人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数889名(単体) 3,720名(連結)
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平均年齢39.2歳(単体)
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平均勤続年数11.4年(単体)
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平均年収13,233,495円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
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2025年12月31日現在 |
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従業員数(人) |
3,720 |
[602] |
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(注)1 従業員数は、当社グループ(当社及び当社の子会社)から当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員数であります。
2 従業員数欄の[ ]は外数で、臨時従業員の当連結会計年度における平均雇用者数であります。なお、平均臨時雇用者数には、海外における開発プロジェクト推進のため契約ベースにより雇用する現地従業員、国内における石油・天然ガス関連事業に従事する契約社員、嘱託、並びに派遣社員等が含まれております。
3 当社グループは、多くの部門において、同一の従業員が複数の事業に従事しており、セグメント情報と関連付けた適切な従業員数を記載することが困難なため、区分しておりません。
(2)提出会社の状況
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2025年12月31日現在 |
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従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
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889 |
[68] |
39.2 |
11.4 |
13,233,495 |
(注)1 2008年10月1日付で、当社は国際石油開発株式会社及び帝国石油株式会社を吸収合併しております。平均勤続年数は、合併以前における国際石油開発株式会社及び帝国石油株式会社での勤続年数を通算しております。なお、平均年齢及び平均勤続年数については他社からの出向者を含めておりません。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。なお、海外現地採用及び他社からの出向者を含めておりません。
3 従業員数欄の[ ]は外数で、臨時従業員の平均雇用者数であります。なお、平均臨時雇用者数には、海外における開発プロジェクト推進のため契約ベースにより雇用する現地従業員、国内における石油・天然ガス関連事業に従事する契約社員、嘱託、並びに派遣社員等が含まれております。
4 当社は、多くの部門において、同一の従業員が複数の事業に従事しており、セグメント情報と関連付けた適切な従業員数を記載することが困難なため、区分しておりません。
(3)多様性に関する指標
① 提出会社
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2025年12月31日現在 |
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当事業年度 |
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管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)2 |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注)3 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)4 |
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全労働者 |
正規雇用労働者 |
パート・有期労働者 |
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5.6 |
78.1 |
66.0 |
64.5 |
93.2 |
② 連結子会社
当事業年度の主要な連結子会社の多様性に関する指標は、以下のとおりです。
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会社名 |
管理職に占める女性労働者の割合(%) |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注)3 |
労働者の男女の賃金の差異(%) |
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全労働者 |
正規雇用労働者 |
パート・有期労働者 |
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㈱INPEX JAPAN(注)5 |
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㈱INPEXパイプライン |
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100 |
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(注)1 提出会社から他社への出向者は、提出会社に含んで集計しております。なお、海外現地採用及び他社からの出向者を含めておりません。
2 管理職に占める女性労働者の割合は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
3 男性労働者の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
4 労働者の男女の賃金の差異について、「同一労働同一賃金」を原則としておりますが、正規雇用における主たる格差の要因は、管理職比率に表されるように相対的に賃金の高い役職における男女比率が異なることが挙げられます。また、非正規雇用における賃金格差の主たる要因は、高度な専門性や経験を必要とする職務に男性が多いことが挙げられます。
5 株式会社INPEX JAPANにおける「男性労働者の育児休業取得率」及び「労働者の男女の賃金の差異」は、出向元の提出会社で算出しています。
6 上記の会社を除く連結子会社については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
(4)労働組合の状況
特記する事項はありません。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社は、エネルギーの安定供給とエネルギー・トランジションへの取組みを両輪で推進し、事業やバリューチェーンを通じて気候変動をはじめとしたサステナビリティの課題に取り組むことを、サステナビリティ経営の基本的な考え方としています。この考え方のもと、当社グループ及び当社グループのステークホルダー双方にとって重要度の高いサステナビリティに関するマテリアリティ(重要課題)を中心にサステナビリティ経営を実践しています。
(1)サステナビリティ全般
①ガバナンス
(a)組織体制
当社グループのサステナビリティ推進のためのガバナンス体制図は以下のとおりです。
2025年12月31日時点
1INPEX Value Assurance System(IVAS)審査会:プロジェクトの価値向上及び推進に関する当社グループの意思決定に資することを目的とした審査会
(b)サステナビリティ関連の課題に対する監督機能としての取締役会機関
取締役会は、グループ全体のサステナビリティ関連のリスク及び機会に対応するための経営戦略をはじめ、中長期的な企業価値の向上に向けた取組み監督機関として、責任を負っており、取締役会は、当社グループの重要なサステナビリティ課題を監督する立場にあります。取締役会メンバーはサステナビリティ分野のスキルを有しています。詳細は「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③コーポレート・ガバナンス体制 a)取締役及び取締役会 i)取締役及び取締役会の活動状況 取締役及び監査役のスキルマトリックス」に記載しています。また、取締役会メンバーの知見向上の取組みとして、社外有識者による講演・意見交換会を実施し、サステナビリティに関連する世間動向や課題に対する知見を深めています。
取締役会では定期的にサステナビリティに関するリスク及び機会に関する議題について、世界動向や事業とのトレードオフなど多角的な面から議論がなされており、2025年には、全15回開催された取締役会中13回でサステナビリティに関する議論が行われました。
サステナビリティに関連する目標については、年1回取締役会で報告されます。また、特に重要性が高い目標については、当社の代表取締役をはじめ全ての取締役(社外取締役を除く)の報酬のKPIとして採用しています。株式報酬のKPIとして温室効果ガス排出原単位、賞与のKPIとして安全指標(重大な事故ゼロ※1)を採用しています。
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項目 |
評価ウェイトに占める割合 |
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株式報酬のKPI |
温室効果ガス排出原単位 |
10% |
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賞与のKPI |
安全指標(重大な事故ゼロ) |
10% |
※1 オペレータープロジェクトにおける、死亡事故、重篤負傷、重大漏えい
(c)業務執行体制
イ)経営会議
サステナビリティを含む業務執行の決定に関しては、意思決定の迅速化の観点から、経営会議を設置し、取締役会の決議事項に属さない事項についての機動的な意思決定を行うとともに、取締役会の意思決定に資するための議論を行っています。経営会議は毎週ないし適宜開催されます。当社の経営会議は、常勤の取締役、本部長である執行役員及び議長が必要と判断し経営会議の決議によって選任された執行役員をもって構成されています。経営会議の議長は代表取締役社長が務めることとしています。
ロ)代表取締役社長並びに各部門及び子会社
代表取締役社長は、責任者として、当社グループを代表し当社グループのサステナビリティを含む業務を執行します。また、本部長又は担当役員である執行役員は、委嘱された特定の部門及び子会社に係る業務を執行します。委嘱された特定の部門及び子会社に係る各業務執行者は、サステナビリティ関連事項についての各種施策・取組みの進捗を管理し、経営会議に報告しています。
ハ)サステナビリティ推進委員会
当社グループの社会的責任を果たし、社会の持続可能な発展に貢献する取組みを推進することを目的としてサステナビリティ推進委員会を設置しています。本委員会は代表取締役社長を委員長とし、代表取締役、総務本部長、経営企画本部長、コンプライアンス委員会委員長、コーポレートHSE委員会委員長から構成され、サステナビリティに関する基本方針、同推進に関する重要事項等を審議しています。サステナビリティ推進委員会で議論された内容は、経営会議・取締役会でも決議・報告されています。また、サステナビリティ推進委員会の下部組織として、各本部の実務者レベルで構成するサステナビリティ推進ワーキンググループ及び気候変動対応推進ワーキンググループを設置し、全社横断的な協議推進体制を整備しています。
主な議題
・サステナビリティ経営の実績と取組み方針
・当社グループのマテリアリティ(重要課題)
・「気候変動対応の基本方針」の改定
・気候変動関連リスク及び機会の評価
・人権の対応状況と今後の取組み
・非財務情報のガバナンスとマネジメント
・社会貢献活動計画
②戦略
(a)方針
当社は、経営理念を踏まえた「サステナビリティ憲章」を定め、当社グループ及び当社グループのステークホルダーの双方にとって重要度の高いサステナビリティに関するマテリアリティ(重要課題)を特定しています。当社グループのマテリアリティは環境・社会が当社グループに与える財務影響及び当社グループが環境・社会へ与える影響を勘案の上、特定しています。特定された6つのマテリアリティの内、「気候変動対応」、「セーフティ」及び「人的資本」は、環境・社会が当社グループに与える財務影響が重大であることより財務マテリアリティとして選定しています。当社グループはマテリアリティごとに当社グループが優先的に行うべき課題について「アクションプラン」を定めた上で、当社グループの各部署のPDCAサイクルに組み込み、継続的に改善に取り組んでいます。各財務マテリアリティの詳細は、後掲のとおりです。財務マテリアリティ以外のマテリアリティの詳細に関しては2026年6月末発行予定の「サステナビリティレポート2025」をご覧ください。
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経営理念 私たちは、エネルギーの開発・生産・供給を、持続可能な形で実現することを通じて、より豊かな社会づくりに貢献します。 |
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サステナビリティ憲章 当社グループは、事業活動を通じて社会的責任を果たす信頼される企業であり続けるとともに、中長期的かつ持続的な企業価値の向上を図ります。経営トップの率先垂範の下、実効あるガバナンス体制を構築して社内・グループ企業に周知徹底を図り、ステークホルダーの関心に配慮しつつ、以下の原則に基づき、事業やバリューチェーンを通じてサステナビリティの課題に積極的に取り組んでいきます。 ・社会に不可欠なエネルギーを、よりクリーンな形で安定的かつ効率的に供給します。 ・気候変動対応やネットゼロカーボン社会への移行に貢献するべく、エネルギー構造の変革に積極的に取り組みます。 ・従業員をはじめ事業に関わる全ての人々の健康と安全を確保し、安全操業・管理を徹底します。また、地球環境課題に取り組み、環境価値の創造に努めます。 ・法令を遵守し、人権を含む各種の国際規範や操業地域における社会的規範に沿った良識ある行動をとります。 ・広くステークホルダーとのコミュニケーションを図り、企業情報を積極的かつ公正に開示します。 ・ダイバーシティを尊重するとともに、働きやすい環境や人材の能力を最大限に発揮する機会を提供し、活力とイノベーションの創出につなげます。 ・各国・各地域の文化・習慣に配慮し、当該国・地域の経済社会の発展に貢献します。 |
また、経営理念を体現するために、役員及び従業員が共通に大切にする価値観として「INPEXバリュー」を制定しています。
INPEXバリュー
(b)財務マテリアリティ
3つの財務マテリアリティ(「気候変動対応」、「セーフティ」及び「人的資本」)に対するアクションプランは下表のとおりです。なお、マテリアリティは毎年見直しを行っております。
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財務マテリアリティ |
アクションプラン |
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気候変動対応 |
気候変動対応目標達成の推進 |
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天然ガス/LNG事業の拡大 |
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低炭素ソリューションの取組み |
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電力事業とその周辺分野での事業展開 |
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セーフティ |
重大災害防止 |
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労働安全衛生の確保 |
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人的資本 |
エンゲージメントの強化とDE&Iの推進 |
(c)サステナビリティ関連のリスク及び機会
イ)リスク及び機会
各財務マテリアリティのリスク及び機会と、これに関連する対策状況等の詳細においては、後述の「(2)気候変動対応、(3)セーフティ、(4)人的資本それぞれの(b)リスク及び機会」に記載しております。
ロ)リスク及び機会のトレードオフ
当社グループでは各事業(石油・天然ガス上流事業、再生可能エネルギー事業及びCCS・水素事業)の各フェーズにおける技術的な評価及び環境・社会への影響評価を組織横断的に行う「INPEX Value Assurance System(IVAS)審査会」の実施や各事業における経済性評価及びリスク評価を定期的に行うことで、財務マテリアリティにおけるトレードオフの低減に努めています。
ハ)時間軸
リスク及び機会の影響が生じると合理的に見込み得る時間軸については、当社グループが戦略的意思決定に用いる計画期間である中期経営計画に合わせて、「短期」を1年未満、「中期」を1年以上~3年未満、及び「長期」を3年以上と定義しています。
(d)レジリエンス
当社が2025年2月に発表した「INPEX Vision 2035」は、昨今の経営環境や社会情勢等の変化を踏まえつつ2035年に向けた当社グループの長期的な戦略を示したものです。「INPEX Vision 2035」の達成に影響を与える不確実性が高いリスクについては、毎年見直しを実施するとともに、レジリエンス評価の結果は当社の戦略の策定やビジネスモデルの調整に生かしております。当社の見通しへの影響が大きい気候レジリエンスの詳細については、「(2)気候変動対応」に記載しております。
③リスク管理
当社は、業務の効率的運営及び責任体制の確立を図るため取締役等を本部長とする本部制を採用しています。これに従い、初めに本部などの各担当部門が、社内規程やガイドラインに基づき緊密に連携したうえで、リスクの特定・識別・分析・評価を実施しています。このうち、個別プロジェクトにおける事業上の主要リスクは経営会議にて統合的管理・対処方針の討議・決定が行われます。また、必要に応じて取締役会にも報告され、十分な監督機能が果たされているほか、経営の公正性・透明性の確保がなされています。さらに、日常業務に係るリスク管理の運営状況等については、社長直属の内部監査部門による監査、その他社内担当部署あるいは社外専門家による監査等を通じ、これを検証・評価するとともに、環境の変化に応じた不断の見直しを行っています。
当社グループの具体的なリスク管理体制は、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ④内部統制システムの整備の状況 j)その他当社の監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制 <リスク管理体制>」及び「(2)気候変動対応、(3)セーフティ、(4)人的資本の③リスク管理」に記載しております。
リスク管理体制図
④指標及び目標
マテリアリティに関する指標及び目標、実績については、「(2)気候変動対応、(3)セーフティ、(4)人的資本それぞれの④指標及び目標」及び2026年6月末発行予定の「サステナビリティレポート2025」をご覧ください。
(2)気候変動対応
①ガバナンス
ガバナンスの体制については、「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」に記載しております。
②戦略
(a)方針
当社は、2015年12月に「気候変動対応の基本方針」を発行し、その後、パリ協定目標達成に向けた各国の取組みを支持するため、2021年1月に2050年自社排出量ネットゼロ(Scope1+2)目標を定めました。以降、外部環境の変化や長期戦略及び中期経営計画の更新に合わせて、方針及び2050年自社排出ネットゼロを目指すための目標を見直しています。2025年2月には「INPEX Vision 2035」の発表にあわせて「気候変動対応の基本方針」を改定しました。
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気候変動対応の基本方針 1.当社は、今後も増加する我が国及び世界のエネルギー需要に応え、長期にわたり引き続き、エネルギーの安定供給の責任を果たしつつ、2050年ネットゼロの実現に向けたエネルギー構造の変革に積極的に取組みます。 2.気候変動に関するパリ協定目標の実現に貢献すべく、2050年自社排出ネットゼロを目指す気候変動対応目標を設定します。 3.ネットゼロの実現に向けて、社会のニーズに応えるべく、低炭素化の取組みを確実に推進します。具体策として、「現実的な移行期の燃料」としての天然ガスをよりクリーンな形で供給していきます。加えて、第三者向けにCCSやクリーン水素・アンモニア等の低炭素化ソリューションを提供するとともに、電力関連分野の新たな取組みを強化します。 |
(b)リスク及び機会
当社では、毎年当社グループの気候変動関連リスク及び機会の評価を行っています。リスク及び機会の評価結果は以下のとおりです。
2025年末における気候変動関連リスク/機会の評価結果
(短期:1年未満、中期:1~3年未満、長期:3年以上)
移行リスク
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リスク区分 |
リスク評価対象 |
リスク発生時期見込 |
対策状況 |
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政策・法規制 |
IEA-NZEシナリオで世の中が推移し、プロジェクト所在国・地域が気候変動対策を強化した結果、カーボンプライシング制度やメタン排出管理規制及び環境法令等の 導入・強化により、Scope1,2排出量に対する直接的コストが増加するリスク |
短期~長期 |
・プロジェクトの温室効果ガス排出量削減に向けた取組みの推進 ・プロジェクト所在国・地域の政策や動向のモニタリング ・財務的評価、経済性評価の実施 ・プロジェクト操業におけるクリーン電力の導入 ・2030年までに通常操業時ゼロフレア ・メタン排出原単位0.1%を維持するための管理 ・OGMP2.0に加盟しノンオペレータープロジェクトも含めたMRV(Measurement, Reporting and Verification)を強化 ・カーボンクレジット戦略の策定・実行 ・関連するステークホルダーとのエンゲージメント |
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政策・法規制 |
石油ガス事業を進める上で生じる気候関連訴訟リスク |
短期~長期 |
・プロジェクトの温室効果ガス排出量削減に向けた取組みの推進 ・世界情勢の把握 ・社内ガバナンス体制の構築 ・適時・適切な開示 ・関連するステークホルダーとのエンゲージメント ・物理的リスク評価の実施 |
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技術・市場 |
IEA-NZEシナリオで世の中が推移したにもかかわらず、当社のCCS・水素の商業化がさらに遅延するリスク |
中期~長期 |
・プロジェクト所在国・地域の政策や動向、技術進展のモニタリング ・世界情勢の把握 ・新規技術開発への投資 ・技術向上への各施策 ・コスト削減の取組み ・営業活動の推進 ・関連するステークホルダーとのエンゲージメント |
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市場 |
投資家や金融機関から当社の事業内容や温室効果ガス排出量削減に向けた取組み及び情報開示が不十分とみなされ、資金調達に悪影響を及ぼすリスク |
短期~中期 |
・プロジェクトの温室効果ガス排出量削減に向けた取組みの推進 ・TCFD提言等に沿った情報開示の推進 ・投資家や金融機関との対話等エンゲージメントの実施 ・調達先とのエンゲージメントや資金調達先の多様化に向けた検討 |
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市場 |
再生可能エネルギーやEV等の低炭素エネルギー選好により、石油ガスの需要が減少するリスク |
長期 |
・事業ポートフォリオの見直し ・プロジェクトの温室効果ガス排出量削減に向けた取組みの推進 ・プロジェクト所在国・地域の政策や動向、技術進展のモニタリング ・CCS等低炭素事業の取組みの加速 ・コスト削減の取組み |
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リスク区分 |
リスク評価対象 |
リスク発生時期見込 |
対策状況 |
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評判 |
Scope1、2の絶対排出量目標未設定による、当社グループの気候変動対応に対するレピュテーションが低下するリスク |
短期~長期 |
・プロジェクト所在国・地域の政策や動向のモニタリング ・脱炭素に向けた以下の取組みを社外のステークホルダーに丁寧に説明する。 -プロジェクトの温室効果ガス排出量削減に向けた取組みの推進 -2050年ネットゼロ、2035年排出量原単位60%低減目標の設定 -CCS等低炭素事業の取組みの加速 -メタン排出原単位0.1%を維持するための管理 -新規プロジェクトの温室効果ガス削減目標への影響を評価 |
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評判 |
Scope3の削減目標を設定しないことによる、当社グループの気候変動対応に対するレピュテーションが低下するリスク |
短期~長期 |
・脱炭素に向けた以下の取組みを社外のステークホルダーへ説明 -調達先とのエンゲージメントや調達先多様化の検討 -CCS等低炭素事業の取組みの加速 -削減貢献量の目標及び進捗の開示 ・カーボンオフセット商品の販売等による販売先の排出量削減に向けた取組みの推進 |
物理的リスク
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リスク区分 |
リスク評価対象 |
リスク発生時期見込 |
対策状況 |
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急性 |
極端な気象現象が操業に悪影響を及ぼすリスク |
短期 |
・定期的に急性物理的リスク評価を実施 ・防災対策を盛り込んだ設計、設備の修繕、改装 ・マニュアル策定、訓練、外部情報活用 |
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慢性 |
長期的な平均気温上昇、降雨パターンの変化、海面上昇が操業施設に悪影響を及ぼすリスク |
中期~長期 |
・定期的に慢性物理的リスク評価を実施 ・防災対策を盛り込んだ設計、設備の修繕、改装 ・マニュアル策定、訓練、外部情報活用 ・沿海部の施設における対海面上昇対策の実施 |
機会
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機会区分 |
機会評価対象 |
機会発生 時期見込 |
進捗状況 |
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資源の効率 |
生産プロセスでのエネルギー効率改善 |
短期 |
・イクシスLNGプロジェクトにおける生産時の燃料ガス・フレア削減イニシアチブ、ガス漏えい検知・修理(LDAR)プログラム等を通じた低炭素化操業を推進 |
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エネルギー源 |
再生可能エネルギー電源の生産プロセスでの活用 |
中期~長期 |
・イクシスLNGプロジェクトにおけるバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)の導入検討並びにオンサイトコンバインドサイクル発電プラントから再生可能エネルギー由来系統電力への切り替えに係る検討推進 |
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長期 |
・ノルウェーのウィスティング油田開発計画において、発生するCO2の圧入処分を前提とした海上でのガスタービン発電を検討 |
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製品及び サービス |
天然ガス/LNG |
長期 |
・イクシスLNGプロジェクトでの液化能力拡張の検討 ・アバディLNGプロジェクトの実現 |
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CCS/水素 |
長期
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・参画中のプロジェクトとCCSの組み合わせや第三者向けCCSの検討(イクシスCCS、アバディCCS) ・首都圏CCS等先進的CCS事業の推進 ・国内外における水素の事業及びサプライチェーン機会を検討(柏崎水素パーク等) |
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電力関連 |
短期~長期 |
・地熱、太陽光、風力等再生可能エネルギー発電事業の推進、及び再生可能エネルギー発電から需給管理、電力販売までの電力バリューチェーン構築の検討及び追求 |
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石油・天然ガス以外の地下資源等 |
中期 |
・成東水溶性ガス田からの副産物であるヨウ素の供給を通じペロブスカイト型の太陽電池の普及を側面支援 |
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市場 |
新しい市場へのアクセス |
短期 |
・カーボンオフセット商品の販売 ・LCAF(Low Carbon Aviation Fuel)のサプライチェーン構築に向けた関係各所との協議 |
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中期 |
・再生可能資源由来燃料であるリニューアブルディーゼル(低炭素軽油:RD)の国内提供及び、RD40(40%のRDを軽油に混ぜた燃料)の実証を実施 |
(c)気候レジリエンス
イ)気候関連のシナリオ分析
気候変動のリスク及び機会は不確実性が高いことから、当社では、複数のシナリオを活用しシナリオ分析を行っております。具体的には、2050年※1までの低炭素社会に向けたエネルギー需給などの事業環境の見通しについて、国際エネルギー機関(以下「IEA」)発行によるWorld Energy Outlookレポート(以下「WEO」)のIEA-STEPS、IEA-APS及びIEA-NZE等を参照しています。これらのシナリオから当社グループのビジネスにおける移行リスク及び物理的リスクを評価しています。また当社は、これらのシナリオを用いた分析を活用し、長期的な経営戦略として2025年2月に「INPEX Vision 2035」を策定しました。今後も複数のシナリオを活用しながら事業環境の変化をいち早く把握し、社会の動向に合わせ経営戦略・経営計画の見直しを行っていきます。
※1 IEAのWEOでは2050年までの国際エネルギー情勢について展望している
ロ)移行リスクの財務的評価
当社グループの移行リスクにおいて、WEO内のシナリオを活用し、以下2つの手法でリスクの財務的評価に取り組んでいます。
一つ目は、インターナルカーボンプライスを用いた当社グループの各プロジェクトの経済性評価です。世界では既に150以上の国・地域が2050年ネットゼロ宣言を行っており、今後更なる気候変動関連政策強化に伴い、各国においてカーボンプライス導入の法規制が進むと推測されることから、ベースケースからインターナルカーボンプライスを考慮した上で経済性を評価しています。ベースケースからの適用をルール化したことにより、社内では温室効果ガスにかかるコストが事業投資における重要な要素として認識されています。また、ステークホルダーに対しては、当社グループが移行リスクを考慮した上で経営判断を行っていることを示しています。財務的評価に用いているインターナルカーボンプライスについては、WEOのカーボンプライスを参考に毎年更新しています。プロジェクト所在国にカーボンプライス制度が存在する場合は、外部専門家の価格予想等を用いた当該国における当社グループの見積価格を参照しています。カーボンプライス制度が存在しない場合は、IEA-STEPSの前提から妥当性を検証して価格を決定しています。2025年はWEO2024のIEA-STEPS韓国価格を採用しており、2026年度も引き続きWEO2025のIEA-STEPS韓国価格(2035年US$ 52/tCO2e、2040年US$ 62/tCO2e、2050年US$ 75/tCO2e)を参照価格として設定します。
二つ目は、当社グループの事業ポートフォリオのレジリエンス評価です。これは、IEAが示す各シナリオにおける油価とカーボンプライスの推移が、当社グループのポートフォリオに与える影響を評価するものです。2025年時点では、WEO2024を参照し、IEA-STEPS、IEA-APS及びIEA-NZEのシナリオが提示している油価及びカーボンプライスをプロジェクトのNPV計算に適用し、簿価からの変化率を算出することで、将来の当社グループのポートフォリオが受ける影響を評価しています。2026年の評価では、WEO2025を参照し、IEA-STEPS及びIEA-NZEで評価する予定です。
今後も事業環境の変化を織り込みながら本手法の運用基準の深化を継続し、当社グループの事業ポートフォリオの競争力向上に努めていきます。
移行リスクの財務的評価への2つのアプローチ
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プロジェクト経済性評価 |
ポートフォリオレジリエンス評価 |
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評価手法 |
インターナルカーボンプライスを用いたプロジェクトの経済性を評価 |
下記シナリオによる油価及びカーボンプライスによる影響を評価 (2025年時点 – WEO2024参照) |
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IEA-STEPS |
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IEA-APS |
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IEA-NZE |
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指標 |
インターナルカーボンプライス適用によるIRR |
上記指標価格適用による簿価からの変化率 |
ハ)物理的リスクのレジリエンス評価
当社は、物理的リスクにおいて、急性リスクと慢性リスクに分けて当社グループのアセットのレジリエンス評価を行っています。2018年に物理的リスクについての評価プロセスを検討後、ロードマップを設定し、主要オペレータープロジェクトであるイクシスLNGプロジェクトと新潟県の国内アセットにおける評価を開始しました。これは、国内及び海外における操業中のオペレータープロジェクトにおける保険付保額を100%カバーしています。その後も、前提としていた日本の気象庁発行の観測・予測評価報告書が更新されたことを受け、当社グループの主要施設の一つである直江津LNG基地に対する物理的リスクを再評価しています。同報告書内RCP8.5シナリオでは、平均海面上昇幅を0.19m程度と予測されていますが、評価の結果、同基地はこの水面上昇に耐えうる構造です。さらに、国内アセットに対しては、社外の評価サービスを用いた河川氾濫及び高潮による直接損害額及び間接損害額を試算しています。企業総合補償保険における上位10地点の国内事業所、国内パイプライン及び主要子会社事業所を対象としており、2030年及び2050年時点の想定損害額は限定的であることを確認しています。これらの物理的リスク評価では、共通してIPCC第5次評価報告書のRCP8.5シナリオにおける21世紀半ばの平均気温上昇、海面上昇などの指標を利用しています。
これらの評価を踏まえて、イクシスLNGプロジェクトをはじめ沿岸部に立地する主要施設の慢性リスクは、海水位上昇などを織り込んで設計しているため、洪水リスクは低いと判断しています。また、今後の気温上昇により運転効率の低下などの影響が考えられますが、適宜施設の改善・メンテナンスを行っており、2030年までに大きな損害が出ないと評価しています。急性リスクに関しては、主要オペレーター案件で適切な計画、操業、訓練、外部情報活用などにより、台風やサイクロンなどの極端な気象現象に十分な備えを持って取り組んでいます。当社グループの主要な拠点である直江津LNG基地のLNG受け入れ桟橋設備では、施設の被害があった場合に備えて、近隣発電所との間に基地間を接続する連系配管を有しています。これにより、連系配管を利用して当該発電所の受け入れ桟橋からLNGを受け入れる体制を構築しています。加えて、当社グループの主要施設は、自然災害の財物保険の手配により、急性リスクによる財務的損失の軽減を図っています。また、国内での自然災害についてはパイプラインのリスク評価や対応策の検討の上、自然災害リスクの高い部分において引替え工事を実施しました。
なお、当社グループでは、HSEマネジメントシステム文書であるHAZID(Hazard Identification)ガイドラインにおいて、HAZIDワークショップを行う際のガイドワークの一つに気候変動による影響を定めており、新規プロジェクトを含め当社グループの事業活動のライフサイクルを通したリスク管理アプローチに物理的リスク評価を組み込んでいます。今後も組織横断的なチームで定期的に評価の実施や適切な開示を進めていくと同時に、分析手法を多様化させ、より多角的な評価を進めていきます。
物理的リスクへレジリエンス評価へのアプローチ
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アセット評価 |
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評価手法 |
急性リスクと慢性リスクにリスクを分け、プロジェクトごとにアセットの物理的リスク評価を実施 |
(d)気候移行計画
当社は「INPEX Vision 2035」、「2025-2027 中期経営計画」及び上記のシナリオ分析をもとに、限界削減コストカーブ(MACカーブ)※1を活用し、当社グループ事業の低炭素化ロードマップを作成しています。基準年である2019年から2025年までに省エネ設備の更新やメタン排出管理等のGHG削減活動により、温室効果ガス原単位を着実に削減しています。今後は、外部環境の変化や技術進展、政策的な支援等を踏まえ、GHG削減に伴う費用と削減効果のバランスを考慮・評価しながら、段階的に低炭素化の取組みを推進していく考えです。具体的には、豪州等の生産施設にCCSを設置することで油ガス生産時のCO2の削減や、自社が使用する電気を再生可能エネルギーに切り替えること等により計画的に温室効果ガス原単位を下げ、2035年に60%削減(基準年比)を目指します。2035年以降は、発電施設での水素燃焼タービンの採用、電化の推進やさらなる再エネの活動、技術進展に応じた最適な削減施策の採用により、2050年ネットゼロの達成を目指します。
※1 個別の削減対策について、削減ポテンシャル(対策の実施により想定される削減量)と削減コスト(CO2を1トン削減するために要するコスト)を把握し、削減コストの安い順に各対策の削減ポテンシャルを並べたもの。
③リスク管理
リスク管理体制は、「(1)サステナビリティ全般 ③リスク管理」に記載しております。
リスク評価のプロセスは、国際的なリスク管理基準であるISO31000(2018)(図A)の手順に従って気候変動関連リスク及び機会の評価・管理を、年次サイクルで実施しています。気候変動に関する外部要因・内部要因をアップデートし、当社グループの状況を気候ワーキンググループメンバーに共有した上で、リスクを特定し、その原因、予防措置、低減措置、及び残存リスク(実施済みの予防措置及び低減措置を適用した後になお残るリスク及びリスクレベル)を分析(図B)しています。その後、残存リスクを当社で作成した「リスク評価マトリクス」(図C)を使用して評価しています。
なお、これらの評価や気候変動関連の方針改定は、サステナビリティ推進委員会で審議・決議後、内容に応じて経営会議や取締役会に上申する仕組みとなっています。
図A:ISO31000の手順
図B:リスク分析の手順
図C:リスク評価マトリクス
④指標及び目標
(a)目標
当社グループは、「気候変動対応の基本方針」に則り、パリ協定目標※1を支持し、低炭素社会の実現に貢献すべく、「当社事業の低炭素化」及び「社会の低炭素化への貢献」という2軸で目標を定めています。当社事業の低炭素化に関しては、2050年までに当社グループの排出量ネットゼロを実現すること及びそのプロセスとして、2035年時点で排出原単位を60%以上低減(2019年比)することを目標に掲げています。本目標の達成に向け、「2025-2027 中期経営計画」では、2027年に排出原単位を35%低減(2019年比)することを事業目標としています。事業目標は、中期経営計画の策定毎に見直しを行っており、前回の中期経営計画で掲げていた「2030年までに30%低減(2019年比)」を前倒しで達成したことにより、さらに目標値を引き上げたものです。次に、社会の低炭素化への貢献として、Scope3排出量の削減については、バリューチェーン全体の課題として関連する全てのステークホルダーと協働するとともに、CCSをはじめとする低炭素化ソリューションの提供及びクリーン電力供給を通じて、2035年時点には社会に対し、年間820万トン程度の削減貢献を創出することを目指します。加えて、メタン排出原単位(メタン排出量÷天然ガス生産量)を現状の低いレベル(約0.1%)で維持することを継続し、通常操業時のゼロフレア達成を目指します。
気候変動対応目標
※1 世界全体の平均気温の上昇を2℃を十分に下回る水準に抑える目標レベル
※2 当社グループ権益分
※3 2019年比の削減目標(現在の経済環境と合理的な予測を反映したものであり、技術進展、経済合理性、各国・地域の施策実現等の事業環境を前提としている)
※4 対象はオペレータープロジェクト
(b)実績
イ)当社グループの指標及び目標、その実績(排出原単位)
(単位:kg-CO2e/boe)
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指標 |
目標 |
2024年12月期 |
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温室効果ガス排出原単位1 |
2019年比35%減2 |
28 |
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メタン排出原単位3 |
0.1以下 |
0.05 |
排出原単位計算式
1 持分割合アプローチにおけるオフセットを含めた排出原単位です。ここでいう原単位とは、当社グループの国内外石油・天然ガスの生産量及び再生可能エネルギー事業の発電量(熱量換算)当たりの温室効果ガス排出量(Scope1+Scope2)を指しています。なお、温室効果ガスは7種類すべてを対象にしています。温室効果ガス排出原単位の計算式は上記のとおりです。
2 2035年までに2019年(原単位)比60%を削減する。その過程として、中期経営計画(2025-2027年)までに2019年比35%削減する。
3 経営支配力アプローチにおけるメタン排出量原単位です。ここでいう原単位とは、当社グループの国内外天然ガスの生産量におけるメタン排出量を指します。
4 オフセットには、当該事業の環境価値が当社に帰属すると考えられる再生可能エネルギー事業による削減貢献量と、カーボンクレジットによる無効化量が含まれます。再生可能エネルギーによる貢献量は「国際協力銀行の地球環境保全業務における温室効果ガス排出削減量の測定・報告・検証に係るガイドライン」(J-MRVガイドライン)に基づいて算出しています。
ロ)温室効果ガス排出絶対総量(GHG排出量)
GHG排出量実績
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項目 |
実績(2024年12月期) |
参照基準 |
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Scope1 |
6,614千トン-CO2e |
GHGプロトコル(2004年) |
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Scope2 ロケーションベース |
33千トン-CO2e |
GHGプロトコル(2015年) |
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Scope2 マーケットベース |
36千トン-CO2e |
GHGプロトコル(2015年) |
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Scope3 カテゴリー1 |
2,725千トン-CO2e |
GHGプロトコル(2011年) |
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Scope3 カテゴリー11 |
86,238千トン-CO2e |
GHGプロトコル(2011年) |
当社グループは、温室効果ガス排出の測定にGHGプロトコルを参照し、Scope1,2については、当社グループがオペレーターとなるプロジェクトにおけるGHGを算出していることから経営支配力アプローチをとっています。
Scope1においては、当連結会計年度における活動量に、当連結会計年度末において入手可能な各国法規等の固有の排出係数を乗じて算出しています。固有の排出係数を把握できない場合は、IPCCの排出係数を用いています。なお、Scope1の主な発生要因は、地下流体に付随して生産されるCO2及び施設での燃料使用によるものです。
Scope2のうち、ロケーションベースは、当連結会計年度における各拠点の電力使用量に、IEAの国別排出係数を乗じて算出しています。マーケットベースは、当連結会計年度における電力使用量に、電力契約ごとの排出係数を乗じて算出します。電力契約ごとの排出係数を把握できない場合は、GHGプロトコルのヒエラルキーに基づき算定しています。なお、Scope2の主な発生要因は、電力の使用によるものです。
Scope3においては、当社グループ事業における重要性を考慮し、カテゴリー1(購入した物品・サービス)及びカテゴリー11(販売した製品の使用)を測定対象としています。Scope3カテゴリー1では、当社グループの請負先(コントラクター)の排出量及び購入した物品の生産に係る上流排出量の合計値であるため、測定の不確実性の程度が高い情報です。カテゴリー11は、当社グループが販売した原油、天然ガス、LPGの全量が燃焼したと仮定し、販売量の合計値にIPCCの排出係数を乗じた値であり、これも測定の不確実性の程度が高い情報です。
産業別指標、2025年12月期の排出原単位及びその他気候変動対応に係る実績については、2026年6月末発行予定の「サステナビリティレポート2025」をご覧ください。
(3)セーフティ
①ガバナンス
ガバナンス体制については「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」に記載しております。また、当社は取締役会決議のもと「HSE方針」を策定し、企業の事業活動におけるHSEに関する基本方針を定めております。本方針の実行を確実にするため、HSEマネジメントシステム規則に従い、労働安全衛生及び環境への取組みを推進することを目的として、コーポレートHSE委員会を設置しています。HSE担当役員は、HSEマネジメントシステムの運用やコーポレートHSE委員会の運営を通して、当社グループにおけるHSE管理を推進しており、当社グループのHSEパフォーマンスやHSE管理推進の重要事項の状況を取締役会に定期的かつ適宜報告しております。
<HSEマネジメントシステム規則>
「HSEマネジメントシステム規則」は、HSEマネジメントシステムを用いて、HSE担当役員が策定するHSE要領群を体系的に整備し、PDCAサイクルによってHSEパフォーマンスの組織的・体系的な改善に努めることを定めています。当社グループはHSE要領を順守した上で、必要に応じてグループや事業毎に個別に文書や要求事項を策定します。
<コーポレートHSE委員会>
HSE担当委員を委員長とし、委員は常設組織の本部長・当社役員で構成され、当社グループのHSE管理推進に関する基本方針や重要事項を審議します。 具体的には、当社グループ全体で取り組むべきHSEに係る中期計画、重点目標、プログラム、HSE監査による実情の把握・評価、及びHSEマネジメントシステムの維持、見直し、改善状況を審議するとともに、HSE担当役員はマネジメントレビューを通して必要な是正、見直し措置を中長期の重点目標、プログラム等へ反映するように諮ります。HSE委員会で審議された重要事項は、経営会議にて決議、その後取締役会にて決議・報告されます。当事業年度は4回開催され、HSE重点目標や前年度の重大事故・負傷事故の原因・傾向分析、当期上半期HSEパフォーマンス、HSE管理施策の進捗などが決議・報告されました。
②戦略
(a)方針
当社は、企業の事業活動におけるHSEに関する基本方針を定めております。
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HSE方針 私たち株式会社INPEXグループは、取締役会決議のもと本HSE方針を策定し、当社のサステナビリティ憲章に基づいて、従業員の参画と協議のもと以下に定めた項目を実行します。 ・HSEが、あらゆる意思決定において必要不可欠な要素であるとみなされ、日々そのことが追求されるHSE文化を醸成します。 ・信頼、行動、ビジョン、説明責任、コミュニケーション、協働そしてフィードバックと評価に象徴されるHSEリーダーシップを発揮し、責任を持って業務を遂行します。 ・事業を展開するすべての地域で、適用される法令・規則を遵守するとともに、当社の事業すべてにHSEマネジメントシステムを一貫した方法で活用します。 ・監査、レビュー、事故調査等から得られた教訓を活用し、HSE活動を効果ある形で実践するとともに、継続的に改善します。 ・HSEパフォーマンスを継続的に改善するため、HSE目標を定量的・定性的に定め、優先順位を考慮し計画を策定します。HSE目標達成のために計画的に経営資源を投入し、特に人材については、十分な力量を確保するために教育訓練を実施します。 ・HSE上の危険要因を管理し、事故発生の予防に努めると同時に、健康、環境そして地域社会への負の影響を回避、低減することで、従業員、協力会社をはじめとするすべての人々の健康と安全を確保するとともに、社会との信頼関係を維持します。 ・プロセスセーフティ管理に重点的に取り組み、当社事業のすべてのフェーズにおいて、HSEリスクを「現実的な範囲で最小限のレベル(ALARP※1)」まで低減し、安全操業・管理を徹底します。 ・万が一、重大事故が発生した場合に、迅速かつ効果的な対応ができるよう、緊急時・危機管理対応プロセスを定期的に検証します。 ・当社の気候変動対応の基本方針に基づき、温室効果ガス排出量の管理及び削減に努めます。 ・生物多様性、水資源等の自然環境に関するリスクと機会を特定し、環境価値の創造に取り組むとともに、廃棄物の適正管理、資源の効率的利用等に取り組み、循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行を推進します。 ・強靭なセキュリティ管理プロセスに基づき、要員、操業そして資産を悪意ある行為から守ります。
以上の活動にあわせて、ステークホルダーに広くHSE関連情報を開示し、HSEパフォーマンスの改善に取り組んでいる会社と認められるよう日々努力します。 |
※1 As Low As Reasonably Practicableの略
(b)リスク及び機会
2025年末におけるセーフティ関連リスクの評価結果
(短期:1年未満、中期:1~3年未満、長期:3年以上)
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リスク評価対象 |
リスク発生時期見込 |
対策状況 |
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操業現場で火災や爆発により、人的被害、生産停止、工事遅延が起きるリスク |
短期~長期 |
・重大な影響を及ぼす漏えい・火災・爆発リスクをMAE※1リスクとして定義し、設計段階からリスクの特定・分析・評価を実施し、操業現場が安全に管理されるための施策を講じています。 ・操業においては、安全管理に関わる機器や作業を特定し、計画的な健全性の監視・管理を実施することで、事故の予兆に対して事前対策を講じ、事故を回避しています。 ・その他、全社的な取組みとして、HSEに関わる要求事項の見直しや、力量向上に係る施策を進めています。 |
※1 MAE (Major Accident Event):重大事故災害。大規模漏えいによる火災、爆発、毒性ガスの拡散などに代表される複数の死亡・重傷者を出したり周辺環境に深刻な被害を与えたりするような事象。
③リスク管理
サステナビリティ全般のリスク管理については、「(1)サステナビリティ全般 ③リスク管理」に記載しております。
HSEリスクに関しては、当社のHSEマネジメントシステムに基づくリスク管理が適用されます。当社のHSEマネジメントシステムは、国際標準であるISO9001、14001及び45001を参照し、IOGP※1のOMS510※2に基づいています。OMS510は、リーダーシップ、リスク管理、継続的改善(PDCA)、実施を基本原則とし、HSEマネジメントシステムのパフォーマンスと有効性を向上させるための基礎となっています。当社はOMS510のHSEマネジメントシステムをベースとして、必要なHSE関連文書(規則、要領、指針など)の作成、HSE組織の整備、各事業本部へのHSE技術支援、HSE教育訓練、各種のHSEコミュニケーション活動、定期的なHSE監査やHSEレビューなど、HSEマネジメントシステムを実施する上で必要不可欠な構成要件をHSEマネジメントシステム要領に定めてマネジメントシステムに落とし込み、網羅的なHSEリスク管理を行っています。
※1 IOGP:国際石油・天然ガス生産者協会
※2 IOGPの報告書No.510 “System Framework for controlling risk and delivering high performance in the oil and gas industry”
また、主要なHSEリスクを企業の戦略や意思決定に反映する仕組みの一つとして、以下の定期報告を実施しております。
・経営会議(月次):当社グループのHSE指標の達成状況や事故等について、HSE担当役員及びHSEユニットから報告
・経営会議(四半期毎):全てのオペレータープロジェクトから重大なHSEリスクの報告を受け、その要旨をHSE担当役員及びHSEユニットから報告
④指標及び目標
(a)目標
当社グループは事業を行うにあたり、死亡事故、重篤負傷、重大漏えいを、絶対に起こしてはならない重大な事故と既定し、経営目標の一つとして「重大な事故ゼロ」を全従業員共通のセーフティ目標に定めています。
(b)実績
当社グループの指標及び目標、その実績(重大な事故ゼロ)
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指標 |
目標 |
2025年度実績 |
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死亡事故 |
0 |
1 |
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重篤負傷 |
0 |
1 |
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重大漏えい(PSE Tier1)1 |
0 |
0 |
1 可燃性流体などの物質の予期しない放出又は漏えいであり、IOGPの要求事項に従い、実際の事故の影響(人への被害、会社への損害額、放出物質の種類や漏えい量など)に応じてTierを区分したもののうち、最も影響が大きいもの。
セーフティに関するその他の指標及び目標、その実績については、2026年6月末発行予定の「サステナビリティレポート2025」をご覧ください。
(4)人的資本
①ガバナンス
ガバナンス体制については「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」に記載しております。
②戦略
(a)方針
イ)人材戦略
当社グループの経営理念を実現するためには、「現場力」と「技術力」そして「国際性」という強みを一層磨き、激変する事業環境においても柔軟に対応できる組織と人材が必要と考えています。目指すべき組織文化として「既成概念に縛られず自由闊達に意見を出しあい、新たなことに挑戦し続け、イノベーションを起こせる組織文化」、求める人材として「多様性の受容、成長意欲、自律的行動をもとに、ビジネス現場で価値を創出する人材」と定義し、これを実現するために人材戦略基本方針に基づき、各種重点施策に取り組んでいます。
ロ)INPEX HR VISION
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人材戦略基本方針の実現に向けて人事部門では、各国の人事部門責任者と協議を重ね策定した、4つの柱からなる「INPEX HR VISION」を当社グループ人事部門共通のビジョンとして制定しております。この4つの柱を中核として、人材戦略基本方針に基づく各種人事施策をグローバルな視点で推進し、従業員の能力向上とチームとしての成果の実現へとつなげることで、グローバル企業として責任ある経営を持続的に実施し、高い国際競争力を有する組織づくりに取り組んでおります。 |
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(b)リスク及び機会
当社では、当社グループの求める人材と目指すべき組織文化の実現に向けてリスク及び機会を以下のとおり評価しています。
2025年末における人的資本関連リスク/機会の評価結果
(短期:1年未満、中期:1~3年未満、長期:3年以上)
リスク
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リスク区分 |
リスクの評価対象 |
リスク発生時期見込み |
対策状況 |
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人材確保・適所適材配置 |
必要な人員の質・量を確保できずビジネスチャンスを逸失するリスク |
短期~長期 |
・強化領域(成長領域や新事業領域)への重点的な人材配置 ・適所適材による事業成長と加速化を促進 ・ラインマネジメント職の任期制を採用し、後継者プランを作成して人材配置の硬直化や登用機会の減少を防止 ・希望する業務内容や異動部門を申告できる仕組みを設けて従業員の自律的なキャリア形成を支援 |
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不適切な配置により従業員のモチベーションや労働生産性が低下するリスク |
短期~長期 |
||
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人材育成・能力強化 |
学びの場や成長の機会を提供できないことによる優秀な人材が流出するリスク |
短期~長期 |
・各国の事情に沿ったリーダーシッププログラムやスキル系研修の実施 ・海外現地法人従業員の本社研修プログラム等の実施 ・海外現地法人を含めたリーダー人材の発掘・育成の推進 ・キャリア形成につながる適切な研修や業務機会の提供 |
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コンプライアンス |
コンプライアンス違反により会社の評判が毀損されるリスク |
短期~長期 |
・ハラスメントや差別防止を含む業務別、階層別のコンプライアンス研修、心理的安全性セミナー、アンコンシャスバイアスセミナーの定期的実施 ・eラーニング、医師との連携、職場復帰フォローなどのメンタルヘルス対策の取組み強化 ・年1回のストレスチェック時に実施するエンゲージメント調査、定期的な1on1やパルスサーベイによる上司が部下の状況をモニタリング |
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ハラスメントや心身の健康への悪影響による労働生産性の低下や人権侵害が誘発されるリスク |
短期~長期 |
機会
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機会区分 |
機会の評価対象 |
機会発生時期見込 |
進捗状況 |
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人材確保・適所適材配置に関する機会 |
適所適材な人員配置及び優秀な人材の確保、定着化 |
短期~長期 |
・当社従業員と海外子会社従業員が混在する組織構築やグローバルワークショップ開催等によるグループ連携の強化 ・組織改編の目的に沿った適所適材を推進 ・職務や役割に応じたジョブ型人事制度の導入 |
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人材育成・能力強化に関する機会 |
従業員が成長を実感できる研修や業務機会の提供によるモチベーション・エンゲージメントの向上 |
短期~長期 |
・各国の事情に沿ったリーダーシッププログラムやスキル系研修の実施 ・海外現地法人等の従業員で将来を担う人材を対象とした本社研修プログラムの実施 ・社員の成長に繋がる国内外研修派遣先の拡充 ・本社採用の若手従業員を国内外の事業所・操業現場へ派遣する業務実践型研修の実施 |
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職場環境整備・組織活性化に関する機会 |
多様な人材が活躍する職場環境の整備と組織の活性化及びイノベーション促進 |
短期~長期 |
・DE&I方針の制定 ・グローバルエンゲージメント調査実施に向けた検討開始 ・健康保持・推進、Well-beingへのニーズに応える職場づくりに向けた取り組み推進 ・INPEX Values浸透施策の継続実施 ・新設したDE&I推進ユニットによるDE&Iに関する社内浸透活動実施 |
③リスク管理
リスク管理については、「(1)サステナビリティ全般 ③リスク管理」に記載しております。
④指標及び目標、その実績
(a)目標
当社は、人材戦略基本方針に基づき、エンゲージメントの強化及び多様性の推進に関する指標・目標を設定しています。
(b)実績
当社グループの指標及び目標、その実績(人的資本)
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分類 |
指標 |
目標 (2030年度) |
実績 |
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2024年度 |
2025年度 |
|||
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エンゲージメントの強化 |
高エンゲージメント者の割合(%)* |
20%以上 |
17.1 |
19.7 |
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心理的安全性(偏差値)* |
50以上 |
51.9 |
52.4 |
|
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多様性の推進 |
新規採用者に占める女性の割合(%) |
30%以上 |
26.5 |
32.7 |
|
女性管理職の割合(%) |
10%以上 |
7.7 |
8.4 |
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男女賃金差異(%) |
80%以上 |
73.6 |
74.8 |
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男性育児休業取得率(%)* |
100% |
68.1 |
78.1 |
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障がい者雇用率(%)* |
法定雇用率以上 |
3.0 |
2.9 |
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注1 「*」は当社グループに属する全ての会社で実施しているものではなく、当社グループとしての記載が困難であるため、提出会社(提出会社から他社への出向者を含む)の目標及び実績を記載しています。
注2 特段の注記がない場合は、子会社を含んだ数値となります。
注3 「エンゲージメントの強化」の数値は、ユトレヒト・ワーク・エンゲージメント尺度と相関の高い8項目を含んだ委託先尺度で測定し、全従業員平均の実績値を偏差値で算出しています。高エンゲージメント者割合とは、ワークエンゲージメントの偏差値が62.0以上の人数割合となります。
人的資本に関するその他の2025年度実績については、2026年6月末発行予定の「サステナビリティレポート2025」をご覧ください。
なお、本項の記載中、将来に関する事項については、別途記載する場合を除いて本書提出日現在での当社グループの判断であり、今後の社会経済情勢等の諸状況により変更されることがあります。