2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

公民共創事業 グローバルイノベーション事業 メディアPR事業
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
公民共創事業 473 36.9 131 24.8 27.8
グローバルイノベーション事業 389 30.4 139 26.1 35.7
メディアPR事業 419 32.7 260 49.1 62.2

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社グループは、当社(イシン株式会社)、子会社3社(Ishin USA, Inc.、Ishin Global Fund Ⅰ Limited及び Ishin Global Fund Ⅰ L.P.)、関連会社1社(GMOベンチャー通信スタートアップ支援株式会社)により構成されており、公民共創事業、グローバルイノベーション事業、メディアPR事業の3つの事業を主な事業として展開しております。いずれの事業においてもメディアを起点に新たな市場へ参入し、顧客の課題を解決するソリューション及びプラットフォームを立ち上げてまいりました。

サービス区分ごとの定義は以下のとおりです。

・メディア    :当社メディアに広告掲載することで収益を得るサービス。

・ソリューション  :メディア及びプラットフォームには含まれない、顧客ニーズに合わせたカスタマイズ性の高いサービス。

・プラットフォーム:主な収益はシステム利用料が中心で、同サービス上で顧客とステークホルダーの双方向性のあるサービス。

なお、Ishin Global Fund Ⅰ L.P.は東南アジアやインドのベンチャーキャピタルファンドに投資する投資事業組合であり、Ishin Global Fund Ⅰ Limitedはその運営管理を行っております。当該ファンドは主に東南アジア・インドのファンドへの投資活動及びベンチャー投資家へ海外スタートアップの情報提供を行うなど、当社グループが展開する各事業との連携や相乗効果を目的として運営しているものであり、各セグメントには配分しておりません。

当社グループの事業における当社及び関係会社の位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。また、以下に示す区分は、セグメントと同一の内容であります。

 

(公民共創事業)

当事業では、自治体と民間企業をつなぐ事業として、自治体デジタルトランスフォーメーション(DX)を中心に、防災・危機管理、学校教育・生涯学習、公共インフラ、健康福祉、地方創生などのテーマで、主に大手・中堅企業の自治体向けマーケティング等の業務を一気通貫で支援しております。

民間企業及び自治体の課題、提供するサービスは以下のとおりです。

※当該事業を展開する主な会社は、当社であります。


当社は、自治体・民間企業の両者の間に立ち、サービスを通じて両者の課題解決を支援しております。

各サービスの詳細は以下のとおりです。

 

① BtoGプラットフォーム

BtoGプラットフォームは企業の自治体向けのWebマーケティングを総合的に支援するサービスであります。主な提供サービスは、自治体職員向けに運営しているWebメディア「自治体通信Online」にて、各企業の専用ページを設置することができ、雑誌『自治体通信』に掲載した記事だけでなく、各企業のソリューション紹介やサービスカタログの設置が可能となっております。また、各企業のサービスリリースやセミナー開催などの情報を告知が出来たり、自治体職員向けのメールマガジンにて各社のソリューションの紹介も行っております。また、企業の自治体向けのマーケティング施策について、当社の社員と定期的に相談ができるカスタマーサクセスサービスもございます。以下が提供している具体的なサービスであり、プラットフォームを利用している民間企業からの月額利用料に係るSTOCK売上(注)が主な収益となっております。

(注)継続的な契約から生じる売上。

 
<BtoGプラットフォームのサービス内容(2024年3月末時点)>


(注)同サービスは、ライトプラン・スタンダードプラン・プレミアムプランの3つのプランを提供しております。ライトプランは①~③のみ、スタンダードプランは④⑤まで、プレミアムプランは⑥までが提供サービスとなっております。各プラン最低12か月以上の契約となっており、基本的な月額費用は、ライトプラン:3.5万円、スタンダードプラン:10万円、プレミアムプラン:契約内容に応じて変動となっております。
 

② 自治体通信

2014年創刊の『自治体通信』は、課題解決に取り組む自治体とその取り組みをサポートする民間企業を紹介する情報誌です。2024年3月期の発刊回数は8回で、全国約1,780か所の自治体を対象に、各担当課に直接無料で配送しております。

当サービスでは、民間企業の雑誌掲載に係る広告掲載に係るSPOT売上(注)が主な収益となっており、ソリューションを提供する民間企業のインタビューと自治体の導入事例のインタビューをセットにした記事広告を『自治体通信』の誌面に掲載しております。自治体でのソリューションの導入事例を紹介することにより、読者である自治体職員に導入イメージを喚起し、導入の動機形成を促す効果があるものと認識しており、自治体職員との商談獲得、商談資料として多面的に活用いただいております。また、雑誌という形態は、一定数あるとみられる自治体での回覧文化に沿ったものでもあり、セキュリティ対策のため庁内のWebの利用環境に制限がある自治体も多いことから、雑誌媒体によるプロモーションの有用性は高いと考えております。

(注)都度の契約から生じる売上。

 

③ テレマーケティング、ウェビナー等の各種ソリューション

テレマーケティングは、民間企業向けに自治体に対する架電業務を代行するサービスであります。具体的には、ターゲットとなる自治体のリストやトークスクリプトを作成し、当社専門チームにて自治体へ架電を行い、顧客に自治体のリード情報(資料請求した自治体の名称・担当課・担当者氏名・メールアドレス等)や調査レポートを納品いたします。当サービスでは、業務支援として、主に架電量に応じた収益を得ております。

ウェビナーは、自治体職員を集客対象としたオンラインイベントやセミナー、展示会を企画・開催するサービスです。民間企業の協賛を募り、協賛企業のソリューションのPRや、参加者リードの獲得を支援しております。いずれの場合も、民間企業からプランに応じ費用を徴収しております。

各種ソリューションサービスは、主にSPOT売上が中心となっております。

 

各サービスを提供した顧客事例は以下のとおりです。

顧客

大手通信会社

課題

・自治体に対してAI関連のITツールを販売していきたい。
・早期のシェア拡大に向けて全国の自治体にPRしたいが、自社製品をどのようにPRすれば良いか分からない。

提供サービスの変遷

①自治体通信

・自治体の導入事例を中心としたインタビューコンテンツを作成
・複数回に渡り『自治体通信』に掲載し、全国の自治体へのPRを支援

②テレマーケティング

・ターゲットとなる担当課への架電業務を支援
・自治体のリード獲得を支援

③ウェビナー

・自治体DX(注)ウェビナーの企画・集客サポート
・ソリューションの訴求及びリード獲得を支援

④BtoGプラットフォーム

・サービスカタログの掲載や定期的なプレスリリースの配信
・Web上でのリード獲得やマーケティングを支援
・『自治体通信』掲載記事のWeb掲載

 

(注)自治体DX:デジタル技術を活用し、行政業務効率化、住民手続き効率化、スマートシティ化等を実現

        するためのサービス。

 

(グローバルイノベーション事業)

当事業では、日系大手企業と国内外のスタートアップをつなぐサービスとして、成長産業に特化した情報提供サービスや各種ソリューションを通じて、大手企業のオープンイノベーション(注1)の推進を支援しております。

日系大手企業担当者(主に新規事業開発・R&D(注2)・経営企画担当者)及びスタートアップの課題、提供するサービスは以下のとおりです。


※当該事業を展開する主な会社は、当社、Ishin USA, Inc.であります。Ishin USA, Inc.では、米国での現地スタートアップの調査及び取材、現地の日系大手企業の販売及び顧客フォローを担っております。

当社は、成長産業に特化した情報提供サービスや、各種ソリューションを通じて、日系大手企業と国内外のスタートアップの両者の課題解決を支援しております。
(注)1.企業が外部のアイディアや技術を活用することで、新たな価値を創造するための手段・考え方。
   2.Research and Developmentの略称。
 

各サービスの詳細は以下のとおりです。

 

① BLITZ Portal(ブリッツポータル)

当サービスでは、日系大手企業向けに、成長産業に特化した情報ポータルサイト「BLITZ Portal(ブリッツポータル)」を提供しております。当社グループは日本、米国サンフランシスコに拠点を置き、グローバルで活動する契約リサーチャーやライターと連携しながら、国内外の成長産業の市場やスタートアップ、技術の動向を、レポートやデータベースとして提供しております。

成長産業においては変化が激しいゆえに整理された情報が少なく、特に海外のスタートアップについては情報源が英語に限られていることが多くなっております。当社グループは成長産業の市場やスタートアップ、技術の動向を日々情報収集し、独自レポートとして日本語でわかりやすく整理しております。また、米国の大手スタートアップデータベースである「Crunchbase(クランチベース)」を運営するCrunchbase, Inc.(クランチベース)とライセンス契約を結んでおり、「BLITZ Portal」に「Crunchbase」のデータの日本語版を搭載し、約310万社以上(2024年3月末時点)の国内外の企業データベースを保有しています。さらに、当社グループの取材先スタートアップは日本企業との協業を期待している企業が多く、当社グループは取材先スタートアップと日系大手企業をマッチングするサポートも行っております。
  

<BLITZ Portalのサービス概要(2024年3月末時点)>


当サービスは月額利用料に係るSTOCK売上を主な収益としております。顧客企業の利用者にIDを付与し、ID数に応じて月額利用料を徴収しております。

 

② 研修・イベントサービス

スタンフォード大学やカリフォルニア大学バークレー校の教授を講師として招いたグローバルイノベーション研修や、オープンイノベーションに特化し大手企業やスタートアップが登壇する大型イベントなど、日系大手企業のイノベーション活動を支援する様々なソリューションを展開しております。当サービスでは、研修提供に係る収益及びイベントの協賛や参加に係るSPOT売上が中心となっております。

 

③ TECHBLITZ

世界のスタートアップエコシステムを取材・調査し、イノベーション創発に役立つコンテンツを配信しているメディア「TECHBLITZ」を運営しております。読者は無料で閲覧できるメディアとなっており、国内外の有望スタートアップに取材し先進事例となるソリューションや技術を紹介するインタビューコンテンツや、事業会社やVC・学術関係者からイノベーション創発の事例、概況、トレンドに係るコンテンツを掲載しており、大手企業の担当者が日々情報収集をする際に活用されております。

 

(メディアPR事業)

当事業では、主に成長ベンチャー企業向けにブランディング及び採用支援を行っております。近年、クチコミやSNSなどで風評被害につながるケースが増加しており、企業が正しい情報をステークホルダーにわかりやすく伝達する必要性が高まっております。

当社はメディアの広告やCMS(注)の提供を通じて、顧客がステークホルダーに対して自社の魅力やビジョンを発信することを支援しており、特に採用需要の旺盛な成長企業を中心に導入が進んでおります。また、成長ベンチャー企業の経営者とのネットワークを活かした大型のカンファレンスも開催しております。

(注)CMS:Contents Management Systemの略称であり、Web専門知識がなくとも、簡単にWebサイトの作成・更新・運営ができるシステム。

 

成長ベンチャー企業の経営者及びステークホルダーの課題、提供するサービスは以下のとおりです。


各サービスの詳細は以下のとおりです。

※当該事業を展開する主な会社は、当社であります。

 

① 各種メディア

当サービスでは複数のメディアを運営しており、その中でも主力メディアは、ベンチャー業界メディアの『ベンチャー通信』「ベンチャー通信Online」であります。提供サービスの特徴は二つあり、一つは企業の伝えたいメッセージをユーザーにわかりやすく伝える記事広告を制作している点であります。もう一つはSEO(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)の効果が期待できる点で、顧客の社名・社長名で検索した際に、当社サイトに掲載されている記事が検索順位の上位に表示されやすくなっております。当サービスでは、雑誌掲載に係るSPOT売上及びオンラインメディア掲載に係る月額の広告掲載料に係るSTOCK売上が主な収益となっており、主に経営者インタビューを中心とした記事広告を『ベンチャー通信』「ベンチャー通信Online」に掲載しております。

また、もう一つの主力サービスである「ベストベンチャー100」は、成長が期待されるベンチャー企業向けの有料会員制サービスとなっており、会員企業に対するコミュニティ形成及び会員企業のブランディングや採用支援を目的として、Webメディア「ベストベンチャー100」の掲載や、カンファレンス及び経営者交流会を開催しております。当サービスは、会員企業からの月額会員費用に係るSTOCK売上が主な収益です。

 

② HIKOMA CLOUD

企業の採用ページ制作に特化したCMSを提供し、自社サイトを通じた採用活動の支援をしております。CMSの提供に加えて、コンテンツ制作の支援やカスタマーサクセスチームの伴走のもと、サイト改善や求人広告の運用サポートを行っております。当事業は、CMSの月額利用料及び求人広告の運用の手数料といったSTOCK売上が主な収益となります。

 

③ 大型イベント

成長が著しいベンチャー企業の経営者を中心に集めた「ベストベンチャー100カンファレンス」を開催しております。主に成長企業に対してマーケティングをしたいBtoB企業にスポンサーとして協賛していただき、イベントでの自社ソリューションのプレゼン機会や参加者リード、経営者とのマッチング機会の提供、といったサービスを提供しております。イベント協賛金に係るSPOT売上が主な収益となります。
 

 

以上、各3事業でメディア、ソリューション、プラットフォームを展開しており、事業ごとに展開しているサービスは以下のとおりです。

 


 

事業の系統図は、次のとおりであります。

 


業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は1,515,493千円となり、前連結会計年度末に比べ435,209千円増加いたしました。これは主に新株の発行及び年間利用料を前受で収受する契約が増加したことにより現金及び預金が444,095千円増加したことによるものであります。固定資産は484,156千円となり、前連結会計年度末に比べ48,687千円減少いたしました。これは主にIshin SG Pte. Ltd.の清算結了等により繰延税金資産が28,507千円、Ishin Global Fund Ⅰ L.P.で保有する投資有価証券が11,265千円減少したことによるものであります。

この結果、総資産は、1,999,650千円となり、前連結会計年度末に比べ386,522千円増加いたしました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は508,739千円となり、前連結会計年度末に比べ71,923千円増加いたしました。これは主に未払法人税等が28,924千円、前受収益が15,290千円、未払金が10,635千円増加したことによるものであります。固定負債は4,271千円となり、前連結会計年度末に比べ2,220千円増加いたしました。これは主に本社オフィスの複合機入れ替えに伴うリース債務の計上によるものであります。

この結果、負債合計は、513,010千円となり、前連結会計年度末に比べ74,144千円増加いたしました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は1,486,639千円となり、前連結会計年度末に比べ312,378千円増加いたしました。これは主に新株の発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ119,232千円増加したこと、また親会社株主に帰属する当期純利益126,279千円を計上したことにより利益剰余金が増加したこと、並びに為替換算調整勘定が9,292千円増加した一方、Ishin Global Fund Ⅰ L.P.における非支配株主持分が61,073千円減少したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は47.3%(前連結会計年度末は35.5%)となりました。

 

② 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、行動制限解除や海外からの入国制限の緩和等により、社会経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方、中東地域やロシア・ウクライナをめぐる国際情勢の深刻化・長期化によるエネルギー・資源コストの高騰が国内物価にも影響するなど、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

このような環境下において、当社は「世界的な視野を持った事業家たちが差別化された事業を通じて社会の進化に貢献する」という理念のもと、官公庁と民間企業の共創を支援する「公民共創事業」、イノベーションをテーマに情報ポータルサービスを提供する「グローバルイノベーション事業」、メディアを通じて成長企業のブランディング・マーケティング支援を行う「メディアPR事業」の3つの事業を展開しております。

当社を取り巻く環境としては、従来より国が推し進めている地方自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)や民間企業のオープンイノベーションの推進の動きは、引き続き事業の追い風となっております。特に公民共創事業においては業容拡大の機会と捉え、積極的な事業推進・商品開発に努めてまいりました。

この結果、当連結会計年度における当社グループの事業は順調に拡大を続け、売上高は1,280,091千円(前年同期比11.5%増)、営業利益は200,958千円(前年同期比110.7%増)、経常利益は188,302千円(前年同期比69.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は126,279千円(前年同期比50.7%増)となりました。

 

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

(公民共創事業)

公民共創事業では、企業の自治体向けマーケティング・販促及び各種営業支援を展開しております。主力サービスである雑誌『自治体通信』の新規獲得が好調に進捗したことに加え、もう一つの主力サービスである「BtoGプラットフォームサービス」では、高単価プランが寄与したことにより売上高が伸長いたしました。また、費用面においてもマーケティングコスト等の最適化を図ったことにより、売上高の増加と相まって収益性も向上いたしました。

この結果、当連結会計年度におけるセグメント売上高は472,680千円(前年同期比13.3%増)、セグメント利益は131,208千円(前年同期比76.7%増)となりました。

 

(グローバルイノベーション事業)

グローバルイノベーション事業では、グローバル研修サービスでの大型案件を受注したことにより、売上高が増加いたしました。また、主力サービスである成長産業に特化した情報ポータルサイト「BLITZ Portal」(ブリッツポータル)も、前期からのアカウントの積み上げにより堅調に推移いたしました。

この結果、当連結会計年度におけるセグメント売上高は388,642千円(前年同期比16.0%増)、セグメント利益は138,564千円(前年同期比21.3%増)となりました。

 

(メディアPR事業)

メディアPR事業では、主力サービスである『ベンチャー通信』に加え、3月に開催した「ベストベンチャー100カンファレンス」のイベントスポンサーの受注が好調に進捗した結果、売上高が増加いたしました。同イベントでは、成長企業の経営者を中心に約500名ほどの方々にご参加いただき、過去最大規模のイベントとなりました。

この結果、当連結会計年度におけるセグメント売上高は418,768千円(前年同期比5.8%増)、セグメント利益は260,270千円(前年同期比5.7%増)となりました。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して444,095千円増加し、1,324,180千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、225,831千円の収入(前連結会計年度は106,014千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益191,633千円(前連結会計年度は106,904千円)の計上、減価償却費13,168千円(前連結会計年度は11,554千円)の計上があった一方、法人税等の支払額21,585千円(前連結会計年度は72,541千円)、為替差益24,135千円(前連結会計年度は19,791千円)があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、24,302千円の支出(前連結会計年度は17,896千円の支出)となりました。これは主に、Ishin Global Fund Ⅰ L.P.において出資金の払込による支出26,498千円(前連結会計年度は25,181千円の支出)があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、208,739千円の収入(前連結会計年度は788千円の支出)となりました。これは主に株式の発行による収入235,060千円があった一方、Ishin Global Fund Ⅰ L.P.において非支配株主への配当金の支払額23,526千円があったことによるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績

生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b 受注実績

受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。

 

c 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売実績(千円)

前年同期比(%)

公民共創事業

472,680

113.3

グローバルイノベーション事業

388,642

116.0

メディアPR事業

418,768

105.8

合計

1,280,091

111.5

 

(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が10%未満のため、記載を省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」及び「第5経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。また、連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

(固定資産の減損)

当社は、固定資産の減損の兆候がある資産又は資産グループにつき、将来の収益性が著しく低下した場合には、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。固定資産における回収可能価額の評価は、当社の取締役会が承認した事業計画を基礎として作成しており、事業計画における主要な仮定は、過年度の実績数値を基に、事業計画策定時において入手可能な情報及び市場環境等を織り込んだ将来の受注金額予測並びに人員計画に含まれる将来の増員見込であります。これらの前提条件は長期的な見積りに基づくため、将来の経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

当連結会計年度における売上高は1,280,091千円となり、前連結会計年度に比べ132,085千円増加(前年同期比11.5%増)いたしました。これは主に、公民共創事業が自治体向けのマーケティング支援サービス「BtoGプラットフォームサービス」を順調に拡販したことなどにより55,540千円増加(前年同期比13.3%増)したこと、及びグローバルイノベーション事業がグローバル研修サービスで大型案件を受注したことなどにより53,699千円増加(前年同期比16.0%増)したこと、並びにメディアPR事業がイベントのスポンサー受注を好調に進捗したことなどにより22,846千円増加(前年同期比5.8%増)したことによるものであります。

 

(売上原価及び売上総利益)

当連結会計年度における売上原価は315,594千円となり、前連結会計年度に比べ49,321千円増加(前年同期比18.5%増)いたしました。これは主に、高知オフィスの新設に伴い人件費・通信費などの事務所関連コストが増加したこと、及び公民共創事業のイベント集客に伴うDM発送費用が増加したことによるものであります。

この結果、当連結会計年度における売上総利益は964,497千円となり、前連結会計年度に比べ82,763千円増加(前年同期比9.4%増)いたしました。

 

(販売費及び一般管理費、営業損益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は763,538千円となり、前連結会計年度に比べ22,806千円減少(前年同期比2.9%減)いたしました。これは主に、増員により人件費が増えた一方、各種管理コストの見直しを進め、業務委託費や採用教育費などが減少したことによるものであります。

この結果、当連結会計年度における営業利益は200,958千円となり、前連結会計年度に比べ105,570千円増加(前年同期比110.7%増)いたしました。

 

(営業外収益、営業外費用及び経常損益)

当連結会計年度において、営業外収益が31,457千円、営業外費用が44,113千円発生しております。

この結果、当連結会計年度における経常利益は188,302千円となり、前連結会計年度に比べ77,255千円増加(前年同期比69.6%増)いたしました。

 

(法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額、親会社株主に帰属する当期純損益)

当連結会計年度において、法人税、住民税及び事業税に43,096千円、法人税等調整額に30,668千円を計上しております。

この結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は126,279千円となり、前連結会計年度に比べ42,506千円増加(前年同期比50.7%増)いたしました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループにおける資金需要のうち主なものは、人材獲得及び維持に係る人件費、新規・既存事業拡販のための広告宣伝費及び販売促進費、新サービス提供に係るシステム開発費及びその維持費等の運転資金であります。当社グループは、これらの資金需要に対する資本の財源としてこれまでは自己資金のみにて対応してまいりましたが、今後は必要に応じて金融機関からの借入、エクイティファイナンス等による資金調達も検討し、事業規模の拡大と事業運営上必要な資金の流動性及び財源の安定的な確保を両立させてまいる方針です。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行う予定です。

 

⑤ 経営戦略の現状と見通し

経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

 

⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な経営指標」に記載のとおり、主な経営指標として、より高い成長性及び収益性を確保する観点から、売上高成長率、営業利益率を重視しております。また、成長領域である公民共創事業において、ソリューションサービス及びプラットフォームサービスの契約社数及び単価の最大化を目指していることから、ソリューションサービスの受注額及び契約社数、プラットフォームサービスのMRR及び契約社数を、成長戦略における重要指標としております。これらの指標につきましては今後も継続的に増加させるよう努めてまいります。

 

各指標についての推移は以下のとおりであります。

 

 

2023年3月

2024年3月

グループ

売上高成長率(%)

12.1

11.5

営業利益率(%)

8.3

15.7

公民共創事業

ソリューションサービス
売上高(千円)

104,917

101,452

ソリューションサービス
契約社数(社)(注1) 

91

122

プラットフォームサービスMRR(千円)(注2)

4,412

9,326

プラットフォームサービス契約社数(社)(注2)

55

59

 

(注) 1.当該期間に契約した取引先の総数を記載しております。

2.BtoGプラットフォームのスタンダードプランとプレミアムプランのSTOCK売上を対象とし、MRRは当該期末時点の各プランの合算数値、契約社数は当該期間に契約した取引先の総数を記載しております。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)
【セグメント情報】
1.報告セグメントの概要

当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために定期的に検討を行う対象となっているものであります。

当社グループは、事業所及び連結子会社を拠点として事業活動を行っており、事業の内容、役務の提供方法並びに類似性に基づき事業を集約し、「公民共創事業」「グローバルイノベーション事業」「メディアPR事業」の3つを報告セグメントとしております。

各事業の主要な業務は以下のとおりです。

公民共創事業:企業の自治体向けマーケティング支援業務

グローバルイノベーション事業:日系大手企業のグローバルオープンイノベーション支援業務

メディアPR事業:成長企業のブランディング及び採用支援

 

2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、その他の項目の金額の算定方法

報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」における記載と概ね同一であります。

報告セグメントの利益は、営業利益の数値であります。セグメント間の内部収益及び振替高は市場実勢価格に基づいております。

 

3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報及び収益の分解情報

前連結会計年度(自2022年4月1日 至2023年3月31日)

(単位:千円)

 

 

報告セグメント

調整額

(注)1.

連結財務諸表計上額
 (注)2.

 

公民共創事業

グローバルイ

ノベーション

事業

メディアPR

事業

売上高

 

 

 

 

 

 

一時点で移転される財又はサービス

283,896

35,966

84,841

404,704

404,704

一定の期間にわたり移転される財又はサービス

133,244

298,976

311,080

743,300

743,300

顧客との契約から生じる収益

417,140

334,942

395,922

1,148,005

1,148,005

外部顧客への売上高

417,140

334,942

395,922

1,148,005

1,148,005

セグメント間の内部売上高又は振替高

417,140

334,942

395,922

1,148,005

1,148,005

セグメント利益

74,237

114,214

246,139

434,591

△339,203

95,388

セグメント資産

56,931

168,201

64,838

289,970

1,323,156

1,613,127

その他の項目

 

 

 

 

 

 

減価償却費

4,253

5,861

10,114

1,440

11,554

減損損失

2,809

2,809

2,809

有形固定資産及び無形固定資産の増加額

18,435

18,435

5,858

24,294

 

(注) 1.調整額の内容は以下のとおりであります。

(1) セグメント利益の調整額△339,203千円は、各報告セグメントに配分していない全社費用であります。全社費用は、報告セグメントに帰属しない本社部門等で生じた販売費及び一般管理費であります。

(2) セグメント資産の調整額1,323,156千円は、各報告セグメントに配分していない全社資産であります。

(3) 減価償却費の調整額1,440千円は、各報告セグメントに配分していない全社資産に係る減価償却費であります。

(4) 有形固定資産及び無形固定資産の増加額の調整額5,858千円は、各報告セグメントに配分していない全社資産に係る資産の増加額であります。

2.セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。

 

当連結会計年度(自2023年4月1日 至2024年3月31日)

(単位:千円)

 

 

報告セグメント

調整額

(注)1.

連結財務諸表計上額
 (注)2.

 

公民共創事業

グローバルイ

ノベーション

事業

メディアPR

事業

売上高

 

 

 

 

 

 

一時点で移転される財又はサービス

325,267

74,435

114,839

514,542

514,542

一定の期間にわたり移転される財又はサービス

147,413

314,206

303,928

765,548

765,548

顧客との契約から生じる収益

472,680

388,642

418,768

1,280,091

1,280,091

外部顧客への売上高

472,680

388,642

418,768

1,280,091

1,280,091

セグメント間の内部売上高又は振替高

472,680

388,642

418,768

1,280,091

1,280,091

セグメント利益

131,208

138,564

260,270

530,043

△329,084

200,958

セグメント資産

72,076

133,436

70,062

275,575

1,724,074

1,999,650

その他の項目

 

 

 

 

 

 

減価償却費

10,675

10,675

2,492

13,168

減損損失

有形固定資産及び無形固定資産の増加額

687

687

4,529

5,217

 

(注) 1.調整額の内容は以下のとおりであります。

(1) セグメント利益の調整額△329,084千円は、各報告セグメントに配分していない全社費用であります。全社費用は、報告セグメントに帰属しない本社部門等で生じた販売費及び一般管理費であります。

(2) セグメント資産の調整額1,724,074千円は、各報告セグメントに配分していない全社資産であります。

(3) 減価償却費の調整額2,492千円は、各報告セグメントに配分していない全社資産に係る減価償却費であります。

(4) 有形固定資産及び無形固定資産の増加額の調整額4,529千円は、各報告セグメントに配分していない全社資産に係る資産の増加額であります。

2.セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。

 

 

【関連情報】

前連結会計年度(自2022年4月1日 至2023年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報
(1) 売上高

本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

(2) 有形固定資産

本邦以外に所有している有形固定資産がないため、該当事項はありません。

 

3.主要な顧客ごとの情報

外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がいないため、記載を省略しております。

 

当連結会計年度(自2023年4月1日 至2024年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報
(1) 売上高

本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

(2) 有形固定資産

本邦以外に所有している有形固定資産がないため、該当事項はありません。

 

3.主要な顧客ごとの情報

外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がいないため、記載を省略しております。

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

前連結会計年度(自2022年4月1日 至2023年3月31日)

セグメント情報の中で同様の情報が開示されているため、記載を省略しております。

 

当連結会計年度(自2023年4月1日 至2024年3月31日)

該当事項はありません。

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

該当事項はありません。

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

該当事項はありません。