2024年2月期有価証券報告書より
  • 社員数
    4,326名(単体) 21,209名(連結)
  • 平均年齢
    46.2歳(単体)
  • 平均勤続年数
    11.2年(単体)
  • 平均年収
    5,119,007円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2024年2月29日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

設備管理事業

警備事業

清掃事業

建設施工事業

サポート事業

18,583

(7,771)

資材関連事業

65

(19)

自動販売機事業

59

(5)

全社(共通)

2,502

(88)

合計

21,209

(7,883)

(注)1 従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は(  )内に当連結会計年度の平均人員を外数で記載しております。

   2 各事業所では複数のセグメントを一体で役務提供するため、所属する従業員数を集約して表示しております。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

 

2024年2月29日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

4,326

(2,898)

46.2

11.2

5,119,007

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

設備管理事業

警備事業

清掃事業

建設施工事業

サポート事業

3,697

(2,820)

資材関連事業

63

(19)

自動販売機事業

55

(5)

全社(共通)

511

(54)

合計

4,326

(2,898)

(注)1 従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は(  )内に当事業年度の平均人員を外数で記載しております。

2  平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3 各事業所では複数のセグメントを一体で役務提供するため、所属する従業員数を集約して表示しております。

 

(3) 労働組合の状況

  当社グループには、イオンディライト労働組合(組合員数5,310名)が組織され、イオングループ労働組合連合会及び全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟(UAゼンセン)に属しております。

  なお、当社グループの組合はユニオンショップ制であり、労使関係は終始円満に推移しております。当連結会計年度において特に記載すべき事項はありません。

(注)  組合員数は、2024年2月29日現在の人数であります。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金差異

提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

うち正規雇用

労働者

うちパート・

有期労働者

7.1

28.6

61.6

83.0

72.1

(注)1「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

   2「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)(注)1

男性労働者の育児休業取得率

(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1

全労働者

うち

正規雇用

労働者

うち

パート・有期

労働者

 

全労働者

うち

正規雇用

労働者

うち

パート・有期

労働者

イオンディライト

アカデミー

38.5

100.0

100.0

対象者

なし

(注)1

64.6

84.9

38.7

イオンディライト

セキュリティ

11.1

0.0

(注)2

80.3

86.4

74.9

環境整備

6.3

100.0

(注)2

64.7

87.4

91.2

イオンディライト

コネクト

7.4

22.2

(注)2

60.8

75.5

88.0

白青舎

9.5

0.0

(注)2

48.0

80.0

56.6

イオンコンパス

40.4

 

アスクメンテナンス

14.3

 

79.6

75.2

96.3

(注)1「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

   2「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)サステナビリティ全般に関する考え方及び取組

ア.ガバナンス

 当社グループは、2022年4月より「サステナビリティ委員会」をESG経営の全社推進機関として設置し、事業活動を通じた社会課題の解決、及び持続可能な社会の実現に向けた協議を進めています。社長執行役員を委員長とし、ESG担当執行役員、関連業務を所管する執行役員および関係者を招集し、年2回以上の開催を行っています。

 サステナビリティ委員会では、サステナビリティ基本方針に基づく最優先課題及び関連する方針・目標・重要施策を議論し、その進捗管理を行います。また重点的に取り組むテーマについては、下部組織として執行役員を分科会長とする分科会を設置し、実効的な取り組みにつなげています。これらの活動結果は、取締役会に年1回の報告を行っています。

イ.戦略

 事業活動を取り巻く社会情勢は今後も大きく変動し続け、企業に対する社会からの要請・ニーズも変化することが予想されます。当社グループは持続可能な社会の実現を目指し、リスク低減と事業機会活用を両輪としたESG経営を推進する中で、2021年8月、ESG経営推進に関する基本的な考え方として、「サステナビリティ基本方針」を制定しました。

ウ.リスク管理

 当社グループは、「イオンディライトグループリスク管理基本規程」をもとに、重要リスクに対応したリスクマネジメントを実施しています。リスクアセスメントをもとにリスク管理委員会で重要リスクを選定、それぞれ任命した「重要リスクオーナー」がリスク低減施策の遂行とモニタリングを行っています。リスク管理委員会は重要リスクオーナーから報告を受け、その内容を評価・解析するとともに、取締役会に報告しています。

 また、当社グループは、TCFDにおける気候変動リスクをはじめとしたサステナビリティ関連リスクについては「サステナビリティ委員会」において、リスクを評価するとともに、分析・対応を行っていきます。

 

(2)重要なサステナビリティ項目

 上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。

ア.気候変動

イ.人的資本、多様性

 それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

ア.気候変動

 当社グループは2022年5月、気候変動が事業活動に与える影響の把握とその開示を推進するTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同を表明しました。

 またイオングループの一員として、「イオン脱炭素ビジョン」に基づき、店舗で排出する温室効果ガスを総量でゼロにする取り組みを支援していきます。

 気候変動に伴う、当社グループにまつわる機会とリスクの双方を検討した結果、事業活動の機会がリスクを上回ると認識しました。これは、リスクを適切に管理し、従来培ってきた災害などに対する危機対応力や施設の省エネルギー化をはじめとしたお客さまの脱炭素支援サービスを強化し続けることを前提としています。今後も気候変動が事業にもたらすリスクや機会を広範に分析し、自社の取り組みの方向性を確認し経営戦略に反映することで、当社グループとお客さまの気候変動に対するレジリエンス向上につなげます。加えて、脱炭素社会の実現に向けた貢献と、企業としての持続的な成長のために、気候変動への対応に関する情報開示を積極的に行っていきます。

 

(ア)ガバナンス

 ガバナンスについては、(1)サステナビリティ全般に関する考え方及び取組 ア.ガバナンスに記載の通りです。

 

(イ)戦略

・シナリオの選択

 当社グループは、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)と国際エネルギー機関(IEA)が公表しているシナリオに基づき、分析を行いました。低炭素社会への移行に伴う影響を表した「1.5℃/2℃未満シナリオ」と、気候変動による災害など物理的な影響を示した「4℃シナリオ」を設定しています。時間軸は、中期を2030年、長期を2050年としました。

 

 シナリオ分析の実施にあたっては、当社グループ全体に及ぶ影響を確認するため、分析の対象を当社グループの売上高の約9割を構成する国内の全事業(一部サポート事業を除く)としました。

 

・重要なリスク/機会及びその影響度

 シナリオ分析の結果、気候変動に伴い想定される移行リスクや物理的リスクなど、さまざまなリスク・機会がある中、当社グループにとって重要なリスク・機会として、以下を特定しました。

 

-炭素税の導入とコストの増大

 2050年におけるカーボンニュートラルの実現に向け、当社グループの主要拠点である日本国内においては、炭素税の導入が想定されます。当社グループにおける温室効果ガスの排出量から想定される炭素税による追加コストは限定的であると想定していますが、引き続き省エネ化に努めていきます。

 

-再生エネルギー調達コストの増大

 イオングループ各店舗から排出される温室効果ガスを総量でゼロにする「イオン 脱炭素ビジョン」を達成するため、当社グループが調達する電力を再生可能エネルギーに転換する可能性があります。当社グループの電力調達を100%再生可能エネルギーに置き換えた場合でも、追加コストは限定的であると想定しています。

 

-脱炭素・省エネルギーサービスの需要拡大

 当社グループは、省エネ機器の設置工事や各種設備の省エネオペレーション、フロン排出抑制法に基づくフロン管理サービス、環境配慮型資材の提案など、地球温暖化対策につながる多様なサービスの提供を行っています。今後は、これらに再生可能エネルギー調達支援などを加え、お客さまの脱炭素化を全面的に支援するソリューションを展開していきます。

 

(設備の省エネルギー化に向けた提案)

 ビルなどの建物内の電力使用状況を「監視・制御・見える化」するエネルギー管理システムBEMS(Building and Energy Management System)の導入のほか、使用電力を大幅に削減できるLED照明をはじめ、空調機器と大型設備の省エネ化を提案しています。

 

(オープンネットワークシステムの導入)

 施設内の各種設備をネットワークでつなぎ、リアルタイムでの一元管理を可能とするオープンネットワークシステムの導入を提案しています。遠隔オペレーションによる効率的な施設運営とともに、施設の省エネ化に貢献しています。

(フロン管理サービスの提供)

 第一種特定製品の簡易点検や定期点検をはじめ、メンテナンスやデータベース化などが求められるフロン排出抑制法に基づき、管理業務代行サービスを提供しています。また、より省エネ効果が高く、地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)が極めて低いノンフロン冷凍冷蔵ショーケースの導入も積極的に提案しています。

※ 第一種特定製品:フロン類が使用されている業務用エアコンディショナーや業務用の冷蔵/冷凍機器など

 

(環境配慮型商材の提案)

 2030年までに使い捨てプラスチック使用量半減(2018年比)を目指す「イオンプラスチック利用方針」に基づき、店舗納入資材におけるプラスチック削減を推進しています。素材を薄くする、軽くするといった従来の手法のほか、プラスチック資源循環促進法をふまえ、スプーンやフォークの素材を紙や木に変更する脱プラスチックにも取り組んでいます。

 2020年度からは、強度と耐水性を兼ね備える4層構造とした、自社開発の紙製ストローの取り扱いを開始しました。2022年度においては、カトラリー類約1億本の提供を行い、そのうち約8割は木製、紙製などの環境配慮型資材へ切り替えを行っています。カトラリー・ストローあわせて、年間約185tの使い捨てプラスチックの削減に寄与しました。

 また化石資源の使用を抑え焼却時に大気中の二酸化炭素が増えないバイオマスプラスチックを採用したレジ袋や包装資材、バイオマス由来の成分を含むインキの使用をお客さまに提案しています。

 

-気候変動に起因する大規模災害の発生

 当社グループは、気候変動に起因する自然災害を含む大規模災害・広域災害が発生した際には、発災直後に対策本部を設置。全国各地のサービス拠点や自社グループ内外のネットワークを活用し、被災設備の復旧や応援人員の派遣、関係官庁(消防、警察、水道局など)との調整、災害対応資機材/物資の調達など、お客さまのクライシスマネジメントを支援してきました。災害対応時に中核を担う防災拠点、ADソリューションセンター(大阪市・愛知県小牧市)では災害によるリスクに備え、常時、災害情報を収集・分析するとともに管理施設の異常有無を遠隔監視しています。2021年8月からは、東京都千代田区の本社にADソリューションセンターの代替機能を配備し、さらなる防災レジリエンス強化に努めました。今後も、自社のBCP(事業継続計画)だけでなく、お客さまのBCPを含めた防災・減災体制の整備に取り組みます。

 

(ADソリューションセンターとカスタマーサポートセンター(CSC))

 ADソリューションセンターでは、平時より24時間365日、自然災害・事故などの情報収集・配信といった危機管理対応や設備の異常有無を遠隔監視しています。加えて、全国8支社には各地域におけるお客さま施設の管理運営を遠隔サポートするCSCを設置。有事の際には、ADソリューションセンターを情報収集分析班として、CSCと連携を図ることでお客さま施設の早期復旧、営業再開を実現するための迅速な災害支援を実施します。

 

-操業への影響

 当社グループは、店舗向け包装・パッケージなどを供給するための全国をカバーする物流センターを配置しています。今後異常気象が激甚化することで河川の氾濫リスクが高まり、一部の物流センターに浸水リスクが生じる可能性がありますが、在庫棄損などの被害額は軽微と推定しています。また、物流センターが停電または被災などで稼働停止した場合でも、他の物流拠点から代替品を納品するための対策を行っています。

 

・今後のシナリオ分析の高度化について

 当社グループは、シナリオ分析により気候変動が事業に与えるリスク・機会の大きさを再認識しました。リスクは甚大とまでは言えず、また、ある一定の重要リスクには対策済みであることを確認しています。

 一方、当社グループの気候変動対策、クライシスマネジメントが自社のみならず、お客さまのリスク回避、および気候変動リスクへのレジリエンス向上に寄与することも確認しました。今後も、脱炭素サービスやクライシスマネジメントを強化し、社会における気候変動リスク低減に貢献していきます。

(ウ)リスク管理

 リスク管理については、(1)サステナビリティ全般に関する考え方及び取組 ウ.リスク管理に記載の通りです。

 

(エ)指標と目標

・イオン 脱炭素ビジョン

 イオングループでは、「イオン 脱炭素ビジョン」に基づき、「店舗」「商品・物流」「お客さまとともに」の3つの視点で、省エネ・創エネの両面から店舗で排出する温室効果ガスを総量でゼロにする取り組みを進めています。当社グループにおいても、お客さま施設の省エネルギー化の推進をはじめとした地球温暖化対策や環境配慮型商品の販売などを通じ、脱炭素に貢献していきます。

 

イ.人的資本、多様性

(ア)人材育成方針

 当社グループは、施設管理の専門家集団として、お客さま、地域社会の課題解決に貢献し続けるため、「技術力」「人間力」を兼ね備えた専門人材の育成に注力しています。

 ファシリティマネジメント業界では人手不足や有資格者の高齢化が深刻化しており、「人手不足解消」は当社の取り組むべき重要課題と認識しています。DXによるビジネスモデルの変革に加えて、技術・マネジメント・資格取得のための社内研修、グループ内公募や若手人材の早期育成など、社内育成と社外からの採用を組み合わせることで、人材確保につなげています。

[人材育成方針]

  ①最大の資産である従業員の価値を最大に引き出すことで経営の価値を高める。

 ②会社方針と連動した教育施策の提供により、従業員の経営貢献意欲とやる気を高め、業績の

  向上に寄与する。

 ③従業員が保有する知識・スキル・経験を資産として尊重し、その価値を高めるために効果的

  な教育投資を続ける。

 ④各分野において従業員がプロ意識と誇りを持って業務に従事できるように、専門知識の向上

  と資格取得の支援を行う。

 ⑤従業員一人ひとりの志を聴き、志を知り、志を活かすことを通じた成長の機会を与える。

 

 

(イ)社内環境整備方針

 当社グループは、革新し続ける企業集団であるために、人種・国籍・民族・性別・年齢・出身地・宗教・学歴・採用区分・心身の障がい・性的指向と性自認等に関わらず多様な人材を活かし、多様な人材が成長していくことができる職場であることを目指しております。それが実現できる職場環境のインフラとして、人権に関わる知識を全従業員に対して啓発し、人権意識の醸成に努めています。

 また、ダイバーシティ&インクルージョンと共に、エンゲージメントや働きがい・働きやすさを高めることで、金銭的報酬だけではない非金銭報酬を増大することにより、当社で働き続けることから得られるトータル・リワードを増大させることに努めています。

 そして、従業員の安全と健康に配慮した健康経営の推進を、極めて重要な施策と位置付けています。

 

(ウ)取組

・人材育成

-「技術力」「専門性」向上の取り組み

 技術力とホスピタリティを兼ね備えたプロフェッショナル人材育成のため、自社グループの研修施設「イオンディライトアカデミーながはま」を滋賀県長浜市に保有しています。電気・空調・消防などの研修用設備機器や清掃作業習得のためのスペースを保有し、約30種類の実践的な研修を実施

研修施設「イオンディライトアカデミーながはま

しています。業務に関連した14の公的資格対象の受験対策研修のほか、電気・空調・給排水・消防設備における管理技術、緊急時の対応方法、清掃など、受講者のレベルに合わせた内容を用意しています。

 

教育研修実施概要

年度

2020

2021

2022

2023

研修実施コース数

200

425

346

329

受講者延べ人数(名)

4,865

11,840

14,953

13,127

一人当たり教育時間(時間)

9

21

28

24

一人当たり教育費用(千円)

60

82

108

95

 

-従業員の資格取得を促す取り組み

 ファシリティマネジメントは業務遂行上多くの資格が必要となります。また従業員自らが積極的に学び、専門性を高めようとする風土醸成のため、資格取得を促す取り組みを行っています。

 自己啓発を支援する「エンジニア・スタディ」は、当社グループ所属の全従業員を対象に、対象16資格の通信教育・eラーニング講座・テキストの受講・購入費用を最大50%、上限10万円の補助を行う取り組みで、2023年度は145名に対し233万円の補助を行いました。

 なお「エンジニア・スタディ」を用いず資格取得した場合でも、対象資格であれば受験料・初回登録手数料を援助する仕組みも導入し、積極的に資格取得を図る風土づくりを推進しています。

 新卒従業員に対しては、入社時研修での「第二種電気工事士」資格の取得を義務付けるとともに、「第三種電気主任技術者」または「建築物環境衛生管理技術者」資格の取得を推進しています。また、従業員の保有資格207種類を管理し、保有と選任に対する手当を支給しています。2023年度は保有資格に対する手当として8,355万円(基礎資格手当)、対象資格取得者に奨励金1,403万円を支給するとともに、資格取得者を社内報にも掲載することで資格取得に対する意欲促進を図っています。

 

-経営人材開発体制

 経営人材の計画的育成を目的に、指名・報酬諮問委員会の中で経営人材の開発に関する議論を実施しています。執行役員および経営幹部を対象職位とし、候補者の選定と、候補者の育成につながるキャリアプラン・配置計画を審議しています。

 また、2022年度から実施しております経営人材育成施策である「支店長研修」を2023年度も継続し、現職・新任の支店長計35名に対し実施しました。また、2023年度は支店長に次ぐ各地域・各施設の長となる職位である「エリアマネージャー」「サイトマネージャー」の新任教育として、これからのイオンディライトのあるべき方向性を示し、自らの役割を明確にするための教育を計33名に対し実施しました。

 

-キャリアグレードと評価制度

 従業員の人材等級の仕組みとして、学歴・年齢・性別・国籍に関わらず、個人の能力に応じて処遇・育成する「キャリアグレード認定制度」を導入しています。9段階のキャリアグレードを設け、段階ごとに対応する職位を定めています。

 人事考課・筆記試験と面接からなる「キャリアグレード登用試験」の受験により登用者を決定することで公正性を保っています。また、2023年3月からは電気・工事他の上位資格保有者を対象に、専門知識・技術を活かして職務を行う「専門職制度」を導入しました。「キャリアグレード認定制度」と「専門職制度」を互いに行き来できる複線型キャリアパスにより、専門人材確保と従業員の志向するキャリアコースやライフスタイルの双方の実現を図ります。

 評価制度も職制に基づき、公正な処遇、能力の発揮、キャリア構築を目指した人事考課を実施しています。人事考課ではそれぞれに求められる職務に対し、知識・能力と部下の育成に対する「能力評価」と、業績や政策事項、自己目標に対する度合いに対する「達成評価」の二側面から評価を行います。納得性を高めるために半期ごとに個人での目標設定を行うとともに、中間面談で進捗管理し、結果に対しフィードバックを行うことを定めています。

 

-フレキシブルワークによる多様な働き方の実現

 当社は1カ月単位での変形労働時間制を導入しており、業務量に応じて労働時間を柔軟に調整することで、時間外労働の抑制、長時間労働の防止につなげています。

 また、新型コロナウイルス感染症の予防対策を契機に、2021年度よりテレワーク勤務制度を導入しました。会社が承認した全従業員・出向者・派遣社員を対象に従来の出社のほか、「在宅勤務」「サテライトオフィス勤務」「モバイル勤務」を行うことが可能であり、自宅のほか、会社で契約するサテライトオフィスなど就業場所の多様化も図っています。

 

・労働安全衛生

 当社グループにとって「安全・安心」は経営理念につながる基盤となる考え方です。お客さまの施設への「安全・安心」の提供に加えて、従業員およびパートナー企業の皆さまを含む全ての関係者に対して、安全衛生基準を満たした労働環境の整備を目指していきます。従業員の

基本的な心構えである「私の約束」においても「私は安全を最優先し、事故の防止に努めます。」と定めています。また、マテリアリティのうち「適正な労務管理」において、勤務中の事故リスクを認識しています。労働安全衛生における基本方針をもとに、労働関係法令にのっとり、労働安全衛生の推進に努めています。

 

-労働安全衛生体制

 「安全衛生管理規程」「安全衛生委員会規程」に則り、安全衛生活動にかかる方針・目標策定と課題抽出・改善に向けた取り組みを決定しています。

 労働安全衛生法に則り、50名以上の事業場に「安全衛生委員会」を設置、法令で定められていない50名未満の事業場でも安全衛生委員会に準じた活動として「職場安全衛生ミーティング」を開催しています。また、全社を統括する仕組みとして「中央安全衛生委員会」を労使で開催しています。中央安全衛生委員会では人事担当執行役員を統括安全衛生管理者とし、関連する事業セグメント・グループ会社の安全衛生責任者が出席しています。

-中央安全衛生委員会

 中央安全衛生委員会では、毎年、基本方針・重点取り組み・月度ごとの安全衛生重点活動を安全衛生管理活動計画として策定、PDCAを回すことで安全衛生向上に努めています。各事業場では年度計画に基づき毎月安全衛生委員会を開催し、各支社および中央安全衛生委員会がその活動状況をモニタリング、継続的な改善を図っています。

 また、再発防止に向け、過去に発生した労働災害事故の原因分析と対策立案を実施、必要に応じてルール化し、水平展開を行っています。

 

度数率

年度

2020

2021

2022

2023

労働災害度数率

2.5

3.8

2.71

6.78

 

-安全衛生教育

 入社時の電気取扱特別安全教育に加え、建設施工・設備管理分野で危険を伴う作業を行う従業員に対し、労働安全衛生法に基づく特別教育および社内教育を行っています。パートナー企業を含む全ての清掃担当者が常時携帯する「クリーンクルーディライト手帳」にも、作業時の事故発生防止のために留意すべきポイントを記載し、定期的な読み合わせを行っています。

 また、ADソリューションセンターでは、「事件・事故システム」により事件・事故情報を収集・共有するとともに、分析・原因追及と再発防止のための啓発を行っています。受託物件で発生した労働災害を含むすべての事件・事故情報を常時収集するとともに、品質管理本部に共有し、各現場に対する注意喚起を都度行っています。これらの分析結果は月1回発行する「ADソリューションセンター通信」や、作業時の事故再発防止の留意点を纏めた事故対応事例集として全就業先に共有・周知を図ることで、再発防止に努めています。

 

・ダイバーシティ

 当社グループは、「サステナビリティ基本方針」において、「多様な人材が能力を発揮できる活力ある組織風土づくり」を行うことを掲げています。またダイバーシティの推進は、社会課題解決への対応だけでなく、当社グループの持続可能な成長と事業機会の創出のために必要な事項ととらえ、マテリアリティのひとつにも位置付けています。

 人種・国籍・民族・性別・年齢・出身地・宗教・学歴・心身の障がい・性的指向と性自認など理由とした差別を禁止し、従業員一人ひとりが個性や能力を十分に発揮し、活躍できる企業となることを目指しています。

 

-管理職・採用者における多様性

 当社および当社グループは創立以来、複数の合併・統合を経て成長しており、従業員・管理職はいずれもさまざまな企業出身者による多様性のある構成となっています。当社(単体)においては、中途入社者の管理職比率は2023年度時点で既に60%台半ばとなっています。

 採用においても、国籍・出身国・ジェンダーに関わらず最適な人材の確保に努めています。当社が拠点を持つ中国・アセアン地域の出身者を中心に、多様な国籍・出身国の従業員を採用しています。当社(単体)の2024年度新卒入社者のうち、大学・大学院卒において、女性は37.8%、外国人は8.1%を占めています。

 

男女賃金格差

正社員・日給月給社員(無期雇用)

時間給社員・日給月給社員(有期雇用)

すべての労働者

83.0%

72.1%

61.6%

男性育休取得率

28.6%  23.7日

 

2023年度 単体

-ワーク・ライフバランスを実現する取り組み

(時間単位年次有給休暇制度の導入)

 多様な働き方を支える柔軟な休暇取得方法として、1時間単位で取得可能な時間単位年次有給休暇制度を2023年7月より導入しました。正社員・契約社員・嘱託社員・パートタイマーを対象に、1年間に5日分を上限とした取得を可能としています。

(「育児・介護ガイドブック」の作成)

 2023年4月、従業員の出産や育児・介護での休職・勤務体制について纏めた「育児・介護ガイドブック」を作成しました。産後パパ育休などの法改正のポイントや社内規程、給付のしくみや社内相談窓口について、労働組合と協力し作成しています。従業員の仕事と家庭の両立を支援し、働きやすい職場環境づくりを目指しています。

 

(定年年齢の65歳への延長)

 2022年3月より、年齢に関係なく経験・技能・知識を積極的に活かすため、正社員における定年年齢を60歳から65歳に延長しました。60歳以降、働く場合にもこれまでと同様の職種、勤務制度が適用されます。60歳以降も役職定年制度はなく、処遇は職務・職位に重点を置く職務給制とすることで、各世代それぞれが活躍できる環境を整備しました。

 65歳の定年退職後も、本人が希望し、会社が認めた場合には70歳までの再雇用を行っています。

 

・人権尊重

 「サステナビリティ基本方針」および「イオンの人権基本方針」に基づき、国際労働機関(ILO)の「労働における基本原則および権利に関するILO宣言」に記された人権規範の遵守、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」の支持と実践による人権尊重を行っています。

 当社では、人権方針を社内に広く浸透し、事業で実践していくために、当社で就業する全ての従業員を対象に、人権に関する研修および啓発を実施しています。

 2023年度は人権研修を13,264名を対象に実施しました。役員・管理職・一般の階層別・入社時の研修を設定し、人権に関する基礎知識から「ビジネスと人権」までをテーマに開催しています。また当社グループ各社に人権啓発担当者を設置、定期的にミーティングを実施し、人権への理解浸透や課題解決に取り組んでいます。2023年度からは、従来の取り組みに加えて、人

権デューデリジェンスに着手しました。自社従業員・取引先・地域社会の3つの人権侵害の側面における6カテゴリの課題を設定し、合計33のチェック項目でのアセスメントを実施、人権への負の影響が最も大きいと推測される人権リスクを重点人権課題として特定しました。今後は、これらに対する防止・軽減のための活動を開始していきます。

 

・健康経営の推進

 当社グループは、イオンの健康経営宣言にのっとり、従業員の健康の維持向上に取り組んでいます。「心と身体の健康の増進」、「安全・安心で活力ある職場づくり」を通し、従業員の健康推進を今後も進めていきます。

 

 イオンは従業員とお客さまの健康と幸せを実現し地域社会へ貢献するために、人材こそが最大の経営資源であるとの信念に基づき、多様な人材が健康で能力を発揮し活躍し続けられる企業集団となることを目指しています。従業員一人ひとりが心身ともに健康で、長く働き続けたいと感じ、働く意欲に満ちた存在となることが、健康経営で解決したい経営上の課題であると考えています。

 従業員の健康づくりは、企業活動の要であり、従業員が健康であってこそ、地域のお客さまへ健康と幸せをもたらすサービスを提供できるという考えのもと、2016年に「イオン健康経営宣言」を発表し、健康経営を推進しています。また日本健

 

康会議より、当社および当社グループの3社は、2023年3月に健康経営優良法人の認定を受けました。また、当社および当社グループの2社は、2024年3月にも継続して認定を受けています。

 

(エ)目標と実績

2030年目標

実績

2022年度

2023年度

人手不足解消による事業継続性の向上

・連結女性管理職比率30%

・連結年間従業員退職率50%削減(正社員・契約社員・嘱託社員)(2021年度比)

・連結年間一人当たりの残業時間 50%削減(2021年度比)

・連結年間労災事故発生件数 30%削減(2021年度比)

 

22.4%

21.3%

 

230.3時間

 

72件

 

24.8%

30.1%

 

342.4時間

 

98件

※当社では環境トレンドの変化を踏まえ、長期目標の見直しを予定しております。そのため、人的資本、多様性に関する指標及び目標についても上記より変更となる可能性があります。