2024年9月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

Life Platform事業 Finance Consulting事業
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
Life Platform事業 47,254 99.5 4,084 97.5 8.6
Finance Consulting事業 224 0.5 103 2.5 45.9

事業内容

3【事業の内容】

当社グループは、純粋持株会社としてグループ全体の経営管理を行う当社(株式会社タスキホールディングス)及び子会社6社(うち株式会社ZISEDAI他1社は非連結子会社)より構成されております。当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。当社グループの主要な事業及び当該事業における主要企業の位置づけは次のとおりです。

 

セグメントの名称

事業内容

主要な会社

Life Platform事業

・IoTレジデンス物件の企画・販売

・リファイニング物件の仕入・販売

・物流施設等の企画・販売

・不動産オーナー向け資産コンサルティング

・不動産クラウドファンディング、不動産ファンドの

組成・運用

株式会社タスキ

株式会社新日本建物

株式会社オーラ

Finance Consulting事業

・不動産担保ローンの提供

株式会社タスキプロス

SaaS事業

・不動産業界向けDXプロダクトの開発・販売

株式会社ZISEDAI

 

(1) Life Platform事業

a.IoTレジデンス物件の企画・販売(株式会社タスキ、株式会社新日本建物)

当事業は、東京23区を中心に当社グループの企画力・デザイン力を活かし、室内設備にIoT(Internet of Thingsの略称。各種家電製品、生活環境などの情報を取得する各種のセンサー等、さまざまな"モノ"をインターネットに接続する技術)対応設備を標準仕様とした新築投資用IoTレジデンスを開発し、投資家や企業等に販売しております。

当事業で提供する新築投資用IoTレジデンスは、おもに東京23区内、最寄り駅から徒歩5分圏内の好立地物件という資産価値の高さだけでなく、IoT対応設備を標準装備することで「テクノロジーを取り入れた先進的な暮らしの実現」という高い付加価値を備えております。株式会社タスキが提供する「タスキsmart」シリーズは、60㎡~200㎡程度の広さの土地を対象にした、鉄筋コンクリート造(RC造)で8戸~14戸程度の中低層コンパクトレジデンスです。対して株式会社新日本建物が提供する「ルネサンスコート/ルネサンスプレミアムコート」シリーズは150㎡~500㎡程度の広さの土地を対象にした、鉄筋コンクリート造で10戸~50戸の中高層レジデンスとなっており、2社でエリアを同じくしながら、異なるサイズ・仕様のレジデンスを開発しております。

また、出口戦略の一つとして、新築投資用IoTレジデンスの開発用地として取得した土地を、投資家、一般企業や個人事業主から、企画構想の段階より用地での購入を希望された場合には、当該用地の権利関係を整理したうえで販売を行うことがあります。このような場合、用地の確保から建物竣工まで通常、概ね1年を有する新築投資用IoTレジデンスの開発と比較し、在庫回転期間が短縮され、不動産市場におけるマーケット変動リスクを低減できるなど、より効率的かつ安定的な事業運営に繋がるメリットもあるため、当連結会計年度では用地での販売の割合が自社開発プロジェクトの割合よりも高くなっております。

 

b.リファイニング物件の仕入・販売(株式会社タスキ)

富裕層顧客をターゲットに提供可能な資産運用商品の幅を広げるべく、当事業では中古物件を取得し、バリューアップのうえ売却を行います。当事業ではレジデンスのみならず、飲食店やオフィスが入居する商業ビルも仕入対象としております。建物の経年により劣化した機能・性能を再生させ、資産価値を最大限に引き出します。具体的には内装の工事、耐震性向上、遵法性確保のための工事等を行い、建物の資産価値にバランスした既存テナントとの賃料最適化のための交渉も実施します。株式会社タスキでIoTレジデンス事業の成長を支えてきた一級建築士や一級施工管理技士のノウハウを活用し、リファイニング事業におけるオリジナルの事業モデルの構築と収益性の確保に努めております。

 

c.物流施設等の企画・販売(株式会社新日本建物)

株式会社新日本建物において、東京近郊エリアの物流施設の企画・販売を行っています。株式会社新日本建物では都心から約2時間程度の立地にこだわり、価格帯は20~50億円、2,000㎡~規模の物流施設を開発してきました。

物流施設を取り巻く課題としては、2024年4月からの自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限規制による、ドライバーの労働時間短縮に伴う輸送能力の不足、物流コストの増加が挙げられます(物流2024年問題)。ドライバーの一人あたり稼働時間が減少することで、積卸等の付帯業務の効率化が求められていることを受けて、これまで当社グループがレジデンス開発に「IoT」を取り入れ、物件価値を高めてきたノウハウを活用し、物流の効率化に貢献するべく、スマートロジスティクス設備を兼ね備えた物流施設を企画・販売してまいります。

 

d.不動産オーナー向け資産コンサルティング(株式会社オーラ)

相続の発生や建て替えの検討、売却が難しいなどの不動産の活用に悩みをもつ不動産オーナー向けに、資産コンサルティングを提供しています。株式会社オーラに所属する経験豊富なコンサルタントが、不動産オーナーの悩みを聞き、不動産価値を最大限に引き上げる提案をしています。コンサルティングを提供するなかで、株式会社オーラが買主となって不動産オーナーから対象不動産を購入するケースもあります。

 

e.不動産クラウドファンディング、不動産ファンドの組成・運用(株式会社タスキ)

オフバランススキームの不動産私募ファンドの組成・運用と、一般投資家向けの不動産クラウドファンディング「TASUKI FUNDS」を運営しております。

オフバランスの不動産私募ファンドにおいては、株式会社タスキが開発を手がけた物件や、リファイニング事業で取得・バリューアップを行ったアセットを組み入れて運用を行っております。オフバランス不動産ファンドに特化したSPC(Special Purpose Company/特別目的会社)を設立し当該不動産をSPCに売却することで、株式会社タスキの資産および借入金を圧縮し、バランスシートのスリム化を実現しております。また、万が一運営会社の財務状況悪化等が起こった場合にも、SPCが影響を受けないように倒産隔離の手立てを講じることにより、機関投資家などのプロも参入しやすくなるなど投資家層の拡大にも寄与しております。

不動産クラウドファンディングである「TASUKI FUNDS」は、1口10万円から申し込みが可能な不動産小口化商品です。WEBでの申し込みが可能で、不動産クラウドファンディング専業の事業者にはない、物件取得から開発・販売までの管理を当社が行うことでリスクの少ないクラウドファンディングを提供しています。

ハードルが高いイメージのある不動産投資ですが、不動産投資クラウドファンディングは専門的な知識や多額の資金を必要としないうえに、低リスクかつ安定した利回りが期待できることから、個人の投資ニーズがこれまで以上に高まりを見せています。

 

(2) Finance Consulting事業(株式会社タスキプロス)

当事業は、株式会社タスキプロスが、不動産事業者の中でも、中小企業をターゲットとして不動産事業にかかわる融資を行っております。

他社では査定が難しい事業でも、これまで当社グループが不動産デベロッパーとして蓄積したノウハウにより、不動産査定を実施し、より柔軟な対応が可能です。また、営業年数に関わらず融資の相談が可能なため、他の金融機関では融資を受けにくいスタートアップ企業の事業拡大のサポートも積極的にしております。

 

(3) SaaS事業(株式会社ZISEDAI)

当事業は、株式会社ZISEDAIが、不動産業界向けDXプロダクトの自社開発・販売を行っております。

昨今あらゆる業界でデジタル化が進む中で不動産業界は未だアナログな手法や業務が多く、改革が遅れている業界です。また、不動産業界は一事業所あたりの平均従業者数が3.9名と全産業平均の11.2名と比較しても少なく、大規模なシステム開発やテクノロジーへの投資を自社で行うことは難しいと考えられます。(公益財団法人不動産流通推進センター『2024年不動産業統計集』)

いわゆる不動産テックと呼ばれる事業者のなかでも、当社グループの持つ不動産デベロッパーとしての豊富な経験を活かした実務有用性の高さが業界内でも評価されており、他社にはない競争優位性となっています。

株式会社ZISEDAIの持つテクノロジー技術をサービスとして提供することで、不動産業界のデジタル化、発展に貢献してまいります。

 

a.TASUKI TECH LAND

当サービスは、仕入物件情報をクラウド上で管理、社内共有が可能なシステムを提供します。不動産業界では、物件登録をExcelやメールフォルダなどのアナログな手法により仕入担当者が個別で管理している事業者が多く、これは業務が属人的になるだけでなく、会社にとって資産となりうる情報が正しく管理・共有できないなどの問題が発生します。また、社内でしか情報の登録・閲覧ができず、外出先から会社への電話確認や、無駄な移動が多く発生していました。「TASUKI TECH LAND」では、仕入情報をクラウド上で管理・共有するため煩雑な確認の手間が省けるほか、外出先でもスムーズに物件情報の確認が可能となります。

また、最新の都市計画情報をAIによって自動取得し視覚的に地図上に表示できるように独自の地理情報システム(GIS:Geographic Information System)を構築することで、仕入時に知りたい情報がTASUKI TECH LAND上ですべて網羅できるようになっております。PC・タブレット・スマートフォンなど、インターネット環境があればどこでも閲覧・登録が可能なため、仕入担当者の営業の無駄を省くことに寄与しております。

さらに、当サービスはBI(ビジネスインテリジェンス)ツール機能を有しており、営業活動の管理や、データに基づく営業戦略の策定も可能となります。

当サービスは使えば使うほどデータが溜まっていき、物件の比較や営業戦略の策定などの質の向上につながるため、高い継続率を維持しております。また、シンプルな設計であること、株式会社ZISEDAIの社内エンジニアが週単位で機能改修・追加のアップデートを行っていることから、利用ユーザーからの問い合わせも少なく運用ができております。

また、利便性の向上を目指して開発された、画像から情報を読み取り、必要情報のみを生成AIが識別してシステムに自動入力する「生成AI-OCR」オプションは、OCR技術と生成AIの組み合わせによりどんなフォーマットからでも物件情報の入力を可能にしており、この技術は特許も取得しています。さらに、不動産売買の検討に不可欠な登記簿謄本の取得・保管を可能にする「登記情報自動取得」オプションも開発され、検討に要する作業時間のさらなる短縮化が可能となりました。

 

[料金プラン]

初期費用

30万円

月額費用

エンタープライズ

10万円

スタンダード

5万円

生成AI-OCR(オプション)

10万円/月+@30円/件(従量課金)

登記情報自動取得(オプション)

3万円/月+実費(従量課金)

 

b.TASUKI TECH TOUCH & PLAN

当サービスは、不動産関連企業の用地取得担当者向けに、建築プラン・事業収支を自動で作成するプラットフォームを提供します。

当サービスの特徴は、地図上で計画地にタッチするだけで、AIが土地情報を自動収集、ビックデータを解析し、計画地の最適な建築プランと事業収支表を瞬時に自動作成することが可能です。また、作成された建築プランに基づいてAIが投資パフォーマンス分析を行い、最適な事業計画を設定することができるため、不動産価値の判定もスムーズに行うことが可能となることです。

不動産関連企業における用地取得は重要な業務であるものの、土地情報の収集については膨大な手間と時間がかかるほか、事業収支の作成については担当者の経験値によってクオリティが左右されることが多く、アナログかつ属人化しがちであることが課題です。

当サービスを活用することで、これらの業務が瞬時にかつ自動で完了するようになり、担当者の経験値に左右されることなく平準化されたクオリティの事業収支表の作成が可能になるほか、土地情報の取得から事業収支表の作成まで7日~10日程度を要していた時間とコストの削減に繋がります。

また、当サービスはスマートフォン上で使用することができるため、現地調査先や、地権者・不動産会社との打ち合わせの場など、場所を選ばずに土地活用シミュレーションを行うことができ、スムーズに交渉が開始できます。

 

[料金プラン]

TASUKI TECH LAND エンタープライズプランのオプションとして提供

月額費用

TOUCH&PLAN(オプション)

10万円/1アカウント

 

c.TASUKI TECH FUNDS

当サービスは、不動産投資型クラウドファンディングを開始したい不動産事業者向けに、システムの提供にはじまり、許認可申請のサポートおよび業務フローの提供や、株式会社ZISEDAIがもつノウハウの共有、業務コンサルティング等を提供しております。クラウドファンディング事業に参入する際に懸念となる、システム構築開発にかかるイニシャルコストやクラウドファンディング機能要件の設計、交付書面作成、利用約款等の構築、保守、運用などのコストを最小限に抑えることができ、導入企業はスピーディーにクラウドファンディング事業を開始することが可能となります。

 

d.DX Consulting事業

当事業は、企業のDX推進を、戦略策定から具体的な施策実行、効果検証までをワンストップで伴走支援しております。

当事業の特徴は、企業のDX推進状況や課題に合わせた長期的なデジタルアセットの活用を目指した支援です。データ活用においては、BIツールを導入し、ユーザーの行動やニーズのパターン、トレンド等をビッグデータから利用戦略を発見し、変わり続ける市場での成長が可能な支援を行います。当社の先端デジタル技術に精通したメンバー・パートナーがクライアント企業のプロジェクトマネージャーとして参画し、ビジネスを深く理解しながら、戦略策定、プロジェクトチームの組成から実行、テクノロジー基盤の導入、デジタル人材の育成支援までお客様と併走しながらワンストップで提供します。

[事業系統図]

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は、594億15百万円となりました。流動資産は531億72百万円、固定資産は62億23百万円となりました。

流動資産の主な内訳は、仕掛販売用不動産が354億93百万円、現金及び預金が144億30百万円であります。

固定資産の主な内訳は、のれん33億31百万円等の無形固定資産が33億52百万円、有形固定資産が15億46百万円、投資その他の資産が13億25百万円であります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は、374億86百万円となりました。流動負債は161億39百万円、固定負債は213億46百万円となりました。

流動負債の主な内訳は、1年内返済予定の長期借入金が62億83百万円、短期借入金が58億1百万円、未払法人税等が14億53百万円であり、固定負債の主な内訳は、長期借入金が208億82百万円であります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は、219億29百万円となりました。その主な内訳は、資本金が30億24百万円、資本剰余金が139億13百万円、利益剰余金が43億75百万円、非支配株主持分が6億28百万円であります。

 

②経営成績の状況

当連結会計年度における日本経済は、個人消費の持ち直しや、企業の堅調な設備投資の継続などの内需を中心に全体として緩やかな回復傾向となりました。個人においては、名目賃金が増加するなど、雇用・所得環境の改善とともに、消費者マインドも改善傾向が続いております。企業においては、人件費や原材料費などのコスト増加を販売価格に転嫁する動きがサービス業を中心に進展しており、また人手不足の深刻化やデジタル化の進展を背景としたソフトウェア投資をはじめとして設備投資も堅調に推移しております。このほか、PCやスマートフォンなどの買い替えやAI関連需要の高まりなどに伴う世界的な半導体需要の押し上げや、インバウンド需要の回復などの外需も企業の景況感の改善要因となりました。

先行きについては、個人消費の継続的な回復や設備投資のさらなる拡大などが期待されるものの、実質賃金の改善や、人件費・物流コストの増加による状況などを注視していく必要があると考えられます。また累積的な米国の金融引き締めによる景気後退の可能性もあるなど、日本経済の減速につながるリスクにも注目を要します。加えて当連結会計年度終了後には日米両国においてそれぞれ衆議院選及び大統領選が実施され、経済政策やそれによる金融市場・実体経済への影響についても注視が必要です。

当社グループの主たる事業領域である不動産市場においては、当連結会計年度において不動産価格は依然として高値圏で推移しており、特に東京都では戸建住宅と比較してマンション価格の上昇が目立ちます。また、一都三県では一棟マンションの価格も上昇傾向にあります。建築資材の価格高騰や、マイナス金利政策の解除による金利上昇などの外部環境はあるものの、緩和的な金融政策の継続や、実質金利が依然として極めて低い水準であるほか、国内外金利差と為替相場からみた国内不動産の割安感の継続により、国内外投資家の不動産投資に対する意欲は底堅く推移しており、当社グループにとって良好な事業環境となっております。

このような市場環境のなか、当社は2024年4月1日付で共同株式移転の方法により、株式会社タスキ(以下、「タスキ」)と株式会社新日本建物(以下、「新日本建物」)の両社の共同持株会社として設立されました。また、同月22日には株式会社オーラ(以下、「オーラ」)を連結子会社化し、新たに発足したタスキホールディングスグループは、シナジーの創出や、不動産事業のデジタル化への取り組みを加速させ、強化された経営基盤のもと、事業ポートフォリオの最適化により、持続的な成長と企業価値向上を目指してまいります。

Life Platform事業においては、国内外の投資家・富裕層に向けた販売が好調に推移いたしました。タスキと新日本建物が保有する物件情報の共有も開始しており、今後も商品コンセプトの統一化など、経営統合によるシナジーの最大化を進めて参ります。またタスキでは当連結会計年度において「タスキ キャピタル重視型 第7号ファンド#2」など合計4本のファンドを組成いたしました。2024年6月には金融商品取引法に基づく投資助言・代理業の変更登録も完了し、コストの面からファンド規模を拡大しやすい信託受益権取引によるファンド組成が可能となりました。今後はさらなる投資家のニーズに応えるべく、ファンドのアセットサイズの多様化など、より一層の商品ラインナップの拡充に努めてまいります。

非連結であるSaaS事業においては、主力サービスである「TASUKI TECH LAND(物件情報管理サービス)」が不動産デベロッパーや仲介企業を中心に好評を得ており、当連結会計年度末の導入社数が目標の100社を超え104社となりました。新たに特許を取得し提供を開始した「TASUKI TECH TOUCH&PLAN(建築ボリュームプラン自動生成サービス)」とともに、引き続き不動産業界のDX化を推進してまいります。

経営体制の整備・強化として、経営統合によるグループ全体での業務効率化と経営資源の効率的な分配・活用のため、コーポ―レート機能の集約を図るとともに、M&A・グループ戦略部を新設いたしました。今後も経営統合の効果の最大化と当社グループの持続的な企業価値向上を実現してまいります。

当社は設立に際し、企業結合における会計上の取得企業をタスキとしたため、当連結会計年度の経営成績は、タスキの2023年10月1日から2024年9月30日までの連結経営成績を基礎に、新日本建物の2024年4月1日から2024年9月30日までの経営成績と、オーラの2024年5月1日から2024年9月30日までの経営成績を連結したものとなります。なお当連結会計年度は、当社の設立後最初のものとなるため、前年同期との対比は行っておりません。

また、当該企業結合に伴い、取得原価の配分(Purchase Price Allocation(PPA)と呼ばれ、取得原価を被取得企業の識別可能な資産及び負債の企業結合日時点の公正価値(時価)を基礎として、当該資産及び負債に配分するプロセス)を実施し、被取得企業である新日本建物が保有する棚卸資産等につき評価替えを行っております。棚卸資産の評価替えに基づく取得原価の配分額は、当連結会計年度においてその大半が売却・引渡しにより取り崩し、費用化されております。

このような状況のもと、当連結会計年度における経営成績は、売上高が474億55百万円、EBITDAが54億78百万円、営業利益が40億65百万円、経常利益が35億60百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が22億17百万円となりました。

なお、当社はM&Aの積極的な検討を継続し、インオーガニック戦略を推進するためキャッシュ・フロー重視の経営にシフトする観点から、当社のキャッシュ・フロー創出力とオーガニック成長の実態を表す指標としてEBITDAを開示しており、EBITDAは、営業利益+減価償却費+のれん償却額+株式報酬費用+PPA(棚卸資産の評価替え)取崩額として算出しております。

 

セグメントの業績は、以下のとおりであります。

なお、各セグメントの金額は、セグメント間取引を相殺消去する前の金額であります。

(Life Platform事業)

売上高は472億54百万円、営業利益は40億84百万円となりました。

(Finance Consulting事業)

売上高は2億23百万円、営業利益は1億2百万円となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は、144億30百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、全体で13億48百万円の資金の減少となりました。主な資金の減少要因は、棚卸資産の増加額34億80百万円、法人税等の支払額12億79百万円であります。また、主な資金の増加要因は、税金等調整前当期純利益35億61百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、全体で26億24百万円の資金の減少となりました。主な資金の減少要因は、短期貸付金の純増額13億25百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出12億49百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、全体で68億44百万円の資金の増加となりました。主な資金の増加要因は、長期借入れによる収入242億58百万円、短期借入金の純増額7億98百万円であります。また、主な資金の減少要因は、長期借入金の返済による支出166億31百万円、配当金の支払額7億74百万円、新規連結子会社の旧株主への配当金の支払額5億96百万円であります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年10月1日

至 2024年9月30日)

金額(千円)

前年同期比(%)

Life Platform事業

47,251,895

Finance Consulting事業

202,408

その他

1,128

合計

47,455,431

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が10%未満であるため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

連結財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。

 

(販売用不動産及び仕掛販売用不動産)

当社グループは、販売用不動産及び仕掛販売用不動産について、正味売却額が帳簿価額を下回る場合、棚卸資産の簿価切下げに伴う評価損を計上しております。正味売却価額の算定にあたっては慎重に検討しておりますが、販売計画や市場価格の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、正味売却価額が帳簿価額を下回る場合には、評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

主に東京都23区内において、仲介業者との関係強化を推進しつつ、積極的かつ効率的に販売活動を展開しました。国内外の投資家・富裕層に向けた販売は好調に推移しております。売上高は、474億55百万円となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

売上原価は、394億82百万円となりました。売上総利益は、79億72百万円(利益率は16.8%)となりました。なお、当社グループでは不動産販売の売上総利益率の目標値を18%と設定しておりますが、当連結会計年度の売上総利益率は目標値を下回りました。これは、企業結合に伴う新日本建物の棚卸資産の評価替えによって、当連結会計年度の売上原価が11億77百万円増加したことによるものです。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は、給料及び手当、役員報酬、販売手数料、租税公課、のれんの償却額等により39億7百万円となりました。営業利益は、40億65百万円となりました。

 

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

営業外収益は、受取利息、受取地代家賃等の計上により29百万円となりました。営業外費用は、借入に伴う支払利息、支払手数料及び持分法による投資損失の計上により、5億34百万円となりました。経常利益は35億60百万円となりました。

 

(特別利益、特別損失、税金等調整前当期純利益)

特別利益に関係会社株式売却益1百万円を計上し、税金等調整前当期純利益は35億61百万円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額が合計で12億円となり、非支配株主に帰属する当期純利益は1億43百万円となりました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は22億17百万円となりました。

 

なお、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に関する分析については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。

 

③資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要のうち主なものは、販売用不動産の取得費及び開発費、不動産融資資金、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入や社債の発行による調達を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及び社債を含む有利子負債の残高は332億20百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は144億30百万円となっております。

 

④経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人財の確保、市場のニーズにあったサービスの展開等により、当社グループの経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。

 

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

1.報告セグメントの概要

当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。

当社グループは、IoTレジデンス物件やリファイニング物件、物流施設等の企画販売、不動産投資型クラウドファンディングの運営、資産コンサルティング等を行うLife Platform事業と、中小企業・小規模事業者向けの不動産融資サービスを行うFinance Consulting事業から成り立っております。

 

2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法

報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、連結財務諸表を作成するために採用される会計方針に準拠した方法であります。

報告セグメントの利益は、営業利益ベースの数値であります。

 

3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報

当連結会計年度(自 2023年10月1日 至 2024年9月30日)

 

 

 

 

(単位:千円)

 

報告セグメント

調整額

連結財務諸表計上額

 

Life Platform

事業

Finance Consulting事業

売上高

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高

47,251,895

202,408

47,454,303

1,128

47,455,431

セグメント間の内部売上高又は振替高

2,318

21,310

23,628

△23,628

47,254,213

223,719

47,477,932

△22,500

47,455,431

セグメント利益

4,084,373

102,669

4,187,042

△121,758

4,065,284

セグメント資産

58,137,565

1,875,435

60,013,001

△597,389

59,415,611

その他の項目

 

 

 

 

 

減価償却費

29,201

149

29,350

446

29,796

のれん償却額

165,215

165,215

165,215

有形固定資産及び無形固定資産の増加額

1,556,862

1,556,862

9,558

1,566,420

(注)1.調整額は、以下の通りであります。

(1)セグメント利益の調整額△121,758千円は、セグメント間取引消去473,688千円、各セグメントに配分していない全社費用△595,446千円であります。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。

(2)セグメント資産の調整額△597,389千円は、セグメント間取引消去△1,456,000千円、各セグメントに配分していない全社資産858,610千円であります。全社資産は、主に当社の現金及び預金、報告セグメントに帰属しない投資有価証券であります。

(3)減価償却費の調整額は、各セグメントに配分していない全社費用であります。

(4)有形固定資産及び無形固定資産の増加額の調整額は、各セグメントに配分していない全社資産の増加額であります。

2.セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。

 

【関連情報】

当連結会計年度(自 2023年10月1日 至 2024年9月30日)

1.製品及びサービスごとの情報

セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

 

本邦以外の外部顧客への売上高がないため、該当事項はありません。

 

(2)有形固定資産

本邦以外に所在している有形固定資産がないため、該当事項はありません。

 

 

3.主要な顧客ごとの情報

主要な顧客への売上高が連結売上高の10%未満であるため、主要な顧客ごとに関する情報の開示を省略しております。

 

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

当連結会計年度(自 2023年10月1日 至 2024年9月30日)

該当事項はありません。

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

当連結会計年度(自 2023年10月1日 至 2024年9月30日)

 

 

 

 

(単位:千円)

 

Life Platform事業

Finance

Consulting事業

全社・消去

合計

当期償却額

165,215

165,215

当期末残高

3,331,559

3,331,559

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

当連結会計年度(自 2023年10月1日 至 2024年9月30日)

該当事項はありません。