2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

海運事業 港運・倉庫事業
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
海運事業 8,223 56.2 409 79.0 5.0
港運・倉庫事業 6,412 43.8 109 21.0 1.7

事業内容

3【事業の内容】

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(兵機海運株式会社)、及び当社事業に密接に関わる関連会社2社により構成されており、内航海運、港湾運送、倉庫、外航海運等の事業活動を行っております。

当社事業に係わる位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。

 なお、次の2部門は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

 

(海運事業)

内航海運……当社の主力事業であり、主として国内の海上輸送業務を行っております。関連会社㈱吉美に姫路港での荷役の一部を委託しております。また、関連会社七洋船舶管理㈱は船員派遣等内航海運に関連する事業を行っております。

外航海運……委託船を活用した国外の海上輸送業務を行っております。

 

(港運・倉庫事業)

港運…………当社の事業であり、神戸・大阪・姫路港で主として輸出入貨物を取扱っております。

倉庫…………当社の事業であり、神戸・大阪・姫路港で展開しております。関連会社㈱吉美に姫路港において入出庫荷役を委託しております。

 

[事業系統図]

 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、当社は、2023年3月期は連結業績を開示しておりましたが、当事業年度より非連結での業績を開示しております。そのため、セグメント別の前期比は記載しておりません。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、ロシアによるウクライナ紛争の長期化や中東情勢の緊迫化、中国経済の成長鈍化、円安影響による食料品やエネルギー価格高騰などの懸念がありつつも、日経平均株価が史上最高値を更新するなど景況感は緩やかに改善しました。また、新型コロナウイルス禍により停滞していた個人消費の持ち直しや円安を背景としたインバウンド需要も拡大するなど、企業収益も回復基調で推移いたしました。

 

 このような状況下におきまして、当社は「安全・迅速・信頼」をモットーに、国民生活と企業活動のライフラインを支える物流業者として、如何なる時世にも顧客に対する輸送責任を果たす「堅実な兵機」との信頼を得るべく、事業展開を進めてまいりました。

内航事業では、燃料油の高騰、船員労務費や傭船費用などのコスト増加要因を緩和すべく、一部荷主との海上運賃改定交渉を進めました。また、効率配船に努め、不稼働率を減少させました。

外航事業では、主に建機類の輸送を行っていた極東ロシア向け航路が中長期的に再開出来ないと経営判断をして、投入していた社船を売船し、船舶維持管理コストの改善を図りました。

港運事業では、取引形態を見直した結果、一部取引について、従来売上高として請求していたものを2023年10月以降は立替金として請求することとしたため売上高は減少しましたが、原価も同額減少したため営業利益には影響しませんでした。

倉庫事業では、輸出入コンテナ貨物の取扱量や付帯作業が伸び悩みました。また、減価償却費の増加や、倉庫作業員を増員したことによる労務費の増加などもあり、苦戦を強いられました。

なお、当社は、2024年2月13日開催の取締役会において、外航船舶の所有及び船舶運航管理業を営んでいた海外子会社である K.S.LINES S.A.を解散することを決議し、同年3月で清算結了いたしました。

 

 これらの結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ420百万円増加し、12,939百万円となりました。

 当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ402百万円減少し、8,329百万円となりました。

 当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ822百万円増加し、4,609百万円となりました。

 

b.経営成績

当事業年度の売上高は、14,636百万円(前期比3,728百万円減 79.7%)と大きく減収となりましたが、これは上記の取引形態見直しの特殊要因によるものです。営業利益は519百万円(前期比40百万円減 92.8%)となりました。一方で、経常利益は、営業外収益として貸倒引当金戻入額89百万円を計上したこと等により678百万円(前期比66百万円増 110.9%)となりました。また、当期純利益は、子会社清算に伴う特別利益30百万円を計上し、512百万円(前期比73百万円増 116.8%)となりました。

 

 当事業年度におけるセグメントの営業状況は次のとおりです。

 1)海運事業

(イ)内航事業・・・・・鋼材及び原材料スクラップの鉄鋼輸送は、前年同期比で4.5%減の輸送量となり、伸び悩みました。また、船舶燃料油の高止まり、船員確保のための労務環境改善に係る費用や船団維持に欠かせない傭船費用の引上げ、新船建造費用やドック費用の高騰など、年々運航コストの増加が続いております。内航事業を営む経営環境の厳しさを吸収緩和すべく、荷主へ海上運賃の適正化に向けた改定交渉を進めるとともに、気象海象の悪化による運航休止や船体修繕による不稼働を減少させるべく、効率配船にも努めました。また、鋼船による運航を補完する社艀を積極的に活用し、収益率の改善を図りました。

 結果としまして、取扱量が1,823千トンとなり、売上高は6,930百万円、営業利益は308百万円となりました。

 

 

(ロ)外航事業・・・・・運航サービスを提供していた極東ロシア向けの航路は、経済制裁により顧客の輸出入貿易が中長期的に再開出来ないので、当航路に投入していた自社船を売船し、船舶維持管理コストの改善を図りました。中国、台湾、韓国など他の航路につきましては、顧客のニーズに合った運航サービスを提供し、収益の確保に努めました。

 結果としまして、売上高は1,293百万円、営業利益は101百万円となりました。

 

 2)港運・倉庫事業

(イ)港運事業・・・・・輸出入者の依頼に応じて船会社に支払っていた各種費用の取引形態を見直し、2023年10月以降は立替金として請求することとした影響もあり、売上高は減少しましたが、原価も同額減少したため、営業利益への直接的な影響はありませんでした。なお、日本の主要な貿易国である中国の景気が減速した影響と円安影響で輸入貨物の取扱いは伸び悩みましたが、輸出をメインとする主要顧客の取扱いは安定して推移しました。また、海上コンテナ輸送料金などの価格改定や新規顧客の獲得のため、他のセグメントとの共同セールスを行い、営業利益の確保に努めました。

 結果としまして、売上高は4,819百万円、営業利益は101百万円となりました。

 

(ロ)倉庫事業・・・・・輸出入コンテナ貨物の作業を主とする神戸、大阪の一般倉庫は、中国景気後退の影響を受け、前期比較で取扱いコンテナ本数及び関連する梱包などの付帯作業が減少しました。また、前期堅調であった姫路倉庫の鋼材取扱いも減少しました。更には、兵庫埠頭物流センターでの危険品の取扱いも、競合他社が危険品倉庫を新設し始め、受注競争が始まり伸び悩みました。新規貨物を獲得すべく営業活動を強化しましたが、固定資産税及び設備機材の減価償却など固定費増加や、作業員の高年齢化を是正するため新規に増員した人件費も負担となり、倉庫事業全体で苦戦しました。

 結果としまして、売上高は1,592百万円、営業利益は8百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は2,043百万円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動の結果、獲得した資金は908百万円となりました。

 主な内訳は、税引前当期純利益709百万円、減価償却費369百万円等に対して、法人税等の支払額300百万円、貸倒引当金の減少額86百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、獲得した資金は74百万円となりました。

 主な内訳は、長期貸付金の回収による収入77百万円、子会社の清算による収入30百万円等に対して、長期貸付けによる支出12百万円、有形固定資産の取得による支出11百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、使用した資金は737百万円となりました。

 主な内訳は、長期借入金の返済による支出1,259百万円、短期借入金の純減少額400百万円、配当金の支払額135百万円等に対して、長期借入れによる収入1,100百万円等によるものであります。

 

③事業部門別売上高、輸送品目別トン数及び売上高の実績

(1)事業部門別売上高明細

 当事業年度における事業部門別売上高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

数量

(千トン)

金額(百万円)

前年同期比(%)

(海運事業)

 

 

 

内航事業

1,823

6,930

外航事業

161

1,293

(港運・倉庫事業)

 

 

 

港運事業

1,418

4,819

倉庫事業

222

1,592

合計

3,624

14,636

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)輸送品目別トン数及び売上高明細

 当事業年度における輸送品目トン数及び売上高を示すと、次のとおりであります。

輸送品目別

数量

(千トン)

金額(百万円)

前年同期比(%)

鉄鋼

1,921

7,477

飼料

97

179

農水産品

231

590

油糧

90

164

鉱石類

22

85

機械類

123

1,266

紙・パルプ

11

17

自動車関連

53

159

石膏

168

217

その他貨物

907

4,477

合計

3,625

14,636

 (注)1.外航事業・内航事業・港運・倉庫事業を合算したものであります。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

大和工業株式会社グループ

4,070

27.8

JFE物流株式会社グループ

1,312

9.0

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 1)財政状態

 (資産合計)

 当事業年度末における資産合計は12,939百万円となり、前事業年度末と比較して420百万円増加いたしました。

 流動資産は3,978百万円となり、前事業年度末と比較して125百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金の増加258百万円、その他に含まれる立替金の増加219百万円等に対して、売掛金の減少371百万円等によるものであります。立替金の増加及び売掛金の減少は、2023年10月以降、一部取引について従来売上高として請求していたものを立替金として請求することとしたことによるものです。

 固定資産は8,960百万円となり、前事業年度末と比較して294百万円増加いたしました。これは主に、時価の上昇等による投資有価証券の増加623百万円、貸倒引当金の減少80百万円等に対して、減価償却等による有形・無形固定資産の減少369百万円、長期貸付金の減少67百万円等によるものであります。

 (負債合計)

 当事業年度末における負債は8,329百万円となり、前事業年度末と比較して402百万円減少いたしました。

 流動負債は4,168百万円となり、前事業年度末と比較して424百万円減少いたしました。これは主に、短期借入金の減少352百万円、未払法人税等の減少129百万円等に対して、買掛金の増加52百万円等によるものであります。

 固定負債は4,161百万円となり、前事業年度末と比較して21百万円増加いたしました。これは主に、繰延税金負債の増加228百万円等に対して、長期借入金の減少207百万円等によるものであります。

 (純資産合計)

 当事業年度末における純資産は4,609百万円となり、前事業年度末と比較して822百万円増加いたしました。これは主に、当期純利益の計上512百万円、その他有価証券評価差額金の増加432百万円等に対して、配当金による減少136百万円等によるものであります。

 

 2)経営成績

 (売上高)

 当事業年度の売上高は、14,636百万円(前期比3,728百万円減 79.7%)と大きく減収となりました。

 セグメント別では、内航事業6,930百万円、外航事業1,293百万円、港運事業4,819百万円、倉庫事業1,592百万円となりなりました。

これらの要因につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」をご覧ください。

 (営業利益)

 当事業年度の営業利益は519百万円(前期比40百万円減 92.8%)となりました。

セグメント別では、内航事業308百万円、外航事業101百万円、港運事業101百万円、倉庫事業8百万円となりました。

 これらの要因につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」をご覧ください。

 (経常利益)

 当事業年度の営業外収益は198百万円(前期比98百万円増 197.5%)となりました。主な要因は、貸倒引当金戻入額の増加89百万円、受取配当金の増加12百万円等によるものであります。

 当事業年度の営業外費用は39百万円(前期比8百万円減 82.0%)となりました。主な要因は、支払利息の減少3百万円等によるものであります。

 以上の結果、経常利益は678百万円(前期比66百万円増 110.9%)となりました。

 (当期純利益)

 特別利益として子会社清算益30百万円を計上したことにより、税引前当期純利益は709百万円(前期比90百万円増 114.5%)となり、法人税等合計197百万円を差し引いた結果、当期純利益は512百万円(前期比73百万円増 116.8%)となりました。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

イ)キャッシュ・フロー

 当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

ロ)契約債務

 2024年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

短期借入金

1,600

1,600

長期借入金

4,235

932

1,150

700

1,452

リース債務

63

27

30

2

3

 上記の表において、貸借対照表の短期借入金に含まれている1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。

 当社の第三者に対する保証は、傭船船主・協力会社の借入金等に対する債務保証であります。保証した借入金等の債務不履行が保証期間に発生した場合、当社が代わりに弁済する義務があり、2024年3月31日現在の債務保証額は、786百万円であります。

 

ハ)財務政策

 当社は、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は銀行借入により資金調達することとしております。このうち、銀行借入による資金調達に関しましては、運転資金については借入時の金融情勢を考慮して短期借入金及び長期借入金にて調達し、船舶建造、倉庫建設などの設備資金については、一部を除き固定金利の長期借入金にて調達しております。変動金利での借入分は金利の変動リスクに晒されていますが、デリバティブ取引(金利スワップ取引)を利用してヘッジを行っております。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。