2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    274名(単体)
  • 平均年齢
    41.9歳(単体)
  • 平均勤続年数
    16.0年(単体)
  • 平均年収
    8,604,000円(単体)

従業員の状況

5 【従業員の状況】

(1) 提出会社の状況

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

274

41.9

16.0

8,604

 

 

2025年3月31日現在

セグメント別

従業員数(人)

港 湾

 

地 中

216

陸 上

その他

 

全社(共通)

58

合計

274

 

(注) 1.平均年間給与(税込)は、基準外賃金及び賞与を含んでおります。

2.従業員数は、就業人員によっております。なお、嘱託社員(29名)は含んでおりません。

3.従業員の定年は満60歳としております。

ただし、継続雇用制度として再雇用制度を導入しております。

4.当社は、地域支店制をとっており、同一の従業員が複数の事業に従事しております。

5.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門、研究・生産部門に所属している人員であります。

 

(2) 労働組合の状況

労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

(3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

管理職に占める

女性労働者の割合

男性の育児休業等

取得率

男女の賃金の格差

全労働者

うち正規雇用労働者

うちパート・有期労働者

0%

87.5%

72.7%

70.3%

94.5%

 

(注)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

    当社が営む防食事業は、インフラ施設の長寿命化を通じて廃棄物削減・資源保護・災害防止・再生可能エネルギーの導入等を促進し、持続可能な社会の実現に貢献するものであります。これに加えて「23中計」においては、より能動的なESGの取組を開始することとしており、2024年4月1日より、経営企画部内にサステナビリティ推進チームを設置いたしました。

    サステナビリティ推進チームは経営企画部長を責任者とし、経営企画部(事務局)、総務部、安全環境室、製造調達統括部をメンバーとして構成されており、サステナビリティ経営に係る重点課題の特定と対応策の推進、気候変動リスク・機会の特定、サステナビリティ目標に関する進捗管理、サステナビリティ関連事項の経営方針会議、取締役会及びリスクマネジメント委員会への報告及び提言を行っております。

    また、当推進チームでは月に一度の頻度で、GHG(温室効果ガス)排出量等のサステナビリティKPIのモニタリングやTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)等の情報開示対応の検討といったサステナビリティに関する議論を実施しており、事務局は会議での決定事項の整理や進捗管理等の運営業務を担っております。

    当推進チームで議論された内容は、月に一度の頻度でリスクマネジメント委員会に報告され、決裁を必要とする重要事項に関しては経営方針会議に上申されます。

  また、取締役会への報告に関しては経営企画部長が定期的に実施しており、取締役会では報告内容をもとに、サステナビリティの取組に関する指示を行います。

    なお、記述のサステナビリティに関する当社のガバナンス及びリスク管理は、以下の体制で運営しております。

 


 

 

(2) 戦略

① 概要

当社は中期経営計画「23中計」において、「内部ステークホルダーのエンゲージメント向上」及び「気候変動リスクへの対応」をマテリアリティとして設定しております。

当社は人材を重要な資本と捉え、その価値を最大限に引き出すべく人的資本経営の実践に取り組む中で、働き方改革を推進し従業員並びに協力会社様のエンゲージメント向上に努めております。

また、気候変動リスクへの対応については、インフラ設備の維持延命化を通して経済や日常生活、地球環境を守ることを目的とした当社の事業領域において重要なマテリアリティであるとの認識のもと、積極的に推進すべき項目と考えております。

 

② 人的資本(人材の多様性を含む)に関する戦略

1)人材の採用及び維持に関する方針

当社では、社内に異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点や価値観が存在することは、会社の持続的な成長を確保する上での強みになり得るとの認識のもと人材の採用を実施しており、ダイバーシティの推進を行っております。

2)採用に関する戦略

現在当社は、毎年採用する基幹職社員のうち、20%は女性が占めることを目標に採用を行っております。例年、女性従業員は安定的に入社しており着実にその人数を伸ばしております。直近10年間の女性従業員の年平均採用比率は16.3%で推移しております。また、女性従業員が長期に継続就労できる環境整備も並行して注力してきた結果、女性のみならず育児休業、育児短時間勤務等の支援制度では法律の定めよりも優遇した支援制度を定め運用しております。制度の活用を通じて仕事と家庭の両立を図ることができる職場環境の実現により、女性のみならず子育てに関わる従業員の活躍とその定着にも繋がっております。

また、外国人従業員につきましても、当社の事業領域がほぼ国内に限られるため特に採用の目標は設定しておりませんが、採用活動は国籍を問わずに行っております。2021年にアフリカ圏の国を出身地とする女性が、2024年には東アジア圏の国を出身地とする男性が、それぞれ技術職の社員として大学院を卒業後に当社へ入社しております。

キャリア採用については、随時能力やスキルに応じ採用活動を実施し、中核人材(又は管理職人材)としても登用しております。実際に常務執行役員に登用した事例を筆頭に、管理職として多数活躍しております。

 

3)人材の維持に関する戦略

イ.パーパスに基づく育成

創業以来、金属の腐食防止技術の発展に情熱を注いできた当社は、その実績を社会から高く評価され、リーディングカンパニーとして業界を牽引しつつ成長を続けております。持続可能な社会の実現に向けて世界が大きく変わりつつある中、この度当社は、社会から求められる価値を改めて問い直し、当社の存在意義を「いまある“価値”を次代へ!」をスローガンとするパーパスを制定いたしております。このパーパスを基軸とし全社でベクトルを合わせワンチームとなるためには、個々の人材において、当社事業の基盤となる技術と知識の習熟が不可欠であります。

これら基盤技術の主なものとしては、豊富な知見に基づく防食技術とその開発力、並びに、調査・診断・設計・施工の各工程技術が挙げられます。当社の人材育成は、こうした基盤技術の養成を体系の基本に据え各種プログラムを展開しており、パーパスの実現に繋がる人材のスキルアップを目指しております。

 

ロ.従業員のエンゲージメント向上への取組(働き方改革)

2022年度より経営企画部内にDX推進チームを設置し、主にデジタル化を通じて社内業務の効率化や超過労働時間の削減を主眼に取り組んでおります。業務の品質を落とすことなく、従業員の業務負荷軽減に資する新たな業務システムを逐次提案するとともに、当社業務への最適化も試みつつ、その導入実現に取り組んでおります。

また、スライド勤務制度の導入をはじめ月額賃金のアップ等、働き方の改善、ワークライフバランスの向上を図ることを通じて、従業員一人ひとりの意欲を高める取組を展開しております。さらに、従業員間の繋がりや協働の風土をより一層培うため、2022年7月に本社オフィスを移転しワンフロア化を実施しております。什器も一新し、明るくオープンな談話スペースをフロアの各所に設置することで、部署や立場にこだわらない自由で円滑なコミュニケーションを容易にするオフィス環境を実現しております。さらに、2023年から2024年にかけては複数の支店において事務所の拡張やリフォームを行い、快適で働き易い職場の提供に努めております。

こうした職場環境の変革をきっかけに、組織の繋がりを更に広げ、かつ、強化していくとともに、当社で働くことの自負や愛着をも従業員の意識に根付かせ、従業員満足度を高めていくことに注力しております。

 

4)従業員の安全及び健康に関する方針及び戦略

当社では、経営方針の最重要項目に「安全第一」を掲げ、常に収益や納期・工期よりも安全を優先することを基本姿勢とし、日常の事業活動において実践しております。さらに、当社が定める安全衛生基本方針においても社内に働く全ての人々の安全と健康が事業活動において最も重要であるとし、安全と健康の維持・向上を通じて安心して働ける職場環境作りに全員参加で取り組んでおります。

具体的な取組は、当社の安全環境室が中心となり安全・衛生に関する年間推進事項を毎年度設定し計画的に実施しております。2025年度の推進事項は、①安全衛生活動の推進、②健康管理の推進、③労働災害撲滅運動の推進、④交通災害の撲滅運動の推進、⑤職場環境5S運動の推進の5項目を掲げております。これらの推進事項に基づき、危険の要因を事前に摘み取るヒヤリ・ハット、キガカリ運動の推進をはじめ、安全パトロールの全国展開、職場環境・車両の点検整備、夏場の熱中症対策等を通じて工事現場での災害防止の徹底に取り組んでおります。

また、健康管理への従業員の意識を高める施策として、希望従業員を対象に定期的な産業医面談の実施をはじめ、外部の医療機関による要再健診者を対象に特定保健指導の実施等に取り組んでおります。

 

③ 気候変動に関する戦略

当社は、TCFDの提言に基づき、当社の事業に関連する気候変動リスク・機会の特定・評価、対応策の検討を実施しました。検討の結果は下表のとおりであります。

気候変動の影響を適切に把握するため、低炭素経済への移行が進む1.5℃シナリオと、GHG排出削減が十分に進まず気温上昇が加速する4℃シナリオを想定し、それぞれのシナリオにおける事業環境の変化を分析しています。各リスク・機会が発生すると想定される時期(時間軸)は、短期を1~3年、中期を3~10年、長期を10~30年と設定しております。

また、各リスク・機会の影響度は、事業への影響を定性的に評価し、大・中・小の3段階で設定しております。

 

 

表:気候変動リスク・機会の特定・評価と対応策

 

 

分類

ドライバー

温度帯

時間軸

収益/費用

具体的なリスク

影響度

対応策

移行

リスク

法規制政策

カーボン

プライシングの導入

1.5℃

中期

費用

・炭素税導入による製造コスト増加

・省エネ設備導入によるコスト増加

・サプライヤーに対する炭素税導入による調達コスト増加

・省エネ設備の導入促進

・再生可能エネルギーへの切り替え

・カーボンクレジットの購入

・サプライチェーン全体での排出量削減の取組促進

・低炭素化に取り組むサプライヤーへのインセンティブ導入

・調達コストの販売価格への転嫁

気候変動

リスクへの

対応

1.5℃

・中

・長期

費用

・気候変動を含む環境情報開示への対応コスト発生

・アウトソーシングによる作業効率化

・社内啓蒙による業務改善促進と生産性向上

・社外への取組公開

技術

再生可能

エネルギー

価格の高騰

1.5℃

中期

費用

・エネルギーコストの増加

・再生可能エネルギー需要の逼迫による再エネ確保困難

・自家発電設備の導入の検討

・省エネの取組促進

・電力先物の購入検討

脱炭素

技術開発

1.5℃

・長期

費用

・脱炭素商品・工法開発やサプライヤー再構築等のコスト発生

・脱炭素技術開発の促進

市場

顧客行動

の変化

1.5℃

・中期

収益

・ZEB基準義務化やエネルギー政策によって火力発電施設関連需要が減少

・再生可能エネルギー発電施設への事業拡大

・火力発電以外の設備へ営業展開をシフト

評判

顧客の

評判変化

1.5℃

中期

収益

・脱炭素化の取組が不十分な場合、脱炭素に関心の高い企業からの受注機会を損失

・気候関連イニシアチブへの取組促進

・脱炭素型サービスや製品の開発

・J-ブルークレジットの積極参加

 

 

 

分類

ドライバー

温度帯

時間軸

収益/費用

具体的なリスク

影響度

対応策

物理

リスク

急性

大型台風・

洪水のような異常気象の

深刻化・増加

4℃

・中

・長期

費用

・自社施設や工事現場への損害発生

・サプライヤー拠点被災による資材調達難

・顧客施設被災による施工中止・延期

・洪水リスク地域把握

・BCPの強化

・調達先の分散化

慢性

平均気温

の上昇

4℃

・長期

収益

・作業効率低下

・熱中症対策等の安全対策費増加

・労働環境悪化による労働者不足の深刻化

・空調負荷による光熱費増加

・在宅勤務推進といった働き方の変化に伴うコスト発生

・現場作業時間の最適化

・熱中症予防対策の強化

・現場環境の改善及び働き方改革

・空調設備の適切な維持管理と最適運転

・エネルギー管理目標の設定とモニタリング

 

 

 

分類

ドライバー

温度帯

時間軸

収益/費用

具体的な機会

影響度

実現策

機会

資源効率

省エネ製品

の導入促進

1.5℃

・中期

費用

・省エネ機器、低炭素車両導入によるエネルギーコスト減少

・省エネ機器や低炭素車両導入のための予算確保

・設備更新計画の策定による、段階的な設備導入

エネルギー源

再生可能

エネルギー

発電設備

の導入

1.5℃

・中期

費用

・自社敷地への太陽光発電の導入によるエネルギーコスト減少

・自社敷地での太陽光パネル設置可能性の調査

・エネルギー管理目標の設定とモニタリング

製品及び

サービス

防食工事

の需要拡大

1.5℃

・中期

収益

・地球資源有効利用の観点から、新設/既設施設の長寿命化を図る需要が増加

・防食技術の研究開発強化

・自社技術のPR強化

・人員確保及び人件費増加対策の実践

・省力化の推進

腐食の激化

対策による

需要拡大

4℃

・長期

収益

・気温の上昇に起因する腐食速度の増大対策に関する需要拡大

・防食技術の高度化

・設計マニュアルの見直し

 

 

 

分類

ドライバー

温度帯

時間軸

収益/費用

具体的な機会

影響度

実現策

機会

市場

脱炭素関連

施設の需要

増加による

市場拡大

1.5℃

中期

収益

・洋上風力発電等の再エネ施設増

・脱火力に伴う水力・原子力発電増強

・CNP建設需要

・洪水・治水関連需要

・防食技術の研究開発強化

・全方位営業の展開

・人員確保及び人件費増加対策の実践

・省力化の推進

レジリエンス

情報開示

対応の強化

1.5℃

・長期

収益

・気候変動リスク・機会に関する情報開示の促進によるステークホルダーからの評価向上

・TCFDやCDPへの積極対応による気候関連情報の開示充実

・ステークホルダー向けの説明会の実施

 

 

 

(3) リスク管理

① 全社のリスク管理への統合プロセス

当社では、リスクマネジメント委員会が全社的なリスクの管理・統括を行っております。気候変動に関する重要なリスクについては、サステナビリティ推進チームから関連部署を経て、リスクマネジメント委員会に報告されることにより統合的なリスク管理体制を構築しております。

 

② リスクを識別・評価・管理するプロセス

当社では、気候変動関連リスクについてはサステナビリティ推進チームにて短期的なリスクのみならず中長期的なリスクまで識別・評価しており、当推進チームにて予防策と対応方針を検討しております。特に重要なリスクについてはサステナビリティ推進チームから関連部署やリスクマネジメント委員会、取締役会へ報告され、取締役会にて決定された対応方針については、取締役会から関連部署や当推進チームを経て業務執行部門にて実行されます。

気候変動関連のリスクの評価については年に一回の頻度で実施しており、「影響度」と「緊急度」を用いて評価することで、対処すべきリスクと対応優先度の決定を行っております。

 

(4) 指標及び目標

① 人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容、並びに当該指標を用いた目標及び実績

上記「(2)戦略 ② 人的資本(人材の多様性を含む)に関する戦略」に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績は、次のとおりであります。

 

1)女性社員採用人数

目標:各年度の新卒基幹職社員に占める女性比率を10%(ただし、2024年度よりキャリア採用者を含む全基幹職社員採用者の20%に変更)

実績:女性基幹職社員採用人数(2023年度までは新卒採用、2024年度はキャリア採用を含む)

     2020年度  3名(42.9%)

     2021年度  1名(10.0%)

     2022年度  3名(42.9%)

     2023年度  1名(7.1%)

     2024年度  2名(14.3%)

 

2)キャリア社員採用人数及び管理職登用状況

 目標:設定していない

 実績:

 ア.キャリア社員採用人数

     2020年度  5名

     2021年度  3名

     2022年度  1名

     2023年度  6名

     2024年度  6名

 イ.キャリア社員採用者の管理職登用実績(当該年度末の全管理職に占めるキャリア採用者の人数・比率)

     2020年度 21名(25.9%)

     2021年度 19名(23.5%)

     2022年度 17名(21.5%)

     2023年度 14名(16.9%)

     2024年度 13名(16.7%)

 

② 気候変動に関する目標

当社は気候関連問題が経営に及ぼす影響を評価・管理するため、2023年度よりGHGプロトコルの基準に基づき、GHG排出量の算定を実施しており、Scope1及び2を算定しております。算定された排出量は下表のとおりであります。温室効果ガス排出量の削減目標については、2030年度に42%削減(2023年度比)としており、直近の取組として、社有車をガソリン車からハイブリッド車へ段階的に切り替えており、これにより年間約15トンのCO₂排出量削減を見込んでおります。

 

表:温室効果ガス排出量実績(Scope1+2)

単位:tCO2

Scope

2023年度(実績値)

2024年度(実績値)

Scope1

449.6

511.7

Scope2

1,027.8

962.1

Scope1+2

1,477.4

1,473.9

 

対象となる排出源

Scope1:事業活動からの直接排出

Scope2:事業活動での電力使用に伴う間接排出

 なお、Scope1-2排出量はCO₂のみを算定しており、環境省「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」電気事業者別排出係数を使用しております。