,070

27.8

3,733

27.2

JFE物流株式会社グループ

1,312

9.0

1,347

9.8

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 1)財政状態

 (資産)

 当事業年度末における総資産額は12,546百万円となり、前事業年度末と比較して392百万円減少いたしました。

 流動資産は3,907百万円となり、前事業年度末と比較して71百万円減少いたしました。これは主に、短期貸付金の増加24百万円等に対して、現金及び預金の減少65百万円、売掛金の減少22百万円、契約資産の減少11百万円等によるものであります。固定資産は8,639百万円となり、前事業年度末と比較して321百万円減少いたしました。これは主に、固定資産の取得による増加100百万円等に対して、時価の下落等による投資有価証券の減少75百万円、減価償却による固定資産の減少404百万円等によるものであります。

 (負債)

 当事業年度末における負債総額は7,693百万円となり、前事業年度末と比較して635百万円減少いたしました。

 流動負債は3,618百万円となり、前事業年度末と比較して549百万円減少いたしました。これは主に、短期借入金の減少566百万円、支払手形の減少47百万円等に対して、未払法人税等の増加113百万円等によるものであります。固定負債は4,074百万円となり、前事業年度末と比較して86百万円減少いたしました。これは主に、繰延税金負債の減少45百万円、長期借入金の減少41百万円等に対して、退職給付引当金の増加27百万円等によるものであります。

 (純資産)

 当事業年度末における純資産額は4,853百万円となり、前事業年度末と比較して243百万円増加いたしました。

 これは主に、配当金の支払による繰越利益剰余金の減少154百万円、その他有価証券評価差額金の減少66百万円等に対して、当期純利益の計上による繰越利益剰余金の増加435百万円等によるものであります。

 

 2)経営成績

 (売上高)

 当事業年度の売上高は、13,726百万円(前期比909百万円減 93.8%)となりました。

 セグメント別では、内航事業6,855百万円(前期比74百万円減)、外航事業1,490百万円(前期比196百万円増)、港運事業3,716百万円(前期比1,103百万円減)、倉庫事業1,664百万円(前期比71百万円増)となりました。

これらの要因につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」をご覧ください。

 (営業利益)

 当事業年度の営業利益は548百万円(前期比28百万円増 105.4%)となりました。

セグメント別では、内航事業339百万円(前期比31百万円増)、外航事業235百万円(前期比134百万円増)、港運事業は18百万円の営業損失(前期は101百万円の営業利益)、倉庫事業は8百万円の営業損失(前期は8百万円の営業利益)となりました。

 これらの要因につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」をご覧ください。

 (経常利益)

 当事業年度の営業外収益は115百万円(前期比83百万円減 58.1%)となりました。主な要因は、貸倒引当金戻入額の減少89百万円等に対して、受取配当金の増加19百万円等によるものであります。

 当事業年度の営業外費用は45百万円(前期比5百万円増 114.1%)となりました。主な要因は、支払利息の増加4百万円等によるものであります。

 以上の結果、経常利益は618百万円(前期比60百万円減 91.1%)となりました。

 (当期純利益)

 特別利益として投資有価証券売却益9百万円及び受取保険金2百万円、特別損失として災害による損失6百万円を計上したことにより、税引前当期純利益は623百万円(前期比86百万円減 87.9%)となり、法人税等合計188百万円を差し引いた結果、当期純利益は435百万円(前期比77百万円減 85.0%)となりました。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

イ)キャッシュ・フロー

 当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

ロ)契約債務

 2025年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

短期借入金

1,150

1,150

長期借入金

4,078

816

1,332

823

1,106

リース債務

36

25

7

2

2

 上記の表において、貸借対照表の短期借入金に含まれている1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。

 当社の第三者に対する保証は、傭船船主・協力会社の借入金等に対する債務保証であります。保証した借入金等の債務不履行が保証期間に発生した場合、当社が代わりに弁済する義務があり、2025年3月31日現在の債務保証額は、1,339百万円であります。

 

ハ)財務政策

 当社は、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は銀行借入により資金調達することとしております。このうち、銀行借入による資金調達に関しましては、運転資金については借入時の金融情勢を考慮して短期借入金及び長期借入金にて調達し、船舶建造、倉庫建設などの設備資金については、一部を除き固定金利の長期借入金にて調達しております。変動金利での借入分は金利の変動リスクに晒されていますが、デリバティブ取引(金利スワップ取引)を利用してヘッジを行っております。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。