2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性のある主なリスクを記載します。当社は、これらリスクの可能性を認識し、リスク管理を行うとともに、最善の対処をいたす所存です。なお、これらは当社の事業に関するリスクのすべてを網羅するものではないことをご留意ください。
 文中における将来に関する事項は、当事業年度末(2024年3月31日)現在において当社が判断したものであります。

①事業環境の変化について

当社は、オフィス構築や、ビル、教育施設、生産施設、研究施設や設備等についてCM(コンストラクション・マネジメント)手法でのPM(プロジェクト・マネジメント)サービスを提供しています。経済環境、景気動向による企業の設備投資意欲の変化、既存建設業者との競合状況の変化、CM手法に対する建設マーケットでの評価などが、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

②フィービジネスの安定性について

フィービジネスでは、資材・設備等の材料費や外注費などのコストや物価変動に収益が左右されることがなく、基本的に安定した収益を確保できると考えられます。ただし、お客様との間で業務内容毎にマンアワーベースで計算し事前に取り決める固定フィーに関して、マンアワーの見積りが不適当であった場合や、プロジェクトに従事する当社社員の労働生産性効率が低下した場合などには、フィービジネスであっても安定した収益を確保できるとは限りません。

 

③情報共有システムの障害について

当社では、ウェブ上での情報共有システムを活用し、お客様の企画構想段階から、発注・施工の各プロセス情報を開示・共有化することで、お客様の信頼確保・意思決定支援、当社の業務効率向上に役立てております。また、顧客側のDXを支援するシステムを提供しております。これらシステムの開発・運用・保全には万全を期しておりますが、関連するスキルが不十分な場合や、システム自体に不具合が生じた場合などには、業務効率が低下してマンアワーのコストアップを招くことや、不具合に対するリカバリー対応などで、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④施工物等の瑕疵について

工事請負契約については、当社が施工物に関する契約不適合責任を負っています。
 当社は、施工管理の徹底により品質管理には万全を期しておりますが、提供する施工物及びその他製品について重大な契約不適合が発生した場合、経営成績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤人材の確保について

当社の成長を持続していくためには、優秀な人材の確保と組織力の強化が必要であります。
 当社では、上場企業であることの信用力や知名度を活かし、また業績の向上と処遇面の向上を両立させ、優秀な人材を確保していく方針ですが、優秀な人材の確保に支障をきたした場合は、当社業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

⑥情報管理について

当社は業務のデジタル化(デジタルな働き方)を導入し、情報の可視化やデータベース活用による情報の利活用によって競争優位性を高めています。当社は情報セキュリティマネジメントシステムを導入し、ISO27001の認証を取得しております。この仕組みは、毎期情報管理に関するリスクを分析し、リスクを低減させる対策を実行し、その結果を評価分析し、新たな対策を講じるというPDCAサイクルで構築されており、当社としては情報管理に万全を期しておりますが、当社の保有する情報が、外部からの不正アクセスや、内部者による故意又は過失によって喪失した場合、当社業績に影響が及ぶ可能性があります。
 

⑦業績の季節変動について

当社は、受注したCM業務契約のプロジェクトに関して、財又はサービスに対する支配が顧客に一定の期間にわたり移転する場合には、期間がごく短いプロジェクトを除き、財又はサービスを顧客に移転する履行義務を充足するにつれて、当該一定の期間にわたり収益を認識しており、受注したプロジェクトの進捗に応じて売上と売上原価を計上しております。当社の過去の業績は、主にお客様のニーズ(完成時期が下期であったり、下期の工程が多いスケジュール設定などの要望)により、過去の業績は下期偏重となっております。
 受注時期を含む受注状況や、受注したプロジェクトの下期の進捗状況によっては、通期の業績に影響を及ぼす可能性があります。
 

⑧法的規制等について

工事請負契約には、「建設業法」、「建築基準法」等の法的規制があります。
 今後、これらの法令等の改正や新たな法令等の制定により規制強化が行われた場合、また、法令違反が発生してしまった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 また、当社は、法的規制の遵守を徹底しており、現時点において法令違反の事象は発生しておりませんが、将来何らかの理由により、法令違反の事象が発生し、監督官庁より業務の停止や免許の取消し等の処分を受けた場合には、当社の事業活動に支障をきたすとともに当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 なお、法的規制について、その有効期間やその他の期限が法令、契約等により定められているものは下表のとおりであります。

(許認可等の状況)

許認可等の名称

許認可登録番号

有効期間

関係法令

許認可等の取消事由

特定建設業許可

国土交通大臣  
(特-1)第20982号

2019年11月1日~
2024年10月31日

建設業法

同法第28条、第29条

一級建築士事務所登録

東京都知事
    第33849号

2021年7月16日~
2026年7月15日

建築士法

同法第26条

一級建築士事務所登録

大阪府知事
    第23588号

2020年12月24日~
2025年12月23日

建築士法

同法第26条

 

 

⑨業績予想の変動について

当社は、業績予想を発表するにあたって個々のプロジェクトの現状を確認しておりますが、プロジェクトの進捗過程で顧客の事情等により、プロジェクトの進行予定等が変動する場合には、当該事業年度の売上及び利益に大きな影響を与える可能性があります。

 

⑩自然災害について

自然災害が発生した場合、被災地域において、社会インフラが大規模に損壊し、相当期間に亘り生産・流通活動が停止することで建築資材・部材の供給が一時的に途絶えたり、多数の社員が被災し勤務できなくなった場合等、契約締結・工事着工・工事進捗が遅延し、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

配当政策

3 【配当政策】

当社の配当につきましては、将来の事業発展と経営体質強化のために必要な内部留保を確保しつつ、株主の皆様への安定的かつ継続的な利益還元を経営として重視してまいります。具体的には、1株当たり年間配当金の下限を30円以上とし、かつ、配当性向55%程度を目安として各期の業績の伸びに応じた利益配当を行うことを基本方針としております。

また、事業環境の変化等により赤字となった場合を除き一時的に当社の業績が悪化した場合でも当該下限を維持することに努めますが、中長期継続的に業績が悪化した場合には、財政状態、利益水準などを総合的に勘案したうえで利益配当の変更を行うことを方針としております。


 当社は、会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当を行う事ができる旨を定款に定めております。また、会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定款で定めておりますが、当事業年度は中間配当について取締役会決議を行っておりません。
 当事業年度(2024年3月期)の配当金につきましては、当該方針に基づき検討した結果、1株当たり普通配当37.50円(配当性向54.9%)の期末配当(年間)を実施いたしました。
 なお、翌事業年度(2025年3月期)の配当金につきましては、当社事業の発展を支援してくださる株主の皆様に適正な配当を行う方針のもと、1株38.00円(配当性向55.3%)の期末配当(年間)を予定しております。

なお、2024年5月14日開催の取締役会において、以下の通り「配当方針の変更」を決議いたしました。

当社は、将来の事業発展と経営体質強化のために必要な内部留保を確保しつつ、株主の皆様への安定的かつ継続的な利益還元を経営として重視してまいります。

具体的には、赤字となった場合を除き2事業年度(2024年度から2025年度)の1株当たり年間配当金の下限を38円以上とし、かつ、配当性向55%程度を目安として各期の業績の伸びに応じた利益配当を行うことを基本方針としております。この「2024年度から2025年度」部分は、毎年5月頃に期間を1年間程度延長したいと考えております。
   当事業年度に係る剰余金の配当は、以下のとおりであります。

 決議年月日

配当金の総額
(千円)

1株当たり配当額
(円)

2024年5月24日

取締役会決議

453,977

37.50