リスク
3【事業等のリスク】
以下において、当社グループの事業展開その他に関連するリスク要因となる可能性があると考えられる主な項目を記載しております。また、必ずしも事業上のリスク要因とは考えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。
当社グループのリスク管理体制の整備の状況については、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対処に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の事業等のリスク及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性が内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1)事業内容の特性に係るリスク
① 経済やマーケットの動向に係るリスクについて
当社グループの事業領域は、金融教育事業や寄付プラットフォーム事業を開始したものの、投資運用事業の単一セグメントであり、また当面は単一セグメントの状態が続くものと考えられます。投資運用事業における営業収益は委託者報酬と投資顧問報酬の2種類の収入によって構成されていますが、これは主として、ファンドの運用資産の残高に一定率を掛け合わせることで算定されること、また、ファンドの運用資産残高は純流入額(設定額から解約額を控除した金額)に加え、ファンドの投資対象資産の時価が変動することにより増減するため、当社グループの営業収益は、日本経済のみならず世界経済や世界的なマーケットの動向に影響を受けます。このような状況に左右されないためにも、当社グループでは、お客様につみたて投資を推奨しており、つみたて投資を継続することで、お客様にとっては相場環境を気にせずに投資を継続することが容易になり、また、当社グループにとっても安定的な運用残高の積み上げが期待できます。しかし、経済情勢の不確実性等によって証券市況が悪化する可能性は低いとは言えず、仮にこのような状況となった場合、当社グループの運用資産残高が減少し、当社グループの業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
② ひふみ投信マザーファンドの評価に係るリスク
当社グループは、ひふみ投信マザーファンドに投資をする「ひふみ投信」を始めとした複数の投資信託を運用しており、当該マザーファンドの当社グループの運用資産残高に占める割合は、2025年3月末時点で64.59%となっております。近年は、日本を除く世界各国の株式等を主要な投資対象とし、成長性が高いと判断される銘柄を中心に選別して投資する、「ひふみワールド」、「ひふみワールド+(プラス)」、「ひふみワールド年金」や、国内外の株式及び債券を投資対象としたバランスファンド型の公募投資信託「まるごとひふみ」シリーズ、「ひふみらいと」等の新商品の運用を開始して、上記割合の減少に努めておりますが、ひふみ投信マザーファンドに対する評価の変化や顧客の資産運用の趣向の変化等の要因で解約が広がり当社グループの運用資産残高が減少した場合、当社グループの業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
③ マーケットの流動性に係るリスクについて
当社グループの主力商品である投資信託は、その商品の特性上、顧客はいつでも解約可能であること、顧客に契約の終了又は資金の引出しを禁じるロックアップ期間もないことから、顧客の解約によりファンド規模が縮小する可能性があります。当社グループは、つみたて投資の推進や投資信託を長期に保有するほど信託報酬が低減する仕組みである「資産形成応援団(信託報酬一部還元方式)」を導入する等長期投資を奨励する施策を実施しておりますが、一時に多額の解約があった場合、返還のための資金を手当するため、保有資産を大量に売却しなければならないことがあります。当社グループは、このような解約に適切に対応するためにも、定期的に運用リスク管理委員会を開催して、信託財産の市場リスクや信用リスクに係る状況のモニタリングを実施し、運用リスクについて適切な管理を行っておりますが、投資信託が保有する銘柄を低い価格で売却せざるをえなくなったり、また、保有数量の一部を売却することで当該銘柄の株価が下がり、残りの保有分の評価額が下がったりすること等により、当該投資信託の基準価額が低下し、その結果として当社グループの運用資産残高が減少した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 顧客の動向に係るリスクについて
当社グループは、独立系の投資運用会社として主に国内に顧客ネットワークを独自に構築しておりますが、競合他社が顧客に対して対面販売も行う事のできる金融機関の系列に属することで強力な販売チャネルを活用できるのに比べると、当社グループの顧客基盤は必ずしも十分ではありません。投資信託委託業務においては、直接販売によるお客様の獲得に加え、間接販売ではネット証券や地方銀行等の販売会社とのネットワークを築いて参りましたが、投資顧問業務については、密接な関係を築けている少数の顧客に依存している状況となっています。さらに、間接販売顧客に対しては、主に販売会社を介しての間接的な販売となることから、直接販売のお客様と比べ、長期投資を奨励する当社グループの方針が浸透しない可能性があります。
今後も国内外ともに販売力の拡大に努めて参りますが、販売会社の販売方針の変更による当社グループの運用資産残高の減少や委託者報酬及び投資顧問報酬の条件変更等の結果次第では、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 未上場株式等への投資に係るリスクについて
当社グループは、一部ベンチャーキャピタル業務において、未上場株式等への投資も行っております。未上場企業は、一般に収益基盤や財務基盤が不安定で、売上がない又は僅少である場合が多く、景気や市場動向、競争状況等の影響を受けやすいため、事業の不確実性が高いといった特徴があります。当社グループにおいて、未上場株式等へ投資を実施する際は、投資委員会を開催し、社内で慎重に検討をした上で投資を実行しておりますが、投資先企業の事業が当初の計画どおりに進捗せず、財務状況が悪化した場合、投資資金が全く回収できないリスクがあります。さらに、投資先企業の株式上場やM&A等による出口が保証されているものではなく、株式上場やM&A等があった場合であっても、その株式等を、投資コストを上回って売却できないリスクがあります。加えて、未上場株式等は、上場株式等に比べ、発行体情報の正確性が保証されておらず、流動性が著しく劣る等の性質があるため、未上場段階で売却を行う場合には、その価格が想定を大きく下回るリスクがあります。未上場株式等への投資について、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業環境に係るリスク(経営環境)
① 他社との競合に係るリスクについて
今後、国内外の大手金融機関が投資運用事業に積極的に経営資源を投入した場合や、業界内プレーヤーの統廃合等により、競合他社の規模が拡大した場合は、競争環境が変化する可能性があります。また、当社グループの事業である投資運用事業は金融業界の他業種と比較すると参入障壁が比較的低く、常に新規参入者と競合する可能性があります。このような競争環境の変化に当社グループが柔軟に対応できなかった場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、このような競争環境の変化が、委託者報酬及び投資顧問報酬の過当引下競争をもたらしたり、新規参入者又は既存の競合他社によるファンドマネージャーやその他の従業員の引き抜き競争をもたらしたりする可能性があります。そのような事態が発生した場合には、運用成績や運用資産残高の減少等の悪影響を及ぼす可能性があり、その結果として当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 法的規制及び企業会計基準の変更等に係るリスクについて
当社グループは、投資運用業、投資助言・代理業及び第二種金融商品取引業の登録を以下のとおり行っていることから、「金融商品取引法」、「投資信託及び投資法人に関する法律」を中心として、当社グループ事業に関連する各種法令に基づく規制を受けており、これらは主要な事業活動の前提に該当しております。
取得年月日 |
2007年9月30日 |
2007年9月30日 |
2007年9月30日 |
許認可等の名称 |
第二種金融商品取引業 (関東財務局長(金商)第1151号) |
投資運用業 (関東財務局長(金商)第1151号) |
投資助言・代理業 (関東財務局長(金商)第1151号) |
所管官庁等 |
金融庁 |
金融庁 |
金融庁 |
許認可等の内容 |
委託者指図型投資信託の受益権に係る受益証券の募集又は私募等 |
投資信託委託業、投資一任契約に係る業務 |
投資助言業務を行うこと |
有効期限 |
- |
- |
- |
法令違反の要件 及び主な許認可等の取消事由 |
金融商品取引法 第52条、第54条 |
金融商品取引法 第52条、第54条 |
金融商品取引法 第52条、第54条 |
また、自主規制としては、一般社団法人投資信託協会及び一般社団法人日本投資顧問業協会の規則等の規制を受けております。
当社グループは、コンプライアンス部門を充実させる等、これらの法令や諸規制を遵守するための対策を講じており、また、法令や諸規則への違反が発覚した場合には、法令等にしたがって、遅滞なく当局等への届出等を行い、その改善策をすみやかに講じていることから、主要な事業活動の前提となる事項について、その継続に支障を来す要因は発生しておりません。
しかしながら、仮にこれらの法令や諸規制への抵触を完全に防ぐことができず、法令違反等が発生した場合には、罰金、一部の業務の停止、社内管理態勢の改善等に係る命令、又は営業登録の取消し等の処分を受ける可能性があります。また、これらの法令や諸規則の改正又はその解釈や運用の変更が行われる場合において、通常業務への制限、コストの増加等の悪影響が考えられ、その結果として当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があるとともに、法解釈等の違いにより、監督当局からの行政指導・処分を受ける等した場合には、運用資産残高の減少等の悪影響が発生し、当社グループの業績や財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、国内外投資有価証券に投資を行っているため、売買益に関する税率が変更される等の税制の変更や解釈の変更による影響が生じた場合には、顧客の投資マインドへの悪影響を生じ、解約又は新規流入の減少により運用資産残高の減少をもたらす等により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、今後、新たな会計基準の適用や従来の会計基準の変更が行われた場合、当社グループの業績や財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 為替相場の変動に係るリスクについて
当社グループの財務諸表は円建てで表示されているため、外国為替相場の変動は、外貨建て資産及び負債の円換算額に影響を及ぼします。当社グループの営業収益の大部分は円建てですが、一部の投資一任契約の報酬額算定において外貨建てを採用しており、外国為替相場の変動により、これらを円換算する際に、為替差損が生じる可能性があります。また、今後、海外顧客との契約の増加等で外貨建て取引が増加した場合、為替相場の変動に係るリスクが増大する可能性があります。
(3)当社グループの事業体制に係るリスク(内部環境)
① 人材の確保に係るリスクについて
当社グループは、ファンドマネージャーやアナリストをはじめとする高い専門性と豊富な経験を有する人材により成り立っており、今後の事業展開においても優秀な人材を採用・育成し、成長への基盤を確固たるものとする方針であります。しかし、人材採用・育成が計画どおりに実現できなかった場合や、優秀な人材が社外に流出した場合には、当社グループの業績及び事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
人材採用・育成が順調に行われた場合でも、採用・育成関連費用や人件費等が増加することが考えられ、当該コスト増に見合う収益の増加がない場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 小規模体制に係るリスクについて
当社グループは小規模組織であり、ガバナンス体制や内部管理体制は当社グループの現在の規模に応じたものとなっています。今後の事業拡大に向けた人材採用・育成や組織体制の強化を図る所存でありますが、計画どおりに進まない場合には、当社グループの業績及び事業展開へ悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 役職員による過誤及び不祥事並びに情報漏えいに係るリスクについて
当社グループは、アクセス権限の適切な設計や情報管理状況に関する自主点検等の社内業務手続の確立を通して役職員による過誤の未然防止策を講じております。また、社内規程やコンプライアンス研修の実施により役職員が徹底して法令を遵守するよう指導に努めております。しかしながら、人為的なミスを完全に排除することはできず、また、役職員個人が詐欺、機密情報の濫用、その他の不祥事に関与し、法令に違反する可能性を否定することはできません。内部者又は不正なアクセスにより外部者が、顧客又は当社グループの機密情報を漏えいしたり悪用したりするリスクも完全に排除することはできません。
このような役職員等による過誤や不祥事等、又は情報の漏えいや悪用が発生した場合、当社グループが第三者に生じた損害を賠償する責任を負うだけでなく、監督当局から行政処分を受け、顧客やマーケットの信頼を失うこと等により運用資産残高の減少等の悪影響が発生し、当社グループの事業、経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 個人情報管理に係るリスクについて
当社グループでは、事業活動を通じて取得した個人情報及び当社グループの役職員に関する個人情報を保有しております。当社グループでは、個人情報の取扱いについては「個人情報保護規程」、「特定個人情報等保護取扱規程」を策定の上、自主点検による運用状況の確認や全社員向けに定期的に研修を実施して、細心の注意を払っております。しかしながら、万一、当社グループの保有する個人情報が外部に漏えいした場合又は不正使用された場合には、当社グループが第三者に生じた損害を賠償する責任を負うだけでなく、監督当局から行政処分を受け、顧客やマーケットの信頼を失うこと等により運用資産残高の減少等の悪影響が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 訴訟等の可能性に係るリスクについて
当社グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟等は本書提出日現在存在せず、重大な影響を及ぼすような訴訟に発展する可能性のある紛争も本書提出日現在存在しません。
ただし、関連法規や各種契約等に違反し、顧客に損失が発生した場合又は取引先や提携先、その他第三者との間で予期せぬトラブル等が発生した場合等には訴訟を提起される可能性があります。このような訴訟が提訴された場合、訴訟の内容及び結果によっては当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 資金繰りに係るリスクについて
当社グループは、直接販売している投資信託の買付代金の預かり分について、当社グループが廃業等した場合に顧客に返還しなければならない額に相当する金銭を顧客分別金信託として信託会社等に信託することが法令で義務付けられております。顧客分別金信託として拠出すべき金額には、集金代行業者に滞留している投資信託の買付代金相当額も含まれているとされていること等から、係る金銭を当社グループが一時的に拠出する必要があることが、当社グループの資金繰りに悪影響を及ぼす可能性があります。
また、顧客分別金信託として拠出すべき金銭が急増する等して当社グループから一時的に拠出ができなくなった場合には、法令に違反することとなり、監督当局からの行政指導・処分を受け、また、顧客やマーケットの信頼を失い、運用資産残高の減少等の悪影響が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)システムに係るリスク
① システムへの依存に係るリスクについて
当社グループは、投資運用事業に係る顧客管理及び運用業務等の業務を特定の会社が提供するコンピューターシステムの安定運用に依拠して管理・運用しております。現在、当該システムの利用の継続が困難となるような事情は発生しておりませんが、当該システムの利用に支障が生じた場合には、当社グループの業務に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは一部のコンピューターシステムについて内製化しておりますが、当該システムの移行に伴い当該システムの利用に支障が生じた場合には、当社グループの業務に悪影響を及ぼす可能性があります。
② システム障害に係るリスクについて
当社グループでは、「情報セキュリティ管理規程」を定め、情報セキュリティ管理体制に関する方針や情報セキュリティの管理方針、情報セキュリティリスクの統制に係る方針を定め、重要な情報資産をさまざまな脅威から保護し、情報資産に係る各種リスクをコントロールするよう努めております。また、想定しえないシステム障害に備え、基幹システムの堅牢化や二重化、各種機器の稼働状況監視、追跡可能なログ管理、データバック等の対応を行っております。しかし、事故・災害等の自然災害や外部からのサイバー攻撃、その他の不正アクセスにより想定以上のシステム障害が発生した場合には、当社グループの業務に悪影響を及ぼす可能性があります。
このようなシステム障害が発生した場合、当社グループが第三者に生じた損害を賠償する責任を負うだけでなく、監督当局から行政処分を受け、顧客やマーケットの信頼を失うこと等により運用資産残高の減少等の悪影響が発生し、当社グループの事業、経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)その他のリスク
① 親会社等との関係について
当社グループの親会社であるSBIホールディングス株式会社及びそのグループ会社は、証券・銀行・保険分野のグループ会社で構成される「金融サービス事業」、資産運用に関連するサービスを提供する「資産運用事業」、ベンチャーキャピタル、レバレッジド・バイアウト、事業承継等の各種ファンドの運営を行う「投資事業」、暗号資産マーケットメイカーや、暗号資産(仮想通貨)の交換・取引サービス、システムを提供する「暗号資産事業」、バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業や半導体事業、Web3関連事業を行う「次世代事業」の5事業セグメント体制で事業を展開しています。
当社グループの主要業務である投資運用事業は、親会社グループの一部の企業と事業領域が類似しておりますが、投資スタイルや主たる販売先等は異なっております。ただし、親会社グループが当社グループと同様の事業領域の企業を新たに買収する可能性があります。
当社グループとSBIグループ各社との取引関係は以下のとおりとなっております。
(ア)取引関係
種類 |
会社等の名称又は氏名 |
第1期連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
具体的な取引条件及びその決定方法 |
|||
取引の内容 |
取引金額 (単位:千円) |
科目 |
期末残高 (単位:千円) |
|||
同一の親会社を持つ会社 |
株式会社SBI証券 |
代行手数料 |
782,332 |
未払費用 |
361,138 |
商品性等を勘案し総合的に決定しております。 |
同一の親会社を持つ会社 |
株式会社SBIネオトレード証券 |
代行手数料 |
8,724 |
未払費用 |
2,720 |
商品性等を勘案し総合的に決定しております。 |
(イ)人的関係
SBIホールディングス株式会社 取締役副社長 朝倉 智也氏が当社取締役に就任しております。
(ウ)資本関係
本書提出日現在において、SBIホールディングス株式会社がそのグループ会社を通じて当社の議決権の49.68%を保有しており、株主総会の承認を必要とする事項に関し、同社が影響を及ぼしうる可能性があります。ただし、当社の役員には、株式会社東京証券取引所の定めに基づく独立役員として指定する社外取締役3名及び社外監査役3名が就任しており、取締役会における審議に当たっては、より多様な意見が反映され得る状況にあり、当社の親会社グループからの独立性について確保されていると認識しております。なお、事前承認事項等はありません。
親会社であるSBIホールディングス株式会社及びそのグループ会社を含めた関連当事者との取引については、一般株主との間に利益相反リスクが存在しますが、当社グループでは、関連当事者との取引は原則行わないこととし、取引を行うこと自体に合理性(事業上の必要性)があること、及び取引条件の妥当性(他の取引先と同等の条件であり、個別にその条件の妥当性が確認できる)があることが担保される場合に限り、取締役会決議により取引の開始・変更の決定を行っており、一般株主の利益に十分配慮した対応を実施しております。
② 既存株主の株式売却の可能性について
当社グループの既存株主は、当社株式について長期保有を目的として取得しておりますが、当社グループの業容の変化や市場環境による影響等により当社株式売却等を行った場合には、当社グループの資本構成等に影響を及ぼす可能性があります。
③ ストック・オプション制度に係る希薄化について
当社グループは、取締役及び従業員がオーナーシップ意識を持って業務を遂行するインセンティブとなるよう、ストック・オプション制度を採用しており、当社グループの取締役及び従業員に新株予約権を付与しております。本書提出日の前月末現在、発行された新株予約権の目的となる株式の数は5,916,800株であり、本書提出日現在の発行済株式総数103,473,600株に対して、5.72%に相当しています。新株予約権のすべてが即時に行使され、即時に当社株式価値が希薄化する予定はありませんが、将来的に新株予約権が行使されて当社が新株を発行した場合には、1株当たり利益が希薄化することになります。新株予約権の詳細は、「第4 提出会社の状況 1株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」をご参照ください。
④ 当社株式の流動性について
株式会社東京証券取引所の定める当社株式の流通株式比率は2025年3月31日現在で35.91%となっております。今後は、大株主からの売出し協力、当社の事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加等、これらを組みあわせて、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 特定人物への依存に係るリスクについて
レオス・キャピタルワークス株式会社の創業者であり、当社代表取締役会長兼社長である藤野英人は、グループCEOとして当社グループの経営方針の決定において重要な役割を果たしていることに加え、ファンドマネージャーとして投資運用事業において重要な役割を果たしております。また、レオス・キャピタルワークス株式会社の創業者であり、当社代表取締役副社長である湯浅光裕は、レオス・キャピタルワークス株式会社の最高投資責任者及びファンドマネージャーとして投資運用事業において重要な役割を果たしています。
当社グループは特定人物へ過度に依存することなく、より組織的な経営体制を目指し、人材採用・育成に力を入れ、経営リスクの軽減を図る所存でありますが、何らかの事情により藤野英人が当社グループの代表者として通常の職務を遂行できなくなる場合や、何らかの事情により藤野英人・湯浅光裕が最高投資責任者やファンドマネージャーとして通常の職務を遂行できなくなる場合には、当社グループの業績及び事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 新規事業について
当社グループは主として投資運用事業を行いつつ、本書提出日現在において、金融教育事業の「フィナップ株式会社」や寄付プラットフォーム事業「株式会社Kiffy」を設立しております。引き続き、広範囲なシナジーと将来の成長を目的として、投資運用事業における新商品の提供のほか、他の事業領域への事業ポートフォリオ拡大を進める可能性があります。
しかしながら、拡大先の事業領域において、必要な情報、経営資源、顧客関係、事業の専門知識、ブランド認知度が常に適時に確保できるとは限りません。拡大先の事業領域における事業発展には、従前とは異なった経験や知見を有する人材やリソースの確保が必要であり、事業展開に想定以上の時間を要したり、初期投資の負担が収益性を毀損したりする可能性があります。その他、これらの事業領域では、個々の案件を推進した当社グループが第三者に生じた損害に対して賠償責任が生じ得る等の独自のリスクもあり、係るリスクは可能な限り保険又は契約等により回避を図るものの、リスク回避の手法、法的規制に対する十分な理解や内部管理体制の構築、そのための人材の充実が求められます。また万一、監督当局から行政処分を受ける等した場合には、顧客やマーケットの信頼を失うこと等により運用資産残高の減少等の悪影響が発生し、当社グループの事業、経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、剰余金の配当につきましては、経営の最重要課題としてとらえ、将来の事業展開と経営基盤の強化のために必要な内部留保資金を確保しつつ、親会社株主に帰属する当期純利益に対する連結配当性向を50%以上として利益成長による増配を基本線としながら、当社グループの事業特性としてマーケットの短期的な変動等によって業績が下振れるケースも想定されることから、DOE(株主資本配当率:前期末の株主資本に対する年間配当金額の割合)が 10%以上となるように年間配当金の下限を設定して、中間配当及び期末配当として年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。また、当社は、剰余金の配当等を機動的に実施することを目的として、剰余金の配当等会社法第459条第1項に定める事項については、法令に特段の定めがある場合を除き、取締役会の決議によって定めることができる旨を定款に定めており、配当の決定機関は、株主総会又は取締役会としております。
当事業年度の期末配当金につきましては、上記方針に基づき1株当たり3.80円を予定しております。なお、2024年9月30日を基準日として1株当たり27.20円の中間配当金が支払われておりますが、当社は2024年10月1日付で普通株式1株につき8株の割合で株式分割を行っているため、当該株式分割を考慮して換算した中間配当金3.40円を含めると、年間配当金は1株につき7.20円となり、これは連結配当性向:50%、DOE:10.6%に相当します。
内部留保資金につきましては、財務体質を考慮しつつM&Aを含め、今後の事業展開に向けた戦略投資の資金として充当する所存であります。
なお、基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(百万円) |
1株当たり配当額(円) |
2024年11月6日 取締役会決議(注) |
351 |
27.20 |
2025年6月24日 定時株主総会決議(予定) |
370 |
3.80 |
(注)2024年10月1日付で普通株式1株につき8株の割合で株式分割を行っておりますが、中間配当については、当該株式分割前の株式数に応じて配当金が支払われております。当該株式分割を考慮した場合の金額は3円40銭となります。